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特許7733907バランスばねに対する制振部材の取付構造及びステアリングコラム装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-27
(45)【発行日】2025-09-04
(54)【発明の名称】バランスばねに対する制振部材の取付構造及びステアリングコラム装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/18 20060101AFI20250828BHJP
   B62D 1/184 20060101ALI20250828BHJP
   B62D 1/189 20060101ALI20250828BHJP
【FI】
B62D1/18
B62D1/184
B62D1/189
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021196405
(22)【出願日】2021-12-02
(65)【公開番号】P2023082555
(43)【公開日】2023-06-14
【審査請求日】2024-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】523207386
【氏名又は名称】NSKステアリング&コントロール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下河原 慎
(72)【発明者】
【氏名】服部 広行
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-265647(JP,A)
【文献】実開昭61-193868(JP,U)
【文献】実開昭60-185737(JP,U)
【文献】特開2009-068644(JP,A)
【文献】特開2013-203211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0231032(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/18
B62D 1/184
B62D 1/189
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングコラムに対して弾力を付与するためのバランスばねに対する制振部材の取付構造であって、
前記バランスばねは、コイル部と、前記コイル部から延出した1対のばね腕部とを有しており、
前記制振部材は、弾性変形可能で、自由状態で環状に構成されており、
前記制振部材の内側に1対の前記ばね腕部のそれぞれを挿通し、かつ、前記制振部材のうちで1対の前記ばね腕部が挿通した部分の間に備えられた、前記コイル部が前記制振部材の内側を通過することに対して障害となる障害部を、前記コイル部の径方向外側に配置した状態で、前記制振部材を前記バランスばねに取り付けている、
バランスばねに対する制振部材の取付構造。
【請求項2】
1対の前記ばね腕部のそれぞれは、前記制振部材を捩り変形させて形成された環状の挿通環部の内側に挿通されており、
前記障害部は、前記制振部材を捩り変形させて形成された交差部である、
請求項1に記載したバランスばねに対する制振部材の取付構造。
【請求項3】
前記交差部は、前記制振部材を360°以上捩り変形させて形成されたものである、請求項2に記載したバランスばねに対する制振部材の取付構造。
【請求項4】
ステアリングコラムに対して弾力を付与するためのバランスばねに対する制振部材の取付構造であって、
前記バランスばねは、コイル部と、前記コイル部から延出した1対のばね腕部とを有しており、
前記制振部材は、弾性変形可能で、自由状態で環状に構成されており、
前記制振部材の内側に1対の前記ばね腕部のそれぞれを挿通し、かつ、前記制振部材のうちで1対の前記ばね腕部が挿通した部分の間に存在する中間部を、前記コイル部の径方向内側に挿通配置した状態で、前記制振部材を前記バランスばねに取り付けている、
バランスばねに対する制振部材の取付構造。
【請求項5】
ステアリングコラムに対して弾力を付与するためのバランスばねに対する制振部材の取付構造であって、
前記バランスばねは、コイル部と、前記コイル部から延出した1対のばね腕部とをそれぞれ有する1対のコイルばね部と、1対の前記コイルばね部のそれぞれに備えられた一方の前記ばね腕部同士を接続する接続部とを備えており、
前記制振部材は、弾性変形可能で、自由状態で環状に構成されており、
前記制振部材の内側に1対の前記コイルばね部のそれぞれに備えられた他方の前記ばね腕部を挿通し、かつ、前記制振部材のうちで1対の他方の前記ばね腕部が挿通した部分の間に存在する中間部を、1対の前記コイルばね部のそれぞれに備えられた前記コイル部の径方向内側に挿通配置した状態で、前記制振部材を前記バランスばねに取り付けている、
バランスばねに対する制振部材の取付構造。
【請求項6】
前記制振部材の前記中間部は、前記接続部の周囲に巻き掛けられている、請求項5に記載したバランスばねに対する制振部材の取付構造。
【請求項7】
前記コイル部の巻き数は、2巻き以下である、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載したバランスばねに対する制振部材の取付構造。
【請求項8】
幅方向に貫通したコラム側通孔を有するコラム側ブラケットを備えた、ステアリングコラムと、
前記コラム側ブラケットの幅方向両側に配置され、それぞれに幅方向に貫通し、かつ、上下方向に伸長した車体側通孔を有する1対の支持板部を備えた、車体側ブラケットと、
前記コラム側通孔及び1対の前記車体側通孔を幅方向に挿通した調節ロッドと、
前記車体側ブラケットに対して支持され、前記ステアリングコラムに対して上方に向いた弾力を付与する、バランスばねと、
前記バランスばねに取り付けられ、前記バランスばねの共振を抑制する、制振部材と、を備え、
請求項1~7のうちのいずれか1項に記載したバランスばねに対する制振部材の取付構造により、前記制振部材が前記バランスばねに対して取り付けられている、ステアリングコラム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランスばねに対する制振部材の取付構造及びステアリングコラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のステアリングコラム装置には、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの上下位置や前後位置を調節可能とする、ステアリングホイールの位置調節装置が組み込まれている。
【0003】
図12及び図13は、特開2008-265647号公報(特許文献1)に記載された、ステアリングホイールの位置調節装置を備えたステアリングコラム装置の1例を示している。
【0004】
ステアリングシャフト100は、ステアリングコラム101の内側に回転自在に支持されている。ステアリングシャフト100の後端部には、ステアリングホイール102が固定されている。ステアリングシャフト100は、ステアリングホイール102の前後位置の調節を可能にするために、前方に配置されたロアシャフト103と後方に配置されたアッパシャフト104とを、スプライン係合などにより、トルク伝達可能にかつ伸縮可能に組み合わせた構成を有している。なお、前後方向とは、車両の前後方向を意味し、上下方向とは、車両の上下方向を意味し、幅方向とは、車両の幅方向を意味する。
【0005】
ステアリングコラム101は、略円筒形状を有しており、車体に対して支持されている。ステアリングコラム101は、ステアリングホイール102の前後位置の調節を可能にするために、前方に配置されたロアコラム105の後側部に、後方に配置されたアッパコラム106の前側部を、軸方向に関する相対変位を可能に緩く嵌合し、全長を伸縮可能に構成している。
【0006】
アッパコラム106の前側部には、1対の被挟持板部107からなるコラム側ブラケット108が備えられている。コラム側ブラケット108は、車体に支持された車体側ブラケット109に備えられた1対の支持板部110により、幅方向両側から挟持されている。1対の被挟持板部107のそれぞれを幅方向に貫通したコラム側通孔111、及び、1対の支持板部110のそれぞれを幅方向に貫通した車体側通孔112には、調節ロッド113が幅方向に挿通されている。特開2008-265647号公報に記載された従来構造では、ステアリングホイール102の前後位置の調節を可能とするために、コラム側通孔111を前後方向に伸長した長孔とし、かつ、ステアリングホイール102の上下位置の調節を可能とするために、車体側通孔112を上下方向に伸長した長孔としている。
【0007】
調節ロッド113の基端部には、アンカ部(頭部)114が備えられており、調節ロッド113の先端部には、抜け止め部材(ナット)115が取り付けられている。抜け止め部材115と幅方向一方側(図13の左側)の支持板部110との間には、カム装置116及び調節レバー117が備えられている。
【0008】
カム装置116は、可動側カム118と、固定側カム119とからなる。可動側カム118は、調節ロッド113に外嵌支持されており、車体の幅方向に関する内側面(図13の右側面)に、円周方向に関する凹凸面である可動側カム面を有している。固定側カム119は、幅方向一方側の支持板部110に対して相対回転不能に支持されており、可動側カム面に対向する、車体の幅方向に関する外側面(図13の左側面)に、円周方向に関する凹凸面である固定側カム面を有している。調節レバー117は、その基部を可動側カム118に対して相対回転不能に固定している。カム装置116は、調節レバー117の操作に基づき、可動側カム118を固定側カム119に対して相対回転させることにより、可動側カム面と固定側カム面との回転位相を変化させて、幅方向寸法を拡縮させる。これにより、1対の支持板部110同士の間隔を拡縮させて、1対の被挟持板部107を挟持する力の大きさを調節する。
【0009】
カム装置116の幅方向寸法を縮小して、1対の支持板部110により1対の被挟持板部107を挟持する力を小さくした、カム装置116のアンロック状態では、調節ロッド113がコラム側通孔111及び車体側通孔112の内側で変位できる範囲で、ステアリングホイール102の位置調節が可能になる。これに対し、カム装置116の幅方向寸法を拡大して、1対の支持板部110により1対の被挟持板部107を挟持する力を大きくした、カム装置116のロック状態では、ステアリングホイール102を、調節後の位置に保持することが可能になる。
【0010】
特開2008-265647号公報に記載された従来構造では、カム装置116のアンロック状態で、ステアリングコラム101及びステアリングホイール102が自重によって下方に勢い良く落下するのを防止するために、バランスばね120を設けている。
【0011】
バランスばね120は、コイル部121と、1対のばね腕部122a、122bとからなるコイルばね(トーションスプリング)である。バランスばね120は、1対のばね腕部122a、122bのうち、一方のばね腕部122aを調節ロッド113のアンカ部114に係止し、他方のばね腕部122bを車体側ブラケット109に係止することで、調節ロッド113と車体側ブラケット109との間に取り付けられている。そして、バランスばね120は、調節ロッド113を介して、ステアリングコラム101に上方に向いた弾力を付与している。これにより、ステアリングホイール102の位置調節を行うべく、カム装置116をアンロック状態とした場合に、ステアリングコラム101及びステアリングホイール102が自重によって下方に勢い良く落下するのを防止している。
【0012】
また、特開2008-265647号公報に記載された従来構造では、バランスばね120を構成するコイル部121に、円筒形状を有する制振部材123を外嵌している。これにより、バランスばね120の共振を抑制し、異音の発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2008-265647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特開2008-265647号公報に記載された従来構造では、バランスばね120を構成するコイル部121の巻き数が比較的多く(図示の例では3巻きであり)、コイル部121の軸方向寸法がある程度大きい。このため、バランスばね120の共振を抑制するための制振部材123を、コイル部121に嵌合によって取り付けることができる。
【0015】
ただし、バランスばねを構成するコイル部の巻き数が、たとえば1巻きや2巻きであるなど、巻き数が少ない場合、コイル部の軸方向寸法が短くなるため、制振部材を、コイル部に嵌合によって取り付けることは難しくなる。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、バランスばねを構成するコイル部の巻き数が少ない場合にも、バランスばねに制振部材を取り付けることができる、バランスばねに対する制振部材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のバランスばねに対する制振部材の取付構造は、ステアリングコラムに対して弾力を付与するためのバランスばねに対する制振部材の取付構造に関する。
【0018】
本発明のバランスばねに対する制振部材の取付構造の第1態様では、前記バランスばねは、コイル部と、前記コイル部から延出した1対のばね腕部とを有している。
前記制振部材は、弾性変形可能で、自由状態で環状に構成されている。
本発明の取付構造の第1態様では、前記制振部材の内側に1対の前記ばね腕部のそれぞれを挿通し、かつ、前記制振部材のうちで1対の前記ばね腕部が挿通した部分の間に備えられた、前記コイル部が前記制振部材の内側を通過することに対して障害となる障害部を、前記コイル部の径方向外側に配置した状態で、前記制振部材を前記バランスばねに取り付けている。
【0019】
本発明の取付構造の第1態様では、1対の前記ばね腕部のそれぞれを、前記制振部材を捩り変形させて形成した環状の挿通環部の内側に挿通し、前記障害部を、前記制振部材を捩り変形させて形成した交差部とすることができる。
この場合、前記交差部を、前記制振部材を360°以上捩り変形させて形成した、捩り交差部とすることもできる。
【0020】
本発明のバランスばねに対する制振部材の取付構造の第2態様では、前記バランスばねは、コイル部と、前記コイル部から延出した1対のばね腕部とを有している。
前記制振部材は、弾性変形可能で、自由状態で環状に構成されている。
本発明の取付構造の第2態様では、前記制振部材の内側に1対の前記ばね腕部のそれぞれを挿通し、かつ、前記制振部材のうちで1対の前記ばね腕部が挿通した部分の間に存在する中間部を、前記コイル部の径方向内側に挿通配置した状態で、前記制振部材を前記バランスばねに取り付けている。
【0021】
本発明のバランスばねに対する制振部材の取付構造の第3態様では、前記バランスばねは、コイル部と、前記コイル部から延出した1対のばね腕部とをそれぞれ有する1対のコイルばね部と、1対の前記コイルばね部のそれぞれに備えられた一方の前記ばね腕部同士を接続する接続部とを備えている。
前記制振部材は、弾性変形可能で、自由状態で環状に構成されている。
本発明の取付構造の第3態様では、前記制振部材の内側に1対の前記コイルばね部のそれぞれに備えられた他方の前記ばね腕部を挿通し、かつ、前記制振部材のうちで1対の他方の前記ばね腕部が挿通した部分の間に存在する中間部を、1対の前記コイルばね部のそれぞれに備えられた前記コイル部の径方向内側に挿通配置した状態で、前記制振部材を前記バランスばねに取り付けている。
【0022】
本発明の取付構造の第3態様では、前記制振部材の前記中間部を、前記接続部の周囲に巻き掛けることもできる。
【0023】
本発明の取付構造では、前記第1態様、前記第2態様及び前記第3態様のいずれにおいても、前記コイル部の巻き数を、2巻き以下とすることができる。
あるいは、本発明の取付構造では、前記コイル部の巻き数を、3巻き以上とすることもできる。
【0024】
本発明のステアリングコラム装置は、ステアリングコラムと、車体側ブラケットと、調節ロッドと、バランスばねと、制振部材とを備える。
前記ステアリングコラムは、幅方向に貫通したコラム側通孔を有するコラム側ブラケットを備えている。
前記車体側ブラケットは、前記コラム側ブラケットの幅方向両側に配置され、それぞれに幅方向に貫通し、かつ、上下方向に伸長した車体側通孔を有する1対の支持板部を備えている。
前記調節ロッドは、前記コラム側通孔及び1対の前記車体側通孔を幅方向に挿通している。
前記バランスばねは、前記車体側ブラケットに対して支持され、前記ステアリングコラムに対して上方に向いた弾力を付与する。
前記制振部材は、前記バランスばねに取り付けられ、前記バランスばねの共振を抑制する。
本発明のステアリングコラム装置では、本発明のバランスばねに対する制振部材の取付構造により、前記制振部材が前記バランスばねに対して取り付けられている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、バランスばねを構成するコイル部の巻き数が少ない場合にも、バランスばねに制振部材を取り付けることができる、バランスばねに対する制振部材の取付構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施の形態の第1例にかかるステアリングコラム装置を、前側かつ下側から見た状態を示す、斜視図である。
図2図2は、実施の形態の第1例にかかるステアリングコラム装置の前後方向中間部を、前側かつ下側から見た状態を示す、斜視図である。
図3図3は、実施の形態の第1例にかかるステアリングコラム装置の前後方向中間部における断面模式図である。
図4図4は、実施の形態の第1例にかかるステアリングコラム装置から制振部材を取り出して示す模式図であり、(A)は自由状態における図であり、(B)は捩れ変形後における図である。
図5図5は、実施の形態の第1例にかかるステアリングコラム装置から制振部材が取り付けられた状態のバランスばねを取り出して示す、斜視図である。
図6図6は、実施の形態の第2例を示す、図5に相当する図である。
図7図7は、実施の形態の第3例を示す、図5に相当する図である。
図8図8は、実施の形態の第4例を示す、図5に相当する図である。
図9図9は、実施の形態の第5例を示す、図5に相当する図である。
図10図10は、本発明に関する参考例を示す、図5に相当する図である。
図11図11は、本発明に関する参考例の制振部材を取り出し、自由状態で示す模式図である。
図12図12は、従来構造のステアリングコラム装置を示す、側面図である。
図13図13は、図12のA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1図5を用いて説明する。
本例のステアリングコラム装置1は、ステアリングシャフト2を、車体に対し回転可能に支持するためのもので、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節可能な位置調節機構(チルト・テレスコピック機構)を備える。以下の説明において、前後方向とは、ステアリングコラム装置1が組み付けられる車体の前後方向を意味し、上下方向とは、車体の上下方向を意味し、幅方向とは、車体の幅方向を意味する。また、幅方向一方側とは、図3の左側を意味し、幅方向他方側とは、図3の右側を意味する。さらに、幅方向外側とは、図3の左右方向の両側を意味し、幅方向内側とは、図3の左右方向の中央側を意味する。
【0028】
本例のステアリングコラム装置1では、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にするために、ステアリングシャフト2を、前方に配置されたロアシャフト3と後方に配置されたアッパシャフト4とを、スプライン係合などにより、トルク伝達可能にかつ伸縮可能に組み合わせた構成としている。
【0029】
ステアリングコラム装置1は、ステアリングコラム5と、車体側ブラケット6と、調節ロッド7と、バランスばね8と、1対の制振部材9a、9bとを備える。
【0030】
〈ステアリングコラム〉
ステアリングコラム5は、略円筒形状を有しており、軸方向を前後方向に向けて、車体に対して支持されている。ステアリングコラム5は、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にするために、前方に配置されたロアコラムであるインナコラム10の後側部に、後方に配置されたアッパコラムであるアウタコラム11の前側部を、軸方向に関する相対変位を可能に緩く嵌合し、全長を伸縮可能に構成している。ステアリングコラム5の内側には、複数の転がり軸受を介して、ステアリングシャフト2を回転自在に支持している。
【0031】
《インナコラム》
インナコラム10は、鉄系合金、アルミニウム系合金など金属製である。インナコラム10は、全体として円筒形状を有している。インナコラム10の前側部には、ロアブラケット12が固定されている。ロアブラケット12は、図示しない車体に対して、幅方向に配置されたチルト軸13を中心とする揺動を可能に支持される。
【0032】
《アウタコラム》
アウタコラム11は、鉄系合金、アルミニウム系合金などの金属製であり、全体が筒状に構成されている。アウタコラム11は、車体に対して前方への離脱可能に支持された車体側ブラケット6に対して前側の端部が支持されている。アウタコラム11は、スリット14と、コラム側ブラケット15とを有する。
【0033】
スリット14は、アウタコラム11の前側部の内径を拡縮可能とするためのもので、アウタコラム11の軸方向に伸長している。スリット14は、アウタコラム11の下面の前後方向の中間部から前側の端部にわたり備えられている。スリット14は、アウタコラム11の内周面及び外周面にそれぞれ開口しているとともに、アウタコラム11の前側の端面にも開口している。
【0034】
コラム側ブラケット15は、アウタコラム11の前側の端部に備えられている。コラム側ブラケット15は、スリット14の幅方向両側に配置された1対の被挟持板部16a、16bから構成される。1対の被挟持板部16a、16bは、略平板状に構成されている。1対の被挟持板部16a、16bは、上下方向に伸長しており、幅方向に離隔して配置されている。1対の被挟持板部16a、16bには、互いに整合する部分に、幅方向に貫通したコラム側通孔17a、17bが形成されている。すなわち、1対のコラム側通孔17a、17bは、前後位置及び上下位置が一致している。コラム側通孔17a、17bは、前後方向に伸長した長孔である。なお、テレスコ機構を備えない場合には、コラム側通孔は単なる円孔とする。
【0035】
〈車体側ブラケット〉
車体側ブラケット6は、車体に対して、アウタコラム11の前側部を、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節可能なアンクランプ状態と、ステアリングホイールを調節後の位置に保持するクランプ状態とを切り替え可能に支持する。車体側ブラケット6は、鋼やアルミニウム系合金などの十分な剛性を有する金属板製で、図3に示すように、1対の支持板部18a、18bと、天板部19と、1対の前板部20a、20bとを有する。
【0036】
1対の支持板部18a、18bは、コラム側ブラケット15を構成する1対の被挟持板部16a、16bの幅方向両側に配置されている。1対の支持板部18a、18bは、略平板状に構成されている。1対の支持板部18a、18bは、上下方向に伸長しており、幅方向に離隔して配置されている。1対の支持板部18a、18bには、互いに整合する部分に、幅方向に貫通した車体側通孔21a、21bが形成されている。車体側通孔21a、21bは、上下方向に伸長した長孔である。具体的には、たとえば、車体側通孔21a、21bのそれぞれは、チルト軸13を中心とする円弧方向に伸長した長孔である。
【0037】
天板部19は、ステアリングコラム5の上方に配置されている。天板部19の下面には、1対の支持板部18a、18bのそれぞれの上端部が溶接などにより固定されている。天板部19には、後側の端部が開口した複数の切り欠き22が備えられている。天板部19は、切り欠き22に係合したカプセル23を用いて、車体に対して前方への離脱可能に支持される。
【0038】
1対の前板部20a、20bは、天板部19の前側の端部に幅方向に離隔した状態で備えられている。1対の前板部20a、20bは、天板部19の前側の端部から垂下している。1対の前板部20a、20bのそれぞれの下方側の端部には、略J字形状を有するブラケット側係止部24a、24bが備えられている。
【0039】
〈調節ロッド〉
調節ロッド7は、1対の支持板部18a、18bにより1対の被挟持板部16a、16bを締め付ける力を調節可能とするために、軸方向を幅方向に向けて配置されており、1対のコラム側通孔17a、17bと1対の車体側通孔21a、21bとを幅方向に挿通している。調節ロッド7の全長は、1対の支持板部18a、18bの外側面同士の間隔よりも長い。調節ロッド7は、幅方向一方側(図3の左側)の端部に頭部のごときアンカ部25を有し、幅方向他方側(図3の右側)の端部に雄ねじ部26を有する。
【0040】
調節ロッド7のうちで、幅方向一方側に配置された支持板部18aの外側面から幅方向に突出した部分の周囲には、幅方向外側から順に、調節レバー27とカム装置28とが配置されている。換言すれば、幅方向に関してアンカ部25の内側面と支持板部18aの外側面との間には、調節レバー27とカム装置28とが配置されている。調節ロッド7のうちで、幅方向他方側に配置された支持板部18bの外側面から幅方向に突出した部分の周囲には、幅方向外側から順に、ナット29とスラスト軸受30とが配置されている。ナット29は、調節ロッド7の雄ねじ部26に螺合されている。
【0041】
カム装置28は、拡縮装置であり、幅方向外側に配置された可動側カム31と、幅方向内側に配置された固定側カム32とを有する。可動側カム31は、焼結金属製で、車体の幅方向に関する内側面に、円周方向に関する凹凸面である可動側カム面を有する。可動側カム31は、調節レバー27の基部に固定されており、調節レバー27の往復揺動に伴って往復回転する。なお、調節レバー27の基部及び可動側カム31は、調節ロッド7と一体に回転するように、調節ロッド7に対して固定することもできるし、調節ロッド7に対して相対回転可能に外嵌することもできる。
【0042】
固定側カム32は、焼結金属製で、車体の幅方向に関する外側面に円周方向に関する凹凸面である固定側カム面を有し、かつ、内側面に、幅方向内側に突出した略矩形状の係合凸部を有する。このような固定側カム32は、調節ロッド7に対する相対回転、及び、調節ロッド7に対する幅方向の相対変位を可能に、調節ロッド7に外嵌されている。固定側カム32は、前記係合凸部を、幅方向一方側に配置された支持板部18aの車体側通孔21aに対して、車体側通孔21aに沿った変位のみを可能に係合させている。
【0043】
カム装置28は、調節レバー27の揺動操作に基づき、可動側カム31を固定側カム32に対して相対回転させることにより、可動側カム面と固定側カム面との回転位相を変化させて、幅方向寸法を拡縮させる。これにより、カム装置28の固定側カム32とスラスト軸受30との間隔を拡縮させて、1対の支持板部18a、18b同士の間隔を拡縮させる。
【0044】
ステアリングホイールの位置調節を行うには、調節レバー27を、たとえば下方(又は上方)に揺動させる。これにより、可動側カム31をアンロック方向に回転させて、可動側カム面を構成する凸部と固定側カム面を構成する凸部とを円周方向に関して交互に配置し、カム装置28をアンロック状態とする。この結果、カム装置28の幅方向寸法が縮小し、1対の押圧部を構成する固定側カム32とスラスト軸受30との間隔が拡大する。また、支持板部18a、18bの内側面と被挟持板部16a、16bの外側面との当接部の面圧が低下ないしは喪失すると同時に、アウタコラム11の内径が弾性的に拡大し、アウタコラム11の内周面とインナコラム10の外周面との当接部の面圧が低下する。このようなアンクランプ状態において、調節ロッド7が1対のコラム側通孔17a、17b及び1対の車体側通孔21a、21bの内側で動ける範囲で、ステアリングホイールの前後位置及び上下位置の調節が可能になる。
【0045】
ステアリングホイールを所望位置に保持するには、ステアリングホイールを所望位置に移動させた後に、調節レバー27を、ステアリングホイールの位置調節を行う場合とは反対向き(たとえば上方又は下方)に揺動させる。これにより、可動側カム31をロック方向に回転させて、可動側カム面を構成する凸部の先端面と固定側カム面を構成する凸部の先端面とを互いに突き当て、カム装置28をロック状態とする。この結果、カム装置28の幅方向寸法が拡大し、1対の押圧部を構成する固定側カム32とスラスト軸受30との間隔が縮小する。また、支持板部18a、18bの内側面と被挟持板部16a、16bの外側面との当接部の面圧が上昇すると同時に、アウタコラム11の内径が弾性的に縮小し、アウタコラム11の内周面とインナコラム10の外周面との当接部の面圧が上昇する。このようなクランプ状態において、ステアリングホイールは調節後の位置に保持される。
【0046】
〈バランスばね〉
バランスばね8は、車体側ブラケット6と調節ロッド7との間に掛け渡されるように、車体側ブラケット6に対して支持されており、ステアリングコラム5に対して上方に向いた弾力を付与する。これにより、ステアリングホイールの位置調節を行うべく、カム装置28をアンロック状態とした際に、ステアリングホイール及びステアリングコラム5が自重によって下方に勢い良く落下することを防止する。また、ステアリングホイールを上側に移動させる際に要する力の低減を図る。
【0047】
バランスばね8は、ステンレスのばね鋼などの弾性を有する線材を曲げ形成することにより造られている。バランスばね8は、いわゆるダブルトーションばねの構造を有している。すなわち、バランスばね8は、1対のコイルばね部33a、33bと、1対のコイルばね部33a、33b同士を接続する接続部34とを有する。
【0048】
1対のコイルばね部33a、33bは、幅方向に離隔して配置されている。接続部34は、幅方向に関して1対のコイルばね部33a、33bの間部分に配置されている。
【0049】
1対のコイルばね部33a、33bのうち、幅方向一方側(図2の右側、図5の手前側)に配置されたコイルばね部33aは、コイル部35aと、1対のばね腕部36a、36bとを備えている。
【0050】
コイル部35aは、前記線材の長さ方向一方側部分を螺旋状に巻き回すことにより形成されている。コイル部35aは、バランスばね8をステアリングコラム装置1に組み付けた状態で、中心軸を幅方向に向けて配置されている。また、コイル部35aは、車体側ブラケット6を構成する前板部20aの前方に配置されている。本例では、コイル部35aの巻き数を、2巻きとしている。ただし、本発明を実施する場合には、コイル部35aの巻き数は、2巻きに限定されず、1巻きとしても良いし、3巻き以上としても良い。
【0051】
1対のばね腕部36a、36bは、コイル部35aの両側の端部からそれぞれ延出している。バランスばね8をステアリングコラム装置1に組み付けた状態で、1対のばね腕部36a、36bのうち、幅方向内側に配置された一方のばね腕部36aは、コイル部35aから離れるほど下方に向かう方向に略直線状に伸長している。また、1対のばね腕部36a、36bのうち、幅方向外側に配置された他方のばね腕部36bは、前記線材の長さ方向一方側の端部により構成されており、コイル部35aから離れるほど後方に向かう方向に略直線状に伸長している。他方のばね腕部36bの先端部には、クランク状に屈曲したばね側係止部37aが備えられている。
【0052】
1対のコイルばね部33a、33bのうち、幅方向他方側(図2の左側、図5の奥側)に配置されたコイルばね部33bは、コイル部35bと、1対のばね腕部36c、36dとを備えている。
【0053】
コイル部35bは、前記線材の長さ方向他方側部分を螺旋状に巻き回すことにより形成されている。コイル部35bは、コイルばね部33aを構成するコイル部35aと同軸に配置されている。また、コイル部35bは、バランスばね8をステアリングコラム装置1に組み付けた状態で、車体側ブラケット6を構成する前板部20bの前方に配置されている。本例では、コイル部35bの巻き数を、コイル部35aと同様に、2巻きとしている。ただし、本発明を実施する場合には、コイル部35bの巻き数は、2巻きに限定されず、1巻きとしても良いし、3巻き以上としても良い。
【0054】
1対のばね腕部36c、36dは、コイル部35bの両側の端部からそれぞれ延出している。バランスばね8をステアリングコラム装置1に組み付けた状態で、1対のばね腕部36c、36dのうち、幅方向内側に配置された一方のばね腕部36cは、コイル部35bから離れるほど下方に向かう方向に略直線状に伸長しており、コイルばね部33aを構成する一方のばね腕部36aと略平行に配置されている。また、1対のばね腕部36c、36dのうち、幅方向外側に配置された他方のばね腕部36dは、前記線材の長さ方向他方側の端部により構成されており、コイル部35bから離れるほど後方に向かう方向に略直線状に伸長している。他方のばね腕部36dは、コイルばね部33aを構成する他方のばね腕部36bと略平行に配置されている。他方のばね腕部36dの先端部には、クランク状に屈曲したばね側係止部37bが備えられている。
【0055】
接続部34は、全体が略T字形状を有しており、バランスばね8をステアリングコラム装置1に組み付けた状態で、ステアリングコラム5の下方に配置される。具体的には、接続部34は、アウタコラム11を構成する1対の被挟持板部16a、16bの間に配置される。接続部34は、前記線材の長さ方向中間部を曲げ形成してなり、1対の接続腕部38a、38bと、押圧部39とを有している。
【0056】
1対の接続腕部38a、38bは、中心軸を幅方向に向けて互いに同軸に配置されている。1対の接続腕部38a、38bのうち、幅方向一方側(図2の右側)に配置された一方の接続腕部38aの先端部(幅方向外側の端部)は、コイルばね部33aを構成する一方のばね腕部36aの下端部に対して略直角に接続されている。すなわち、一方の接続腕部38aは、コイルばね部33aの一方のばね腕部36aの下端部から幅方向内側に向けて略直角に折れ曲がっている。これに対し、1対の接続腕部38a、38bのうち、幅方向他方側(図2の左側)に配置された他方の接続腕部38bの先端部(幅方向外側の端部)は、コイルばね部33bを構成する一方のばね腕部36cの下端部に対して略直角に接続されている。すなわち、他方の接続腕部38bは、コイルばね部33bの一方のばね腕部36cの下端部から幅方向内側に向けて略直角に折れ曲がっている。
【0057】
押圧部39は、略U字形状を有しており、1対の直線部40a、40bと、略円弧状の連結部41とからなる。1対の直線部40a、40bは、前後方向に直線状に伸長しており、幅方向に離隔して互いに平行に配置されている。1対の直線部40a、40bの後側の端部は、連結部41により互いに連結されている。1対の直線部40a、40bのうち、幅方向一方側に配置された一方の直線部40aの前側の端部は、一方の接続腕部38aの基端部(幅方向内側の端部)に対して略直角に接続されており、幅方向他方側に配置された他方の直線部40bの前側の端部は、他方の接続腕部38bの基端部(幅方向内側の端部)に対して略直角に接続されている。換言すれば、一方の直線部40aは、一方の接続腕部38aの基端部から後側に向けて略直角に折れ曲がっており、他方の直線部40bは、他方の接続腕部38bの基端部から後側に向けて略直角に折れ曲がっている。
【0058】
バランスばね8は、1対のコイルばね部33a、33bを捩り、1対のコイルばね部33a、33bで捩り方向の弾力を発生させた状態で、1対のばね側係止部37a、37bのそれぞれを、車体側ブラケット6に備えられた1対のブラケット側係止部24a、24bに係止し、かつ、押圧部39の先端部(後側の端部)を調節ロッド7の幅方向中間部の下面に対して係合(当接)させている。これにより、バランスばね8は、車体側ブラケット6と調節ロッド7との間に弾性的に支持され、調節ロッド7を介して、アウタコラム11に対し、上方に向いた弾力を付与する。なお、本発明を実施する場合に、バランスばねにより、アウタコラムに対して直接弾力を付与することもできる。
【0059】
〈制振部材〉
1対の制振部材9a、9bは、バランスばね8の共振を抑制するためのもので、バランスばね8に対して脱落不能に取り付けられている。1対の制振部材9a、9bのそれぞれは、たとえばゴムや合成樹脂などの弾性変形可能な材料から造られている。1対の制振部材9a、9bのそれぞれは、図4の(A)に示すように、自由状態で、円環状、楕円環状又は矩形環状などの環状(図示の例では円環状)に構成されている。1対の制振部材9a、9bのそれぞれは、断面円形状であり、バランスばね8の線径とほぼ同じ線径を有する。また、1対の制振部材9a、9bの自由状態での直径(内径)は、コイル部35a、35bの外径よりも大きい。本例では、1対の制振部材9a、9bを、互いに同形及び同大の同一部品としている。ただし、本発明を実施する場合には、1対の制振部材を、互いに異形部品とすることもできる。また、制振部材の断面形状を、矩形状とすることもできる。
【0060】
1対の制振部材9a、9bのうち、一方の制振部材9aは、幅方向一方側に配置された一方のコイルばね部33aに対して取り付けられており、他方の制振部材9bは、幅方向他方側に配置された他方のコイルばね部33bに対して取り付けられている。本例では、一方のコイルばね部33aに対する制振部材9aの取付構造と、他方のコイルばね部33bに対する制振部材9bの取付構造とは、幅方向に関する向きが反対になる以外、互いに同じである。このため、制振部材9a、9bの取付構造については、一方のコイルばね部33aに対する制振部材9aの取付構造についてのみ説明を行い、他方のコイルばね部33bに対する制振部材9bの取付構造についての説明は省略する。
【0061】
本例では、バランスばね8を構成する一方のコイルばね部33aに対し、制振部材9aを弾性変形させた状態で取り付けている。具体的には、一方のコイルばね部33aに対して、制振部材9aを180°捩り変形させた状態で取り付けている。制振部材9aの形状は、図4の(A)→(B)に示すように、捩り変形によって、環形状から8字形状へと変化する。捩り変形後の制振部材9aは、1対の挿通環部42a、42bと、障害部である交差部43とを備えている。
【0062】
1対の挿通環部42a、42bのそれぞれは、環状に構成されている。挿通環部42a、42bのそれぞれの内径は、バランスばね8の線径よりも大きく、かつ、コイル部35aの外径よりも小さい。このため、コイル部35aは、挿通環部42a、42bの内側を挿通不能である。
【0063】
交差部43は、環状の制振部材9aを180°捩り変形させることにより形成されたもので、1対の挿通環部42a、42bのそれぞれの近位側部分により構成されている。交差部43は、略X字形状を有しており、捩り変形後の制振部材9aの中間部に配置されている。交差部43は、制振部材9aの内側をコイル部35aが通過することに対して障害となる。制振部材9aは、図4の(A)に示すように、自由状態の環形状では、内径がコイル部35aよりも大きいため、内側をコイル部35aが通過可能であるが、図4の(B)に示すように、捩り変形した状態では、中間部にX字状の交差部43が形成されるため、該交差部43によって、コイル部35aが制振部材9aの内側を通過することが妨げられる。
【0064】
本例では、図1図2及び図5に示すように、制振部材9aを一方のコイルばね部33aに取り付けた状態で、制振部材9aの内側に、コイルばね部33aを構成する1対のばね腕部36a、36bのそれぞれを挿通している。具体的には、捩り変形後の制振部材9aに備えられた1対の挿通環部42a、42bの内側に、1対のばね腕部36a、36bを挿通している。つまり、一方の挿通環部42aの内側に、一方のばね腕部36aを上下方向に挿通し、他方の挿通環部42bの内側に、他方のばね腕部36bを前後方向に挿通している。
【0065】
そして、1対の挿通環部42a、42bの内側に1対のばね腕部36a、36bを挿通した状態で、制振部材9aのうちで1対のばね腕部36a、36bが挿通した部分の間に備えられた交差部43を、コイル部35aの径方向外側に配置している。図1に示すように、ステアリングコラム装置1を車体に取り付けた状態では、交差部43は、コイル部35aの径方向外側部分のうち、後側かつ下側に位置する部分に配置される。
【0066】
制振部材9aを一方のコイルばね部33aに取り付けた状態で、挿通環部42a、42bのそれぞれ(挿通環部42a、42bの配列方向における反対側部分)は、ばね腕部36a、36bに対して接触している。また、交差部43は、コイル部35aに径方向外側から接触している。本例では、捩り変形した制振部材9aが弾性復元しようとする力を利用して、挿通環部42a、42bのそれぞれをばね腕部36a、36bに対して弾性的に押し付けることができる。本発明を実施する場合には、交差部43を、コイル部35aに対して弾性的に押し付けることもできる。
【0067】
制振部材9aをバランスばね8(コイルばね部33a)に取り付けた状態で、交差部43は、制振部材9aがバランスばね8から前側かつ上側に向けて抜け出ることを防止する。また、一方の挿通環部42aの内側に一方のばね腕部36aを上下方向に挿通しているため、制振部材9aがバランスばね8から前後方向に抜け出ることが防止される。さらに、他方の挿通環部42bの内側に他方のばね腕部36bを前後方向に挿通しているため、制振部材9aがバランスばね8から上下方向に抜け出ることも防止される。このように本例では、制振部材9aは、バランスばね8に対して脱落不能に取り付けられている。
【0068】
バランスばね8に対する制振部材9aの取付手順は、特に問わないが、たとえば次のような手順で取り付けることができる。
先ず、バランスばね8を構成する一方のコイルばね部33aを、他方のばね腕部36bを先頭にして、自由状態で環状の制振部材9aの内側に挿通する。そして、環状の制振部材9aを、一方のばね腕部36aの周囲に配置する。別の言い方をすれば、環状の制振部材9aの内側に、一方のばね腕部36aを挿通した状態とする。
【0069】
次いで、環状の制振部材9aを捩り変形させて、1対の挿通環部42a、42bと交差部43とを形成する。この状態で、一方の挿通環部42aの内側には一方のばね腕部36aが挿通された状態となる。
【0070】
その後、他方の挿通環部42bの内側に、他方のばね腕部36bを挿通させる。これにより、1対の挿通環部42a、42bの内側に1対のばね腕部36a、36bを挿通した状態で、交差部43をコイル部35aの径方向外側に配置することができる。
【0071】
本例では、1対の制振部材9a、9bをバランスばね8に取り付けた後に、バランスばね8を、車体側ブラケット6と調節ロッド7との間に掛け渡すように取り付ける。
【0072】
本例のステアリングコラム装置1は、バランスばね8が、調節ロッド7を介して、ステアリングコラム5に上方に向いた弾力を付与しているため、ステアリングホイールの位置調節を行うべく、調節レバー27を操作し、カム装置28をアンロック状態とした場合にも、ステアリングコラム5及びステアリングホイールが自重によって下方に勢い良く落下することを防止できる。また、ステアリングホイールを上側に移動させる際に要する力の低減を図ることができる。
【0073】
また、本例のステアリングコラム装置1は、バランスばね8に1対の制振部材9a、9bを取り付けているため、バランスばね8の共振を抑制することができる。たとえば、ステアリングホールの前後位置や上下位置を調節する際に、調節ロッド7が、コラム側通孔17a、17bの前後方向端部や車体側通孔21a、21bの上下方向端部に勢い良く衝突すると、調節ロッド7に接触しているバランスばね8に共振が生じる可能性がある。ただし、本例では、バランスばね8に対して制振部材9a、9bを取り付けているため、バランスばね8に共振が発生することを抑制でき、異音の発生を抑制できる。具体的には、バランスばね8から伝わった振動により制振部材9a、9bを変形させることで、振動エネルギを熱エネルギに変換することができるため、バランスばね8の振動を抑制(制振)することができる。
【0074】
特に本例では、バランスばね8を構成するコイル部35a、35bの巻き数が少ない場合にも、バランスばね8に対して制振部材9a、9bを取り付けることができる。
すなわち、本例では、1対の制振部材9a、9bのそれぞれを、8字形状に捩り変形させた状態で、バランスばね8に取り付けている。具体的には、捩り変形後の制振部材9aに備えられた1対の挿通環部42a、42bの内側に1対のばね腕部36a、36bを挿通した状態で、制振部材9aのうちで1対のばね腕部36a、36bが挿通した部分の間に備えられた交差部43を、コイル部35aの径方向外側に配置している。そして、このような制振部材9a、9bの取り付け状態で、交差部43は、制振部材9a、9bの内側をコイル部35a、35bが通過して制振部材9a、9bがバランスばね8から抜け落ちることを防止し、かつ、挿通環部42a、42bのそれぞれも、制振部材9a、9bがバランスばね8から抜け落ちることを防止する。したがって本例では、バランスばね8を構成するコイル部35a、35bの巻き数が少ない場合にも、バランスばね8に対して制振部材9a、9bを脱落不能に取り付けることができる。
【0075】
バランスばね8に生じる振動(振幅)は、車体側ブラケット6及び調節ロッド7に対するバランスばね8の支持部(当接部)から離れた位置で大きくなる傾向がある。本例では、バランスばね8の支持部から離れた位置に設けられ、振動が大きくなりやすい、コイル部35a、35bに対して、制振部材9a、9bを積極的に当接させることができるため、異音の発生を効果的に抑制することができる。
【0076】
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図6を用いて説明する。
【0077】
本例の場合にも、制振部材9c、9dを、自由状態で環状に構成している。ただし、本例では、バランスばね8を構成する1対のコイルばね部33a、33bのそれぞれに対して、制振部材9c、9dを360°捩り変形させた状態で取り付けている。制振部材9c、9dは、捩り変形によって、環形状から略8字形状へと変化する。捩り変形後の制振部材9c、9dは、1対の挿通環部42c、42dと、障害部である交差部43aとを備えている。
【0078】
交差部43aは、制振部材9c、9dのそれぞれを、360°捩り変形させることにより形成されており、略X字状の単なる交差部ではなく、中央部に捩れ部を有する、捩れ交差部となっている。
【0079】
以上のような本例では、制振部材9c、9dのそれぞれを、360°捩り変形させた状態でバランスばね8に取り付けているため、捩り変形した制振部材9c、9dが弾性復元しようとする力を、実施の形態の第1例の構造よりも大きくできる。このため、挿通環部42c、42dのそれぞれをばね腕部36a~36dに対して弾性的に押し付ける力を大きくできる。したがって、制振部材9c、9dによるバランスばね8に対する制振効果を高くできる。また、実施の形態の第1例の構造に比べて、挿通環部42c、42dの内径を小さくできるため、コイル部35a、35bが挿通環部42c、42dの内側を通過することをより有効に防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0080】
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、図7を用いて説明する。
【0081】
本例の場合にも、制振部材9e、9fを、自由状態で環状に構成している。本例では、バランスばね8を構成する1対のコイルばね部33a、33bのそれぞれに対して、制振部材9e、9fの中間部45を、コイル部35a、35bの径方向内側に挿通させた状態で取り付けている。なお、本例の場合にも、一方のコイルばね部33aに対する制振部材9eの取付構造と、他方のコイルばね部33bに対する制振部材9fの取付構造とは、幅方向に関する向きが反対になる以外、互いに同じである。このため、制振部材9e、9fの取付構造については、一方のコイルばね部33aに対する制振部材9eの取付構造についてのみ説明を行い、他方のコイルばね部33bに対する制振部材9fの取付構造についての説明は省略する。
【0082】
本例では、制振部材9eを一方のコイルばね部33aに取り付けた状態で、環状の制振部材9eの直径方向反対側部分の内側に、コイルばね部33aを構成する1対のばね腕部36a、36bのそれぞれを挿通している。そして、この状態で、制振部材9eのうちで1対のばね腕部36a、36bが挿通した部分の間に存在する1対の線状部44a、44bからなる中間部45を、コイル部35aの径方向内側に挿通配置している。なお、中間部45を構成する1対の線状部44a、44bは、制振部材を捩れ変形させることで互いに交差させても良いし、交差させなくても良い。
【0083】
バランスばね8に対する制振部材9eの取付手順は、特に問わないが、たとえば次のような手順で取り付けることができる。
先ず、バランスばね8を構成する一方のコイルばね部33aを、他方のばね腕部36bを先頭にして、自由状態で環状の制振部材9eの内側に挿通する。そして、環状の制振部材9eを、一方のばね腕部36aの周囲に配置する。別の言い方をすれば、環状の制振部材9eの内側に、一方のばね腕部36aを挿通した状態とする。
【0084】
次いで、制振部材9eのうちで、内側に一方のばね腕部36aを挿通した部分の直径方向反対側に位置する部分を含む部分を、一方のコイルばね部33aを構成するコイル部35aの径方向内側を幅方向内側から外側へと挿通させる。
【0085】
その後、制振部材9eのうちで、コイル部35aの径方向内側を挿通した部分の内側に、他方のばね腕部36bを挿通させる。これにより、制振部材9eの内側に1対のばね腕部36a、36bを挿通した状態で、制振部材9eの中間部45がコイル部35aの径方向内側に挿通配置される。
【0086】
以上のような本例では、制振部材9e、9fをバランスばね8に取り付けた状態で、制振部材9e、9fのうちの中間部45を、コイル部35a、35bの径方向内側に挿通配置しているため、制振部材9e、9fがバランスばね8から脱落することを防止できる。
【0087】
本例では、制振部材9e、9fが、1対の線状部44a、44bが互いに離れる方向に弾性的に復元しようとする力を利用して、1対の線状部44a、44bをコイル部35a、35bの径方向内側に弾性的に押し付けるとともに、制振部材9e、9fのうち、1対の線状部44a、44b同士を接続する部分を、ばね腕部36a~36dに弾性的に押し付けている。これにより、バランスばね8の共振の発生を抑制している。
【0088】
また、制振部材9e、9fのうちの中間部45を、コイル部35a、35bの径方向内側に配置しているため、コイル部35a、35bからの制振部材9e、9fの張り出し量を小さく抑えることができる。このため、ステアリングコラム装置1の省スペース化を図れる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0089】
[実施の形態の第4例]
実施の形態の第4例について、図8を用いて説明する。
【0090】
本例の場合には、1つの制振部材9gを、バランスばね8に対して取り付けている。具体的には、1対の制振部材9gを、バランスばね8を構成する1対のコイルばね部33a、33bの両方に対して取り付けている。本例の制振部材9gは、自由状態で環状に構成されているが、実施の形態の第1例~第3例の制振部材9a~9fに比べて直径が大きい(周長が長い)。
【0091】
本例では、制振部材9gをバランスばね8に取り付けた状態で、制振部材9gの内側に、一方のコイルばね部33aを構成する他方のばね腕部36b及び他方のコイルばね部33bを構成する他方のばね腕部36dのそれぞれを挿通している。そして、この状態で、制振部材9gのうちのうちで1対の他方のばね腕部36b、36dが挿通した部分の間に存在する中間部45aの幅方向両側の端部を、コイル部35a、35bの径方向内側にそれぞれ挿通配置している。
【0092】
バランスばね8に対する制振部材9gの取付手順は、特に問わないが、たとえば次のような手順で取り付けることができる。
先ず、バランスばね8を構成する一方のコイルばね部33aの他方のばね腕部36bを、制振部材9gの内側に挿通する。
【0093】
次いで、制振部材9gのうちで、内側に他方のばね腕部36bを挿通した部分の直径方向反対側に位置する部分を含む部分を、一方のコイルばね部33aを構成するコイル部35aの径方向内側を幅方向外側から内側に向けて挿通させ、接続部34を構成する押圧部39の基端部に掛け渡した後、他方のコイルばね部33bを構成するコイル部35bの径方向内側を幅方向外側から内側に向けて挿通させる。
【0094】
その後、制振部材9gのうちで、他方のコイルばね部33bを構成するコイル部35bの径方向内側を挿通した部分の内側に、他方のコイルばね部33bを構成する他方のばね腕部36dを挿通させる。これにより、制振部材9gの内側に1対の他方のばね腕部36b、36dを挿通した状態で、制振部材9gの中間部45aをコイル部35a、35bの径方向内側に挿通配置することができる。
【0095】
以上のような本例では、制振部材9gをバランスばね8に取り付けた状態で、制振部材9gのうちの中間部45aを、コイル部35a、35bの径方向内側に挿通配置しているため、制振部材9gがバランスばね8から脱落することを防止できる。
【0096】
本例では、制振部材9gの中間部45aのうち、コイル部35a、35bの径方向内側に挿通配置した部分が、弾性的に復元しようとする力を利用して、中間部45aをコイル部35a、35bの径方向内側に弾性的に押し付けるとともに、制振部材9gの直径方向(幅方向)両側部分を、一方のコイルばね部33aの他方のばね腕部36bと、他方のコイルばね部33bを構成する他方のばね腕部36dとに弾性的に押し付けている。これにより、バランスばね8の共振の発生を抑制している。
【0097】
また、制振部材9gのうちの中間部45aを、コイル部35a、35bの径方向内側に配置しているため、コイル部35a、35bからの制振部材9gの張り出し量を小さく抑えることができる。このため、ステアリングコラム装置1の省スペース化を図れる。また、本例では、1対の制振部材9gを、バランスばね8を構成する1対のコイルばね部33a、33bの両方に対して取り付けているため、部品点数の低減を図れるとともに、制振部材9gの取付作業工数の低減を図れる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0098】
[実施の形態の第5例]
実施の形態の第5例について、図9を用いて説明する。
【0099】
本例は、実施の形態の第4例の変形例である。本例では、制振部材9gをバランスばね8に取り付けた状態で、制振部材9gを構成する中間部45aの幅方向中間部を、バランスばね8の接続部34を構成する押圧部39の基端部の周囲に巻き掛けている。
【0100】
以上のような本例では、制振部材9gのうちの中間部45aを、接続部34を構成する押圧部39の基端部の周囲に巻き掛けているため、制振部材9gがバランスばね8から脱落することを有効に防止できる。また、制振部材9gをバランスばね8に対して強く接触させることができるため、制振部材9gによる制振効果を高めることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第4例と同じである。
【0101】
[参考例]
本発明に関する参考例について、図10及び図11を用いて説明する。
【0102】
本参考例では、バランスばね8を構成する1対のコイルばね部33a、33bのそれぞれのコイル部35a、35bに、制振部材46a、46bを取り付けている。
【0103】
制振部材46a、46bのそれぞれは、弾性変形可能で、図11に示すように、自由状態で略Ω形状を有している。制振部材46a、46bのそれぞれは、略C字形状の本体部47と、本体部47からそれぞれ延出した1対の延出腕部48a、48bとを有している。延出腕部48a、48bのそれぞれの先端部には、球状係止部49a、49bが備えられている。
【0104】
本例では、制振部材46a、46bのそれぞれを構成する本体部47の内側に、コイル部35a、35bの円周方向の一部分を挿通配置した状態で、1対の延出腕部48a、48bをひねるように捩り変形させて、それぞれの先端部に備えられた球状係止部49a、49bを互いに係合させる。これにより、制振部材46a、46bのそれぞれを、コイル部35a、35bに取り付けている。
【0105】
以上のような本例の場合にも、実施の形態の各例の場合と同様に、バランスばね8を構成するコイル部35a、35bの巻き数が少ない場合にも、バランスばね8に対して制振部材46a、46bを取り付けることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0106】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、実施の形態の各例の構造及び参考例の構造は、矛盾を生じない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
【0107】
本発明を実施する場合に、バランスばねの形状については、実施の形態の各例で示した構造に限定されず、ステアリングコラムに上方を向いた適切な大きさの弾力を付与することができる限りにおいて、適宜変更することができる。たとえば、特開2008-265647号公報に記載された従来構造のように、車体側ブラケットの幅方向片側にのみ配置されるバランスばねに対して、本発明を適用することもできる。また、バランスばねに取り付ける制振部材の形状についても、適宜変更することができる。また、バランスばねに対する制振部材の取付態様についても、実施の形態の各例で示した構造に限定されず、制振部材の一部をコイル部に巻き掛けるなど、適宜変更することができる。さらに、本発明は、バランスばね以外に、ステアリングホイールの位置調整を行うための調節レバー(いわゆるチルトレバー)に取り付けるばねに応用することもできる。
【符号の説明】
【0108】
1 ステアリングコラム装置
2 ステアリングシャフト
3 ロアシャフト
4 アッパシャフト
5 ステアリングコラム
6 車体側ブラケット
7 調節ロッド
8 バランスばね
9a~9g 制振部材
10 インナコラム
11 アウタコラム
12 ロアブラケット
13 チルト軸
14 スリット
15 コラム側ブラケット
16a、16b 被挟持板部
17a、17b コラム側通孔
18a、18b 支持板部
19 天板部
20a、20b 前板部
21a、21b 車体側通孔
22 切り欠き
23 カプセル
24a、24b ブラケット側係止部
25 アンカ部
26 雄ねじ部
27 調節レバー
28 カム装置
29 ナット
30 スラスト軸受
31 可動側カム
32 固定側カム
33a、33b コイルばね部
34 接続部
35a、35b コイル部
36a~36d ばね腕部
37a、37a ばね側係止部
38a、38b 接続腕部
39 押圧部
40a、40b 直線部
41 連結部
42a~42d 挿通環部
43、43a 交差部
44a、44b 線状部
45、45a 中間部
46a、46b 制振部材
47 本体部
48a、48b 延出腕部
49a、49b 球状係止部
100 ステアリングシャフト
101 ステアリングコラム
102 ステアリングホイール
103 ロアシャフト
104 アッパシャフト
105 ロアコラム
106 アッパコラム
107 被挟持板部
108 コラム側ブラケット
109 車体側ブラケット
110 支持板部
111 コラム側通孔
112 車体側通孔
113 調節ロッド
114 アンカ部
115 抜け止め部材
116 カム装置
117 調節レバー
118 可動側カム
119 固定側カム
120 バランスばね
121 コイル部
122a、122b ばね腕部
123 制振部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13