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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-27
(45)【発行日】2025-09-04
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20250828BHJP
【FI】
A47G9/10 P
A47G9/10 S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2025511935
(86)(22)【出願日】2024-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2024046291
【審査請求日】2025-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523414803
【氏名又は名称】株式会社サバキュー
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】田代 剛大
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-066622(JP,U)
【文献】登録実用新案第3243770(JP,U)
【文献】実開平06-024576(JP,U)
【文献】特開2000-316690(JP,A)
【文献】特開2001-161738(JP,A)
【文献】特開2020-024079(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0040517(KR,A)
【文献】実開平05-021932(JP,U)
【文献】登録実用新案第3245246(JP,U)
【文献】登録実用新案第3160804(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体によって構成される芯材である枕本体と、
液体が収容される容器と、
前記容器に接続される第一上流端と、前記容器に接続される第一下流端とを含む管であって、前記第一上流端から前記枕本体の中を通って前記第一下流端まで途切れることなく延びる第一管と、
前記容器から前記第一管を介して前記液体を循環させる第一ポンプと
を備えたことを特徴とする枕。
【請求項2】
ユーザによる使用時に前記ユーザの第一部分に当たる第一本体部と、前記ユーザによる使用時に前記ユーザのうち前記第一部分とは異なる第二部分に当たる第二本体部とを含む枕本体と、
液体が収容される容器と、
前記容器に接続される第一上流端と、前記容器に接続される第一下流端とを含む管であって、前記第一上流端から前記第一本体の中を通って前記第一下流端まで延びる第一管と、
前記容器から前記第一管を介して前記液体を循環させる第一ポンプと
前記容器に接続される第二上流端と、前記容器に接続される第二下流端とを含む管であって、前記第二上流端から前記第二本体部の中を通って前記第二下流端まで延びる第二管と、
前記容器から前記第二管を介して前記液体を循環させる第二ポンプと
を備えたことを特徴とする枕。
【請求項3】
前記第一管の外径は、前記枕本体の最大厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の枕。
【請求項4】
前記枕本体の表面には、溝が設けられ、
前記第一管は、前記溝に沿って配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の枕。
【請求項5】
前記枕本体を覆うカバーを備えたことを特徴とする請求項に記載の枕。
【請求項6】
前記第一ポンプの動作と前記第二ポンプの動作とを互いに独立して制御するコントローラを備えたことを特徴とする請求項に記載の枕。
【請求項7】
前記容器内の前記液体を冷やすクーラーを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の枕。
【請求項8】
前記容器内の前記液体を温めるヒーターを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の頭部冷却装置は装置本体と2つの連結体と枕本体とを備える。2つの連結体のそれぞれの上流端は、装置本体に接続する。2つの連結体のそれぞれの下流端は、枕本体に接続する。頭部冷却装置は、装置本体と枕本体との間で、二つの連結体を介して液体を循環させる。すなわち、頭部冷却装置は装置本体から一つの連結体を介して枕本体に液体を送り、枕本体から他の連結体を介して装置本体に液体を戻す。これにより、頭部冷却装置は、枕本体の温度がユーザの体温に近づかないように液体の温度を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-129224号公報
【発明の概要】
【0004】
上記頭部冷却装置では、液体が枕本体の中を直接流れる。このため、液体の循環によって枕本体の厚みが変化したり、枕本体の硬さが枕本体内の液体の量に依存したりする可能性がある。よって、ユーザによる枕本体の使用感が悪くなる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、ユーザによる枕本体の使用感が悪くなることを抑制しつつ、枕本体の温度がユーザの体温に近づかないように液体の温度を維持することに貢献する枕を提供することである。
【0006】
第一態様に係る枕は、弾性体によって構成される芯材である枕本体と、液体が収容される容器と、前記容器に接続される第一上流端と、前記容器に接続される第一下流端とを含む管であって、前記第一上流端から前記枕本体の中を通って前記第一下流端まで途切れることなく延びる第一管と、前記容器から前記第一管を介して前記液体を循環させる第一ポンプとを備えたことを特徴とする。
【0007】
上記態様によれば、第一管が枕本体の中を通るので、枕は、第一管を介して容器内の液体を循環させることで、枕本体の温度がユーザの体温に近づかないように液体の温度を維持しやすい。さらに、第一管が枕本体の中を通るので、液体の循環によって枕本体の厚みが変化したり、枕本体の硬さが枕本体内の液体の量に依存したりすることが抑制される。よって、枕は、ユーザによる枕本体の使用感が悪くなることを抑制しつつ、枕本体の温度がユーザの体温に近づかないように液体の温度を維持することに貢献する。
【0008】
第二態様に係る枕は、ユーザによる使用時に前記ユーザの第一部分に当たる第一本体部と、前記ユーザによる使用時に前記ユーザのうち前記第一部分とは異なる第二部分に当たる第二本体部とを含む枕本体と、液体が収容される容器と、前記容器に接続される第一上流端と、前記容器に接続される第一下流端とを含む管であって、前記第一上流端から前記第一本体部の中を通って前記第一下流端まで延びる第一管と、前記容器から前記第一管を介して前記液体を循環させる第一ポンプと、前記容器に接続される第二上流端と、前記容器に接続される第二下流端とを含む管であって、前記第二上流端から前記第二本体部の中を通って前記第二下流端まで延びる第二管と、前記容器から前記第二管を介して前記液体を循環させる第二ポンプとを備えたことを特徴とする
第二態様によれば、第一本体部と第二本体部とを別々の管が通る。よって、枕は、第一本体部と第二本体部とを一つの管が通る場合よりも、枕本体の温度がユーザの体温に近づかないように液体の温度を維持することに貢献する
上記第一態様または第二態様において、前記第一管の外径は、前記枕本体の最大厚みよりも小さくてもよい。この場合、枕は、ユーザによる枕本体の使用感が悪くなることをさらに抑制することに貢献する。
【0009】
上記第一態様または第二態様において、前記枕本体の表面には、溝が設けられ、前記第一管は、前記溝に沿って配置されてもよい。この場合、枕は、第一管を枕本体に容易に取り付けることに貢献する。
【0010】
上記第一態様または第二態様において、前記枕は、前記枕本体を覆うカバーを備えてもよい。この場合、カバーは第一管が溝から外れることを抑制することに貢献する。
【0011】
【0012】
上記第二態様において、前記枕は、前記第一ポンプの動作と前記第二ポンプの動作とを互いに独立して制御するコントローラを備えてもよい。この場合、コントローラは、第一本体部の温度を制御するか、第二本体部の温度を制御するか、第一本体部の温度と第二本体部の温度との両方を制御するかを、選択的に決定することに貢献する。
【0013】
上記第一態様または第二態様において、前記枕は、前記容器内の前記液体を冷やすクーラーを備えてもよい。この場合、クーラーは、ユーザによる使用時にユーザを冷やすことに貢献する。
【0014】
上記第一態様または第二態様において、前記枕は、前記容器内の前記液体を温めるヒーターを備えてもよい。この場合、ヒーターは、ユーザによる使用時にユーザを温めることに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】枕1の斜視図である。
図2】枕本体10の斜視図である。
図3】左右方向に直交する平面で枕本体10を切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照し、一実施形態の枕1を説明する。以下では、図1の左下方、右上方、左上方、右下方、上方、および下方を、それぞれ、枕1の右方、左方、後方、前方、上方、および下方とする。
【0017】
なお、以下説明する実施形態において、枕本体10が上記態様の「枕本体」の一例である。液体Lが上記態様の「液体」の一例である。容器30が上記態様の「容器」の一例である。管40、50の一方が上記態様の「第一管」の一例である。ポンプ60、70の一方が上記態様の「第一ポンプ」の一例である。
【0018】
溝117、127が上記態様の「溝」の一例である。カバー9が上記態様の「カバー」の一例である。ユーザ2の首3および頭5の一方が上記態様の「第一部分」の一例である。首部11および頭部12の一方が上記態様の「第一本体部」の一例である。ユーザ2の首3および頭5の他方が上記態様の「第二部分」の一例である。首部11および頭部12の他方が上記態様の「第二本体部」の一例である。管40、50の他方が上記態様の「第二管」の一例である。ポンプ60、70の他方が上記態様の「第二ポンプ」の一例である。コントローラ100が上記態様の「コントローラ」の一例である。クーラー80が上記態様の「クーラー」の一例である。ヒーター90が上記態様の「ヒーター」の一例である。
【0019】
図1に示すように、枕1は、枕本体10と、カバー9と、容器30と、管40と、ポンプ60と、管50と、ポンプ70と、クーラー80と、ヒーター90と、コントローラ100とを備える。なお、図1では、カバー9で隠れる枕本体10を破線で示す。
【0020】
図2に示すように、枕本体10は枕1の芯材であり、首部11と頭部12とを含む。首部11は枕本体10の前部に配置される。頭部12は枕本体10の後部に配置される。すなわち、頭部12は首部11の後方に並ぶ。
【0021】
図3に示すように、首部11は、枕本体10のうちユーザ2による使用時にユーザ2の首3に当たる部分である。首部11には、ユーザ2による使用時に、ユーザ2の首3が載置される。首部11は、下方からユーザ2の首3を支え、後方からユーザ2の肩4を支える。
【0022】
頭部12は、枕本体10のうちユーザ2による使用時にユーザ2の頭5に当たる部分である。頭部12には、ユーザ2による使用時に、ユーザ2の頭5が載置される。頭部12は、下方からユーザ2の頭5を支える。
【0023】
なお、本実施形態において、ユーザ2がカバー9を介して枕本体10に間接的に当たることも「ユーザ2が枕本体10に当たる」と表現する。
【0024】
図1および図3に示すように、カバー9は、枕本体10を覆う。本実施形態では、カバー9は、カバー112とカバー122とを含む。カバー112は、袋状を有し、首部11を覆う。カバー122は、袋状を有し、頭部12を覆う。カバー112、122は、それぞれ、左右方向に開口していてもよい。カバー112、122のそれぞれの左端および右端は、閉じていてもよい。なお、カバー112、122のそれぞれの左端および右端が閉じている場合、後述の管40、50が通るため孔がカバー112、122に設けられるとよい。
【0025】
カバー112、122は、それぞれ、伸縮性を有し、本実施形態では布によって構成される。このため、カバー112が首部11を覆った状態で、カバー112は、首部11の外形に沿った形状を有する。カバー122が頭部12を覆った状態で、カバー122は、頭部12の外形に沿った形状を有する。なお、ユーザ2は、枕カバーをカバー9の上から枕本体10に装着してもよい。
【0026】
図1に示すように、容器30は枕本体10の外に配置される。容器30は、例えばパウチたまはタンクである。容器30には、接続口31、32、33、34が設けられる。接続口31、32、33、34は、それぞれ、開口であり、互いに異なる位置に設けられる。容器30には液体Lが収容される。液体Lは特定の種類に限定されないが、本実施形態では、水である。
【0027】
管40は、可撓性チューブであり、液体Lの流路を構成する。管40は、上流端40Aと下流端40Bとを含む。上流端40Aは、容器30において、接続口31に接続される。下流端40Bは、容器30において、接続口32に接続される。管40は、上流端40Aから枕本体10の中を通って下流端40Bまで延びる。本実施形態では、管40は、枕本体10のうち首部11の中を通る。
【0028】
ポンプ60は管40に設けられる。ポンプ60はポンプモータを含む。ポンプ60のポンプモータが駆動した場合、ポンプ60は液体Lを容器30内から上流端40Aを介して吸引する。このため、ポンプ60のポンプモータが駆動した場合、容器30内の液体Lは、上流端40Aから管40内に流れる。管40内を流れた液体Lは、下流端40Bから容器30内に戻る。このように、ポンプ60は、容器30から管40を介して液体Lを循環させる。
【0029】
管50は、可撓性チューブであり、液体Lの流路を構成する。管50は、上流端50Aと下流端40Bとを含む。上流端50Aは、容器30において、接続口33に接続される。下流端50Bは、容器30において、接続口34に接続される。管50は、上流端50Aから枕本体10の中を通って下流端50Bまで延びる。本実施形態では、管50は、枕本体10のうち頭部12の中を通る。
【0030】
ポンプ70は管50に設けられる。ポンプ70はポンプモータを含む。ポンプ70のポンプモータが駆動した場合、ポンプ70は液体Lを容器30内から上流端50Aを介して吸引する。このため、ポンプ70のポンプモータが駆動した場合、容器30内の液体Lは、上流端50Aから管50内に流れる。管50内を流れた液体Lは、下流端50Bから容器30内に戻る。このように、ポンプ70は、容器30から管50を介して液体Lを循環させる。
【0031】
クーラー80は容器30に設けられる。本実施形態では、クーラー80はペルチェ素子を含む。クーラー80のペルチェ素子に通電された場合、クーラー80は吸熱し、容器30内の液体Lを冷やす。
【0032】
ヒーター90は容器30に設けられる。ヒーター90は、クーラー80とは異なる位置に配置される。本実施形態では、ヒーター90は電気抵抗器を含む。ヒーター90の電気抵抗器に通電された場合、ヒーター90は発熱し、容器30内の液体Lを温める。
【0033】
コントローラ100はCPU101、メモリ102、ユーザインターフェース(ユーザIF)103、および入出力インターフェース(入出力IF)109を備える。CPU101は、プロセッサとして機能し、枕1を制御する。
【0034】
メモリ102は、CPU101に電気的に接続される。メモリ102は、記憶媒体の一種である。メモリ102にはプログラムが記憶される。プログラムはコンピュータ可読命令である。プログラムはCPU101によって実行される。CPU101によってプログラムが実行された場合、プログラムはCPU101に各種処理を行うことを指示する。
【0035】
ユーザIF103は例えば一または複数の操作ボタンである。例えば、ユーザ2はユーザIF103を操作し、ポンプ60のオンオフの切り替え、ポンプ70のオンオフの切り替え、クーラー80のオンオフの切り替え、クーラー80の温度設定、ヒーター90のオンオフの切り替え、およびヒーター90の温度設定を行う。
【0036】
ポンプ60、70、クーラー80、ヒーター90、およびユーザIF103は、入出力IF109を介してCPU101に電気的に接続される。CPU101は、ユーザ2によるユーザIF103の操作を受け、ポンプ60への通電制御、ポンプ70への通電制御、クーラー80への通電制御、およびヒーター90への通電制御を行う。
【0037】
コントローラ100は、ポンプ60の動作とポンプ70の動作とを互いに独立して制御する。すなわち、コントローラ100は、ポンプ60、70の両方がオフの状態、ポンプ60、70の両方がオンの状態、ポンプ60がオンでポンプ70がオフの状態、およびポンプ60がオフでポンプ70がオンの状態の4つの状態を互いに切り替えることができる。
【0038】
なお、本実施形態において、ポンプ60がオンの状態は、ポンプ60のポンプモータに通電され、ポンプ60が駆動している状態を意味する。ポンプ60がオフの状態は、ポンプ60のポンプモータに通電されておらず、ポンプ60が駆動していない状態を意味する。ポンプ70がオンの状態は、ポンプ70のポンプモータに通電され、ポンプ70が駆動している状態を意味する。ポンプ70がオフの状態は、ポンプ70のポンプモータに通電されておらず、ポンプ70が駆動していない状態を意味する。
【0039】
また、コントローラ100は、クーラー80およびヒーター90の両方がオフの状態、クーラー80がオンでヒーター90がオフの状態、およびクーラー80がオフでヒーター90がオンの状態の3つの状態を互いに切り替えることができる。
【0040】
なお、本実施形態において、クーラー80がオンの状態は、クーラー80のペルチェ素子に通電され、クーラー80が駆動している状態を意味する。クーラー80がオフの状態は、クーラー80のペルチェ素子に通電されておらず、クーラー80が駆動していない状態を意味する。ヒーター90がオンの状態は、ヒーター90の電気抵抗器に通電され、ヒーター90が駆動している状態を意味する。ヒーター90がオフの状態は、ヒーター90の電気抵抗器に通電されておらず、ヒーター90が駆動していない状態を意味する。
【0041】
図2および図3を参照し、枕本体10の詳細構造を説明する。図2に示すように、枕本体10は、弾性体であり、ブロック状を有する。本実施形態において、弾性体は、外力によって変形しても、その外力が取り除かれた場合に、元の形状に戻ろうとする性質を有する物体をいう。
【0042】
枕本体10の材質は特定の材質に限定されないが、本実施形態では、枕本体10はウレタンフォームによって構成される。例えば、枕本体10は、ラテックスフォームなどによって構成されてもよい。
【0043】
頭部12の左右方向の長さL2は、首部11の左右方向の長さL1よりも短い。図3に示すように、頭部12の前後方向の長さL4は、首部11の前後方向の長さL3よりも短い。頭部12の上下方向の長さL6は、首部11の上下方向の長さL5よりも長い部分もあれば、首部11の上下方向の長さL5よりも短い部分もある。
【0044】
本実施形態では、首部11と頭部12とは、互いに分離した別部材で構成される。つまり、枕本体10は、複数のブロック(首部11および頭部12)によって構成される。カバー112で覆われた首部11と、カバー122で覆われた頭部12とは、接続部材13を介して、互いに分離可能に接続される。接続部材13は、例えば点ファスナー、線ファスナー、または面ファスナーである。
【0045】
左右方向に直交する平面で首部11を切った断面は、上方に膨らむ略半円状を有する。左右方向に直交する平面で頭部12を切った断面は、上方に膨らむ略半円状を有する。
【0046】
図2および図3に示すように、首部11は左側面113と右側面114と載置面115と外周面116とを含む。左側面113と右側面114と載置面115と外周面116とは、それぞれ、首部11の表面を構成する。
【0047】
左側面113は左方を向く。右側面114は左側面113から右方に離れ、右方を向く。載置面115は左側面113の下端から右側面114の下端まで延び、下方を向く。外周面116は、左側面113の周縁のうち下端以外の部分から右側面114の周縁のうち下端以外の部分まで延びる。外周面116は、載置面115の前端から載置面115の後端まで、上方に膨らむ円弧状に延びる。
【0048】
外周面116には、溝117が設けられる。溝117は、外周面116から凹む。溝117は、例えば切れ込みまたはくり抜きである。
【0049】
図2に示すように、溝117は、外周面116の左端116Lから右方に、外周面116の左右方向の中心よりも右方まで延びる。その後、溝117は、外周面116の右端116Rよりも左方の位置で左方に折り返す。溝117は、外周面116の中心を左右方向にまたいでジグザグ状に延びる。その後、溝117は、再度、外周面116の左端116Lまで延びる。つまり、溝117は、外周面116の左端116Lおよび右端116Rの一方の端から他方の端に向かって延びた後、再度、一方の端まで延びる。
【0050】
図3に示すように、溝117の深さは、管40の外径R1よりも大きく、管40の外径R1の2倍よりも小さい。溝117の深さは、特定の深さに限られない。例えば、溝117の深さは、外径R1よりも小さくてもよいし、外径R1の2倍よりも大きくてもよい。外径R1は、首部11の最大厚みよりも小さく、本実施形態では、首部11の最小厚みよりも小さい。なお、首部11の厚みは、首部11の上下方向の長さL5を意味する。
【0051】
溝117には、溝117に沿って管40が配置される。管40は、接着剤または両面粘着テープなどで溝117に固定されてもよい。管40は、溝117から取り外し可能に溝117に装着されてもよい。このように、溝117内に管40が配置されることで、管40は首部11の中を通る。
【0052】
本実施形態において、「管が物体の中を通る」とは、管が延びる方向と直交する平面で物体を切った場合に、管の一部または全部が物体の外周面よりも内側に配置されることをいう。「物体の外周面よりも内側」とは、物体の外周面から物体の内部に向かう方向をいう。例えば、物体の外周面から物体の内部に向かう方向は、物体の外周面から物体の中心に向かう方向である。
【0053】
本実施形態において、物体の外周面は、仮想的な外周面を含む。「仮想的な外周面」とは、物体に例えば溝がある場合に、物体の外周面を、溝の開口に沿って延長した仮想的な面をいう。つまり、仮想的な外周面は、溝の開口領域に配置される仮想的な面である。
【0054】
例えば、外周面116は、首部11の仮想的な外周面116Vを含む。図3では、仮想的な外周面116Vを一点鎖線で示す。なお、後述する仮想的な外周面126Vも同様に一点鎖線で示される。仮想的な外周面116Vは、溝117の開口に沿って延びる。溝117に管40が配置された状態で、管40は仮想的な外周面116Vから露出する。つまり、溝117が開口する方向から管40を見た場合、管40は、外周面116Vを介して視認される。管40は、仮想的な外周面116Vから外に突出しない。
【0055】
図2および図3に示すように、頭部12は左側面123と右側面124と載置面125と外周面126とを含む。左側面123と右側面124と載置面125と外周面126とは、それぞれ、頭部12の表面を構成する。
【0056】
左側面123は左方を向く。右側面124は左側面123から右方に離れ、右方を向く。載置面125は左側面123の下端から右側面124の下端まで延び、下方を向く。外周面126は、左側面123の周縁のうち下端以外の部分から右側面124の周縁のうち下端以外の部分まで延びる。外周面126は、載置面125の前端から載置面125の後端まで、上方に膨らむ円弧状に延びる。
【0057】
外周面126には、溝127が設けられる。溝127は、外周面126から凹む。溝127は、例えば切れ込みまたはくり抜きである。
【0058】
図2に示すように、溝127は、外周面126の左端126Lから右方に、外周面126の左右方向の中心よりも右方まで延びる。その後、溝127は、外周面126の右端126Rよりも左方の位置で左方に折り返し、再度、外周面126の左端126Lまで延びる。つまり、溝127は、外周面126の左端126Lおよび右端126Rの一方の端から他方の端に向かって延びた後、再度、一方の端まで延びる。
【0059】
図3に示すように、溝127の深さは、管50の外径R2よりも大きく、管50の外径R2の2倍よりも小さい。溝127の深さは、特定の深さに限られない。例えば、溝127の深さは、外径R2よりも小さくてもよいし、外径R2の2倍よりも大きくてもよい。外径R2は、頭部12の最大厚みよりも小さく、本実施形態では、頭部12の最小厚みよりも小さい。なお、頭部12の厚みは、頭部12の上下方向の長さL6を意味する。
【0060】
溝127には、溝127に沿って管50が配置される。管50は、接着剤または両面粘着テープなどで溝127に固定されてもよい。管50は、溝127から取り外し可能に溝127に装着されてもよい。このように、溝127内に管50が配置されることで、管50は頭部12の中を通る。
【0061】
本実施形態において、外周面126は、頭部12の仮想的な外周面126Vを含む。仮想的な外周面126Vは、溝127の開口に沿って延びる。溝127に管50が配置された状態で、管50の上端は仮想的な外周面126Vから露出する。つまり、溝127が開口する方向から管50を見た場合、管50は、外周面116Vを介して視認される。管50は、仮想的な外周面126Vから外に突出しない。
【0062】
枕1の使用時の動作を説明する。例えば、クーラー80およびポンプ60、70がオンにされた場合を説明する。この場合、クーラー80によって冷やされた液体Lが容器30から管40を介して循環する。このため、管40内の液体Lが首部11を介して、ユーザ2の首3および肩4を冷やす。さらに、クーラー80によって冷やされた液体Lが容器30から管50を介して循環する。このため、管50内の液体Lが頭部12を介して、ユーザ2の頭5を冷やす。
【0063】
例えば、ヒーター90およびポンプ60、70がオンにされた場合を説明する。この場合、ヒーター90によって温められた液体Lが容器30から管40を介して循環する。このため、管40内の液体Lが首部11を介して、ユーザ2の首3および肩4を温める。さらに、ヒーター90によって温められた液体Lが容器30から管50を介して循環する。このため、管50内の液体Lが頭部12を介して、ユーザ2の頭5を温める。
【0064】
なお、クーラー80またはヒーター90がオンの状態で、ポンプ60、70の一方がオンにされ、ポンプ60、70の他方がオフにされてもよい。また、クーラー80およびヒーター90の両方がオフの状態で、ポンプ60、70の一方または両方がオンにされてもよい。この場合、常温の液体Lが管40、50の一方または両方を介して循環する。
【0065】
上記実施形態の主な作用効果を説明する。上記実施形態では、管40、50が枕本体10の中を通るので、枕1は、管40、50を介して容器30内の液体Lを循環させることで、枕本体10の温度がユーザ2の体温に近づかないように液体Lの温度を維持しやすい。さらに、管40、50が枕本体10の中を通るので、液体Lの循環によって枕本体10の厚みが変化したり、枕本体10の硬さが枕本体10内の液体Lの量に依存したりすることが抑制される。よって、枕1は、ユーザ2による枕本体10の使用感が悪くなることを抑制しつつ、枕本体10の温度がユーザ2の体温に近づかないように液体Lの温度を維持することに貢献する。
【0066】
仮に管40の外径R1が枕本体10の最大厚みよりも大きいと、ユーザ2による使用時に、管40がユーザ2の首3または肩4に当たる可能性がある。仮に管50の外径R2が枕本体10の最大厚みよりも大きいと、ユーザ2による使用時に、管50がユーザ2の頭5に当たる可能性がある。上記実施形態では、管40の外径R1は、枕本体10の最大厚みよりも小さい。さらに、管50の外径R2は、枕本体10の最大厚みよりも小さい。これによれば、管40、50がユーザ2に当たることが抑制される。このため、枕1は、ユーザ2による枕本体10の使用感が悪くなることをさらに抑制することに貢献する。
【0067】
上記実施形態では、管40が、溝117に沿って配置され、管50が、溝127に沿って配置される。このため、枕1は、管40、50を枕本体10に容易に取り付けることに貢献する。
【0068】
さらに、例えば、ユーザ2は枕本体10を保守することが考えられる。枕本体10の保守とは、枕本体10のクリーニングまたは乾燥などである。あるいは、ユーザ2は、枕本体10を他の枕本体10に交換することが考えられる。仮に管40が周り全体にわたって首部11によって覆われていると、ユーザ2は管40を首部11から取り外しにくい可能性がある。仮に管50が周り全体にわたって頭部12によって覆われていると、ユーザ2は管50を頭部12から取り外しにくい可能性がある。上記実施形態では、管40が、溝117に沿って配置され、管50が、溝127に沿って配置される。このため、ユーザ2は、管40を首部11から取り外しやすく、管50を頭部12から取り外しやすい。この場合、容器30、管40、50、ポンプ60、70、クーラー80、ヒーター90、およびコントローラ100のそれぞれが、枕本体10から分離される。このため、ユーザ2は、枕本体10を容易に干すことができる。あるいは、ユーザ2は、枕本体10を他の枕本体10に容易に交換できる。よって、枕1は、枕本体10の取り扱いを容易にすることに貢献する。
【0069】
さらに、管40、50の周りの一部は枕本体10から露出する。よって、枕1は、管40、50からユーザ2への液体Lの温度の伝導性を向上することに貢献する。
【0070】
上記実施形態では、カバー9が枕本体10を覆う。詳細には、カバー112が首部11を覆い、カバー122が頭部12を覆う。これによれば、カバー112は管40が溝117から外れることを抑制することに貢献する。カバー122は管50が溝127から外れることを抑制することに貢献する。さらに、カバー9は、ユーザ2による枕本体10の使用感が悪くなることを抑制することにも貢献する。
【0071】
仮に首部11と頭部12とを一つの管が通る場合には、首部11と頭部12とを別々の管40、50が通る場合に比べて、容器30から送られた液体Lが循環して容器30に戻るまでの経路が長くなる。経路が長いほど、管内において、ユーザ2から液体Lに伝わる熱量が大きくなりやすい。上記実施形態では、首部11と頭部12とを別々の管40、50が通る。よって、枕1は、首部11と頭部12とを一つの管が通る場合よりも、枕本体10の温度がユーザ2の体温に近づかないように液体Lの温度を維持することに貢献する。
【0072】
上記実施形態では、コントローラ100は、ポンプ60の動作とポンプ70の動作とを互いに独立して制御する。このため、コントローラ100は、首部11の温度を制御するか、頭部12の温度を制御するか、首部11の温度と頭部12の温度との両方を制御するかを、選択的に決定することに貢献する。ユーザ2は、自身の体調または好みなどに応じて首部11および頭部12の温度調節を行うことができる。
【0073】
上記実施形態では、クーラー80が容器30内の液体Lを冷やす。このため、クーラー80は、ユーザ2による使用時にユーザ2を冷やすことに貢献する。
【0074】
上記実施形態では、ヒーター90が容器30内の液体Lを温める。このため、ヒーター90は、ユーザ2による使用時にユーザ2を温めることに貢献する。
【0075】
本発明は、上記実施形態から種々変更されてもよい。さらに、以下説明する変形例は、矛盾が生じない範囲で互いに組み合わされてもよい。
【0076】
上記実施形態では、管40の上流端40Aおよび下流端40Bと、管50の上流端50Aおよび下流端50Bとは、いずれも、容器30に接続される。これに対し、例えば管40の上流端40Aおよび下流端40Bが容器30に接続され、管50の上流端50Aおよび下流端50Bは容器30とは別の容器に接続されてもよい。この場合、別の容器にもクーラーとヒーターとが設けられてもよい。
【0077】
以下では、別の容器に設けられたクーラーおよびヒーターを、それぞれ、「もう一つのクーラー」および「もう一つのヒーター」という。もう一つのクーラーおよびもう一つのヒーターは、それぞれ、クーラー80およびヒーター90と同様の部材である。この場合、コントローラ100は、クーラー80の動作ともう一つのクーラーの動作とを互いに独立して制御してもよい。コントローラ100は、ヒーター90の動作ともう一つのヒーターの動作とを互いに独立して制御してもよい。
【0078】
例えば、コントローラ100が、ヒーター90をオンにし、かつもう一つのクーラーをオンした場合、管40には、ヒーター90によって温められた液体Lが流れ、管50には、もう一つのクーラーによって冷やされた液体Lが流れる。これにより、ユーザ2の首3が温められ、ユーザ2の頭5が冷やされる。このように、変形例の枕1は、ユーザ2の首3を温めるか冷やすか、およびユーザ2の頭5を温めるか冷やすかを任意に設定することに貢献する。
【0079】
上記実施形態において、枕1は、管40、50の他に一または複数の管を備えてもよい。この場合、一の管にポンプが設けられてもよく、または複数の管のそれぞれにポンプが設けられてもよい。
【0080】
上記実施形態において、管40、50の一方が省略されてもよい。例えば、枕1は、管40、50のうち管40のみを備えてもよい。この場合、ポンプ70は省略されてもよい。
【0081】
上記実施形態において、管40の外径R1は枕本体10の最大厚みと同じか、最大厚みよりも大きくてもよい。管50の外径R2は枕本体10の最大厚みと同じか、最大厚みよりも大きくてもよい。
【0082】
上記実施形態では、管40は溝117に配置される。これに対し、首部11に貫通孔が設けられ、貫通孔に管40が挿入されてもよい。つまり、管40は、周り全体にわたって首部11によって覆われていてもよい。貫通孔とは、2つの開口が物体に設けられた状態で、2つの開口を物体の中を通って接続する空間を規定する壁を意味する。貫通孔は、例えば首部11を左右方向に貫通してもよいし、左側面113から右側面114よりも左方の位置まで延びた後、再度、左側面113まで延びてもよい。同様に、管50は、周り全体にわたって頭部12によって覆われていてもよい。
【0083】
上記実施形態において、カバー9は省略されてもよい。この場合、ユーザ2は、カバー9とは別の枕カバーを枕本体10の上に装着してもよい。
【0084】
上記実施形態において、コントローラ100は、ポンプ60の動作とポンプ70の動作とを互いに関連させて制御してもよい。つまり、コントローラ100は、ポンプ60がオンの場合、ポンプ70もオンとなり、ポンプ60がオフの場合、ポンプ70もオフになるように、ポンプ60、70を制御してもよい。あるいは、コントローラ100は、ポンプ60、70のうちいずれか一方のみがオンとなるように、ポンプ60、70を制御してもよい。
【0085】
上記実施形態において、クーラー80とヒーター90とのうち一方または両方が省略されてもよい。
【0086】
上記実施形態において、クーラー80は、保冷剤であってもよい。この場合、容器30には、保冷剤を保持するための機構が設けられてもよい。保冷剤を保持するための機構は、例えばポケットである。この場合、ユーザ2は、事前に冷やした保冷剤をポケットに入れるとよい。
【0087】
上記実施形態において、管40または管50は、枕本体10のうち首部11および頭部12とは異なる部位の中を通ってもよい。例えば、枕本体10は、ユーザ2の腰に当たる部分まで延びてもよい。この場合、例えば管50は、枕本体10のうちユーザ2の腰に当たる部分の中を通ってもよい。
【0088】
上記実施形態では、枕本体10は、複数のブロック(首部11および頭部12)によって構成される。これに対し、枕本体10は、単一のブロックによって構成されてもよい。例えば、首部11および頭部12とは、互いに分離不能であってもよい。この場合、首部11および頭部12は互いに一体的に形成されてもよい。枕本体10は、3つ以上のブロックによって構成されてもよい。接続部材13の代わりに、カバー112、122が互いに縫い合わされてもよいし、互いに接着されてもよい。
【0089】
上記実施形態において、枕本体10は、複数のチップの集合体または綿(わた)などで構成されてもよい。枕本体10は、ファイバーが絡み合って構成されてもよい。ファイバーは、例えばポリエチレンファイバーである。首部11の材質と頭部12の材質とは、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0090】
上記実施形態では、溝117は外周面116に設けられる。これに対し、溝117は、首部11の表面に設けられるとよい。例えば、溝117は、載置面115に設けられてもよい。同様に、溝127も載置面125に設けられてもよい。
【要約】
枕(1)は、枕本体(10)と、容器(30)と、第一管(40)と、第一ポンプ(60)とを備える。容器(30)には、液体(L)が収容される。第一管(40)は第一上流端(40A)と第一下流端(40B)とを含む。第一上流端(40A)と第一下流端(40B)とは、それぞれ、容器(30)に接続される。第一管(40)は、第一上流端(40A)から枕本体(10)の中を通って第一下流端(40B)まで延びる。第一ポンプ(60)は、容器(30)から第一管(40)を介して液体(L)を循環させる。
図1
図2
図3