(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-28
(45)【発行日】2025-09-05
(54)【発明の名称】多目的車両
(51)【国際特許分類】
B60K 11/06 20060101AFI20250829BHJP
B60K 5/00 20060101ALI20250829BHJP
B60K 17/06 20060101ALI20250829BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K5/00 Z
B60K17/06 G
(21)【出願番号】P 2022000665
(22)【出願日】2022-01-05
【審査請求日】2024-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大野 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】田代 和之
【審査官】熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-051507(JP,A)
【文献】特開2012-051506(JP,A)
【文献】特開2021-046081(JP,A)
【文献】特開2017-013691(JP,A)
【文献】特開2021-191679(JP,A)
【文献】特開2002-004856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00-6/12
B60K 7/00-8/00
B60K 11/00-15/10
B60K 16/00
B60K 17/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に設けられたエンジンと、
前記エンジンの排気を排出する排気部と、
前記エンジンからの駆動力が伝達されるベルト式無段変速装置と、
前記ベルト式無段変速装置の内部を冷却するために吸入された冷却風を、前記ベルト式無段変速装置の内部から外部に排出する排気口と、が備えられ、
前記排気口は、前記排気部に対して一方側に配置され、
前記排気部に対して他方側に、前記排気口から排出された冷却風を冷却対象に導く導風部が備えられ
、
前記導風部は、前記機体の前後方向に並び、夫々、前記機体の前後方向に沿って延びる板状部材で構成されている第一導風板と第二導風板とを有する多目的車両。
【請求項2】
機体に設けられたエンジンと、
前記エンジンの排気を排出する排気部と、
前記エンジンからの駆動力が伝達されるベルト式無段変速装置と、
前記ベルト式無段変速装置の内部を冷却するために吸入された冷却風を、前記ベルト式無段変速装置の内部から外部に排出する排気口と、が備えられ、
前記排気口は、前記排気部に対して一方側に配置され、
前記排気部に対して他方側に、前記排気口から排出された冷却風を冷却対象に導く導風部が備えられ、
前記機体に上下揺動可能に設けられた荷台が備えられ、
前記排気口は、前記荷台の下方に配置され、
前記導風部は、前記機体に支持された第一導風板と、前記荷台に支持された第二導風板と、を有す
る多目的車両。
【請求項3】
前記第二導風板は、前記第一導風板の後方に、前記第一導風板と前記機体の前後方向に並ぶ状態で設けられ、
前記第二導風板の後側部分に、前記機体の後側ほど前記排気口側に傾斜する傾斜部が備えられている請求項2に記載の多目的車両。
【請求項4】
前記第一導風板は、金属板から構成され、前記第二導風板は、可撓性部材から構成されている請求項2又は3に記載の多目的車両。
【請求項5】
前記エンジンは、前記エンジンのうち前記排気部が位置する側に前記エンジンの冷却水温を測定する水温センサが備えられ、
前記冷却対象は、前記水温センサである請求項1から4のいずれか一項に記載の多目的車両。
【請求項6】
前記排気部に、前記エンジンの排気の酸素濃度を計測する酸素濃度センサが備えられ、
前記冷却対象は、前記酸素濃度センサである請求項1から5のいずれか一項に記載の多目的車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体に設けられたエンジンと、エンジンからの駆動力が伝達されるベルト式無段変速装置と、が備えられた多目的車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多目的車両として、例えば、特許文献1に記載されているように、ベルト式無段変速装置がケースの内部から外部に冷却風を排出する排気口を有し、排気口から排出される冷却風によってエンジンを冷却するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の多目的車両は、排出口から排出される冷却風を、単にエンジンに向けて排出しているだけであった。つまり、従来の多目的車両は、冷却を必要とする機器、例えば、エンジンの冷却水温を測定する水温センサ等を、冷却風によって効率的に冷却する構成を有するものではなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ベルト式無段変速装置から排出された冷却風で、エンジンや排気部を冷却するだけでなく、当該冷却風によって、冷却を必要とする冷却対象を効率よく冷却することを可能とする多目的車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多目的車両は、機体に設けられたエンジンと、前記エンジンの排気を排出する排気部と、前記エンジンからの駆動力が伝達されるベルト式無段変速装置と、前記ベルト式無段変速装置の内部を冷却するために吸入された冷却風を、前記ベルト式無段変速装置の内部から外部に排出する排気口と、が備えられ、前記排気口は、前記排気部に対して一方側に配置され、前記排気部に対して他方側に、前記排気口から排出された冷却風を冷却対象に導く導風部が備えられ、前記導風部は、前記機体の前後方向に並び、夫々、前記機体の前後方向に沿って延びる板状部材で構成されている第一導風板と第二導風板とを有する。
【0007】
この発明によれば、冷却風が導風部によって冷却対象に導かれて、冷却対象を効率よく冷却することが可能となる。つまり、ベルト式無段変速装置から排出された冷却風で、エンジンからの排気が通過して高温となる排気部を冷却することができるだけでなく、その他の冷却対象も効率よく冷却することが可能となる。
【0008】
本発明の多目的車両は、機体に設けられたエンジンと、前記エンジンの排気を排出する排気部と、前記エンジンからの駆動力が伝達されるベルト式無段変速装置と、前記ベルト式無段変速装置の内部を冷却するために吸入された冷却風を、前記ベルト式無段変速装置の内部から外部に排出する排気口と、が備えられ、前記排気口は、前記排気部に対して一方側に配置され、前記排気部に対して他方側に、前記排気口から排出された冷却風を冷却対象に導く導風部が備えられ、前記機体に上下揺動可能に設けられた荷台が備えられ、前記排気口は、前記荷台の下方に配置され、前記導風部は、前記機体に支持された第一導風板と、前記荷台に支持された第二導風板と、を有する。
【0009】
この構成によれば、導風部は、第一導風板と第二導風板とを有する構成となる。導風部を一つの板状部材で構成した場合と比べ、第一導風板及び第二導風板は小さな部材から構成されることとなり、破損や変形が生じ難くなる。また、第一導風板及び第二導風板は、それぞれ車体及び荷台に支持されることから、これらの設置箇所に近い箇所に支持させることが可能となり、第一導風板及び第二導風板を取り付けるための取付部材をコンパクトに構成することが可能となる。
【0010】
本発明においては、前記第二導風板は、前記第一導風板の後方に、前記第一導風板と前記機体の前後方向に並ぶ状態で設けられ、前記第二導風板の後側部分に、前記機体の後側ほど前記排気口側に傾斜する傾斜部が備えられていると好適である。
【0011】
この構成によれば、第一導風板と第二導風板とによって、一枚の大きな導風板を設けた場合と同様に、排気口から排出された冷却風を受けることが可能となり、より多くの冷却風を冷却対象に導くことが可能になる。また、走行中には、前方から後方に向けて空気の流れが生じ、後方に向けて流れた空気が傾斜部により、排気口側へ流れ込む。排気口側へ流れ込んだ空気により、排気部をさらに冷却することが可能となる。
【0012】
本発明においては、前記第一導風板は、金属板から構成され、前記第二導風板は、可撓性部材から構成されていると好適である。
【0013】
この構成によれば、機体に支持された第一導風板は、金属板で頑丈に構成される。また、荷台の揺動時に第二導風板に例えば第一導風板が衝突したとしても、第二導風板は、可撓性部材で構成されることから、変形や破損が生じ難く、さらに、衝突した第一導風板の変形や破損を防ぐことが可能となる。
【0014】
本発明においては、前記エンジンは、前記エンジンのうち前記排気部が位置する側に前記エンジンの冷却水温を測定する水温センサが備えられ、前記冷却対象は、前記水温センサであると好適である。
【0015】
この構成によれば、高温になる排気部の側に位置する水温センサを、効果的に冷却することが可能となる。
【0016】
本発明においては、前記排気部に、前記エンジンの排気の酸素濃度を計測する酸素濃度センサが備えられ、前記冷却対象は、前記酸素濃度センサであると好適である。
【0017】
この構成によれば、高温になる排気部に設けられた酸素濃度センサを、効果的に冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】ベルト式無段変速装置の構成を示す断面図である。
【
図6】エンジン、排気部、動力伝達部、及び導風部の構成を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0020】
〔多目的車両の全体構成〕
以下では、本実施形態の多目的車両について説明する。
図1に示すように、多目的車両の機体には、走行装置として、左右の前輪1と左右の後輪2とが備えられている。左右の前輪1は、操向可能かつ駆動可能に構成され、車体フレーム3の前部に支持されている。左右の後輪2は、駆動可能に構成され、車体フレーム3の後部に支持されている。
【0021】
機体の前部に、車体フレーム3の前部などの上方を覆うフロントリッド4が設けられている。
【0022】
前輪1と後輪2との間に搭乗者が搭乗可能な運転部5が備えられている。運転部5には、搭乗空間を覆うロプス6が備えられている。運転部5の後側に、上下揺動可能に設けられた荷台7が備えられている。
【0023】
〔荷台の構成について〕
図1に示すように、荷台7は、底板部11、前壁部12、右及び左の側壁部13、後壁部14を備えている。
【0024】
荷台7の下方に、右及び左の支持フレーム15が前後方向に延びるように配置されている。底板部11を下方から支持する支持部材16の後部に連結されたブラケット16a(
図3参照)が、支持フレーム15の左右方向の軸芯P1周りに揺動可能に支持されている。これにより、荷台7の後部の左右方向の軸芯P1周りに、下がり位置から上側に持ち上げられた上がり位置(
図3参照)に亘って、荷台7が上下揺動可能に支持されている。
【0025】
〔エンジンの構成について〕
荷台7の下方に、機体に支持されたエンジンE、エンジンEの排気を排出する排気部8(
図3参照)及びエンジンEの動力を前輪1及び後輪2に伝達する動力伝達部9が備えられている。
【0026】
エンジンEは、車体フレーム3のうちの後部分に備えられた左右の後部フレーム部3aの上方に設けられている。エンジンEの上部における横側部に、水温センサS1が設けられている。水温センサS1は、エンジンEの冷却水温を計測する。
【0027】
〔排気部の構成について〕
図3に示すように、排気部8は、エンジンEに接続された排気管21と、排気管21に接続された排気マフラ22と、を有している。排気管21は、エンジンEの前部に接続されている。排気管21は、左方向に曲げられ、エンジンEの左側方を通過するように後方に向けて延びている。排気管21には、エンジンEの左後方に設けられている排気マフラ22が接続されている。
【0028】
エンジンEの排気は、排気管21によって排気マフラ22に排気され、排気マフラ22によって消音されつつ大気中に排出される。駆動しているエンジンEの排気は、高温であるため、排気管21及び排気マフラ22は、この排気によって高温となる。
【0029】
〔動力伝達部の構成について〕
図1に示すように、動力伝達部9は、エンジンEの横側方に設けられたベルト式無段変速装置31と、エンジンEの後方に、機体に支持され、ギヤ変速装置(図示せず)を内装するミッションケース51と、を有している。
【0030】
図2及び
図5に示すように、ベルト式無段変速装置31は、排気管21の左側方に設けられている。
図2に示すように、ベルト式無段変速装置31は、変速ケース32を有し、変速ケース32は、変速ケース32の前側に設けられたベルトプーリ33aと変速ケース32の後側に設けられたベルトプーリ33bと、ベルトプーリ33aとベルトプーリ33bとに巻回された無端ベルト34と、を収容している。ベルトプーリ33a及びベルトプーリ33bのそれぞれは、一対の半割プーリ体によって構成され、ベルトプーリ33a及びベルトプーリ33bにおけるベルト巻回径の変更が可能になっている。ベルト式無段変速装置31は、ベルトプーリ33a及びベルトプーリ33bのベルト巻回径を変更することにより、入力された動力を無段階に変速して出力する。ベルト式無段変速装置31は、エンジンEの駆動力が伝達され、伝達された動力を無段階に変速してミッションケース51に向けて出力する。
【0031】
ミッションケース51は、ベルト式無段変速装置31から伝達される駆動力が入力軸52によって入力され、入力された駆動力が左右の後輪2に伝達される。さらに、プロペラシャフト18(
図1参照)を介して左右の前輪1(
図1参照)に伝達される。
【0032】
〔排気部を冷却する構成について〕
図2に示すように、変速ケース32の内部に回転ファン35が設けられている。回転ファン35は、ベルトプーリ33bの一方の半割プーリ体に一体成形され、ベルトプーリ33bが駆動されると、ベルトプーリ33bとともに駆動する。
【0033】
図1に示すように、変速ケース32の後部に吸気ダクト36が接続されている。吸気ダクト36は、車体フレーム3のうちの運転部5に対応する部分に備えられた運転部フレーム部3bと、運転部フレーム部3bの後端部と変速ケース32とを連通させる連通管37と、によって構成されている。運転部フレーム部3bは、鋼管材によって構成されている。運転部フレーム部3bが吸気ダクト36に活用されている。運転部フレーム部3bの前端部に冷却風の取入口38が開口されている。取入口38は、フロントリッド4の内部に開口されている。
【0034】
変速ケース32の前部に排気ダクト39が接続されている。排気ダクト39は、上方及び後方に延びるように設けられている。
【0035】
図4に示すように、排気ダクト39は、端部に排気口40を有する。排気口40は、本実施形態では、排気部8に対して左側に配置され、排気部8に向けて開口するように構成されている。排気口40は、固定部材40aを介して支持フレーム15にボルト固定されている。
【0036】
回転ファン35の回転によって発生する吸引力により、フロントリッド4の内部に位置する空気が取入口38から取り入れられる。取り入れられた空気が吸気ダクト36及び連通管37を介して変速ケース32の内部に吸引されることにより、変速ケース32の内部に冷却風が発生する。発生した冷却風によってベルト式無段変速装置31の冷却が行われる。ベルト式無段変速装置31の内部にて発生した冷却風は、回転ファン35の回転によって発生する送風力により、冷却後の冷却風が排気ダクト39によって排気口40に案内され、ベルト式無段変速装置31の外部へ排出される。排気口40から排出された冷却風により排気部8の冷却が行われる。
【0037】
〔導風部の構成について〕
図3及び
図4に示すように、本実施形態においては、排気部8に対して右側に排気口40から排出された冷却風を冷却対象に導く導風部41が備えられている。
【0038】
本実施形態において、導風部41は、機体に支持された第一導風板42と、荷台7に支持された第二導風板43とから構成されている。
図6に示すように、第一導風板42と第二導風板43とは、側面視で排気口40と重複する位置に配置されている。
【0039】
第一導風板42は、金属板から構成されている。第一導風板42は、第一導風板42の上部である本体部42aと、第一導風板42の下部と連続するように形成されている被支持部42bとから構成されている。本体部42aは、略矩形形状に形成されている。被支持部42bは、被支持部42bの縁のうち第二導風板43側とは反対側に位置する縁が下側ほど第二導風板43側に近づいていく下窄まり形状に形成されている。
【0040】
図3及び
図5に示すように、第一導風板42は、エンジンE及びミッションケース51を介して機体に支持されている。具体的には、第一導風板42は、支持部材44である下側支持部材44aと縦支持部材44bとを用いてエンジンE及びミッションケース51に支持されている。下側支持部材44aは、エンジンEの天井部にボルトBo1を用いて締結固定されている。縦支持部材44bは、下側支持部材44aの上面にボルトを用いて接続され、上方に延びるように構成されている。縦支持部材44bは、縦支持部材44bの上部において、エンジンEの側壁にボルトBo2を用いて締結固定されている。第一導風板42は、第一導風板42の被支持部42bが縦支持部材44bにボルト固定されている。
【0041】
第一導風板42は、機体の前後方向かつ上下方向に延びる状態で支持されている。エンジンEに備えられた水温センサS1は、エンジンEのうち排気部8が位置する側に設けられている。第一導風板42は、
図4において矢印で示すように、排気口40から排出された冷却風を冷却対象である水温センサS1に導くように構成されている。この構成により、電子部品を有する水温センサS1を効率よく冷却することが可能となる。
【0042】
第二導風板43は、第一導風板42の後方に、第一導風板42と機体の前後方向に並ぶ状態で設けられている。第二導風板43は、ゴム等の可撓性部材から構成されている。
【0043】
第二導風板43は、荷台7の底板部11を下方から支持する横方向フレーム17に支持されている。横方向フレーム17は、荷台7の下方において機体の左右方向に延びるように設けられている。第二導風板43は、取付部材45を介して横方向フレーム17に固定されている。取付部材45は、横方向フレーム17の形状に対応したU字形状の取付部45aを有している。
【0044】
取付部材45は、取付部45aが横方向フレーム17に嵌った状態で、U字形状の底部を挿通するボルトBo3により横方向フレーム17に締結固定されている。取付部材45は、取付部45aのU字形状の両方の縦延伸部分から、取付部45aの幅方向つまり横方向フレーム17が延びる方向と垂直に交差する方向に延びる板状の2つの支持部45bを有する。
【0045】
第二導風板43の上部は、取付部45aの形状に対応した切込み部43aが形成されている。第二導風板43のうち切込み部43aの幅方向に隣接する箇所が支持部45bに固定されることにより、第二導風板43は、取付部材45を介して、荷台7の横方向フレーム17に支持されている。
【0046】
第二導風板43の前側部分は、前後方向かつ上下方向に延びる状態で構成されている。第二導風板43の後側部分は、機体の後側ほど排気口40側に傾斜する傾斜部43bとして構成されている。排気部8には、エンジンEの排気の酸素濃度を計測する酸素濃度センサS2が備えられている。第二導風板43の傾斜部43bは、
図4及び
図5において矢印で示すように、排気口40から排出された冷却風を冷却対象である酸素濃度センサS2に導くように構成されている。この構成により、電子部品を有する酸素濃度センサS2を効率よく冷却することが可能となる。
【0047】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。
【0048】
(1)上記実施形態では、排気口40は、排気部8に対して左側に配置され、導風部41は、排気部8に対して右側に配置されている構成を例に説明したが、本発明は、排気口40は、排気部8に対して一方側に配置され、導風部41は、排気部8に対して他方側に配置されていればよく、例えば、排気口40は、排気部8に対して右側に配置され、導風部41は、排気部8に対して左側に配置されている構成を備えていてもよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、導風部41は、第一導風板42及び第二導風板43の2つの板状部材から構成されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、導風部41は、1つの板状部材から構成されていてもよく、また、3つ以上の板状部材から構成されていてもよい。
【0050】
(3)上記実施形態では、第一導風板42は、エンジンE及びミッションケース51を介して機体に支持され、第二導風板43は、荷台7に支持されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、第一導風板42及び第二導風板43は、2つとも機体に支持されていてもよい。また、第一導風板42及び第二導風板43は、他の箇所、例えば排気部8に支持されていてもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では、第一導風板42は、金属板から構成され、第二導風板43は、ゴム等の可撓性部材から構成されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、第一導風板42及び第二導風板43は、2つとも可撓性部材から構成されていてもよい。
【0052】
(5)上記実施形態では、冷却対象として水温センサS1及び酸素濃度センサS2を掲げているが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、その他のセンサを冷却対象としてもよく、また、エンジンEを冷却対象として、排気口40から排出された冷却風をエンジンEに導くように構成されていてもよい。
【0053】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、人員の移動や荷物の運搬、レクリエーション等に使用される多目的車両に適用できる。
【符号の説明】
【0055】
7 荷台
8 排気部
31 ベルト式無段変速装置
40 排気口
41 導風部
42 第一導風板
43 第二導風板
43b 傾斜部
S1 水温センサ
S2 酸素濃度センサ
E エンジン