(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-28
(45)【発行日】2025-09-05
(54)【発明の名称】リン酸トリブチルの製造方法およびこれにより得られる精製リン酸トリブチル並びにこれを用いた抽出剤
(51)【国際特許分類】
C07F 9/11 20060101AFI20250829BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20250829BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20250829BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20250829BHJP
C01B 39/38 20060101ALI20250829BHJP
C01B 39/46 20060101ALI20250829BHJP
G21F 9/12 20060101ALN20250829BHJP
【FI】
C07F9/11
B01J20/18 A
B01D15/00 K
A61L9/01 B
C01B39/38
C01B39/46
G21F9/12 501F
(21)【出願番号】P 2022145533
(22)【出願日】2022-09-13
【審査請求日】2024-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】593053335
【氏名又は名称】リファインホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100196276
【氏名又は名称】中島 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】岩船 光紘
(72)【発明者】
【氏名】藤田 知也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇夫
(72)【発明者】
【氏名】竹山 友潔
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200552(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0122762(US,A1)
【文献】特開平10-170689(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102659833(CN,A)
【文献】木羽 敏泰,TBP(Tributyl Phosphate),分析化学,1957年,6巻9号,p.597-603,DOI:10.2116/bunsekikagaku.6.597
【文献】根本慎一ら,遠心抽出器によるソルトフリー溶媒洗浄試験; ショウ酸ヒドラジンによるDBP除去基礎及び連続処理試験,動力炉・核燃料開発事業団東海事業所 研究開発報告書,1990年,https://jopss.jaea.go.jp/pdfdata/PNC-TN8410-90-019.pdf
【文献】朝倉 俊英ら,再処理溶液系における1-ブタノールの分配挙動,JAERI-Tech,1995年,DOI: 10.11484/jaeri-tech-95-027
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/
G21F 9/
B01J 20/
B01D 15/
A61L 9/
C01B 39/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗リン酸トリブチルを、ゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比(SiO
2/Al
20
3)が10以上
であってZSM-5 (Zeolite Socony Mobil-5)型もしくはベータ型ゼオライトである疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程を有することを特徴とするリン酸トリブチルの製造方法。
【請求項2】
粗リン酸トリブチルを疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程は、空間速度SV=1h
-1以下にて通液して行なう、または回分式若しくは循環式にて少なくとも10時間以上接触させて行われるものである請求項1に記載のリン酸トリブチルの製造方法。
【請求項3】
粗リン酸トリブチルを疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程により、粗リン酸トリブチルに含まれる不純物であるブタノール及びリン酸ジブチルについて、ブタノール濃度を0.02質量%以下、リン酸ジブチル濃度を0.01質量%以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載のリン酸トリブチルの製造方法。
【請求項4】
前記疎水性アルミノケイ酸塩化合物が、ゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比が10~500のものである請求項1に記載のリン酸トリブチルの製造方法。
【請求項5】
リン酸トリブチルと希釈剤としての炭素数6以上の炭化水素類を含む抽出剤の製造方法であって、前記リン酸トリブチルはゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比が10以上
であってZSM-5 (Zeolite Socony Mobil-5)型もしくはベータ型ゼオライトであるアルミノケイ酸塩化合物に接触させることによって成分中に含まれる不純物を除去された後、前記希釈剤と混合されるものである抽出剤の製造方法。
【請求項6】
前記リン酸トリブチルを疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程は、空間速度SV=1h
-1以下にて通液して行なう、または回分式若しくは循環式にて少なくとも10時間以上接触させて行われるものである請求項
5に記載の抽出剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸トリブチルの製造方法およびこれにより得られる精製リン酸トリブチル並びにこれを用いた抽出剤に関する。詳しく述べると本発明は、不純物および臭気の除去されたリン酸トリブチルの製造方法およびこれにより得られる精製リン酸トリブチル並びにこれを用いた抽出剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リン酸トリブチル(TBP)は化学式(CH3CH2CH2CH2O)3POで表される有機リン化合物であり、一般に五塩化リンまたは塩化ホスホリルとn-ブタノールとのエステル化反応により製造される(非特許文献1参照)。その用途としては、各種溶媒、製紙用・繊維加工用消泡剤、合成ゴム用可塑剤、希金属(白金,ウラン)の抽出溶媒等がある。
【0003】
このようなリン酸トリブチルに含まれる代表的な不純物としては、n-ブタノールや、リン酸ジブチル、および臭気成分(アルケン等の炭化水素類)がある。このような不純物は、リン酸トリブチルの前記したような用途においてその性能を阻害し、その結果得られる製品品質を低下させるないしは製造効率を低下させるなどの問題を生じるために、極力除去することが望まれる。
【0004】
これらのリン酸トリブチルに含まれる不純物のうち、リン酸ジブチルの除去方法としては、放射性物質の回収分野において、いくつか提案されている。すなわち、リン酸トリブチルはウラン、プルトニウムの回収溶媒として優れた性能を有しているため、炭化水素系溶剤で希釈されて主に核燃料再処理施設において使用されているが、当該分野でリン酸トリブチルが劣化して生じるリン酸トリブチルの1次加水分解物であるリン酸ジブチルが製品であるウラン、プルトニウムの純度を極度に低下させることから、その除去が試みられている。リン酸ジブチルを除去する方法としては、従来、アルカリ洗浄が広く知られていたが、十分な除去はできないものであった。
【0005】
特許文献1には、核燃料再生処理工程において使用されるリン酸トリブチル中に劣化生成したリン酸ジブチルを除去する上で、リン酸ジブチルを含有するリン酸トリブチルを、酸化チタン40~60重量%、酸化ジルコニウム60~40重量%よりなる吸着剤に接触させてリン酸ジブチルを該吸着剤上に吸着させる方法が開示されているが、この方法においても満足のいくレベルまでの除去には至っていない。
【0006】
また、リン酸トリブチルに含まれる不純物のうち、n-ブタノールの除去方法としては、従来特に確立した方法が提案されてはいない。リン酸トリエステルの精製方法で、アルコール含む低沸除去として広く用いられる方法として、減圧蒸留法が知られているが、アルキルリン酸エステルは熱を加えることで、熱分解が生じるため好ましくはない。
【0007】
また、特許文献2においては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルモノエチル、リン酸ジエチルモノメチルなどのような、リン酸とメタノールもしくはエタノールまたは芳香族ヒドロキシ化合物とのエステルである、リン酸エステルが、水、メタノール、およびエタノールから選択される少なくとも1種類以上の極性溶媒を不純物として多量に含有する粗リン酸エステルを、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の結晶性含水アルミノ珪酸塩で処理して、高純度のリン酸エステルを得る方法が提案されているが、この技術が対象とするリン酸エステル化合物にはリン酸トリブチルは含まれておらず、また、処理剤としてのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の結晶性含水アルミノ珪酸塩としては、広く天然および合成のゼオライト、沸石、またはモレキュラーシーブなどが用いられ得ること、さらに、処理剤の形状としては、球状、柱状、粉末状などに分けられるが、球状が好ましく、特に好ましくは4~12メッシュ(直径約2.1mm~約6.2mm)、さらに好ましくは7~10メッシュ(直径約2.5mm~約3.6mm)の粒径をもつ球状の処理剤であることの記載はあるものの、それ以上に言及されるところはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開昭63-188693号公報
【文献】特開2000-351789号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】Org. Synth. 1936, 16, 9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明は、上記したような従来技術における問題点を解決してなる比較的簡単な方法で純度の高いリン酸トリブチルの製造する方法を提供することを課題とする。本発明はまた、このようなリン酸トリブチルの製造方法を応用してなる、抽出剤の製造方法およびこの製造方法により得られる抽出剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究検討を重ねた結果、リン酸トリブチル中に不純物として含まれるn-ブタノール、リン酸ジブチルおよび臭気成分を除去する方法として、ゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比(SiO2/Al203)が10以上の疎水性アルミノケイ酸塩化合物、いわゆるハイシリカゼオライトを使用することで、活性炭、一般的なゼオライトといった他の吸着剤と比べて、n-ブタノール、リン酸ジブチルおよび臭気成分を非常に効率よく除去できることが分かり、本発明に至ったものである。
【0012】
また、リン酸トリブチルは例えば放射性元素や希土類金属、カルボン酸等の抽出剤として炭化水素類などに希釈された上で好適に用いられるものである。このような抽出剤を調製する上において、リン酸トリブチル中に不純物として含まれるn-ブタノール、リン酸ジブチルおよび臭気成分等の存在は、抽出効率の低下、最終生成物の品質低下等の悪影響を及ぼすため、除去することが望まれる。ここで、抽出剤の主成分であるリン酸トリブチルが、希釈剤としての炭化水素類と共に存在する状態では、上記したようなハイシリカゼオライトと接触させてもn-ブタノール等の吸着除去が十分には進まないとの知見を得た。そこで、本発明者らは、主成分としてのリン酸トリブチルと希釈剤として炭素数6以上の炭化水素類を含む抽出剤の製造方法として、前記リン酸トリブチルをゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比(SiO2/Al203)が10以上のアルミノケイ酸塩化合物に接触させることによって成分中に含まれる不純物を除去した後、前記希釈剤と混合することにより、優れた特性を有する抽出剤を提供できることが分かり、本発明に至ったものである。
【0013】
すなわち、上記課題を解決する本発明の第一の観点は、粗リン酸トリブチルを、ゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比(SiO2/Al203)が10以上の疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程を有することを特徴とするリン酸トリブチルの製造方法である。
【0014】
本発明に係るリン酸トリブチルの製造方法の一実施形態においては、粗リン酸トリブチルを疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程は、空間速度SV=1h-1以下にて通液して行なう、または回分式若しくは循環式にて少なくとも10時間以上接触させて行われるものである方法が示される。
【0015】
本発明に係るリン酸トリブチルの製造方法の一実施形態においては、粗リン酸トリブチルを疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程により、ブタノール濃度を0.02質量%以下、リン酸ジブチル濃度を0.01質量%以下とすることを特徴とする方法が示される。
【0016】
本発明に係るリン酸トリブチルの製造方法のさらに別の一実施形態においては、前記疎水性アルミノケイ酸塩化合物が、ZSM-5 (Zeolite Socony Mobil-5)型、ベータ型ゼオライトである方法が示される。
【0017】
本発明に係るリン酸トリブチルの製造方法のさらに別の一実施形態においては、前記疎水性アルミノケイ酸塩化合物が、ゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比が10~500のものである方法が示される。
【0018】
また、上記課題を解決する本発明の第二の観点は、リン酸トリブチルと希釈剤としての炭素数6以上の炭化水素類を含む抽出剤の製造方法であって、前記リン酸トリブチルはゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比が10以上のアルミノケイ酸塩化合物に接触させることによって成分中に含まれる不純物を除去された後、前記希釈剤と混合されるものである抽出剤の製造方法である。
【0019】
本発明に係る抽出剤の製造方法の一実施形態においては、前記リン酸トリブチルを疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程は、空間速度SV=1h-1以下にて通液して行なう、または回分式若しくは循環式にて少なくとも10時間以上接触させて行われるものである方法が示される。
【0020】
また、上記課題を解決する本発明の第三の観点は、主成分としてのリン酸トリブチルと希釈剤として炭素数6以上の炭化水素類を含む抽出剤であって、不純物としてのブタノールおよびリン酸ジブチルの濃度がそれぞれ0.02質量%以下、0.01質量%以下とされていることを特徴とするカルボン酸抽出剤である。
【0021】
本発明に係る抽出剤の一実施形態においては、前記調製抽出剤の希釈剤がヘキサン、ベンゼン、トルエン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンおよびエチルベンゼンからなる群から選択されてなる少なくとも1つのものであることを特徴とする抽出剤が示される。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、粗リン酸トリブチルから不純物を除去するにおいて、当該粗リン酸トリブチルをゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比が10以上のアルミノケイ酸塩化合物に接触させることによって、簡単な手法により効率よく不純物として含まれるn-ブタノール、リン酸ジブチルおよび臭気成分を除去することができ、高精製度のリン酸トリブチルとして効率良く回収できるものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明を好ましい実施形態に基づき、より詳細に説明する。
【0024】
(リン酸トリブチルの製造方法)
本発明の第一の観点に係るリン酸トリブチルの製造方法は、粗リン酸トリブチルを、ゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比(SiO2/Al203)が10以上の疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程を有することを特徴とする。
【0025】
粗リン酸トリブチル
本発明の第一の観点に係るリン酸トリブチルの製造方法において、被処理物となる粗リン酸トリブチルとしては、その合成方法等は特に限定されるものではない。また、例えば、何らかの抽出剤等に使用され、リン酸トリブチルの1次加水分解物であるリン酸ジブチルやブタノールなどの不純物が蓄積した廃液からリン酸トリブチルを分離精製し再利用する際の工程で被処理物として対象とすることも可能である。
【0026】
特に限定されるわけではないが、このような被処理物となる粗リン酸トリブチルは、不純物として例えば、ブタノールを濃度(質量分率)で0.1質量%以上、代表的には例えば0.1~0.3質量%、および/またはリン酸ジブチルを濃度(質量分率)で0.03質量%以上、代表的には例えば0.03~0.2質量%含み得るものであり、さらにその他に微量成分としてブテンなどの臭気成分を70mlのサンプル瓶にサンプルを約30ml入れ、セプタムで蓋をした状態の気相中の濃度(質量分率)で0.1質量%程度を限度として含み得るものである。
【0027】
アルミノケイ酸塩化合物
一方、本発明の第一の観点に係るリン酸トリブチルの製造方法において、上記したような粗リン酸トリブチルに接触させて不純物を吸着除去するのに用いる吸着剤としては、ゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比(SiO2/Al203)が10以上、より好ましくは10~500、さらに好ましくは40~300の疎水性アルミノケイ酸塩化合物が用いられる。
【0028】
さらに疎水性アルミノケイ酸塩化合物としては、その結晶骨格構造が、国際ゼオライト学会が大文字アルファベット3文字で定義した記号で、例えば「Atlas of Zeolite Framework Types, 6th revised edition, Elsevier, Amsterdam, 2007」において示すMFI型のトポロジーを有するZSM-5 (Zeolite Socony Mobil-5)型やベータ型を用いることが望ましい。ZSM-5型やベータ型ゼオライトを用いることによって、より効率良くブタノール、リン酸ジブチル等の不純物を吸着除去できる。
【0029】
また疎水性アルミノケイ酸塩化合物、いわゆるハイシリカゼオライトの平均細孔径は、特に限定されるものではないが、粗リン酸トリブチル中の不純物の捕捉効率という観点から、好ましくは7Å以下であり、より好ましくは4~7Å、さらに好ましくは5~6Åであることが望ましい。ハイシリカゼオライトの細孔径は、以下のようにして測定することができる。
【0030】
<平均細孔径の測定方法>
平均細孔径は、一般的には窒素ガス吸着法などのガス吸着法により求めることができるが、市販の比表面積・細孔分布測定装置(例えば株式会社島津製作所製 トライスターII3020シリーズ)を用いて測定することができる。本明細書において示される数値は、上記装置を用いて窒素ガス吸着法により測定された平均細孔径である。
【0031】
本発明において、吸着剤である疎水性アルミノケイ酸塩化合物の平均細孔径として上記したような好ましい大きさのものとすると、これは、粗リン酸トリブチル中に含まれる不純物の1つであるn-ブタノールの分子が入る大きさであるため、n-ブタノールが吸着除去されるのはある程度相応の結果とも考えられるが、驚くべきことに、n-ブタノールに加えて、分子の大きさが当該平均細孔径よりも大きいリン酸ジブチルも同時に吸着され得るものである。この点に関しての、明確な作用機序は十分に明らかではないが、リン酸ジブチルは親水性でありブタノール骨格を有することから、n-ブタノール程ではないものの、上記の疎水性アルミノケイ酸塩化合物で除去されるものではないかと考えられる。
【0032】
また、粗リン酸トリブチル中に含まれる臭気成分についても、疎水性アルミノケイ酸塩化合物の平均細孔径として上記したような好ましい大きさのものとすると、良好に吸着除去される。粗リン酸トリブチルに含まれる臭気成分は、例えば、リン酸トリブチルが熱分解した際に、生じたブテン類のガスと推測され、これらブテン類の分子も上記したような平均細孔径に合致した大きさであるためと考えられる。
【0033】
また吸着剤としての疎水性アルミノケイ酸塩化合物の形状としては、特に限定されるものではないが、一般的に接触効率の観点から粒状、円柱状、球状といった形状であることが好ましく、これらを所定のカラム等に充填しておき、粗リン酸トリブチルと接触させることが望ましい。
【0034】
疎水性アルミノケイ酸塩化合物が粒状物である場合、その平均粒子径は、1~5mm程度であることが好ましく、より好ましくは、1~2mm程度であり、また球状である場合はその平均粒子径は、1~5mm程度であることが好ましく、より好ましくは、2~3mm程度が望ましい。 なお、疎水性アルミノケイ酸塩化合物の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計を用いて求めることができる。
【0035】
接触工程
粗リン酸トリブチルを、疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させる工程は、疎水性アルミノケイ酸塩化合物と粗リン酸トリブチルとを十分に接触させ、これらの粗リン酸トリブチル中に含まれる不純物が疎水性アルミノケイ酸塩化合物に吸着除去できるものである限り、連続通液式でおこなっても、あるいは回分式ないしは循環式で行っても良い。
【0036】
粗リン酸トリブチル中に含まれるブタノール、リン酸ジブチル、臭気成分等の不純物の量やその割合によっても左右されるため、特に限定されるものではないが、接触工程としては、連続通液式である場合、空間速度SVが1h-1以下、より好ましくはSVが0.1~0.6h-1にて行なう、または回分式若しくは循環式である場合、少なくとも10時間以上、より好ましくは17~75時間接触させることが望ましい。
【0037】
ここで本明細書における「空間速度」とは、被処理液である粗リン酸トリブチルが吸着塔内に充填された前記吸着剤を充填した速度を表し、次式で表されるものである。
空間速度 SV=Q/V (1/Hr)
ここで、Q:流量 (m3/Hr) V: 吸着塔内の吸着剤量 (m3)である。
なお、本発明に係るリン酸トリブチルの製造方法において、粗リン酸トリブチルを疎水性アルミノケイ酸塩化合物に接触させた際、粗リン酸トリブチル中に含まれる各不純物に対する疎水性アルミノケイ酸塩化合物による吸着は、後述する実施例において示すように、不純物のうちのブタノールをリン酸ジブチルより優先的に進行することが判明している。
【0038】
従って、例えば、本発明に係る製造方法として、粗リン酸トリブチルと疎水性アルミノケイ酸塩化合物との接触工程を、2段ないし多段階なものとして、前段において不純物のうち主としてブタノールを除去し、後段において不純物のうち主としてリン酸ジブチルを除去するといった態様を採ることもできる。これにより、使用した疎水性アルミノケイ酸塩化合物からのこれら吸着した成分の分離ないし疎水性アルミノケイ酸塩化合物の再生処理を効率的なものとすることができる。
【0039】
粗リン酸トリブチルと疎水性アルミノケイ酸塩化合物との接触工程の環境条件としては、特に限定されるものではないが、例えば、10~40℃程度の温度、101325±20 Pa程度の圧力条件において良好に行われ得る。
【0040】
なお、このような粗リン酸トリブチルと疎水性アルミノケイ酸塩化合物との接触工程を実施する上で、特に限定されるものではないが、例えば、接触効率を上げるために、吸着塔に液を満たした後に、減圧(2666.45~13332.2Pa程度)にし、吸着剤中の気泡抜きを例えば、約10分程度おこなった後に、所定時間もしくは、SVが1h-1以下の条件で通液またはバッチ処理を行うことが望ましい。また、接触処理後の処理液には疎水性アルミノケイ酸塩化合物の微粉が含まれるので、微粉を除去するためのフィルターを設置し、除去することが望ましい。
用いられるフィルターとしては特に限定されるものではないが、例えば、デプスフィルター、サーフェスタイプフィルター、メンブレンフィルター等が用いられ得る。
本発明に係るリン酸トリブチルの製造方法において、上記したような接触工程の後は、単純に被処理液と疎水性アルミノケイ酸塩化合物とを固液分離することで、不純物濃度が極めて低い、具体的には例えば、ブタノール濃度が0.02質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、リン酸ジブチル濃度が0.01質量%、以下、より好ましくは0.005質量%以下とした、高純度のリン酸トリブチルが得られる。
【0041】
(抽出剤の製造方法)
本発明に係る抽出剤の製造方法は、リン酸トリブチルと希釈剤としての炭素数6以上の炭化水素類を含む抽出剤の製造方法であって、前記リン酸トリブチルはゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比が10以上のアルミノケイ酸塩化合物に接触させることによって成分中に含まれる不純物を除去された後、前記希釈剤と混合されることを特徴とするものである。
【0042】
本発明に係る抽出剤の製造方法においては、使用するリン酸トリブチルを、基本的に上述したリン酸トリブチルの製造方法と同様に、まず、ゼオライト骨格のシリカとアルミナのモル比が10以上のアルミノケイ酸塩化合物に接触させることによって成分中に含まれる不純物を除去した後、希釈剤と混合することで、不純物の極めて少ない抽出剤を得ることができるものである。これは、前記希釈剤の存在下においては、アルミノケイ酸塩化合物によるブタノール、リン酸ジブチル等の不純物の吸着が効率的に進行しない傾向があるため、前記希釈剤と混合する前に吸着処理を実施するものである。
【0043】
本発明に係る抽出剤の製造方法において、使用するリン酸トリブチルを前記アルミノケイ酸塩化合物と接触させる工程は、上述したリン酸トリブチルの製造方法における粗リン酸トリブチルと前記アルミノケイ酸塩化合物とを接触させる工程と、処理条件、好適範囲等は同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0044】
また、リン酸トリブチルと混合される希釈剤としての炭素数6以上の炭化水素類としては、当該希釈剤の用途等に応じて適宜決定されるものであり、上記条件を満たす限り特に限定されるものではないが、例えば、飽和ないしは不飽和の脂肪族、芳香族などの炭化水素類が含まれるが、このうち好ましくは、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンおよびエチルベンゼンなどが挙げられ、特にトルエン、オクタン、デカンである。
【0045】
使用するリン酸トリブチルを前記アルミノケイ酸塩化合物と接触させる工程後において、上述したような希釈剤と混合する場合における配合割合、混合方法等も特に限定されるわけではなく、得られる抽出剤の用途等に応じて適宜選択され得る。
【0046】
(抽出剤)
本発明に係る抽出剤は、上記したような抽出剤の製造方法により製造され得るものであり、主成分としてのリン酸トリブチルと希釈剤として炭素数6以上の炭化水素類を含む抽出剤であって、不純物としてのブタノールの濃度が0.02質量%以下、より好ましくは0.014質量%以下、およびリン酸ジブチルの濃度が0.01質量%以下、より好ましくは0.007質量%以下とされていることを特徴とするものである。
【0047】
このように不純物の含有量が極めて少ない抽出剤は、従来公知の種々の用途、例えば、特に限定されるものではないが、希金属、希土類金属、放射性金属等の各種金属の抽出溶媒、混合液中の特定のカルボン酸の抽出溶媒等として好適に使用され得るものである。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。
なお、以下の実施例において、各成分の分析は以下の通りの方法に従って行った。
【0049】
(リン酸ジブチル)
リン酸ジブチル成分量は、以下の条件によりシリル化剤を用いた誘導体化処理を行いガスクロマトグラフィーにより測定した。
ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(関東化学社製、以下BSTFA)を1g、n-デカン(関東化学社製)を9g加えたBSTFA溶液を調製シリル化剤として用いて、サンプル液約2gに対して、約0.5gの調製シリル化剤を加え、80℃の恒温槽にて1h加熱後に、ガスクロマトグラフィーにより分析した。リン酸ジブチルの成分量は検量線法にて定量した。
装置:GC-2014(島津製作所社製)
検出器:水素炎イオン検出器(FID)
カラム:G-100 (内径:1.2mm 長さ:40m 膜厚:3.0μm)
カラム昇温条件:80℃→10℃/min昇温→240℃(44分ホールド)
注入口条件:250℃、キャリアガス流量:15ml/min
【0050】
(水分)
水分は、カールフィッシャー水分計により求めた。
【0051】
(ブタノール)
ブタノール成分量は絶対検量線法にて定量し、ガスクロマトグラフィー分析条件は以下の通りとした。
装置:GC-2014(島津製作所社製)
検出器:水素炎イオン検出器(FID)
カラム:G-100 (内径:1.2mm 長さ:40m 膜厚:3.0μm)
カラム昇温条件:80℃→10℃/min昇温→240℃(44分ホールド)
注入口条件:250℃、キャリアガス流量:15ml/min
【0052】
(その他臭気成分を含む揮発成分)
その他臭気成分を含む揮発成分に関しては、70mlのサンプル瓶にサンプルを約30ml入れ、セプタムで蓋をした状態のサンプル瓶にシリンジ針を差し込み、気相部をNEEDLEx(信和化工社製、有機溶媒用)が付属した100mlシリンジにて、気相部を50ml採取し、NEEDLExをガスタイトシリンジに付け替え、ガスクロマトグラフィーに0.5ml注入することで、ヘッドスペース部(気相部)を100倍に濃縮し分析した。そして、以下の条件にてガスクロマトグラフにより定量し求めた。
装置:GC-2014(島津製作所社製)
検出器:水素炎イオン検出器(FID)
カラム:DB-WAX(内径:0.25mm 長さ:60m、膜厚:0.5μm)
カラム昇温条件:80℃→10℃/min昇温→220℃(44分ホールド)
注入口条件:250℃、キャリアガス流量:100ml/min
【0053】
(リン酸トリブチル)
ガスクロマトグラフィーにて、他の成分量を差引した残りをリン酸トリブチルの量とした。
【0054】
実施例1~4および比較例1~6
処理対象となる粗リン酸トリブチルとして、協力会社より提供されたものを準備した。この粗リン酸トリブチルを上記方法により分析したところ、不純物としてのブタノール濃度が0.1214質量%を含むものである結果が得られた。さらに、70mlのサンプル瓶にサンプルを約30ml入れ、セプタムで蓋をした状態の気相中の揮発成分の濃度が、ブテン0.022質量%、クロロブタン0.038質量%、ブチルエーテル0.009質量%である結果が得られた(以下、この粗リン酸トリブチルを「被処理液1」と表す。
被試料液1に対して表1に示す吸着剤を5質量%添加して、振とう機(トーマス科学器械社製、T-25)で18時間振とうさせた後、上澄みを採取して上記する分析条件により各成分濃度を測定して各成分吸着量を比較した。得られた結果を表1に示す。
なお、吸着剤として、実施例1および比較例5はハイシリカゼオライトNa+型、実施例2~4および比較例6はハイシリカゼオライトH+型、比較例1はWH2C(大阪ガスケミカル社製、やし殻由来活性炭)、比較例2はWH5C(大阪ガスケミカル社製、石炭由来活性炭)、比較例3はKL(大阪ガスケミカル社製、木炭由来活性炭)をそれぞれ用いた。
【0055】
実施例5~6
処理対象となる粗リン酸トリブチルとして、協力会社より提供された別ロットのものを用いた。この粗リン酸トリブチルを上記方法により分析したところ、不純物としてのブタノール濃度が0.1691質量%を含むものである結果が得られた(以下、この粗リン酸トリブチルを「被処理液2」と表す。
被試料液2に対して表1に示す吸着剤を5質量%添加して、実施例1~4と同様に振とう機で18時間振とうさせた後、上澄みを採取して上記する分析条件により各成分濃度を測定して各成分吸着量を比較した。得られた結果を表1に示す。
なお、吸着剤として、実施例5はハイシリカゼオライトNa+型、実施例6はハイシリカゼオライトH+型を用いた。
【0056】
比較例7
処理対象となる粗リン酸トリブチルとして、協力会社より提供された別ロットのものを用いた。この粗リン酸トリブチルを上記方法により分析したところ、不純物としてのブタノール濃度が0.0826質量%を含むものである結果が得られた(以下、この粗リン酸トリブチルを「被処理液3」と表す。
被試料液3に対して表1に示す吸着剤を5質量%添加して、実施例1~4と同様に振とう機で18時間振とうさせた後、上澄みを採取して上記する分析条件により各成分濃度を測定して各成分吸着量を比較した。得られた結果を表1に示す。吸着剤として、比較例7はモレキュラーシーブ5A(富士フィルム和光純薬製試薬)を用いた。
【0057】
【0058】
表1に示すように、本発明に係る実施例1~6においては、比較例1~7と比べ高いブタノール吸着率が得られた。なお、吸着剤処理後の処理液の臭気は、実施例1~6においては処理前の被処理液と比べて著しく改善されており、実際に上記条件にて気相部をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、臭気成分によるピーク面積がいずれも小さくなっていた。表2には、上記ガスクロマトグラフィーの結果から得られた吸着処理前の被処理液1における臭気成分濃度と、実施例1,2および比較例2での吸着処理後の処理液における臭気成分濃度を示す。
【0059】
【0060】
実施例7
本発明に係る吸着剤によるリン酸ジブチルの除去率を調べるため、試薬級リン酸n-トリブチル(関東化学社製)に対して、n-ブタノール(関東化学社製)およびリン酸ジブチル(Sigma-Aldrich製)を以下に示す割合で添加して、各種の被処理液を模擬的に調製した。
被処理液4:試薬級リン酸トリブチルにn-ブタノールおよびリン酸ジブチルをそれぞれ0.1質量%添加
被処理液5:試薬級リン酸トリブチルにn-ブタノールを0.1質量%、リン酸ジブチルを0.05質量%それぞれ添加
被処理液6:試薬級リン酸トリブチルにn-ブタノールを0.02質量%、リン酸ジブチルを0.1質量%それぞれ添加
これらの被処理液に対して、実施例5で用いたものと同じハイシリカゼオライトを5質量%添加して、振とう機(トーマス科学器械社製、T-25)で18時間振とうさせた後、上澄みを採取して上記する分析条件により各成分濃度を測定して各成分吸着量を比較した。得られた結果を表3に示す。
【0061】
【0062】
表3に示すように、本発明に係る実施例7においては、リン酸トリブチル中に含まれる不純物であるリン酸ジブチルおよびブタノールの濃度の違いがあっても、両不純物成分を吸着除去できるものであることが分かった。実施例7で用いたZSM-5型のハイシリカゼオライトでの吸着処理においては、ブタノールを優先的に除去する傾向がみられたが、ブタノールあるいはリン酸ジブチルのどちらかを過剰に含む場合であっても、どちらかが全く吸着されないという傾向は見られなかった。
【0063】
実施例8および9
本発明に係る吸着剤の結晶構造の違いによるリン酸ジブチルの除去率を調べるため、前記実施例7において調製した被処理液6に対して、実施例3で用いたものと同じハイシリカゼオライトを吸着剤(実施例8)または実施例4で用いたものと同じハイシリカゼオライト(実施例9)を5質量%添加して、振とう機(トーマス科学器械社製、T-25)で18時間振とうさせた後、上澄みを採取して上記する分析条件により各成分濃度を測定して各成分吸着量を比較した。得られた結果を表4に示す。
【0064】
【0065】
表4に示すように、リン酸トリブチル中のリン酸ジブチルの吸着量は実施例9の方が高かった。このように本発明に係る吸着剤の結晶構造の違いによりブタノール吸着量とリン酸ジブチル吸着量の差はあったが、ベータ型とZSM-5型ではいずれもブタノールとリン酸ジブチルを吸着した。
【0066】
参考例1
リン酸トリブチルと希釈剤を含む抽出剤に対する本発明に係る吸着剤の吸着効率を確認するため、実施例5~6で用いたものと同じ被処理液2、およびこの被処理液2と試薬級デカン(関東化学社製)とを質量比で75:25の割合で混合して調製した模擬抽出剤(以下、「被処理液7」と称する。)を用意した。
そしてこれらの被試料液2および7に対して実施例1で用いたものと同じ吸着剤を表5に示す割合で添加して、実施例1~4と同様に振とう機で18時間振とうさせた後、上澄みを採取して上記する分析条件により各成分濃度を測定して各成分吸着量を比較した。得られた結果を表5に示す。
【0067】
【0068】
表5に示すように希釈剤としてのデカンの共存下においては、リン酸トリブチルからのブタノールの吸着量が約60%程度低下する傾向が見られた。
【0069】
実施例10および11
通液速度の違いによるブタノールとリン酸ジブチルの吸着効率への影響を調べるため、以下の条件にて吸着処理を行った。
処理対象となる粗リン酸トリブチルとして、協力会社より提供された別ロットのものを用いた。この粗リン酸トリブチルを上記方法により分析したところ、不純物としてのブタノール濃度が0.1930質量%を含むものである結果が得られた。この粗リン酸トリブチルに試薬リン酸ジブチルを0.1質量%添加した液を被処理液8として実施例5に示す吸着剤を内径17.5mm、長さ120mmのPFA製の吸着カラムに12.0g加え、吸着カラムを被処理液8で満たした後に、13332.2Paに減圧して吸着剤中の気泡抜きを10分間行った後に、定量ポンプ(株式会社イワキ製、EHN-R)で通液速度0.08g/min(SV=0.3)にて吸着カラムに送液した(実施例10)および通液速度0.91g/min(SV=3.2)にて吸着カラムに送液した(実施例11)上記する分析条件によりブタノールおよびリン酸ジブチル濃度を測定し、通液速度と吸着量の関係を比較した。得られた結果を表6に示す。
【0070】
【0071】
実施例12
吸着剤の接触時間とブタノール吸着量の関係を調べるため、以下の条件にて吸着処理を実施した。実施例5に示す吸着剤を、内径28.4mm、長さ200mmのSUS304製の吸着カラムに60.0g加え、吸着カラムに充填し、被試料液2を1000g三角フラスコに仕込み、スターラーで撹拌しながら、被試料液2を定量ポンプ(イワキ社製、EHN-R)で通液速度7.1g/minにて吸着カラムに送液した。吸着カラム送液後の液は、被試料液2を含む三角フラスコに混合し、一定時間経過毎に三角フラスコ内の液を採取し、上記する分析条件によりブタノール濃度を測定し、通液循環時間とブタノール吸着量の関係を比較した。得られた結果を表7に示す。
【0072】
【0073】
表7に示すように、吸着剤との接触時間に比例してブタノール吸着量が増える傾向がみられた。