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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-28
(45)【発行日】2025-09-05
(54)【発明の名称】靴に用いる部材及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 1/14 20060101AFI20250829BHJP
   B29D 35/02 20100101ALI20250829BHJP
   A43B 11/00 20060101ALI20250829BHJP
   B29B 7/46 20060101ALI20250829BHJP
【FI】
A43B1/14
B29D35/02
A43B11/00
B29B7/46
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024231816
(22)【出願日】2024-12-27
【審査請求日】2025-01-10
(31)【優先権主張番号】202411353498.X
(32)【優先日】2024-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】324013379
【氏名又は名称】揚州市天宇靴業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】于 豊源
(72)【発明者】
【氏名】于 徐生
(72)【発明者】
【氏名】于 仟慧
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108424649(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0127753(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109867853(CN,A)
【文献】特開2003-070502(JP,A)
【文献】特開2012-135589(JP,A)
【文献】特開2019-034102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/14
B29D 35/02
A43B 11/00
B29B 7/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の各材料を各重量比にて混合した、靴に用いる部材。
・英国-デザインブルー社のD3O(登録商標): 30.0 ~ 50.0 部
・ポリウレタンエラストマー: 40.0 ~ 60.0 部
・抗酸化剤: 0.8 ~ 1.5 部
・潤滑剤: 1.0 ~ 2.0 部
・イニシエーター: 0.1 ~ 0.3 部
・触媒: 0.1 ~ 0.2 部
・2,4,6-トリビニルボロキシン: 3.0 ~ 5.0 部
・メタクリロイルオキシエチルイソシアネート: 1.0 ~ 3.0 部
・セルロースナノクリスタル: 4.0 ~ 6.0 部
・2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル: 0.5 ~ 1.0 部
・発泡剤: 1.0 ~ 5.0 部
・泡沫安定剤: 0.5 ~ 1.5部
【請求項2】
前記発泡剤は、水、シクロペンタン、ノルペンタン、ノルヘキサンの少なくとも1つからなる請求項1記載の靴に用いる部材。
【請求項3】
前記泡沫安定剤は、ヒドロキシル基含有ポリシロキサン泡安定剤、米国-ダウ・コーニング社のDC193、独国-エボニック社のTEGOSTAB(登録商標)B8930、中国-メイスタケミカル社のM8804の1又は複数からなる請求項1記載の靴に用いる部材。
【請求項4】
前記セルロースナノクリスタルは、長さが100.0 ~ 500.0nm、直径が20.0 ~ 100.0nmである請求項1記載の靴に用いる部材。
【請求項5】
前記触媒は、ジブチルスズジラウレート(DY-12)、有機ビスマス(DY-20)の少なくとも1つからなる請求項1記載の靴に用いる部材。
【請求項6】
前記イニシエーターは、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン(=中文名:硫化剤双25)を重量比1:1~2:0.8~1.2で混合してなる請求項1記載の靴に用いる部材。
【請求項7】
前記潤滑剤は、シリコーンパウダー、変性エチレンビス脂肪酸アミド(中国-シンタイグオグアンケミカルオキシルアリー社のTAF)又はテトラステアリン酸ペンタエリスリトール(中国-ジェンシンプラスチックプロダクツ社のRH-313)である請求項1記載の靴に用いる部材。
【請求項8】
前記抗酸化剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(=中文名:抗気剤1010)、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)(=中文名:抗気剤168)、ジブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸ステアリルエステル(=中文名:抗気剤1076)、の少なくとも1つからなる請求項1記載の靴に用いる部材。
【請求項9】
前記ポリウレタンエラストマーは、中国-ゼッコウカホウ社のポリウレタン系熱可塑性エラストマー HF-1080AL TPUでなる請求項1記載の靴に用いる部材。
【請求項10】
前記請求項1~9のいずれか1項に記載の靴に用いる部材を製造する方法であって、前記各材料を前記各重量比で均一に混合し、二軸押出機で押出し、180~200℃の金型に注ぎ、1~2分間発泡させ、脱型後にトリミングすることで、U字形状とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子複合材料の技術分野に属し、靴に用いる部材およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中国はすでに深刻な高齢化の段階に入り、この傾向はますます強まっている。2035年頃には、高齢者人口が4億人を突破する見込みである。
したがって、健康的な高齢化を実現し、高齢者の生活の質と幸福感を向上させることが、国家の経済社会発展の全体計画と持続可能な発展戦略に組み込まれている。
さらに、病院の医師、看護師、介護スタッフ、介護施設や家庭において介護する人、月姉(中国語で「月の姉」、産後ケアを専門とする女性)、レストランのシェフやサービススタッフなど、多くの人々が特殊な環境下で迅速な対応を求められている。
このような状況下で、靴に用いる部材が必要とされていた。安全な靴は、高齢者の生活の質を向上させ、特殊な作業環境において迅速な対応を可能にし、高齢者が靴を脱ぎ履きする際の転倒や眩暈、酸欠による一部の器官の障害を防止することができる。また、特殊な作業環境において靴の脱ぎ履きに時間を費やすことで、最適な応急対応時間を逃すことを防ぐことができる。
【0003】
足の挿入を自在にするには、多機能なエラストマー材料の応用が特に重要である。
D3O(登録商標)は、特別な高分子材料であり、通常の状態では柔らかいが、外力が加わると非常に硬くなり、優れた防護性能を発揮する。D3O(登録商標)を用いて卵を包むと、ハンマーで叩いても割れることがない。
D3O(登録商標)は、この数年間、海外市場で大きな注目を集め、スマートフォンケースから膝当て、肘当て、特製ヘルメット、警察や軍隊の防弾チョッキ、セーフティシューズのつま先のカバーなど、幅広い分野で大きな成果を示している。
しかし、靴市場ではD3O(登録商標)を靴の部材に応用した報告はほとんどない。
さらに、D3O(登録商標)は、そのままでは耐衝撃性、耐劣化性、快適性の改善が必要になるという欠点があった。
【0004】
また、現在の靴の部材に用いる多機能エラストマーは、耐衝撃強度が不足し、また、耐劣化性能が不十分であると共に、抗疲労性能と快適性の向上が求められるなどの技術的欠点があった。
例えば、中国特許公開番号CN109867853A(特許文献1)には、以下の重量配分のP4U(商品名)というゴムプラスチック複合発泡材料が開示されている。エチレン-酢酸ビニル共重合体25~40部、熱可塑性エラストマー25~40部、P4U機能性シリコン基応力応答型スマート材料15~25部、耐摩耗剤5~15部、充填剤5~8部、活性剤2~5部、架橋剤0.7~1.2部、発泡剤2.5~3.5部、添加剤0~10部。
上記の各成分の組み合わせにより、得られたゴムプラスチック複合発泡材料は柔軟で快適で、クッション性と反発性に優れており(反発率は60%以上)、戻り性能も良好なものとすることができる。したがって、スポーツシューズの靴底の性能要求を満たし、消費者に持続的な快適性を提供することができる。
しかし、耐劣化性能と反発性能の向上はまだ必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国公開公報第109867853号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、快適性が高く、反発性が良く、耐劣化性能に優れ、耐用年数が長い、靴に用いる部材及び製造方法を開発することであり、この課題を解決することは、市場の需要に応え、広範な市場価値と応用の見通しがあり、靴の発展を促進する上で非常に重要な意義がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、従来技術の課題を克服し、耐劣化性能に優れ、快適性が高く、反発力が十分で、使用寿命の長い、靴に用いる部材およびその製造方法を提供することである。
本発明は以下の技術的手段により実現できる。
すなわち、本発明による靴に用いる部材は、次の重量比による各原材料でなる。D3O(登録商標)30.0 ~ 50.0 部、ポリウレタンエラストマー:40.0 ~ 60.0 部、抗酸化剤:0.8 ~ 1.5 部、潤滑剤:1.0 ~ 2.0 部、イニシエーター:0.1 ~ 0.3 部、触媒:0.1 ~ 0.2 部、2,4,6-トリビニルボロキシン:3.0 ~ 5.0 部、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート:1.0 ~ 3.0 部、セルロースナノクリスタル:4.0 ~ 6.0 部、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル:0.5 ~ 1.0 部、発泡剤:1.0 ~ 5.0 部、泡沫安定剤:0.5 ~ 1.5部。
【0008】
前記発泡剤は、望ましくは、水、シクロペンタン、ノルペンタン、ノルヘキサンの少なくとも1つを選べばよい。
【0009】
前記泡沫安定剤は、望ましくは、ヒドロキシル基含有ポリシロキサン泡安定剤、米国-ダウ・コーニング社のDC193、独国-エボニック社のTEGOSTAB(登録商標)B8930、中国-メイスタケミカル社のM8804の1又は複数を選べばよい。
【0010】
前記セルロースナノクリスタルは、望ましくは、長さが100.0 ~ 500.0nm、直径が20.0 ~ 100.0nmとすればよい。前記セルロースナノクリスタルは中国-ナノエーステクノロジー社のものである。
【0011】
前記触媒は、望ましくは、ジブチルスズジラウレート(DY-12)、有機ビスマス(DY-20)の少なくとも1つを選べばよい。
【0012】
前記イニシエーターは、望ましくは、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン(=中文名:硫化剤双25)を重量比1:1~2:0.8~1.2で混合したものを選べばよい。
【0013】
前記潤滑剤は、望ましくは、シリコーンパウダー、変性エチレンビス脂肪酸アミド(中国-シンタイグオグアンケミカルオキシルアリー社のTAF)又はテトラステアリン酸ペンタエリスリトール(中国-ジェンシンプラスチックプロダクツ社のRH-313)であればよい。
【0014】
前記抗酸化剤は、望ましくは、ペンタエリスリトールテトラキス(=中文名:抗気剤1010)、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)(=中文名:抗気剤168)、ジブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸ステアリルエステル(=中文名:抗気剤1076)、の少なくとも1つを選べばよい。
【0015】
前記ポリウレタンエラストマーは、望ましくは、中国-ゼッコウカホウ社のポリウレタン系熱可塑性エラストマーHF-1080AL TPUであればよい。
【0016】
D3O(登録商標)は既存技術であり、直接購入可能な商品で、英国のエンジニアリチャード・パルマーが発明した「膨張性泡沫」材料の一種である。D3O(登録商標)は、常態では柔らかく弾性があり、衝撃や圧力を受けると分子間が即座にロックされ、硬くなり外力を吸収し防護層を形成し、外力が消えると、元の柔らかく弾性のある状態に戻る特性がある。
【0017】
また、本発明の靴に用いる部材を製造する方法は、各材料を各重量比で均一に混合し、二軸押出機で押出し、180~200℃の金型に注ぎ、1~2分間発泡させ、脱型後にトリミングして、U字形状とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は有益な効果を有する。本発明は、靴に用いる部材を提供することができる。このために以下の各材料を各重量比で有する構成とする。すなわち、英国-デザインブルー社のD3O(登録商標)30.0 ~ 50.0 部、ポリウレタンエラストマー:40.0 ~ 60.0 部、抗酸化剤:0.8 ~ 1.5 部、潤滑剤:1.0 ~ 2.0 部、イニシエーター:0.1 ~ 0.3 部、触媒:0.1 ~ 0.2 部、2,4,6-トリビニルボロキシン:3.0 ~ 5.0 部、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート:1.0 ~ 3.0 部、セルロースナノクリスタル:4.0 ~ 6.0 部、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル:0.5 ~ 1.0 部、発泡剤:1.0 ~ 5.0 部、泡沫安定剤:0.5 ~ 1.5部。
上記の各材料の相互作用により、製造された(本発明)部材は快適性が高く反発力が十分で、耐劣化性能に優れ、使用寿命を長くすることができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)(b)は本発明の実施例における靴に用いる部材の概略図である。
図2】(a)(b)は本発明の実施例における靴の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
当業者が本発明の技術的手段をよりよく理解できるように、以下の実施例において本発明の製品についてさらに詳細に説明する。
【0021】
以下の実施例において、靴に用いるU字形状の部材は図1の形状に成形され、該部材を取り付けた靴図2に示している。
【0022】
(実施例1)
実施例1の靴に用いる部材は、以下の各材料を各重量比で有した構成とされている。
・英国-デザインブルー社のD3O(登録商標): 30.0部
・ポリウレタンエラストマー: 40.0部
・抗酸化剤: 0.8部
・潤滑剤: 1.0部
・イニシエーター: 0.1部
・触媒: 0.1部
・2,4,6-トリビニルボロキシン: 3.0部
・メタクリロイルオキシエチルイソシアネート: 1.0部
・セルロースナノクリスタル: 4.0部
・2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル: 0.5部
・発泡剤: 1.0部
・泡沫安定剤: 0.5部
【0023】
上記発泡剤は水を用いた。
上記泡沫安定剤はヒドロキシル基含有ポリシロキサン泡安定剤及び米国-ダウ・コーニング社のDC193を用いた。
上記セルロースナノクリスタルの長さは100.0~500.0nm、直径は20.0~100.0nmであり、中国-ナノエーステクノロジー社のものを用いた。
上記触媒はジブチルスズジラウレート(DY-12)を用いた。
上記イニシエーターはtert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン(中文名:硫化剤25)を1:1:0.8の重量比で混合したものを用いた。
上記潤滑剤はシリコーンパウダーを用いた。
上記抗酸化剤はペンタエリスリトールテトラキス(中文名:抗気剤1010)を用いた。
上記ポリウレタンエラストマーは中国-ゼッコウカホウ社のポリウレタン系熱可塑性エラストマーHF-1080AL TPUを用いた。
【0024】
D3O(英国-デザインブルー社の登録商標)は既存技術であり、直接購入できる商品である。これは英国の技術者であるリチャード・パーマーが開発した材料であり、「膨張性泡沫」材料の一種に属している。D3O(登録商標)は「多機能分子」(粘液とポリマー化合物)で構成された衝撃吸収材料であり、異なる重力衝撃下で2つの機械的態様を示し、常態では緩んだ状態を保ち、柔らかく弾性があり、しかし、衝撃や圧力を受けると分子間が即座にロックされ、迅速に締まり硬くなって外力を吸収し、防護層を形成し、外力が消失すると、元の緩く柔らかい状態に戻る。
【0025】
製造方法は、各材料を各重量比で均一に混合し、二軸押出機で押出し、180℃の金型に注ぎ、1分間発泡させ、脱型後にトリミングして、U字形状の、靴に用いる部材を得る。
【0026】
(実施例2)
実施例2の靴に用いる部材は、以下の各材料を各重量比で有した構成とされている。
・英国-デザインブルー社のD3O(登録商標): 35.0部
・ポリウレタンエラストマー: 45.0部
・抗酸化剤: 0.9部
・潤滑剤: 1.2部
・イニシエーター: 0.15部
・触媒: 0.13部
・2,4,6-トリビニルボロキシン: 3.5部
・メタクリロイルオキシエチルイソシアネート: 1.5部
・セルロースナノクリスタル: 4.5部
・2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル: 0.6部
・発泡剤: 2.0部
・泡沫安定剤: 0.8部

【0027】
上記発泡剤はシクロペンタンを用いた。
上記泡沫安定剤はヒドロキシル基含有ポリシロキサン泡安定剤、独国-エボニック社のTEGOSTAB(登録商標)B8930を用いた。
上記セルロースナノクリスタルの長さは100.0~500.0nm、直径は20.0~100.0nmであり、中国-ナノエーステクノロジー社のものを用いた。
上記触媒は有機ビスマス(DY-20)を用いた。
上記イニシエーターは、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン(=中文名:硫化剤双25)を1:1.3:0.9の重量比で混合したものを用いた。
上記潤滑剤は変性エチレンビス脂肪酸アミド(中国-シンタイグオグアンケミカルオキシルアリー社のTAF)を用いた。
上記抗酸化剤は亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)(=中文名:抗気剤168)を用いた。
上記ポリウレタンエラストマーは中国-ゼッコウカホウ社のポリウレタン系熱可塑性エラストマーHF-1080AL TPUを用いた。
【0028】
D3O(英国-デザインブルー社の登録商標)は既存技術であり、直接購入できる商品である。これは英国の技術者であるリチャード・パーマーが開発した材料であり、「膨張性泡沫」材料の一種に属している。D3O(登録商標)は「多機能分子」(粘液とポリマー化合物)で構成された衝撃吸収材料であり、異なる重力衝撃下で2つの機械的態様を示し、常態では緩んだ状態を保ち、柔らかく弾性があり、しかし、衝撃や圧力を受けると分子間が即座にロックされ、迅速に締まり硬くなって外力を吸収し、防護層を形成し、外力が消失すると、元の緩く柔らかい状態に戻る。
【0029】
製造方法は、各材料を各重量比で均一に混合し、二軸押出機で押出し、185℃の金型に注ぎ、1.2分間発泡させ、脱型後にトリミングして、U字形状の、靴に用いる部材を得る。
【0030】
(実施例3)
実施例3の靴に用いる部材は、以下の各材料を各重量比で有した構成とされている。
・英国-デザインブルー社のD3O(登録商標): 40.0部
・ポリウレタンエラストマー: 50.0部
・抗酸化剤: 1.2部
・潤滑剤: 1.5部
・イニシエーター: 0.2部
・触媒: 0.15部
・2,4,6-トリビニルボロキシン: 4.0部
・メタクリロイルオキシエチルイソシアネート: 2.0部
・セルロースナノクリスタル: 5.0部
・2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル: 0.8部
・発泡剤: 3.0部
・泡沫安定剤: 1.0部
【0031】
上記発泡剤はノルペンタンを用いた。
上記泡沫安定剤はヒドロキシ基を含むポリシロキサン泡沫安定剤であり、中国-メイスタケミカル社のM8804を用いた。
上記セルロースナノクリスタルの長さは100.0~500.0nm、直径は20.0~100.0nmであり、中国-ナノエーステクノロジー社のものを採用した。
上記触媒はジブチルスズジラウレート(DY-12)を用いた。
上記イニシエーターはtert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン(=中文名:硫化剤双25)を1:1.5:1の重量比で混合したものを用いた。
上記潤滑剤はテトラステアリン酸ペンタエリスリトール(中国-ジェンシンプラスチックプロダクツ社のRH-313)を用いた。
上記抗酸化剤はジブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸ステアリルエステル(=中文名:抗気剤1076)を用いた。
上記ポリウレタンエラストマーは中国-ゼッコウカホウ社のポリウレタン系熱可塑性エラストマーHF-1080AL TPUを用いた。
【0032】
D3O(英国-デザインブルー社の登録商標)は既存技術であり、直接購入できる商品である。これは英国の技術者であるリチャード・パーマーが開発した材料であり、「膨張性泡沫」材料の一種に属している。D3O(登録商標)は「多機能分子」(粘液とポリマー化合物)で構成された衝撃吸収材料であり、異なる重力衝撃下で2つの機械的態様を示し、常態では緩んだ状態を保ち、柔らかく弾性があり、しかし、衝撃や圧力を受けると分子間が即座にロックされ、迅速に締まり硬くなって外力を吸収し、防護層を形成し、外力が消失すると、元の緩く柔らかい状態に戻る。
【0033】
製造方法は、各材料を各重量比で均一に混合し、二軸押出機で押出し、190℃の金型に注ぎ、1.5分間発泡させ、脱型後にトリミングして、U字形状の、靴に用いる部材を得る。
【0034】
(実施例4)
実施例4の靴に用いる部材は、以下の各材料を各重量比で有した構成とされている。
・英国-デザインブルー社のD3O(登録商標): 45.0部
・ポリウレタンエラストマー: 55.0部
・抗酸化剤: 1.4部
・潤滑剤: 1.8部
・イニシエーター: 0.25部
・触媒: 0.18部
・2,4,6-トリビニルボロキシン: 4.5部
・メタクリロイルオキシエチルイソシアネート: 2.5部
・セルロースナノクリスタル: 5.5部
・2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル: 0.9部
・発泡剤: 4.0部
・泡沫安定剤: 1.4部
【0035】
上記発泡剤は水、シクロペンタン、ノルペンタン、ノルヘキサンを1:2:1:3の重量比で混合したものを用いた。
上記泡沫安定剤はヒドロキシ基を含むポリシロキサン泡沫安定剤であり、米国-ダウ・コーニング社のDC193、独国-エボニック社のTEGOSTAB(登録商標)B8930、中国-メイスタケミカル社のM8804を1:3:2の重量比で混合したものを用いた。
上記セルロースナノクリスタルの長さは100.0~500.0nm、直径は20.0-100.0nmであり、中国-ナノエーステクノロジー社のものを用いた。
上記触媒はジブチルスズジラウレート(DY-12)、有機ビスマス(DY-20)を3:5の重量比で混合したものを用いた。
上記開始剤はtert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン(=中文名:硫化剤双25)を1:1.8:1.1の重量比で混合したものを用いた。
上記潤滑剤はシリコーンパウダー、シリコーンパウダー、変性エチレンビス脂肪酸アミド(中国-シンタイグオグアンケミカルオキシルアリー社のTAF)又はテトラステアリン酸ペンタエリスリトール(中国-ジェンシンプラスチックプロダクツ社のRH-313)を1:2:3の重量比で混合したものを用いた。
上記抗酸化剤はペンタエリスリトールテトラキス(=中文名:抗気剤1010)、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)(=中文名:抗気剤168)、ジブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸ステアリルエステル(=中文名:抗気剤1076)を1:3:5の重量比で混合したものを用いた。
上記ポリウレタンエラストマーは中国-ゼッコウカホウ社のポリウレタン系熱可塑性エラストマーHF-1080AL TPUを用いた。
【0036】
D3O(英国-デザインブルー社の登録商標)は既存技術であり、直接購入できる商品である。これは英国の技術者であるリチャード・パーマーが開発した材料であり、「膨張性泡沫」材料の一種に属している。D3O(登録商標)は「多機能分子」(粘液とポリマー化合物)で構成された衝撃吸収材料であり、異なる重力衝撃下で2つの機械的態様を示し、常態では緩んだ状態を保ち、柔らかく弾性があり、しかし、衝撃や圧力を受けると分子間が即座にロックされ、迅速に締まり硬くなって外力を吸収し、防護層を形成し、外力が消失すると、元の緩く柔らかい状態に戻る。
【0037】
製造方法は、各材料を各重量比で均一に混合し、二軸押出機で押出し、195℃の金型に注ぎ、1.8分間発泡させ、脱型後にトリミングして、U字形状の、靴に用いる部材を得る。
【0038】
(実施例5)
実施例5の靴に用いる部材は、以下の各材料を各重量比で有した構成とされている。
・英国-デザインブルー社のD3O(登録商標): 50.0部
・ポリウレタンエラストマー: 60.0部
・抗酸化剤: 1.5部
・潤滑剤: 2.0部
・イニシエーター: 0.3部
・触媒: 0.2部
・2,4,6-トリビニルボロキシン: 5.0部
・メタクリロイルオキシエチルイソシアネート: 3.0部
・セルロースナノクリスタル: 6.0部
・2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル: 1.0部
・発泡剤: 5.0部
・泡沫安定剤: 1.5部
【0039】
上記発泡剤はノルヘキサンを用いた。
上記泡沫安定剤はヒドロキシ基を含むポリシロキサン泡沫安定剤であり、米国-ダウ・コーニング社のDC193を用いた。
上記セルロースナノクリスタルの長さは100.0~500.0nm、直径は20.0~100.0nmであり、中国-ナノエーステクノロジー社のものを用いた。
上記触媒は有機ビスマス(DY-20)を用いた。
上記開始剤はtert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン(=中文名:硫化剤双25)を1:2:1.2の重量比で混合したものを用いた。
上記潤滑剤は変性エチレンビス脂肪酸アミド(中国-シンタイグオグアンケミカルオキシルアリー社のTAF)を用いた。
上記抗酸化剤はペンタエリスリトールテトラキス(=中文名:抗気剤1010)を用いた。
上記ポリウレタンエラストマーは中国-ゼッコウカホウ社のポリウレタン系熱可塑性エラストマーHF-1080AL TPUを用いた。
【0040】
D3O(英国-デザインブルー社の登録商標)は既存技術であり、直接購入できる商品である。これは英国の技術者であるリチャード・パーマーが開発した材料であり、「膨張性泡沫」材料の一種に属している。D3O(登録商標)は「多機能分子」(粘液とポリマー化合物)で構成された衝撃吸収材料であり、異なる重力衝撃下で2つの機械的態様を示し、常態では緩んだ状態を保ち、柔らかく弾性があり、しかし、衝撃や圧力を受けると分子間が即座にロックされ、迅速に締まり硬くなって外力を吸収し、防護層を形成し、外力が消失すると、元の緩く柔らかい状態に戻る。
【0041】
製造方法は、各材料を各重量比で均一に混合し、二軸押出機で押出し、200℃の金型に注ぎ、2.0分間発泡させ、脱型後にトリミングして、U字形状の、靴に用いる部材を得る。
【0042】
(対比例1)
対比例1は、実施例1と異なる点として、2,4,6-トリエチルビルクロボキシランを添加せず、(実施例1における40.0部の)ポリウレタンエラストマーが等量、D3O(登録商標)に代替された構成である。
【0043】
(対比例2)
対比例2は、実施例1異なる点として、セルロースナノクリスタルを添加せず、(実施例1における30.0部の)D3O(登録商標)が等量、ポリウレタンエラストマーに代替された構成である。
【0044】
本発明の靴に用いる部材の具体的な技術効果を評価するために、本発明の実施例および対比例に関する性能テストを行い、そのテスト結果を表1に示す。テスト方法は以下の通りである。
(1)快適性:1グループ10人のボランティアを選び、各実施例と各対比例の各グループとした。各グループにおいて靴に用いる部材を取り付けた靴を試着し、3日間着用した後、その快適性を10点満点で評価し、各グループ内の10人の平均得点を得た。
(2)反発性:GB/T1681-2009(※)に基づいている。
※GB/T1681-2009 中国における、衝撃ひずみとひずみ速度の狭い範囲内で、 あらゆる形態の衝撃によってゴムの反発弾性を測定する方法の規定。
(3)耐熱劣化性:各例の製品を90℃の人工加速劣化箱に120時間置き、その後取り出して再度(2)の通り反発性の方法でテストした。反発性の保持率を耐熱劣化性の指標とし、その値が大きいほど耐熱劣化性が優れていることを示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1からわかるように、本発明の実施例で開示した靴に用いる部材を取り付けた靴は、対比例と比較して、より優れた反発性と耐熱劣化性を持ち、さらに快適な着用感となり、2,4,6-トリエチルビルクロボキシラン、D3O(登録商標)、ポリウレタンエラストマー、およびセルロースナノクリスタルの添加がこれらの性能向上に寄与している。
【0047】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明に対していかなる形式の制限も意図するものではなく、本技術分野の通常の技術者は、上記記載に基づいて本発明を円滑に実施することができる。本技術分野に精通した技術者であれば、本発明の技術範囲を逸脱することなく、上記開示された技術内容を利用して若干の変更、修正を行うことができるが、それらはすべて本発明の等価実施例と見なされる。また、本発明の技術範囲内における等価変更、修正は本発明の技術範囲の保護対象に含まれる。
【要約】      (修正有)
【課題】高分子複合材料技術分野に関し、挿入自在な多機能一体で安全な靴に用いる部材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】挿入自在な多機能一体で安全な靴に用いる部材は、以下の各原料を各重量比にて混合した構成である。英国-デザインブルー社のD3O(登録商標):30.0~50.0部、ポリウレタンエラストマー:40.0~60.0部、抗酸化剤:0.8~1.5部、潤滑剤:1.0~2.0部、イニシエーター:0.1~0.3部、触媒:0.1~0.2部、2,4,6-トリビニルボロキシン:3.0~5.0部、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート:1.0~3.0部、セルロースナノクリスタル:4.0~6.0部、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル:0.5~1.0部、発泡剤:1.0~5.0部、泡沫安定剤:0.5~1.5部。
【効果】優れた耐熱劣化性能を持ち、快適で反発力があり、長寿命となる。
【選択図】図1
図1
図2