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特許7734822コンピュータシステム、コンピュータ実装方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-28
(45)【発行日】2025-09-05
(54)【発明の名称】コンピュータシステム、コンピュータ実装方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20250829BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024232893
(22)【出願日】2024-12-27
【審査請求日】2025-01-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521316121
【氏名又は名称】株式会社JR西日本イノベーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】白水 菜々重
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142250(JP,A)
【文献】特開2003-196351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の周辺におけるスポットが関連付けられ、前記スポットに、前記スポットの属性を示す第1属性情報が関連付けられたデータベースと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて、前記乗降場又は前記路線のユーザ提示用第2属性情報を求め、
ユーザのお気に入りスポットの登録を受け付け、前記ユーザのお気に入りスポットの前記第1属性情報に基づいて、前記スポットに関する前記ユーザの嗜好を示す嗜好情報を取得し、
前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて求められた前記乗降場又は前記路線の前記ユーザ提示用第2属性情報と、前記嗜好情報と、に基づいて前記ユーザの嗜好にマッチする乗降場又は路線を識別し、
識別された前記乗降場の前記ユーザ提示用第2属性情報を、識別された前記乗降場とともに、前記ユーザに提示する、又は、識別された前記路線の前記ユーザ提示用第2属性情報を、識別された前記路線を含む路線図とともに、前記ユーザに提示する、
ことを含む動作を実行する、
コンピュータシステム。
【請求項2】
前記動作は、
識別された前記乗降場に関連付けられた前記スポット、又は、識別された前記路線に含まれる前記乗降場に関連付けられた前記スポットを、前記ユーザに提示する、
ことを更に含む、
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記ユーザに提示される前記スポットは、
識別された前記乗降場に関連付けられた前記スポットの前記第1属性情報、又は、
識別された前記路線に含まれる前記乗降場に関連付けられた前記スポットの前記第1属性情報、
に基づいて決定される、
請求項に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記ユーザに提示される前記スポットは、
前記嗜好情報と、識別された前記乗降場に関連付けられた前記スポットの前記第1属性情報と、に基づいて決定される、又は、
前記嗜好情報と、識別された前記路線に含まれる前記乗降場に関連付けられた前記スポットの前記第1属性情報と、に基づいて決定される、
請求項に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記動作は、
識別された前記乗降場に関連付けられた前記スポット、又は、識別された前記路線に含まれる前記乗降場に関連付けられた前記スポットを、地図上において、前記乗降場との関係を示しつつ前記ユーザに提示する、
ことを更に含む、
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記ユーザの嗜好にマッチする前記乗降場は、合致度に基づいて決定され、
前記合致度は、複数の前記乗降場それぞれの前記ユーザ提示用第2属性情報と、前記嗜好情報と、が合致する度合を示す、
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記動作は、
前記スポットの前記第1属性情報をユーザから取得し、
取得した前記第1属性情報から、前記スポットに関連付けられた前記乗降場の属性を示す前記ユーザ提示用第2属性情報を得て、
前記ユーザ提示用第2属性情報を、前記乗降場又は前記路線に関連付けて保存する、
ことを更に含む、
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
前記交通機関は、鉄道であり、
前記乗降場は、前記鉄道の駅である、
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の周辺におけるスポットが関連付けられ、前記スポットに、前記スポットの属性を示す第1属性情報が関連付けられたデータベースを備えるコンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、
前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて、前記乗降場又は前記路線のユーザ提示用第2属性情報を求め、
ユーザのお気に入りスポットの登録を受け付け、前記ユーザのお気に入りスポットの前記第1属性情報に基づいて、前記スポットに関する前記ユーザの嗜好を示す嗜好情報を取得し、
前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて求められた前記乗降場又は前記路線の前記ユーザ提示用第2属性情報と、前記嗜好情報と、に基づいて前記ユーザの嗜好にマッチする乗降場又は路線を識別し、
識別された前記乗降場の前記ユーザ提示用第2属性情報を、識別された前記乗降場とともに、前記ユーザに提示する、又は、識別された前記路線の前記ユーザ提示用第2属性情報を、識別された前記路線を含む路線図とともに、前記ユーザに提示する、
ことを含む、
コンピュータ実装方法。
【請求項10】
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の周辺におけるスポットが関連付けられ、前記スポットに、前記スポットの属性を示す第1属性情報が関連付けられたデータベースを備えるコンピュータに、
前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて、前記乗降場又は前記路線のユーザ提示用第2属性情報を求め、
ユーザのお気に入りスポットの登録を受け付け、前記ユーザのお気に入りスポットの前記第1属性情報に基づいて、前記スポットに関する前記ユーザの嗜好を示す嗜好情報を取得し、
前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて求められた前記乗降場又は前記路線の前記ユーザ提示用第2属性情報と、前記嗜好情報と、に基づいて前記ユーザの嗜好にマッチする乗降場又は路線を識別し、
識別された前記乗降場の前記ユーザ提示用第2属性情報を、識別された前記乗降場とともに、前記ユーザに提示する、又は、識別された前記路線の前記ユーザ提示用第2属性情報を、識別された前記路線を含む路線図とともに、前記ユーザに提示する、
ことを含む動作を実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交通機関に関連したサービスを提供するためのコンピュータシステム、コンピュータ実装方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、列車の車内へ自動的に表示する広告データを送信し表示する鉄道広告配信システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-275233号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示は、交通機関を利用するユーザに対して、交通機関に関連したサービスを提供すための新たな技術を提供することを目的とする。
【0005】
本開示のある側面は、コンピュータシステムである。開示のコンピュータシステムは、ある実施形態において、プロセッサと、交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の周辺におけるスポットが関連付けられ、前記スポットに、前記スポットの属性を示す第1属性情報が関連付けられたデータベースと、を備え得る。前記プロセッサは、前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて決まる前記乗降場又は前記路線の第2属性情報と、前記スポットに関するユーザの嗜好を示す嗜好情報と、に基づいて、前記ユーザの嗜好にマッチする乗降場又は路線を識別する、ことを含む動作を実行する、コンピュータシステムであり得る。
【0006】
本開示の他の側面は、方法又はコンピュータプログラムである。
【0007】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るコンピュータシステムの構成図である。
図2図2は、サービス提供処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、データベースのデータ構造図である。
図4図4は、鉄道に関連したデータベースの説明図である。
図5図5は、スポットに関連したデータベースの説明図である。
図6図6は、ユーザデータベースの説明図である。
図7図7は、合致度及びマッチングスコアの計算の説明図である。
図8図8は、表示モードの説明図である。
図9図9は、コンピュータシステムのデータフロー図である。
図10図10は、インテリジェント路線図システム及び空きアセットマッチングシステムの説明図である。
図11図11は、第1モードの画面説明図である。
図12図12は、第2モードの画面説明図である。
図13図13は、第2モードの画面説明図である。
図14図14は、各種の画面説明図である。
図15図15は、第3モードの画面説明図である。
図16図16は、第3モードの画面説明図である。
図17図17は、フィルタ画面説明図である。
図18図18は、景観インプレッションに関連したデータベースの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.コンピュータシステム、コンピュータ実装方法及びコンピュータプログラムの概要>
【0010】
(A1)
実施形態に係るコンピュータシステムは、
プロセッサと、
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の周辺におけるスポットが関連付けられ、前記スポットに、前記スポットの属性を示す第1属性情報が関連付けられたデータベースと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて決まる前記乗降場又は前記路線の第2属性情報と、
前記スポットに関するユーザの嗜好を示す嗜好情報と、に基づいて、
前記ユーザの嗜好にマッチする乗降場又は路線を識別する、
ことを含む動作を実行する、
コンピュータシステムであり得る。
【0011】
(A2)
前記動作は、
識別された前記乗降場又は識別された前記路線を、ユーザに提示する、
ことを更に含む、
(A1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0012】
(A3)前記動作は、
識別された前記乗降場の前記第2属性情報、又は、識別された前記路線の前記第2属性情報を、ユーザに提示する、
ことを更に含む、
(A1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0013】
(A4)
前記動作は、
識別された前記乗降場に関連付けられた前記スポット、又は、識別された前記路線に含まれる前記乗降場に関連付けられた前記スポットを、前記ユーザに提示する、
ことを更に含む、
(A1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0014】
(A5)
前記ユーザに提示される前記スポットは、
識別された前記乗降場に関連付けられた前記スポットの前記第1属性情報、又は、
識別された前記路線に含まれる前記乗降場に関連付けられた前記スポットの前記第1属性情報、
に基づいて決定される、
(A4)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0015】
(A6)
前記ユーザに提示される前記スポットは、
前記スポットに関するユーザの嗜好を示す嗜好情報と、識別された前記乗降場に関連付けられた前記スポットの前記第1属性情報と、に基づいて決定される、又は、
前記スポットに関するユーザの嗜好を示す嗜好情報と、識別された前記路線に含まれる前記乗降場に関連付けられた前記スポットの前記第1属性情報と、に基づいて決定される、
(A4)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0016】
(A7)
前記動作は、
識別された前記乗降場に関連付けられた前記スポット、又は、識別された前記路線に含まれる前記乗降場に関連付けられた前記スポットを、地図上において、前記乗降場との関係を示しつつ前記ユーザに提示する、
ことを更に含む、
(A1)に記載のコンピュータシステム。
【0017】
(A8)
前記ユーザの嗜好にマッチする前記乗降場は、合致度に基づいて決定され、
前記合致度は、複数の前記乗降場それぞれの第2属性情報と、前記ユーザの嗜好情報と、が合致する度合を示す、
(A1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0018】
(A9)
前記動作は、
前記スポットの前記第1属性情報をユーザから取得し、
取得した前記第1属性情報から、前記スポットに関連付けられた前記乗降場の属性を示す第2属性情報を得て、
前記第2属性情報を、前記乗降場又は前記路線に関連付けて保存する、
ことを更に含む、
(A1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0019】
(A10)
前記交通機関は、鉄道であり、
前記乗降場は、前記鉄道の駅である、
(A1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0020】
(A11)実施形態に係る方法は、
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の周辺におけるスポットが関連付けられ、前記スポットに、前記スポットの属性を示す第1属性情報が関連付けられたデータベースを備えるコンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、
前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて決まる前記乗降場又は前記路線の第2属性情報と、
前記スポットに関するユーザの嗜好を示す嗜好情報と、に基づいて、
前記ユーザの嗜好にマッチする乗降場又は路線を識別する、
ことを含む、
コンピュータ実装方法であり得る。
【0021】
(A12)実施形態に係るコンピュータプログラムは、
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の周辺におけるスポットが関連付けられ、前記スポットに、前記スポットの属性を示す第1属性情報が関連付けられたデータベースを備えるコンピュータに、
前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて決まる前記乗降場又は前記路線の第2属性情報と、
前記スポットに関するユーザの嗜好を示す嗜好情報と、に基づいて、
前記ユーザの嗜好にマッチする乗降場又は路線を識別する、
ことを含む動作を実行させる、
コンピュータプログラムであり得る。
【0022】
(B1)実施形態に係るコンピュータシステムは、
プロセッサと、
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の属性を示す属性情報が関連付けられたデータベースと、
を備え、
前記プロセッサは、
複数の前記乗降場それぞれの前記属性情報と、ユーザの嗜好を示す嗜好情報と、に基づいて、前記ユーザの前記嗜好にマッチする乗降場又は路線に関連する商品を決定し、
決定された前記商品を、前記ユーザに提示する、
ことを含む動作を実行する、
コンピュータシステムであり得る。
【0023】
(B2)
前記商品は、前記ユーザの前記嗜好にマッチする前記乗降場若しくは前記路線までの経路において利用可能な交通機関を利用する商品である、
(B1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0024】
(B3)
前記商品は、前記ユーザの前記嗜好にマッチする前記乗降場又は識別された前記路線に含まれるいずれかの乗降場までの経路において降りることが可能な交通機関を利用する商品である、
(B1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0025】
(B4)
前記商品は、前記ユーザの前記嗜好にマッチする前記乗降場又は前記ユーザの前記嗜好にマッチする前記路線に含まれるいずれかの乗降場までの経路において降りることが可能であり、かつ、前記ユーザの位置情報から決定された前記乗降場から乗ることが可能である交通機関を利用する商品である、
(B1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0026】
(B5)
前記商品は、前記ユーザの前記嗜好にマッチする前記乗降場又は前記ユーザの前記嗜好にマッチする前記路線に含まれるいずれかの乗降場の周辺のスポットで利用可能なサービスである、
(B1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0027】
(B6)
前記動作は、前記商品の空き状況に応じて決まる前記商品の価格を、前記ユーザに提示することを更に含む、
(B1)から(B5)のいずれか1項に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0028】
(B7)
前記交通機関は、鉄道であり、
前記乗降場は、前記鉄道の駅である
(B1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0029】
(B8)
前記嗜好情報は、前記乗降場の周辺におけるスポットに関するユーザの嗜好を示す情報を含む、
(B1)に記載のコンピュータシステムであり得る。
【0030】
(B9)
前記乗降場の属性を示す前記属性情報は、前記乗降場の周辺における前記スポットの属性に応じて決まる、
(B8)に記載のコンピュータシステム。
【0031】
(B10)実施形態に係る方法は、
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の属性を示す属性情報が関連付けられたデータベースを備えるコンピュータによって実行されるコンピュータ実装方法であって、
複数の前記乗降場それぞれの前記属性情報と、ユーザの嗜好を示す嗜好情報と、に基づいて、前記ユーザの前記嗜好にマッチする乗降場又は路線に関連する商品を決定し、
決定された前記商品を、前記ユーザに提示する、
ことを含む、
コンピュータ実装方法であり得る。
【0032】
(B11)実施形態に係るコンピュータプログラムは、
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の属性を示す属性情報が関連付けられたデータベースを備えるコンピュータに、
複数の前記乗降場それぞれの前記属性情報と、ユーザの嗜好を示す嗜好情報と、に基づいて、前記ユーザの前記嗜好にマッチする乗降場又は路線に関連する商品を決定し、
決定された前記商品を、前記ユーザに提示する、
ことを含む動作を実行させる、
コンピュータプログラムであり得る。
【0033】
(C1)実施形態に係るコンピュータシステムは、
交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに対して、前記乗降場の周辺における複数のスポットが関連付けられたデータベースと、
プロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記スポットの属性を示す第1属性情報を取得し、
取得した前記第1属性情報から、前記スポットに関連付けられた前記乗降場の属性を示す第2属性情報を得て、
前記第2属性情報を、前記乗降場又は前記路線に関連付けて保存する、
ことを含む動作を実行する、
コンピュータシステムであり得る。
【0034】
<2.コンピュータシステム、コンピュータ実装方法及びコンピュータプログラムの例>
【0035】
以下、図面を参照しつつ、実施形態をより詳細に説明する。
【0036】
<2.1 ハードウェア構成例>
【0037】
図1は、実施形態に係るコンピュータシステム10を示している。システム10は、交通機関に関連したサービスを提供するための情報処理(サービス提供処理111)を実行するよう構成されている。システム10は、1又は複数のコンピュータ100,200によって構成され得る。
【0038】
図1に示すシステム10は、サーバ100(サーバコンピュータ)を備え得る。サーバ100は、他のコンピュータ200(クライアントコンピュータ)に対して、インターネット等のネットワーク50を介して、サービスを提供する。サーバ100は、サービス提供装置と呼ばれてもよい。
【0039】
システム10は、クライアント200を備え得る。クライアント200は、ユーザが使用するコンピュータである。以下では、クライアント200を、ユーザ端末200という。
【0040】
ユーザ端末200は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等である。ユーザは、ユーザ端末200を操作して、サーバ100にアクセスし、サーバ100から、交通機関に関連したサービスの提供を受けることができる。
【0041】
サーバ100は、1又は複数のコンピュータによって構成される。サーバ100を構成するコンピュータは、プロセッサ110と、プロセッサ110に接続された記憶装置120と、を備え得る。ユーザ端末200を構成するコンピュータも、プロセッサ210と、プロセッサ210に接続された記憶装置220と、を備え得る。
【0042】
プロセッサ110,210は、CPU、GPU又はその他の種類のプロセッサである。記憶装置120,220は、例えば、一次記憶装置及び二次記憶装置を備える。一次記憶装置は、例えば、RAMである。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)である。記憶装置120,220は、プロセッサ110,210によって実行されるコンピュータプログラム121,221を備え得る。プロセッサ110,210は、記憶装置120,220に格納されたコンピュータプログラム121,221を読み出して実行する。
【0043】
サーバ100のコンピュータプログラム121は、プロセッサ110に、サービス提供処理111を実行させるための命令を示すプログラムコードを有する。コンピュータプログラム121がコンピュータ(プロセッサ)によって実行されることで、コンピュータは、実施形態に係るサーバ100(サービス提供装置)として動作し、サービス提供処理111の各工程を実行する。
【0044】
サーバ100の記憶装置120には、データベース300が構築されている。データベース300は、サービス提供処理111に用いられる各種のデータを有する。データベース300の詳細については後述される。
【0045】
ユーザ端末200のコンピュータプログラム221は、一例としてモバイルアプリケーションなどのネイティブアプリケーションのプログラムである。コンピュータプログラム221は、ネットワーク50上のコンピュータ(アプリストア)からダウンロードされ、ユーザ端末200にインストールされる。コンピュータプログラム221は、サーバ100と協働して、サービス提供処理111に関連した情報処理を、ユーザ端末200において実行させる。
【0046】
ユーザ端末200のコンピュータプログラム221は、プロセッサ210に、サービス提供処理111に関連した処理をユーザ端末200において実行させるための命令を示すプログラムコードを有する。サービス提供処理111に関連した処理は、例えば、ユーザ端末200におけるユーザインタフェースに関する処理であり、画面表示・データ入力などの入出力処理を含むことができる。コンピュータプログラム221がコンピュータ(プロセッサ)によって実行されることで、コンピュータは、実施形態に係るユーザ端末200として動作することができる。
【0047】
なお、サーバ100のコンピュータプログラム121が、Webブラウザを利用するWebアプリケーションとして構成されている場合、ユーザ端末200は、Webブラウザアプリケーションを有していればサービス提供処理111によるサービス提供を受けることができる。したがって、サービス提供処理111用のコンピュータプログラム221は省略されてもよい。
【0048】
ユーザ端末200は、入出力装置230を備え得る。入出力装置230は、データ等の入力機能と出力機能を有する。入出力装置230は、例えば、タッチパネルディスプレイである。タッチパネルディスプレイは、画面表示などの出力が行えるほか、文字等のデータ入力を受け付けたり、ユーザの選択等の操作を受け付けたりすることができる。ユーザ端末200が有するディスプレイは、システム10のアプリケーション121,221によって提供されるユーザインタフェースを画面表示するために用いられ得る。なお、入力機能と出力機能とは、それぞれ別の装置によって構成されていてもよい。
【0049】
ユーザ端末200は、位置情報取得器240を備え得る。位置情報取得器240は、例えば、GPSなどのGNSS受信機である。位置情報取得器240は、WiFiアクセスポイントを利用して位置情報を取得するもの、又は、ユーザからの位置情報の入力を受け付けて取得するものでなど、GNSS以外の他の方法で位置情報を取得するものであってもよい。
【0050】
<2.2 サービス提供処理の例>
【0051】
図2は、実施形態に係るコンピュータシステム10によって提供されるサービス提供処理111に関する手順の一例を示している。サービス提供処理111では、交通機関に関連したサービスが提供される。
【0052】
ここで、「交通機関」は、鉄道・バスなど、利用客が移動のために利用することができる交通手段である。ここでは、路線を有する交通機関を想定する。「路線」は、交通機関が通過する道路・鉄道路線などの交通線である。
【0053】
路線は、複数の乗降場を有する。「乗降場」は、利用客の乗降のための場所であり、例えば、鉄道の駅、バスの停留所などである。以下では、一例として、交通機関は鉄道であり、路線は鉄道路線であり、乗降場は鉄道の駅であるものとして説明する。
【0054】
実施形態に係るサービス提供処理111は、一例として、鉄道に関連したサービスを提供する。実施形態においては、サービス提供のため、まず、最寄り駅が関連付けられたスポットに関するデータベース300が作成される(ステップS21)。また、ユーザの嗜好の把握のため、ユーザのお気に入りスポットが、アプリケーション121,221のユーザインタフェース上で収集される(ステップS22)。スポットは、店舗・工場・施設・公園・観光地などであり、地図上における何らかの地点として把握され得るものである。実施形態のデータベース300では、複数の駅それぞれに、各駅の周辺におけるスポットが関連付けられている。そして、ユーザのお気に入りスポット(ユーザの嗜好情報)に基づいて、ユーザの興味のある駅/路線(エリア)が推定される。興味のある駅/路線(エリア)に応じて、空きアセットの推薦(提示)が行われ得る(ステップS23)。また、ユーザの嗜好にマッチしたスポット又は駅が、ユーザに提示され得る(ステップS24)。以下、これらの各ステップS21~S24について、詳細に説明する。
【0055】
<2.2.1 データベースとその構築(ステップS21)>
【0056】
図3(A)は、データベース300における、駅及びスポットに関連するデータの構造を示している。鉄道事業者などの交通機関の運営者は、1又は複数の路線を運営する。これに対応して、実施形態に係るデータベース300では、運営者に1又は複数の路線が関連付けられている。図3(A)のデータベース300では、一例として、「JR西日本」に「湖西線」「JR京都線」などの路線が関連付けられている。なお、交通機関の運営者は複数存在してもよい。
【0057】
各路線は、複数の駅を有する。これに対応して、実施形態に係るデータベース300では、各路線に複数の駅が対応付けられている。図3(A)のデータベース300では、一例として、「JR京都線」という路線に、「摂津富田」「高槻」などの駅が関連付けられている。なお、1つの駅は1つの路線だけに関連付けられている必要はなく、1つの駅が複数の路線に関連付けられていてもよい。
【0058】
駅の周辺には、店舗・工場・施設・公園・観光地などのスポットが存在する。これに対応して、実施形態に係るデータベース300では、各駅に1又は複数のスポットが対応付けられている。図3(A)のデータベース300では、一例として、「高槻」に、「**酒蔵株式会社」「安満遺跡公園」「摂津峡」などの駅周辺スポットが関連付けられている。なお、1つのスポットは、1つの駅だけに関連付けられている必要はなく、1つのスポットが複数の駅に関連付けられていてもよい。換言すると、あるスポットは、そのスポットの周辺にある1又は複数の駅(例えば、最寄り駅)に関連付けられ得る。
【0059】
実施形態に係るデータベース300では、各スポットに、1又は複数の属性情報が関連付けられている。属性情報は、スポットなどの対象の属性を示す情報であり、当該対象を分類したり、同種の対象を識別したりするために、当該対象に付加される情報である。属性情報が付加される対象は、スポットのほか、後述のように駅又は路線であり得る。属性情報は、タグ情報とも呼ばれてもよい。また、スポットに関連付けられた属性情報は、「第1属性情報」又は「第1タグ情報」と呼ばれてもよい。
【0060】
図3(A)のデータベース300では、一例として、「**酒蔵株式会社」に、「#日本酒」の第1属性情報が関連付けられている。第1属性情報としての「#日本酒」は、「**酒蔵株式会社」が日本酒に関連したスポットであることを示している。また、「安満遺跡公園」には「#遺跡」の第1属性情報が関連付けられている。第1属性情報としての「#遺跡」は「安満遺跡公園」が遺跡に関連したスポットであることを示している。「摂津峡」には「#桜の名所」の第1属性情報が関連付けられている。第1属性情報としての「#桜の名所」は「摂津峡」が桜の名所であることを示している。
【0061】
各スポットへの第1属性情報の関連付けは、ユーザの協力で行われてもよい。例えば、あるスポットを訪問したユーザは、ユーザ端末200を操作して、実施形態に係るシステム10のユーザインタフェース上で、そのスポットのタグ情報を適宜入力することができる。入力されるタグ情報は、ユーザの主観で選ばれたものでよい。システム10は、入力されたタグ情報を、そのスポットに関連付けて登録する。
【0062】
すなわち、複数の駅それぞれに対して駅周辺における複数のスポットが関連付けられたデータベース300を備えるシステム10のプロセッサは、スポットの属性を示す第1属性情報を(ユーザ等から)取得し、その第1属性情報を、そのスポットに関連付けてデータベース300に保存する動作を実行し得る。
【0063】
なお、システム10は、ユーザの協力を利用せず、スポットに属性情報が関連付けられたデータを有する外部システムから、そのデータを取得しデータベース300に登録してもよい。また、システム10は、ユーザの協力又は外部システム等から得られた第1属性情報から、その第1属性情報に関連する他の第1属性情報を得て、当該他の第1属性情報を、データベース300に登録してもよい。他の第1属性情報は、例えば、ユーザの協力又は外部システム等から得られた第1属性情報の類似概念、関連概念、上位概念、又は下位概念などである。システム10は、第1属性情報となり得る概念を多数有する知識ベース(概念ベース)を参照し、ユーザの協力又は外部システム等から得られた第1属性情報から、その類似概念などを、他の第1属性情報として得ることができる。例えば、システム10は、「キャンプ」及び「公園」の第1属性情報から、それらの上位概念である「アウトドア」を、他の第1属性情報として類推することができる。また、システム10は、「ホタル」及び「天体観測」の第1属性情報から、それらの関連概念である「星空」を、他の第1属性情報として類推することができる。
【0064】
実施形態に係るデータベース300では、各駅に対して、第1属性情報(第1タグ情報)が関連付けられたスポットが関連付けられている。このため、ある駅に関連付けられたスポットの第1属性情報から、その駅の第2属性情報を求めることができる。したがって、図3(A)に示すデータベース300では、駅に、駅の属性情報が関連付けられているともいえる。第2属性情報は、「第2タグ情報」と呼ばれてもよい。
【0065】
また、実施形態に係るデータベース300では、各路線に関連付けられた駅に対して、スポットが関連付けられており、そのスポットに第1属性情報が関連付けられている。このため、ある路線に対して駅を介して関連付けられたスポットの第1属性情報から、その路線の第2属性情報を求めることができる。したがって、データベース300では、路線に、路線の属性情報が関連付けられているともいえる。なお、データベース300では、路線には、第2属性情報(第2タグ情報)が関連付けられた駅が関連付けられているため、ある路線に関連付けられた駅の第2属性情報から、その路線の第2属性情報を求めることもできる。
【0066】
このように、実施形態に係るシステム10のプロセッサは、第1属性情報から、スポットに関連付けられた駅(乗降場)又は路線の属性を示す第2属性情報を得て、その第2属性情報を、駅又は路線に関連付けて保存する、ことを含む動作を実行し得る。また、システム10は、上記のようにして得られた第2属性情報から、その第2属性情報に関連する他の第2属性情報を得て、当該他の第2属性情報を、駅又は路線に関連付けてもよい。他の第2属性情報は、例えば、すでに得られた第2属性情報の類似概念、関連概念、上位概念、又は下位概念などである。他の第2属性情報の求め方は、他の第1属性情報の求め方と同様でよい。
【0067】
駅の第2属性情報は、その駅に関連付けられたスポットの第1属性情報の集合の全部又は一部として得られる。例えば、「高槻」という駅に関連付けられたスポットである「**酒蔵株式会社」「安満遺跡公園」「摂津峡」には、それぞれ「#日本酒」「#遺跡」「#桜の名所」の第1属性情報が付加されている。したがって、「高槻」という駅の第2属性情報は、「#日本酒」「#遺跡」「#桜の名所」という複数のスポットの第1属性情報の集合の全部又は一部であり得る。
【0068】
路線の第2属性情報は、その路線に関連付けられた駅に関連付けられたスポットの第1属性情報の集合の全部又は一部として得られる。例えば、「JR京都線」という路線の第2属性情報は、JR京都線に含まれる複数の駅(摂津富田、高槻など)に関連付けられた複数のスポット(「**酒蔵株式会社」「安満遺跡公園」「摂津峡」など)の第1属性情報の全部又は一部であり得る。
【0069】
上記のようにして得られた駅の第2属性情報は、駅の周辺のスポットから形成される、その駅のイメージ/雰囲気を示している。すなわち、駅の第2属性情報は、その駅の周辺エリアが持つイメージ/雰囲気を示している。同様に、路線の第2属性情報も、その路線の各駅の周辺のスポットから形成される、その路線全体のイメージ/雰囲気を示している。すなわち、路線の第2属性情報は、その路線に沿った広域の周辺エリアが持つイメージ/雰囲気を示している。
【0070】
ここでは、駅である「高槻」の周辺スポットの多くに、「#日本酒」又は「#遺跡」の2つの第1属性情報のいずれかが付けられている場合を想定する。この場合、一例として、駅である「高槻」の第2属性情報は、「#日本酒」「#遺跡」の2つだけとすることができ、「高槻」の周辺スポットに付けられた他の第1属性情報は、「高槻」の第2属性情報に含まれなくてもよい。例えば、図3(B)に示すように、駅である「高槻」のイメージを示す第2属性情報は、「#日本酒」及び「#遺跡」だけとすることができる。このように、駅に特徴的な第2属性情報を抽出することで、駅のイメージをより明確化することができる。
【0071】
同様に、路線の第2属性情報も同様に求めることができ、例えば、図3(B)に示すように、「JR京都線」のイメージを示す第2属性情報は、「#日本酒」だけとすることができる。
【0072】
システム10は、駅又は路線の特徴的な第2属性情報を抽出するため、駅の複数の周辺スポットに付けられている第1属性情報の全てのうち、所定の選択基準にもとづいて、多くの周辺スポットに付けられている第1属性情報を、その駅の第2属性情報として選択することができる。これにより、駅/路線の周辺エリアが持つ強いイメージ/雰囲気を抽出することができる。
【0073】
また、駅/路線の周辺のエリアが持つイメージ/雰囲気は、そのエリアにあるスポットの変化によって変化し得る。例えば、駅周辺が再開発されることで、古くからあったスポットがなくなり、新たなスポットが生まれることがある。そこで、本実施形態では、一例として、駅/路線の周辺のエリアが持つイメージ(第2属性情報)を、そのエリア内の個々のスポットの第1属性情報(イメージ/雰囲気)から求める。これにより、スポットの変化に応じて、駅/路線の周辺のエリアが持つイメージ/雰囲気が変化しても、変化後のスポットの第1属性情報が得られれば、駅/路線の第2属性情報が更新される。したがって、スポットの変化への対応が容易になる。また、スポットの第1属性情報をユーザの協力で得る場合には、その変化への対応が一層容易になる。
【0074】
実施形態においては、駅/路線が持つイメージ/雰囲気が、第2属性情報としてデータベース300に登録されているため、システム10は、システム10のユーザに対して、そのユーザの嗜好にマッチしたイメージ/雰囲気を持つ駅/路線の情報を提案できる。例えば、システム10は、ユーザの嗜好にマッチした駅/路線を、そのユーザに提案したり、その駅/路線に関連する情報をユーザに提供したりすることができる。また、ユーザの嗜好が、遺跡にある場合、システム10は、データベース300を参照して、図3(B)に示すように、「#遺跡」の属性情報が関連付けられた駅として、「百舌鳥」「垂水」を抽出することができる。なお、「百舌鳥」は、大山古墳の最寄り駅の一つであり、「垂水」は、五色塚古墳の最寄り駅の一つであり、ともに遺跡に関連する駅である。そして、システム10は、上記と同様に、ユーザの嗜好に基づいて、ユーザの嗜好にマッチする路線を抽出することもできる。
【0075】
また、駅/路線の周辺エリアが持つイメージ/雰囲気を、システム10によってユーザに提供することで、ユーザは、訪れたことがない駅/路線の周辺エリアに対するイメージ/雰囲気を把握できる。したがって、そのエリアに対するユーザの興味/関心を得ることができる。そのエリアへの興味/関心を持ったユーザは、鉄道を利用し、そのエリアの駅で降りて、そのエリアを訪問することが期待される。したがって、本システム10を利用すると、鉄道を利用した新たな旅行体験をユーザに提供できる。
【0076】
図4及び図5は、図3に示すデータベース300の構造を実現するための複数のデータベース群の例を示している。図4は、鉄道に関するデータベース群を示し、図5は、スポットに関するデータベース群を示している。以下では、図4及び図5に示されるデータベース群を、総称して、「コンテンツデータベース310」ということがある。コンテンツデータベース310は、データベース300の一部を構成する。
【0077】
図4(A)は、路線データベースを示している。図4(A)では、例として、JR西日本が鉄道事業者である路線が示されている。図4(A)に示すように、路線データベースは、路線ID、路線名、「鉄道事業者」、「路線に属する駅ID」、「特急ID」の各項目を含む。
【0078】
「路線ID」及び「路線名」は、路線を識別するためのデータであり、図4(A)では、京都線(ID=L1)、神戸線(ID=L2)、大阪環状線(ID=L3)が例示されている。「鉄道事業者」は路線の鉄道事業者を示す。「路線に属する駅ID」は、路線に関連付けられた駅(路線に含まれる駅)のID(識別子)を示しており、システム10が、路線に関連付けられた駅を識別するため等に利用され得る。「特急ID」は、その路線を通る特急列車(特急券が必要な列車)のID(識別子)を示しており、システム10がその路線を通る特急列車を識別するため等に利用され得る。
【0079】
図4(B)は、駅データベースを示している。図4(B)では、例として、JR京都線(ID=L1)という路線に関連付けられた複数の駅が示されている。図4(B)に示すように、駅データベースは、「駅ID」、「駅名」、「緯度経度」、「住所」、「鉄道会社のHP」、「路線ID」、「スポットタグID」、「停車する特急ID」の各項目を含む。
【0080】
図4(B)の「駅ID」及び「駅名」は、駅を識別するためのデータであり、図4(B)では、JR京都線に属する、京都(ID=ST1)、西大路(ID=ST2)、向日町(ID=ST3)が例示されている。「緯度経度」は、駅の緯度経度を示す。駅の緯度経度は、システム10のユーザインタフェース上の地図に駅を表示するため等に用いられ得る。「住所」は、駅の住所を示す。「鉄道会社のHP」は、その駅の情報を紹介する鉄道会社のWebサイト(ホームページ)のURLを示す。
【0081】
図4(B)の「路線ID」は、その駅に関連付けられた1又は複数の路線のIDを示す。例えば、「西大路」という駅には、京都線(ID=L1)という路線が関連付けられている。「スポットタグID」は、その駅に関連付けられたスポットに関連付けられた1又は複数のタグ情報のIDを示す。すなわち、図4(B)の「スポットタグID」は、その駅の第2属性情報を示す。例えば、「向日町」という駅には、スポットタグID=T6,T9が関連付けられている。したがって、「向日町」という駅のイメージ/雰囲気/特徴は、T6,T9のタグ情報によって示される。
【0082】
また、図4(B)の「スポットタグID」は、路線に関連付けられた1又は複数のタグ情報のIDを示すものでもある。京都線(ID=L1)に含まれる複数の駅(ID=ST1~ST3)の複数のスポットタグID(ID=T1,T55,T2,T13,T6,T9)の集合は、路線の第2属性情報を示し得る。
【0083】
図4(B)の「停車する特急ID」は、その駅に停車する特急列車のIDを示しており、その駅に停車し、その駅で利用客が乗降可能な特急列車を識別するため等に利用され得る。
【0084】
図4(C)は、特急データベースを示している。特急データベースは、ユーザの嗜好にマッチした駅/路線から、その駅/路線を利用する特急列車を求めるためにシステム10によって用いられ得る。システム10は、求めた特急列車の切符などの商品をユーザに提示することができる。図4(C)に示すように、特急データベースは、「特急ID」、「列車名」、「路線ID」、「停車する駅ID」、「使用車両ID」、「備考」の各項目を含む。
【0085】
「特急ID」及び「列車名」は、特急列車を識別するためのデータであり、図4(C)では、サンダーバード(ID=EX1)、しらさぎ(ID=EX2)、くろしお(ID=EX3)、はるか(ID=EX3)が例示されている。「路線ID」は、特急列車が通る路線のIDを示し、各路線を通る特急列車を識別するため等に利用され得る。「停車する駅ID」は、その特急列車が停車し、利用客が乗降可能な駅を識別するため等に利用され得る。「使用車両ID」は、その特急列車に使用される車両IDを示す。「備考」は、特急列車に関する備考情報を示す。
【0086】
図5(A)は、スポット情報データベースを示している。図5(A)に示すように、スポット情報データベースは、「スポットID」、「スポット名」、「緯度経度」、「住所」、「最寄り駅ID」(周辺駅ID)、「スポットタグID」の各項目を含む。
【0087】
図5(A)の「スポットID」及び「スポット名」は、スポットを識別するためのデータであり、図5(A)では、大阪府高槻市にあるいくつかのスポットが例示されている。「緯度経度」は、スポットの緯度経度を示す。スポットの緯度経度は、システム10のユーザインタフェース上の地図にスポットを表示するため等に用いられ得る。「住所」は、スポットの住所を示す。「最寄り駅ID」は、そのスポットに関連付けられた1又は複数の駅のIDを示す。
【0088】
図5(A)の「スポットタグID」は、そのスポットに関連付けられた1又は複数のタグ情報(スポットタグ)のIDを示す。すなわち、図5(A)の「スポットタグID」は、そのスポットの第1属性情報を示す。「スポットタグID」(第1属性情報)は、前述のように、ユーザの協力で、スポットに関連付けられ得る。
【0089】
図5(B)は、スポットタグデータベースを示している。スポットタグデータベースは、スポットタグ(タグ情報)の一覧を示す。図5(B)に示すスポットタグデータベースは、「スポットタグID」、「タグ名」、「ユーザID」、「タグ説明」、「スポットID」の各項目を含む。
【0090】
図5(B)の「スポットタグID」は、スポットタグ(タグ情報)のIDを示す。「タグ名」は、スポットタグの名称を示す。「ユーザID」は、スポットタグを(最初に)作ったユーザのIDを示す。ユーザは、スポットタグデータベースに既に登録されているスポットタグをスポットに関連付けることもできるし、未登録のスポットタグを作ってスポットに関連付けることもできる。登録されているスポットタグは、どのユーザであっても、スポットに関連付けることが可能である。「タグ説明」は、スポットの説明を含む。
【0091】
図5(B)の「スポットID」は、そのスポットタグ(タグ情報;第1属性情報)が関連付けられた1又は複数のスポットのIDを示す。
【0092】
図5(C)は、スポット口コミデータベースを示している。スポット口コミデータベースは、スポットについて、ユーザがシステム10のユーザインタフェースを介して投稿した口コミ/コメント/体験記などの一覧を示す。図5(C)のスポット口コミデータベースは、「口コミID」、「スポットID」、「ユーザID」、「スポットタグID」、「口コミ内容」、「投稿日時」、「関連リンク」の各項目を含む。
【0093】
「口コミID」は、口コミのIDを示す。図5(C)の「スポットID」は、その口コミが関連付けられたスポットのIDを示す。「ユーザID」は、その口コミを投稿したユーザを示す。「スポットタグID」は、その口コミとともに、ユーザが、そのスポットに付けたスポットタグのIDを示す。「口コミ内容」は、口コミ等を示す文章を含む。「投稿日時」は口コミの投稿日時を示す。「関連リンク」は、関連リンクのURL等を含む。
【0094】
<2.2.2 ユーザの嗜好情報収集(ステップS22)>
【0095】
図2に戻り、システム10は、ユーザの嗜好の把握のため、ユーザのお気に入りスポット等を、ユーザが使用するアプリケーションのユーザインタフェース上で収集する(ステップS22)。
【0096】
図6は、システム10を利用するユーザの一覧を示すユーザデータベース320を示している。ユーザデータベース320は、各ユーザの嗜好情報を有する。データベース320に登録されたユーザは、一例として、自身のユーザ端末200にコンピュータプログラム221をインストールしており、インストールされたコンピュータプログラム221(アプリケーション)を用いて、お気に入りスポット等を登録することができる。システム10は、ユーザのお気に入りスポット等を、ユーザに関連付けて、ユーザデータベース320に保存する。システム10は、ユーザのお気に入りスポット等に基づいて、ユーザの嗜好を示す嗜好情報を取得する。
【0097】
なお、ユーザの嗜好情報は、ユーザのお気に入りスポットに基づいて取得されるほか、ユーザが投稿した口コミ/メッセージなどの文章を、自然言語解析又はニューラルネットワークなどの人工知能による解析によって取得されてもよい。ユーザの嗜好情報の取得方法は、特に限定されない。
【0098】
図6に示すユーザデータベース320は、「ユーザID」、「ユーザ名」、「性別」、「年代」、「お気に入りスポットID」、「お気に入りと推測されるスポットタグID」、「お気に入りと推測される駅ID」、「交通系ICカードID」、「移動履歴」、「Point残高」の各項目を含む。
【0099】
「ユーザID」「ユーザ名」は、ユーザを識別するデータであり、「性別」「年代」は、ユーザに関連するデータである。
【0100】
「お気に入りスポットID」は、ユーザがシステム10のインタフェース上で、お気に入りとして選択したお気に入りスポットのIDを示す。すなわち、「お気に入りスポットID」は、ユーザが自身の嗜好にマッチしていると判断したスポットのIDを示す。「お気に入りスポットID」は、ユーザの嗜好情報の一例である。なお、「お気に入りスポットID」は、お気に入りの駅/路線のIDを含んでもよい。すなわち、ここでのスポットは、駅又は路線を含んでもよい。
【0101】
「お気に入りと推測されるスポットタグID」は、ユーザがお気に入りとして選択した特定のスポット等に関連付けられたスポットタグ(属性情報)のID、又は、ユーザがお気に入りとして選択したスポットタグのIDを示す。ユーザは、スポットをお気に入りとして選択してもよいし、スポットタグをお気に入りとして選択してもよい。
【0102】
「お気に入りスポットID」は、特定のスポット(例えば、**酒蔵株式会社)等に対するユーザの嗜好を示すのに対して、「お気に入りと推測されるスポットタグID」は、スポット等が有し得る属性(例えば、「日本酒」)に対するユーザの嗜好性(の推測値)を示す。「お気に入りと推測されるスポットタグID」は、ユーザの嗜好情報の他の一例である。図6では、「お気に入りと推測されるスポットタグID」が、例えば、「Yamada」というユーザでは、「T1(0.7),T5(1.0)」とされている。スポットタグIDであるT1,T5の後に続くカッコ内の数字は、スポットタグに対するユーザのお気に入り度の推定値を示している。「T1(0.7),T5(1.0)」の場合、スポットタグT1のお気に入り度は0.7であり、スポットタグT5のお気に入り度は1.0であって、スポットタグT5の方がお気に入り度の推定値が高いことを示している。お気に入り度の推定値は、例えば、ユーザがお気に入り登録している多くのスポットが共通して有するスポットタグほど、推定値が高くなるように求められる。また、システム10は、上記のようにして得られた「お気に入りと推測されるスポットタグ」から、その「お気に入りと推測されるスポットタグ」に関連する他の「スポットタグ」を得て、当該他の「スポットタグ」のIDを、そのユーザに関連付けてもよい。他の「スポットタグ」は、例えば、すでにユーザに関連付けられた「スポットタグ」の類似概念、関連概念、上位概念、又は下位概念などで表したスポットタグである。他の「スポットタグ」の求め方は、他の第1属性情報の求め方と同様でよい。
【0103】
属性(例えば、「日本酒」)に対するユーザの嗜好性は、具体的なスポットへの嗜好とは離れた、ユーザの嗜好(興味・関心)を示す。したがって、システム10は、属性(例えば、「日本酒」)に対するユーザの嗜好性を利用すると、ユーザの嗜好性にマッチする属性を有するものの、ユーザ自身がお気に入りとしては登録していないスポット/駅/路線等を識別することができる。例えば、システム10は、富田にある酒造及び北海道にある酒造をお気に入りスポットとして登録しているユーザを、日本酒好きであると推定することができる。さらに、システム10は、日本酒の属性を有する他のスポット/駅/路線を、ユーザのお気に入りとして推測し、ユーザへ、おすすめとして提示(推薦)することができる。
【0104】
「お気に入りと推測される駅ID」は、ユーザの嗜好にマッチするとシステム10が判断した駅のIDを示す。図6においては、一例として、Yamada(ID=U1)というユーザには、「お気に入りと推測される駅ID」として、ST1とST2とが関連付けられている。つまり、Yamada(ID=U1)というユーザにとって、お気に入りと推測される駅は、京都(ID=ST1)及び西大路(ID=ST2)である。
【0105】
図6では、「お気に入りと推測される駅ID」が、例えば、「Yamada」というユーザでは、「ST1(0.7),ST2(0.4)」とされている。駅IDであるST1,ST2の後に続くカッコ内の数字は、駅に対するユーザのお気に入り度の推定値(合致度)を示している。「ST1(0.7),ST2(0.4)」の場合、京都(ID=ST1)のお気に入り度は0.7であり、西大路(ID=ST2)のお気に入り度は0.4であって、京都の方がお気に入り度の推定値が高い(お気に入り度合が高い)ことを示している。なお、お気に入りの推測及びお気に入り度の推定値(合致度)の求め方については後述される。
【0106】
なお、ユーザデータベース320は、「お気に入りと推測される路線ID」又は「お気に入りと推測されるスポットID」を有していてもよい。
【0107】
「交通系ICカードID」は、ユーザの有する交通系ICカードのIDを示す、「移動履歴」は、ユーザが交通機関を利用して移動した履歴を示す。「Point残高」は、システム10の利用に応じてユーザに付与されるポイントの残高を示す。
【0108】
<2.2.3 ユーザの嗜好に応じた駅・切符・スポット等の推薦(ステップS23)>
【0109】
再び図2に戻り、システム10は、ユーザのお気に入りスポット等のユーザの嗜好情報に基づいて、ユーザが興味をもつ駅若しくは路線又はスポットを推定する(ステップS23)。システム10は、推定した駅若しくは路線又はスポットをユーザに推薦(提示)するだけでもよいが、実施形態に係るシステム10は、推定した駅又は路線に応じて、特急券などの切符又はその他の空きアセットの推薦(提示)を行う(ステップS23)。
【0110】
例えば、図2に示すように、あるユーザは、和歌山県に在住しており、「#日本酒」及び「#自然」のタグ情報をお気に入りに登録しており、京都駅周辺にある「東本願寺」もお気に入りスポットとして登録しているものとする。また、「東本願寺」には「#寺社」というタグ情報(第1属性情報)が付けられているものとする。この場合、システム10は、ユーザの嗜好情報に基づいて、コンテンツデータベース310を参照し、ユーザの嗜好にマッチする駅などを推定する。例えば、システム10は、このユーザが「#日本酒」をお気に入り登録していることに基づいて、「#日本酒」の第2属性情報を有する「桃山駅」(京都市伏見区にあるJR奈良線の駅であり、周辺には酒蔵が多い)を、ユーザの嗜好にマッチする駅として識別(推測)することができる。また、システム10は、識別された「桃山駅」に関連付けられたスポットのうち、「#日本酒」を有する1また又は複数のスポット(桃山駅周辺の酒蔵)を、ユーザの嗜好にマッチするスポットとして識別(推測)することができる。
【0111】
さらに、システム10は、このユーザのお気に入りスポットである「東本願寺」の「#寺社」のタグ情報(第1属性情報)に基づいて、同じく「#寺社」のタグ情報(第2属性情報)を有するとともに、識別された「桃山駅」があるJR奈良線における他の駅である「東福寺駅」も、ユーザの嗜好にマッチする駅として識別(推測)することができる。また、システム10は、識別された「東福寺駅」に関連付けられたスポットのうち、「#寺社」を有するスポット(例えば、お寺としての「東福寺」)を、ユーザの嗜好にマッチするスポットとして識別(推測)することができる。
【0112】
そして、システム10は、識別された駅(桃山駅・東福寺駅)及びスポット(桃山駅周辺の酒蔵・東福寺)を、アプリケーションのインタフェース上でユーザに提示(推薦)することができる。これにより、提示された駅・スポット等へ、ユーザが旅行することが期待される。
【0113】
また、システム10は、識別された駅(桃山駅・東福寺駅)に行くための特急くろしお(和歌山~京都)の指定席(空きアセット)という商品を、アプリケーションのインタフェース上でユーザに提示(推薦)することができる。ユーザに提示される商品を決めるため、システム10は、例えば、ユーザの位置情報と、識別された駅の位置情報(駅データベースの緯度経度又は住所など)と、から、ユーザの位置から識別された駅までの鉄道などの交通機関を利用した経路を求める。求められる経路は、例えば、和歌山駅から京都駅を経由して桃山駅又は東福寺駅へ至る鉄道経路である。なお、ユーザの位置情報は、例えば、ユーザデータベース320の緯度経路若しくは住所、又は、ユーザ端末200の位置情報取得器によって取得された位置情報である。また、ユーザの位置情報は、ユーザの移動履歴から求められてもよい。なお、経路を求める処理(経路探索)は、経路探索のための外部システムとのAPI連携によって実行されてもよい。また、求められる経路は、1つでもよいし、複数でも良い。ユーザの位置情報に関連した出発地は複数存在し得るため、複数の出発地それぞれについて経路探索がおこなわれてもよい。また、目的地についても複数存在し得るため、複数の目的地それぞれについて経路探索が行われてもよい。
【0114】
そして、システム10は、図4(C)の特急データベース等を参照して、その経路に含まれる路線において利用可能な特急列車を識別する。識別される特急列車は、例えば、「特急くろしお」であり、特急くろしおは、求められた経路のうち、和歌山駅から京都駅の間で利用可能である。
【0115】
さらに、システム10は、特急列車の空席を示す空席データベース330(空きアセットデータベース)を参照し、識別された特急列車の空き指定席(空きアセット)の有無を確認し、空き指定席(空きアセット)があれば、その空き指定席の切符という商品を、ユーザに販売するため提示(推薦)する。これにより、提示された駅/スポットに興味を持ったユーザへの切符の販売が促進される。
【0116】
なお、ユーザに提示する商品(切符など)を決める場合、ユーザの位置情報は、必ずしも考慮しなくてもよい。ユーザの位置情報に無関係な商品の場合、ユーザの位置情報は不要である。ユーザの位置情報に無関係な商品は、例えば、識別された駅の周辺のホテルの宿泊商品、又は、出発地とは関係なく識別された駅/路線を含む特定のエリアで利用できる周遊切符などの商品である。
【0117】
システム10は、切符などの商品をユーザに提示(推薦)する場合に、空き状況(例えば、特急列車の指定席の空き状況(空席率))に応じて、その商品の価格を決定してもよい。システム10は、空席率が高いほど割引率を大きくするダイナミックプライシング又はその他の価格決定アルゴリズムに基づき、空き状況に応じた価格(例えば、特急くろしおの指定席の30%OFFの価格)を決定することができる。この場合、ユーザの興味にマッチした商品の販売をより促進することができる。また、システム10は、ユーザの選好も考慮して、ユーザに提示する商品を決定してもよい。例えば、ユーザの選好に関する条件(選好条件)としては、例えば、列車の種類(優等列車/普通列車)、座席の種類(普通/グリーン)、乗り換えの有無・回数、切符の種類(乗り放題など)、旅行の時期・日付・時間、旅行人数、価格帯などである。
【0118】
システム10が推薦する商品は、切符に限られず、ホテル宿泊商品、又は、切符とホテル宿泊などを組み合わせた旅行商品などであってもよい。
【0119】
例えば、システム10は、日本酒や自然を好むユーザに、日本酒や自然に関連した旅行商品を値引きして推薦することができる。前述のように、あるユーザが、和歌山県に在住しており、「#日本酒」及び「#自然」のタグ情報をお気に入りに登録しており、京都駅周辺にある「東本願寺」もお気に入りスポットとして登録しているものとする。この場合、システム10は、ユーザの嗜好情報に基づいて、京都市伏見エリアの酒蔵リストをユーザに提示するとともに、識別された駅である桃山駅・東福寺駅をJR奈良線で「はしご」できる一泊二日の旅行商品をユーザに提示、販売し、その商品購入を受け付けることとができる。
【0120】
なお、ユーザの嗜好情報と駅データベースとのマッチングにより、特定の嗜好を持つユーザ(例えば、日本酒好きユーザ)向けの切符などの旅行商品を開発することも可能である。また、システム10は、マッチング後、旅行商品又は切符などを販売する外部の電子商取引サイト(ECサイト)ヘユーザを誘導してもよい。ユーザの誘導は、例えば、アプリケーション上で、ECサイトへのリンクをユーザ10に提示することで行える。ECサイトなどのサイトへ、ユーザを送客することで、そのサイトから仲介手数料の支払いを受けることが可能である。
【0121】
以下、ユーザの嗜好と駅との合致度について説明する。図6のユーザデータベースの「お気に入りと推測される駅ID」に関して説明したように、システム10は、駅に対するユーザのお気に入り度の推定値(合致度)に基づいて、「お気に入りと推測される駅」を推測する。
【0122】
合致度は、一例として、駅ベクトルとユーザベクトルとから計算される。ここで、駅ベクトルは、駅に関連付けられたタグ情報によって構成され、ユーザベクトルは、ユーザに関連付けられたタグ情報によって構成される。
【0123】
例えば、駅ベクトルは、図4(B)の駅データベースに登録されている各駅について、(タグ01,タグ02,タグ03,・・・)=(日本酒,古墳,公園,・・・・)で表される。タグ01,タグ02,タグ03,・・・は、図5(B)のタスポットタグデータベースに登録されている全てのスポットタグそれぞれの有無を示し、一例として、1又は0の値をとる。例えば、高槻駅の駅ベクトルは、(1,1,1,0,0,・・・)で表され、高槻駅には、日本酒・古墳・公園のスポットタグが関連付けられているが、他のスポットタグは関連付けられていないことを示す。また、堺駅の駅ベクトルは、(0,1,1,0,0,・・・)で表され、堺駅には、古墳・公園のスポットタグが関連付けられているが、他のスポットタグは関連付けられていないことを示す。なお、駅ベクトルの各要素は、1又は0の2値に限られず、例えば、0以上の任意の値をとることができる。例えば、駅ベクトルの各要素は、その駅に、各要素に対応するスポットタグが関連付けられた回数を示し得る。駅ベクトルの各要素(各スポットタグ)は、その駅における各スポットタグの重み(重要度)を表す。例えば、ある駅に、「公園」のスポットタグを持つスポットが1個ほど対応付けられ(スポットタグ数=1)、「日本酒」のスポットタグを持つスポットが10個ほど対応付けられている(スポットタグ数=10)ものとする。この場合、その駅にとっては、「日本酒」の方が、「公園」よりも、重要度が高い。
【0124】
また、ユーザベクトルは、図6のユーザデータベース320に登録されている各ユーザについて、(タグ01,タグ02,タグ03,・・・)=(日本酒,古墳,公園,・・・・)で表される。タグ01,タグ02,タグ03,・・・は、図5(B)のタスポットタグデータベースに登録されている全てのスポットタグそれぞれの有無を示し、一例として、1又は0の値をとる。例えば、ユーザU1は、(1,1,1,0,0,・・・・)で表され、ユーザU1は、日本酒,古墳,公園が、そのユーザU1の「お気に入りスポットタグID」で示されるスポットである。なお、ユーザベクトルの各要素は、1又は0の2値に限られず、例えば、0から1の間の任意の値をとることができる。ユーザベクトルの各要素(各スポットタグ)は、そのユーザにおける各スポットタグの重み(重要度;お気に入り度合)を表す。例えば、あるユーザが、「古墳」のスポットタグを持つスポットを5個ほどお気に入りスポットとして登録し、「日本酒」のスポットタグを持つスポットを10個ほどお気に入りスポットとして登録している場合、そのユーザにとっては、「日本酒」の方が、「古墳」よりも重要度が高い。
【0125】
システム10は、上記のような駅ベクトルとユーザベクトルとを用いたベクトル演算を行い、ベクトルの類似度を合致度として計算する。例えば、ユーザU1については、堺駅よりも高槻駅の方が、ベクトルの類似度が高くなる。したがって、高槻駅について高い合致度が求められる。
【0126】
あるユーザU1についての合致度(駅への関心度の推定値)は、複数の駅それぞれについて求められる。システム10は、合致度が所定の基準よりも大きくなる駅を、ユーザが関心を持つと思われる駅として求める。システム10は、求めた駅のIDを、図6のユーザデータベース320の「お気に入りと推測される駅ID」として登録する。
【0127】
ここで、システム10が、「大阪環状線周遊きっぷ」という商品をユーザに提示する場合を想定する。この周遊きっぷで行ける駅(大阪環状線に含まれる複数の駅)に、ユーザとの合致度が高い駅(ユーザの嗜好にマッチする駅)が多く含まれているほど、この周遊きっぷをユーザに購入してもらえる可能性が高くなる。また、複数のユーザのうち、合致度が高い駅が多いユーザほど、購入する可能性が高くなる。そこで、システム10は、複数のユーザごとに、各駅に対する合致度を求めておく。そして、システム10は、駅との合致度から、「大阪環状線周遊きっぷ」などの商品とユーザとのマッチングスコアを求め、マッチングスコアの高いユーザから優先して商品を販売したり、マッチングスコアに応じて価格を決定したりすることができる。以下、マッチングスコアの求め方について、図7を用いて更に説明する。
【0128】
図7(A)は、各駅の駅ベクトルを示す駅ベクトルテーブルの例を示している。図7(A)では、駅ベクトルの各要素は、1又は0ではなく、0以上の整数Nで表されている。Nは、その駅に関連付けられたスポットタグの数を示す。Nが大きいスポットタグほど、駅のイメージ形成に大きく貢献する。
【0129】
図7(B)は、各ユーザのユーザベクトルを示すユーザベクトルテーブルの例を示している。図7(B)では、ユーザベクトルの各要素は、0から1の間の値をとるが、図7(A)と同様に、そのユーザに関連付けられたスポットタグの数Nで表されてもよい。要素の値が大きいスポットタグほど、ユーザの嗜好(興味)に大きく関連している。なお、ユーザベクトルの各要素は、1又は0の2値の値をとってもよい。
【0130】
図7(C)は、図7(A)の駅ベクトル及び図7(B)のユーザベクトルからベクトル演算によって求めた合致度(ユーザと駅の合致度)の例を示している。図7(C)では、ユーザ毎に、複数の駅それぞれに対する合致度が示されている。
【0131】
図7(D)は、チケットA,B,Cと、そのチケットで行ける駅と、の関係を表すチケットベクトルを示している。図7(D)において、1は、その駅にチケットで行けることを示し、0は、その駅にチケットで行けないことを示す。なお、図7(D)において「Origin」は、そのチケットの出発地を示しており、必要に応じて、チケットの出発地とユーザの位置情報とが、マッチングの際に考慮され得る。
【0132】
システム10は、図7(C)の合致度ベクトルと、図7(D)のチケットベクトルと、のベクトル演算によって、ベクトル類似度を、チケット(商品)とユーザとのマッチングスコアとして求めることができる。システム10は、マッチングスコアの高いユーザに優先して商品を販売したり、マッチングスコアに応じて価格を決定したりすることができる。
【0133】
なお、ユーザへ商品(切符)を推薦するシナリオは次のようなものであってもよい。ここでは、ユーザのお気に入りスポットタグ(タグ情報)から特急列車を推薦するシナリオを説明する。まず、ユーザは、実施形態に係るシステム10のユーザインタフェース上で、自身が関心を持つタグ情報(例えば、植物園)を選択する。ユーザがそのタグ情報(植物園)を選択すると、システム10は、そのタグ情報を、ユーザに関連付けて保存する。また、システム10は、ユーザインタフェース上に、そのタグ情報が関連付けられたスポット(例えば、〇〇植物園)が関連付けられた駅のリストを表示する。駅リストは、例えば、「A駅、B駅、C駅」である。駅のリストの表示とともに、それらの駅に関連付けられたタグ情報(第2属性情報)又は駅に関連付けられたスポット(植物園又はその他のスポット)も表示されてもよい。
【0134】
ユーザは、表示された駅に関連付けられた植物園などのスポットのうち、いくつかのスポット(例えば、A駅の〇〇植物園及びB駅の△△植物園)をお気に入り登録する。システム10は、お気に入り登録されたスポット及びそのスポットのタグ情報を、ユーザに関連付けて保存する。
【0135】
システム10は、お気に入り登録されたスポット(〇〇植物園又は△△植物園)に行くための最寄り駅であるA駅又はB駅を通る特急列車(例えば、特急サンダーバード)を選択する。システム10は、その特急列車の空き状況(稼働率)の低い時間に応じて割引率を算出し、割安の切符をユーザに提示する。
【0136】
次に、乗り放題切符を推薦するシナリオについて説明する。ここでは、ユーザは、京都駅周辺のスポットをお気に入りとして登録しているものとする。この場合、ユーザは、京都駅周辺に関心があるといえる。したがって、システム10は、ユーザに対して、京都駅を含む京都駅近郊を乗り放題にする切符を推薦することができる。また、システム10は、定価で切符を販売してもよいし、ユーザが京都駅までの特急券を購入するならば、乗り放題切符を無料又は割安でユーザに提供してもよい。
【0137】
また、ユーザが関心のあるスポットを回遊できる乗り方又は切符を推薦するシナリオについて説明する。ここでも、ユーザは、京都駅周辺のスポットをお気に入りとして登録しているものとする。この場合、ユーザは、京都駅周辺に関心があるといえる。そこで、システム10は、ユーザに京都駅まで行くことを促すために、ユーザの最寄り駅から京都駅に行く道中を走行する特急を推薦する。また、システム10は、近郊を周遊させるために、京都駅周辺の回遊切符(乗り放題)を提案することができる。
【0138】
<2.2.4 おすすめスポット/駅の提示(ステップS24)>
【0139】
再び図2に戻り、システム10は、ユーザの嗜好にマッチしたスポット又は駅等を、ユーザに提示する(ステップS24)。ステップS24は、ステップS23で提示された切符等を利用した旅行中若しくはその他の旅行中、それらの旅行前、日常的な交通機関の利用時、その他の任意のタイミングで行われ得る。
【0140】
システム10は、ユーザ端末200のディスプレイ上に、鉄道の路線が示された地図上において、ユーザに提示されるスポット又は駅等を表示することができる。図8に示すように、システム10は、スポット、駅、又は路線の表示のための第1モード12A及び第2モード12Bを有する。両モードは、ユーザ操作によって切替可能である。
【0141】
第1モード12Aは、現在地中心モード又は蟻の視点モードとも呼ばれ得る。第1モード12Aでは、ユーザの現在位置を中心に地図が表示される。第1モード12Aでは、ユーザが鉄道乗車中に、データベース300に登録されたスポットに接近すると、その旨をユーザに通知される。第1モード12Aで通知されるスポットは、例えば、図5(A)に示すスポット情報データベースに登録されたスポットのうち、システム10がユーザの嗜好にマッチすると判断したスポット又はシステム10がユーザに提示すべきと判断したスポットである。
【0142】
第2モード12Bは、ブラウジングモード又は鳥の視点モードとも呼ばれる。第2モード12Bでは、ユーザが選択した任意の位置の地図を任意の縮尺で表示することができる。第2モード12Bは、目的地の探索や旅行計画のために使用され得る。
【0143】
また、システム10は、第1モード12A及び第2モード12B以外に、第3モード12Cの表示も可能である。第3モード13Cは、コンテンツモードとも呼ばれ得る。第3モード12Cでは、例えば、投稿などが表示され得る。
【0144】
第1モード12A、第2モード12B及び第3モード12Cの更なる詳細については後述される。
【0145】
<2.3 サービス提供処理の情報処理データフロー>
【0146】
図9は、「2.2 サービス提供処理の例」において説明したサービス提供処理の情報処理のデータフローを示している。システム10は、第1モード12A、第2モード12B及び第3モード12Cのいずれかで提示されるコンテンツ(地図、スポット、駅、路線など)を、提示コンテンツ制御部14によって決定し、コンテンツ提示処理12を実行することで、ユーザインタフェース11Aを介して、ユーザU1へ、いずれかのモード12A,12B,12Cでコンテンツを提示する。表示されるコンテンツは、コンテンツデータベース310から得られる。なお、コンテンツデータベース310は、データベースマネジメントシステム17によって管理される。
【0147】
ユーザU1は、例えば、表示されたユーザインタフェース11Aの画面を閲覧し、その画面を操作して、表示またモードを切り替えたり、スポット又はスポットタグに対するお気に入り登録をしたりすることができる。
【0148】
ユーザのお気に入り登録は、ユーザ情報管理部15によって受け付けられ、ユーザデータベース320に登録される。提示コンテンツ制御部14は、ユーザのお気に入り登録に基づいて得られたユーザの嗜好情報に基づき、ユーザの嗜好情報にマッチするコンテンツ(スポット・駅)などを決定することができる。
【0149】
また、空きアセットマッチング部は、ユーザのお気に入り登録に基づいて得られたユーザの嗜好情報に基づき、ユーザの嗜好情報にマッチする商品(及び価格)を決定し、決定された商品(及び価格)を提示コンテンツ制御部14に与える。商品(及び価格)を決定する際には、空席データベース330が参照され得る。提示コンテンツ制御部は、商品(及び価格)を、ユーザ端末200に表示されたユーザインタフェース11A上で、ユーザに提示することができる。
【0150】
システム10は、スポットを訪問したユーザU2,U3から、スポットの口コミ・体験記などの投稿を受け付けることができる。口コミ・体験記などの入力は、ユーザ端末200に表示されたユーザインタフェース11Bで行われる。口コミ・体験記などの入力は、ソーシャルコンテンツ処理部13によって受け付けられ、コンテンツデータベース310に登録される。
【0151】
<2.4 インテリジェント路線図システム及び空きアセットマッチングシステム>
【0152】
これまで説明した実施形態に係るシステム10は、機能的に整理すると、図10に示すように、インテリジェント路線図システム20と、空きアセットマッチングシステム30と、の組み合わせとして理解され得る。
【0153】
インテリジェント路線図システム20は、例えば、鉄道旅行の動機付けをするコミュニティを形成するシステムとして用いられる。インテリジェント路線図システム20は、絶対位置に対応したインタラクティブな路線図20A(客観的データ)を基盤として、更に、ユーザ等による主観的なスポットのデータ20B、及び、ユーザ等による駅の情報・沿線情報などの主観的な鉄道関連データ20Cを備える。
【0154】
絶対位置に対応したインタラクティブな路線図20Aは、地図(例えば、実測地図)に、スポットの名称・位置情報などの客観的データ(スポットデータ)と、駅・路線・鉄道事業者等の客観的データ(鉄道データ)と、を加えて構成される。客観的な鉄道データが示す駅・路線は、地図(実測地図)上に配置(表示)される。
【0155】
インテリジェント路線図システム20は、絶対位置に対応したインタラクティブな路線図20A上に、主観的なスポットのデータ20B及び主観的な鉄道関連データ20Cを表示することが可能である。
【0156】
インテリジェント路線図システム20では、スポットのデータ20Bは、鉄道関連データ20C(駅又は路線)に関連付けられており、スポットを、地図上の駅又は路線に関連付けて、地図上に表示することが可能である。また、インテリジェント路線図システム20は、ユーザデータベース320を参照して、ユーザの嗜好にマッチするスポット等を、地図上に表示することが可能である。
【0157】
ユーザは、インテリジェント路線図システム20を用いて、路線図が配置された地図を探索/ブラウジングさせて、ユーザが行ってみたい場所を見つけることができる。
【0158】
空きアセットマッチングシステム30は、ユーザの嗜好等に基づいて、列車の空席データベース330などの空きアセットデータベースを参照して、ユーザの嗜好と空席(空きアセット)とのマッチング処理16を実行する。空きアセットマッチングシステム30は、ユーザがシステム10を使い込むことで把握されるユーザの状況に応じて、空席をマッチングし、ユーザに割安で提供することができる。マッチングのために利用されるユーザの状況は、ユーザの嗜好のほか、ユーザデータベース320におけるその他の情報(移動履歴等)又はユーザの現在地などである。
【0159】
システム10を利用するユーザは、インテリジェント路線図システム20を用いることで、鉄道旅行への動機付けがなされるとともに、動機付けされた旅行に関して、空きアセットマッチングシステム30によって提案された切符を購入し、旅行を楽しむことができる。
【0160】
<2.5 表示モード12A,12B,12C>
【0161】
以下、図8に関して前述した第1モード12A、第2モード12B及び第3モード12Cについて説明する。図11は第1モード12Aの画面例を示し、図12及び図13は第2モード12Bの画面例を示し、図14は、第1モード12A及び第2モード12Bの画面からの操作で表示可能な画面例を示し、図15及び図16は、第3モード12Cの画面例を示す。図17は、第1モード12Cのためのフィルタ画面例を示す。
【0162】
図11(A)に示すように、第1モード12Aでは、ユーザの現在位置を中心に地図が表示される。システム10は、第1モード12Aにおいて、電車に乗っているユーザに対して、現在地周辺のコンテンツ(スポット)の通知を出して、車窓に目を向けることを促す。
【0163】
ユーザが、ユーザの現在地周辺(進行方向側=前方に限定するのが好ましい)に存在しているコンテンツ(スポット)に、ある閾値を超えて近づくと、ユーザは、システム10から、ユーザインタフェース上(画面上)で、コンテンツ(スポット)が周囲に存在していることの通知を受け取る。図11(A)に示すように、地図上には、スポット及びスポットの情報が表示され得る。例えば、図11(B)に示すように、システム10は、ユーザの進行方向を考慮して、スポットがある方向(例えば、左又は右)を、ユーザに通知する。
【0164】
第1モード12Aにおいては、(1)進行方向が画面の上側(北側)に位置するように地図を回転させて使う状態、(2)東西南北を固定した状態で使う状態のいずれかを、ユーザが選択できてもよい。また、システム10は、ユーザの位置情報の変化の仕方又は加速度センサ等によって、ユーザが、電車などの交通機関(移動体)に乗っていると判断した場合、第1モード12Aが自動で起動してもよい。通知されるコンテンツはユーザの嗜好にあわせて手動ないし自動的に絞り込まれる。図17は、第1モード12Aの画面に表示されるフィルタボタンをユーザが押した場合に表示されるフィルタ画面を示している。フィルタ画面の操作によって、通知されるコンテンツをスポットタグでフィルタリングすることができる。これにより、ユーザの嗜好に応じてマッチした情報だけが自動的にフィルタリングされる。なお、フィルタ画面では、そのユーザのお気に入りと推測されるスポットタグをフィルタリング条件として選択可能であるほか、その他のスポットタグもフィルタリング条件として選択可能である。
【0165】
図12に示すように、第2モード12Bは、ユーザに鉄道を使った旅行の計画を促すためのインテリジェントな路線図を提供する。
【0166】
図12(A)(B)に示すように、第2モード12Bでは、日本地図の上にある駅、線路をハイライトし、日本地図に路線図を重ねたような画面が表示される(地図に駅名、路線名、鉄道事業者名のアノテーションがついている)。これにより、通常の地図アプリケーションよりも、地図上で駅等が強調表示され、駅等が目立って表示される。したがって、実施形態のインテリジェント路線は、駅や路線を考慮して鉄道を使った旅行の計画を立てるのに好適である。第2モード12Bでは、ズームとパンの度合いにあわせて、図13(A)(B)(C)に示すように、表示されるコンテンツの粒度(鉄道事業者名>路線名>駅名)が変わる(表示される情報が間引かれる)。
【0167】
図12(A)(B)の画面において、ユーザが路線又は駅名を選択すると、図12(C)に示すように、画面上に、路線における「駅の並び順」を示す駅名スライダーが表示される。ユーザが路線を選択した場合、駅名スライダーの中心に表示される駅名は、その地図の中心点から一番近い最寄り駅になる。また、ユーザが駅名を選択した場合、駅名スライダーの中心に表示される駅名は、選択した駅になる。ユーザが、駅名スライダーをスライドする操作をして、中心に表示される駅名が切り変わると、地図も連動して、その駅が中心点になるように地図が動く。地図が動く際(例:大阪駅から福島駅)のアクションは、線路の軌道をたどることができる。これにより、地図の動きが、電車が線路を走っているような感覚をもたらす効果が生じる。なお、一つの駅に複数路線がある場合は、ユーザ操作によって、駅名スライダーを切り替えることができる。
【0168】
図13(D)は、第2モード12Bの画面(例えば、図12(C)の画面)に表示された駅をユーザが選択(クリック又はタップ)したときの画面(駅マップ)を示している(スポットが選択されてもよい)。図13(D)では、「赤羽駅」がクリックされ、赤羽駅周辺のスポットが表示された状態を示している。この場合、選択された駅である「赤羽駅」が画面中心に表示される。赤羽駅の周辺スポットが、赤羽駅との関係を示すリンク(線)で結ばれて表示される。駅とスポットとがリンクで結ばれて表示されることで、表示されているスポットがその駅に関連付けられているという、駅とスポットとの関係をユーザが把握できる。また、各スポットには、駅からの所要時間(例えば、徒歩での所要時間)が表示されるため、所要時間からも駅とスポットとの関係をユーザが把握できる。
【0169】
なお、図13(D)の画面には、選択された駅名(赤羽駅)と、選択された赤羽駅に関連付けられたスポットタグ(第2属性情報)が表示されている。図13(D)では、スポットタグとして、「立ち呑み」「銭湯」「団地」が表示されている。これらのスポットタグの表示によって、ユーザは、選択した赤羽駅のイメージ/雰囲気/特徴を把握することができる。
【0170】
図13(D)等の画面に表示されたスポットをユーザが選択すると、スポット情報を表示する画面(図14(A))に遷移する。図14(A)に示すスポット情報の画面は、選択されたスポットの詳細情報を紹介する画面であり、そのスポットの画像、そのスポットについて投稿された口コミ、スポットタグ(第1属性情報)などが表示される。
【0171】
図13(D)等の画面に表示された駅をユーザが選択すると、駅情報を表示する駅ポータル画面(図14(B))に遷移する。図14(B)に示す駅ポータルの画面は、選択された駅(赤羽駅)を紹介する画面であり、その駅の画像、その駅を通る路線、その駅に関連付けられたタグ(第2属性情報)などが表示される。図14(B)では、タグとして「立ち呑み」「銭湯」「団地」が表示されている。駅ポータル画面には、駅の周辺のスポットが表示される。
【0172】
図14(B)等の画面に表示されたタグ(属性情報)をユーザが選択すると、スポットタグポータル画面(図14(C))に遷移する。スポットタグの画面は、選択されたタグ(立ち呑み)を説明する画面である。スポットタグポータル画面では、選択されたタグ(属性情報)が関連付けられた駅が表示される。図14(C)では、選択された「立ち呑み」が関連付けられた駅として、「赤羽駅」、「なんば駅」及び「石川町駅」が表示されている。
【0173】
スポットタグポータル画面では、表示される駅をユーザが調整できるように、路線を選択できる。また、ユーザは、表示順序(例えば、現在地に近い順)を選択することもできる。
【0174】
図13(D)等の画面に表示された路線をユーザが選択すると、路線情報を表示する沿線情報ナビゲーションの画面(図14(D))に遷移する。図14(C)の沿線情報ナビゲーションの画面では、その路線(沿線)に属する駅、その路線の事業者、その路線周辺エリアなどの情報が表示される。
【0175】
図15及び図16に示すように、第3モード12Cでは、各種のタイムラインが表示される。図15(A)は、ユーザ自身の投稿内容を示すタイムラインを示し、図15(B)はユーザがフォローした人のタイムラインを示す。
【0176】
図16(A)は、スポットタグに関連する投稿のタイムラインである。例えば、ユーザが、第2モード12Bの画面(又は第1モード12Aの画面)でスポットタグを選択すると、選択されたタグに関連付けられたスポット又は駅に関する投稿が表示される。また、あるユーザのお気に入りと推測されるタグが「海」である場合、「海」のタグが関連付けられたスポット又は駅に関する投稿が表示され得る。
【0177】
図16(B)は、駅に関連する投稿のタイムラインである。例えば、ユーザが、第2モード12Bの画面(又は第1モード12Aの画面)で駅を選択すると、選択された駅又はその駅に関連付けられたスポットに関する投稿が表示される。また、あるユーザのお気に入りと推測される駅が「赤羽駅」である場合、「赤羽駅」又は赤羽駅に関連付けられたスポット(赤羽駅が最寄り駅であるスポット)に関する投稿が表示される。
【0178】
<2.6 景観インプレッション>
【0179】
以下、景観インプレッションについて説明する。システム10は、景観に対するユーザのインプレッションに関して、ユーザから登録を受け付け、ユーザに対して景観インプレッション通知をすることができる。
【0180】
ここで、「景観」とは、施設名など固有名詞等で指示できるスポット以外のスポットをいう。景観は、例えば、桂川の桜並木、舞洲の夜景などである。ここでは、一例として、景観は、鉄道の乗車中に車窓から見える景観とする。また、一例として、景観は、ユーザが鉄道に乗車中に印象に残ったものがシステム10に投稿されて登録されるものとする。
【0181】
図11に示すように、システム10は、ユーザが鉄道に乗車しているときに、第1モード12Aの画面において、ユーザの現在位置の周辺にあるスポットを表示することができる。図11では、施設名など固有名詞等で指示できるスポットのほか、登録されている景観(景観インプレッション)も、ユーザに提示されている。図11において、景観インプレッションは、ハートマーク(インプレッションタグ)で示される。ここでの景観は、鉄道の乗車中に車窓から見える景観であるため、景観インプレッションのマーク(インプレッションタグ)は、その景観が見える位置である路線上に表示される。したがって、ユーザは、現在位置が、表示されているインプレッションタグに近づくと、車窓から景観を楽しむことができる。
【0182】
また、乗車中のユーザは、印象的な景観を見た場合、図11のインプレッションタグ投稿ボタンを操作することで、システム10は、そのときのユーザの現在位置を景観(景観インプレッション)として登録することができる。
【0183】
図18は、景観インプレッションに関するデータベースを示している。景観インプレッションに関するデータベースは、システム10が有するデータベース300に含まれるデータベースの例である。
【0184】
図18(A)は、景観インプレッション投稿データベースを示している。景観インプレッション投稿データベースは、ユーザから投稿された景観(景観インプレッション)を登録するためのデータベースである。システム10は、ユーザから受け付けた景観インプレッションを、図18(A)のデータベースに登録する。景観インプレッション投稿データベースは、「景観インプレッション投稿ID」、「ユーザID」、「緯度経度」、「投稿日時」、「インプレッションタグID」、「関連リンク」、「公開・非公開」の各項目を含む。なお、景観インプレッション投稿データベースは、ユーザが投稿したものに限られず、システム管理者等が設定したデータが含まれていてもよい。
【0185】
「景観インプレッション投稿ID」は、ユーザが投稿した景観インプレッションのIDである。「ユーザID」は、景観インプレッションを投稿したユーザのIDである。「緯度経度」は、景観インプレッションが投稿された位置であり、通常は、路線上の位置である。「投稿日時」は、景観インプレッションの投稿日時である。「インプレッションタグID」は、景観インプレッションのタグ情報(属性情報)のIDを示す(図18(C)参照)。「関連リンク」は、景観に関連するリンク(URL)を示す。「公開・非公開」は、景観インプレッションを他者に公開するかどうかの設定情報である。
【0186】
図18(B)は、景観インプレッション通知データベースを示している。景観インプレッション通知データベースは、システム10が、(図11の第1モード12Aなど)の画面上で、景観インプレッションをユーザに通知するために用いられる。景観インプレッション通知データベースは、ユーザからの投稿に基づく景観インプレッション投稿データベースの内容に基づいて、景観インプレッションの通知のために生成される。システム10は、景観インプレッション通知データベースに示す条件に合致した場合、その景観インプレッションを、ユーザに通知(例えば、画面上に表示)する。
【0187】
景観インプレッション通知データベースは、「景観インプレッション通知ID」、「緯度経度」、「インプレッションタグID」、「見れる時期」、「見れる時間帯」の各項目を含む。
【0188】
「景観インプレッション通知ID」は、景観インプレッションのID(通知用のID)を示す。同じ景観に対して、複数のユーザが投稿することが有り得るため、同じ景観に対して、景観インプレッションの投稿(景観インプレッション投稿ID)は複数存在し得る。一方、「景観インプレッション通知ID」は、景観インプレッション投稿IDと1対1対応していてもよいが、好適には、同じ景観に対する複数の景観インプレッション投稿を1つにまとめたときのIDである。同じ景観に対する複数の景観インプレッションは、例えば、投稿の位置(緯度経度)がほぼ同じものとして抽出され得る。
【0189】
「緯度経度」は、「景観インプレッション通知ID」が示す景観の位置(緯度・経度)を示す。ここでの「緯度経度」は、例えば、景観インプレッション投稿データベースにおける「緯度経度」から求められる。例えば、同じ景観に対する1又は複数の投稿の「緯度経度」から(例えばクラスタリングなどで)、その景観の通知のための1つの「緯度・経度」が求められる。
【0190】
「インプレッションタグID」は、通知される景観インプレッションのタグ情報(属性情報)のIDを示す(図18(C)参照)ここでの「インプレッションタグID」は、景観インプレッション投稿データベースにおける同じ景観の「インプレッションタグID」から求められる。例えば、同じ景観に対する1又は複数の投稿の「インプレッションタグ」から(例えばクラスタリングなどで)、その景観の通知のための1又は複数の「インプレッションタグID」が求められる。
【0191】
「見れる時期」及び「見れる時間帯」は、景観が見えるタイミングを示す。景観は、見える時間帯又は見える季節に限りがある場合がある。例えば、ある景観は、昼だけ見える、夜だけ見える、春だけ見える、ということがある。ユーザへの通知は、景観が見えるタイミングでするのが好ましい。このため、システム10は、「見れる時期」及び「見れる時間帯」などの景観が見えるタイミングに合致したタイミングで、景観を通知する。
【0192】
景観が見えるタイミングは、同じ景観に対する1又は複数の投稿の「投稿日時」から(例えばクラスタリングなどで)求められる。システム10は、投稿日時が、特定の季節・時間帯・日に集中している場合は、集中している時間帯をみえるタイミングとして求めて、データベースに登録できる。
【0193】
図18(C)は、インプレッションタグデータベースを示している。インプレッションタグデータベースは、景観インプレッションのタグ情報(属性情報)に関するデータベースである。インプレッションタグデータベースは、「インプレッションタグID」、「インプレッション名」、「景観インプレッション投稿ID」の各項目を有する。
【0194】
「インプレッションタグID」は、景観インプレッションのタグ情報のIDを示す。「インプレッション名」は、インプレッションの名前を示す。「景観インプレッション投稿ID」は、インプレッションタグIDを持つ景観インプレッション投稿のIDを示す。
【0195】
システム10は、図18(A)の景観インプレッション投稿データベースから、景観インプレッション通知データベースを生成し、その通知データベースに基づいて、ユーザに景観(景観インプレッション)の通知を行う。通知は、例えば、ユーザの現在地が、通知データベースの「緯度経度」に近づき、かつ、そのときのタイミングが「見れる時期」「見れる時間帯」に合致した場合に行われる。なお、通知は、他のタイミングで行われてもよい。
【0196】
なお、景観インプレッションは、ユーザ(投稿者)が見ていると推定されるスポットと関連付けられてもよい。例えば、ある公園の傍の路線上に景観インプレッションが登録されている場合、その景観インプレッションは、その「公園」というスポットと関連付けられてもよい。
【0197】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0198】
10 :コンピュータシステム
11A :ユーザインタフェース
11B :ユーザインタフェース
12 :コンテンツ提示処理
12A :第1モード
12B :第2モード
12C :第3モード
13 :ソーシャルコンテンツ処理部
14 :提示コンテンツ制御部
15 :ユーザ情報管理部
16 :マッチング処理
17 :データベースマネジメントシステム
20 :インテリジェント路線図システム
20A :路線図
20B :データ
20C :鉄道関連データ
30 :空きアセットマッチングシステム
50 :ネットワーク
100 :サーバ
110 :プロセッサ
111 :サービス提供処理
120 :記憶装置
121 :コンピュータプログラム
200 :ユーザ端末
210 :プロセッサ
220 :記憶装置
221 :コンピュータプログラム
230 :入出力装置
240 :位置情報取得器
300 :データベース
310 :コンテンツデータベース
320 :ユーザデータベース
330 :空席データベース
【要約】
【課題】交通機関を利用するユーザに対して、交通機関に関連したサービスを提供すための新たな技術を提供する。
【解決手段】開示のコンピュータシステムは、交通機関の路線における複数の乗降場それぞれに、前記乗降場の周辺におけるスポットが関連付けられ、前記スポットに、前記スポットの属性を示す第1属性情報が関連付けられたデータベースを備える。前記コンピュータシステムのプロセッサは、前記乗降場の周辺の前記スポットの前記第1属性情報に応じて決まる前記乗降場又は前記路線の第2属性情報と、前記スポットに関するユーザの嗜好を示す嗜好情報と、に基づいて、前記ユーザの嗜好にマッチする乗降場又は路線を識別する、ことを含む動作を実行する。
【選択図】図2
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