(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-29
(45)【発行日】2025-09-08
(54)【発明の名称】化粧鏡
(51)【国際特許分類】
A47B 67/02 20060101AFI20250901BHJP
A47K 1/02 20060101ALI20250901BHJP
【FI】
A47B67/02 502D
A47K1/02 B
(21)【出願番号】P 2025020553
(22)【出願日】2025-02-12
【審査請求日】2025-06-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】湯脇 康平
(72)【発明者】
【氏名】河原 学
(72)【発明者】
【氏名】松添 貴志
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-204934(JP,A)
【文献】特許第7085341(JP,B2)
【文献】実開昭59-50373(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/00ー67/02
A47K 1/00ー 1/14
A47G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡扉と、この鏡扉の裏面側に配置され鏡扉を保持する筐体と、を有し、
この筐体は、天板と、底板と、これらの天板と底板を両側で高さ方向に延びて連結する側板を備え、
上記筐体の底板は、上面と、この上面の前端部から下方に向けて延びると共にその下端が自由端である側面を備え、
上記鏡扉と上記筐体の底板の側面との間に、弾性体が設けられている、化粧鏡。
【請求項2】
上記筐体の底板の上面及び側面の断面形状が横方向に沿って連続して形成されている、請求項1に記載の化粧鏡。
【請求項3】
上記筐体の底板は、さらに、上記側面に対向し且つ上記上面から下方に向けて延びる1又は複数の中央面を備え、この中央面の下端の位置は、上記側面の下端の位置よりも低い位置となっている、請求項1に記載の化粧鏡。
【請求項4】
上記弾性体は、上記筐体の底板の側面の高さ方向中央より下方側に設けられている、請求項1に記載の化粧鏡。
【請求項5】
上記筐体の底板の上面に中仕切りが固定されている、請求項1に記載の化粧鏡。
【請求項6】
上記筐体の底板の中央面に、機能部品が取り付けられている、請求項3に記載の化粧鏡。
【請求項7】
上記筐体の底板は、さらに、上記中央面の下部から後方に向けて水平方向に延びる第1水平面と、この第1水平面の後部から下方に向けて垂直方向に延びる第1垂直面と、この第1垂直面の下部から後方に向けて水平方向に延びる第2水平面と、上記底板の上面の後部から下方に向けて垂直方向に延びる第2垂直面を備えている、請求項3に記載の化粧鏡。
【請求項8】
上記中仕切りは、中実部材であり且つ上記底板の上面にねじ締結されている、請求項5に記載の化粧鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧鏡に係り、特に、洗面化粧台等に設置される化粧鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、幅を間口いっぱいの広げた洗面化粧台が増え、この洗面化粧台に設置される化粧鏡も大型化が進んでいる。化粧鏡のフレーム(筐体)は、強度を確保するためにアルミニウム等の金属部材で作られることが多く、また、生産性と軽量化のために、中空の押出材で作られることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、上部キャビネット(化粧鏡)が記載され、この上部キャビネットには、アルミニウムなどの材料で作られた天板、底板、側板等を備えたフレーム(筐体)が設けられ、さらに、このフレームの前面側には、鏡扉が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の上部キャビネット(化粧鏡)では、金属部品で作られたフレーム(筐体)と、ガラスで作られる鏡扉とが組み合わされているので、鏡扉のフレームへの組付け時、又は、鏡扉の開閉時に鏡に大きな負荷(衝撃)が加わることある。
特に、特許文献1に記載された上部キャビネットでは、フレーム(筐体)が箱体形状で且つ金属材料で作られているので、フレームの剛性が非常に高くなり、弾性体により吸収される上述した衝撃の逃げ場がなくなるので、鏡扉に過大な負荷がかかり問題である。
【0006】
そこで、本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、鏡扉の組付け時や開閉時に生じる衝撃を容易に吸収することができる化粧鏡を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の化粧鏡は、鏡扉と、この鏡扉の裏面側に配置され鏡を保持する筐体と、を有し、この筐体は、天板と、底板と、これらの天板と底板を両側で高さ方向に延びて連結する側板を備え、筐体の底板は、上面と、この上面の前端部から下方に向けて延びると共にその下端が自由端である側面を備え、鏡扉と筐体の底板の側面との間に、弾性体が設けられている。
このように構成された本発明によれば、筐体の底板は、上面と、この上面の前端部から下方に向けて延びると共にその下端が自由端である側面を備え、鏡扉と筐体の底板の側面との間に、弾性体が設けられているので、鏡扉を閉じるときに衝撃が作用しても、弾性体の変形に加え、筐体の底面の側面が自由端(片持ち梁形状)による可撓性を有するので、鏡扉に作用する衝撃を確実に吸収することができる
【0008】
本発明において、好ましくは、筐体の底板の上面及び側面の断面形状が横方向に沿って連続して形成されている。
化粧鏡の筐体の底板の上面と側面の横方向の長さが短い場合には、鏡扉に衝撃が作用するときに底板の側面が塑性変形するリスクがあるが、このように構成された本発明によれば、筐体の底板の上面及び側面の断面形状が横方向に沿って連続して形成されているので、筐体の底板の側面の可撓性形状を維持しつつ剛性を確保でき、それにより、鏡扉に作用する衝撃を確実に吸収することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、筐体の底板は、さらに、側面に対向し且つ上面から下方に向けて延びる1又は複数の中央面を備え、この中央面の下端の位置は、側面の下端の位置よりも低い位置となっている。
このように構成された本発明によれば、筐体の底板が、さらに、側面に対向し且つ上面から下方に向けて延びる1又は複数の中央面を備え、この中央面の下端の位置が、側面の下端の位置よりも低い位置となっているので、筐体の底板の側面の可撓性を維持しつつ且かつ筐体の強度を確保することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、弾性体は、筐体の底板の側面の高さ方向中央より下方側に設けられている。
このように構成された本発明によれば、弾性体が、筐体の底板の側面の高さ方向中央より下方側に設けられているので、筐体の側面の自由端近傍にて荷重を受けることができるので、弾性を大きくすることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、筐体の底板の上面に中仕切りが固定されている。
中仕切りが底板を横方向に沿って分断するように設けられた場合、底板の側面の剛性が弱くなり、側面が衝撃吸収時に局所的に塑性変形してしまう。しかしながら、このように構成された本発明によれば、筐体の底板の上面に中仕切りが固定されているので、横方向(間口方向)に亘って全体に又は部分的に底板を設けることができ、底板全体で衝撃を吸収することができる。
(注:請求項5の作用の説明が若干不明確です。ご確認下さい。)
【0012】
本発明において、好ましくは、筐体の底板の中央面に、機能部品が取り付けられている。
このように構成された本発明によれば、筐体の底板の中央面に、機能部品が取り付けられているので、機能部品を取り付けるための他の部材が不要となり、さらに、正面視で、底板の側面により機能部品の全部又は一部を隠蔽することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、筐体の底板は、さらに、中央面の下部から後方に向けて述べる第1水平面と、この第1水平面の後部から下方に向けて延びる第1垂直面と、この第1垂直面の下部から後方に向けて延びる第2水平面と、底板の上面の後部から下方に向けて延びる第2垂直面を備えている。
このように構成された本発明によれば、筐体の底板が、さらに、中央面の下部から後方に向けて述べる第1水平面と、この第1水平面の後部から下方に向けて延びる第1垂直面と、この第1垂直面の下部から後方に向けて延びる第2水平面と、底板の上面の後部から下方に向けて延びる第2垂直面を備えているので、筐体の底板の第1水平面にLED照明等の機能部品を搭載でき、さらに、第2垂直面により筐体の底板の剛性を高めることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、中仕切りは、中実部材であり且つ底板の上面にねじ締結されている。
このように構成された本発明によれば、中仕切りが中実部材であり且つ底板の上面にねじ締結されているので、中仕切りをねじの着脱のみで交換ができ、メンテナンス性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の化粧鏡によれば、鏡の組付け時や開閉時に生じる衝撃を容易に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1乃至第3実施形態による化粧鏡が取り付けられている洗面化粧台を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による化粧鏡を示す正面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による化粧鏡における鏡扉が開状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による化粧鏡から鏡扉を取り外した状態を示す正面図である。
【
図5】
図2のV-V線に沿って見た縦断面図である。
【
図7】
図2のVII-VII線に沿って見た縦断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の化粧鏡の第1変形例を示す部分断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の化粧鏡の第2変形例を示す部分断面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態の化粧鏡の第3変形例を示す部分断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板を斜め上方から見た断面斜視図である。
【
図12】本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板の
図2のXII―XII線に沿って見た部分断面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板にカバー部材を挿入する様子を示す斜視図である。
【
図14】本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板の上端部に取り付けられたエンドキャップを示す斜視図である。
【
図15】本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板の下端部に取り付けられたエンドキャップを示す斜視図である。
【
図16】本発明の第2実施形態の化粧鏡の変形例の筐体の天板(底板)及び側板を上方から見た部分断面図である。
【
図17】本発明の第3実施形態の化粧鏡の一部を示す部分斜視図である。
【
図18】本発明の第3実施形態の化粧鏡の鏡扉を示す斜視図である。
【
図19】本発明の第3実施形態の化粧鏡の鏡扉の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による化粧鏡について説明する。最初に、
図1乃至
図4により、本発明の第1実施形態による化粧鏡の基本構造について説明する。
図1は本発明の第1実施形態による化粧鏡が取り付けられている洗面化粧台を示す斜視図であり、
図2は本発明の第1実施形態による化粧鏡を示す正面図であり、
図3は本発明の第1実施形態による化粧鏡における鏡扉が開状態を示す斜視図であり、
図4は本発明の第1実施形態による化粧鏡から鏡扉を取り外した状態を示す正面図である。
【0018】
図1に示すように、洗面化粧台1は、下方から順に、キャビネット2、洗面台4、吐水装置6、第1実施形態による化粧鏡8を備えている。キャビネット2は、2つの引き出し2aを備え、洗面用具や化粧品等を収納できるようになっている。洗面台4は、洗面ボウル4aとカウンター4bを備えている。吐水装置6は、湯水が吐水するためのものであり、温度や吐水量が利用者により調整できるようになっている。化粧鏡8には、後述するように、その前面側に5個の鏡扉24が取り付けられている。
【0019】
図2乃至
図4に示すように、化粧鏡8は、筐体10を備え、この筐体10は、天板12と、底板14と、天板12と底板14を両側で高さ方向に延びて連結する側板16(右側板16a、左側板16b)、背板18を備え、正面視で四角形のフレーム構造となっている。
【0020】
筐体10の天板12と底板14の間には、4個の中仕切り20が設けられており、これらの中仕切り20は、上下方向に延び、その上端が天板12に固定され、その下端が底板14に固定されている。さらに、天板12と底板14の高さ方向の中間領域且つ各中仕切り20の間には、左右方向に延びる15個の棚板22が取り付けられている(
図4参照)。
【0021】
次に、
図2及び
図3に示すように、4個の中仕切り20には、合計5個の鏡扉24が蝶番26により、開閉可能に取り付けられている。この鏡扉24は、後述するように、ベース部材28とこのベース部材28に取り付けられた鏡30から構成されている(
図18参照)。また、蝶番26は、中仕切り20と鏡扉24の上部と下部の2箇所に取り付けられている。
【0022】
図5乃至
図7により、筐体10の底板14の断面形状等について、説明する。
図5は
図2のV-V線に沿って見た縦断面図であり、
図6は
図5のA部分の拡大縦断面図であり、
図7は
図2のVII-VII線に沿って見た縦断面図である。
【0023】
図5及び
図6に示すように、筐体10の底板14は、水平方向に延びる上面32と、この上面32の先端から下方に向けて延びる側面34を備えている。この側面34の下端は自由端となっており、そのため、側面34は片持ち梁の構造となっている。底板14の上面32と側面34は、横方向(間口方向)に沿って、右側の側板16から左側の側板16まで、全域に設けられている。なお、この底板14は、横方向の全域でなくてもよく、一部の領域に設けるようにしてもよい。
【0024】
底板14の上面32の下面の前後方向のほぼ中央には、側面34に対向し且つ可能に向って延びる中央面36が取り付けられている。この中央面36は側面34よりも高さ方向に沿って長く形成され、そのため、中央面36の下端36aの位置は、側面34の下端34aの位置よりも低い位置となっている。
【0025】
図6に示すように、筐体10の底板14は、さらに、中央面36の下部の途中から後方に向けて水平方向に延びる第1水平面38と、この第1水平面38の後端から下方に向けて垂直方向に延びる第1垂直面40と、この第1垂直面40の下端から後方に向けて水平方向に延びる第2水平面42を備えている。底板14は、さらに、上面32の後端から下方に向けて垂直方向に延びる第2垂直面44を備えている。この第2垂直面44は、上述した筐体10の背板18に取り付けられている。
【0026】
図6に示すように、鏡扉24と底板14の側面34の間には、ゴム等の弾性体46が設けられており、この弾性体46により、鏡扉24の筐体10への取付け時、及び、鏡扉24を閉じるときに、鏡扉24に作用する衝撃を吸収することができるようになっている。
【0027】
筐体10の底板14の中央面36の前面及び後面には、機能部品であるLED照明器具47やコンセント48等が取り付けられている。また、中央面36の前面に機能部品が取り付けられた場合には、その前方に側面34が形成されているため、機能部品の全部又は一部が隠蔽されるようになっている。
【0028】
図7に示すように、中仕切り20は、中実部材であり、そのため、中仕切り20は、底板14に、ねじ50により、ねじ締結されている。同様に、中仕切り20は、天板12にもねじによりねじ締結されている。
【0029】
次に、
図8により、第1実施形態による化粧鏡8の第1変形例について説明する。
図8は本発明の第1実施形態の化粧鏡の第1変形例を示す部分断面図である。
図8に示すように、第1変形例による化粧鏡8の筐体10の底板14は、上述した上面32と側面34を備え、この側面34と鏡扉24との間に、弾性体46が設けられている。この第1変形例においても、底板14の側面34の下端は自由端となっており、そのため、側面34は片持ち梁の構造となっている。
【0030】
次に、
図9により、第1実施形態による化粧鏡8の第2変形例について説明する。
図9は本発明の第1実施形態の化粧鏡の第2変形例を示す部分断面図である。
図9に示すように、第2変形例による化粧鏡8の筐体10の底板14は、上述した上面32、側面34及び中央面36を備え、この側面34と鏡扉24との間に、弾性体46が設けられている。この第2変形例においても、底板14の側面34の下端は自由端となっており、そのため、側面34は片持ち梁の構造となっている。
【0031】
次に、
図10により、第1実施形態による化粧鏡8の第3変形例について説明する。
図10は本発明の第1実施形態の化粧鏡の第3変形例を示す部分断面図である。
図10に示すように、第3変形例による化粧鏡8の筐体10の底板14の構造は、上述した第2変形例と同じであり、上述した上面32、側面34及び中央面36を備え、この側面34と鏡扉24との間に、弾性体46が設けられている。この第3変形例においても、底板14の側面34の下端は自由端となっており、そのため、側面34は片持ち梁の構造となっている。特に、第3変形例では、弾性体46が、底板14の側面34の高さ方向の中央位置34b(上方高さH1と下方高さH1が同じ値)よりも下方側に設けられている。
【0032】
次に、上述した本発明の第1実施形態による化粧鏡8の作用効果について説明する。
まず、本実施形態の化粧鏡8によれば、筐体10の底板14は、上面32と、この上面32の前端部から下方に向けて延びると共にその下端が自由端である側面34を備え、鏡扉24と筐体10の底板14の側面34との間に、弾性体46が設けられているので、鏡扉24を閉じるときに衝撃が作用しても、弾性体46の変形に加え、筐体10の底面14の側面34が自由端(片持ち梁形状)による可撓性を有するので、鏡扉24に作用する衝撃を確実に吸収することができる
【0033】
化粧鏡の筐体の底板の上面と側面の横方向の長さが短い場合には、鏡扉に衝撃が作用するときに底板の側面が塑性変形するリスクがある。しかしながら、本実施形態の化粧鏡8によれば、筐体10の底板14の上面32及び側面34の断面形状が横方向に沿って連続して形成されているので、筐体10の底板14の側面34の可撓性形状を維持しつつ剛性を確保でき、それにより、鏡扉24に作用する衝撃を確実に吸収することができる。
【0034】
本実施形態の化粧鏡8によれば、筐体10の底板14が、さらに、側面34に対向し且つ上面から下方に向けて延びる1又は複数の中央面36を備え、この中央面36の下端の位置が、側面34の下端の位置よりも低い位置となっているので、筐体10の底板14の側面34の可撓性を維持しつつ且かつ筐体10の強度を確保することができる。
【0035】
本実施形態の化粧鏡8によれば、弾性体46は、筐体10の底板14の側面34の高さ方向中央より下方側に設けられているので、筐体10の側面34の自由端近傍にて荷重を受けることができるので、弾性を大きくすることができる。
【0036】
中仕切りが底板を横方向に沿って分断するように設けられた場合、底板の側面の剛性が弱くなり、側面が衝撃吸収時に局所的に塑性変形してしまう。しかしながら、本実施形態の化粧鏡8によれば、筐体10の底板14の上面32に中仕切り20が固定されているので、横方向(間口方向)に亘って全体に又は部分的に底板14を設けることができ、底板全体で衝撃を吸収することができる。
【0037】
本実施形態による化粧鏡8によれば、筐体10の底板14の中央面36に、機能部品(LED照明器具47等)が取り付けられているので、機能部品を取り付けるための他の部材が不要となり、さらに、正面視で、底板14の側面34により機能部品の全部又は一部を隠蔽することができる。
【0038】
本実施形態による化粧鏡8によれば、筐体10の底板14が、さらに、中央面36の下部から後方に向けて水平方向に延びる第1水平面38と、この第1水平面38の後部から下方に向けて垂直方向に延びる第1垂直面40と、この第1垂直面40の下部から後方に向けて水平方向に延びる第2水平面42と、底板14の上面32の後部から下方に向けて垂直方向に延びる第2垂直面44を備えているので、筐体10の底板14の第1水平面38にLED照明器具47等の機能部品を搭載でき、さらに、第2垂直面44により筐体10の底板14の剛性を高めることができる。
【0039】
本実施形態による化粧鏡8によれば、中仕切り20が中実部材であり且つ底板14の上面32にねじ50によりねじ締結されているので、中仕切り20をねじ50の着脱のみで交換ができ、メンテナンス性が向上する。
【0040】
次に、
図1、
図11乃至
図16により、本発明の第2実施形態による化粧鏡60について説明する。この第2実施形態による化粧鏡60の以下の説明において、上述した第1実施形態による化粧鏡8と同一の構成の部分には、同一の符号を付し、説明は省略する。
【0041】
まず、
図11及び
図12により、化粧鏡60の筐体10の側板16の構造について説明する。
図11は本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板を斜め上方から見た断面斜視図であり、
図12は本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板の
図2のXII―XII線に沿って見た部分断面図である。
【0042】
図11及び
図12に示すように、筐体10の側板16には、外側に向けて開口する開口部16aが形成され、この側板16の開口部16aには、この開口部16aを着脱可能に覆うカバー部材62が取り付けられている。
【0043】
具体的に説明すると、筐体10の側板16の開口部16aの近傍には、上下方向に延びる係合部である凸部16bが形成されている。一方、カバー部材62の裏面側には、上下方向に延びて側板16の凸部16bに係合する被係合部である凹部62aが形成されている。
【0044】
次に、
図13により、カバー部材62の側板16への取付工程について説明する。
図13は本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板にカバー部材を挿入する様子を示す斜視図である。
図13に示すように、カバー部材62を側板16に対して下降させる。このとき、カバー部材62の凹部62aが側板16の凸部16bに係合されているので、カバー部材62は、側板16に高さ方向以外の方向に対して位置決めされることになる。
【0045】
次に、
図14及び
図15により、側板に取り付けられるエンドキャップについて説明する。
図14は本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板の上端部に取り付けられたエンドキャップを示す斜視図であり、
図15は本発明の第2実施形態の化粧鏡の筐体の側板の下端部に取り付けられたエンドキャップを示す斜視図である。
【0046】
図14に示すように、側板16の上端部には、エンドキャップ64が取り付けられている。具体的に説明すると、側板16には、ねじ穴16d(
図12参照)が形成され、このねじ穴16dに、エンドキャップ64の上面からねじ66を回転させてねじ66が側板16のねじ穴16dに螺合される(ねじ締結される)ようになっている。このエンドキャップ64により、カバー部材62が側板16に高さ方向に対して位置決めされる。
【0047】
同様に、
図15に示すように、側板16の下端部にも、エンドキャップ65が取り付けられている。具体的に説明すると、側板16には、同様に、ねじ穴(図示せず)が形成され、このねじ穴に、エンドキャップ65の下面からねじ66を回転させてねじ66が側板16のねじ穴に螺合される(ねじ締結される)ようになっている。このエンドキャップ64により、カバー部材62が側板16に高さ方向に対して位置決めされる。
【0048】
次に、
図16により、上述した本発明の第2実施形態の変形例について説明する。
図16は本発明の第2実施形態の化粧鏡の変形例の筐体の天板(底板)及び側板を上方から見た部分断面図である。
【0049】
図16に示すように、筐体10の天板12(及び底板14)の両側には、側板16が取り付けられている。筐体10の側板16には、外側に向けて開口する開口部16aが形成され、この側板16の開口部16aには、この開口部16aを着脱可能に覆うカバー部材63が取り付けられている。
【0050】
具体的に説明すると、筐体10の側板16の開口部16aにはねじ穴16dが形成され、カバー部材63にはねじ穴63aが形成され、これらのねじ穴63a、16eにねじ68が押し込まれ、側板16とカバー部材63が螺合され、締結されるようになっている。
【0051】
次に、上述した本発明の第2実施形態による化粧鏡60の作用効果について説明する。
まず、本実施形態の化粧鏡60によれば、筐体10の側板16には、外側に向けて開口する開口部16aが設けられ、この側板16の開口部16aには、この開口部16aを覆う着脱可能なカバー部材62が取り付けられているので、筐体10の構成部品である天板12、底板14及び側板16に対し、カバー部材62、63が別部品となり、筐体10の側板16に不具合が発生しても、簡単にメンテナンスすることが可能となる。
【0052】
次に、本実施形態の化粧鏡60によれば、カバー部材62を側板16に対して下降させて、側板16の係合部である凸部16bにカバー部材62の被係合部である凹部62aが係合されることにより、カバー部材62が側板16に高さ方向以外の方向に対して位置決めされ、さらに、エンドキャップ64、65により、カバー部材62が側板16に高さ方向に対して位置決めされるので、エンドキャップ64、65を着脱するだけで、カバー部材62を交換することができる。
【0053】
次に、本実施形態の化粧鏡60によれば、カバー部材62が、側板16にねじ66によりねじ締結されているので、ねじ66を外すだけで部品交換ができ、固定方法の簡易化が達成できる。
【0054】
次に、
図1、
図17乃至
図20により、本発明の第3実施形態による化粧鏡80について説明する。この第3実施形態による化粧鏡80の以下の説明において、上述した第1実施形態による化粧鏡8及び第2実施形態による化粧鏡60と同一の構成の部分には、同一の符号を付し、説明は省略する。
【0055】
まず、
図3、
図5、
図6により、第3実施形態による化粧鏡80の基本構造について説明する。上述したように、化粧鏡80は、筐体10を備え、この筐体10は、天板12と、底板14と、天板12と底板14を両側で高さ方向に延びて連結する側板16、背板18を備え、正面視で四角形のフレーム構造となっている。ここで、天板12、側板16は、中空構造となっている。
【0056】
図6に示すように、筐体10の底板14は、水平方向に延びる上面34と、この上面34の先端から下方に向けて垂直方向に延び下端が自由端である側面34と、上面34の下面側の前後方向のほぼ中央から下方に垂直方向に延びる中央面26と、中央面36の下部の途中から後方に向けて水平方向に延びる第1水平面38と、この第1水平面38の後端から下方に向けて垂直方向に延びる第1垂直面40と、この第1垂直面40の下端から後方に向けて水平方向に延びる第2水平面42と、上面32の後端から下方に向けて垂直方向に延びる第2垂直面44を備えている。このように、筐体10の底板14は、その一部が下方に向けて開口する構造となっている。
【0057】
ここで、
図17に示すように、第3実施形態の化粧鏡80においては、筐体10の底板14の変形例として、その断面が中空構造の底板82であってもよい。
【0058】
さらに、
図3に示すように、筐体10の天板12と底板14の間には、4個の中仕切り20が設けられており、これらの中仕切り20は、上下方向に延び、その上端が天板14に固定され、その下端が底板14に固定されている。4個の中仕切り20には、合計5個の鏡扉24が蝶番26により、開閉可能に取り付けられている。蝶番26は、中仕切り20と鏡扉24の上部と下部の2箇所(3箇所でもよい)に取り付けられている。上述したように、中仕切り20は、その内部に空間が存在しない中実構造である。
【0059】
次に、
図18により、鏡扉24の具体的な構造について説明する。
図18は本発明の第3実施形態の化粧鏡の鏡扉を示す斜視図である。
図18に示すように、鏡扉24は、ベース部材28とこのベース部材28に取り付けられた鏡30により構成されている。また、ベース部材28には、その上部と下部の2箇所に蝶番26が取り付けられている。
【0060】
次に、
図19及び
図20により、第3実施形態による化粧鏡80の鏡扉の変形例について説明する。
図19は本発明の第3実施形態の化粧鏡の鏡扉の変形例を示す斜視図であり、
図20は
図19のXX―XX線に沿って見た断面図である。
図19及び
図20に示すように、鏡扉84は、ベース部材86を備え、このベース部材86の表側には凹部86aが形成されている。この凹部86aには、ウレタンフォーム等の充填剤88が充填される。ベース部材86の凹部86a側には、充填剤88を介して鏡30が取り付けられるようになっている。
【0061】
このように、鏡扉84は、ベース部材86と鏡30との間は充填剤88が充填されているので、中実構造の鏡扉となっている。ここで、充填剤88は、それ自体が防音効果を持つ独立発泡構造の充填剤である。
【0062】
次に、上述した本発明の第3実施形態による化粧鏡80の作用効果について説明する。
まず、本実施形態の化粧鏡80によれば、中仕切り20と鏡扉24、84は蝶番26により連結されて、鏡扉24、84が開閉自在となっており、鏡扉24、84及び中仕切り20の少なくとも何れか一方が音の反響を防止する防音構造(中実構造、充填剤等)を備えているので、蝶番26から摺動音が発生しても、鏡扉24、84及び/又は中仕切り20の防音構造により、摺動音が筐体10に伝搬することを抑制することができる。
【0063】
次に、本実施形態の第3実施形態による化粧鏡80によれば、中仕切り20が中実構造であるので、蝶番26において発生した異音の中仕切り20内での反響と、筐体10への異音の伝搬を防止することができる。
【0064】
次に、本実施形態の第3実施形態による化粧鏡80によれば、筐体10の少なくとも底板14は開口面を有する断面形状(
図6参照)を備えているので、筐体10への異音の伝搬を防止すると共に、機能部材(LED照明器具47、コンセント48)を底板14内に収納することができる。
【0065】
次に、本実施形態の第3実施形態による化粧鏡80によれば、鏡扉24、84は、蝶番26に連結されるベース部材28、86と、このベース部材28、86に取り付けられた鏡30を備え、べース部材28、86は中実構造であるので、中実構造のベース部材28、86により、音の反響要因となる内部空間の形成を防ぐことができる。
【0066】
次に、本実施形態の第3実施形態による化粧鏡80によれば、鏡扉84が、蝶番26に連結されるベース部材86と、このベース部材86に取り付けられた鏡30を備え、べース部材86には凹部86aが形成され、この凹部86aに充填剤88が充填されるので、ベース部材86が凹部86aを形成することにより軽量化され、凹部86aに充填剤88が充填されることにより音の反響を防止することができる。
【0067】
次に、本実施形態の第3実施形態による化粧鏡80によれば、充填剤88が独立発泡構造の充填剤であるので、さらなる軽量化が可能となり、また、遮音性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 洗面化粧台
2 キャビネット
4 洗面台
6 吐水装置
8、60、80 化粧鏡
10 筐体
12 天板
14 底板
16、82 側板
16a 開口部
16b 凸部
62a 凹部
16d、16e ねじ穴
18 背板
20 中仕切り
22 棚板
24、84 鏡扉
26 蝶番
28、86 ベース部材
30 鏡
32 底板の上面
34 底板の側面
34a 側面の下端
36 中央面
36a 中央面の下端
38 第1水平面
40 第1垂直面
42 第2水平面
44 第2垂直面
46 弾性体
47 水栓吐水操作部(機能部品)
48 コンセント(機能部品)
50、66、68 ねじ
62、63 カバー部材
64、65 エンドキャップ
86a 凹部
【要約】
【課題】鏡扉の組付け時や開閉時に生じる衝撃を容易に吸収することができる化粧鏡を提供する。
【解決手段】本発明の化粧鏡8は、鏡扉24と、この鏡扉の裏面側に配置され鏡扉を保持する筐体10と、を有し、筐体は、天板12と、底板14と、天板と底板を両側で高さ方向に延びて連結する側板16を備え、筐体の底板は、上面32と、この上面の前端部から下方に延びると共にその下端が自由端である側面34を備え、鏡扉と筐体の底板の側面との間に弾性体46が設けられている。
【選択図】
図5