(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-29
(45)【発行日】2025-09-08
(54)【発明の名称】エアコンプレッサ構造
(51)【国際特許分類】
F04B 39/14 20060101AFI20250901BHJP
F04B 35/01 20060101ALI20250901BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20250901BHJP
【FI】
F04B39/14
F04B35/01 C
F04B39/00 104E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100877
(22)【出願日】2024-06-21
【審査請求日】2024-06-21
(32)【優先日】2024-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2024-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512278618
【氏名又は名称】已久工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】周 文三
(72)【発明者】
【氏名】周 承賢
【審査官】岩田 啓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0098583(US,A1)
【文献】特開2012-251502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/14
F04B 39/00
F04B 35/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内に結合され、往復運動して圧縮空気を生成するピストンと、
前記シリンダに着脱可能に取り付けられ、空気貯留室と空気出口を有するシリンダヘッドであって、前記空気貯留室は前記シリンダと前記空気出口との間に連通し、前記圧縮空気を受け取り、前記空気出口を介して前記圧縮空気をエアコンプレッサ構造から排出する前記シリンダヘッドと、
を備え
、
前記シリンダヘッドは、カバー本体とキャリアを備え、前記カバー本体は、前記シリンダに係合するか、前記シリンダから離脱し、前記キャリアは構造的に前記カバー本体に接続され、前記キャリアは前記空気出口を有し、
前記カバー本体と前記シリンダは中心軸を共有し、前記カバー本体の内底縁には、前記中心軸を囲んで互い違いに配置された複数の切欠き及び複数のストッパが配置され、前記シリンダの外柱面には、前記中心軸を囲んで配置され、前記切欠きと前記ストッパに対応する複数の凸部が配置され、各前記凸部は、対応する前記切欠きを通って前記カバー本体内に移動し、前記カバー本体と前記シリンダとが相対的に回転すると、各前記凸部は、前記ストッパに移動して前記ストッパに係合するエアコンプレッサ構造。
【請求項2】
前記中心軸に対する前記凸部の距離は、前記中心軸に対する前記切欠きの距離よりも小さく、前記複数の凸部と前記複数の切欠きは同一平面に位置し、前記平面は前記中心軸の法線面である、
請求項
1に記載のエアコンプレッサ構造。
【請求項3】
前記カバー本体は第1のチャンバを有し、前記キャリアは第2のチャンバを有し、前記第1のチャンバは前記シリンダに連通し、前記第2のチャンバは前記第1のチャンバと前記空気出口との間に連通する、
請求項
1に記載のエアコンプレッサ構造。
【請求項4】
前記キャリアはL字形の輪郭を有し、前記第2のチャンバは転換点を有する、
請求項
3に記載のエアコンプレッサ構造。
【請求項5】
前記キャリア内に配置され、前記第2のチャンバの空気圧を感知する圧力計をさらに含み、前記圧力計の目盛は前記キャリアの表面に位置する、
請求項
3に記載のエアコンプレッサ構造。
【請求項6】
前記キャリアに配置され、前記第2のチャンバに連通する圧力リリーフバルブをさらに含む、
請求項
3に記載のエアコンプレッサ構造。
【請求項7】
モーターと伝達機構をさらに備え、前記ピストンの一端は前記シリンダ内に結合され、前記ピストンの他端は前記伝達機構に接続され、前記伝達機構は前記モーターに接続され、前記モーターは前記伝達機構を介して前記ピストンを駆動して前記往復運動を行い、前記ピストンの前記一端は、前記往復運動に伴って前記シリンダヘッドに近づくか、前記シリンダヘッドから離れる、
請求項1に記載のエアコンプレッサ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンプレッサ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンプレッサの主な構造は、モーターによりピストンを駆動し、シリンダ内で往復圧縮動作を行うものであり、圧縮された空気は、それに接続された膨張対象物を充填するために使用することができる。
【0003】
公知のように、気体が圧縮される過程において、温度の上昇することに伴っている。同時に、上述のエアコンプレッサの構造において、ピストンの往復運動により発生する間欠性により空気圧の伝達も不安定になる。また、間欠的な圧力衝撃波により圧力計の指針が振動することで、圧力計が示す圧力値と実際の出口端の圧力値に差異が生じる。
【0004】
したがって、上記の要求を考慮しながら、簡易な構造をどのように提供するかは、関連する技術者が検討して解決する必要がある課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、構造的な密閉性と空気圧の安定性を兼ね揃えたコンパクトな構造のエアコンプレッサ構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアコンプレッサ構造は、シリンダと、ピストンと、シリンダヘッドと、を備える。ピストンは、シリンダに結合され、往復運動して圧縮空気を生成する。シリンダヘッドは、シリンダに着脱可能に取り付けられる。シリンダヘッドは、空気貯留室と空気出口を有し、空気貯留室は、シリンダと空気出口との間に連通し、圧縮空気を受け取り、空気出口を介して圧縮空気をエアコンプレッサ構造から排出する。
【発明の効果】
【0007】
以上に基づき、エアコンプレッサ構造は、シリンダヘッドに空気貯留室と空気出口を配置することにより、シリンダからの圧縮空気を受け取り、圧縮空気を空気貯留室の後方を通って空気出口から排出する。これにより、シリンダヘッドは一体構造を呈し、圧縮空気を受け取るシリンダを係合して覆うほか、さらにその内の空気貯留室を圧縮空気の緩衝領域として利用して、構造的な密閉性と空気圧の安定性を兼ね揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態によるエアコンプレッサ構造の概略図である。
【
図2】
図1のエアコンプレッサ構造の一部構成要素の分解概略図である。
【
図3】シリンダヘッドの異なる箇所における局部断面図である。
【
図4】シリンダヘッドの異なる箇所における局部断面図である。
【
図5】シリンダヘッドとシリンダの実装概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施形態によるエアコンプレッサ構造の概略図である。
図2は、
図1のエアコンプレッサ構造の一部構成要素の分解概略図である。ここで、構成要素の説明を容易にするために、同時に直角座標X-Y-Zを提供する。
図1と
図2を同時に参照すると、本実施形態において、エアコンプレッサ構造100は、シリンダ110、シリンダヘッド120、ピストン130、伝達機構140、モーター150、圧力計160及び圧力リリーフバルブ170を備える。シリンダヘッド120は、シリンダ110に着脱可能に取り付けられる。伝達機構140は、モーター150とピストン130の下端との間に接続され、ピストン130の上端は、シリンダ110内に移動可能に結合され、モーター150は伝達機構140を介してピストン130を駆動し、シリンダ110内を往復運動して圧縮空気を生成することができ、ピストン130の上端は往復運動に伴ってシリンダヘッド120に近づくか、シリンダヘッド120から離れる。ピストン130が進行して空気を圧縮する際、同時にその上端もシリンダヘッド120に向けて移動し、圧縮空気をシリンダ110からシリンダヘッド120に押し出し、ピストン130が復帰して元に戻ると、ピストン130の上端がシリンダヘッド120から離れ、且つ外部環境からの空気がシリンダ110に流入する。シリンダヘッド120は、空気貯留室と空気出口123を有する。ピストン130がシリンダ110内で圧縮空気を生成した後、圧縮空気は前述のようにピストン130により空気貯留室に押し出され、シリンダヘッド120を通過した後、空気出口123を通ってエアコンプレッサ構造100から排出する。簡単に言えば、圧縮空気がエアコンプレッサ構造100から排出される前に、シリンダヘッド120の空気貯留室は圧縮空気の一時的な滞留領域として機能する。
【0010】
図3と
図4は、シリンダヘッドの異なる箇所における局部断面図である。
図2から
図4を同時に参照すると、本実施形態のシリンダヘッド120は、カバー本体121とキャリア122からなる一体構造であり、カバー本体121は、シリンダ110に係合するか、シリンダ110から離脱する。キャリア122は、構造的にカバー本体121に接続され、空気出口123を有する。カバー本体121とシリンダ110は互いに接続され、圧縮空気を受け取る。より詳細に言えば、カバー本体121は第1のチャンバ121cを有し、キャリア122は第2のチャンバ122bを有する。第1のチャンバ121cは、開口122aを介して第2のチャンバ122bに接続され、第1のチャンバ121cの反対側はシリンダ110に連通する。第2のチャンバ122bは開口123aを介して空気出口123に接続され、第2のチャンバ122bが第1のチャンバ121cと空気出口123との間に連通するようにする。ピストン130がシリンダ110内で圧縮空気を生成した後、前述のように、それはピストン130によりシリンダヘッド120に押し出される。
図2に示されるように、圧縮空気は、第1のチャンバ121c、開口122a、第2のチャンバ122b、開口123aを順に通過して、空気出口123に至り排出される。
【0011】
このことから、シリンダヘッド120は、シリンダ110と膨張対象物(図示せず)との間の接続部材として機能だけでなく、圧縮空気を滞留させる一時的な滞留領域としても機能することが明らかである。より詳細に言えば、キャリア122はL字形の輪郭を有し、第2のチャンバ122bは転換点を有し、これにより第2のチャンバ122bにおける圧縮空気の滞留時間を延長する。このようにして、ピストン130の往復運動の間欠に臨むと、第2のチャンバ122bそして第1のチャンバ121c内に圧縮空気がまだ残存しているため、前述の間欠に起因する空気圧の不安定の状況は空気出口123から排出される圧縮空気に直接影響することはない。さらに、エアコンプレッサ構造100の動作時間が増加するかピストン130とシリンダ110との間の摩擦が生じると、圧縮空気は必然的に装置からの熱を吸収する。シリンダヘッド120は、圧縮空気を滞留させるのに供する第1のチャンバ121cと第2のチャンバ122b(主に両者により空気貯留室を構成する)を有することからこそ、圧縮空気が空気貯留室で滞留する間、構造そのもの(キャリア122とカバー本体121)を通じて放熱することができ、圧縮空気の熱が膨張対象物に影響するのを回避することができる。
【0012】
また、
図1、
図2又は
図4に示されるように、本実施形態のエアコンプレッサ構造100の圧力計160はキャリア122内に配置され、第2のチャンバ122bの空気圧を感知し、圧力計160の目盛はキャリア122の表面に位置する。したがって、シリンダヘッド120は、内蔵された圧力計160を通じてユーザが空気貯留室の空気圧力値を知ることができるようにする。さらに、本実施形態の圧力リリーフバルブ170はキャリア122内に配置され、第2のチャンバ122bに連通するため、ユーザは、圧力計160を確認して判断し、それに応じて空気貯留室の圧縮空気の圧力が必要な程度に達するように圧力リリーフバルブ170を動作させるかどうかを決定することができる。
【0013】
図5は、シリンダヘッドとシリンダの実装概略図である。
図2と
図5を同時に参照すると、本実施形態において、カバー本体121とシリンダ110は、中心軸CZを共有する。カバー121の内底縁には、中心軸CZを囲んで互い違いに配置された複数の切欠き121a及び複数のストッパ121bが配置される。シリンダ110の外柱面111には、中心軸CZを囲んで配置され、切欠き121aとストッパ121bに対応する複数の凸部112が配置される。各凸部121bは、対応する切欠き121aを通ってカバー本体121の第1のチャンバ121cに移動し、カバー本体121とシリンダ110とが相対的に回転すると、各凸部112が対応するストッパ121b内に移動してストッパ121bに係合する。ここで、中心軸CZに対する凸部112の距離は、中心軸CZに対する切欠き121aの距離よりも小さく、凸部112と切欠き121aは同一平面(例えば、X-Y平面)に位置する。この平面(X-Y平面)は、中心軸CZ(又はZ軸とみなす)の法線面である。
【0014】
このようにして、シリンダヘッド120とシリンダ110を実装する過程において、まず、凸部121bが経路L1に沿ってカバー本体121の第1のチャンバ121cに移動し、その後、
図5の回転矢印で示すように、シリンダヘッド120とシリンダ110を中心軸CZに沿って相対的に回転させるように駆動する。これは凸部112が経路L2に沿って移動するのに等しい。凸部112とストッパ121bを係合して、実装を完了する。これに対し、ユーザは、シリンダヘッド120及びシリンダ110を経路L2に沿って中心軸CZに沿って逆回転駆動するだけで、シリンダヘッド120とシリンダ110を中心軸CZに沿ってスムーズに分離することができる。ここで、
図5に示されるのは実装前の状態であり、
図2は実装後の状態に相当する。
【0015】
以上をまとめ、本発明の前述の実施形態において、エアコンプレッサ構造は、シリンダヘッドに空気貯留室と空気出口を配置することにより、シリンダからの圧縮空気を受け取り、圧縮空気を空気貯留室の後方を通って空気出口から排出する。これにより、シリンダヘッドは一体構造を呈し、圧縮空気を受け取るシリンダを係合して覆うほか、さらにその内の空気貯留室を圧縮空気の緩衝領域として利用して、構造的な密閉性と空気圧の安定性を兼ね揃えることにより、ピストンの往復運動により発生する間欠的な圧力が圧力計の構造に与える影響を克服することができる。同時に、緩衝領域により、圧縮気体が緩衝領域の周囲の構造を通じて放熱できるようになり、空気圧縮過程により発生する温度上昇の状況を低減することができる。
【0016】
一実施形態において、シリンダヘッドとシリンダは、凸部と切欠き、ストッパとの相対関係により、回転式に実装、係合、取り外しされる。これにより、シリンダヘッドとシリンダとの簡易且つ実用的な組み合わせ方法を提供することができ、分解組立が容易となり、エアコンプレッサの構造を上述のようにコンパクトにすることができ、前述の効果を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のエアコンプレッサ構造は、空気圧縮関連産業機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0018】
100:エアコンプレッサ構造
110:シリンダ
120:シリンダヘッド
121:カバー本体
121a:切欠き
121b:ストッパ
121c:第1のチャンバ
122:キャリア
122a:開口
122b:第2のチャンバ
123:空気出口
123a:開口
130:ピストン
140:伝達機構
150:モーター
160:圧力計
170:圧力リリーフバルブ
CZ:中心軸
L1、L2:経路
X-Y-Z:直角座標