(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-29
(45)【発行日】2025-09-08
(54)【発明の名称】特定装置、特定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/58 20190101AFI20250901BHJP
B65G 1/137 20060101ALN20250901BHJP
【FI】
G06F16/58
B65G1/137 Z
(21)【出願番号】P 2024192101
(22)【出願日】2024-10-31
【審査請求日】2024-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100163452
【氏名又は名称】南郷 邦臣
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【氏名又は名称】早川 牧子
(72)【発明者】
【氏名】ムハマド イクバル バイハキ アデヤント
(72)【発明者】
【氏名】ビ オウ
【審査官】富岡 寛凱
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0059452(US,A1)
【文献】特開2020-102072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0088782(US,A1)
【文献】特開2024-098386(JP,A)
【文献】特許第7673841(JP,B2)
【文献】鈴木 友基ほか,無線LAN屋内位置推定のためのフロアマップの構造化,第73回(平成23年)全国大会講演論文集(3) ネットワーク セキュリティ,2011年03月02日,pp.3-287~3-288
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
G06T 7/00- 7/90
G06V 30/00-30/424
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マップ画像から、既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する抽出部と、
前記抽出された識別名と、前記抽出された位置と、を紐付ける紐付け部と、
前記既定規則に適合する識別名であって、未だ前記位置が紐付けられていない識別名である未紐付け識別名を特定する特定部と、
前記紐付け部により前記位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、前記特定された未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定し、前記特定された未紐付け識別名と、前記推定した位置と、を紐付ける推定部と、
前記紐付け部により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、前記推定部により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する登録部と、
を備えることを特徴とする特定装置。
【請求項2】
前記マップ画像に示されるエリア内の設備は、所定形態の輪郭線に囲まれて描かれ、
前記紐付け部は、前記マップ画像において、前記識別名とともに抽出された位置が前記所定形態の輪郭線に囲まれていなければ、前記識別名に係る紐付けを中止し、
前記推定部は、前記マップ画像において、前記未紐付け識別名に対して推定された位置が前記所定形態の輪郭線に囲まれていなければ、前記未紐付け識別名に係る紐付けを中止する
ことを特徴とする請求項1に記載の特定装置。
【請求項3】
前記既定規則に適合する識別名には、前記既定規則により順序が定められ、
前記推定部は、
前記順序において前記未紐付け識別名を挟む2つの紐付け済識別名を選択し、
前記未紐付け識別名と、前記選択された2つの紐付け済識別名と、の前記順序に基づく2つの距離と、前記2つの紐付け済識別名に紐付けられる2つの位置と、により、前記未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の特定装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記2つの距離の比により前記2つの位置を内分した位置を、前記未紐付け識別名に紐付けられるべき位置として推定する
ことを特徴とする請求項3に記載の特定装置。
【請求項5】
前記識別名に対応付けられる情報に基づいて、当該情報に対応付けられる色彩を特定し、
前記識別名に紐付けて登録された位置を特定し、
前記特定された色彩を、前記特定された位置に描出することにより、前記情報を表すヒートマップを生成する生成部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の特定装置。
【請求項6】
前記マップ画像は、複数のセルにより桝目状に区切られ、
前記生成部は、前記特定された色彩を、前記特定された位置を包含するセルに描出する
ことを特徴とする請求項5に記載の特定装置。
【請求項7】
前記識別名に対応付けられる情報に基づいて、当該情報に対応付けられる色彩を特定し、
前記識別名に紐付けて登録された位置を特定し、
前記特定された色彩を、前記特定された位置に描出することにより、前記情報を表すヒートマップを生成する生成部をさらに備え、
前記生成部は、
前記識別名に紐付けて登録された位置を母点として、前記所定形態の輪郭線に囲まれた領域を分割することにより、前記識別名にそれぞれ対応付けられる領域を定め、
前記特定された色彩を、前記特定された位置を包含する領域に描出する
ことを特徴とする請求項2に記載の特定装置。
【請求項8】
前記抽出部は、前記マップ画像に表示された文字列と、当該文字列が前記マップ画像内に表示されている位置と、を機械認識することにより、前記既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の特定装置。
【請求項9】
前記生成部は、
前記マップ画像において前記既定規則に適合する識別名が描かれている部分を所定の背景色で塗り潰すことにより、ブランクマップを生成し、
前記特定された色彩を、前記生成されたブランクマップ内に描出する
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の特定装置。
【請求項10】
前記既定規則に適合する識別名の集合は、データベースにおいて管理され、
前記特定部は、前記集合に含まれ、かつ、前記紐付け済識別名でない識別名を、前記未紐付け識別名として特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の特定装置。
【請求項11】
前記登録部は、前記データベースに、前記紐付け部により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、前記推定部により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する
ことを特徴とする請求項10に記載の特定装置。
【請求項12】
前記抽出部は、前記既定規則と、前記マップ画像に描かれた識別名と、に基づいて、前記既定規則に適合する識別名の集合を生成し、
前記特定部は、前記生成された集合に含まれ、かつ、前記紐付け済識別名でない識別名を、前記未紐付け識別名として特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の特定装置。
【請求項13】
特定装置が実行する特定方法であって、
マップ画像から、既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する抽出ステップと、
前記抽出された識別名と、前記抽出された位置と、を紐付ける紐付けステップと、
前記既定規則に適合する識別名であって、未だ前記位置が紐付けられていない識別名である未紐付け識別名を特定する特定ステップと、
前記紐付けステップにおいて前記位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、前記特定された未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定し、前記特定された未紐付け識別名と、前記推定した位置と、を紐付ける推定ステップと、
前記紐付けステップにおいて紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、前記推定ステップにおいて紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する登録ステップと、
を備えることを特徴とする特定方法。
【請求項14】
コンピュータを、
マップ画像から、既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する抽出部、
前記抽出された識別名と、前記抽出された位置と、を紐付ける紐付け部、
前記既定規則に適合する識別名であって、未だ前記位置が紐付けられていない識別名である未紐付け識別名を特定する特定部、
前記紐付け部により前記位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、前記特定された未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定し、前記特定された未紐付け識別名と、前記推定した位置と、を紐付ける推定部、
前記紐付け部により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、前記推定部により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する登録部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定装置、特定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像に含まれる識別情報を解析して、画像が撮影された位置を特定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、画像に含まれる郵便番号、住所等の文字情報や、位置データが特定可能なデータが埋め込まれている1次元コード、2次元コード等のコードを解析して、画像が撮影された位置を特定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、画像に複数の識別情報が含まれ、それぞれの識別情報の位置を特定したいという要望がある。例えば、倉庫のようなエリアにおいて、エリア内に設置された複数の設備のそれぞれに、既定規則を有する識別名が付され、エリア内の設備の配置を把握するために、エリアを示すマップ画像において識別名の位置を特定することが求められる。しかしながら、マップ画像において、一部の設備にしか識別名が示されていないことがあり、マップ画像から設備に付された識別名の位置を特定することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、既定規則に適合する識別名であって、マップ画像に描かれていない識別名の位置を推定し、識別名と位置とを紐付けることが可能な特定装置、特定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る特定装置は、
マップ画像から、既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する抽出部と、
前記抽出された識別名と、前記抽出された位置と、を紐付ける紐付け部と、
前記既定規則に適合する識別名であって、未だ前記位置が紐付けられていない識別名である未紐付け識別名を特定する特定部と、
前記紐付け部により前記位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、前記特定された未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定し、前記特定された未紐付け識別名と、前記推定した位置と、を紐付ける推定部と、
前記紐付け部により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、前記推定部により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する登録部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記マップ画像に示されるエリア内の設備は、所定形態の輪郭線に囲まれて描かれ、
前記紐付け部は、前記マップ画像において、前記識別名とともに抽出された位置が前記所定形態の輪郭線に囲まれていなければ、前記識別名に係る紐付けを中止し、
前記推定部は、前記マップ画像において、前記未紐付け識別名に対して推定された位置が前記所定形態の輪郭線に囲まれていなければ、前記未紐付け識別名に係る紐付けを中止する
ことを特徴とする。
【0008】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記既定規則に適合する識別名には、前記既定規則により順序が定められ、
前記推定部は、
前記順序において前記未紐付け識別名を挟む2つの紐付け済識別名を選択し、
前記未紐付け識別名と、前記選択された2つの紐付け済識別名と、の前記順序に基づく2つの距離と、前記2つの紐付け済識別名に紐付けられる2つの位置と、により、前記未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定する
ことを特徴とする。
【0009】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記推定部は、前記2つの距離の比により前記2つの位置を内分した位置を、前記未紐付け識別名に紐付けられるべき位置として推定する
ことを特徴とする。
【0010】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記識別名に対応付けられる情報に基づいて、当該情報に対応付けられる色彩を特定し、
前記識別名に紐付けて登録された位置を特定し、
前記特定された色彩を、前記特定された位置に描出することにより、前記情報を表すヒートマップを生成する生成部
をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記マップ画像は、複数のセルにより桝目状に区切られ、
前記生成部は、前記特定された色彩を、前記特定された位置を包含するセルに描出する
ことを特徴とする。
【0012】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記識別名に対応付けられる情報に基づいて、当該情報に対応付けられる色彩を特定し、
前記識別名に紐付けて登録された位置を特定し、
前記特定された色彩を、前記特定された位置に描出することにより、前記情報を表すヒートマップを生成する生成部をさらに備え、
前記生成部は、
前記識別名に紐付けて登録された位置を母点として、前記所定形態の輪郭線に囲まれた領域を分割することにより、前記識別名にそれぞれ対応付けられる領域を定め、
前記特定された色彩を、前記特定された位置を包含する領域に描出する
ことを特徴とする。
【0013】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記抽出部は、前記マップ画像に表示された文字列と、当該文字列が前記マップ画像内に表示されている位置と、を機械認識することにより、前記既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する
ことを特徴とする。
【0014】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記生成部は、
前記マップ画像において前記既定規則に適合する識別名が描かれている部分を所定の背景色で塗り潰すことにより、ブランクマップを生成し、
前記特定された色彩を、前記生成されたブランクマップ内に描出する
ことを特徴とする。
【0015】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記既定規則に適合する識別名の集合は、データベースにおいて管理され、
前記特定部は、前記集合に含まれ、かつ、前記紐付け済識別名でない識別名を、前記未紐付け識別名として特定する
ことを特徴とする。
【0016】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記登録部は、前記データベースに、前記紐付け部により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、前記推定部により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する
ことを特徴とする。
【0017】
また、上記観点に係る特定装置において、
前記抽出部は、前記既定規則と、前記マップ画像に描かれた識別名と、に基づいて、前記既定規則に適合する識別名の集合を生成し、
前記特定部は、前記生成された集合に含まれ、かつ、前記紐付け済識別名でない識別名を、前記未紐付け識別名として特定する。
【0018】
本発明の第2の観点に係る特定方法は、
特定装置が実行する特定方法であって、
マップ画像から、既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する抽出ステップと、
前記抽出された識別名と、前記抽出された位置と、を紐付ける紐付けステップと、
前記既定規則に適合する識別名であって、未だ前記位置が紐付けられていない識別名である未紐付け識別名を特定する特定ステップと、
前記紐付けステップにおいて前記位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、前記特定された未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定し、前記特定された未紐付け識別名と、前記推定した位置と、を紐付ける推定ステップと、
前記紐付けステップにおいて紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、前記推定ステップにおいて紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する登録ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
マップ画像から、既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する抽出部、
前記抽出された識別名と、前記抽出された位置と、を紐付ける紐付け部、
前記既定規則に適合する識別名であって、未だ前記位置が紐付けられていない識別名である未紐付け識別名を特定する特定部、
前記紐付け部により前記位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、前記特定された未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定し、前記特定された未紐付け識別名と、前記推定した位置と、を紐付ける推定部、
前記紐付け部により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、前記推定部により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する登録部、
として機能させる。
【0020】
上記プログラムは、非一時的な(non-transitory)記録媒体に記録されてもよい。非一時的な記録媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。ここで、非一時的な記録媒体とは、有形な(tangible)記録媒体をいう。非一時的な記録媒体は、例えば、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等である。また、一時的な(transitory)記録媒体とは、伝送媒体(伝搬信号)それ自体を示す。一時的な記録媒体は、例えば、電気信号、光信号、電磁波等である。なお、一時的な(temporary)記憶領域とは、データやプログラムを一時的に記憶するための領域であり、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、既定規則に適合する識別名であって、マップ画像に描かれていない識別名の位置を推定し、識別名と位置とを紐付けることが可能な特定装置、特定方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る特定装置と、データベースと、の関係を示す図である。
【
図2】実施形態に係る特定装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】実施形態に係る特定装置の機能構成を示す図である。
【
図4】実施形態に係るマップ画像の例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る識別名テーブルの例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る位置情報テーブルの例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る分析情報テーブルの例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る色彩情報テーブルの例を示す図である。
【
図9】実施形態に係るブランクマップの例を示す図である。
【
図10】実施形態に係るヒートマップの例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る特定装置が実行する特定処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(1.全体構成)
本発明の実施形態に係る特定装置100は、
図1に示すように、データベース200と、インターネット等のコンピュータ通信網300を介して通信可能に接続する。
【0024】
特定装置100は、マップ画像から、既定規則に適合する識別名の位置を特定する装置である。
【0025】
マップ画像とは、既定規則に適合する識別名が描かれた画像である。例えば、マップ画像は、倉庫のようなエリアを示すものであり、マップ画像に示されるエリア内の設備は、所定形態の輪郭線に囲まれて描かれる。設備とは、例えば、倉庫に配置された棚、机等であり、所定形態とは、例えば、長方形、正方形等である。また、既定規則に適合する識別名とは、設備を識別するための情報である。既定規則とは、設備に識別名を付与するための規則であり、例えば、倉庫の管理者等により任意に設定される。
【0026】
マップ画像に示されるエリア内の設備には、既定規則に適合する識別名が予め付与されているが、マップ画像においては、一部の設備の識別名しか描かれないことがある。このような場合、特定装置100は、マップ画像に描かれていない、既定規則に適合する識別名の位置を特定する。なお、一部のみ描かれる理由は、マップ画像の表示可能スペースを考慮すると全ての識別名を表示するとユーザがマップ画像を参照しづらくなるためである。
【0027】
データベース200は、既定規則に適合する識別名の集合、識別名と位置とが紐付けられた情報等を管理するデータベースである。
図1は、実質的には、データベース200を有するサーバ装置がコンピュータ通信網300に接続していることを示す。例えば、データベース200は、SQL(Structured Query Language)データベースであってもよいし、メモリ上に用意される表、連想配列等により実現してもよい。
【0028】
(2.特定装置のハードウェア構成)
図2は、特定装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0029】
特定装置100は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM13と、記録媒体14と、出力デバイス15と、通信デバイス16と、入力デバイス17と、を備える。各構成要素は、バス18により接続されている。
【0030】
CPU11は、特定装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され、制御信号やデータをやりとりする。
【0031】
ROM12には、特定装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングのプログラムや各種のデータが記録される。
【0032】
RAM13は、データやプログラムを一時的に記録するためのもので、記録媒体14から読み出したプログラムやデータ、その他、通信に必要なデータ等が保持される。
【0033】
記録媒体14は、ハードディスクやフラッシュメモリ等から構成され、特定装置100で処理するデータを記録する。
【0034】
出力デバイス15は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置や、スピーカ等の音声出力装置を備える。出力デバイス15は、CPU11による制御の下、例えば、CPU11から出力されたデータを出力する。
【0035】
通信デバイス16は、特定装置100をインターネット等のコンピュータ通信網に接続するための通信インターフェースを含み、通信デバイス16を介して他の情報処理装置等とやりとりをする。
【0036】
入力デバイス17は、ボタン、キーボード、タッチパネル、マイク等の入力装置を備える。入力デバイス17は、特定装置100の使用者からの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に対応する信号をCPU11に出力する。
【0037】
(3.実施形態の特定装置の機能構成)
特定装置100の機能構成について、
図3を用いて説明する。
【0038】
特定装置100は、機能的には、抽出部101と、紐付け部102と、特定部103と、推定部104と、登録部105と、生成部106と、を備える。本実施形態において、CPU11及び通信デバイス16が、抽出部101、紐付け部102、特定部103、推定部104、登録部105、及び、生成部106として機能する。
【0039】
以下では、
図4のマップ画像400において、描かれていない識別名の位置を特定する場合を例に、特定装置100の機能を説明する。
【0040】
図4のマップ画像400は、倉庫内のフロアAの平面図であって、フロアAに設置された複数の棚の配置を示すものである。マップ画像400は、例えば、倉庫現場の施工者、管理者等により作成される。マップ画像400において、棚は、長方形の輪郭線(点線4001により示される部分の輪郭線)に囲まれて描かれ、長方形の輪郭線には棚401~412のように複数の棚が含まれる。倉庫内のフロアAに設置された棚には、既定規則に適合する識別名が付与される。既定規則に適合する識別名の集合は、識別名テーブルとして、データベース200に格納される。
【0041】
図5に、識別名テーブルの例を示す。
図5の識別名テーブルは、既定規則に適合する複数の識別名を含む。
図5における既定規則は、識別名は、棚が存在するフロアを識別するため文字と、棚を識別するための数字と、により構成され、1列の棚には奇数又は偶数のいずれかの数字が付与される、という規則である。例えば、識別名“A101”~“A121”は、ある1列の棚に付与される識別名であり、識別名“A102”~“A122”は、他の列の棚に付与される識別名である。
【0042】
また、既定規則に適合する識別名には、既定規則により順序が定められる。例えば、
図5における識別名には、1列の棚には奇数又は偶数のいずれかの昇順の数字が付与される。例えば、
図5の既定規則によると、マップ画像400の棚401~406を含む1列の棚には、識別名“A101”~“A121”の11個の識別名が付与されている。また、
図5の既定規則によると、マップ画像400の棚407~412を含む1列の棚には、識別名“A102”~“A122”の11個の識別名が付与されている。これは、6個の棚401~406及び6個の棚407~412は、上下又は左右に細分化された領域を有し、細分化された領域に識別名が付与されていることを示す。
【0043】
図4のマップ画像400においては、複数の棚のうち一部の棚に、識別名が描かれている。例えば、棚の新設、移動等を行った場合に、このような一部の設備にのみ識別名が描かれたマップ画像が作成される。マップ画像400において、棚401~406を含む列では、識別名“A101”,“A121”のみが描かれており、識別名“A103”~“A119”の9個の識別名が描かれていない。同様に、マップ画像400において、棚407~412を含む列では、識別名“A102”,“A122”のみが描かれており、識別名“A104”~“A120”の9個の識別名が描かれていない。特定装置100は、マップ画像400において描かれていない識別名“A103”~“A119”、“A104”~“A120”の位置を特定する。なお、以下では、棚401~412について識別名を特定する例を示すが、マップ画像400に含まれる他の棚についても同様の処理が行われるものとする。
【0044】
抽出部101は、マップ画像から、既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する。
【0045】
例えば、抽出部101は、データベース200において管理される
図5の識別名テーブルを参照して、
図4のマップ画像400から、既定規則に適合する識別名と、マップ画像400における当該識別名の位置と、を抽出する。
【0046】
ここで、抽出部101は、マップ画像に表示された文字列と、当該文字列がマップ画像内に表示されている位置と、を機械認識することにより、既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する。
【0047】
例えば、抽出部101は、マップ画像400に対してOCR(Optical Character Recognition)処理を実行し、OCR処理により認識された文字列のうち
図5の識別名テーブルに含まれる識別名の文字列と一致する文字列と、当該一致する文字列の位置と、を抽出する。例えば、マップ画像400における識別名“A101”の文字列は、
図5の識別名テーブルに含まれる識別名の文字列と一致するので、抽出部101は、識別名“A101”と、マップ画像400における識別名“A101”の位置[x11,y11]と、を抽出する。ここで、抽出部101は、機械認識された文字列の中心の位置を、識別名が描かれた位置として抽出し、抽出された位置は、マップ画像400の左上の角を原点としたピクセル単位の座標より示す。一方、マップ画像400における“フロアA”の文字列は、
図5の識別名テーブルに含まれる識別名の文字列と一致しないので、抽出部101は、“フロアA”の文字列を識別名として抽出しない。
【0048】
紐付け部102は、抽出された識別名と、抽出された位置と、を紐付ける。
【0049】
例えば、紐付け部102は、抽出された識別名“A101”と、抽出された識別名“A101”の位置[x11,y11]と、を紐付ける。紐付け部102により位置が紐付けられた識別名及び位置の情報は、例えば、RAM13に格納される。
【0050】
ここで、紐付け部102は、マップ画像において、識別名とともに抽出された位置が所定形態の輪郭線に囲まれていなければ、識別名に係る紐付けを中止する。
【0051】
例えば、
図4のマップ画像400の識別名“A601”は、既定規則に適合するが、長方形の輪郭線に囲まれておらず、フロアAの通路に描かれている。このような場合、紐付け部102は、マップ画像400において、識別名“A601”の文字列の位置[x61、y61]が、長方形の輪郭線に含まれていないと判断し、識別名“A601”と位置[x61、y61]との紐付けをしない。
【0052】
特定部103は、既定規則に適合する識別名であって、未だ位置が紐付けられていない識別名である未紐付け識別名を特定する。具体的には、特定部103は、既定規則に適合する識別名の集合に含まれ、かつ、紐付け部102により位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名でない識別名を、未紐付け識別名として特定する。
【0053】
未紐付け識別名とは、既定規則に適合する識別名であって、マップ画像における位置の紐付けがされていない識別名である。例えば、未紐付け識別名は、
図5の識別名テーブルには含まれるが、紐付け部102により位置の紐付けがされていない識別名である。また、紐付け済識別名とは、既定規則に適合する識別名であって、マップ画像における位置の紐付けがされている識別名である。例えば、紐付け済識別名は、
図5の識別名テーブルには含まれ、かつ、紐付け部102により位置の紐付けがされた識別名である。
【0054】
例えば、特定部103は、
図5の識別名テーブルと、位置が紐付けられた識別名及び位置の情報と、を参照して、識別名“A103”~“A119”、“A104”~“A120”を、未紐付け識別名として特定する。また、特定部103は、
図5の識別名テーブルと、位置が紐付けられた識別名及び位置の情報と、を参照して、識別名“A101”、“A121”、“A102”、“A122”を、紐付け済識別名として特定する。
【0055】
推定部104は、紐付け部102により位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、特定された未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定し、特定された未紐付け識別名と、推定した位置と、を紐付ける。具体的には、推定部104は、既定規則により定められた順序において未紐付け識別名を挟む2つの紐付け済識別名を選択し、未紐付け識別名と、選択された2つの紐付け済識別名と、の順序に基づく2つの距離と、2つの紐付け済識別名に紐付けられる2つの位置と、により、未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定する。
【0056】
例えば、推定部104は、
図5の識別名テーブルにおいて、未紐付け識別名“A103”を挟む2つの紐付け済識別名“A101”、“A121”を選択し、未紐付け識別名“A103”の紐付け済識別名“A101”からの距離を“1”、未紐付け識別名“A103”の紐付け済識別名“A121”からの距離を“9”と求める。そして、推定部104は、紐付け済識別名“A101”からの距離“1”及び紐付け済識別名“A121”からの距離“9”と、紐付け済識別名“A101”の座標[x11,y11]及び紐付け済識別名“A121”の座標[x11,y12]とに基づいて、未紐付け識別名“A103”の位置を推定する。同様に、推定部104は、未紐付け識別名“A105”~“A119”についても、紐付け済識別名“A101”からの距離及び紐付け済識別名“A121”からの距離を求め、求めた距離と、紐付け済識別名“A101”の座標[x11,y11]及び紐付け済識別名“A121”の座標[x11,y12]とに基づいて、未紐付け識別名“A105”~“A119”の位置を推定する。
【0057】
より具体的には、推定部104は、2つの距離の比により2つの位置を内分した位置を、未紐付け識別名に紐付けられるべき位置として推定する。
【0058】
例えば、推定部104は、未紐付け識別名“A103”について求められた2つの距離の比“9:1”により、紐付け済識別名“A101”の位置[x11,y11]及び紐付け済識別名“A121”の位置[x11,y12]を内分した位置[x11,(y11×9+y12×1)/10]を、未紐付け識別名“A103”に紐付けられるべき位置として推定し、未紐付け識別名“A103”と、推定された位置[x11,(y11×9+y12×1)/10]と、を紐付ける。同様に、推定部104は、未紐付け識別名“A105”~“A119”のそれぞれについて求められた2つの距離の比により、紐付け済識別名“A101”の位置[x11,y11]及び紐付け済識別名“A121”の位置[x11,y12]を内分した位置を、未紐付け識別名“A105”~“A119”に紐付けられるべき位置として推定し、未紐付け識別名“A105”~“A119”と、推定された位置と、を紐付ける。
【0059】
ここで、推定部104は、マップ画像において、未紐付け識別名に対して推定された位置が所定形態の輪郭線に囲まれていなければ、未紐付け識別名に係る紐付けを中止する。
【0060】
例えば、
図4のマップ画像400において、推定され位置の座標が、長方形の輪郭線に囲まれておらず、フロアAの通路を示す場合、推定部104は、マップ画像400において、推定され位置が、長方形の輪郭線に含まれていないと判断し、未紐付け識別名と、推定された位置との紐付けをしない。
【0061】
登録部105は、紐付け部102により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、推定部104により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する。具体的には、登録部105は、データベース200に、紐付け部102により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、推定部104により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する。
【0062】
例えば、登録部105は、紐付け部102により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、推定部104により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を、データベース200に格納された位置情報テーブルに登録する。
【0063】
図6に位置情報テーブルの例を示す。
図6の位置情報テーブルには、既定規則に適合する識別名と、当該識別名に紐付けられた位置と、が対応付けて含まれる。例えば、登録部105は、
図6の位置情報テーブルの1行目のレコードに示すように、紐付け済識別名“A101”と、位置[x11,y11]と、を紐付けて登録する。また、登録部105は、
図6の位置情報テーブルの2行目のレコードに示すように、未紐付け識別名“A103”と、位置[x11,(y11×9+y12×1)/10]と、を紐付けて登録する。同様に、登録部105は、
図6の位置情報テーブルの3~10行目のレコードに示すように、未紐付け識別名“A105”~“A119”と、位置と、を紐付けて登録する。
【0064】
次に、特定装置100が、特定された識別名の位置を利用して、識別名に対応付けられる情報を表すヒートマップを生成する場合について説明する。
【0065】
生成部106は、識別名に対応付けられる情報に基づいて、当該情報に対応付けられる色彩を特定し、識別名に紐付けて登録された位置を特定し、特定された色彩を、特定された位置に描出することにより、情報を表すヒートマップを生成する。
【0066】
識別名に対応付けられる情報とは、例えば、マップ画像に示されるエリア内の設備の利用に関する分析により得られた分析値である。分析値は、例えば、棚に収容されているアイテムが指定期間にピックアップされた回数を示すピック回数、棚に収容されているアイテムの指定期間における在庫数に対する出荷数により示される在庫回転率等である。指定期間は、例えば、倉庫の管理者、又は、特定装置100の使用者により設定される。識別名に対応付けられる分析値は、分析情報テーブルに登録されている。
【0067】
図7に、分析情報テーブルの例を示す。
図7の分析情報テーブルは、データベース200に格納される。分析情報テーブルには、既定規則に適合する識別名と、分析値と、が対応付けて含まれる。分析情報テーブルの1行目のレコードは、識別名“A101”が付与された棚から、指定期間においてアイテムが“50回”ピックアップされたことを示す。
【0068】
例えば、生成部106は、識別名“A101”に対応付けられる分析値を“50回”特定すると、分析値と色彩との対応関係が示された色彩情報テーブルを参照して、識別名“A101”に紐付けて登録された位置に描出する色彩を特定する。
【0069】
図8に、色彩情報テーブルの例を示す。
図8の色彩情報テーブルは、データベース200に格納される。色彩情報テーブルには、分析値と色彩とが対応づけて含まれる。色彩情報テーブルの1行目のレコードは、ピック回数が“0回”の場合、ヒートマップにおいて描出する色は“白色”であることを示す。例えば、生成部106は、
図8の色彩情報テーブルを参照して、識別名“A101”に紐付けて登録された位置に描出する色彩を“赤色”と特定する。
【0070】
次に、色彩を描出する前に、生成部106は、マップ画像において既定規則に適合する識別名が描かれている部分を所定の背景色で塗り潰すことにより、ブランクマップを生成する。生成部106は、特定された色彩を、生成されたブランクマップ内に描出する。
【0071】
識別名が描かれている部分とは、識別名の文字そのものが描かれている部分、又は、識別名の文字列を囲む領域の部分、である。所定の背景色とは、マップ画像における背景色である。
【0072】
例えば、生成部106は、
図4のマップ画像400において、既定規則に適合する識別名の文字そのものが描かれている部分を、マップ画像400の背景色で塗りつぶし、
図9のブランクマップ500を生成する。
【0073】
そして、生成部106は、識別名に紐付けて登録された位置を母点として、所定形態の輪郭線に囲まれた領域を分割することにより、識別名にそれぞれ対応付けられる領域を定め、特定された色彩を、特定された位置を包含する領域に描出する。
【0074】
識別名に紐付けて登録された位置は、
図6の位置情報テーブルの位置であり、所定形態の輪郭線に囲まれた領域とは、複数の棚を含む長方形の領域である。生成部106は、例えば、
図9のブランクマップ500において
図6の位置情報テーブルの位置を母点とするボロノイ分割を行い、ボロノイ分割により得られた各母点を含む領域を、母点とした位置に紐付けて登録された識別名に対応付けられる領域として定める。そして、生成部106は、識別名に対応付けられる情報について特定された色彩を、当該識別名について特定された位置を包含する領域に描出する。
【0075】
図10に、ヒートマップの例を示す。
図10のヒートマップ600は、指定期間におけるピック回数を色彩により示したものである。ヒートマップ600において、領域601~611は、識別名“A101”~“A121”に紐付けて登録された位置を母点として得られた領域であり、領域612~622は、識別名“A102”~“A122”に紐付けて登録された位置を母点として得られた領域である。例えば、識別名“A101”の領域601には、“赤色”が描出されている。
【0076】
(4.実施形態の特定装置による特定処理)
本実施形態の特定装置100が実行する特定処理について、
図11を用いて説明する。特定装置100は、例えば、マップ画像の入力を受け付けると、
図11に示す特定処理を開始する。
【0077】
抽出部101は、マップ画像から、既定規則に適合する識別名と、当該識別名が描かれた位置と、を抽出する(ステップS101)。以下では、マップ画像において抽出された識別名の個数をNと表す。
【0078】
例えば、抽出部101は、データベース200において管理される
図5の識別名テーブルを参照して、
図4のマップ画像400から、既定規則に適合する識別名と、マップ画像400における当該識別名の位置と、を抽出する。
【0079】
紐付け部102は、変数iを0に設定する(ステップS102)。
【0080】
例えば、紐付け部102は、
図4のマップ画像400から抽出された識別名の変数iを0に設定する。
【0081】
紐付け部102は、マップ画像において、識別名とともに抽出された位置が所定形態の輪郭線に囲まれているか否かを判断する(ステップS103)。紐付け部102は、マップ画像において、識別名とともに抽出された位置が所定形態の輪郭線に囲まれていると判断すると(ステップS103;YES)、抽出された識別名と、抽出された位置と、を紐付ける(ステップS104)。そして、紐付け部102は、変数iをインクリメントする(ステップS105)。一方、紐付け部102は、マップ画像において、識別名とともに抽出された位置が所定形態の輪郭線に囲まれていないと判断すると(ステップS103;NO)、ステップS105に進む。
【0082】
例えば、紐付け部102は、抽出された識別名“A101”の位置[x11,y11]は、長方形の輪郭線(点線4001により示される部分の輪郭線)に囲まれている判断し、識別名“A101”と、識別名“A101”の位置[x11,y11]と、を紐付ける。そして、紐付け部102は、変数iをインクリメントする。一方、紐付け部102は、抽出された識別名“A601”の位置[x61,y61]は、長方形の輪郭線に囲まれていないと判断し、識別名“A601”と位置[x61、y61]との紐付けをせずに、変数iをインクリメントする。
【0083】
紐付け部102は、変数iが抽出された識別名の個数Nと同じか否かを判断する(ステップS106)。紐付け部102が、変数iが個数Nと同じと判断すると(ステップS106;YES)、特定部103は、既定規則に適合する識別名であって、未だ位置が紐付けられていない識別名である未紐付け識別名を特定する(ステップS107)。以下では、特定された未紐付け識別名の個数をMと表す。一方、紐付け部102が、変数iが個数Nと同じでないと判断すると(ステップS106;NO)、ステップS103に戻る。
【0084】
例えば、紐付け部102は、抽出されたN個の識別名について、位置が長方形の輪郭線に囲まれているか否かの判断をしたとすると、特定部103は、
図5の識別名テーブルと、紐付け部102により位置が紐付けられた識別名及び位置の情報と、を参照して、識別名“A103”~“A119”、“A104”~“A120”等を、未紐付け識別名として特定する。一方、紐付け部102が、抽出されたN個の識別名について、位置が長方形の輪郭線に囲まれているか否かを判断していないとすると、ステップS103に戻る。
【0085】
推定部104は、紐付け部102により位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、特定された未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定し、特定された未紐付け識別名と、推定した位置と、を紐付ける(ステップS108)。
【0086】
例えば、推定部104は、識別名の順序における紐付け済識別名“A101”からの距離“1”及び紐付け済識別名“A121”からの距離“9”と、紐付け済識別名“A101”の座標[x11,y11]及び紐付け済識別名“A121”の座標[x11,y12]とに基づいて、未紐付け識別名“A103”の位置を推定する。同様に、推定部104は、特定された残りのM-1個の未紐付け識別名のそれぞれについて、位置を推定する。
【0087】
推定部104は、変数jを0に設定する(ステップS109)。
【0088】
例えば、推定部104は、特定された未紐付け識別名の変数jを0に設定する。
【0089】
推定部104は、マップ画像において、未紐付け識別名に対して推定された位置が所定形態の輪郭線に囲まれているか否かを判断する(ステップS110)。推定部104は、マップ画像において、未紐付け識別名に対して推定された位置が所定形態の輪郭線に囲まれていると判断すると(ステップS110;YES)、特定された未紐付け識別名と、推定された位置と、を紐付ける(ステップS111)。そして、推定部104は、変数jをインクリメントする(ステップS112)。一方、推定部104は、未紐付け識別名に対して推定された位置が所定形態の輪郭線に囲まれていないと判断すると(ステップS110;NO)、ステップS112に進む。
【0090】
例えば、推定部104は、特定された未紐付け識別名“A103”の位置[x11,(y11×9+y12×1)/10]は、長方形の輪郭線に囲まれている判断し、識別名“A103”と、識別名“A103”の位置[x11,(y11×9+y12×1)/10]と、を紐付ける。そして、推定部104は、変数jをインクリメントする。一方、推定部104は、特定された未紐付け識別名の位置が、長方形の輪郭線に囲まれていないと判断した場合には、特定された識別名について推定された位置を紐付けせずに、変数jをインクリメントする。
【0091】
推定部104は、変数jが特定された未紐付け識別名の個数Mと同じか否かを判断する(ステップS113)。推定部104が、変数jが個数Mと同じと判断すると(ステップS113;YES)、登録部105は、紐付け部102により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、推定部104により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する(ステップS114)。そして、特定装置100は、
図11の特定処理を終了する。一方、推定部104が、変数jが個数Mと同じでないと判断すると(ステップS113;NO)、ステップS110に戻る。
【0092】
例えば、推定部104が、特定されたM個の未紐付け識別名について、位置が長方形の輪郭線に囲まれているか否かの判断をしたとすると、登録部105は、紐付け部102により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、推定部104により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を、データベース200に格納された位置情報テーブルに登録する。そして、特定装置100は、
図11の特定処理を終了する。一方、推定部104が、特定されたM個の未紐付け識別名について、位置が長方形の輪郭線に囲まれているか否かを判断していないとすると、ステップS110に戻る。
【0093】
本実施形態によれば、マップ画像に描かれた既定規則に適合する識別名からから、マップ画像に描かれていない既定規則に適合する識別名の位置を特定することができる。これにより、例えば、設備の新設、移動等により設備の配置が変更された場合であっても、マップ画像における既定規則に適合する識別名の位置を自動で特定することができ、人が現場に赴いて確認するといった手間を省くことができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、既定規則に適合する識別名であっても、識別名の位置が、設備が囲まれて描かれた所定形態の輪郭線に囲まれていなければ、識別名と位置とは紐付けて登録しない。これにより、マップ画像に誤って描かれた識別名が存在しても、マップ画像が示すエリア内の設備を示す識別名として登録されないので、設備を示す識別名の位置を正確に特定することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、マップ画像における識別名の位置を利用して、識別名に対応付けられた情報を色彩で表現するヒートマップを生成することができる。これにより、例えば、設備に関する様々な分析値のヒートマップを生成することができ、マップ画像において設備に関する分析値を位置毎に可視化することができる。また、識別名に紐付けて登録された位置を母点として、所定形態の輪郭線に囲まれた領域を分割することにより、識別名が付された設備の領域を自動で判別することができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、マップ画像から、既定規則に適合する識別名が描かれている部分を所定の背景色で塗り潰すことにより、ブランクマップを生成することができる。これにより、ヒートマップを生成するために、別途ブランクマップを用意する必要がなく、また、識別名が描かれたマップ画像と別途用意したブランクマップとの位置合わせの必要もないので、容易にヒートマップを生成することができる。
【0097】
(5.変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0098】
上記実施形態において、抽出部101は、機械認識された文字列の中心の位置を、識別名が描かれた位置として抽出するとしたが、これに限らない。抽出部101は、機械認識された文字列の所定の位置を、識別名が描かれた位置として抽出する。所定の位置は、特定装置100の使用者により設定される。
【0099】
上記実施形態において、ステップS113の判定処理終了後に、登録部105は、紐付け部102により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、推定部104により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、をまとめて登録する場合について述べたが、これに限られない。例えば、ステップS106の判定処理終了後に、登録部105が、紐付け部102により紐付けられた紐付け済識別名及び位置を登録し、ステップS113の判定処理終了後に、推定部104により紐付けられた未紐付け識別名及び位置を登録するようにしてもよい。
【0100】
また、上記実施形態において、推定部104は、紐付け部102により紐付けられた、紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、特定された未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定したが、これに限らない。例えば、推定部104は、現在、位置を推定しようとする未紐付け識別名よりも前に位置が推定され、推定された位置が紐付けられた未紐付け識別名を、紐付け済識別名とみなして、現在、位置を推定しようとする未紐付け識別名の位置を推定してもよい。
【0101】
また、上記実施形態において、推定部104は、2つの距離の比により2つの位置を内分した位置を、未紐付け識別名に紐付けられるべき位置として推定するとしたが、これに限らない。例えば、推定部104は、
図4のマップ画像400において、識別名“A101”~“A121”が棚401~406に均等に配置されるように、未紐付け識別名“A103”~“A119”の位置を推定し、紐付け済識別名“A101”、“A121”の位置を補正してもよい。
【0102】
また、上記実施形態において、所定形態の輪郭線に囲まれた領域を識別名に紐付けて登録された位置を母点として分割した領域に、特定された色彩を描出することによりヒートマップを生成したが、これに限らない。例えば、マップ画像は、複数のセルにより桝目状に区切られ、生成部106は、特定された色彩を、特定された位置を包含するセルに描出することにより、ヒートマップを生成してもよい。例えば、
図4のマップ画像400には、棚に合わせた大きさのセルが設定され、生成部106は、識別名“A101”の位置[x11,y11]を包含するセルに、“赤色”を描出する。
【0103】
また、上記実施形態において、既定規則に適合する識別名の集合は、データベース200により管理されるとしたが、これに限らない。既定規則に適合する識別名の集合は、データベース200において管理されず、例えば、
図5の識別名テーブルは予め用意されなくてもよい。この場合、既定規則に適合する識別名の集合は、既定規則と、マップ画像に描かれた識別名と、に基づいて、生成される。例えば、抽出部101は、既定規則と、マップ画像に描かれた識別名と、に基づいて、既定規則に適合する識別名の集合を生成する。また、特定部103は、生成された集合に含まれ、かつ、紐付け済識別名でない識別名を、未紐付け識別名として特定する。
【0104】
例えば、抽出部101は、
図4のマップ画像400に対するOCR処理により認識された文字列のうち、フロアを識別するため文字と、棚を識別するための数字と、により構成される文字列を識別名とみなし、マップ画像400に描かれた識別名を、1列の棚には奇数又は偶数のいずれかの昇順の数字が付与されるという既定規則により定められる順序に従い、識別名“A101”,“A121”,“A102”,“A122”,“A201”,“A221”,“A202”,・・・と並べる。次に、抽出部101は、順序に従い並べた識別名のうち隣り合う識別名のマップ画像における位置を線分で結び、その線分が所定形態の輪郭線に囲まれる場合、隣り合う識別名の間に存在すると予測される識別名を既定規則に従い生成する。例えば、抽出部101は、隣り合う識別名“A101”及び“A121”のマップ画像400における位置[x11,y11]及び[x11,y12]を結んだ線分は、長方形の輪郭線に囲まれるので、既定規則に従い、識別名A101”及び“A121”の間の9個の識別名“A103”~“A119”を生成する。同様に、抽出部101は、他の隣り合う識別名“A102”及び“A122”、“A201”及び“A221”等についても、隣り合う識別名の間に存在すると予測される識別名を既定規則に従い生成する。ここで、抽出された識別名を並べた際に隣り合う識別名“A121”及び“A102”のマップ画像400における位置[x11,y12]及び[x12,y11]を結んだ線分は、長方形の輪郭線に囲まれるが、既定規則によると別の列の棚に付与される識別名であるので、抽出部101は、識別名“A121”及び“A102”の間の識別名を生成しない。このようにして、抽出部101は、
図5の識別名テーブルを生成する。そして、抽出部101は、生成された
図5の識別名テーブルを参照して、マップ画像400から、既定規則に適合する識別名と、マップ画像400における当該識別名の位置と、を抽出する。また、特定部103は、生成された
図5の識別名テーブルと、位置が紐付けられた識別名及び位置の情報と、を参照して、識別名“A103”~“A119”等を、未紐付け識別名として特定する。
【0105】
また、例えば、マップ画像400における文字列“フロアA”のx軸方向に隣接するように、長方形の輪郭線で囲まれた領域の外の位置[x11,y13]に、識別名“A131”が描かれていたとする。この場合、抽出部101は、マップ画像400から抽出された識別名を、既定規則により定められる順序に従い、識別名“A101”,“A121”,“A131”,“A102”,“A122”,・・・と並べる。ここで、隣り合う識別名“A121”及び“A131”のマップ画像400における位置[x11,y12]及び[x11,y13]を結んだ線分は、長方形の輪郭線に囲まれないので、抽出部101は、識別名“A121”及び“A131”の間の識別名を生成しない。
【0106】
また、抽出部101は、隣り合う識別名のマップ画像における位置を結んだ線分が所定形態の輪郭線に囲まれる割合に基づいて、隣り合う識別名の間に存在すると予測される識別名を生成するか否かを決定してもよい。例えば、隣り合う識別名“A121”及び“A131”の位置[x11,y12]及び[x11,y13]を結んだ線分が、長方形の輪郭線に予め定めた割合(例えば、8割)以上囲まれる場合、抽出部101は、既定規則に従い、識別名A121”及び“A131”の間の4個の識別名“A123”~“A129”を生成する。このような構成により、隣り合う識別名の間に存在すると予測される識別名の大半が、棚の領域に含まれると推定される場合は、隣り合う識別名の間に存在すると予測される識別名を生成することができる。或いは、隣り合う識別名“A121”及び“A131”の位置[x11,y12]及び[x11,y13]を結んだ線分が、長方形の輪郭線に予め定めた割合(例えば、8割)以上囲まれない場合、抽出部101は、識別名A121”及び“A131”の間の識別名を生成しない。このような構成により、隣り合う識別名の間に存在すると予測される識別名の大半が、通路の領域に含まれると推定される場合は、隣り合う識別名の間に存在すると予測される識別名を生成しないようにすることができる。
【0107】
また、上記実施形態に係る特定装置100の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置を実施形態に係る特定装置100として機能させることも可能である。
【0108】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明によれば、既定規則に適合する識別名であって、マップ画像に描かれていない識別名の位置を推定し、識別名と位置とを紐付けることが可能な特定装置、特定方法及びプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0110】
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 記録媒体
15 出力デバイス
16 通信デバイス
17 入力デバイス
18 バス
100 特定装置
101 抽出部
102 紐付け部
103 特定部
104 推定部
105 登録部
106 生成部
200 データベース
300 コンピュータ通信網
400 マップ画像
401~412 棚
500 ブランクマップ
600 ヒートマップ
601~622 領域
【要約】
【課題】既定規則に適合する識別名であって、マップ画像に描かれていない識別名の位置を推定し、識別名と位置とを紐付けることが可能な特定装置等を提供する。
【解決手段】特定装置100の抽出部101は、マップ画像から、既定規則に適合する識別名と当該識別名が描かれた位置とを抽出する。紐付け部102は、抽出された識別名と抽出された位置とを紐付ける。特定部103は、既定規則に適合する識別名であって、未だ位置が紐付けられていない識別名である未紐付け識別名を特定する。推定部104は、紐付け部102により位置が紐付けられた識別名である紐付け済識別名に紐付けられた位置に基づいて、未紐付け識別名に紐付けられるべき位置を推定し、未紐付け識別名と推定した位置とを紐付ける。登録部105は、紐付け部102により紐付けられた紐付け済識別名及び位置と、推定部104により紐付けられた未紐付け識別名及び位置と、を登録する。
【選択図】
図3