(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-01
(45)【発行日】2025-09-09
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20250902BHJP
【FI】
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2021141661
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2020157695
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山村 早希
(72)【発明者】
【氏名】濱田 純旗
(72)【発明者】
【氏名】前田 克史
(72)【発明者】
【氏名】羽生 直樹
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-117871(JP,A)
【文献】特開2002-294810(JP,A)
【文献】特開平08-093033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0375417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
A47K 13/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と、
前記便座を開閉可能に支持し、閉状態の前記便座の一部が前面上に配置されるケーシングと、
前記ケーシングに設けられる操作口と、
前記操作口を覆う操作口カバーと、
前記ケーシングに収容されるバルブユニットと、
前記バルブユニットに着脱可能に取り付けられ、前記操作口からアプローチ可能な水抜栓と
を備え、
前記操作口は、
前記ケーシングの前面に前方へ向けて開口するように設けられ、かつ、閉状態の前記便座の鉛直下方に
、該便座によって隠蔽されるように配置される
ことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
閉状態の前記便座と前記操作口カバーとの間に隙間を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記ケーシング内の底面には、少なくとも水抜栓の鉛直下方に配置され、便器に形成されたボウル部へ水を導く排水経路が設けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記操作口は、便器に形成されたボウル部よりも外側に配置される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記ケーシング内には、前記水抜栓と
前記操作口カバーとの間に
、前記水抜栓が一部露出するように上下方向に延びた立壁が設けられる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記水抜栓に水を流入させる入水路と、前記水抜栓内において水が流れる内部路と、前記水抜栓から流出させた水を下流側へ導く出水路とを有し、前記内部路と前記出水路との間に設けられ、前記水抜栓と共に前記バルブユニットに対して着脱可能であるストレーナをさらに備える
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記ケーシングにおける前記操作口の下方には、該ケーシング外へ水を排出する排水孔が設けられる
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記操作口カバーは、前記ケーシングに回転自在に軸支される
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載のトイレ装置。
【請求項9】
前記ケーシングは、突出する回転軸部を有し、
前記操作口カバーは、前記回転軸部が挿通される長孔を有し、前記ケーシングに回転自在に軸支され、
前記操作口カバーは、前記便座の開閉方向と同方向へ回動し、該操作口カバーが開状態で前記便座が閉じられると、該操作口カバーにおける前記ケーシングに軸支されていない側の先端部が前記便座に押されることで閉じる
ことを特徴とする請求項8に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体局部を洗浄する衛生洗浄装置においてケーシングに収容された給水用のバルブユニットには、凍結防止やストレーナのメンテナンスのために取り外し可能な水抜栓が取り付けられる。
【0003】
このような衛生洗浄装置が便器に設置された状態で水抜栓に対してアプローチ可能なように、ケーシングにおける水抜栓と対向する位置(たとえば、ケーシングの側面)に操作口を設け、かつ、水抜栓が操作口から外観上に露出することでデザイン性が低下しないように、操作口を覆う操作口カバーを設けることが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、衛生洗浄装置や、衛生洗浄装置を備えるトイレ装置に対してより高いデザイン性が求められている。たとえば、外観上にあらわれる部材と部材との間の境界線(これを外観上のノイズとして扱う)を極力無くした、いわゆるノイズレスデザインが要求されている。
【0006】
しかしながら、上記した従来技術では、操作口カバーによって水抜栓の外観上の露出は防ぐことができるものの、ケーシングの外面における操作口と操作口カバーとの境界線が外観上にあらわれてしまうため、ノイズレスデザインの要求を満たすことができず、デザイン性について改善の余地がある。
【0007】
また、トイレルームは基本的に狭いため、ケーシングの側面がトイレルームの壁面から近い状態となるように便器が設置されていることが多い。たとえば、操作口を目立たせないないために、ケーシングの側面に操作口を設けると、水抜栓の視認性や水抜栓に対するアプローチ性が低下する。すなわち、メンテナンス性についても改善の余地がある。
【0008】
実施形態の一態様は、デザイン性を向上させることができるとともにメンテナンス性も向上させることができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係るトイレ装置は、便座と、前記便座を開閉可能に支持し、閉状態の前記便座の一部が前面上に配置されるケーシングと、前記ケーシングに設けられる操作口と、前記操作口を覆う操作口カバーと、前記ケーシングに収容されるバルブユニットと、前記バルブユニットに着脱可能に取り付けられ、前記操作口からアプローチ可能な水抜栓とを備え、前記操作口は、前記ケーシングの前面に前方へ向けて開口するように設けられ、かつ、閉状態の前記便座の鉛直下方に配置されることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、操作口と操作口カバーとが閉状態の便座によって隠蔽されるため、操作口と操作口カバーとの境界線が外観上に露出しない。これにより、デザイン性を向上させることができる。また、操作口がケーシングの前面に前方へ向けて開口するように設けられるため、たとえば、ケーシングの側面に操作口が設けられる場合に比べて水抜栓に対するアプローチが容易となる。これにより、メンテナンス性を向上させることができる。
【0011】
また、上記したトイレ装置では、閉状態の前記便座と前記操作口カバーとの間に隙間を有することを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、閉状態の便座の下方に操作口と操作口カバーとが配置されても、便座への着座時における便座と操作口カバーとの接触を抑えることができ、これにより、操作口や操作口カバーが破損するのを抑制することができる。
【0013】
また、上記したトイレ装置では、前記ケーシング内の底面には、少なくとも水抜栓の鉛直下方に配置され、便器に形成されたボウル部へ水を導く排水経路が設けられることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、バルブユニットから水抜栓を取り外したときにバルブユニットからケーシング内に排出された排水を、ボウル部内へ排出することができる。
【0015】
また、上記したトイレ装置では、前記操作口は、便器に形成されたボウル部よりも外側に配置されることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、尿や汚水などが跳ねて操作口と操作口カバーとの隙間に浸入するのを抑制することができる。
【0017】
また、上記したトイレ装置では、前記ケーシング内には、前記水抜栓と前記ケーシングの内面との間に上下方向に延びた立壁が設けられることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、操作口から汚水が浸入した場合でも、汚水が水抜栓よりもケーシング内の奥へ浸入するのを抑制することができる。
【0019】
また、上記したトイレ装置では、前記水抜栓に水を流入させる入水路と、前記水抜栓内において水が流れる内部路と、前記水抜栓から流出させた水を下流側へ導く出水路とを有し、前記内部路と前記出水路との間に設けられ、前記水抜栓と共に前記バルブユニットに対して着脱可能であるストレーナをさらに備えることを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、ストレーナによって異物を内部路で捕集し、水抜栓と共にストレーナをバルブユニットから取り外して異物を除去することができるため、出水路側へ異物が侵入するのを抑制することができる。
【0021】
また、上記したトイレ装置では、前記ケーシングにおける前記操作口の下方には、該ケーシング外へ水を排出する排水孔が設けられることを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、操作口と操作口カバーとの合わせ目からケーシング内に水が浸入したとしても、浸入した水をケーシング外へ排出することができる。
【0023】
また、上記したトイレ装置では、前記操作口カバーは、前記ケーシングに回転自在に軸支されることを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、操作口カバーを容易に開閉することができる。
【0025】
また、上記したトイレ装置では、前記操作口カバーは、前記便座の開閉方向と同方向へ回動し、該操作口カバーが開状態で前記便座が閉じられると、該操作口カバーにおける前記ケーシングに軸支されていない側の先端部が前記便座に押されることで閉じることを特徴とする。
【0026】
仮に操作口カバーが便座と同方向に回動しない場合、操作口カバーが開状態のときに便座が閉じられると操作口カバーが便座に押されて破損するおそれがあるが、上記構成では、操作口カバーが開状態で便座が閉じられたとしても、操作口カバーが便座に押されて回動するため、操作口カバーの破損を抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
実施形態の一態様によれば、デザイン性を向上させることができるとともにメンテナンス性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るトイレ装置を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、衛生洗浄装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、バルブユニットを示す概略平面図である。
【
図5】
図5は、操作口および操作口カバーの配置を示す概略平面図である。
【
図9A】
図9Aは、第2実施形態に係るトイレ装置における操作口カバーを示す概略側断面図(その1)である。
【
図9B】
図9Bは、第2実施形態に係るトイレ装置における操作口カバーを示す概略側断面図(その2)である。
【
図11A】
図11Aは、便座の閉動作に伴う操作口カバーの閉動作の説明図(その1)である。
【
図11B】
図11Bは、便座の閉動作に伴う操作口カバーの閉動作の説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するトイレ装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0030】
<第1実施形態>
<トイレ装置の全体構成>
まず、
図1を参照して第1実施形態に係るトイレ装置1の全体構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係るトイレ装置1を示す概略斜視図である。
【0031】
なお、
図1を含む各図には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定している。このため、以下では、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という場合がある。
【0032】
図1に示すように、トイレ装置1は、洋式大便器(以下、便器という)2と、衛生洗浄装置3とを備える。便器2は、トイレルームの床面に設置される、いわゆる床置き式である。なお、便器2は、トイレルームの壁面に設置される、いわゆる壁掛け式でもよい。便器2は、たとえば、洗い落とし式でもよいし、サイホン式でもよいし、他の方式でもよい。便器2は、たとえば、陶器製である。なお、便器2は、陶器製に限定されず、樹脂製などでもよい。
【0033】
便器2は、ボウル部21と、リム部22とを備える。ボウル部21は、ボウル形状に形成され、ボウル面で汚物を受ける。リム部22は、ボウル部21の上縁部に設けられる。リム部22は、洗浄水がボウル部21の外側に飛び出さないように、ボウル部21の内側に向けたオーバーハング形状に形成される。
【0034】
便器2は、上記したボウル部21およびリム部22の他にも、図示しない、吐水部と、溜水部と、排出部とを備える。吐水部は、給水源10(
図2参照)から供給される洗浄水を吐水口(図示せず)からボウル部21へ吐出する。
【0035】
溜水部は、ボウル部21の下部において洗浄水の一部が溜まり(溜まった水を溜水という)、溜水が封水として機能し、後述する排出部から臭気などがボウル部21側へ逆流することを防止する。排出部は、トラップ管路を有し、排水配管に接続される。便器2は、吐水部からボウル部21へ洗浄水を吐出し、汚物を排出部から排水配管へ排出する。
【0036】
衛生洗浄装置3は、ケーシング31と、便座32と、便蓋33とを備える。便座32および便蓋33は、ケーシング31に対して開閉可能にそれぞれ支持(軸支)される。ケーシング31は、ケースプレート311と、ケースカバー312とを備える。ケースプレート311は、ケーシング31の底面を形成する。ケースカバー312は、ケースプレート311を上方から覆う。ケーシング31は、その内部の空間に、ケーシング31の外部へ進出可能なノズル34などの機能部を収容する。
【0037】
ケーシング31の内部には、便座32に着座した使用者のおしりなどの人体局部の洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵される。局部洗浄機能部は、たとえば、ノズル34を含む。また、衛生洗浄装置3には、使用者の便座32への着座を検知する着座検知センサ202(
図2参照)が設けられる。
【0038】
着座検知センサ202が便座32に着座した使用者を検知している場合において、使用者が、たとえば、リモコンなどの操作部160(
図2参照)を操作すると、ノズル34をボウル部21内に進出させたり、ボウル部21内から後退させたりすることができる。
【0039】
ノズル34は、人体局部に向けて水(洗浄水)を吐出し、人体局部の洗浄を行う。ノズル34は、その先端部には、たとえば、おしり洗浄吐水口341、やわらか洗浄吐水口342、ビデ洗浄吐水口343を有する。ノズル34は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口341またはやわらか洗浄吐水口342から水を噴射して、便座32に着座した使用者のおしりを洗浄することができる。
【0040】
また、ノズル34は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口343から水を噴射して、便座32着座した女性の局部を洗浄することができる。なお、ここでの「水」は、冷水のみならず、お湯も含むものとする。また、おしりを洗浄するモードの中には、たとえば、「おしり洗浄」や、「おしり洗浄」よりもソフトな水流で優しく洗浄する「やわらか洗浄」が含まれる。ノズル34は、たとえば、「おしり洗浄」、「やわらか洗浄」、「ビデ洗浄」を実行することができる。
【0041】
なお、図示の例では、ノズル34は、ビデ洗浄吐水口343がやわらか洗浄吐水口342よりもノズル34の先端側に形成され、やわらか洗浄吐水口342がおしり洗浄吐水口341よりもノズル34の先端側に形成されるが、これらの吐水口341~343の位置はこれに限定されない。また、図示の例では、ノズル34は、3つの吐水口341~343を有するが、たとえば、やわらか洗浄吐水口342が省略されてもよいし、4つ以上の吐水口が設けられてもよい。
【0042】
<衛生洗浄装置の構成>
次に、
図2を参照して衛生洗浄装置3の構成について説明する。
図2は、衛生洗浄装置3の構成を示すブロック図である。なお、
図2においては、水路系および電気系の構成をあわせて示している。
【0043】
図2に示すように、衛生洗浄装置3は、導水部35を備える。導水部35は、水道や貯水タンクなどの給水源10からノズル34へ至る管路351を備える。導水部35は、管路35aにより、給水源10から供給された水をノズル34へ導く。管路35aは、たとえば、後述する給水ホース11、給水接続部352、バルブユニット36、熱交換器ユニット37、流路切替部43などの各部と、これらの各部を接続する複数の配管とを備える。
【0044】
給水ホース11は、給水源10からケーシング31(
図1参照)内へ水を供給する。給水ホース11は、可撓性のあるホースである。給水接続部352は、給水ホース11とバルブユニット36とを接続する。なお、給水接続部352は、バルブユニット36と一体に構成されてもよいし、バルブユニット36と別体に構成されてもよい。
【0045】
バルブユニット36は、管路351上において、給水ホース11の下流に配置される。バルブユニット36は、少なくとも電磁弁362を有する。図示の例では、バルブユニット36は、ストレーナ361と、電磁弁362と、調整弁363と、逆止弁364とを備える。調整弁363は、電磁弁362の下流に配置される。逆止弁364は、調整弁の下流に配置される。
【0046】
また、バルブユニット36は、たとえば、管路351上において、給水ホース11の下流から、後述する熱交換器ユニット37の上流までの間に配置される。また、バルブユニット36は、給水接続部352を含んでもよい。
【0047】
ストレーナ361は、給水源10から供給された水に含まれる異物などをろ過する。なお、ストレーナ361は、後述する水抜栓45(
図3参照)に設けられる。ストレーナ361の配置については、
図7を用いて後述する。
【0048】
電磁弁362は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング31内に配置された制御部100からの指令に基づいて水の供給を制御する。言い換えると、電磁弁362は、管路351を開閉する。電磁弁362を開状態にすることにより、給水源10から供給された水が、管路351に流れる。
【0049】
調整弁363は、管路351内の圧力や水の流量を調整する。調整弁363は、たとえば、管路351内の圧力を所定の範囲に調整する調圧弁である。調整弁363としては、たとえば、管路351内を流れる水の流量を所定の範囲に調整する定流量弁でもよい。
【0050】
逆止弁364は、管路351内の圧力が低下した場合などに、逆止弁364よりも上流側への水の逆流を抑制する。なお、逆止弁364は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0051】
バルブユニット36の下流には、加熱部である熱交換器ユニット37が配置される。熱交換器ユニット37は、ヒータを有し、給水源10から供給された水を加熱して、たとえば、規定の温度まで昇温する。すなわち、熱交換器ユニット37は、温水を生成する。
【0052】
熱交換器ユニット37は、たとえば、セラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。瞬間加熱式の熱交換器は、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器と比較すると、短い時間で水を規定の温度まで昇温させることができる。なお、熱交換器ユニット37は、瞬間加熱式の熱交換器には限定されず、貯湯加熱式の熱交換器でもよい。また、加熱部としては、熱交換器に限ることなく、たとえば、マイクロ波加熱を利用するものなど、他の加熱方式を用いたものでもよい。
【0053】
熱交換器ユニット37は、制御部100と接続される。制御部100は、たとえば、使用者による操作部160の操作に応じて熱交換器ユニット37を制御することによって、操作部160で設定された温度に水を昇温する。
【0054】
熱交換器ユニット37の下流には、流量センサ38が配置される。流量センサ38は、熱交換器ユニット37から吐出された水の流量を検知する。すなわち、流量センサ38は、管路351内を流れる水の流量を検知する。流量センサ38は、制御部100に接続される。流量センサ38は、流量の検知結果を制御部100へ入力する。なお、流量センサ38は、熱交換器ユニット37の上流に配置されてもよい。
【0055】
流量センサ38の下流には、電解槽ユニット39が配置される。電解槽ユニット39は、その内部を流れる水道水を電気分解することにより、水道水から次亜塩素酸を含む液(機能水)を生成する。電解槽ユニット39は、制御部100に接続される。電解槽ユニット39は、制御部100による制御に基づいて、機能水の生成を行う。なお、電解槽ユニット39は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0056】
また、電解槽ユニット39で生成される機能水は、たとえば、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液でもよいし、電解塩素やオゾンなどを含む溶液でもよいし、酸性水やアルカリ水でもよい。
【0057】
電解槽ユニット39の下流には、バキュームブレーカ(VB)40が配置される。バキュームブレーカ40は、たとえば、水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構とを有する。
【0058】
弁機構は、たとえば、流路に水が流れているときに吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ40は、導水部35に水の流れが無いときに、管路351内に空気を取り込む。弁機構には、たとえば、フロート弁が用いられる。なお、バキュームブレーカ40は、電解槽ユニット39の上流に配置されてもよい。
【0059】
バキュームブレーカ40は、管路351内に空気を取り込むことによって、たとえば、管路351のバキュームブレーカ40よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ40は、たとえば、ノズル34の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ40は、ノズル34内の水を抜いて、ノズル34内に空気を取り込み、たとえば、ノズル34内の洗浄水やボウル部21(
図1参照)内に溜まった汚水などが、給水源10(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
【0060】
バキュームブレーカ40の下流には、圧力変調部41が配置される。圧力変調部41は、導水部35の管路351内の水の流れに脈動または加速を与え、ノズル34のおしり洗浄吐水口341、やわらか洗浄吐水口342およびビデ洗浄吐水口343(いずれも、
図1参照)やノズル洗浄部344の吐水部から吐水される水に脈動を与える。
【0061】
すなわち、圧力変調部41は、管路351内を流れる水の流動状態を変動させる。圧力変調部41は、制御部100に接続される。圧力変調部41は、制御部100による制御に基づいて、水の流動状態を変動させる。圧力変調部41は、管路351内の水の圧力を変動させる。なお、圧力変調部41は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0062】
圧力変調部41の下流には、流量調整部42が配置される。流量調整部42は、水勢(流量)の調整を行う。流量調整部42の下流には、流路切替部43が配置される。流路切替部43は、ノズル34やノズル洗浄部344への給水の開閉切替を行う。なお、流量調整部42および流路切替部43は、1つのユニットとして設けられてもよい。流量調整部42および流路切替部43は、制御部100に接続される。流量調整部42および流路切替部43の動作は、制御部100によって制御される。
【0063】
流路切替部43の下流には、ノズル34、ノズル洗浄部344および噴霧ノズル345が配置される。ノズル34は、ノズル駆動部346からの駆動力を受け、ボウル部21(
図1参照)内に進出したり、ボウル部21内から後退したりする。
【0064】
ノズル洗浄部344は、たとえば、その吐水部から機能水または水を噴射することで、ノズル34の外周表面(胴体)を洗浄する。噴霧ノズル345は、洗浄水や機能水をミスト状にしてボウル部21へ噴霧する。なお、図示の例では、人体を洗浄するためのノズル34とは別に噴霧ノズル345を設けているが、これに限定されず、ミスト状の液体をボウル部21へ噴霧するための吐水口をノズル34に設けてもよい。
【0065】
また、流路切替部43の下流には、導水部35を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット39において生成された機能水を、ノズル34に供給するおしり洗浄流路441、やわらか洗浄流路442、ビデ洗浄流路443が設けられる。
【0066】
おしり洗浄流路441は、流路切替部43とおしり洗浄吐水口341(
図1参照)とを接続する。やわらか洗浄流路442は、流路切替部43とやわらか洗浄吐水口342(
図1参照)とを接続する。ビデ洗浄流路443は、流路切替部43とビデ洗浄吐水口343(
図1参照)とを接続する。
【0067】
また、流路切替部43の下流には、表面洗浄流路444と、噴霧用流路445とが設けられる。表面洗浄流路444は、導水部35を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット39において生成された機能水をノズル洗浄部344の吐水部へ導く。噴霧用流路445は、導水部35を介して給水源10から供給される水や電解槽ユニット39において生成された機能水を噴霧ノズル345へ導く。
【0068】
制御部100は、流路切替部43を制御することで、おしり洗浄流路441、やわらか洗浄流路442、ビデ洗浄流路443、表面洗浄流路444および噴霧用流路445の各流路の開閉を切り替える。このように、流路切替部43は、おしり洗浄吐水口341、やわらか洗浄吐水口432、ビデ洗浄吐水口343、ノズル洗浄部344および噴霧ノズル345などの複数の吐水口のそれぞれについて、管路351に連通させた状態と、管路351に連通させない状態とを切り替える。
【0069】
制御部100は、電源回路150から電力を供給され、人体検知センサ201や着座検知センサ202、流量センサ28、操作部160などからの信号に基づいて、電磁弁362、熱交換器ユニット37、電解槽ユニット39、圧力変調部41、流量調整部42、流路切替部43、ノズル駆動部346などの動作を制御する。これにより、制御部100は、ノズル34やバルブユニット36などの動作を制御する。また、制御部100は、便座32(
図1参照)を温めるためのヒータ170の駆動も制御する。
【0070】
なお、制御部100は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などにより、記憶部(図示せず)に記憶されているプログラムを、RAM(Random Access Memory)を作業領域として実行することで実現される。また、図示しない記憶部は、たとえば、RAMやフラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などによって実現される。
【0071】
<操作口の配置>
次に、
図3~
図6を参照してケーシング31の操作口51の配置について説明する。
図3は、バルブユニット36を示す概略平面図である。
図4は、操作口51を示す概略斜視図である。
図5は、操作口51および操作口カバー52の配置を示す概略平面図である。
図6は、
図5におけるA-A線断面図である。
【0072】
図3に示すように、バルブユニット36は、衛生洗浄装置3(
図1参照)のケーシング31内におけるケースプレート311上の所定位置(図示の例では、ケースプレート311上の前部、かつ、右端部)に配置される。バルブユニット36には、バルブユニット36内の水の凍結防止やストレーナ361(
図2参照)のメンテナンスのために、バルブユニット36に対して着脱可能な水抜栓45が取り付けられる。
【0073】
水抜栓45は、バルブユニット36に対して、バルブユニット36から前方へ引き出し可能に取り付けられる。水抜栓45は、その端面(前端面)に設けられた係合部451にマイナスドライバなどの工具を係合し、工具を回すことで、バルブユニット36から取り外すことができる。
【0074】
図4に示すように、ケーシング31の前面31aにおける水抜栓45と対向する位置には、水抜栓45に対してアプローチ可能な水抜栓45の操作口51が設けられる。操作口51は、水抜栓45を操作して(取り外して)バルブユニット36内に溜まった水を排出するなどの用途で使用されるメンテナンス用の開口であり、ケーシング31の前方へ向けて開口するように設けられる。
【0075】
図示の例では、操作口51は、ケーシング31の前面31aにおける右端部に配置される。なお、操作口51は、バルブユニット36に対しては、たとえば、螺合によって取り付けられており、操作口51から工具を挿し込み、水抜栓45の係合部451に対して工具を係合させることができる。
【0076】
図5および
図6に示すように、操作口51には、操作口51を覆うように操作口カバー52が取り付けられる。操作口カバー52は、操作口51に対して着脱可能に取り付けられる。操作口カバー52は、たとえば、操作口51に嵌合されることで、操作口51に取り付けられる。操作口カバー52が操作口51に取り付けられることで、水抜栓45(
図4参照)が外観上に露出することを防止し、デザイン性の低下を抑えることができる。
【0077】
ここで、便座32は、閉状態では、ケーシング31の前面31a上に配置される。このため、操作口51および操作口カバー52は、閉状態の便座32の鉛直下方に配置されるようになる。また、
図5に示すように、操作口51および操作口カバー52は、平面視において、便器2のボウル部21よりも外側に配置される。また、
図6に示すように、操作口カバー52と閉状態の便座32との間には、所定距離の隙間Sが形成される。
【0078】
また、
図6に示すように、ケーシング31内には、水抜栓45とケーシング31の内面との間に立壁313が設けられる。立壁313は、上下方向に延びている。立壁313の先端部は、水抜栓45を取り外す際に水抜栓45と干渉しないよう、水抜栓45よりもやや高い位置に配置される。
【0079】
<ストレーナの配置>
次に、
図7を参照してストレーナ361の配置について説明する。
図7は、ストレーナ361の説明図であり、水抜栓45およりストレーナ361の概略平断面図である。ストレーナ361は、上記したように、給水源10(
図2参照)から供給された水に含まれる異物などをろ過する部材である。
図7に示すように、バルブユニット36には、入水路365と、出水路366とが設けられる。
【0080】
入水路365は、水抜栓45に水Wを流入させる流路である。出水路366は、水抜栓45から流出させた水Wを下流側へ導く流路である。また、水抜栓45には、内部路367が設けられる。内部路367は、水抜栓45内において水が流れる流路であり、入水路365に接続され、入水路365から水Wが流入され、出水路366に接続され、出水路366へ水Wを流出させる。
【0081】
図7に示すように、ストレーナ361は、内部路367と出水路366との間に配置される。また、ストレーナ361は、水抜栓45と略一体化されており、水抜栓45と共にバルブユニット36に対して着脱可能である。ストレーナ361は、水抜栓45ごとバルブユニット36から取り外され、水抜栓45ごと水洗いなどして捕集したゴミなどの異物が除去され、異物が除去された後に水抜栓45ごとバルブユニット36に取り付けられる。なお、ストレーナ361は、水抜栓45から取り外し可能に構成され、異物除去(洗浄)時には水抜栓45から取り外し、洗浄後に再び水抜栓45に取り付けてもよい。
【0082】
<排水経路>
次に、
図8Aおよび
図8Bを参照して排水経路314について説明する。
図8Aおよび
図8Bは、排水経路314の説明図である。なお、
図8Aは、ケースプレート311の概略平面図であり、
図8Bは、ケースプレート311の概略斜視図である。
図8Aおよび
図8Bに示すように、ケーシング31内の底面を形成するケースプレート311上には、排水経路314が設けられる。
【0083】
排水経路314(
図8B参照)は、便器2のボウル部21(
図1参照)へ水Wを導く経路である。排水経路314は、ケースプレート311に形成された排水口314aへ水Wを導く。排水口314aは、ボウル部21の直上に配置されているため、排水口314aに導かれた水Wは、ボウル部21内へ排出される。また、排水経路314は、少なくとも水抜栓45の鉛直下方に配置される。
【0084】
排水経路314は、たとえば、ケースプレート311上に形成された傾斜面によって、ボウル部21へ水Wを導くことができる。また、排水経路314は、たとえば、ケースプレート上に設けられたガイド壁によって、ボウル部21へ水Wを導くことができる。なお、排水経路314は、傾斜面およびガイド壁の両方を用いてボウル部21へ水Wを導いてもよい。
【0085】
以上説明したように、第1実施形態に係るトイレ装置1によれば、操作口51と操作口カバー52とが閉状態の便座32によって隠蔽されるため、操作口51と操作口カバー52との境界線L(
図5参照)が外観上に露出しない。これにより、デザイン性を向上させることができる。また、操作口51がケーシング31の前面31aに前方へ向けて開口するように設けられるため、たとえば、ケーシング31の側面に操作口51が設けられる場合に比べて水抜栓45に対するアプローチが容易となる。これにより、メンテナンス性を向上させることができる。
【0086】
また、閉状態の便座32と操作口カバー52との間に隙間Sを有することで、閉状態の便座32の下方に操作口51と操作口カバー52とが配置されても、便座32への着座時における便座32と操作口カバー52との接触を抑えることができ、これにより、操作口51や操作口カバー52が破損するのを抑制することができる。
【0087】
また、ケーシング31内の底面となるケースプレート311上に排水経路314が設けられることで、バルブユニット36から水抜栓45を取り外したときにバルブユニット36からケーシング31内に排出された排水を、ボウル部21内へ排出することができる。
【0088】
また、操作口51がボウル部21よりも外側に配置されることで、尿や汚水などが跳ねて操作口51と操作口カバー52との隙間に浸入するのを抑制することができる。
【0089】
また、水抜栓45とケーシング31の内面との間に立壁313が設けられることで、操作口51から汚水が浸入した場合でも、汚水が水抜栓45よりもケーシング31内の奥へ浸入するのを抑制することができる。
【0090】
また、ストレーナ361によってゴミなどの異物を内部路367で捕集し、水抜栓45と共にストレーナ361をバルブユニット36から取り外して異物を除去することができるため、出水路366側へ異物が侵入するのを抑制することができる。
【0091】
なお、上記した第1実施形態によれば、操作口51および操作口カバー52は、ケーシング31の前面31aにおける右端部に配置され、前面31aの右端部に配置されることが好ましいが、前面31aにおける右端部以外の位置であってもよい。この場合も、平面視において、ボウル部21の外側であることが好ましい。
【0092】
<第2実施形態>
次に、
図9A~
図11Bを参照して第2実施形態に係るトイレ装置1(1A)について説明する。
図9Aおよび
図9Bは、第2実施形態に係るトイレ装置1(1A)における操作口カバー52(52A)を示す概略側断面図である。なお、
図9Aには、閉状態の操作口カバー52Aを示し、
図9Bには、開状態の操作口カバー52Aを示している。
図10は、水抜栓45の取り出し操作の説明図である。
【0093】
図11Aおよび
図11Bは、便座32の閉動作に伴う操作口カバー52Aの閉動作の説明図である。なお、
図11Aには、閉動作中の便座32が操作口カバー52Aと当接した状態を示し、
図11Bには、便座32の閉動作に伴い、操作口カバー52Aが閉じようとしている状態を示している。
【0094】
また、以下で説明する第2実施形態に係るトイレ装置1Aは、上記した第1実施形態に係るトイレ装置1と操作口カバー52Aの構成が異なり、他の箇所においては同一または同等の構成である。このため、以下では、第1実施形態と同一または同等の箇所には同一の符号を付し、さらに、その説明についても省略している場合がある。
【0095】
図9Aおよび
図9Bに示すように、トイレ装置1Aでは、ケーシング31の前面31aに設けられた操作口51には、操作口51を覆うように操作口カバー52Aが設けられる。操作口カバー52Aは、ケーシング31に回転自在に軸支される。
【0096】
操作口カバー52Aは、本体部521と、アーム部523とを備える。本体部521は、操作口カバー52Aの閉状態において操作口51を閉塞し、操作口カバー52Aの開状態において操作口51を開放する部位である。本体部521は、操作口カバー52Aの閉状態においてケースカバー312の外面に対して凹凸なく連続するような板状に形成される。
【0097】
また、本体部521は、前方端部である先端部521aに設けられた爪部522を備える。爪部522は、操作口カバー52Aの閉状態において操作口51の前方縁部に設けられた受部511と係合することで、操作口カバー52Aを閉状態で保持する。
【0098】
アーム部523は、本体部521の後部において、本体部521の裏面から下方へ突出するように設けられる。また、アーム部523は、左右一対であり、本体部521の左右それぞれの側部に設けられる。
【0099】
アーム部523は、アーム部523の長手方向に沿って延びている長孔524を有する。長孔524は、大径部524aと、アーム部523の基端側において大径部524aよりも小径に形成された小径部524bとを有する。左右の長孔524には、操作口カバー52Aの取り付け状態において、操作口51の左右の側面からそれぞれ対向するように突出している左右の回転軸部512が挿通される。
【0100】
このように、アーム部523の左右の長孔524に左右の回転軸部512が挿通されることで、操作口カバー52Aがケーシング31に回転自在に軸支される。
【0101】
また、アーム部523では、回転軸部512が長孔524の小径部524bに入り込むことで、小径部524bにおいて回転軸部512を保持する。これにより、操作口カバー52Aの移動が規制される。
【0102】
図9Aに示すように、操作口カバー52Aは、閉状態においては、回転軸部512が長孔524の一方端部である小径部524bに位置している。また、
図9Bに示すように、操作口カバー52Aは、開状態においては、回転軸部512が長孔524の他方端部に位置している。操作口カバー52Aは、閉状態から開状態(または、開状態から閉状態)へ移動する場合には、回転軸部512が挿通された長孔524によって、便座32(
図1参照)の開閉方向と同方向へ回動することで便座32と同様の開閉が可能である。
【0103】
また、
図10に示すように、操作口カバー52Aは、操作口カバー52Aの開状態では操作口カバー52Aの開く角度(回動角度)は小さくてもアーム部523を介して本体部521が上方(操作口カバー52Aのスライド方向D11)へスライド移動するため、操作口51を大きく開放することができる。このため、メンテナンス時には、操作口カバー52Aの開状態として、水抜栓45を前方(水抜栓45の引き出し方向D2)へと容易に引き出すことができる。
【0104】
また、上記したように、操作口カバー52Aは、便座32の開閉方向と同方向へと回動することで、便座32と同様の開閉が可能なものである。
【0105】
図11Aに示すように、操作口カバー52Aが開状態の場合に便座32が下方(便座32の移動方向D3)へ移動すると(便座32が閉じられると)、便座32の裏面が操作口カバー52Aのケーシング31に軸支されていない側の先端部、すなわち、本体部521の先端部521aと当接する。
【0106】
そして、
図11Bに示すように、便座32が下方(移動方向D3)へさらに移動すると、本体部521の先端部521aが便座32の裏面に押されて、本体部521が回動しながら下方(操作口カバー52Aのスライド方向D12)へスライド移動する。このように、操作口カバー52Aは、開状態の場合に便座32が閉じられると、本体部521の先端部521aが便座32に押されて閉じる。
【0107】
なお、操作口カバー52Aを閉め忘れて(開状態のまま)便座32を閉じた場合の操作口カバー52Aの破損を抑えるためであれば、操作口カバー52Aが完全な閉状態にならなくてもよい。
【0108】
以上説明したように、第2実施形態に係るトイレ装置1Aによれば、上記した第1実施形態と同様の効果に加えて、操作口カバー52Aがケーシング31に回転自在に軸支されるため、操作口カバー52Aを容易に開閉することができる。
【0109】
また、操作口カバー52Aが開状態で便座32が閉じられたとしても、操作口カバー52Aが便座32に押されて回動するため、操作口カバー52Aの破損を抑制することができる。仮に操作口カバー52Aが便座32と同方向に回動しない場合、操作口カバー52Aが開状態のまま便座32が閉じられると操作口カバー52Aが便座32に押されて破損するおそれがあるが、上記した第2実施形態によれば、操作口カバー52Aの破損を抑制することができる。
【0110】
なお、上記した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様、操作口51および操作口カバー52Aは、ケーシング31の前面31aにおける右端部に配置され、前面31aの右端部に配置されることが好ましいが、前面31aにおける右端部以外の位置であってもよい。この場合も、平面視において、ボウル部21の外側であることが好ましい。
【0111】
また、上記した第1実施形態および第2実施形態において、ケーシング31のケースプレート311における操作口51の下方に排水用の孔を設けることで、ケーシング31内に浸入した水Wをより確実に機外(ケーシング31外)へ排出する構成をさらに備えてもよい。以下では、このようなケースプレート311の変形例(ケースプレート311A)について説明する。
【0112】
<ケースプレートの変形例>
図12Aおよび
図12Bを参照してケースプレート311の変形例(ケースプレート311A)について説明する。
図12Aは、閉状態の操作口カバー52を示す概略斜視図である。
図12Bは、変形例に係るケースプレート311Aの説明図である。なお、
図12Bは、変形例に係るケースプレート311Aの概略平面図である。
【0113】
図12Aに示すように、操作口カバー52が操作口51を閉塞している閉状態の場合でも、操作口51と操作口カバー52との境界線L、すなわち、操作口51と操作口カバー52との合わせ目から、跳ねた水W(あるいは、尿や汚水など)がケーシング31内に浸入する可能性がある。
【0114】
このため、
図12Bに示すように、変形例に係るケースプレート311Aは、操作口51と操作口カバー52との合わせ目から浸入した水Wを機外(すなわち、ケーシング31外)へ排出するための排水孔315を有する。
【0115】
図12Bに示すように、排水孔315は、ケースプレート311Aにおける操作口51の下方に設けられる。排水孔315は、たとえば、前側が開放された切り欠き形状である。
【0116】
操作口51と操作口カバー52との合わせ目から浸入した水Wは、操作口51の端を伝って下方へ落ち、排水孔315からケーシング31外へと直接排出される。
【0117】
このように、ケースプレート311Aに排水孔315が設けられることで、操作口51と操作口カバー52との合わせ目からケーシング31内に水Wが浸入したとしても、浸入した水Wをケーシング31外へ排出することができる。
【0118】
また、ケースプレート311Aには、上記したケースプレート311(
図8B参照)と同様、排水経路314および排水口314a(いずれも、
図8B参照)が形成される。このため、排水孔315よりも奥まで浸入した水W(
図12Bにおいて破線で示す水W)は、ケースプレート311A上の傾斜面(排水経路314)に沿って排水口314aへと流れ、排水口314aからボウル部21(
図1参照)へと排出される。なお、
図12Bには、排水孔315よりも奥まで浸入した水Wの流れを破線で概略的に示している。
【0119】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0120】
1,1A トイレ装置
2 便器
21 ボウル部
31 ケーシング
31a 前面
313 立壁
314 排水経路
315 排水孔
32 便座
36 バルブユニット
361 ストレーナ
365 入水路
366 出水路
367 内部路
45 水抜栓
51 操作口
52,52A 操作口カバー
521a 先端部
S 隙間
W 水