(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-01
(45)【発行日】2025-09-09
(54)【発明の名称】クレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20250902BHJP
B66C 23/36 20060101ALI20250902BHJP
【FI】
B66C23/26 F
B66C23/36 A
(21)【出願番号】P 2021175490
(22)【出願日】2021-10-27
【審査請求日】2024-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】住本 宏治
(72)【発明者】
【氏名】前藤 鉄兵
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-219688(JP,A)
【文献】実開昭58-034882(JP,U)
【文献】特開2021-155182(JP,A)
【文献】国際公開第2019/220881(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/00 - 23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に起伏可能に支持されたブームであって前記ブームの長手方向に並ぶように配置された第1ブーム部材及び第2ブーム部材と前記第1ブーム部材及び前記第2ブーム部材を連結する複数のコネクタと前記複数のコネクタのピン孔にそれぞれ挿入される複数の連結ピンとを有するブームと、
前記ブームに支持されたジブであって前記ブームの先端部に取り付けられた基端部を有するジブと、
前記ブームの前記先端部又は前記ジブの前記基端部に支持されたストラット
であって、前記ブーム及び前記ジブが倒伏姿勢で配置された状態で、前記ブームの前記先端部又は前記ジブの前記基端部から上方に起立するような姿勢で配置されるストラットと、
前記ブーム及び前記ジブが
前記倒伏姿勢で配置された状態で前記ブームの下部に位置する部位である倒伏時下側部位と前記ストラットとの間に張り渡されたガイラインであって前記ブームの前記倒伏時下側部位に接続される端部であるブーム側接続部を有するストラットガイラインと、を備え、
前記複数のコネクタは、前記倒伏時下側部位に対応する位置に配置されたコネクタである特定コネクタを含み、
前記特定コネクタは、前記ストラットガイラインの前記ブーム側接続部を着脱可能に取り付けるための部分であるガイライン取付部を有する、クレーン。
【請求項2】
機体と、
前記機体に起伏可能に支持されたブームであって前記ブームの長手方向に並ぶように配置された第1ブーム部材及び第2ブーム部材と前記第1ブーム部材及び前記第2ブーム部材を連結する複数のコネクタと前記複数のコネクタのピン孔にそれぞれ挿入される複数の連結ピンとを有するブームと、
前記ブームに支持されたジブであって前記ブームの先端部に取り付けられた基端部を有するジブと、
前記ブームの前記先端部又は前記ジブの前記基端部に支持されたストラットと、
前記ブーム及び前記ジブが倒伏姿勢で配置された状態で前記ブームの下部に位置する部位である倒伏時下側部位と前記ストラットとの間に張り渡されたガイラインであって前記ブームの前記倒伏時下側部位に接続される端部であるブーム側接続部を有するストラットガイラインと、を備え、
前記複数のコネクタは、前記倒伏時下側部位に対応する位置に配置されたコネクタである特定コネクタを含み、
前記特定コネクタは、前記ストラットガイラインの前記ブーム側接続部を着脱可能に取り付けるための部分であるガイライン取付部を有し、
前記特定コネクタは、
前記第1ブーム部材の端部に接続される第1コネクタ部と、
前記第2ブーム部材の端部に接続され、前記第1コネクタ部に対して着脱可能に結合される第2コネクタ部と、
前記ガイライン取付部を含み、前記第1コネクタ部及び前記第2コネクタ部の少なくとも一方に対して着脱可能に結合される第3コネクタ部と、を備える、クレーン。
【請求項3】
請求項2に記載のクレーンであって、
前記複数の連結ピンは、前記特定コネクタに用いられる特定連結ピンを含み、
前記第1コネクタ部、前記第2コネクタ部及び前記第3コネクタ部は、前記特定連結ピンによって互いに結合されるように構成されている、クレーン。
【請求項4】
機体と、
前記機体に起伏可能に支持されたブームであって前記ブームの長手方向に並ぶように配置された第1ブーム部材及び第2ブーム部材と前記第1ブーム部材及び前記第2ブーム部材を連結する複数のコネクタと前記複数のコネクタのピン孔にそれぞれ挿入される複数の連結ピンとを有するブームと、
前記ブームに支持されたジブであって前記ブームの先端部に取り付けられた基端部を有するジブと、
前記ブームの前記先端部又は前記ジブの前記基端部に支持されたストラットと、
前記ブーム及び前記ジブが倒伏姿勢で配置された状態で前記ブームの下部に位置する部位である倒伏時下側部位と前記ストラットとの間に張り渡されたガイラインであって前記ブームの前記倒伏時下側部位に接続される端部であるブーム側接続部を有するストラットガイラインと、を備え、
前記複数のコネクタは、前記倒伏時下側部位に対応する位置に配置されたコネクタである特定コネクタを含み、
前記特定コネクタは、前記ストラットガイラインの前記ブーム側接続部を着脱可能に取り付けるための部分であるガイライン取付部を有し、
前記特定コネクタは、
前記第1ブーム部材の端部に接続される第1コネクタ部と、
前記第2ブーム部材の端部に接続され、前記第1コネクタ部に対して着脱可能に結合される第2コネクタ部と、
前記ガイライン取付部を含み、前記第1コネクタ部及び前記第2コネクタ部の一方とともに単一の部材を構成する第3コネクタ部と、を備える、クレーン。
【請求項5】
請求項2~4の何れか1項に記載のクレーンであって、
前記ガイライン取付部は、前記第1コネクタ部及び前記第2コネクタ部に対して前記ブームの幅方向の外側にある、クレーン。
【請求項6】
機体と、
前記機体に起伏可能に支持されたブームであって前記ブームの長手方向に並ぶように配置された第1ブーム部材及び第2ブーム部材と前記第1ブーム部材及び前記第2ブーム部材を連結する複数のコネクタと前記複数のコネクタのピン孔にそれぞれ挿入される複数の連結ピンとを有するブームと、
前記ブームに支持されたジブであって前記ブームの先端部に取り付けられた基端部を有するジブと、
前記ブームの前記先端部又は前記ジブの前記基端部に支持されたストラットと、
前記ブーム及び前記ジブが倒伏姿勢で配置された状態で前記ブームの下部に位置する部位である倒伏時下側部位と前記ストラットとの間に張り渡されたガイラインであって前記ブームの前記倒伏時下側部位に接続される端部であるブーム側接続部を有するストラットガイラインと、
前記機体に支持された支持部材と、
前記ブームの前記先端部から前記支持部材に向かって延びるブームガイラインと、
を備え、
前記複数のコネクタは、前記倒伏時下側部位に対応する位置に配置されたコネクタである特定コネクタを含み、
前記特定コネクタは、前記ストラットガイラインの前記ブーム側接続部を着脱可能に取り付けるための部分であるガイライン取付部を有し、
前記ストラットガイラインは、前記ブーム側接続部とは反対側の端部であって前記ストラットに接続されるストラット側接続部を有し、
前記ストラットは、
前記ブームの前記先端部又は前記ジブの前記基端部から延びる支柱を含むストラット本体と、
前記ストラット本体に支持されたリンク部材であって、前記ストラット側接続部を前記支柱よりも前記ブームの幅方向の外側に位置させることが可能なリンク部材と、を有する、クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、下部走行体と、下部走行体に旋回可能に支持された上部旋回体と、上部旋回体に起伏可能に支持されたブームと、ブームの先端部に支持されたジブと、ストラットと、ストラットとブームとの間に張り渡されたストラットガイラインと、を備えるクレーンを開示している。特許文献1のような従来のクレーンでは、ストラットガイラインの一端部であってブームに接続される接続リンクは、ブーム及びジブが倒伏姿勢で配置された状態でブームの上部に位置する部位(以下、この部位を倒伏時上側部位と称する。)に接続されている。
【0003】
クレーンは、当該クレーンを輸送する際には複数の部分に分解され、輸送先である目的地において組み立てられる。クレーンの組立作業には、ストラットガイラインをブームに接続する作業であるストラットガイライン接続作業が含まれる。クレーンの分解作業には、ストラットガイラインをブームから取り外す作業であるストラットガイライン取り外し作業が含まれる。ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業のそれぞれは、ブーム及びジブが倒伏姿勢で配置された状態で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業において、作業者は、ブーム及びジブが倒伏姿勢で配置された状態で、ブームの倒伏時上側部位に昇ること及びブームの倒伏時上側部位から降りることが必要になる。このため、これらの作業に時間がかかる。また、ストラットガイラインの前記接続リンクは重量物であるので、当該接続リンクをブームの倒伏時上側部位に対応する高い位置に補助クレーンを用いて移動させるために長い時間を要する。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業の作業性を向上させることが可能なクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
提供されるクレーンは、機体と、前記機体に起伏可能に支持されたブームであって前記ブームの長手方向に並ぶように配置された第1ブーム部材及び第2ブーム部材と前記第1ブーム部材及び前記第2ブーム部材を連結する複数のコネクタと前記複数のコネクタのピン孔にそれぞれ挿入される複数の連結ピンとを有するブームと、前記ブームに支持されたジブであって前記ブームの先端部に取り付けられた基端部を有するジブと、前記ブームの前記先端部又は前記ジブの前記基端部に支持されたストラットと、前記ブーム及び前記ジブが倒伏姿勢で配置された状態で前記ブームの下部に位置する部位である倒伏時下側部位と前記ストラットとの間に張り渡されたガイラインであって前記ブームの前記倒伏時下側部位に接続される端部であるブーム側接続部を有するストラットガイラインと、を備え、前記複数のコネクタは、前記倒伏時下側部位に対応する位置に配置されたコネクタである特定コネクタを含み、前記特定コネクタは、前記ストラットガイラインの前記ブーム側接続部を着脱可能に取り付けるための部分であるガイライン取付部を有する。
【0008】
このクレーンでは、ストラットガイラインのブーム側接続部は、ブーム及びジブが倒伏姿勢で配置された状態でブームの下部に位置する倒伏時下側部位に対応する位置に配置された特定コネクタのガイライン取付部に着脱可能に取り付けられる。従って、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業において、ブーム及びジブが倒伏姿勢で配置された状態で、作業者がブームの倒伏時上側部位に昇ること及びブームの倒伏時上側部位から降りることが不要になる。すなわち、作業者は、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業を、ブームの倒伏時下側部位の近傍において行うことができる。このため、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業が従来に比べて短縮される。また、ブーム側接続部をブームの倒伏時上側部位に対応する高い位置に補助クレーンを用いて移動させる必要がなくなる。よって、このクレーンは、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業の作業性を向上させることができる。
【0009】
前記特定コネクタは、前記第1ブーム部材の端部に接続される第1コネクタ部と、前記第2ブーム部材の端部に接続され、前記第1コネクタ部に対して着脱可能に結合される第2コネクタ部と、前記ガイライン取付部を含み、前記第1コネクタ部及び前記第2コネクタ部の少なくとも一方に対して着脱可能に結合される第3コネクタ部と、を備えることが好ましい。この構成では、第3コネクタ部が第1コネクタ部及び第2コネクタ部とは別体の部材として構成されているので、例えば、第1コネクタ部及び第2コネクタ部を含む既存のコネクタ部材に対して、本開示に係る第3コネクタ部を取り付けることが可能になる。
【0010】
前記複数の連結ピンは、前記特定コネクタに用いられる特定連結ピンを含み、前記第1コネクタ部、前記第2コネクタ部及び前記第3コネクタ部は、前記特定連結ピンによって互いに結合されるように構成されていることが好ましい。この構成では、単一の特定連結ピンによって第1コネクタ部、第2コネクタ部及び第3コネクタ部を結合することが可能であるので、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業の作業性をさらに向上させることができる。
【0011】
前記特定コネクタは、前記第1ブーム部材の端部に接続される第1コネクタ部と、前記第2ブーム部材の端部に接続され、前記第1コネクタ部に対して着脱可能に結合される第2コネクタ部と、前記ガイライン取付部を含み、前記第1コネクタ部及び前記第2コネクタ部の一方とともに単一の部材を構成する第3コネクタ部と、を備えることが好ましい。この構成では、第3コネクタ部が第1コネクタ部及び第2コネクタ部の両方に対して別体として構成された部材ではなく、第1コネクタ部及び第2コネクタ部の一方とともに単一の部材を構成するので、第3コネクタ部を第1コネクタ部及び第2コネクタ部の少なくとも一方に固定するための作業及び第3コネクタ部を第1コネクタ部及び第2コネクタ部の少なくとも一方から取り外す作業が不要になる。これにより、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業の作業性をさらに向上させることができる。
【0012】
前記ガイライン取付部は、前記第1コネクタ部及び前記第2コネクタ部に対して前記ブームの幅方向の外側にあることが好ましい。この構成では、ストラットガイラインを第1コネクタ部及び第2コネクタ部に対してブームの幅方向の外側の位置からストラットに向けて延ばすことができるので、ストラットガイラインがブームと干渉することを回避しやすくなる。
【0013】
前記クレーンは、前記機体に支持された支持部材と、前記ブームの前記先端部から前記支持部材に向かって延びるブームガイラインと、をさらに備え、前記ストラットガイラインは、前記ブーム側接続部とは反対側の端部であって前記ストラットに接続されるストラット側接続部を有し、前記ストラットは、前記ブームの前記先端部又は前記ジブの前記基端部から延びる支柱を含むストラット本体と、前記ストラット本体に支持されたリンク部材であって、前記ストラット側接続部を前記支柱よりも前記ブームの幅方向の外側に位置させることが可能なリンク部材と、を有することが好ましい。この構成では、ストラットガイラインがブームガイラインと干渉することを回避しやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業の作業性を向上させることが可能なクレーンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施形態に係るクレーンを示す側面図である。
【
図2】前記クレーンにおけるブーム、ジブ、ストラット及びストラットガイラインを示す斜視図である。
【
図3】前記クレーンにおける前記ブーム、前記ジブ、前記ストラット及び前記ストラットガイラインを上方から見た図である。
【
図4】前記ブームのブーム部材同士を連結するとともに前記ストラットガイラインの端部を前記ブームに接続する特定コネクタを示す斜視図である。
【
図5】前記特定コネクタの第3コネクタ部を示す斜視図である。
【
図7】前記実施形態の変形例1に係るクレーンにおける特定コネクタの第3コネクタ部を示す斜視図である。
【
図8】前記実施形態の変形例2に係るクレーンにおける特定コネクタを示す斜視図である。
【
図9】前記実施形態の変形例3に係るクレーンにおける特定コネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態に係るクレーンについて説明する。
【0017】
図1~
図3に示すように、クレーン100は、自走可能な下部走行体1と、この下部走行体1に対して上下方向の軸回りに旋回可能に下部走行体1に搭載された上部旋回体2と、上部旋回体2に対して起伏可能なように上部旋回体2に支持された起伏部材と、を備える。前記起伏部材は、ブーム3と、ジブ4と、を備える。下部走行体1は、一対のクローラ走行装置と、これらの走行装置に支持された下部フレームと、を備える。上部旋回体2は、前記下部フレームに回動可能に支持された上部フレームと、上部フレームの前部に支持されたキャビンと、上部フレームの後部に支持されたカウンタウエイトと、を備える。下部走行体1及び上部旋回体2は、機体の一例である。本実施形態に係るクレーン100は、いわゆる固定ジブ仕様のクレーンである。固定ジブ仕様では、ブーム3に対するジブ4の角度が固定された状態でジブ4がブーム3に取り付けられている。なお、図中の「前」、「後」、「右」、「左」は、上部旋回体2の向きを基準とするものである。
【0018】
ブーム3は、左右方向に延びる回転中心軸回りに回動可能なように上部旋回体2に支持される基端部であるブーム基端部(ブームフット)と、ブーム3の長手方向においてブーム基端部とは反対側に位置する先端部であるブーム先端部と、を備える。ブーム3は、複数のブーム部材を備える。ブーム3は、複数のブーム部材がブーム3の長手方向に並ぶように配置されて連結された構造を備える。
【0019】
具体的には、本実施形態では、複数のブーム部材は、前記ブーム基端部を含む下ブーム部材3Aと、複数の中間ブーム部材3B,3Cと、前記ブーム先端部を含む上ブーム部材3Dと、を備える。下ブーム部材3A、中間ブーム部材3B、中間ブーム部材3C、及び上ブーム部材3Dは、ブーム3の長手方向にこの順に並ぶように配置されている。中間ブーム部材3Cは、ブーム3のブーム先端部に向かうにつれて前記幅方向の寸法が小さくなるような先細りの形状を有する。上ブーム部材3Dには、ガイドシーブS1,S2と、ブームポイントシーブS3と、が回転可能にそれぞれ取り付けられている。複数のブーム部材は、必ずしも複数の中間ブーム部材を備えていなくてもよい。また、中間ブーム部材は、一つであってもよく、省略することも可能である。中間ブーム部材3Bは、第1ブーム部材の一例であり、中間ブーム部材3Cは、第2ブーム部材の一例である。
【0020】
ブーム3は、いわゆるラチス型のブームであり、複数のブーム部材の少なくとも一つは、いわゆるラチス型の構造物である。具体的には、
図2及び
図3に示すように、例えば中間ブーム部材3B,3Cのそれぞれは、4つの主パイプ31と、複数の傾斜パイプ32と、複数の横パイプ33と、を備える。
【0021】
中間ブーム部材3B,3Cのそれぞれにおいて、4つの主パイプ31は、その中間ブーム部材の長手方向に垂直な平面で当該中間ブーム部材を切断したときの断面において長方形の4つの頂点に対応するような位置にそれぞれ配置されている。4つの主パイプ31のそれぞれは、当該中間ブーム部材の長手方向に沿った方向に延びるような姿勢で配置されている。4つの主パイプ31のそれぞれは、その長手方向の基端部である主パイプ基端部311と、その長手方向の先端部である主パイプ先端部312と、を有する。各中間ブーム部材において、主パイプ基端部311は、主パイプ先端部312よりもブーム基端部に近い位置に配置される端部である。
【0022】
中間ブーム部材3B,3Cのそれぞれにおいて、複数の傾斜パイプ32のそれぞれは、4つの主パイプ31のうちの隣り合う2つの主パイプ31をつなぐように配置されている。複数の傾斜パイプ32は、2つの主パイプ31の間においてジグザグに連続するように配置されている。複数の傾斜パイプ32のそれぞれは、中間ブーム部材の長手方向に対して傾斜するような姿勢で配置されている。
【0023】
中間ブーム部材3Bにおいて、複数の横パイプ33のそれぞれは、4つの主パイプ31のうちの隣り合う2つの主パイプ31の主パイプ先端部312同士をつなぐように配置されている。中間ブーム部材3Bにおいて、複数の横パイプ33のそれぞれは、中間ブーム部材3Bの長手方向に対して直交するような姿勢で配置されている。
【0024】
中間ブーム部材3Cにおいて、複数の横パイプ33のそれぞれは、4つの主パイプ31のうちの隣り合う2つの主パイプ31の主パイプ基端部311同士をつなぐように配置されている。中間ブーム部材3Cにおいて、複数の横パイプ33のそれぞれは、中間ブーム部材3Cの長手方向に対して直交するような姿勢で配置されている。
【0025】
ブーム3は、中間ブーム部材3Bと中間ブーム部材3Cとを連結するための4つのコネクタ80及び4つの連結ピン60をさらに備える。4つのコネクタ80及び4つの連結ピン60は、中間ブーム部材3Bの4つの主パイプ31と、中間ブーム部材3Cの4つの主パイプ31と、を連結する。これにより、中間ブーム部材3Bと中間ブーム部材3Cとが互いに連結される。
【0026】
図1に示すように、ジブ4は、左右方向に延びる回転中心軸回りに回動可能なようにブーム3に支持される基端部であるジブ基端部(ジブフット)と、ジブ4の長手方向においてジブ基端部とは反対側に位置する先端部であるジブ先端部と、を有する。ジブ4は、いわゆるラチス型のジブであり、複数のジブ部材を備える。ジブ4は、複数のジブ部材がジブ4の長手方向に並ぶように配置されて連結された構造を備える。複数のジブ部材は、前記ジブ基端部を含む下ジブ部材4Aと、中間ジブ部材4Bと、前記ジブ先端部を含む上ジブ部材4Cと、を備える。ジブ先端部には、ジブポイントシーブS4が回転可能に取り付けられている。複数のジブ部材は、複数の中間ジブ部材を備えていてもよい。また、中間ジブ部材は、省略することも可能である。
【0027】
本実施形態では、クレーン100は、さらに、マスト5と、ストラット6と、左右一対のストラットガイライン7と、左右一対のブームガイライン8と、左右一対のジブガイライン17と、主巻ロープ9と、補巻ロープ10と、ブーム起伏ロープ18と、主巻フック11と、補巻フック12と、主巻ウインチ13と、補巻ウインチ14と、ブーム起伏ウインチ15と、を備える。
【0028】
マスト5は、ブーム3の後方において上部旋回体2に支持されている。マスト5の先端部にはシーブブロック19Aが接続されており、シーブブロック19Aの下方に間隔をおいてシーブブロック19Bが配置されている。シーブブロックには、複数のシーブが幅方向(左右方向)に配列されている。左右一対のブームガイライン8は、マスト5の先端部とブーム先端部とを接続している。
【0029】
ストラット6は、ジブ4の後方においてジブ4のジブ基端部又はブーム3のブーム先端部に支持されている。ストラット6は、ジブ4のジブ基端部又はブーム3のブーム先端部に接続される起伏部材接続部と、ストラットガイライン7が接続されるガイライン接続部と、を有する。ストラット6は、左右方向に延びる回転中心軸回りに回動可能なようにジブ基端部又はブーム先端部に支持されていてもよい。
図2に示すように、本実施形態では、ストラット6は、ストラット本体6Aと、リンク部材6Bと、を有する。
【0030】
ストラット本体6Aは、左右方向に間隔をおいて配置された左右一対の支柱601,601と、これらの支柱を接続するように左右方向に延びる少なくとも一つの梁部材と、を有する。一対の支柱601,601のそれぞれは、ジブ4のジブ基端部(下ジブ部材4Aの基端部)に接続された基端部である支柱基端部(前記起伏部材接続部の一例)と、支柱基端部の反対側に位置する先端部である支柱先端部と、を有する。具体的には、右側の支柱601の支柱基端部は、ジブ4のジブ基端部の右側の部分に接続され、左側の支柱601の支柱基端部は、ジブ4のジブ基端部の左側の部分に接続されている。一対の支柱601,601のそれぞれは、ジブ4のジブ基端部から遠ざかる方向に延びている。一対の支柱601,601のそれぞれは、ブーム3及びジブ4が倒伏姿勢で配置された状態で、ジブ4のジブ基端部から上方に起立するような姿勢で配置される。
【0031】
リンク部材6Bは、左右一対のアーム部602,602と、これらのアーム部602,602を連結するように左右方向に延びる連結部603と、を有する。リンク部材6Bは、前記ガイライン接続部の一例である。一対のアーム部602,602のそれぞれは、一対の支柱601,601の支柱先端部にそれぞれ接続された基端部であるアーム基端部と、アーム基端部に対してアーム部602の長手方向の反対側に位置する先端部であるアーム先端部と、を有する。
図3に示すように、右側のアーム部602のアーム先端部と左側のアーム部602のアーム先端部との左右方向の間隔は、ストラット本体6Aの先端部における左右方向の幅(右側の支柱601の支柱先端部と左側の支柱601の支柱先端部との間隔)よりも大きい。連結部603は、右側のアーム部602のアーム先端部と左側のアーム部602のアーム先端部とを連結している。
【0032】
図1~
図3に示すように、一対のストラットガイライン7は、ブーム3とストラット6との間に張り渡されている。具体的には、一対のストラットガイライン7のそれぞれは、ブーム3の中間部と、ストラット6のリンク部材6Bと、の間に張り渡されている。ブーム3の中間部は、ブーム3における前記ブーム基端部と前記ブーム先端部との間に位置する何れかの部位である。本実施形態では、ブーム3の中間部は、中間ブーム部材3Bと中間ブーム部材3Cとが互いに接続される部分又はその近傍の部位である。
【0033】
一対のストラットガイライン7のそれぞれは、ブーム3の中間部に接続されるブーム側接続部70(接続リンク)と、ストラット6のリンク部材6Bに接続されるストラット側接続部74と、これらの接続部70,74の間のロープ部分であるガイライン本体と、を有する。ブーム側接続部70とブーム3の中間部との接続構造については後述する。なお、リンク部材6Bは省略可能であり、この場合、一対のストラットガイライン7のストラット側接続部74は、ストラット6のストラット本体6Aに接続されてもよい。
【0034】
一対のジブガイライン17は、ストラット6とジブ4との間に張り渡されている。具体的には、一対のジブガイライン17のそれぞれは、ストラット6のストラット本体6Aとジブ4のジブ先端部との間に張り渡されている。
【0035】
図1に示すブーム起伏ロープ18は、ブーム起伏ウインチ15から引き出され、シーブブロック19Aとシーブブロック19Bとの間で複数回掛け回されている。
【0036】
ブーム起伏ウインチ15は、上部旋回体2に配置されている。ブーム起伏ウインチ15は、ブーム起伏ロープ18の巻き取り及び繰り出しを行うことでシーブブロック19Aとシーブブロック19Bとの間の距離を変化させる。これにより、ブーム3は、上部旋回体2に対して起伏する。
【0037】
主巻ウインチ13は、主巻ロープ9の巻き取り及び繰り出しを行うことで、主巻フック11の巻き上げ及び巻き下げを行う。主巻ウインチ13から引き出された主巻ロープ9は、ガイドシーブS1及びジブポイントシーブS4を介してジブ4のジブ先端部から下方に延び、主巻フック11を支持している。本実施形態では、主巻ウインチ13は、上部旋回体2に配置されているが、ブーム3に配置されていてもよい。
【0038】
補巻ウインチ14は、補巻ロープ10の巻き取り及び繰り出しを行うことで、補巻フック12の巻き上げ及び巻き下げを行う。補巻ウインチ14から引き出された補巻ロープ10は、ガイドシーブS2及びブームポイントシーブS3を介してブーム3のブーム先端部から下方に延び、補巻フック12を支持している。本実施形態では、補巻ウインチ14は、上部旋回体2に配置されているが、ブーム3に配置されていてもよい。
【0039】
クレーン100は、当該クレーン100を輸送する際には複数の部分に分解され、輸送先である目的地において組み立てられる。クレーン100の組立作業には、一対のストラットガイライン7のそれぞれをブーム3の前記中間部に接続する作業であるストラットガイライン接続作業が含まれる。クレーン100の分解作業には、一対のストラットガイライン7のそれぞれをブーム3の前記中間部から取り外す作業であるストラットガイライン取り外し作業が含まれる。以下では、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業を接続作業及び取り外し作業と称することがある。接続作業及び取り外し作業のそれぞれは、ブーム3及びジブ4を倒伏させた状態で行われる。すなわち、接続作業及び取り外し作業のそれぞれでは、ブーム3及びジブ4の長手方向が地面に沿った方向に向くようにブーム3及びジブ4が倒伏姿勢で配置される。ブーム3及びジブ4の倒伏姿勢は、例えば
図2に示すブーム3及びジブ4の姿勢よりもさらに地面に近づくように倒伏した姿勢である。
【0040】
従来のクレーンでは、左右一対のストラットガイラインの一端部は、通常、ブーム及びジブが倒伏姿勢で配置された状態でブームの上部に位置する左右の部位(倒伏時上側部位)に接続される。一対のストラットガイラインの一端部のそれぞれは、例えば、いわゆるバナナリンクを介して倒伏時上側部位に接続される。バナナリンクは、中間ブーム部材の主パイプとの干渉を回避するために、直線形状ではなく折れ曲がった形状を有する。従来のクレーンの接続作業及び取り外し作業では、ブーム及びジブが倒伏姿勢で配置された状態で、作業者はブームの倒伏時上側部位に昇ること及びブームの倒伏時上側部位から降りることが必要になる。このため、接続作業及び取り外し作業に時間がかかる。また、ストラットガイラインの一端部であるブーム側接続部(接続リンク)は重量物であるので、当該接続リンクをブームの倒伏時上側部位に対応する高い位置に補助クレーンを用いて移動させるために長い時間を要する。また、ブームの倒伏時上側部位に対応する高い位置での接続作業及び取り外し作業の安全を確保するために、費用と時間を要する。
【0041】
一方、本実施形態に係るクレーン100では、左右一対のストラットガイライン7の一端部であるブーム側接続部70,70(接続リンク)は、ブーム3及びジブ4が倒伏姿勢で配置された状態でブーム3の下部に位置する部位である倒伏時下側部位P1,P1(
図2参照)に接続される。従って、本実施形態に係るクレーン100の接続作業及び取り外し作業では、作業者は、ブーム3及びジブ4が倒伏姿勢で配置された状態でブーム3の上部に位置する部位である倒伏時上側部位P2に昇らなくてもよい。このため、接続作業及び取り外し作業が従来に比べて短縮される。また、ブーム側接続部70(接続リンク)をブーム3の倒伏時上側部位P2に対応する高い位置に補助クレーンを用いて移動させる必要がなくなる。さらに、ブーム3の倒伏時上側部位P2に対応する高い位置での接続作業及び取り外し作業が不要になるので、安全対策にかかる費用と時間を従来に比べて削減することができる。
【0042】
前記4つのコネクタ80は、ブーム3及びジブ4が倒伏姿勢で配置された状態で、右下に配置される右下コネクタ80と、左下に配置される左下コネクタ80と、右上に配置される右上コネクタ80と、左上に配置される左上コネクタ80と、を含む。右下コネクタ80及び左下コネクタ80は、ブーム3の左右の倒伏時下側部位P1,P1(
図2参照)に対応する位置にそれぞれ配置され、右上コネクタ80及び左上コネクタ80は、ブーム3の左右の倒伏時上側部位P2,P2に対応する位置にそれぞれ配置される。
【0043】
右下コネクタ80は、中間ブーム部材3Bの主パイプ31と中間ブーム部材3Cの主パイプ31とを連結するとともに右側のストラットガイライン7のブーム側接続部70を取り付けることが可能な構造を有するコネクタである。左下コネクタ80は、中間ブーム部材3Bの主パイプ31と中間ブーム部材3Cの主パイプ31とを連結するとともに左側のストラットガイライン7のブーム側接続部70を取り付けることが可能なコネクタである。右下コネクタ80と左下コネクタ80は、左右対称の形状を有する。右下コネクタ80及び左下コネクタ80のそれぞれは、特定コネクタの一例である。以下では、右下コネクタ80及び左下コネクタ80のそれぞれを特定コネクタ80Aと称することがある。
【0044】
右上コネクタ80及び左上コネクタ80のそれぞれは、中間ブーム部材3Bの主パイプ31と中間ブーム部材3Cの主パイプ31とを連結する。右上コネクタ80及び左上コネクタ80のそれぞれは、ストラットガイライン7のブーム側接続部70を取り付けるための構造を有していない通常のコネクタである。以下では、右上コネクタ80及び左上コネクタ80のそれぞれを通常コネクタ80Bと称することがある。
【0045】
4つの連結ピン60は、右下コネクタ80に用いられる右下連結ピン60と、左下コネクタ80に用いられる左下連結ピン60と、右上コネクタ80に用いられる右上連結ピン60と、左上コネクタ80に用いられる左上連結ピン60と、を含む。すなわち、右下連結ピン60及び左下連結ピン60は、ブーム3の倒伏時下側部位P1,P1に対応する位置に配置され、右上連結ピン60及び左上連結ピン60は、ブーム3の倒伏時上側部位P2,P2に対応する位置に配置される。右下連結ピン60及び左下連結ピン60のそれぞれは、特定連結ピンの一例である。以下では、右下連結ピン60及び左下連結ピン60のそれぞれを特定連結ピン60Aと称することがあり、右上連結ピン60及び左上連結ピン60のそれぞれを通常連結ピンと称することがある。
【0046】
図4は、ブーム3における左右の倒伏時下側部位P1,P1のうち、右側の倒伏時下側部位P1に対応する部位に配置された特定コネクタ80A及びその周辺の構造を示す斜視図であり、
図6は、その断面図である。
図4~
図6に示すように、特定コネクタ80Aは、第1コネクタ部81と、第2コネクタ部82と、第3コネクタ部83と、を備える。
【0047】
第1コネクタ部81は、中間ブーム部材3Bの主パイプ31の主パイプ先端部312に取り付けられ、第2コネクタ部82は、中間ブーム部材3Cの主パイプ31の主パイプ基端部311に取り付けられている。第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82は、互いに着脱可能に結合される。第3コネクタ部83は、ストラットガイライン7のブーム側接続部70を取り付けることが可能な構造を有する。第3コネクタ部83は、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82に対して着脱可能に結合される。
【0048】
なお、通常コネクタ80Bの図示は省略するが、通常コネクタ80Bは、特定コネクタ80Aと同様の第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82を備える一方で、特定コネクタ80Aが備える第3コネクタ部83を備えていない。
【0049】
特定コネクタ80Aにおいて、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82の一方は、雄型の形状を有する雄型コネクタ部であり、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82の他方は、雌型の形状を有する雌型コネクタ部である。本実施形態では、
図4及び
図6に示すように、第1コネクタ部81が雌型コネクタ部であり、第2コネクタ部82が雄型コネクタ部であるが、これらは、逆の形状を有していてもよい。
【0050】
特定コネクタ80Aの第1コネクタ部81は、中間ブーム部材3Bの主パイプ31の主パイプ先端部312に取り付けられる部分である取付部81Aと、取付部81Aから当該主パイプ31の長手方向に突出する板状の一対の突出部81Bと、を有する。一対の突出部81Bは、互いに左右方向に間隔をおいて配置されている。
【0051】
特定コネクタ80Aの第2コネクタ部82は、中間ブーム部材3Cの主パイプ31の主パイプ基端部311に取り付けられる部分である取付部82Aと、取付部82Aから当該主パイプ31の長手方向に突出する板状の突出部82Bと、を有する。突出部82Bの厚みは、一対の突出部81Bの間隔よりもわずかに小さい。これにより、突出部82Bを一対の突出部81Bの間に配置することができる。
【0052】
第1コネクタ部81の一対の突出部81Bのそれぞれは、特定連結ピン60Aが挿入される孔であるピン孔81Hを有し、第2コネクタ部82の突出部82Bは、特定連結ピン60Aが挿入される孔であるピン孔82Hを有する。ピン孔81Hは、突出部81Bを左右方向に貫通する貫通孔であり、ピン孔82Hは、突出部82Bを左右方向に貫通する貫通孔である。突出部82Bが一対の突出部81Bの間に配置された状態で、一対の突出部81Bのピン孔81Hと突出部82Bのピン孔82Hとは、側面視で同じ位置に配置される。この状態で、特定連結ピン60Aがこれらのピン孔81H,82Hに挿入されることにより、第1コネクタ部81と第2コネクタ部82が互いに結合される。
【0053】
特定コネクタ80Aにおいて、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82は、コネクタ本体を構成する。特定コネクタ80Aの第3コネクタ部83は、コネクタ本体に接続されている。本実施形態では、第3コネクタ部83は、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82とは別体として形成された部材である。第3コネクタ部83は、特定連結ピン60Aによって第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82と一体に結合される。
【0054】
図4~
図6に示すように、第3コネクタ部83は、コネクタ本体を着脱可能に取り付けるための部分であるコネクタ本体取付部88と、ストラットガイライン7のブーム側接続部70を着脱可能に取り付けるための部分であるガイライン取付部89と、を備える。
【0055】
第3コネクタ部83は、ベース部84と、複数の壁部と、を備える。ベース部84は、左右方向に沿って延びる部分である。複数の壁部は、内側壁部85と、中間壁部86と、外側壁部87と、を含む。内側壁部85は、中間壁部86及び外側壁部87よりもブーム3の幅方向の内側(
図4~6では左側)に位置し、外側壁部87は、内側壁部85及び中間壁部86よりもブーム3の幅方向の外側(
図4~6では右側)に位置する。内側壁部85、中間壁部86及び外側壁部87は、左右方向に間隔をおいて配置されている。
【0056】
本実施形態では、ベース部84は、左右方向に延びる板状の形状を有し、内側壁部85、中間壁部86及び外側壁部87は、ベース部84から左右方向に直交する方向(
図4では上方)にそれぞれ起立する板状の形状を有する。ベース部84は、内側壁部85の端部と中間壁部86の端部をつなぐ部分である内側部分と、中間壁部86の端部と外側壁部87の端部をつなぐ部分である外側部分と、を有する。
【0057】
コネクタ本体取付部88は、内側壁部85と、中間壁部86の一部(中間壁部86の左側部分)と、ベース部84の前記内側部分と、を含む。コネクタ本体を構成する第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82は、内側壁部85と、中間壁部86と、ベース部84の前記内側部分と、により画定されたスペースであるコネクタ本体配置スペースに配置される。
【0058】
ガイライン取付部89は、中間壁部86の一部(中間壁部86の右側部分)と、外側壁部87と、ベース部84の前記外側部分と、を含む。ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、中間壁部86と、外側壁部87と、ベース部84の前記外側部分と、により画定されたスペースであるガイライン配置スペースに配置される。
【0059】
内側壁部85は、当該内側壁部85を左右方向に貫通するピン孔85Hを有し、中間壁部86は、当該中間壁部86を左右方向に貫通するピン孔86Hを有し、外側壁部87は、当該外側壁部87を左右方向に貫通するピン孔87Hを有する。これらのピン孔85H,86H,87Hは、側面視において互いに重なるような位置に形成されている。
【0060】
第3コネクタ部83のコネクタ本体配置スペースにコネクタ本体を構成する第1コネクタ部及び第2コネクタ部が配置された状態であるコネクタ本体配置状態では、第3コネクタ部83のピン孔85H,86H,87Hは、第1コネクタ部81のピン孔81H及び第2コネクタ部82のピン孔82Hと側面視において重なる。また、第3コネクタ部83のガイライン配置スペースにストラットガイライン7のブーム側接続部70が配置された状態であるガイライン配置状態では、ブーム側接続部70に形成された後述のピン孔73Hは、第1~第3コネクタ部81~83のピン孔81H,82H,85H,86H,87Hと側面視において重なる位置に配置されることが可能である。
【0061】
従って、
図4及び
図6に示すように、前記コネクタ本体配置状態及び前記ガイライン配置状態では、特定連結ピン60Aは、第1コネクタ部81のピン孔81H、第2コネクタ部82のピン孔82H、第3コネクタ部83のピン孔85H,86H,87H、及びブーム側接続部70のピン孔73Hに挿入されることが可能である。これにより、第1コネクタ部81と第2コネクタ部82とが互いに結合され、第3コネクタ部83は、コネクタ本体(第1コネクタ部及び第2コネクタ部)に固定されるとともに、ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、第3コネクタ部83に固定され、ストラットガイライン7がブーム3とストラット6との間に張り渡される。
【0062】
なお、前記通常連結ピンは、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82のピン孔に挿入されることで第1コネクタ部81と第2コネクタ部82とを互いに結合するものであるが、ストラットガイライン7のブーム側接続部70を位置決めするものではない。
【0063】
図6に示すように、特定連結ピン60Aは、ヘッド部61と、コネクタ本体結合部62と、ガイライン固定部63と、抜け止め部材取付部64と、を備える。ヘッド部61、コネクタ本体結合部62、ガイライン固定部63、及び抜け止め部材取付部64は、特定連結ピン60Aの軸方向に沿ってこの順に並んでいる。本実施形態では、ヘッド部61は、特定連結ピン60Aの基端部に位置し、抜け止め部材取付部64は、特定連結ピン60Aの先端部に位置する。本実施形態では、特定連結ピン60Aのコネクタ本体結合部62、ガイライン固定部63、及び抜け止め部材取付部64の部分は、略円柱形状を有する。特定連結ピン60Aは、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82に対してブーム3の幅方向の内側(
図6では左側)から前記幅方向の外側(
図6では右側)に向かって、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82のピン孔81H,82Hに挿入される。これにより、特定連結ピン60Aは、当該特定連結ピン60Aの軸方向が左右方向に向いた姿勢で特定コネクタ80Aに支持される。
【0064】
図6に示すように、特定連結ピン60Aの軸方向に直交する方向のヘッド部61の寸法(外径)は、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82のピン孔81H,82Hよりも大きい。これにより、ヘッド部61は、特定連結ピン60Aがピン孔81H,82Hから特定連結ピン60Aの軸方向の一方(
図4では右側)に抜けるのを防ぐことができる。本実施形態では、ヘッド部61は、円盤形状を有するが、ヘッド部61の形状は、円盤形状に限られない。
【0065】
コネクタ本体結合部62は、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82のピン孔81H,82H内に配置される部分を含む。コネクタ本体結合部62がピン孔81H,82H内に配置されることにより、第1コネクタ部81と第2コネクタ部82が互いに結合される。コネクタ本体結合部62は、ヘッド部61から特定連結ピン60Aの軸方向に延びる円柱形状の部分であり、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82のピン孔81H,82Hよりもわずかに小さな外径を有する。
【0066】
ガイライン固定部63は、ストラットガイライン7のブーム側接続部70が取り付けられる部分である。ガイライン固定部63は、ヘッド部61とは反対側にコネクタ本体結合部62から特定連結ピン60Aの軸方向に突出する部分である。本実施形態では、ガイライン固定部63は、円柱形状を有する。
【0067】
図4及び
図6に示すように、ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、前記ガイライン本体の一端部が固定される部分である固定部71と、第3コネクタ部83のガイライン配置スペースに配置されてガイライン取付部89に取り付けられる部分である被取付部73と、を有する。本実施形態では、被取付部73は、ガイライン配置スペースに対応するような形状を有する。この被取付部73には、特定連結ピン60Aのガイライン固定部63が挿入されるピン孔73Hが形成されている。ピン孔73Hは、被取付部73を左右方向に貫通する貫通孔である。ブーム側接続部70の被取付部73のピン孔73Hは、ガイライン固定部63の外径よりもわずかに大きな内径を有する。
【0068】
ブーム3は、抜け止め部材66をさらに備える。抜け止め部材取付部64は、抜け止め部材66が取り付けられる部分である。抜け止め部材取付部64は、ヘッド部61とは反対側にガイライン固定部63から特定連結ピン60Aの軸方向に突出する部分である。抜け止め部材取付部64は、
図4及び
図6に示すように、特定連結ピン60Aが第1~第3コネクタ部81~83のピン孔に挿入された状態で、第3コネクタ部83よりもブーム3の幅方向の外側(
図4及び
図6では右側)に突出している。
【0069】
抜け止め部材取付部64には、特定連結ピン60Aの軸方向に直交する方向に抜け止め部材取付部64を貫通する貫通孔65が形成されている。抜け止め部材66は、抜け止め部材取付部64の貫通孔65に挿入される部分である挿入部と、当該挿入部の一端につながるとともに抜け止め部材取付部64の外周を囲むような形状を有する環状部と、を有する。
図4及び
図6に示すように、特定連結ピン60Aが第1~第3コネクタ部81~83のピン孔に挿入された状態で、抜け止め部材66の挿入部が抜け止め部材取付部64の貫通孔65に挿入され、抜け止め部材66の環状部が抜け止め部材取付部64の外周を囲むように配置される。これにより、特定連結ピン60Aが第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82に固定される。また、ストラットガイライン7のブーム側接続部70が特定連結ピン60Aに位置決めされるとともに、ブーム側接続部70が特定連結ピン60Aから抜けて脱落することが防止される。
【0070】
なお、抜け止め部材は、例えば、図略のナットを含むものであってもよく、この場合、抜け止め部材取付部64は、ボルト(雄ねじ)のような形状を有していてもよい。
【0071】
図4及び
図6に示すように、本実施形態では、右側のストラットガイライン7のブーム側接続部70は、右下コネクタ80(特定コネクタ80A)に対して右側、すなわち、右下コネクタ80に対してブーム3の幅方向の外側において、右下コネクタ80に隣り合うような位置に配置される。また、図示は省略するが、左側のストラットガイライン7のブーム側接続部70は、左下コネクタ80(特定コネクタ80A)に対して左側、すなわち、左下コネクタ80に対してブーム3の幅方向の外側において、左下コネクタ80に隣り合うような位置に配置される。このことは、左右のストラットガイライン7がブーム3の中間ブーム部材3Cに干渉することなく、左右のブーム側接続部70が右下コネクタ80に隣り合う位置及び左下コネクタ80に隣り合う位置にそれぞれ固定されることを可能にする。
【0072】
なお、上述したように、前記通常連結ピンのそれぞれは、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82のピン孔81H,82Hに挿入されるが、ストラットガイライン7のブーム側接続部70を位置決めする必要はない。従って、通常連結ピンのそれぞれは、特定連結ピン60Aと同様に、ヘッド部と、コネクタ本体結合部と、抜け止め部材取付部と、を備えるが、特定連結ピン60Aにおけるガイライン固定部63を備えていない。従って、通常連結ピンのそれぞれでは、抜け止め部材取付部は、ヘッド部とは反対側にコネクタ本体結合部から通常連結ピンの軸方向に突出している。
【0073】
以上説明した本実施形態に係るクレーン100では、ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、ブーム3の倒伏時下側部位P1に対応する位置に配置された特定コネクタ80Aのガイライン取付部89に着脱可能に取り付けられる。従って、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業において、ブーム3及びジブ4が倒伏姿勢で配置された状態で、作業者がブーム3の倒伏時上側部位P2に昇ること及びブーム3の倒伏時上側部位P2から降りることが不要になる。すなわち、作業者は、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業を、ブーム3の倒伏時下側部位P1の近傍において行うことができる。このため、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業が従来に比べて短縮される。また、ブーム側接続部70をブーム3の倒伏時上側部位P2に対応する高い位置に図略の補助クレーンを用いて移動させる必要がなくなる。よって、このクレーン100は、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業の作業性を向上させることができる。
【0074】
本実施形態では、特定コネクタ80Aは、中間ブーム部材3Bの端部に接続される第1コネクタ部81と、中間ブーム部材3Cの端部に接続され、第1コネクタ部81に対して着脱可能に結合される第2コネクタ部82と、ガイライン取付部89を含み、コネクタ本体(第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82)に対して着脱可能に結合される第3コネクタ部83と、を備える。第3コネクタ部83は、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82とは別体の部材として構成されている。例えば、第3コネクタ部83のコネクタ本体配置スペースのサイズを既存のコネクタ部材のサイズに適合するように設計することにより、第3コネクタ部83を既存のコネクタ部材に取り付けることが可能になる。この場合、既存のコネクタ部材は、第1コネクタ部と第2コネクタ部とを含むものである。
【0075】
また、本実施形態に係るクレーン100では、例えば、ブーム3に対するジブ4の角度を変えることが可能なようにジブ4がブーム3に取り付けられたクレーン仕様から固定ジブ仕様へ変更する場合には、ブーム3が組み立てられた状態で、既存のコネクタ部材に第3コネクタ部83を特定連結ピン60Aを用いて結合すればよい。従って、上記のような仕様変更時にはブーム3をすべて分解する必要がない。
【0076】
本実施形態では、複数の連結ピンは、特定コネクタ80Aに用いられる特定連結ピン60Aを含み、第1コネクタ部81、第2コネクタ部82及び第3コネクタ部83は、特定連結ピン60Aによって互いに結合される。すなわち、単一の特定連結ピン60Aによって第1コネクタ部81、第2コネクタ部82及び第3コネクタ部83を結合することが可能であるので、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業の作業性をさらに向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態では、特定連結ピン60A(特定連結ピン)が、特定コネクタ80Aの第1コネクタ部81と第2コネクタ部82と第3コネクタ部83を結合するとともに、ストラットガイライン7のブーム側接続部70を位置決めするので、部品点数の増加を抑制できる。
【0078】
本実施形態では、特定コネクタ80Aのガイライン取付部89は、第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82に対してブーム3の幅方向の外側(
図4及び
図6では、右側)にある。従って、ストラットガイライン7のブーム側接続部70及びガイライン本体を第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82に対してブーム3の幅方向の外側の位置からストラット6に向けて延ばすことができるので、ストラットガイライン7がブーム3と干渉することを回避しやすくなる。
【0079】
本実施形態では、ストラット6は、ジブ4のジブ基端部から延びる支柱601,601を含むストラット本体6Aと、ストラット本体6Aに支持されたリンク部材6Bと、を有する。このリンク部材6Bは、右側のストラットガイライン7のストラット側接続部74を右側の支柱601よりもブーム3の幅方向の外側(右側)に位置させ、左側のストラットガイライン7のストラット側接続部74を左側の支柱601よりもブーム3の幅方向の外側(左側)に位置させることが可能である。従って、ストラットガイライン7がブームガイライン8と干渉することを回避しやすくなる。
【0080】
図7は、本実施形態の変形例1に係るクレーン100における特定コネクタ80Aの一部である第3コネクタ部83aを示す斜視図である。この変形例1では、第3コネクタ部83aのガイライン取付部89の構造が
図5に示す第3コネクタ部83と異なる。変形例1に係るクレーン100のその他の構成は、
図1~
図6に示したクレーン100の構成と同様である。
【0081】
図7に示すように、第3コネクタ部83aは、コネクタ本体(第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82)を着脱可能に取り付けるためのコネクタ本体取付部88と、ストラットガイライン7のブーム側接続部70を着脱可能に取り付けるためのガイライン取付部89と、を備える。
【0082】
第3コネクタ部83aは、ベース部84と、複数の壁部と、突出片91と、を備える。ベース部84は、左右方向に沿って延びる部分である。複数の壁部は、壁部85と、壁部86と、を含む。壁部85及び壁部86は、
図5に示した第3コネクタ部83の内側壁部85及び中間壁部86に対応する部分である。壁部85及び壁部86は、左右方向に間隔をおいて配置されている。壁部85は、壁部86よりもブーム3の幅方向の内側(
図7では左側)に位置する。
【0083】
ベース部84は、左右方向に延びる板状の形状を有し、壁部85及び壁部86は、ベース部84から左右方向に直交する方向(
図7では上方)にそれぞれ起立する板状の形状を有する。ベース部84は、壁部85の端部と壁部86の端部をつなぐ。
図7に示す第3コネクタ部83aにおけるコネクタ本体取付部88及びコネクタ本体配置スペースは、
図5に示す第3コネクタ部83のコネクタ本体取付部88及びコネクタ本体配置スペースと同様である。すなわち、コネクタ本体取付部88は、壁部85と、壁部86の一部(壁部86の左側部分)と、ベース部84と、を含む。コネクタ本体を構成する第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82は、壁部85と、壁部86と、ベース部84と、により画定されたスペースであるコネクタ本体配置スペースに配置される。
【0084】
突出片91は、ベース部84の外側端部からブーム3の幅方向の外側(
図7では右側)に突出するように配置された部分である。ベース部84の外側端部は、ベース部84のうちブーム3の幅方向の外側に位置する端部である。
図7に示す具体例では、突出片91は、ベース部84とほぼ平行な姿勢でベース部84の外側端部から前記幅方向の外側に突出するように形成された板状の形状を有する。突出片91は、ベース部84、壁部85及び壁部86よりも前記幅方向の外側に位置する。
【0085】
この変形例1では、ガイライン取付部89は、突出片91を含む。ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、突出片91の表面(
図7では上面)であるガイライン配置面に対向するように配置される。突出片91は、当該突出片91を上下方向に貫通するピン孔91Hを有する。
【0086】
ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、前記ガイライン本体の一端部が固定される部分である固定部71と、第3コネクタ部83の前記ガイライン配置面に対向するように配置されてガイライン取付部89に取り付けられる部分である被取付部73Aと、を有する。この変形例1では、被取付部73Aは、ガイライン配置面に対応するような形状、具体的には、ガイライン配置面に沿って延びる板状の形状を有する。この被取付部73Aには、当該被取付部73Aを上下方向に貫通するピン孔73Hが形成されている。
【0087】
ブーム側接続部70の被取付部73Aがガイライン取付部89の突出片91のガイライン配置面に対向するように配置された状態で、ピン92が被取付部73Aのピン孔73H及び突出片91のピン孔91Hに挿入される。これにより、ストラットガイライン7のブーム側接続部70が第3コネクタ部83のガイライン取付部89に着脱可能に取り付けられる。
【0088】
図8は、本実施形態の変形例2に係るクレーン100における特定コネクタ80Aを示す斜視図である。
図9は、本実施形態の変形例3に係るクレーン100における特定コネクタを示す斜視図である。
【0089】
図1~6に示す実施形態及び
図7に示す変形例1に係るクレーン100の特定コネクタ80Aのそれぞれでは、第3コネクタ部83が第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82とは別体の部材として構成されるが、
図8に示す変形例2及び
図9に示す変形例3に係るクレーン100の特定コネクタ80Aのそれぞれでは、第3コネクタ部83bが第1コネクタ部81とともに単一の部材を構成する。変形例2及び変形例3におけるその他の構成は、
図1~6に示す実施形態と同様である。
【0090】
図8に示すように、特定コネクタ80Aは、中間ブーム部材3Bの主パイプ31の端部(主パイプ先端部)に接続される第1コネクタ部81と、中間ブーム部材3Cの主パイプ31の端部(主パイプ基端部)に接続され、第1コネクタ部81に対して着脱可能に結合される第2コネクタ部82と、第3コネクタ部83bと、を備える。
【0091】
第3コネクタ部83bは、ガイライン取付部89を有する。第3コネクタ部83bは、第1コネクタ部81とともに単一の部材を構成する。この変形例2では、第1コネクタ部81と第3コネクタ部83bとは同時に一体的に成形されることにより作製されたものであってもよく、第1コネクタ部81と第3コネクタ部83bとが個別に成形された後に第1コネクタ部81と第3コネクタ部83bとが例えば溶接などの接合手段によって一体化されたものであってもよい。以下、第1コネクタ部81と第3コネクタ部83bをコネクタ複合体90と称する。
【0092】
コネクタ複合体90は、中間ブーム部材3Bの主パイプ31の主パイプ先端部312に取り付けられる部分である取付部93と、取付部93から当該主パイプ31の長手方向にそれぞれ突出する板状の内側突出部94、中間突出部95及び外側突出部96と、を有する。3つの突出部94,95,96は、互いに左右方向に間隔をおいて配置されている。3つの突出部94,95,96のそれぞれは、例えば板状の形状を有する。
【0093】
取付部93は、左右方向に延びる形状を有し、内側突出部94の端部と中間突出部95の端部をつなぐ部分である内側部分と、中間突出部95の端部と外側突出部96の端部をつなぐ部分である外側部分と、を有する。
【0094】
コネクタ複合体90のうち、第1コネクタ部81は、内側突出部94と、中間突出部95の一部(中間突出部95の左側部分)と、取付部93の内側部分と、を含む。
【0095】
コネクタ複合体90の第3コネクタ部83bは、ストラットガイライン7のブーム側接続部70を着脱可能に取り付けるための部分であるガイライン取付部89を有する。ガイライン取付部89は、中間突出部95の一部(中間突出部95の右側部分)と、外側突出部96と、取付部93の外側部分と、を含む。
【0096】
第2コネクタ部82は、中間ブーム部材3Cの主パイプ31の主パイプ基端部311に取り付けられる部分である取付部82Aと、取付部82Aから当該主パイプ31の長手方向に突出する板状の突出部82Bと、を有する。第2コネクタ部82の突出部82Bは、コネクタ複合体90の内側突出部94と、中間突出部95と、取付部93の内側部分と、により画定されたスペースである第2コネクタ配置スペースに配置される。第2コネクタ部82の突出部82Bは、当該突出部82Bを左右方向に貫通するピン孔82Hを有する。
【0097】
ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、中間突出部95と、外側突出部96と、取付部93の外側部分と、により画定されたスペースであるガイライン配置スペースに配置される。
【0098】
ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、前記ガイライン本体の一端部が固定される部分である固定部71と、第3コネクタ部83のガイライン配置スペースに配置されてガイライン取付部89に取り付けられる部分である被取付部75と、を有する。被取付部75は、ガイライン配置スペースに対応するような形状を有する。この被取付部75には、当該被取付部75を左右方向に貫通するピン孔75Hが形成されている。
【0099】
コネクタ複合体90において、内側突出部94は、当該内側突出部94を左右方向に貫通するピン孔94Hを有し、中間突出部95は、当該中間突出部95を左右方向に貫通するピン孔95Hを有し、外側突出部96は、当該外側突出部96を左右方向に貫通するピン孔96Hを有する。
【0100】
特定連結ピン60Aがこれらのピン孔94H,95H,96H,82H,75Hに挿入されることにより、第1コネクタ部81及び第3コネクタ部83bを含むコネクタ複合体90と、第2コネクタ部82と、ストラットガイライン7のブーム側接続部70と、が互いに結合される。
【0101】
図9に示す変形例3では、ストラットガイライン7のブーム側接続部70の形状が
図8に示す変形例2におけるブーム側接続部70の形状と異なり、これ以外の構成は、
図8に示す変形例2と同様である。
【0102】
変形例3に係るコネクタ複合体90の第3コネクタ部83bは、変形例2と同様に、ストラットガイライン7のブーム側接続部70を着脱可能に取り付けるための部分であるガイライン取付部89を有する。ガイライン取付部89は、中間突出部95の一部(中間突出部95の右側部分)と、外側突出部96と、取付部93の外側部分と、を含む。
【0103】
図9に示すように、ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、前記ガイライン本体の一端部が固定される部分である固定部71と、第3コネクタ部83bのガイライン配置スペースに配置されてガイライン取付部89に取り付けられる部分である左右一対の被取付部76と、を有する。一対の被取付部76は、互いに左右方向に間隔をおいて配置されている。一対の被取付部76のうち、ブーム3の幅方向の内側(
図9では、左側)の被取付部76は、ガイライン配置スペースに対応するような形状を有する。一対の被取付部76のうち、ブーム3の幅方向の外側(
図9では、右側)の被取付部76は、コネクタ複合体90の外側突出部96の外側面(
図9では、右側面)に沿うような形状を有する。内側の被取付部76は、ガイライン配置スペースに配置され、外側の被取付部76は、コネクタ複合体90の外側突出部96よりも前記幅方向の外側において外側突出部96に隣り合うような位置に配置される。
【0104】
一対の被取付部76には、当該被取付部76を左右方向に貫通するピン孔76Hがそれぞれ形成されている。特定連結ピン60Aがこれらのピン孔94H,95H,96H,82H,76H,76Hに挿入されることにより、第1コネクタ部81及び第3コネクタ部83bを含むコネクタ複合体90と、第2コネクタ部82と、ストラットガイライン7のブーム側接続部70と、が互いに結合される。
【0105】
これらの変形例2,3では、第3コネクタ部83bが第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82の両方に対して別体として構成された部材ではなく、第1コネクタ部81とともに単一の部材を構成するので、第3コネクタ部83bを第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82の少なくとも一方に固定するための作業及び第3コネクタ部83bを第1コネクタ部81及び第2コネクタ部82の少なくとも一方から取り外す作業が不要になる。これにより、ストラットガイライン接続作業及びストラットガイライン取り外し作業の作業性をさらに向上させることができる。
【0106】
本開示は、以上説明した実施形態に限定されない。本開示は、例えば次のような態様を包含する。
【0107】
(A)ストラットガイラインのブーム側接続部の位置について
前記実施形態では、ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、特定コネクタ80Aに対してブーム3の幅方向の外側において当該特定コネクタ80Aに隣り合うような位置に配置されているが、特定コネクタ80Aに対してブーム3の幅方向の内側において当該特定コネクタ80Aに隣り合うような位置に配置されていてもよい。具体的には、右側のストラットガイライン7のブーム側接続部70は、右下コネクタ80(特定コネクタ80A)に対して左側、すなわち、右下コネクタ80に対してブーム3の幅方向の内側において、右下コネクタ80に対して左右方向に隣り合うような位置に配置されてもよい。また、左側のストラットガイライン7のブーム側接続部70は、左下コネクタ80(特定コネクタ80A)に対して右側、すなわち、左下コネクタ80に対してブーム3の幅方向の内側において、左下コネクタ80に対して左右方向に隣り合うような位置に配置されてもよい。変形例に係るクレーン100においても同様に、ストラットガイライン7のブーム側接続部70は、特定コネクタ80Aに対してブーム3の幅方向の内側において当該特定コネクタ80Aに隣り合うような位置に配置されていてもよい。
【0108】
(B)特定コネクタについて
変形例2及び変形例3では、第3コネクタ部は、第1コネクタ部とともに単一の部材であるコネクタ複合体を構成するが、第2コネクタ部とともに単一の部材(コネクタ複合体)を構成してもよい。
【0109】
(C)ストラットについて
前記実施形態では、ストラット本体6Aの先端部における左右方向の幅は、右側のストラットガイライン7のブーム側接続部70と左側のストラットガイライン7のブーム側接続部70との間隔よりも小さいが、ストラット本体6Aの先端部における左右方向の幅は、左右のブーム側接続部70同士の間隔と同程度であってもよい。この場合、ストラット6のリンク部材6Bは省略可能である。
【0110】
(D)クレーンの仕様について
前記実施形態では、機体が下部走行体を含む自走可能なクレーンであるが、機体は、例えば地盤に固定されて自走不可能なものであってもよい。また、本実施形態に係るクレーン100は、いわゆる固定ジブ仕様のクレーンであるが、ブーム3に対するジブ4の角度を変えることが可能なクレーンであってもよい。
【0111】
(E)支持部材について
前記実施形態では、支持部材がマスト5により構成されるが、支持部材は、例えばガントリであってもよい。ガントリは、ブーム3の後方において上部旋回体2に支持され、例えばブームガイラインを介してブーム3の先端部に接続される。
【0112】
(F)特定連結ピンについて
前記実施形態では、特定連結ピン60Aの挿入方向は、特定コネクタ80Aに対してブーム3の幅方向の内側から外側に向く方向であるが、前記実施形態とは逆方向であってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 :下部走行体(機体)
2 :上部旋回体(機体)
3 :ブーム
3B :中間ブーム部材(第1ブーム部材の一例)
3C :中間ブーム部材(第2ブーム部材の一例)
4 :ジブ
5 :マスト(支持部材の一例)
6 :ストラット
6A :ストラット本体
6B :リンク部材
7 :ストラットガイライン
31 :主パイプ
60 :連結ピン
60A :特定連結ピン
70 :ストラットガイラインのブーム側接続部
80 :コネクタ
80A :特定コネクタ
81 :第1コネクタ部
82 :第2コネクタ部
83,83a,83b :第3コネクタ部
89 :ガイライン取付部
90 :コネクタ複合体
100 :クレーン
P1 :倒伏時下側部位
P2 :倒伏時上側部位