(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-01
(45)【発行日】2025-09-09
(54)【発明の名称】自動二輪車用タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20250902BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20250902BHJP
B60C 9/06 20060101ALI20250902BHJP
B60C 9/00 20060101ALI20250902BHJP
B60C 15/00 20060101ALI20250902BHJP
B60C 11/00 20060101ALI20250902BHJP
B60C 11/11 20060101ALI20250902BHJP
【FI】
B60C13/00 E
B60C11/03 E
B60C9/06 B
B60C9/00 A
B60C15/00 K
B60C11/00 G
B60C13/00 H
B60C11/11 A
(21)【出願番号】P 2021182767
(22)【出願日】2021-11-09
【審査請求日】2024-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】山副 彰平
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-326520(JP,A)
【文献】特開2013-035540(JP,A)
【文献】特開2016-037126(JP,A)
【文献】特開2019-137106(JP,A)
【文献】特開2019-108035(JP,A)
【文献】特開2018-034742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0241026(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
B60C 11/03
B60C 9/06
B60C 9/00
B60C 15/00
B60C 11/00
B60C 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部と、前記トレッド部の両側からタイヤ半径方向の内側に延びる一対のサイドウォール部と、一対の前記サイドウォール部のタイヤ半径方向の内側に位置する一対のビード部とを含む自動二輪車用タイヤであって、
前記トレッド部及び一対の前記サイドウォール部を経て一対の前記ビード部の間を延びるカーカスと、一対の前記サイドウォール部を補強するための一対の補強ゴムとを備え、
前記カーカスは、一対の前記ビード部の間を延びる本体部と、前記本体部に連なり、かつ、前記ビード部のビードコアの周りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返された折返し部とを有する少なくとも1枚のカーカスプライを含み、
前記カーカスプライには、複数のフィラメントが撚り合わされたカーカスコードが複数配列されており、
前記カーカスコードのコード平均径Dと前記フィラメントの外径dとの比D/dが、28以上であり、
前記補強ゴムは、前記サイドウォール部のそれぞれにおいて、前記本体部と前記折返し部との間
で、前記ビードコアのタイヤ半径方向の外端面から、タイヤ半径方向の外側に延び、
前記補強ゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記ビードコアの前記外端面から前記トレッド部の最大径部までのタイヤ半径方向の高さの中間位置よりも、タイヤ半径方向の外側に位置する、
自動二輪車用タイヤ。
【請求項2】
前記補強ゴムは、前記ビードコアの
前記外端面
のタイヤ軸方向の内側から、タイヤ半径方向の外側に延びる、請求項1に記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項3】
前記カーカスコードの断面積は、前記カーカスコードの長さ方向に変化する、請求項1又は2に記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項4】
前記補強ゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記トレッド部と前記サイドウォール部との境界よりもタイヤ半径方向の外側に位置する、請求項
1ないし3のいずれか1項に記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項5】
前記補強ゴムは、前記ビードコアの前記外端面から、前記境界までの範囲において、厚さが0.5mm以上である、請求項4に記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項6】
前記トレッド部の前記サイドウォール部に接続する外表面は、曲率半径が10mm以上の円弧部を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項7】
前記トレッド部には、複数のブロックが設けられており、
前記ブロックは、トレッド端を形成するショルダーブロックを含む、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の自動二輪車用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動二輪車用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレッド部とサイドウォール部とビード部とを含む自動二輪車用タイヤが知られている。例えば、下記特許文献1では、ビードエーペックスゴムにより、トレッドの剛性増加を抑えながら、サイドウォールの略全域を補強しサイド剛性を高めることで、旋回性能を向上させた自動二輪車用タイヤが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、旋回性能や操縦安定性といった性能は、走行することで低下する場合があり、特許文献1の自動二輪車用タイヤにおいても、操縦安定性を長時間持続させることに対し、更なる改善が望まれていた。
【0005】
本開示は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、操縦安定性を長時間持続し得る自動二輪車用タイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、トレッド部と、前記トレッド部の両側からタイヤ半径方向の内側に延びる一対のサイドウォール部と、一対の前記サイドウォール部のタイヤ半径方向の内側に位置する一対のビード部とを含む自動二輪車用タイヤであって、前記トレッド部及び一対の前記サイドウォール部を経て一対の前記ビード部の間を延びるカーカスと、一対の前記サイドウォール部を補強するための一対の補強ゴムとを備え、前記カーカスは、一対の前記ビード部の間を延びる本体部と、前記本体部に連なり、かつ、前記ビード部のビードコアの周りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返された折返し部とを有する少なくとも1枚のカーカスプライを含み、前記カーカスプライには、複数のフィラメントが撚り合わされたカーカスコードが複数配列されており、前記カーカスコードのコード平均径Dと前記フィラメントの外径dとの比D/dが、28以上であり、前記補強ゴムは、前記サイドウォール部のそれぞれにおいて、前記本体部と前記折返し部との間に配される、自動二輪車用タイヤである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の自動二輪車用タイヤは、上述の構成を備えることにより、操縦安定性を長時間持続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の自動二輪車用タイヤの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態の正規状態の自動二輪車用タイヤ1(以下、単に「タイヤ1」という場合がある。)を示すタイヤ子午線断面図である。
【0010】
ここで、「正規状態」とは、タイヤ1が正規リムにリム組みされ、かつ、正規内圧に調整された無負荷の状態である。以下、特に言及しない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、この正規状態で測定された値である。
【0011】
「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
【0012】
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定める空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0013】
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2と、トレッド部2の両側からタイヤ半径方向の内側に延びる一対のサイドウォール部3と、一対のサイドウォール部3のタイヤ半径方向の内側に位置する一対のビード部4とを含んでいる。本実施形態のビード部4は、それぞれ、タイヤ周方向に延びるビードコア5を有している。
【0014】
本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2及び一対のサイドウォール部3を経て一対のビード部4の間を延びるカーカス6と、一対のサイドウォール部3を補強するための一対の補強ゴム7とを備えている。このようなタイヤ1は、カーカス6と補強ゴム7とにより、サイドウォール部3の剛性を向上させることができる。
【0015】
カーカス6は、少なくとも1枚、本実施形態では2枚のカーカスプライ6Aを含んでいる。本実施形態のカーカスプライ6Aは、それぞれ、一対のビード部4の間を延びる本体部6aと、本体部6aに連なり、かつ、ビード部4のビードコア5の周りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返された折返し部6bとを有している。
【0016】
図2は、本実施形態のカーカスプライ6Aの拡大斜視図である。
図2に示されるように、本実施形態のカーカスプライ6Aには、カーカスコード8が複数配列されている。カーカスプライ6Aは、カーカスコード8を被覆するトッピングゴム9を含むのが望ましい。
【0017】
カーカスプライ6Aのカーカスコード8は、例えば、タイヤ周方向に対して15~45°の角度で傾けて配列されている。2枚のカーカスプライ6Aは、カーカスコード8がタイヤ周方向に対して互いに反対方向に傾けて配列されるのが望ましい。カーカスコード8には、例えば、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維コード等が好適に採用される。
【0018】
カーカスプライ6Aは、カーカスコード8に直交する方向におけるプライ幅5cm当たりに含まれるカーカスコード8の本数であるエンズが、好ましくは、40~60本である。このようなカーカスプライ6Aは、質量増加を抑制しつつ、タイヤ1の剛性を向上させるのに役立つ。このような観点から、カーカスプライ6Aのエンズは、より好ましくは、45~55本である。なお、カーカスプライ6Aのエンズは、JIS-L1017の規定に準拠して、測定することができる。
【0019】
1本のカーカスコード8の繊度は、好ましくは、2000~7000dtexである。このようなカーカスコード8は、質量増加を抑制しつつ、タイヤ1の剛性を向上させるのに役立つ。このような観点から、1本のカーカスコード8の繊度は、より好ましくは、2500~6500dtexであり、更に好ましくは、3000~6000dtexである。なお、カーカスコード8の繊度は、JIS-L1017の規定に準拠して、測定することができる。
【0020】
図3は、本実施形態のカーカスコード8の拡大断面図である。
図3に示されるように、本実施形態のカーカスコード8は、それぞれ、複数のフィラメント10が撚り合わされて構成されている。カーカスコード8は、例えば、複数のフィラメント10が撚り合わされた下撚り糸8aの複数本が、本実施形態では2本が、撚り合わされたものである。
【0021】
カーカスコード8は、例えば、2本の下撚り糸8aが撚り合わされているため、下撚り糸8aの外面の一部8bが偏平化している。偏平化する下撚り糸8aの外面の一部8bは、例えば、2本の下撚り糸8aの接触面に相当する。これにより、カーカスコード8の断面形状は、その中央部において断面幅が小さくなった略長円状である。なお、カーカスコード8は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、3本以上の下撚り糸8aの外面の一部8bが接触して撚り合わされていてもよい。
【0022】
1本の下撚り糸8aの繊度は、好ましくは、1000~3500dtexである。このような下撚り糸8aは、質量増加を抑制しつつ、タイヤ1の剛性を向上させるのに役立つ。このような観点から、1本の下撚り糸8aの繊度は、より好ましくは、1500~3000dtexである。なお、下撚り糸8aの繊度は、JIS-L1017の規定に準拠して、測定することができる。
【0023】
カーカスコード8のコード平均径Dとフィラメント10の外径dとの比D/dは、好ましくは、28以上である。比D/dが28以上であることで、高荷重が負荷されたときにもカーカスコード8が伸び易くなり、フィラメント10の破断を抑制することができる。
【0024】
これにより、本実施形態のカーカスコード8は、高荷重が繰り返し負荷されるような状況であっても、大きい強力を長時間維持することができ、タイヤ1の操縦安定性の性能低下を抑制することができる。なお、比D/dが28以上であるカーカスコード8は、公知の製造方法を適宜組み合わせることにより、製造することができる。
【0025】
ここで、コード平均径Dは、カーカスコード8の横断面における長径D1と短径D2との単純平均で求められる。長径D1は、カーカスコード8の横断面における最大径を意味する。短径D2は、カーカスコード8の横断面において、長径D1と直交する方向のカーカスコード8の径のうち最大の径を意味する。なお、カーカスコード8の長径D1及び短径D2並びにフィラメント10の外径dは、それぞれ、JIS-L1017の規定に準拠して、測定することができる。
【0026】
なお、カーカスコード8は、一定の断面形状でカーカスコード8の長さ方向に延びるものが例示されているが、カーカスコード8の断面形状や断面積がカーカスコード8の長さ方向に変化するものであってもよい。この場合のコード平均径Dは、カーカスコード8の断面積が最小となる位置で測定される。これは、カーカスコード8の実質的な引っ張り強さが、カーカスコード8の断面積が最小となる位置におけるカーカスコード8の構成に依存するためである。
【0027】
図1に示されるように、本実施形態の補強ゴム7は、サイドウォール部3のそれぞれにおいて、本体部6aと折返し部6bとの間に配されている。このような補強ゴム7は、タイヤ1に高荷重が負荷したときに生じる歪みの集中を抑制し、カーカスプライ6Aに局所的に作用する応力を緩和することができ、フィラメント10(
図3に示す)の破断をより抑制することができる。このため、本実施形態のタイヤ1は、操縦安定性を長時間持続することができる。
【0028】
より好ましい態様として、タイヤ1は、オフロードバイクの競技等に好適に用いられる不整地走行に適したタイヤ1である。本実施形態のトレッド部2には、複数のブロック11が設けられている。ブロック11は、例えば、タイヤ赤道Cに位置するクラウンブロック11Aと、トレッド端Teを形成するショルダーブロック11Bとを含んでいる。ブロック11は、タイヤ軸方向において、クラウンブロック11Aとショルダーブロック11Bとの間に位置するミドルブロック11Cを更に含むのが望ましい。
【0029】
図4は、サイドウォール部3の拡大断面図である。
図4に示されるように、トレッド部2のサイドウォール部3に接続する外表面2aは、曲率半径Rが10mm以上の円弧部2bを有している。曲率半径Rが10mm以上であることで、高荷重が負荷されたときや急旋回したときであっても、ショルダーブロック11Bの過度な変形を抑制し、ショルダーブロック11B付近のカーカスプライ6Aのフィラメント10の破断を抑制することができる。
【0030】
本実施形態の補強ゴム7は、ビードコア5のタイヤ半径方向の外端面5aから、タイヤ半径方向の外側に延びている。補強ゴム7は、例えば、ビードコア5の外端面5aに接する内端7aと、タイヤ半径方向の外側の外端7bとを含んでいる。このような補強ゴム7は、ビード部4における歪みの集中も抑制し、タイヤ1の操縦安定性を長時間持続させることに役立つ。
【0031】
補強ゴム7のタイヤ半径方向の外端7bは、トレッド部2とサイドウォール部3との境界12よりもタイヤ半径方向の外側に位置している。このような補強ゴム7は、高荷重が負荷されたときや急旋回したときであっても、ショルダーブロック11Bの剛性を補うことで、ショルダーブロック11Bの過度な変形を抑制することができる。また、このような補強ゴム7は、ショルダーブロック11B付近のカーカスプライ6Aへの歪みの集中を抑制し、フィラメント10の破断を抑制することができ、タイヤ1の操縦安定性の性能低下を抑制することができる。
【0032】
ここで、トレッド部2とサイドウォール部3との境界12は、トレッド部2の外表面2aがサイドウォール部3に接続する円弧部2bのタイヤ半径方向の最も内側の位置である。すなわち、トレッド部2とサイドウォール部3との境界12は、ショルダーブロック11Bの付け根の位置に相当する。
【0033】
補強ゴム7は、ビードコア5の外端面5aから境界12までの範囲において、好ましくは、厚さtが0.5mm以上である。補強ゴム7の厚さtが0.5mm以上であることで、ショルダーブロック11Bの剛性を向上させることに役立ち、フィラメント10の破断を抑制して、タイヤ1の操縦安定性の性能低下をより抑制することができる。
【0034】
図1に示されるように、補強ゴム7のタイヤ半径方向の外端7bは、ビードコア5の外端面5aからトレッド部2の最大径部までのタイヤ半径方向の高さHの中間位置13よりも、タイヤ半径方向の外側に位置するのが望ましい。このような補強ゴム7は、高荷重が負荷されたときや旋回したときであっても、ミドルブロック11Cの剛性を補うことで、ミドルブロック11Cの過度な変形を抑制することができる。また、このような補強ゴム7は、ミドルブロック11C付近のカーカスプライ6Aへの歪みの集中を抑制し、フィラメント10の破断を抑制することができ、タイヤ1の操縦安定性の性能低下を抑制することができる。
【0035】
タイヤ1は、例えば、カーカス6のタイヤ半径方向の外側に配され、トレッド部2を補強するための少なくとも1枚のアウタープライ14を含んでいてもよい。アウタープライ14は、例えば、一対のサイドウォール部3の間を延びている。アウタープライ14には、例えば、カーカスプライ6Aと同じカーカスコード8が複数配列されている。アウタープライ14のカーカスコード8は、例えば、タイヤ周方向に対して15~45°の角度で傾けて配列されている。
【0036】
アウタープライ14のタイヤ半径方向の内端14aは、トレッド部2とサイドウォール部3との境界12よりもタイヤ半径方向の内側に位置するのが望ましい。このようなアウタープライ14は、高荷重が負荷されたときや急旋回したときであっても、ショルダーブロック11Bの過度な変形を抑制することができる。
【0037】
以上、本開示の特に好ましい実施形態について詳述したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【実施例】
【0038】
図1に示される内部構造を有する自動二輪車用タイヤが、表1の仕様に基づき試作された。試作されたタイヤを用いて、自動二輪車用タイヤの操縦安定性の持続性が評価された。主な共通仕様とテスト方法は、以下のとおりである。
【0039】
<共通仕様>
タイヤサイズ : 120/80-19
リムサイズ : 2.15×19
空気圧 : 80kPa
テスト車両 : 450ccオフロード競技専用車両
【0040】
<操縦安定性の持続性>
試作されたタイヤが、テスト車両の後輪に装着され、テストライダーによりオフロードコースを30分走行したときの操縦安定性が、テストライダーの官能により評価された。結果は、それぞれの試作タイヤの操縦安定性の初期性能を100としたときの評点で表され、100に近いほど、初期性能との差が小さく、操縦安定性の持続性に優れていることを示す。
【0041】
【0042】
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に対して、初期性能との差が小さく、操縦安定性を長時間持続し得ることが確認された。
【0043】
[付記]
本開示は、次のとおりである。
【0044】
[本開示1]
トレッド部と、前記トレッド部の両側からタイヤ半径方向の内側に延びる一対のサイドウォール部と、一対の前記サイドウォール部のタイヤ半径方向の内側に位置する一対のビード部とを含む自動二輪車用タイヤであって、前記トレッド部及び一対の前記サイドウォール部を経て一対の前記ビード部の間を延びるカーカスと、一対の前記サイドウォール部を補強するための一対の補強ゴムとを備え、前記カーカスは、一対の前記ビード部の間を延びる本体部と、前記本体部に連なり、かつ、前記ビード部のビードコアの周りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返された折返し部とを有する少なくとも1枚のカーカスプライを含み、前記カーカスプライには、複数のフィラメントが撚り合わされたカーカスコードが複数配列されており、前記カーカスコードのコード平均径Dと前記フィラメントの外径dとの比D/dが、28以上であり、前記補強ゴムは、前記サイドウォール部のそれぞれにおいて、前記本体部と前記折返し部との間に配される、自動二輪車用タイヤ。
【0045】
[本開示2]
前記補強ゴムは、前記ビードコアのタイヤ半径方向の外端面から、タイヤ半径方向の外側に延びる、本開示1に記載の自動二輪車用タイヤ。
【0046】
[本開示3]
前記補強ゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記ビードコアの前記外端面から前記トレッド部の最大径部までのタイヤ半径方向の高さの中間位置よりも、タイヤ半径方向の外側に位置する、本開示2に記載の自動二輪車用タイヤ。
【0047】
[本開示4]
前記補強ゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記トレッド部と前記サイドウォール部との境界よりもタイヤ半径方向の外側に位置する、本開示2又は3に記載の自動二輪車用タイヤ。
【0048】
[本開示5]
前記補強ゴムは、前記ビードコアの前記外端面から、前記境界までの範囲において、厚さが0.5mm以上である、本開示4に記載の自動二輪車用タイヤ。
【0049】
[本開示6]
前記トレッド部の前記サイドウォール部に接続する外表面は、曲率半径が10mm以上の円弧部を有する、本開示1ないし5のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【0050】
[本開示7]
前記トレッド部には、複数のブロックが設けられており、前記ブロックは、トレッド端を形成するショルダーブロックを含む、本開示1ないし6のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
【符号の説明】
【0051】
1 自動二輪車用タイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A カーカスプライ
6a 本体部
6b 折返し部
7 補強ゴム
8 カーカスコード
10 フィラメント