(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-01
(45)【発行日】2025-09-09
(54)【発明の名称】樹脂構造体
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20250902BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20250902BHJP
H02G 3/08 20060101ALI20250902BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20250902BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20250902BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
H02G3/08 010
H05K5/03 B
B60R16/02 610A
(21)【出願番号】P 2021170381
(22)【出願日】2021-10-18
【審査請求日】2024-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 基也
(72)【発明者】
【氏名】柏野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】岩城 裕馬
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 拓真
(72)【発明者】
【氏名】村尾 泰明
(72)【発明者】
【氏名】和田 正弘
(72)【発明者】
【氏名】垣見 孝明
(72)【発明者】
【氏名】荘司 和輝
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150595(JP,A)
【文献】特開平08-130815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H02G 3/16
H02G 3/08
H05K 5/03
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域に区分けされた箱状の本体と、前記複数の前記領域の一つを覆うように前記本体に組み付けられる蓋体と、を備える、樹脂構造体であって、
前記本体は、
隣接する一対の前記領域の間を仕切るように延びる第1仕切壁
と、前記第1仕切壁の前記一対の前記領域の一方側の側面に設けられる突起状の係合部と、を有し、
前記蓋体は、
前記一対の前記領域の一方を覆うとともに、前記第1仕切壁に沿って延びるように当該蓋体の縁部に設けられる第2仕切壁と、前記第2仕切壁から前記一対の前記領域の一方側に突出し且つ当該蓋体の上面に連結する一対の突起部と、を有し、
前記一対の前記突起部の各々は、
当該一対の当該突起部の間の隙間が前記蓋体の前記上面から離れるにつれて徐々に広がるように傾斜した傾斜面を、有し、
前記本体と前記蓋体とが組み付けられるとき、
前記一対の前記突起部の間の隙間に、前記第1仕切壁の
前記係合部が前記傾斜面に案内されながら差し込まれる、ように構成される、
樹脂構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂構造体において、
前記本体と前記蓋体とが組み付けられたとき、前記第1仕切壁と前記第2仕切壁とが前記第1仕切壁の厚さ方向において重なるように配置されて多層壁構造を構成する、
樹脂構造体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の樹脂構造体において、
前記第1仕切壁は、
前記第2仕切壁の少なくとも一部を収容して前記第2仕切壁が前記本体から分離する向きに移動することを規制する窪み状の規制部を有する、
樹脂構造体。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂構造体において、
前記本体の前記係合部は、
前記規制部の窪みの縁部から窪み内に向けて突出する、
樹脂構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される電気接続箱(例えば、リレーボックス)等のように、複数の樹脂体を互いに組み付けて構成される樹脂構造体が提案されている。例えば、従来の電気接続箱の一つは、電子部品等を格納する箱状の本体と、本体の開口部を塞ぐようにその開口部に対応した形状を有する蓋体と、を備え、本体に蓋体を組み付けるようになっている(例えば、特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-150595号公報
【文献】特開2020-150596号公報
【文献】特開2021-045019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気接続箱の仕様によっては、電気接続箱の本体の内部を複数の領域に分け、それら領域の各々に対応した複数の蓋体を用いて、各々の領域の開口部を塞ぐ場合がある。例えば、電気接続箱のメンテナンス性を向上する等の観点から、一の領域にはリレーを主として格納し、他の領域にはヒューズを主として格納するように、各々の領域が設計される場合がある。このように電気接続箱を複数の領域に区分けして個々の領域を蓋体で塞ぐ場合、本体の開口部に蓋体を位置合わせしながら蓋体を本体に取り付ける工程数が増大するため、本体が単一の領域のみを有する場合に比べ、電気接続箱の生産性を向上させることが困難である。なお、電気接続箱に限らず、複数の内部領域を有する本体に複数の蓋体を取り付ける構造を有する樹脂構造体は、上記同様、単一の内部領域のみを有する場合に比べて生産性を向上させ難い。
【0005】
本発明の目的の一つは、複数の内部領域を有する本体に蓋体を容易に取り付け可能な樹脂構造体の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る樹脂構造体は、以下を特徴としている。
【0007】
複数の領域に区分けされた箱状の本体と、前記複数の前記領域の一つを覆うように前記本体に組み付けられる蓋体と、を備える、樹脂構造体であって、
前記本体は、
隣接する一対の前記領域の間を仕切るように延びる第1仕切壁と、前記第1仕切壁の前記一対の前記領域の一方側の側面に設けられる突起状の係合部と、を有し、
前記蓋体は、
前記一対の前記領域の一方を覆うとともに、前記第1仕切壁に沿って延びるように当該蓋体の縁部に設けられる第2仕切壁と、前記第2仕切壁から前記一対の前記領域の一方側に突出し且つ当該蓋体の上面に連結する一対の突起部と、を有し、
前記一対の前記突起部の各々は、
当該一対の当該突起部の間の隙間が前記蓋体の前記上面から離れるにつれて徐々に広がるように傾斜した傾斜面を、有し、
前記本体と前記蓋体とが組み付けられるとき、
前記一対の前記突起部の間の隙間に、前記第1仕切壁の前記係合部が前記傾斜面に案内されながら差し込まれる、ように構成される、
樹脂構造体であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る樹脂構造体によれば、箱状の本体が有する複数の領域の一つを覆うように蓋体を組み付けるとき、本体に設けられて領域間を仕切る第1仕切壁の一部分である係合部が、蓋体が有する第2仕切壁に設けられた一対の突起部の間の隙間に差し込まれる。ここで、一対の突起部は、蓋体の上面から離れるにつれてそれら突起部の間の隙間が徐々に広がるように傾斜した傾斜面(いわゆる、テーパ面)を、有する。よって、蓋体を本体に組み付けるとき、この傾斜面に沿って第1仕切壁が案内される案内効果により、蓋体が対応する領域を塞ぐ適正な位置に自然に配置される。更に、蓋体の組み付け後、この傾斜面と、一対の突起部の間に差し込まれた第1仕切壁の係合部と、の位置関係を目視することで、蓋体が適正な位置に配置されているか否かを容易に識別することができる。加えて、一対の突起部が蓋体の第2仕切壁から突出し且つ蓋体の上面に連結することで、蓋体自体の剛性が向上する。よって、蓋体の意図しない変形を抑制することができる。蓋体の変形が抑制されることも、蓋体を適正な位置に配置することに貢献する。したがって、本構成の樹脂構造体は、複数の内部領域を有する本体に蓋体を容易に取り付け可能である。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1蓋体が本体に組み付けられ且つ第2蓋体が本体から分離した状態にある本発明の実施形態に係る樹脂構造体の斜視図である。
【
図2】
図2は、本体と第1蓋体とを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本体に第1蓋体を組み付ける手順の前半を説明するための斜視図である。
【
図4】
図4は、本体に第1蓋体を組み付ける手順の後半、及び、本体に第2蓋体を組み付ける手順を説明するための斜視図である。
【
図7】
図7は、本体への第1蓋体及び第2蓋体の組み付けにより得られる、本体の第1仕切壁及び第1蓋体の第2仕切壁からなる多層壁構造、及び、本体の第1仕切壁及び第2蓋体の第3仕切壁からなる多層壁構造における、
図4のC-C断面に相当する断面図である。
【
図8】
図8は、本体の係合部と第1蓋体の係合部との係合箇所における、
図4のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、
図1に示す本発明の実施形態に係る樹脂構造体1について説明する。樹脂構造体1は、典型的には、車両に搭載されてリレー等の電子部品を収容するリレーボックス(電気接続箱)である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、樹脂構造体1は、リレー等の電子部品(及び、その他の部品、図示省略)が収容されることになる本体2と、本体2の内部の第1領域R1(
図2参照)の上端開口部を塞ぐように本体2の上端部に組み付けられる第1蓋体3と、本体2の内部の第2領域R2(
図2参照)の上端開口部を塞ぐように本体2の上端部に組み付けられる第2蓋体4と、を含んで構成される。本体2、第1蓋体3及び第2蓋体4の各々は、樹脂成形体である。本例では、車両搭載時にて第1蓋体3の上部に位置する部品(例えば、リザーバタンク等)と第1蓋体3との干渉防止のため、樹脂構造体1の組付完了状態にて、第1蓋体3が、第2蓋体4より下方に位置している。以下、樹脂構造体1を構成する各部材について順に説明する。
【0013】
まず、本体2について説明する。本体2は、
図1及び
図2に示すように、上下方向からみて所定の形状を有して上下方向に延びる筒状の周壁11を有する。周壁11に囲まれた本体2の内部は、本体2の内部を所定方向に横断し且つ上下方向に延びる平板状の第1仕切壁12によって、第1領域R1と第2領域R2とに区分けされている。本例では、第1領域R1及び第2領域R2の各々に、リレー等の電子部品(及び、その他の部品、図示省略)が収容されている。
【0014】
以下、周壁11のうち、第1領域R1を囲う部分を第1周壁13と呼び、第2領域R2を囲う部分を第2周壁14と呼ぶこともある(
図2を参照)。本例では、樹脂構造体1の組付完了状態にて第1蓋体3を第2蓋体4より下方に位置させるため、第1周壁13の上端縁が、第2周壁14の上端縁及び第1仕切壁12の上端縁より下方に位置している。
【0015】
以下、説明の便宜上、
図1~
図8に示すように、「仕切方向」、「前後方向」及び「上下方向」を定義する。「仕切方向」、「前後方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。樹脂構造体1の車両搭載時において、「上下方向」は、車両の上下方向に対応している。「仕切方向」は、第1仕切壁12が本体2の内部を横断する前記所定方向に対応し、「前後方向」は、第1仕切壁12の板厚方向に対応している。
【0016】
図2及び
図7に示すように、第1仕切壁12の後端面における、上端縁より所定距離だけ下側の位置より下側の領域には、前方に窪んだ凹部16が、仕切方向に亘って帯状に延びるように形成されている。第1仕切壁12の仕切方向両端部近傍の箇所(2箇所)には、凹部16の上側の縁部(凹部16の上端を画成する側壁の後端部)から下方に突出するリブ15がそれぞれ設けられている。樹脂構造体1の組付完了状態にて、凹部16及びリブ15は、第1蓋体3の第2仕切壁23(後述)と係合することになる(
図4及び
図7参照)。
【0017】
第1仕切壁12の仕切方向における一対のリブ15に対応する箇所(2箇所)の後端面には、
図2及び
図7に示すように、リブ15の上側に隣接するように、後方に突出する係止突起17がそれぞれ設けられている。樹脂構造体1の組付完了状態にて、一対の係止突起17は、第2蓋体4の一対のロックアーム41(後述)と係合することになる(
図7参照)。
【0018】
第2周壁14における周方向の所定箇所(本例では、1箇所)には、
図2に示すように、係合部18が設けられている。係合部18は、第2蓋体4の係合部34(後述)と係合することになる。第1周壁13における周方向の複数の所定箇所(本例では、2箇所)には、
図2に示すように、係合部19がそれぞれ設けられている。複数の係合部19は、第1蓋体3の複数の係合部24(後述)と係合することになる。
【0019】
次いで、第1蓋体3について説明する。第1蓋体3は、
図2に示すように、上下方向からみて本体2の第1周壁13に対応する形状を有して上下方向に延びる周壁21と、周壁21により囲われる上端開口部を塞ぐ天壁部22と、天壁部22における第1仕切壁12に対応して仕切方向に延びる前端縁から上方に突出し且つ仕切方向に延びる第2仕切壁23と、を一体に有する。周壁21の周方向における本体2の複数の係合部19に対応する複数の箇所(2箇所)にはそれぞれ、係合部19と係合可能な係合部24が設けられている。
【0020】
図2~
図4に示すように、第2仕切壁23の仕切方向における本体2の一対のリブ15に対応する箇所(2箇所)の後端面にはそれぞれ、一対の突起部25が、仕切方向に間隔を空けて後側に突出し且つ上下方向に延びるように形成されている。一対の突起部25の下端は、第1蓋体3の天壁部22の上面と連結されている。一対の突起部25の仕切方向の間隔は、リブ15の仕切方向の幅より僅かに大きい。よって、リブ15が、一対の突起部25の間の隙間に差し込み可能となっている(
図5及び
図6参照)。
【0021】
図5及び
図6に示すように、一対の突起部25の各々において、相手側の突起部25と対向する上側の角部には、一対の突起部25の間の隙間が上方に移動するにつれて徐々に広がるように傾斜した傾斜面26が形成されている。このように一対の傾斜面26を設けたことによる作用については後述する。
【0022】
次いで、第2蓋体4について説明する。第2蓋体4は、
図4に示すように、上下方向からみて本体2の第2周壁14に対応する形状を有して上下方向に延びる周壁31と、周壁31の周方向両端部を繋ぐように第1仕切壁12に対応して仕切方向に延び且つ上下方向に延びる第3仕切壁32と、周壁31及び第3仕切壁32により囲われる上端開口部を塞ぐ天壁部33と、を一体に有する。周壁31の周方向における本体2の係合部18に対応する箇所(1箇所)には、係合部18と係合可能な係合部34が設けられている。
【0023】
第3仕切壁32の後端面には、
図7に示すように、下端縁部の上側に隣接する上下方向位置から後方に突出し且つ仕切方向に延びる第1端部壁35と、第1端部壁35の仕切方向に延びる突出端部から下方に突出し且つ仕切方向に延びる第2端部壁36と、が設けられている。この結果、第3仕切壁32の下端縁部と第2端部壁36との間には、下方に開口し上方に窪み且つ仕切方向に延びる凹部37が形成されている。
【0024】
図4に示すように、第2端部壁36の仕切方向における本体2の一対の係止突起17に対応する箇所(2箇所)にはそれぞれ、第2端部壁36から下方に延びる片持ち梁状の一対のロックアーム41が設けられている。ロックアーム41は、所定範囲内にて前後方向に弾性変形可能となっている。ロックアーム41には、前後方向に貫通する矩形の開口42が形成されている。開口42の下端縁部は、本体2の係止突起17に係止されることになる(
図7参照)。以上、樹脂構造体1を構成する各部材について説明した。
【0025】
次いで、
図2~
図4を参照しながら、本体2に第1蓋体3及び第2蓋体4を組み付ける手順について説明する。まず、本体2に第1蓋体3を組み付ける。このため、まず、第1蓋体3が本体2の第1領域R1の上方に位置するように、本体2及び第1蓋体3を配置する(
図2参照)。次いで、
図3に示すように、第1蓋体3を前端部が後端部より下方に位置する向きに傾斜させた状態で、第1蓋体3の第2仕切壁23の上端縁部を本体2の凹部16に向けて近づけて(
図3の矢印参照)、一対のリブ15の各々が対応する一対の突起部25の間の隙間に上側からそれぞれ差し込まれるように、第2仕切壁23の上端縁部を凹部16に収容し、次いで、第2仕切壁23の上端縁部を、仕切方向全域に亘って、凹部16の上側の隅部(凹部16の上端を画成する側壁と凹部16の前端を画成する底壁との交差部)に係止させる(
図7も参照)。
【0026】
ここで、リブ15の差し込み時、リブ15は、一対の突起部25に設けられた一対の傾斜面26によって案内されながら一対の突起部25の間に隙間に差し込まれる。この傾斜面26の案内効果により、仕切方向における第1蓋体3の本体2に対する位置ズレが抑制され、第1蓋体3が第1領域R1を塞ぐ適正な仕切方向の位置に自然に配置される。
【0027】
次いで、
図4に示すように、凹部16の上側の隅部に係止された第2仕切壁23の上端縁部(即ち、第1蓋体3の前端部)を中心として、第1蓋体3の後端部が下方に移動する向き(第1蓋体3を水平に戻す向き)に、第1蓋体3を回動させながら(
図4の矢印参照)、第1蓋体3の周壁21が本体2の第1周壁13の外側に重なるように、本体2に第1蓋体3を組み付ける(
図4参照)。これにより、本体2への第1蓋体3の組み付けが完了する。
【0028】
本体2への第1蓋体3の組み付けが完了した状態では、
図7に示すように、第2仕切壁23が凹部16に収容されている。このため、第2仕切壁23の上端面と、凹部16の上端を画成する側壁の内壁面とが係合することで、第1蓋体3の前端部と本体2との上下方向への分離が防止されている。換言すれば、固定用のロック構造等を別途設けることなく、第1蓋体3の前端部と本体2との上下方向への分離が防止されている。更に、第2仕切壁23の上端縁部の後端面と、リブ15の前端面とが係合することで、第1仕切壁12から離れる向き(後向き)に第2仕切壁23が移動することが防止されている。これにより、本体2と第1蓋体3とが一旦組み付けられた後、第1蓋体3が本体2から意図せず外れることが、より強固に抑制される。更に、本体2の係合部19に設けられた係止部19a(
図8参照)と第1蓋体3の係合部24に設けられた係止部24a(
図8参照)とが係合することで(
図1、
図2及び
図8参照)、第1蓋体3の後端部と本体2との上下方向への分離が防止されている。
【0029】
更に、本体2への第1蓋体3の組み付けが完了した状態では、
図7に示すように、本体2の第1仕切壁12と第1蓋体3の第2仕切壁23とが、前後方向に重なり合うことで(積層されることで)、多層壁構造(具体的には、二重壁構造。いわゆるラビリンス状の構造)が構成されている。この結果、単に第1仕切壁12及び第2仕切壁23が付き合わされている場合に比べて沿面距離が長くなり、隣接する領域R1,R2間から水が本体2の内部に侵入することが抑制され得る。
【0030】
更に、本体2への第1蓋体3の組み付けが完了した状態では、
図5及び
図6に示すように、一対の突起部25に設けられた一対の傾斜面26及び一対の突起部25と、第1仕切壁12のリブ15と、の位置関係を目視することで、第1蓋体3が本体2に対して適正な位置に配置されているか否かを容易に識別することができる。加えて、第1蓋体3の第2仕切壁23から突出する一対の突起部25が第1蓋体3の天壁部22に連結されていることで、第1蓋体3自体の剛性が向上している。この結果、第1蓋体3を本体2へ組み付けるとき等において、第1蓋体3の変形を抑制することができる。
【0031】
次いで、
図4に示すように、第1蓋体3の組み付けが完了した本体2に第2蓋体4を組み付ける。このため、まず、第2蓋体4が本体2の第2領域R2の上方に位置するように、本体2及び第2蓋体4を配置する(
図4参照)。次いで、第2蓋体4を水平に維持した状態で、本体2及び第2蓋体4を上下方向に互いに近づけて(
図4の矢印参照)、本体2の第1仕切壁12の上縁部が第2蓋体4の凹部37(
図7参照)に嵌め合わされるように、且つ、第2蓋体4の周壁31が本体2の第2周壁14の外側に重なるように、本体2に第2蓋体4を組み付ける。これにより、本体2への第1蓋体3及び第2蓋体4の組み付けが完了し、組み付けが完了した樹脂構造体1が得られる。
【0032】
本体2への第2蓋体4の組み付けが完了した状態(樹脂構造体1の組付完了状態)では、第2蓋体4の一対のロックアーム41の開口42の下端縁部と本体2の一対の係止突起17とが係合し(
図7参照)、且つ、本体2の係合部18と第2蓋体4の係合部34とが係合することで(
図1参照)、本体2と第2蓋体4との上下方向への分離が防止されている。
【0033】
本体2への第2蓋体4の組み付けが完了した状態(樹脂構造体1の組付完了状態)では、
図7に示すように、凹部37に進入した本体2の第1仕切壁12と第2蓋体4の第3仕切壁32とが、前後方向に重なり合うことで(積層されることで)、多層壁構造(具体的には、二重壁構造。いわゆるラビリンス状の構造)が構成されている。この結果、単に第1仕切壁12及び第3仕切壁32が付き合わされている場合に比べて沿面距離が長くなり、隣接する領域R1,R2間から水が本体2の内部に侵入することが抑制され得る。
【0034】
<作用・効果>
以上より、本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、箱状の本体2が有する第1領域R1を覆うように第1蓋体3を組み付けるとき、本体2に設けられて第1領域R1及び第2領域R2の間を仕切る第1仕切壁12に設けられたリブ15が、第1蓋体3が有する第2仕切壁23に設けられた一対の突起部25の間の隙間に差し込まれる。ここで、一対の突起部25は、第1蓋体3の天壁部22から離れるにつれてそれら突起部25の間の隙間が徐々に広がるように傾斜した傾斜面(テーパ面)26を、有する。よって、第1蓋体3を本体2に組み付けるとき、傾斜面26の案内効果により、第1蓋体3が第1領域R1を塞ぐ適正な位置に自然に配置される。更に、第1蓋体3の組み付け後、傾斜面26と第1仕切壁12のリブ15との位置関係を目視することで、第1蓋体3が適正な位置に配置されているか否かを容易に識別することができる。加えて、第1蓋体3の第2仕切壁23から突出する一対の突起部25が第1蓋体3の天壁部22に連結することで、第1蓋体3自体の剛性を向上させ、第1蓋体3の変形を抑制することができる。第1蓋体3の変形が抑制されることも、第1蓋体3を適正な位置に配置することに貢献する。したがって、本実施形態に係る樹脂構造体1は、複数の内部領域R1,R2を有する本体2に第1蓋体3を容易に取り付け可能である。
【0035】
更に、樹脂構造体1によれば、樹脂構造体1を構成する本体2に第1蓋体3を組み付けたとき、本体2が有する第1仕切壁12と、第1蓋体3が有する第2仕切壁23と、が重なり合うことで、多層壁構造(いわゆる、ラビリンス状の構造)が構成されることになる。この多層壁構造により、本体2と第1蓋体3との間の沿面距離が長くなることで、隣接する領域R1,R2間の境界箇所から水が樹脂構造体1の内部に侵入することを抑制することができる。即ち、樹脂構造体1の防水性を向上できる。
【0036】
更に、樹脂構造体1によれば、本体2の第1仕切壁12に設けられる窪み状の凹部16が、第1蓋体3の第2仕切壁23が本体2から分離する向き(上向き)に移動することを規制するようになっている。そのため、例えば、本体2に第1蓋体3を組み付ける際、本体2の凹部16と第1蓋体3との接触点を中心として回動させながら、第1蓋体3を本体2に組み付けることができる。更に、凹部16によって第1蓋体3の移動が規制されるため、固定用のロック構造等を別途設けることなく、第1蓋体3が本体2から外れることを抑制できる。よって、そのようなロック構造を省略できる分、本体2の内部空間を拡大して樹脂構造体1の格納性能を高められる。また、そのようなロック構造を本体2の周壁に設ける必要がないため、樹脂構造体1の小型化を図り得る。
【0037】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を発揮できるものであれば任意であり、限定されない。
【0038】
上記実施形態では、第1蓋体3の第2仕切壁23において、本体2の第1仕切壁12に設けられた一対のリブ15の各々に対応して、一対の突起部25が設けられている。これに対し、第1蓋体3の第2仕切壁23において、一対のリブ15の何れか一方のみに対応して、一対の突起部25が設けられてもよい。
【0039】
ここで、上述した本発明に係る樹脂構造体1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
【0040】
[1]
複数の領域(R1,R2)に区分けされた箱状の本体(2)と、前記複数の前記領域の一つ(R1)を覆うように前記本体(2)に組み付けられる蓋体(3)と、を備える、樹脂構造体(1)であって、
前記本体(2)は、
隣接する一対の前記領域(R1,R2)の間を仕切るように延びる第1仕切壁(12)を有し、
前記蓋体(3)は、
前記一対の前記領域の一方(R1)を覆うとともに、前記第1仕切壁(12)に沿って延びるように当該蓋体(3)の縁部に設けられる第2仕切壁(23)と、前記第2仕切壁(23)から前記一対の前記領域の一方(R1)側に突出し且つ当該蓋体(3)の上面(22)に連結する一対の突起部(25)と、を有し、
前記一対の前記突起部(25)の各々は、
当該一対の当該突起部(25)の間の隙間が前記蓋体(3)の前記上面(22)から離れるにつれて徐々に広がるように傾斜した傾斜面(26)を、有し、
前記本体(2)と前記蓋体(3)とが組み付けられるとき、
前記一対の前記突起部(25)の間の隙間に、前記第1仕切壁(12)の一部分(15)が前記傾斜面(26)に案内されながら差し込まれる、ように構成される、
樹脂構造体(1)。
【0041】
上記[1]の構成の樹脂構造体によれば、箱状の本体が有する複数の領域の一つを覆うように蓋体を組み付けるとき、本体に設けられて領域間を仕切る第1仕切壁の一部分が、蓋体が有する第2仕切壁に設けられた一対の突起部の間の隙間に差し込まれる。ここで、一対の突起部は、蓋体の上面から離れるにつれてそれら突起部の間の隙間が徐々に広がるように傾斜した傾斜面(いわゆる、テーパ面)を、有する。よって、蓋体を本体に組み付けるとき、この傾斜面に沿って第1仕切壁が案内される案内効果により、蓋体が対応する領域を塞ぐ適正な位置に自然に配置される。更に、蓋体の組み付け後、この傾斜面と、一対の突起部の間に差し込まれた第1仕切壁の一部分と、の位置関係を目視することで、蓋体が適正な位置に配置されているか否かを容易に識別することができる。加えて、一対の突起部が蓋体の第2仕切壁から突出し且つ蓋体の上面に連結することで、蓋体自体の剛性が向上する。よって、蓋体の意図しない変形を抑制することができる。蓋体の変形が抑制されることも、蓋体を適正な位置に配置することに貢献する。したがって、本構成の樹脂構造体は、複数の内部領域を有する本体に蓋体を容易に取り付け可能である。
【0042】
[2]
上記[1]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記本体(2)と前記蓋体(3)とが組み付けられたとき、前記第1仕切壁(12)と前記第2仕切壁(23)とが前記第1仕切壁(12)の厚さ方向において重なるように配置されて多層壁構造を構成する、
樹脂構造体(1)。
【0043】
上記[2]の構成の樹脂構造体によれば、樹脂構造体を構成する本体に蓋体を組み付けたとき、本体が有する第1仕切壁と、蓋体が有する第2仕切壁と、が重なり合うことで、多層壁構造(いわゆるラビリンス状の構造)が構成されることになる。この多層壁構造により、本体と蓋体との間の沿面距離が長くなることで、隣接する領域間の境界箇所から水が樹脂構造体の内部に侵入することを抑制することができる。即ち、樹脂構造体の防水性を向上できる。
【0044】
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第1仕切壁(12)は、
前記第2仕切壁(23)の少なくとも一部を収容して前記第2仕切壁(23)が前記本体(2)から分離する向きに移動することを規制する窪み状の規制部(16)を有する、
樹脂構造体(1)。
【0045】
上記[3]の構成の樹脂構造体によれば、本体の第1仕切壁に設けられる窪み状の規制部が、一方の蓋体の第2仕切壁が本体から分離する向きに移動することを規制するようになっている。そのため、例えば、本体に一方の蓋体を組み付ける際、本体の規制部とその蓋体との接触点を中心として回動させながら、その蓋体を本体に組み付けることができる。更に、規制部によってその蓋体の移動が規制されるため、固定用のロック構造等を別途設けることなく、その蓋体が本体から外れることを抑制できる。よって、そのようなロック構造を省略できる分、本体の内部空間を拡大して樹脂構造体の格納性能を高められる。また、そのようなロック構造を本体の周壁に設ける必要がないため、樹脂構造体の小型化を図り得る。
【符号の説明】
【0046】
1 樹脂構造体
2 本体
3 第1蓋体(蓋体)
12 第1仕切壁
15 リブ(一部分)
16 凹部(規制部)
22 天壁部(上面)
23 第2仕切壁
25 突起部
26 傾斜面
R1 領域
R2 領域