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特許7736699摩擦が低減された結び目のない縫合糸のルーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-01
(45)【発行日】2025-09-09
(54)【発明の名称】摩擦が低減された結び目のない縫合糸のルーティング
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20250902BHJP
【FI】
A61B17/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022550840
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021029949
(87)【国際公開番号】W WO2021222607
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2024-02-05
(31)【優先権主張番号】63/018,187
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505026479
【氏名又は名称】アキュームド・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5885 NE Cornelius Pass Road,Hillsboro,Oregon 97124 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フェダーシュピール,ジョシュア ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スセック,マット
(72)【発明者】
【氏名】セイコラ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ソマーズ,マーク
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0249998(US,A1)
【文献】特表2014-528747(JP,A)
【文献】特開2018-161473(JP,A)
【文献】特開2005-237971(JP,A)
【文献】特表2008-508067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフロック構造であって、
第1の開口部を含む第1の物体と、
第2の開口部を含む第2の物体と、
材料のストランドであって、前記材料のストランドの先端は、前記材料のストランドの2つの部分が前記第1の物体の前記第1の開口部を通して位置決めされ、前記材料のストランドの3つの部分が前記第2の物体の前記第2の開口部を通して位置決めされるように、前記第1の物体と前記第2の物体との間にルーティングされる材料のストランドと、を具備し、
前記材料のストランドは、該材料のストランドの一部が、該材料のストランドの他の一部を横切って前記第1の物体と前記第2の物体との間に交差点を形成するように、
前記第2の物体の前記第2の開口部の第2の側から該第2の物体の該第2の開口部を通って該第2の物体の該第2の開口部の第1の側から出て、前記第1の物体の前記第1の開口部の第1の側の方へ向かい、
続いて、前記第1の物体の前記第1の開口部の前記第1の側から該第1の物体の該第1の開口部を通って該第1の物体の該第1の開口部の第2の側から出て、前記第2の物体の前記第2の開口部の前記第1の側の方へ向かい、
続いて、前記第2の開口部の前記第1の側から該第2の物体の該第2の開口部を通って該第2の開口部の前記第2の側から出るように延びている、
セルフロック構造。
【請求項2】
前記材料のストランドの前記先端および後端は、接続点で接合される、請求項に記載のセルフロック構造。
【請求項3】
前記材料のストランドは、縫合糸である、請求項に記載のセルフロック構造。
【請求項4】
前記材料のストランドは、ロープまたはストリングである、請求項に記載のセルフロック構造。
【請求項5】
前記第1の物体は、外科用ボタンまたは外科用アンカーであり、前記第2の物体は、外科用ボタンまたは外科用アンカーである、請求項に記載のセルフロック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2020年4月30日に出願された米国仮出願第63/018,187号の優先権および利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般に、セルフロック縫合糸構造に関する。より具体的には、本出願は、セルフロック構造の締め付け中の摩擦生成を低減する、セルフロック構造を形成するための改善されたルーティング方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
縫合糸は、縫合糸がセルフロックするように、2つの物体の間でそれ自体を通って織られてもよく、またはルーティングされてもよい。しかし、このセルフロック構造を形成するために縫合糸をルーティングするための典型的な方法は、結果として縫合糸の緩んだ端部に摩擦が生成され、形成縫合糸ループを引き起こし得る。これらの縫合糸ループは、物体のうちの1つと物体が締め付けられる表面との間に閉じ込められる可能性があり、これにより、ユーザのフラストレーションおよび/または最終的なセルフロック縫合糸構造の脆弱性を引き起こし得る。したがって、2つの物体を共に締め付けるときに縫合糸ループ形成を低減または排除する縫合糸ルーティングが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、2つの物体を接合するセルフロック縫合糸構造を形成するために材料のストランド(例えば、縫合糸)をルーティングする新しい革新的な方法を提供する。典型的な方法によってルーティングされた縫合糸と比較して、提供されるルーティング方法は、ルーティングされた縫合糸が2つの物体の間で締め付けられるので、縫合糸の部分間の摩擦を低減し、それによって縫合糸ループ形成を低減する。縫合糸ループ形成の低減は、縫合糸が物体のうちの1つと物体が締め付けられる表面との間に閉じ込められるのを防止するのを助けることによって、ユーザにとってのセルフロック縫合糸構造の使いやすさを高めることができる。
【0005】
本明細書に記載の技術的特徴に照らして、限定はしないが、別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第1の態様では、第1の物体と第2の物体との間に材料のストランドをルーティングし、それによってセルフロック構造を形成する方法は、材料のストランドの2つの部分が第1の物体の開口部を通して挿入され、材料のストランドの3つの部分が第2の物体の開口部を通して挿入されるように、かつ材料のストランドの先端および後端に張力がかけられたとき、第1の物体の開口部を通して挿入された材料のストランドの2つの部分の各々が同じ方向に進行するように、第1の物体と第2の物体との間に材料のストランドの先端をルーティングすることを含む。
【0006】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第2の態様では、材料のストランドは、縫合糸である。
【0007】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第3の態様では、材料のストランドは、ロープまたはストリングである。
【0008】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第4の態様では、第1の物体は、外科用ボタンまたは外科用アンカーである。
【0009】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第5の態様では、第2の物体は、外科用ボタンまたは外科用アンカーである。
【0010】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第6の態様では、第1の物体は、外科用ボタンまたは外科用アンカーであり、第2の物体は、外科用ボタンまたは外科用アンカーである。
【0011】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第7の態様では、材料のストランドの先端をルーティングすることは、第2の物体の開口部の第1の側から、第1の物体の開口部の第1の側に、第1の物体の開口部の第2の側から、第2の物体の開口部の第1の側に、および第2の物体の開口部の第2の側から材料のストランドの先端をルーティングすることを含む。
【0012】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第8の態様では、第1の物体の開口部は、第1の物体の第1の開口部であり、第1の物体は、第2の開口部をさらに含み、材料のストランドの先端および後端は、第1の物体の第2の開口部を通して位置決めされる。
【0013】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第9の態様では、セルフロック構造は、第1の開口部を含む第1の物体と、第2の開口部を含む第2の物体と、材料のストランドとを含む。材料のストランドの先端は、材料のストランドの2つの部分が第1の物体の第1の開口部を通して挿入され、材料のストランドの3つの部分が第2の物体の第2の開口部を通して挿入されるように、かつ材料のストランドの先端および後端に張力がかけられたとき、第1の物体の第1の開口部を通して挿入された材料のストランドの2つの部分の各々が同じ方向に進行するように、第1の物体と第2の物体との間にルーティングされる。
【0014】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第10の態様では、材料のストランドの先端および後端は、接続点で接合される。
【0015】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第11の態様では、第1の物体と第2の物体との間に材料のストランドをルーティングし、それによってセルフロック構造を形成する方法は、材料のストランドの先端が第2の物体の第2の開口部の第2の側に入り、第2の開口部の第1の側から出るように、第2の開口部を通して先端を挿入することを含む。次いで、材料のストランドの先端は、先端が第1の物体の第1の開口部の第1の側に入り、第1の開口部の第2の側から出るように、第1の開口部を通して挿入される。次に、材料のストランドの先端は、先端が第2の物体の第2の開口部の第1の側に入り、第2の開口部の第2の側から出るように、第2の開口部を通して挿入され、それによって材料のストランドの一部にわたって材料のストランドの先端を横切らせる。次いで、材料のストランドの先端は、先端が第1の物体の第1の開口部の第2の側に入り、第1の開口部の第1の側から出るように、第1の開口部を通して挿入される。次に、材料のストランドの先端は、先端が第2の物体の第2の開口部の第2の側に入り、第2の開口部の第1の側から出るように、第2の開口部を通して挿入される。
【0016】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第12の態様では、材料のストランドの先端が第2の物体の第2の開口部の第2の側に入り、第2の開口部の第1の側から出るように、第2の開口部を通して先端を挿入することに続いて、方法は、第1の物体の第3の開口部を通して材料のストランドの先端を挿入することをさらに含む。
【0017】
別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第13の態様では、材料のストランドの後端は、第1の物体の第3の開口部を通して位置決めされる。
【0018】
開示された方法および装置の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図に記載され、それらから明らかになるであろう。本明細書に記載の特徴および利点は、すべてを含むものではなく、特に、多くの追加の特徴および利点が、図および説明を考慮すると当業者には明らかであろう。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】本開示の一態様による、2つの物体の間に材料のストランドをルーティングしてセルフロック構造を形成する例示的な方法の一部を示す図である。
図1B】本開示の一態様による、2つの物体の間に材料のストランドをルーティングしてセルフロック構造を形成する例示的な方法の一部を示す図である。
図1C】本開示の一態様による、2つの物体の間に材料のストランドをルーティングしてセルフロック構造を形成する例示的な方法の一部を示す図である。
図1D】本開示の一態様による、2つの物体の間に材料のストランドをルーティングしてセルフロック構造を形成する例示的な方法の一部を示す図である。
図1E】本開示の一態様による、2つの物体の間に材料のストランドをルーティングしてセルフロック構造を形成する例示的な方法の一部を示す図である。
図1F】本開示の一態様による、2つの物体の間に材料のストランドをルーティングしてセルフロック構造を形成する例示的な方法の一部を示す図である。
図1G】本開示の一態様による、2つの物体の間に材料のストランドをルーティングしてセルフロック構造を形成する例示的な方法の一部を示す図である。
図1H】本開示の一態様による、2つの物体の間に材料のストランドをルーティングしてセルフロック構造を形成する例示的な方法の一部を示す図である。
図2】本開示の一態様による、材料のストランドの先端および後端が引っ張られるときの図1A図1Hの材料のストランドの様々な部分の移動の概略図である。
図3】本開示の一態様による、図1A図1Hの例示的な第1の物体の斜視図である。
図4】本開示の一態様による、図1A図1Hの例示的な第2の物体の斜視図である。
図5】セルフロック構造を形成するための典型的な縫合糸ルーティング方法の結果として形成された例示的な縫合糸ループの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、2つの物体を接合するセルフロック縫合糸構造を形成するために材料のストランド(例えば、縫合糸)をルーティングする新しい革新的な方法を提供する。より具体的には、提供される縫合糸ルーティング方法は、ルーティングされた縫合糸がそれ自体にわたって横切る交差点を含み、それによって縫合糸が締め付けられたときに物体のうちの1つを通してルーティングされた縫合糸部分が同じ方向に進行することを可能にする。同じ方向に進行する縫合糸部分は、部分が反対方向に進行する場合よりも部分間に生成される摩擦が少ない。摩擦の生成が少ないことは、セルフロック構造を形成するための典型的な縫合糸ルーティング方法で起こり得る、物体と物体が締め付けられる表面との間で締め付けられ得る縫合糸ループの形成を防止するのに役立つ。例えば、図5は、物体504と物体が締め付けられるプレート502の表面との間で締め付けられる縫合糸506のループ508を示している。プレート502は、骨500に当接している。ループ508は、この例ではセルフロック構造を形成するための典型的な縫合糸ルーティング方法の結果として形成された。
【0021】
提供されるセルフロック縫合糸構造によって接合される物体は、別々の物体と共に締め付けるための任意の適切な物体であり得る。いくつかの例では、セルフロック縫合糸構造によって接合される物体は、外科用ボタンであってもよい。他の例では、セルフロック縫合糸構造によって接合される物体は、外科用アンカーであってもよい。例えば、外科用ボタンは、セルフロック縫合糸構造によって、別の外科用ボタンまたは外科用アンカーに接合されてもよい。
【0022】
本明細書は縫合糸に関して提供されるルーティング方法を説明しているが、提供されるルーティング方法は、2つの物体を共に締め付けるために任意の適切な材料のストランド(例えば、ロープ、ストリングなど)を用いて実施されてもよいことが理解されよう。
【0023】
図1A図1Hは、第1の物体110(例えば、外科用ボタン)と第2の物体120(例えば、外科用ボタン)との間に材料のストランド100(例えば、縫合糸)をルーティングし、それによってセルフロック構造130を形成する例示的な方法の一部を示している。第1の物体110および第2の物体120の図示された形態/形状は単なる例示であり、他の例では、第1の物体110および/または第2の物体120は、他の適切な形態/形状を有してもよいことを理解されたい。例示的な第1の物体110および例示的な第2の物体120の斜視図が、それぞれ図3および図4に示されている。図1A図1Hに戻ると、材料のストランド100は、先端102と、後端104とを含む。第1の物体110は、開口部304(図3)を含む。開口部304の第1の側112および第2の側114は図1Cに示されているが、単に説明を明確にするために他の図には示されていない。いくつかの態様では、第1の物体110は、開口部306(図3)を含んでもよい。第2の物体120は、開口部122を含む。開口部122の第1の側は、図1A図1Hでは見ることができ、開口部122の第2の側は、第1の側の反対側にあり、図1A図1Hでは見ることができない。
【0024】
いくつかの態様では、例示的なルーティング方法は、図1Aに示すように、第1の物体110の開口部306を通して材料のストランド100の先端102を挿入することによって開始することができる。次いで、材料のストランド100の先端102は、図1Bに示すように、先端102がその第2の側で開口部122に入り、その第1の側で開口部122から出るように、第2の物体120の開口部122を通して挿入され得る。いくつかの態様では、第1の物体110は開口部306を含まなくてもよく、そのような態様では、例示的なルーティング方法は、先端102がその第2の側で開口部122に入り、その第1の側で開口部122から出るように、第2の物体120の開口部122を通して材料のストランド100の先端102を挿入することから開始してもよい。例えば、第1の物体110は、第2の物体120によって置き換えられてもよく、材料のストランド100は、各々が開口部122のみを含む2つの別々の第2の物体120の間でルーティングされてもよい。
【0025】
次いで、材料のストランド100の先端102は、図1Cに示すように、先端102がその第1の側112で開口部304に入り、その第2の側114で開口部304から出るように、第1の物体110の開口部304を通して挿入され得る。次に、材料のストランド100の先端102は、図1Dに示すように、材料のストランド100が(例えば、交差点106において)それ自体にわたって横切るようにルーティングされ得る。その後、材料のストランド100の先端102は、図1Eに示すように、先端102がその第1の側で開口部122に入り、その第2の側で開口部122から出るように、第2の物体120の開口部122を通してルーティングされる。別の言い方をすれば、先端102は、先端102が最後に開口部122から出た側(例えば、図1B図1Eを比較する)と同じ第2の物体120の開口部122の側(例えば、第1の側)に挿入される。明確にするために図示されていないが、材料のストランド100の先端102は、先端102が開口部122を通してルーティングされるとき、材料のストランド100に形成された1つまたは複数の開口部を通してルーティングされてもよい。別の言い方をすれば、当業者には理解されるように、材料のストランド100は、先端102がセルフロック構造130のセルフロック性質の形成の一部として開口部122を通してルーティングされるとき、それ自体を通してルーティングされる。
【0026】
次いで、材料のストランド100の先端102は、図1Fに示すように、先端102がその第2の側114で開口部304に入り、その第1の側112で開口部304から出るように、第1の物体110の開口部304を通して挿入され得る。次に、材料のストランド100の先端102は、図1Gに示すように、先端102がその第2の側で開口部122に入り、その第1の側で開口部122から出るように、第2の物体120の開口部122を通してルーティングされる。別の言い方をすれば、先端102は、先端102が最後に開口部122から出た側(例えば、図1E図1Gを比較する)と同じ第2の物体120の開口部122の側(例えば、第2の側)に挿入される。図1Eと同様に、図示されていないが、材料のストランド100の先端102は、先端102が開口部122を通してルーティングされるとき、材料のストランド100に形成された1つまたは複数の開口部を通して再びルーティングされてもよい。別の言い方をすれば、当業者には理解されるように、材料のストランド100は、先端102がセルフロック構造130のセルフロック性質の形成の一部として開口部122を通してルーティングされるとき、それ自体を通してルーティングされる。
【0027】
いくつかの態様では、材料のストランド100の先端102は、次いで、先端102が材料のストランド100の後端104と合流するように、物体110の開口部306を通して挿入されてもよい。他の態様では、材料のストランドの先端102は、材料のストランドの後端104と合流するように、第2の物体120に対して第1の物体110を通過することができる。例えば、第1の物体110は、そのような態様では開口部306を含まなくてもよい。材料のストランド100の先端102および後端104が第1の物体110の同じ側にあると、例示的なルーティング方法が完了し、それによってセルフロック構造130を形成することができる。いくつかの態様では、先端102および後端104は、結び目などによって、接続点200(例えば、図2)で接合されてもよい。
【0028】
前述の例示的なルーティング方法は、代替的に逆に実施されてもよいことを理解されたい。例えば、材料のストランド100の先端102および後端104は、切り替えられてもよく、先端102は、第1の物体110と第2の物体120との間にルーティングされてもよく、それにより先端102は、逆の順序で図示されたルーティングをたどる(例えば、図1Hから図1A)。
【0029】
セルフロック構造130が組み立てられ、第1および第2の物体110および120が(例えば、骨によって)所定の位置に保持された状態で、材料のストランド100の先端102および後端104は、材料のストランド100に張力を導入し、第1の物体110および第2の物体120を共に締め付けるために張力がかけられるか、または引っ張られてもよい。図2は、図示の矢によって示される、材料のストランド100の先端102および後端104が矢印204の方向に引っ張られるときの材料のストランド100の様々な部分の移動の概略図を示している。図2では第1の物体110および第2の物体120に対して何も示されていないが、第1の物体110および第2の物体120は、材料のストランド100の先端102および後端104が引っ張られるときにそれぞれの位置に維持されると仮定することができる。
【0030】
第1の物体110は、開口部304および開口部306を通してルーティングされた材料のストランド100の部分を見るために、図2では透明として示されている。破線の円202によって強調されるように、第1の物体110の開口部304を通してルーティングされた材料のストランド100の2つの部分の各々は、材料のストランド100の先端102および後端104が引っ張られるのと同じ方向に進行することが分かる。例示的なルーティング方法の前述の説明を考慮して理解されるように、開口部304を通してルーティングされた材料のストランド100の両方の部分に対するこの同じ進行方向は、ルーティング方法に交差点106を含めることによって可能にされる。
【0031】
開口部304を通してルーティングされた材料のストランド100の両方の部分に対する同じ進行方向は、材料のストランド100のこれらの部分間の摩擦を低減するのに役立つ。例えば、これらの2つの部分が反対方向に進行した場合、これらの2つの部分は、同じ方向に進行する2つの部分よりも大きく互いに擦れる。したがって、2つの部分が反対方向に進行することによって、より多くの摩擦が生成される。場合によっては、生成された摩擦は、材料のストランド100の先端102および後端104が引っ張られるときに材料のストランド100の一部の進行と干渉するか、またはそれに影響を及ぼし、それによって材料のストランド100のループの形成を引き起こす可能性がある。これらのループは、第1の物体110と物体が締め付けられる表面との間に閉じ込められる可能性があり、これにより、最終的なセルフロック構造130に脆弱性を生じさせ、かつ/またはセルフロック構造130を締め付けたときにユーザにとっての使いやすさを低下させる場合がある。したがって、材料のストランド100をルーティングする提供される方法は、典型的なセルフロック構造よりも生成される摩擦が少ないセルフロック構造130を可能にするのに役立ち、それによって、ループの形成を低減することによってセルフロック構造130を締め付けたときにユーザにとっての使いやすさを高めるのに役立つ。場合によっては、ループ形成の低減は、最終的なセルフロック構造における脆弱性の発生を低減するのに役立つ。
【0032】
図3は、例示的な第1の物体110の斜視図を示している。この例では、第1の物体110は、患者に設置され得る外科用ボタンである。例示的な第1の物体110は、ペグ302と一体であるかペグ302に取り付けられたヘッド300を含むことができる。例示的な第1の物体110の開口部304は、ペグ302によって画定される。ヘッド300は、例示的な第1の物体110の開口部306を含む。
【0033】
図4は、例示的な第2の物体120の斜視図を示している。この例では、第2の物体120は、患者に設置され得る外科用ボタンである。例示的な第2の物体120は、ウィング402と一体であるかウィング402と接続されたベース400と、ベース400から延びるウィング404とを含むことができる。例示的な第2の物体120の開口部122は、ベース400によって画定される。
【0034】
さらに詳述することなく、当業者は、特許請求される発明を最大限に利用するために前述の説明を使用することができると考えられる。本明細書に開示された例および態様は、単なる例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。説明した基本原理から逸脱することなく、上述の例の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。換言すれば、上記の説明で具体的に開示された例の様々な修正および改善は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、記載された様々な例の特徴の任意の適切な組み合わせが企図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2
図3
図4
図5