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特許7737121アスファルト再生用添加剤、廃アスファルトの再生方法、再生アスファルト組成物、及び再生アスファルト混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-02
(45)【発行日】2025-09-10
(54)【発明の名称】アスファルト再生用添加剤、廃アスファルトの再生方法、再生アスファルト組成物、及び再生アスファルト混合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 95/00 20060101AFI20250903BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20250903BHJP
   C08L 33/10 20060101ALI20250903BHJP
   C08K 5/01 20060101ALI20250903BHJP
【FI】
C08L95/00
C08L91/00
C08L33/10
C08K5/01
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2025004954
(22)【出願日】2025-01-14
【審査請求日】2025-01-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525016843
【氏名又は名称】株式会社菅原工業
(73)【特許権者】
【識別番号】500468319
【氏名又は名称】ヤナセ製油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅原 渉
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 慶明
(72)【発明者】
【氏名】手塚 仁司
(72)【発明者】
【氏名】植田 朋樹
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104403336(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物油、鉱油及びポリアルキルメタクリレートを含み、
アスファルト再生用添加剤中の当該鉱油の含有量が5~20質量%の範囲であり、室温で液状を示す、アスファルト再生用添加剤。
【請求項2】
請求項1に記載されたアスファルト再生用添加剤において、前記ポリアルキルメタクリレート中のアルキルメタクリレートの共重合割合が50~100モル%の範囲である、アスファルト再生用添加剤。
【請求項3】
請求項1に記載されたアスファルト再生用添加剤において、前記アルキルメタクリレートがメタクリル酸メチルを含む、アスファルト再生用添加剤。
【請求項4】
請求項1に記載されたアスファルト再生用添加剤において、前記植物油がパーム油を含む、アスファルト再生用添加剤。
【請求項5】
廃アスファルトの再生方法であって、請求項1~4のいずれか1項に記載されたアスファルト再生用添加剤と回収された廃アスファルトを混合する混合ステップを含む、廃アスファルトの再生方法。
【請求項6】
請求項5に記載された廃アスファルトの再生方法であって、前記混合ステップを経て得られる再生アスファルト組成物中の前記アスファルト再生用添加剤の含有量が1~15質量%の範囲である、廃アスファルトの再生方法。
【請求項7】
再生アスファルト組成物であって、当該再生アスファルト組成物中の請求項1~4のいずれか1項に記載されたアスファルト再生用添加剤の含有量が1~15質量%の範囲である、再生アスファルト組成物。
【請求項8】
再生アスファルト混合物であって、当該再生アスファルト混合物中の請求項1~4のいずれか1項に記載されたアスファルト再生用添加剤の含有量が0.02~0.75質量%の範囲である、再生アスファルト混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト再生用添加剤、廃アスファルトの再生方法、再生アスファルト組成物、及び再生アスファルト混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト類等の瀝青材料は道路舗装材料として広く使用されている。前記道路舗装材料として、骨材、及び各種充填材にアスファルトが混合され、加熱されて得られるアスファルト混合物が使用される。前記道路舗装材料は経時的に紫外線、酸素、及び温度の影響を受け、前記アスファルト混合物中のアスファルトの酸化劣化及び組成の変化劣化が起こり、針入度は低下し、その軟化点、及び粘度は上昇する。これらの劣化は、道路舗装面の亀裂、砕石の飛散等の現象が発生する原因となる。
【0003】
このような現象に対応するため、道路舗装面の改修、及び敷き直しが必要になり、大量の廃アスファルト混合物が発生する。回収された廃アスファルト混合物は洗浄され、その粒度が調整され、新アスファルト混合物と混合され、舗装材料として使用されるが、この際、廃アスファルトの組成及び性状を回復させるために、アスファルト再生用添加剤が使用されている。
【0004】
特許文献1は、特定の2種の減圧蒸留油、植物油、並びに、特定のアルキルベンゼン及び/又はアルキルナフタレンを含有するアスファルト再生添加剤組成物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-204549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のアスファルト再生用添加剤に含有される鉱油成分は、高温の融点を有していて、室温では固体であり、取り扱いが困難であり、更にその生産には多大なエネルギーを必要とするという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、室温で液状を示して取り扱いが容易であり、鉱油成分の含有量が少ないアスファルト再生用添加剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題に鑑み検討を重ね、植物油及びポリアルキルメタクリレートを含むアスファルト再生用添加剤は、室温で液状を示して取り扱いが容易であり、鉱油成分の含有量が少ないことを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
【0009】
本発明は、植物油、鉱油及びポリアルキルメタクリレートを含み、アスファルト再生用添加剤中の当該鉱油の含有量が5~20質量%の範囲であり、室温で液状を示す、アスファルト再生用添加剤に関する。
【0010】
前記ポリアルキルメタクリレート中のアルキルメタクリレートの共重合割合は、好ましくは50~100モル%の範囲である。
【0011】
前記アルキルメタクリレートは、好ましくはメタクリル酸メチルを含む。
【0012】
前記植物油は、好ましくはパーム油を含む。
【0013】
本発明は、廃アスファルトの再生方法であって、前記アスファルト再生用添加剤と回収された廃アスファルトを混合する混合ステップを含む、廃アスファルトの再生方法に関する。
【0014】
再生アスファルト組成物中の前記アスファルト再生用添加剤の含有量は、好ましくは1~15質量%の範囲である。
【0015】
本発明は、再生アスファルト組成物であって、当該再生アスファルト組成物中の前記アスファルト再生用添加剤の含有量が1~15質量%の範囲である、再生アスファルト組成物に関する。
【0016】
さらに本発明は、再生アスファルト混合物であって、当該再生アスファルト混合物中の前記アスファルト再生用添加剤の含有量は0.02~0.75質量%の範囲である、再生アスファルト混合物に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアスファルト再生用添加剤は、室温で液状を示して取り扱いが容易である。さらに本発明のアスファルト再生用添加剤は、鉱油成分の含有量が少ないので、炭素排出量の低減に貢献する。換言すれば、本発明のアスファルト再生用添加剤が含有する植物油は、カーボンニュートラルの実現に貢献している。本発明の廃アスファルトの再生方法は、前記アスファルト再生用添加剤が使用される廃アスファルトの再生方法を提供する。本発明の再生アスファルト組成物及び再生アスファルト混合物は、前記アスファルト再生用添加剤と回収された廃アスファルトを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明について更に詳細に説明する。
【0019】
なお、数値範囲の「~」は、断りがなければ、以上から以下を表し、両端の数値をいずれも含む。また、数値範囲を示したときは、上限値および下限値を適宜組み合わせることができ、それにより得られた数値範囲も開示したものとする。
【0020】
本明細書において置換基が解離性の水素原子(水素原子が塩基の作用により解離する基)を有する場合、この置換基にはイオンないし塩の形態が含まれる。
【0021】
本明細書において置換又は無置換を明記していない置換基、連結基等(以下、置換基等という。)については、その基に適宜の置換基を有していてもよい意味である。よって、本明細書において、単に、「~基」(例えば「アルキル基」)と記載されている場合であっても、この「~基」(例えば「アルキル基」)は、置換基を有しない態様(例えば「無置換アルキル基」)に加えて、更に置換基を有する態様(例えば「置換アルキル基」)も包含する。これは置換又は無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、後記する置換基Tが挙げられる。
【0022】
本明細書において単に「置換基」という場合、後記する置換基Tから選ばれる置換基が好ましく適用される。
【0023】
本明細書において、特定の符号で示された置換基等が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時若しくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。また、特に断らない場合であっても、複数の置換基等が隣接するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
【0024】
本明細書において、ポリマーが同一表示の(同一の一般式で表示された)複数の構成成分を有する場合は、各構成成分は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0025】
<アスファルト再生用添加剤>
(植物油)
本発明のアスファルト再生用添加剤は、植物油を含む。前記植物油は、食用油脂を含有していてよい。前記食用油脂は、食品分野で使用される通常の食用油脂である。前記食用油脂として、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、綿実油、落花生油、米油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ごま油、エゴマ油、アマニ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、やし油、パーム核油、パームオレイン、廃植物油等の植物性油脂が挙げられる。また、前記植物性油脂を極度硬化、分別及びエステル交換の少なくとも1種の処理をした加工油脂を使用してもよい。それら油脂類は単独で、又は混合されて用いられる。なかでも、前記食用油脂は、好ましくはパーム油、菜種油、大豆油、パーム核油及びそれらの加工油脂の少なくとも1種を含み、より好ましくはパーム油を含み、更に好ましくはパーム油である。パーム油のヨウ素価は室温で液状を保つ観点から、56~72が好ましく、より好ましくは60~72である。
【0026】
(ポリアルキルメタクリレート)
本発明のアスファルト再生用添加剤は、ポリアルキルメタクリレートを含む。前記ポリアルキルメタクリレートは共重合体であってもよい。前記ポリアルキルメタクリレート中のアルキルメタクリレートの共重合割合は、好ましくは50~100モル%の範囲であり、より好ましくは70~100モル%の範囲であり、更に好ましくは100モル%である。
【0027】
前記ポリアルキルメタクリレートの構成単位であるアルキルメタクリレートのアルキル基は、炭素数が1以上36以下のアルキル基が好ましく、1以上18以下のアルキル基がより好ましく、1以上6以下のアルキル基が更に好ましく、1以上3以下のアルキル基が特に好ましい。アルキル基として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0028】
上述の通り、前記アルキル基は置換基Tを有していてよい。前記置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
【0029】
アルケニル基(好ましくは炭素数が2~20であるアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数が2~20であるアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数が3~20であるシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素数が6~26であるアリール基、例えば、フェニル、1-ナフチル、4-メトキシフェニル、2-クロロフェニル、3-メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数が2~20であるヘテロ環基で、より好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5又は6員環のヘテロ環基である。ヘテロ環基には芳香族ヘテロ環基及び脂肪族ヘテロ環基を含む。例えば、テトラヒドロピラン環基、テトラヒドロフラン環基、2-ピリジル、4-ピリジル、2-イミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、2-チアゾリル、2-オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数が1~20であるアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数が6~26であるアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1-ナフチルオキシ、3-メチルフェノキシ、4-メトキシフェノキシ等)、ヘテロ環オキシ基(上記ヘテロ環基に-O-基が結合した基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数が2~20であるアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2-エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数が6~26であるアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、3-メチルフェノキシカルボニル、4-メトキシフェノキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素数が0~20であるアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ(-NH)、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N-エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数が0~20であるスルファモイル基、例えば、N,N-ジメチルスルファモイル、N-フェニルスルファモイル等)、アシル基(アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含み、好ましくは炭素数が1~20であるアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、オクタノイル、ヘキサデカノイル、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、ベンゾイル、ナフトイル、ニコチノイル等)、アシルオキシ基(アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロ環カルボニルオキシ基を含み、好ましくは炭素数が1~20であるアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、オクタノイルオキシ、ヘキサデカノイルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、クロトノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、ニコチノイルオキシ等)、アリーロイルオキシ基(好ましくは炭素数が7~23であるアリーロイルオキシ基、例えば、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数が1~20であるカルバモイル基、例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N-フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数が1~20であるアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数が1~20であるアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数が6~26であるアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1-ナフチルチオ、3-メチルフェニルチオ、4-メトキシフェニルチオ等)、ヘテロ環チオ基(上記ヘテロ環基に-S-基が結合した基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数が1~20であるアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数が6~22であるアリールスルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル等)、アルキルシリル基(好ましくは炭素数が1~20であるアルキルシリル基、例えば、モノメチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル等)、アリールシリル基(好ましくは炭素数が6~42であるアリールシリル基、例えば、トリフェニルシリル等)、ホスホリル基(好ましくは炭素数が0~20であるリン酸基、例えば、-OP(=O)(R)、ホスホニル基(好ましくは炭素数が0~20であるホスホニル基、例えば、-P(=O)(R)、ホスフィニル基(好ましくは炭素数が0~20であるホスフィニル基、例えば、-P(R)、スルホ基(スルホン酸基)、カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。Rは、水素原子又は置換基(好ましくは置換基Tから選択される基)である。
【0030】
これらの前記置換基Tで挙げた各基は、前記置換基Tを更に置換基として有していてもよい。
【0031】
本発明のアスファルト再生用添加剤の粘度範囲は、好ましくは60℃で80~1000mm/sの範囲、より好ましくは80~100mm/sの範囲である。前記植物油、ポリアルキルメタクリレート、及び後述する副材の含有量は、好ましくは、前記粘度範囲になるように適宜調整される。
【0032】
<副材>
本発明のアスファルト再生用添加剤は、ポリアルキルメタクリレートに含有され得るアルキルメタクリレートを含有する場合がある。
【0033】
本発明のアスファルト再生用添加剤は、鉱油、エステル、ビチューメン等の、従来のアスファルト再生用添加剤に含まれる通常の副材を含んでいてよい。本発明のアスファルト再生用添加剤中の鉱油の含有量は、好ましくは5~20質量%であり、より好ましくは6~15質量%であり、特に好ましくは7~12質量%である。本発明のアスファルト再生用添加剤中の鉱油の含有量は、従来のアスファルト再生用添加剤中の鉱油の含有量より小さい。さらに本発明のアスファルト再生用添加剤は、好ましくはビチューメンを含まない。
【0034】
<アスファルト再生用添加剤の応用>
本発明のアスファルト再生用添加剤と回収された廃アスファルトが混合され、かつ撹拌されて、本発明の再生アスファルト組成物が製造される。前記再生アスファルト組成物中の前記アスファルト再生用添加剤の含有量は1~15質量%が好ましく、より好ましくは5~12質量%である。本発明の再生アスファルト組成物は、道路舗装材料として使用される。なお、ここで規定するアスファルト再生用添加剤の含有量は廃アスファルトの設計針入度を40~100に設定した時の値である。設計針入度を前記範囲よりも小さくする場合、アスファルト再生用添加剤の含有量を前記範囲より減らしてよい。また、設計針入度を前記範囲よりも大きくする場合、アスファルト再生用添加剤の含有量を前記範囲より増やしてよい。
【0035】
前記再生アスファルト組成物は、廃アスファルトとアスファルト再生用添加剤を混合して得られるものであり、廃アスファルトの針入度が回復した状態となっており、骨材等を含まない。
【0036】
前記再生アスファルト混合物は、廃アスファルト及び前記アスファルト再生用添加剤に加え、新アスファルト、骨材、及び充填剤が材料として混合され得られるものである。前記再生アスファルト混合物は、廃アスファルトの針入度が回復した状態となっており、骨材等を含む。本発明の再生アスファルト混合物中の前記アスファルト再生用添加剤の含有量は0.02~0.75質量%の範囲である。
【実施例
【0037】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例及び比較例において、各種物性は以下のとおりに測定ないし算出された。
【0039】
<アスファルト針入度試験>
各試料のアスファルト針入度が、JIS K 2207に準拠して(試験条件:25℃、100g、5秒)3回測定され、平均値が算出された。
【0040】
[実施例1~3及び比較例1]
インドネシア製パーム油(PT Indofood Sukses Makmur Tbk製Bimoli)83質量%、メタクリル酸メチル系共重合体Aが溶解している鉱油(三洋化成工業株式会社製サンルーブ 1703)15質量%、及びメタクリル酸メチル系共重合体Bとエステルの混合物(FunctionalProducts, Inc.製FUNCTIONAL PD-571)が混合され、アスファルト再生用添加剤が調製された。前記アスファルト再生用添加剤は、表1に示す組成を有していた。前記アスファルト再生用添加剤は、室温で液状を示して取り扱いが容易であり、その鉱油成分の含有量は少なかった。
【0041】
【表1】
【0042】
前記アスファルト再生用添加剤を加熱溶融状態の廃アスファルトに表2に示す含有量で混合し、かつ撹拌し、廃アスファルトの再生を実施した。得られた各再生アスファルト組成物の針入度を測定し、再生効果を確認した。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
比較例1に示す回収された廃アスファルトにパーム油及びメタクリル酸メチル系共重合体を含むアスファルト再生用添加剤を規定量混合した結果、実施例1~3に示す通り、添加量に応じて廃アスファルトの針入度が回復した。
【要約】
【課題】室温で液状を示して取り扱いが容易であり、鉱油成分の含有量が少ないアスファルト再生用添加剤を提供する。
【解決手段】アスファルト再生用添加剤が植物油及びポリアルキルメタクリレートを含む。廃アスファルトの再生方法が、このアスファルト再生用添加剤と回収された廃アスファルトを混合する混合ステップを含む。再生アスファルト組成物中のこのアスファルト再生用添加剤含有量は1~15質量%の範囲である。再生アスファルト混合物中のこのアスファルト再生用添加剤の含有量は0.02~0.75質量%の範囲である。
【選択図】なし