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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-02
(45)【発行日】2025-09-10
(54)【発明の名称】犬用衣服
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20250903BHJP
【FI】
A01K23/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022022516
(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公開番号】P2023119601
(43)【公開日】2023-08-29
【審査請求日】2024-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】520408375
【氏名又は名称】前田 彩
(74)【代理人】
【識別番号】100195028
【弁理士】
【氏名又は名称】高久 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】前田 彩
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3113573(JP,U)
【文献】特開2017-205076(JP,A)
【文献】登録実用新案第3141793(JP,U)
【文献】特許第6692482(JP,B1)
【文献】特開2009-055888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0308330(US,A1)
【文献】実開昭55-118959(JP,U)
【文献】登録実用新案第3130391(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
犬の首を通す環状の襟ぐりと、前記犬の前足を通す一対の袖ぐりを有する身頃上部と、
該身頃上部から前記犬の尾付近まで連続して延長し、前記犬の前足から後足の間の腹側部分を覆う中央部と、該中央部から左右に延長して前記身頃上部とは分離した第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドとを有する胴体身頃と、
前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドを、胴囲を調節可能に着脱する着脱部材と、
前記身頃上部から前記犬の尾付近まで連続して延長し、かつ、前記犬の前足の付け根より尾側が、前記胴体身頃とは分離する背カバーと、
該背カバーの尾側縁部の両端付近に設けられた一対の環状部材と、
前記身頃上部の前記袖ぐり近傍の裏側と、前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドの側縁の裏側と、前記胴体身頃の裏側の尾側にそれぞれ一つ以上設けられており、犬用の装着物を把持する複数の把持手段と、
前記胴体身頃の尾側の縁部に、前記犬の尾の両側に位置するように配置されるとともに、先端に前記背カバーの尾側縁部の一対の環状部材のそれぞれと係合するフックを有し、前記犬の腹側から後足の内側と股を通って、前記フックが前記一対の環状部材に係合する長さの伸縮性を有する一対の補助テープと、
を備えることを特徴とする犬用衣服。
【請求項2】
前記把持手段は、
前記身頃上部の裏側には、前記一対の袖ぐりの間であって、かつ、前記一対の袖ぐりの近傍にそれぞれ一つずつ設け、
前記第1の胴体バンドの裏側には、該第1の胴体バンドの幅の略中央部分に一つ設け、
前記第2の胴体バンドの裏側には、該第2の胴体バンドの幅の略中央部分に一つ設け、
前記胴体身頃の裏側の縁部には、前記一対の補助テープの間に一つと、前記一対の補助テープよりも前記胴体身頃の側縁側に一つずつ設け、
これらの7つの把持手段によって、前記装着物を把持することを特徴とする請求項1記載の犬用衣服。
【請求項3】
前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドの裏側に設ける把持手段は、長さを調節する調節具を有するテープの先端に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の犬用衣服。
【請求項4】
前記一対の補助テープが、長さ調節可能であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の犬用衣類。
【請求項5】
前記装着物が、トイレシート、尿パッド、おむつ、マナーバンド、マナーベルトの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の犬用衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬用衣服に関し、更に具体的には、トイレシートなどの装着物を固定するための、特にオス犬に適した犬用衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的に販売されているオス犬用マナーバンドは、お腹周りのサイズ選びが困難である。また、マナーバンドと併用される尿パッドは、使い捨てであることから経済的にも負担が大きい。更に、従来の再利用できる尿パッドでは、布製と防水布が合わさった構造であり、使用後に染みた尿を手洗いし乾かす工程と時間が必要になるため、飼い主の手間がかかり、衛生面での安心が得られない。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、首部から前足の間を通って胸あて腹あてで胸部腹部を覆い、後足の間を通し尾の部分に穴をあけ背中まで覆い、脱着しやすいように首部にゴムを入れ、背中にもゴムを入れ両わき腹を面テープで固定させる犬用の着るパンツが開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、動物用おむつ又は動物用おむつカバーに取り付け可能な接着部と、前記接着部を動物用おむつ又は動物用おむつカバーに取り付けた状態で動物の首に装着可能な首輪部とを有する動物用補助器具を備える動物用おむつカバーが開示されている。
【0005】
更に、下記特許文献3には、服本体に設けられて、ペットの前足が入るように構成された前足孔と、2つの保持部であって、各々はペット用おむつを着脱自在に保持するように構成されている、2つの保持部と、を備え、ペットへ前記服本体を装着したとき、前記2つの保持部のうちの一方の保持部の前記服本体側の繋ぎ部が、前記ペットの両側部のうちの一方側に位置し、前記2つの保持部のうちの他方の保持部の前記服本体側の繋ぎ部が、前記ペットの前記両側部のうちの他方側に位置し、かつ、前記ペット用おむつを保持した状態で、前記2つの保持部の各々の先端が下方に傾くように、前記2つの保持部の各々は前記服本体に一直線上に設けられている、おむつ保持用服が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3181679号公報
【文献】実用新案登録第3180019号公報
【文献】特許第6692482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載のマナーパンツは、汚れが付く箇所に生理用ナプキンや、尿取りパッドを内側につけて使用するが、尿取りパッドや生理用ナプキンをパンツにつけるためには、粘着性が必須となることから、粘着性のないシート状のトイレシートと比較して経済的な負担が大きい。
【0008】
また、前記特許文献2に記載の動物用おむつカバーは、おむつカバーを保持する力が動物の首や喉の部分に集中して発生し、動物の首や喉の部分に集中して負担が発生するという課題がある。
【0009】
更に、前記特許文献3に記載のおむつ保持用服では、おむつを保持する部分が外側に露出しており、ペットが噛んだりするおそれがある。
【0010】
本発明は、以上のような点に着目したもので、犬用の装着物(トイレシート、尿パッド、おむつ、マナーバンド、マナーベルト等)を安定して装着し、犬の体への負担と飼い主の手間を大幅に軽減でき、衛生的で、経済的な負担を軽減することができる犬用衣服を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の犬用衣服は、犬の首を通す環状の襟ぐりと、前記犬の前足を通す一対の袖ぐりを有する身頃上部と、該身頃上部から前記犬の尾付近まで連続して延長し、前記犬の前足から後足の間の腹側部分を覆う中央部と、該中央部から左右に延長して前記身頃上部とは分離した第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドとを有する胴体身頃と、前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドを、胴囲を調節可能に着脱する着脱部材と、前記身頃上部から前記犬の尾付近まで連続して延長し、かつ、前記犬の前足の付け根より尾側が、前記胴体身頃とは分離する背カバーと、該背カバーの尾側縁部の両端付近に設けられた一対の環状部材と、前記身頃上部の前記袖ぐり近傍の裏側と、前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドの側縁の裏側と、前記胴体身頃の裏側の尾側にそれぞれ一つ以上設けられており、犬用の装着物を把持する複数の把持手段と、前記胴体身頃の尾側の縁部に、前記犬の尾の両側に位置するように配置されるとともに、先端に前記背カバーの尾側縁部の一対の環状部材のそれぞれと係合するフックを有し、前記犬の腹側から後足の内側と股を通って、前記フックが前記一対の環状部材に係合する長さの伸縮性を有する一対の補助テープと、を備えることを特徴とする。
【0012】
主要な形態の一つは、前記把持手段は、前記身頃上部の裏側には、前記一対の袖ぐりの間であって、かつ、前記一対の袖ぐりの近傍にそれぞれ一つずつ設け、前記第1の胴体バンドの裏側には、該第1の胴体バンドの幅の略中央部分に一つ設け、前記第2の胴体バンドの裏側には、該第2の胴体バンドの幅の略中央部分に一つ設け、前記胴体身頃の裏側の縁部には、前記一対の補助テープの間に一つと、前記一対の補助テープよりも前記胴体身頃の側縁側に一つずつ設け、これらの7つの把持手段によって、前記装着物を把持することを特徴とする。
【0013】
他の形態の一つは、前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドの裏側に設ける把持手段は、長さを調節する調節具を有するテープの先端に設けられていることを特徴とする。
【0014】
更に他の形態の一つは、前記一対の補助テープが、長さ調節可能であることを特徴とする。
【0015】
更に他の形態の一つは、前記装着物が、トイレシート、尿パッド、おむつ、マナーバンド、マナーベルトの少なくとも一つであることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的、特徴、利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0016】
本発明の犬用衣服は、犬の首を通す環状の襟ぐりと、前記犬の前足を通す一対の袖ぐりを有する身頃上部と、該身頃上部から前記犬の尾付近まで連続して延長し、前記犬の前足から後足の間の腹側部分を覆う中央部と、該中央部から左右に延長して前記身頃上部とは分離した第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドとを有する胴体身頃と、前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドを、胴囲を調節可能に着脱する着脱部材と、前記身頃上部から前記犬の尾付近まで連続して延長し、かつ、前記犬の前足の付け根より尾側が、前記胴体身頃とは分離する背カバーと、該背カバーの尾側縁部の両端付近に設けられた一対の環状部材と、前記身頃上部の前記袖ぐり近傍の裏側と、前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドの側縁の裏側と、前記胴体身頃の裏側の尾側にそれぞれ一つ以上設けられており、犬用の装着物を把持する複数の把持手段と、前記胴体身頃の尾側の縁部に、前記犬の尾の両側に位置するように配置されるとともに、先端に前記背カバーの尾側縁部の一対の環状部材のそれぞれと係合するフックを有し、前記犬の腹側から後足の内側と股を通って、前記フックが前記一対の環状部材に係合する長さの伸縮性を有する一対の補助テープと、を備えることとした。
【0017】
このため、犬用の装着物(トイレシート、尿パッド、おむつ、マナーバンド、マナーベルト等)を安定して接続・固定するとともに、前記装着物を接続・固定する力を犬の体全体に分散し、首や喉の部分に集中してかかることを防止して、犬の体への負担を大幅に軽減することができるという効果がある。また、飼い主の手間を大幅に軽減し、かつ、衛生的であるとともに、既存のトイレシートを利用することができるため、低コストであるとともに、犬の体型への柔軟な対応も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態の犬用衣服を犬に装着した状態を示す外観斜視図である。
図2】前記実施形態の犬用衣服を身頃の腹側部分の裏側から見た平面図である。
図3】前記実施形態の犬用衣服を身頃の腹側部分の表側から見た平面図である。
図4】前記実施形態の犬用衣服の胴体バンドの側縁を示す図であり、(A)は、第2の胴体バンドの側縁を表側から見た図、(B)は第1の胴体バンドの側縁を裏側から見た図である。
図5】前記実施形態の犬用衣服の裏側に、トイレシートを装着した状態を示す図である。
図6】前記図5の部分拡大図であり、(A)は、犬の前足近傍の装着位置の一例を示し、(B)は、犬の胴体部分の装着位置の一例を示し、(C)は、犬の尾側の装着位置の一例を示す。
図7】前記実施形態の犬用衣服の裏側にトイレシートを装着する例を示し、(A)は、トイレシートの大きさが適切な場合の把持の例、(B)はトイレシートのサイズが大きい場合の不適切な把持の例、(C)はトイレシートのサイズが大きい場合の適切な把持の例である。
図8】前記実施形態の犬用衣服にトイレシートを装着して、犬に前記犬用衣服を着せる手順の一例を示す図である。
図9】前記実施形態の犬用衣服にトイレシートを装着して、犬に前記犬用衣服を着せる手順の一例を示す図である。
図10】前記実施形態の犬用衣服にトイレシートを装着して、犬に前記犬用衣服を着せる手順の一例を示す図である。
図11】前記実施形態の犬用衣服にトイレシートを装着して、犬に前記犬用衣服を着せる手順の一例を示す図である。
図12】前記実施形態の犬用衣服にトイレシートを装着して、犬に前記犬用衣服を着せる手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図を参照しながら詳細に説明する。本発明は、犬用の装着物(トイレシート、尿パッド、おむつ、マナーバンド、マナーベルト等)を安定して接続・固定するとともに、前記装着物を接続・固定する力を犬の体全体に分散し、首や喉の部分に集中してかかることを防止して、犬の体への負担を大幅に軽減するものである。また、手洗い等が不要なことから、飼い主の手間を大幅に軽減し、かつ、衛生的であるとともに、既存のトイレシートを利用することで、低コストであるとともに、犬の体型への柔軟な対応も可能な犬用衣服である。なお、本実施形態では、装着物として、裏面に粘着性のないシート状のトイレシートを例に挙げて説明する。
【0020】
まず、図1図12を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。図1は、本実施形態の犬用衣服を犬に装着した状態を示す外観斜視図である。図2は、本実施形態の犬用衣服を身頃の腹側部分の裏側から見た平面図である。図3は、本実施形態の犬用衣服を身頃の腹側部分の表側から見た平面図である。図4は、本実施形態の犬用衣服の胴体バンドの側縁を示す図であり、(A)は、第2の胴体バンドの側縁を表側から見た図、(B)は第1の胴体バンドの側縁を裏側から見た図である。図5は、本実施形態の犬用衣服の裏側に、トイレシートを装着した状態を示す図である。
【0021】
図6は、前記図5の部分拡大図であり、(A)は、犬の前足近傍の装着位置の一例を示し、(B)は、犬の胴体部分の装着位置の一例を示し、(C)は、犬の尾側の装着位置の一例を示す。図7は、本実施形態の犬用衣服の裏側にトイレシートを装着する例を示し、(A)は、トイレシートの大きさが適切な場合の把持の例、(B)はトイレシートのサイズが大きい場合の不適切な把持の例、(C)はトイレシートのサイズが大きい場合の適切な把持の例である。図8図12は、本実施形態の犬用衣服にトイレシートを装着して、犬に前記犬用衣服を装着する手順の一例を示す図である。
【0022】
図1図4に示すように、本実施形態の犬用衣服10は、身頃上部12と、胴体身頃16と、着脱部材32A、32B、34A、34Bと、背カバー28と、前記背カバー28の尾側縁部の両端に設けられた環状部材58A、58Bと、犬用衣服10の裏側(犬に接触する側)に設けられた複数の把持手段40A~40Gと、一対の補助テープ50A、50Bにより構成されている。
【0023】
前記身頃上部12は、犬60の首62を通す環状の襟ぐり14と、前記襟ぐり14の下方に設けられており、前記犬60の前足64、66を通す一対の環状の袖ぐり18、20を有する。前記袖ぐり18、20には、縁部18A、20Aが設けられている。このような身頃上部12は、伸縮性を有する素材によって形成されている。
【0024】
前記胴体身頃16は、前記身頃上部12から前記犬60の尾72付近まで連続して延長形成されており前記犬60の前足64、66から後足68、70の間の腹側部分を覆う中央部と、当該中央部から左右に延長して前記身頃上部12とは分離した第1の胴体バンド22及び第2の胴体バンド24とを有する。このような胴体身頃16も、伸縮性を有する素材によって形成されている。
【0025】
図4(A)に示すように、前記第2の胴体バンド24の表側(犬に接触しない面)24Bの側縁の上下には、略長方形の面テープ34A、34Bが横方向に設けられている。一方、図4(B)に示すように、前記第1の胴体バンド22の裏側(犬に接触する面)22Aの側縁の上下には、略円形の面テープ32A、32Bが設けられている。前記第1の胴体バンド22と第2の胴体バンド24で犬60の胴体を包み、前記面テープ32Aと面テープ34Aを接合し、前記面テープ32Bと面テープ34Bを接合することで、胴体身頃16を、犬60の胴囲に合わせつつ、着脱可能に連結することができる。
【0026】
前記背カバー28は、前記身頃上部12から、前記犬60の尾72付近まで連続して延長形成されており、かつ、前記犬60の前足64、66の付け根より尾側が、前記胴体身頃16とは分離している。
【0027】
前記背カバー28は略長方形であって、尾側縁部28Aの両端付近には一対の環状部材58A、58Bが設けられている。図示の例では、所定の幅を有するテープを利用して、前記環状部材58A、58Bが形成されている。このような背カバー28も、伸縮性を有する素材によって形成されている。
【0028】
前記把持手段40A~40Gは、犬用衣服10の裏側に複数設けられている。本実施例では、図2に示すように、前記身頃上部12の裏側には、前記一対の袖ぐり18、20の間であって、かつ、前記一対の袖ぐり18、20の近傍に把持手段40A、40Bが設けられ、前記第1の胴体バンド22の裏側22Aには、該第1の胴体バンド22の幅の略中央部分に把持手段40Cが設けられ、前記第2の胴体バンド24の裏側24Aには、該第2の胴体バンド24の幅の略中央部分に把持手段40Dが設けられ、前記胴体身頃16の裏側の尾側の縁部26には、前記一対の補助テープ50A、50Bの間に把持手段40Fが設けられ、前記補助テープ50Aよりも側縁側には把持手段40Eが設けられ、前記補助テープ50Bよりも側縁側には把持手段40Gが設けられている。すなわち、本実施形態では、7つの把持手段40A~40Gが設けられている。
【0029】
これらの把持手段40A~40Gのうち、把持手段40A、40Bは、袖ぐり18、20の間であって、これら袖ぐり18、20に近接して設けられた環状部材48に連結具を介して取り付けられている。また、前記第1の胴体バンド22及び第2の胴体バンド24の裏側に設ける把持手段40C、40Dは、長さを調節する調節具46を有するテープ45の先端に設けられている。他の把持手段40E~40Gは、胴体身頃16の尾側の縁部26に設けられた環状部材48に連結具を介して取り付けられている。なお、環状部材48は、所定の幅を有するテープ等によって形成されている。
【0030】
次に、一対の補助テープ50A、50Bは、前記胴体身頃16の尾側の縁部26に、前記犬60の尾72の両側に位置するように配置されている。前記一対の補助テープ50A、50Bは、所定の幅を有する伸縮性のゴムテープ51A、51Bにより形成され、一端側には、フック部を有する連結具52A、52Bを備え、他端側には、フック55A、55Bを有する連結具54A、54Bを備える。また、テープ51A、51Bには、該テープ51A、51Bの長さを調節するためのアジャスタ56A、56Bが設けられている。
【0031】
このような一対補助テープ50A、50Bは、前記胴体身頃16の尾側の縁部26に、尾72を挟む位置に設けられた環状部材57A、57Bに、一端側の連結具52A、52Bのフックを係合することで胴体身頃16に取り付けられる。前記環状部材57A、57Bは、所定の幅を有するテープにより形成されている。
【0032】
そして、前記一対の補助テープ50A、50Bは、前記胴体身頃16に取り付けられた状態において、前記犬60の腹側から後足68、70の内側と股を通って、他端側のフック55A、55Bが、前記背カバー28の尾側縁部28Aの両端の一対の環状部材58A、58Bに係合する長さを有する。
【0033】
次に、図5図7を参照して、犬用衣服10の裏側へのトイレシート80の装着状態について説明する。本実施形態で使用するトイレシート80は、市販されているトイレシートであって、図7に示すように、尿を吸収する吸水層84を、透水性を有する透水性シート83Aと、耐水性を有する耐水性シート83Bによって挟み、縁部82を有する構造となっている。このようなトイレシート80を犬用衣服10の裏側に装着する際には、前記透水性シート83A側が犬60の腹部に接触する向きに装着する。なお、本実施形態で使用するトイレシート80は、耐水性シート83Bの裏面に粘着剤は設けられていない。
【0034】
図5及び図6に示すように、トイレシート80の上縁は、二つの把持手段40A、40Bによって把持され、トイレシート80の側縁は、長さ調節可能な把持手段40C、40Dによって把持され、トイレシート80の下縁は、3つの把持手段40E~40Gによって把持される。なお、把持手段40A~40Gは、図7に示すように、基部41に対して起き上がるクリップ上部42と、当該クリップ上部42と噛み合うクリップ下部43によって構成されている。
【0035】
図7(A)に示すように、トイレシート80の大きさが適切である場合には、縁部82を把持手段で把持すればよい。しかしながら、トイレシート80が大きい場合には、縁を折って把持する必要がある。このとき、図7(B)に示すように、U字型に折り込んで把持すると、吸水性シート83Aから尿がしみ出して回り込み、犬用衣服10を汚してしまう。そこで、図7(C)に示すように、S型(ないし逆ゼット型)に折りこんで、把持手段で把持することにより、吸水層84から尿がしみ出して犬用衣服10を汚すことなく、衛生的である。
【0036】
次に、図5及び図8図12を参照して、本実施形態の使用方法を説明する。まず、図5に示すように、犬用衣服10の裏側に、7つの把持手段40A~40Gによって、トイレシート80の縁部82を把持して取り付ける。
【0037】
そして、図8に示すように、襟ぐり14に犬60の首62を通しやすいように形を整え、背カバー28が、犬60の背中側にくるように犬60に被せる。次に、図9に示すように、背カバー28をめくった状態で、第1の胴体バンド22と第2の胴体バンド24で犬60の胴体を包み、第1の胴体バンド22の面テープ32A、32Bと、第2の胴体バンド24の面テープ34A、34Bを、犬60の胴囲に合わせた位置で連結する。その後、図8に矢印で示すように、背カバー28で、前記第1の胴体バンド22と第2の胴体バンド24の重なり部分を覆う。
【0038】
そして、図10に示すように、一方の補助テープ50Aを、犬60の腹側から、後足68の内側及び股に回して、先端の連結具54Aのフック55Aを、背カバー28の環状部材58Aに係合して固定する。同様に、図11に示すように、他方の補助テープ50Bも、犬60の腹側から、後足70の内側及び股に回して、先端の連結具54Bのフック55Bを、背カバー28の環状部材58Bに係合して固定する。このように、背カバー28の尾側縁部28Aに、胴体身頃16の尾側縁部とずれ防止のための補助テープ50A、50Bをつなげられる構造により、ゆったりと着用しながらもズレない仕様となっている。
【0039】
以上の手順により犬60にトイレシート80を装着した犬用衣服10を着せた状態を上方から見た様子が図12に示されている。散歩等にでかけるとき等には、必要に応じて、犬用衣服10の上から首輪、ハーネス、リードなどを装着してもよい。
【0040】
本実施形態の犬用衣服10は、犬60の胴体部全体を包み込む構造のため、脱げない、ずれない、締め付けないという点で、犬60が心地よく着ることができる。また、犬用衣服10自体は汚れないため、お手入れの手間が省け、犬60にとっても飼い主にとっても時間が節約できる。
【0041】
また、洋服型の構造により、従来技術のようにマナーバンドを把持する部位の力が首だけにかかるものと異なり、犬60の体全体で保持することで、通常の洋服を着用した時の感覚のまま、トイレシート80を把持して保持することができる。これにより、洋服を着用する側の犬60も、着用させる側の飼い主にも、両者にとって着用の作業が簡潔である。
【0042】
また、本実施形態の犬用衣服10では、トイレシート80や尿パッドを犬用衣服10の裏側に設けた把持手段40A~40Gで留めることで、どのような体型の犬60にも対応が可能であり、心地よく使用できる。また、トイレシート80は使い捨てのため、飼い主の手間が省け衛生的でもある。更に、犬用衣服10の裏側に設けられている複数の把持手段40A~40Gによって、市販のトイレシート80を把持する構造のため、従来のマナーバンドに必要な「粘着性を有する尿パッド」などの縛りがなく、粘着性の有無にとらわれることなく利用できる。
【0043】
更に、現在販売されている使い捨ての小型犬用マナーバンド(おむつ)は、例えば、1枚あたり約50円であるのに対し、同商品相当の大きさのトイレシートは1枚約5円ということもあり、経済的である。そのため、トイレシートを頻繁に取り替えやすく、高齢の犬や病気の犬などが使用する場合でも、常に清潔な状態で使用できる。
【0044】
<効果>・・・このように、本実施形態の犬用衣服10は、犬60の首62を通す環状の襟ぐり14と、前記犬60の前足64、66を通す一対の袖ぐり18、20を有する身頃上部12と、該身頃上部12から前記犬60の尾72付近まで連続して延長し、前記犬60の前足64、66から後足68、70の間の腹側部分を覆う中央部と、該中央部から左右に延長して前記身頃上部12とは分離した第1の胴体バンド22及び第2の胴体バンド24とを有する胴体身頃16と、前記第1の胴体バンド22及び第2の胴体バンド24を、胴囲を調節可能に着脱する着脱部材32A、32B、34A、34Bと、前記身頃上部12から前記犬60の尾72付近まで連続して延長し、かつ、前記犬60の前足64、66の付け根より尾側が、前記胴体身頃16とは分離する背カバー28と、該背カバー28の尾側縁部28Aの両端付近に設けられた一対の環状部材58A、58Bと、前記身頃上部12の前記袖ぐり18、20近傍の裏側と、前記第1の胴体バンド22及び第2の胴体バンド24の側縁の裏側と、前記胴体身頃16の裏側の尾側にそれぞれ一つ以上設けられており、犬用の装着物を把持する複数の把持手段40A~40Gと、前記胴体身頃16の尾側の縁部に、前記犬60の尾72の両側に位置するように配置されるとともに、先端に前記背カバー28の尾側縁部28Aの一対の環状部材58A、58Bのそれぞれと係合するフック55A、55Bを有し、前記犬60の腹側から後足68、70の内側と股を通って、前記フック55A、55Bが前記一対の環状部材58A、58Bに係合する長さの伸縮性を有する一対の補助テープ50A、50Bと、を備えることとした。
【0045】
このため、犬用の装着物(トイレシート、尿パッド、おむつ、マナーバンド、マナーベルト等)を安定して接続・固定するとともに、前記装着物を接続・固定する力を犬の体全体に分散し、首や喉の部分に集中してかかることを防止して、犬の体への負担を大幅に軽減することができるという効果がある。また、飼い主の手間を大幅に軽減し、かつ、衛生的であるとともに、既存のトイレシートを利用することができるため、低コストであるとともに、犬の体型への柔軟な対応も可能となる。また、本実施形態では、把持手段40A~40Gが、犬用衣服10の裏側に設けられているため、犬60が誤って噛んだり、誤飲を防止することができ安全である。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施形態では、オス犬を例に挙げて説明したが、メス犬に本発明の犬用衣服を着用させることを妨げるものではない。また、犬が最も好適な例であるが、他のペットに着用させることもできる。更に、犬の場合も、大型犬から小型犬まで、本発明は適用可能である。
(2)前記実施形態で示した装着物も一例であり、トイレシート80に限定されるものではなく、尿パッド、マナーバンド、マナーベルト、おむつ等であってもよい。
【0047】
(3)前記実施形態では、犬用衣服10を形成する生地としては、ある程度の伸縮性を有するものを使用したが、生地の伸縮性の有無は必要に応じて変更してよい。例えば、病気の犬の場合、寝ている体勢が長いため、通気性の良いガーゼ素材の生地が好まれる。ガーゼ生地は伸縮性はないものの、本発明の犬用衣服の構成によれば、生地に伸縮性がなくても犬60への着脱が容易であるという利点がある。
【0048】
(4)前記実施形態で示した犬用衣服10に模様や色彩が施されていてもよい。また、部分的に異なる素材を用いてもよい。
(5)前記実施形態では、7つの把持手段40A~40Gを設けることとしたが、犬60の個体差により、その数は多少増減してもよい。
(6)前記実施形態の図7で示した把持の仕方も一例であり、吸水層84に吸水された尿が衣服に回り込まないようであれば、どのような折り込み状態で把持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、犬の首を通す環状の襟ぐりと、前記犬の前足を通す一対の袖ぐりを有する身頃上部と、該身頃上部から前記犬の尾付近まで連続して延長し、前記犬の前足から後足の間の腹側部分を覆う中央部と、該中央部から左右に延長して前記身頃上部とは分離した第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドとを有する胴体身頃と、前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドを、胴囲を調節可能に着脱する着脱部材と、前記身頃上部から前記犬の尾付近まで連続して延長し、かつ、前記犬の前足の付け根より尾側が、前記胴体身頃とは分離する背カバーと、該背カバーの尾側縁部の両端付近に設けられた一対の環状部材と、前記身頃上部の前記袖ぐり近傍の裏側と、前記第1の胴体バンド及び第2の胴体バンドの側縁の裏側と、前記胴体身頃の裏側の尾側にそれぞれ一つ以上設けられており、犬用の装着物を把持する複数の把持手段と、前記胴体身頃の尾側の縁部に、前記犬の尾の両側に位置するように配置されるとともに、先端に前記背カバーの尾側縁部の一対の環状部材のそれぞれと係合するフックを有し、前記犬の腹側から後足の内側と股を通って、前記フックが前記一対の環状部材に係合する長さの伸縮性を有する一対の補助テープと、を備えることとした。
【0050】
このため、犬用の装着物(トイレシート、尿パッド、おむつ、マナーバンド、マナーベルト等)を安定して接続・固定するとともに、前記装着物を接続・固定する力を犬の体全体に分散し、首や喉の部分に集中してかかることを防止して、犬の体への負担を大幅に軽減することができるという効果がある。また、飼い主の手間を大幅に軽減し、かつ、衛生的であるとともに、既存のトイレシートを利用することができるため、低コストであるとともに、犬の体型への柔軟な対応も可能となる。これにより、犬用の装着物を把持する機能を有する犬用衣服に適用できる。特に、オス犬用の衣服として好適である。
【符号の説明】
【0051】
10:犬用衣服
12:見頃上部
14:襟ぐり
16:胴体身頃
18、20:袖ぐり
18A、20A:縁部
22:第1の胴体バンド
22A、24A:裏側
22B、24B:表側
24:第2の胴体バンド
26、30:縁部
28:背カバー
28A:尾側縁部
32A、32B、34A、34B:面テープ
40A~40G:把持手段
41:基部
42:上クリップ
43:下クリップ
44:連結具
45:テープ
46:アジャスタ
48:環状部材
50A、50B:補助テープ
51A、51B:テープ
52A、52B、54A、54B:連結具
55A、55B:フック
56A、56B:アジャスタ
57A、57B、58A、58B:環状部材
60:犬
62:首
64、66:前足
68、70:後足
72:尾
80:トイレシート
82:縁部
83A:透水性シート
83B:耐水性シート
84:吸水層
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