(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-02
(45)【発行日】2025-09-10
(54)【発明の名称】水槽用のカバーユニット及び水槽
(51)【国際特許分類】
A01K 63/00 20170101AFI20250903BHJP
【FI】
A01K63/00 C
(21)【出願番号】P 2024008437
(22)【出願日】2024-01-24
【審査請求日】2025-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】518385213
【氏名又は名称】株式会社ニッタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日根 武男
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-168367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/00
A01K 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽の上部の開口部を塞ぐ蓋を備えた水槽用のカバーユニットであって、
前記水槽の上部に載置されるフレームと、
前記蓋をスライド可能に支持するスライド機構と、
を備え、
前記スライド機構は、
前記フレームに形成された直線状の溝と、
前記溝に沿って転動する複数の玉と、
を有し、
前記複数の玉によって前記蓋を支持する、水槽用のカバーユニット。
【請求項2】
前記溝の溝幅は、前記玉の直径に比べて小さく、
前記玉は、前記溝の上端のエッジ部と接する、請求項1記載の水槽用のカバーユニット。
【請求項3】
前記溝の形成方向について前記複数の玉の間隔を保持するスペーサをさらに有する、請求項1又は請求項2記載の水槽用のカバーユニット。
【請求項4】
前記蓋は、第1蓋、及び、前記第1蓋に比べて下方に位置する第2蓋を含み、
前記スライド機構は、前記第1蓋をスライド可能に支持する第1スライド機構、及び、前記第2蓋をスライド可能に支持する第2スライド機構を含む、請求項1又は請求項2記載の水槽用のカバーユニット。
【請求項5】
前記複数の玉は、第1玉、及び、前記第1玉に比べて直径が小さい第2玉を含み、
前記第1スライド機構を構成する前記玉は、前記第1玉であり、
前記第2スライド機構を構成する前記玉は、前記第2玉である、請求項4記載の水槽用のカバーユニット。
【請求項6】
前記スライド機構を前記蓋の上方から覆うカバー部材をさらに備える、請求項1又は請求項2記載の水槽用のカバーユニット。
【請求項7】
上部の開口部を塞ぐ蓋を備えた水槽であって、
前記開口部の上部に設けられるフレームと、
前記フレームに対して前記蓋をスライド可能に支持するスライド機構と、
を備え、
前記スライド機構は、
前記フレームに形成された直線状の溝と、
前記溝に沿って転動する複数の玉と、
を有し、
前記複数の玉によって前記蓋を支持する、水槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽用のカバーユニット及び水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
一般小売業の鮮魚店や料理店等において、販売用の活魚介類を入れるディスプレイ用の水槽が用いられている。このようなディスプレイ用の水槽は、槽内からの水の飛散及び蒸発を抑制すること等を目的として、上部の開口部を塞ぐ蓋が一般的に設置される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記水槽の蓋は、活魚介類を水槽から注文に応じて出し入れする度、頻繁に開閉する(着脱する)必要がある。水槽が大型であると、蓋も大型となり、その重量も大きくなる。このため従来は、前記水槽の蓋を開閉する作業に多大な労力を要していた。
【0005】
本開示は、水槽用の蓋の開閉作業に要する労力を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の水槽用のカバーユニットは、水槽の上部の開口部を塞ぐ蓋を備えた水槽用のカバーユニットであって、前記水槽の上部に載置されるフレームと、前記蓋をスライド可能に支持するスライド機構と、を備え、前記スライド機構は、前記フレームに形成された直線状の溝と、前記溝に沿って転動する複数の玉と、を有し、前記複数の玉によって前記蓋を支持する。
【0007】
本開示の水槽用のカバーユニットは、スライド機構によって、蓋をスライドさせて開閉することができ、開口部の開閉時に蓋を着脱する必要がない。また、本開示のカバーユニットは、蓋をスライドさせたときに玉が転動することによって、蓋の開閉に必要な操作力を抑制することができる。このため、本開示のカバーユニットによれば、蓋の開閉作業に要する労力を軽減することができる。
【0008】
(2)上記(1)の形態に係るカバーユニットにおいて、前記溝の溝幅は、前記玉の直径に比べて小さく、前記玉は、前記溝の上端のエッジ部と接すると好ましい。
この場合、溝に沿って転動する玉の転がり抵抗を抑制することができる。これにより、蓋をより小さい操作力でスライドさせることが可能となり、蓋の開閉作業に要する労力をより軽減することができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の形態に係るカバーユニットにおいて、前記スライド機構は、前記溝の形成方向について複数の玉の間隔を保持するスペーサをさらに有する。
このような構成によれば、前記溝に沿って複数の玉を確実に転動させることができる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)の何れかの形態に係るカバーユニットにおいて、前記蓋は、第1蓋、及び、前記第1蓋に比べて下方に位置する第2蓋を含み、前記スライド機構は、前記第1蓋をスライド可能に支持する第1スライド機構、及び、前記第2蓋をスライド可能に支持する第2スライド機構を含むと好ましい。
この場合、蓋を2つに分割することによって、蓋の重量を小さくすることができ、これにより、蓋をより小さい操作力でスライドさせることが可能となる。
【0011】
(5)上記(4)の形態に係るカバーユニットにおいて、前記複数の玉は、第1玉、及び、前記第1玉に比べて直径が小さい第2玉を含み、前記第1スライド機構を構成する前記玉は、前記第1玉であり、前記第2スライド機構を構成する前記玉は、前記第2玉であると好ましい。
この場合、第2蓋の設置高さを低く抑えることができるため、第1蓋と第2蓋との間の隙間を確実に確保することができる。これにより、蓋をスライドさせる際に、第1蓋と第2蓋とが互いにこすれ合うことがなくなる。このため、蓋をスライドさせるために必要な操作力を確実に抑制することができる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)の何れかの形態に係るカバーユニットは、前記スライド機構を前記蓋の上方から覆うカバー部材をさらに備えると好ましい。
この場合、スライド機構を構成する玉を外部から視認しにくくすることができる。これにより、カバーユニットの美観を向上させると共に、玉が抜き取られる可能性を低くすることができる。
【0013】
(7)本開示の水槽は、上部の開口部を塞ぐ蓋を備えた水槽であって、前記開口部の上部に設けられるフレームと、前記フレームに対して前記蓋をスライド可能に支持するスライド機構と、を備え、前記スライド機構は、前記フレームに形成された直線状の溝と、前記溝に沿って転動する複数の玉と、を有し、前記複数の玉によって前記蓋を支持する。
【0014】
本開示の水槽は、スライド機構によって、蓋をスライドさせて開閉することができ、開口部の開閉時に蓋を着脱する必要がない。また、本開示の水槽は、蓋をスライドさせたときに玉が転動することによって、蓋の開閉に必要な操作力を抑制することができる。このため、本開示の水槽によれば、蓋の開閉作業に要する労力を軽減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、水槽の蓋の開閉作業に要する労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るカバーユニットを適用した水槽を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係るカバーユニットの平面図である。
【
図4】
図4は、別実施形態に係るカバーユニットの
図2におけるA-A線断面図である。
【
図5】
図5は、戸当たり部材の配置状況の説明図である。
【
図6】
図6は、カバー部材の配置状況の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[水槽及びカバーユニット]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係るカバーユニットを適用した水槽を示す斜視図である。
図1には、水槽10及びカバーユニット20が示される。
図1に示す水槽10は、本開示のカバーユニット20の適用対象となる水槽の一実施形態である。
図1に示すカバーユニット20は、本開示の水槽用のカバーユニットの一実施形態である。なお、以下の説明では、水槽10及びカバーユニット20について、前後方向、左右方向、及び、上下方向を、
図1に示す矢印のように規定する。
【0018】
図1に示すように、水槽10は、略直方体形状を有する容器(槽)であり、水を貯留することが可能なシール性を有する。本実施形態に示す水槽10は、例えば、内部に水(海水又は淡水)と活魚介類とを入れて使用する。水槽10は、前後及び左右の各側面を構成する4個の側板11と、底面を構成する底板12とを有する。本実施形態の側板11は、例えばアクリル板によって構成されていて、少なくとも一部が透明である。このため、水槽10は、内部に入れた活魚介類を外部から視認することができる。なお、本実施形態では、活魚介類のディスプレイ用に使用される水槽10に対してカバーユニット20を適用した場合を例示しているが、本開示のカバーユニット20の適用対象となる水槽は、これに限定されない。本開示のカバーユニット20は、例えば、活魚介類の輸送用に使用される水槽等にも適用できる。
【0019】
図1に示すように、水槽10は、上端部において載置部13を有する。載置部13は、各側板11の上端部から当該水槽10の内方側へ延びる板状の部材で構成されている。載置部13は、上面が平面となっている。載置部13は、カバーユニット20の載置するための部位として利用される。なお、載置部13は、水槽10に元から備えられた部位であってもよいし、カバーユニット20を設置するために水槽10に追加して設けた部位であってもよい。
【0020】
水槽10は、載置部13の内側において開口部14を有する。水槽10は、上面に形成された開口部14を通して活魚介類等を出し入れすることができる。
【0021】
図1に示すように、カバーユニット20は、載置部13に載置され、開口部14の上部に配置される。カバーユニット20は、開口部14を塞ぐ。カバーユニット20は、フレーム30及び蓋40を有する。
【0022】
フレーム30は、樹脂製の矩形状部材であり、カバーユニット20の骨格を構成する。フレーム30は、開口部30aを有する。フレーム30は、蓋40を支持する。蓋40は、水槽10の開口部14、及び、フレーム30の開口部30aを塞ぐ。なお、フレーム30は、さびや腐食が生じない材料で構成されていればよく、例えば、金属製(SUS製)であってもよい。
【0023】
蓋40は、板状の部材により構成される。本実施形態のカバーユニット20において、蓋40は、アアクリル板により構成され、透明である。本実施形態の蓋40は、第1蓋41及び第2蓋42を含む。換言すると、蓋40は、第1蓋41及び第2蓋42に分割されている。第1蓋41は、開口部14の右側の略半分を覆い、第2蓋42は、開口部14の左側の略半分を覆う。第1蓋41及び第2蓋42は、開口部14の左右方向の中央において、平面視において重なる部分を有する。なお、本実施形態の蓋40は、2つの部材に分割されているが、3つ以上の部材に分割されてもよい。なお、蓋40は、さびや腐食が生じない材料で構成されていればよく、アクリル板以外の材料で構成されてもよい。また、蓋40は、透明でなくてもよい。
【0024】
第1蓋41及び第2蓋42は、フレーム30によって、左右方向へスライド可能に支持されている。第1蓋41及び第2蓋42は、取手43を有する。ユーザは、取手43を手掛かりにして、第1蓋41及び第2蓋42を左右方向へスライドさせることができる。なお、本実施形態のカバーユニット20は、第1蓋41及び第2蓋42の両方が開閉可能に構成されているが、少なくとも何れか一方が開閉可能であればよく、他方はフレーム30に固定されている構成であってもよい。
【0025】
第1蓋41は、第2蓋42に比べて上方に位置している。第1蓋41は、フレーム30の右辺部分に当接する位置までスライドさせた状態において、開口部14の略右側半分を「閉」とする。第1蓋41は、この位置から左方へスライドさせることができる。第1蓋41は、フレーム30の左辺部分に当接する位置までスライドさせることができる。第1蓋41を左方へスライドさせたとき、開口部14は右側の部分が開放される。
【0026】
第2蓋42は、フレーム30の左辺部分に当接する位置までスライドさせた状態において、開口部14の略左側半分を「閉」とする。第2蓋42は、この位置から右方へスライドさせることができる。第2蓋42は、フレーム30の右辺部分に当接する位置までスライドさせることができる。第2蓋42を右方へスライドさせたとき、開口部14は左側の部分が開放される。
【0027】
このように、本開示のカバーユニット20は、蓋40を着脱することなく、水槽10の開口部14を手軽に開閉することができる。また、本開示のカバーユニット20によれば、外した蓋を置いておくスペースを確保する必要もない。
【0028】
[カバーユニットの詳細構成]
図2は、本開示の一実施形態に係るカバーユニットの平面図である。
図3は、
図2におけるA-A線断面図である。
図2及び
図3に示すように、カバーユニット20は、フレーム30、蓋40(第1蓋41及び第2蓋42)、玉60、及び、スペーサ70を備える。
【0029】
フレーム30は、外壁部31、蓋支持部32、第1ガイド壁33、及び第2ガイド壁34を有する。外壁部31は、フレーム30の左右方向及び前後方向の最も外側の位置に形成された壁部であり、上下方向に延びている。外壁部31は、平面視において矩形状である。外壁部31のうちの前後の辺は、第1蓋41の前後方向の変位を規制するとともに、第1蓋41を左右方向へ案内する役割を果たす。外壁部31のうちの左右の辺は、第1蓋41及び第2蓋42の左右方向の変位を規制する役割を果たす。
【0030】
第1ガイド壁33は、外壁部31より内側に形成された壁部であり、上下方向に延びている。第1ガイド壁33の頂部の高さは、外壁部31の頂部の高さに比べて低い。第1ガイド壁33は、第2蓋42の前後方向の変位を規制するとともに、第2蓋42を左右方向へ案内する役割を果たす。
【0031】
第2ガイド壁34は、第1ガイド壁33よりさらに内側に形成された壁部であり、上下方向に延びている。第2ガイド壁34の頂部の高さは、第1ガイド壁33の頂部の高さに比べて低い。フレーム30は、第2ガイド壁34より内側に形成された開口部30aを有する。
【0032】
蓋支持部32は、蓋40を支持する部位であり、平面視において外壁部31より内側に位置する。蓋支持部32は、前側及び後側に一対で設けられる。蓋支持部32は、外壁部31と第1ガイド壁33との間に位置する第1底面32aと、第1ガイド壁33と第2ガイド壁34との間に位置する第2底面32bと、を有する。第2底面32bは、第1底面32aに比べて低い位置に設けられる。
【0033】
フレーム30は、第1ガイド溝35をさらに備える。第1ガイド溝35は、外壁部31、第1底面32a、及び第1ガイド壁33によって囲まれた溝部である。第1ガイド溝35は、蓋支持部32の左右方向の全域に亘って連続して延びている。第1ガイド溝35は、玉60及びスペーサ70を収容する。第1ガイド溝35は、当該第1ガイド溝35の形成方向(左右方向)に沿って、スペーサ70を案内する。以下の説明では、第1ガイド溝35に収容される玉60を第1玉61とも称し、第1ガイド溝35に収容されるスペーサ70を第1スペーサ71とも称する。本実施形態の第1玉61は、ガラス玉である。本実施形態の第1スペーサ71は、樹脂製である。
【0034】
フレーム30は、第2ガイド溝36をさらに備える。第2ガイド溝36は、第1ガイド壁33、第2底面32b、及び第2ガイド壁34によって囲まれた溝部である。第2ガイド溝36は、蓋支持部32の左右方向の全域に亘って連続して延びている。第2ガイド溝36は、玉60及びスペーサ70を収容する。第2ガイド溝36は、当該第2ガイド溝36の形成方向(左右方向)に沿って、スペーサ70を案内する。第2ガイド溝36は、第1ガイド溝35より下方に形成されている。以下の説明では、第2ガイド溝36に収容される玉60を第2玉62とも称し、第2ガイド溝36に収容されるスペーサ70を第2スペーサ72とも称する。本実施形態の第2玉62は、ガラス玉である。本実施形態の第2スペーサ72は、樹脂製である。
【0035】
フレーム30は、第1ガイド溝35の底部(第1底面32a)に形成された第1レール溝(溝)37をさらに備える。第1レール溝37は、第1ガイド溝35の左右方向の全域に亘って連続して延びている。第1レール溝37は、第1ガイド溝35に収容された複数の第1玉61を左右方向に案内する。第1玉61は、直線状に形成された第1レール溝37に平行な直線上を転動する。第1レール溝37は、当該第1レール溝37の形成方向(左右方向)に沿って、第1玉61を転動させる。
【0036】
第1レール溝37は、溝幅が第1玉61の直径に比べて小さく、第1レール溝37の上端に位置するエッジ部37aにおいて第1玉61と接する。カバーユニット20は、このような構成により、第1レール溝37と第1玉61との間の接触抵抗を抑えている。なお、第1レール溝37は、第1玉61が溝底に接しない溝幅及び溝深さを有するとより好ましい。
【0037】
フレーム30は、第2ガイド溝36の底部(第2底面32b)に形成された第2レール溝(溝)38をさらに備える。第2レール溝38は、第2ガイド溝36の左右方向の全域に亘って連続して延びている。第2レール溝38は、第2ガイド溝36に収容された複数の第2玉62を左右方向に案内する。第2玉62は、直線状に形成された第2レール溝38に平行な直線上を転動する。第2レール溝38は、当該第2レール溝38の形成方向(左右方向)に沿って、第2玉62を転動させる。
【0038】
第2レール溝38の溝幅は、第2玉62の直径に比べて小さく、第2レール溝38の上端に位置するエッジ部38aにおいて第2玉62と接する。カバーユニット20は、このような構成により、第2レール溝38と第2玉62との間の接触抵抗を抑えている。なお、第2レール溝38は、第2玉62が溝底に接しない溝幅及び溝深さを有するとより好ましい。
【0039】
フレーム30は、前後の各蓋支持部32を繋ぐ連結部39をさらに備える。連結部39は、平板状の部材からなる部位であり、左右の外壁部31の内側に隣接する位置において前後方向に延びている。連結部39は、水槽10の載置部13の上側に位置している。連結部39は、フレーム30の剛性を高めるとともに、カバーユニット20を安定して載置部13に載置することに寄与する。
【0040】
上述した通り、本開示のカバーユニット20において、玉60は、第1玉61及び第2玉62を含む。蓋支持部32において、蓋40(第1蓋41及び第2蓋42)は、複数の玉60(第1玉61及び第2玉62)によって支持される。これにより、蓋40は、玉60が転動することによって、小さい操作力で開閉することが可能となる。なお、本開示のカバーユニット20において、第1玉61及び第2玉62の配置数は、それぞれ12個であるが、玉60の配置数は、蓋40のスライド方向におけるフレーム30の大きさ、蓋40の重量等を勘案して適宜設定する。
【0041】
カバーユニット20は、スペーサ70をさらに備える。スペーサ70は、玉60同士の間隔を一定に維持しつつ、複数の玉60を転動可能に保持する。例えば、スペーサ70がないと、左右方向について玉60の配置が偏ってしまう場合があり、この場合、蓋40を円滑にスライドさせることが困難となる場合がある。
【0042】
上述した通り、スペーサ70は、第1スペーサ71及び第2スペーサ72を含む。第1スペーサ71は、第1ガイド溝35の幅に略一致する(但し若干小さい)幅を有し、第1ガイド溝35の長さ方向に延びる平板状の部材で構成される。第2スペーサ72は、第2ガイド溝36の幅に略一致する(但し若干小さい)幅を有し、第2ガイド溝36の長さ方向に延びる平板状の部材で構成される。第1スペーサ71及び第2スペーサ72は、玉60を保持するための複数の孔73を有する。孔73の直径は、そこに収容する玉60の直径に比べて若干大きい。なお、スペーサ70の長さは、第1ガイド溝35及び第2ガイド溝36の長さに比べて短い。第1ガイド溝35及び第2ガイド溝36のうち、スペーサ70が存在しない部分の長さは、蓋40を左右方向へ最大量変位させた場合の、各玉60の(中心点の)左右方向への移動距離に略一致する。
【0043】
第1スペーサ71は、第1レール溝37に沿って直線上に並んだ複数(本実施形態では12個)の第1玉61を等間隔に保持する。第2スペーサ72は、第2レール溝38に沿って直線上に並んだ複数(本実施形態では12個)の第2玉62を等間隔に保持する。本開示のカバーユニット20は、スペーサ70を備えることによって、全ての玉60を確実に転動させることが可能となり、蓋40の開閉の際に必要な操作力を確実に抑制することができる。
【0044】
カバーユニット20は、前後一対の第1レール溝37に沿って並んだ複数(本実施形態では12個)の第1玉61の上に第1蓋41を載置する。カバーユニット20は、複数の第1玉61によって第1蓋41をスライド可能に支持する。カバーユニット20において第1蓋41が左右に変位されると、それに伴って各第1玉61が左右に転動するとともに、第1スペーサ71が左右に変位する。カバーユニット20は、左右方向へ転動可能な第1玉61によって第1蓋41を支持することによって、小さい操作力によって、第1蓋41を左右方向へスライドさせることができる。
【0045】
カバーユニット20は、前後一対の第2レール溝38に沿って並んだ複数(本実施形態では12個)の第2玉62の上に第2蓋42を載置する。カバーユニット20は、複数の第2玉62によって第2蓋42をスライド可能に支持する。カバーユニット20において第2蓋42が左右に変位されると、それに伴って各第2玉62が左右に転動するとともに、第2スペーサ72が左右に変位する。カバーユニット20は、左右方向へ転動可能な第2玉62によって第2蓋42を支持することによって、小さい操作力によって、第2蓋42を左右方向へスライドさせることができる。
【0046】
本開示のカバーユニット20は、既存の水槽の大きさに合わせて作成することで、既存の水槽に対して容易に後付けすることができる。
【0047】
[スライド機構]
カバーユニット20は、蓋40をスライド可能に支持するスライド機構50を備える。本開示のカバーユニット20において、スライド機構50は、第1スライド機構51及び第2スライド機構52を含む。第1スライド機構51は、第1蓋41を左右方向へスライド可能に支持する機構である。第1スライド機構51は、第1ガイド溝35、第1レール溝37、第1玉61、及び、第1スペーサ71を少なくとも含んで構成される。第1スライド機構51は、前後方向に分かれて一対で配置される。第1蓋41は、前端縁及び後端縁をそれぞれ第1スライド機構51によって支持されることで、左右方向へスライド可能となる。
【0048】
第2スライド機構52は、第2蓋42を左右方向へスライド可能に支持する機構である。第2スライド機構52は、第2ガイド溝36、第2レール溝38、第2玉62、及び、第2スペーサ72を少なくとも含んで構成される。第2スライド機構52は、前後方向に分かれて一対で配置される。第2蓋42は、前端縁及び後端縁をそれぞれ第2スライド機構52によって支持されることで、左右方向へスライド可能となる。
【0049】
なお、本実施形態のカバーユニット20において、スライド機構50による蓋40のスライド方向は、前後方向であってもよい。
【0050】
[カバーユニット20の別実施形態]
図4は、別実施形態に係るカバーユニットの
図2におけるA-A線断面図である。
図3に示す形態において、第1玉61及び第2玉62の直径は同じである。この場合の第1蓋41及び第2蓋42の間の隙間の大きさを、距離D1と規定する。樹脂製の蓋40は、経時変化によって、自重により撓む場合がある。撓んで垂れ下がった第1蓋41は、第2蓋42と接触する場合がある。
【0051】
本開示のカバーユニット20は、
図4に示す構成であるとより好ましい。
図4に示すように、別実施形態に係るカバーユニット20は、第1玉61の直径に比べて、第2玉62の直径を小さくしている。この場合、上下方向において第2蓋42が位置する高さをより低く抑えることができる。これにより、第1蓋41及び第2蓋42の間の隙間の大きさを、距離D1に比べて大きい距離D2とすることができる(D1<D2)。このため、別実施形態に係るカバーユニット20を採用した場合、垂れ下がった第1蓋41は、第2蓋42と接触しにくくなる。これにより、蓋40を小さい操作力で開閉できる状態をより長期に亘って維持することができ、蓋40の開閉に要する労力の増大を確実に抑制することができる。
【0052】
本実施形態で示したカバーユニット20は、水槽10と別体であり、水槽10から分離可能である場合を例示したが、水槽10とカバーユニット20とが一体化されており(換言すると、カバーユニット20が水槽10の一部であり)、水槽10及びカバーユニット20が分離不能に構成されていてもよい。なお、本開示のカバーユニット20を有する水槽10は、水及び活魚介類を入れる用途のみならず、例えば、ほ乳類、爬虫類、両生類、昆虫等の小動物を飼育する用途に使用してもよい。
【0053】
[戸当たり部材]
図5は、戸当たり部材の配置状況の説明図である。
図5に示すように、本開示のカバーユニット20は、戸当たり部材80をさらに備える。戸当たり部材80は、ゴム、スポンジ等の弾性を有する樹脂製部材によって構成される。戸当たり部材80は、フレーム30の右辺において第1蓋41の右側端面が接触する位置、及び、フレーム30の左辺において第2蓋42の左側端面が接触する位置に設けられる。カバーユニット20は、戸当たり部材80を設けることによって、第1蓋41及び第2蓋42がフレーム30に接触する際の衝撃を和らげることができる。これにより、蓋40及びフレーム30の破損を抑制すると共に、蓋40の開閉時(特に閉時)に発生する騒音を抑制することができる。
【0054】
[カバー部材]
図6は、カバー部材の配置状況の説明図である。
図3、
図4及び
図6に示すように、本開示のカバーユニット20は、第1スライド機構51及び第2スライド機構52の上部を覆うカバー部材90をさらに備えるとより好ましい。
【0055】
本開示のカバーユニット20及び水槽10(
図1参照)は、不特定多数の顧客が自由に見られる位置に設置されることが多い。蓋40を透明のアクリル製とした場合、第1スライド機構51及び第2スライド機構52を構成する玉60は、外部から視認できる状態となる。第1スライド機構51及び第2スライド機構52が見えていると、店内の雰囲気や美観を損う恐れがある。また、特に幼児などは玉60に興味を示しやすい傾向があると推測され、玉60が外部から視認できる状態にあると、玉60が抜き取られてしまう懸念が生じる。
【0056】
本開示のカバーユニット20は、カバー部材90を設けることによって、第1スライド機構51及び第2スライド機構52を外部から視認しにくくすることができる。本開示のカバーユニット20は、このような構成によって、美観を向上させると共に、玉60が抜き取られる可能性を低くすることができる。
【0057】
[上記実施形態の作用及び効果]
(1)上記実施形態のカバーユニット20は、水槽10の上部の開口部14を塞ぐ蓋40を備えた水槽用のカバーユニットである。上記実施形態のカバーユニット20は、水槽10の上部に載置されるフレーム30と、蓋40をスライド可能に支持するスライド機構50と、を備える。スライド機構50は、フレーム30に形成された直線状の溝(第1レール溝37及び第2レール溝38)と、前記溝に沿って転動する複数の玉60と、を有する。上記実施形態雄のカバーユニット20において、スライド機構50は、複数の玉60によって蓋40を支持する。
【0058】
上記実施形態のカバーユニット20によれば、スライド機構50によって、蓋40を溝(第1レール溝37及び第2レール溝38)に沿ってスライドさせて開閉することができ、開閉する際に、蓋40を取り外す必要がない。また、上記実施形態のカバーユニット20によれば、蓋40をスライドさせたときに玉60を転動させることによって、蓋40の開閉に必要な操作力を抑制することができる。このため、上記実施形態のカバーユニット20によれば、蓋40の開閉作業に要する労力を軽減することができる。
【0059】
(2)上記実施形態のカバーユニット20において、溝のうちの第1レール溝37の溝幅は、第1玉61の直径に比べて小さく、溝のうちの第2レール溝38の溝幅は、第2玉62の直径に比べて小さい。上記実施形態のカバーユニット20において、玉60は、第1レール溝37及び第2レール溝38の上端のエッジ部37a,38aと接している。
このような構成によれば、第1レール溝37及び第2レール溝38に沿って転動する玉60の転がり抵抗を抑制することができる。これにより、蓋40をより小さい操作力でスライドさせることが可能となり、蓋40の開閉作業に要する労力をより軽減することができる。
【0060】
(3)上記実施形態のカバーユニット20において、スライド機構50は、第1レール溝37及び第2レール溝38の形成方向(左右方向)について複数の玉60の間隔を保持するスペーサ70を有している。
このような構成によれば、第1レール溝37及び第2レール溝38に沿って複数の玉60を確実に転動させることができる。
【0061】
(4)上記実施形態のカバーユニット20において、蓋40は、第1蓋41、及び、第1蓋41に比べて下方に位置する第2蓋42を含んでいる。スライド機構50は、第1蓋41をスライド可能に支持する第1スライド機構51、及び、第2蓋42をスライド可能に支持する第2スライド機構52を含んでいる。
この場合、蓋40を2つ(第1蓋41及び第2蓋42)に分割することによって、蓋40をより小さい操作力でスライドさせることが可能となり、蓋40の開閉作業に要する労力をより軽減することができる。
【0062】
(5)上記実施形態のカバーユニット20において、複数の玉60は、第1玉61、及び、第1玉61に比べて直径が小さい第2玉62を含んでいる。第1スライド機構51を構成する玉60は、第1玉61であり、第2スライド機構52を構成する玉60は、第2玉62である。
この場合、第2蓋の設置高さを低く抑えることができるため、第1蓋41と第2蓋42との間の隙間を確実に確保することが可能となる。これにより、第1蓋41と第2蓋42を開閉する際に、第1蓋41と第2蓋42とが互いにこすれ合うことがなくなる。このため、蓋40をより小さい操作力でスライドさせることが可能となり、蓋40の開閉作業に要する労力をより軽減することができる。
【0063】
(6)上記実施形態のカバーユニット20は、スライド機構50(第1スライド機構51及び第2スライド機構52)を蓋40の上方から覆うカバー部材90をさらに備えている。
この場合、第1スライド機構51及び第2スライド機構52を構成する玉60を外部から視認しにくくすることができる。これにより、カバーユニット20の美観を向上させると共に、玉60が抜き取られる可能性を抑制することができる。
【0064】
(7)上記実施形態の水槽10は、上部の開口部14を塞ぐ蓋40を備え、開口部14の上部に設けられるフレーム30と、フレーム30に対して蓋40をスライド可能に支持するスライド機構50と、を備える。本開示の水槽10において、スライド機構50は、フレーム30に形成された直線状の第1レール溝37及び第2レール溝38と、第1レール溝37及び第2レール溝38に沿って転動する複数の玉60と、を有し、複数の玉60によって蓋40を支持している。
【0065】
上記実施形態の水槽10によれば、スライド機構50によって、蓋40を溝(第1レール溝37及び第2レール溝38)に沿ってスライドさせて開閉することができ、開閉する際に、蓋40を取り外す必要がない。また、上記実施形態の水槽10によれば、蓋40をスライドさせたときに玉60を転動させることによって、蓋40の開閉に必要な操作力を抑制することができる。このため、上記実施形態の水槽10によれば、蓋40の開閉作業に要する労力を軽減することができる。
【0066】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
10 水槽
20 カバーユニット
30 フレーム
37 第1レール溝(溝)
37a エッジ部
38 第2レール溝(溝)
38a エッジ部
40 蓋
41 第1蓋
42 第2蓋
50 スライド機構
51 第1スライド機構
52 第2スライド機構
60 玉
61 第1玉
62 第2玉
70 スペーサ
90 カバー部材