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特許7737246垂直尾部フィンに固定されたCFRP胴体フレーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-02
(45)【発行日】2025-09-10
(54)【発明の名称】垂直尾部フィンに固定されたCFRP胴体フレーム
(51)【国際特許分類】
   B64C 1/00 20060101AFI20250903BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20250903BHJP
【FI】
B64C1/00 A
B29C70/06
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021110720
(22)【出願日】2021-07-02
(65)【公開番号】P2022032969
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】63/064,711
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ディエプ
(72)【発明者】
【氏名】ファイエン・ティー・ファム
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0264271(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0156758(US,A1)
【文献】特開2018-008679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00
B29C 70/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直尾部フィンアセンブリを航空機に固定するための固定アセンブリが、
前記垂直尾部フィンアセンブリに固定された第1のラグ部材と、
第1のU字形かぎ部材と、
を備え、
前記第1のU字形かぎ部材の第1の端部は、前記第1のラグ部材に係合され、
前記第1のU字形かぎ部材の第2の端部は、第1の胴体フレームを横切る第1の方向に前記第2の端部および前記第1の胴体フレームを通って延伸する第1の締め具を伴って、複合材料で構築された前記第1の胴体フレームに固定され、
前記第1のU字形かぎ部材が、前記第1のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第1の開口部を画定する第1のプロングを有し、前記第1のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第2の開口部を画定する第2のプロングを有し、
前記第1のラグ部材が、前記第1のU字形かぎ部材の前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間に配置され、
前記固定アセンブリが、前記第1のプロングの前記第1の開口部、前記第2のプロングの前記第2の開口部を通り、第1のピンが前記第1の胴体フレームを横切る前記第1の方向に延伸するように、前記第1のU字形かぎ部材を前記第1のラグ部材に係合させる前記第1のラグ部材によって画定され前記第1のラグ部材を貫通する第1のラグ開口部を通って延伸する第1のピンをさらに含む、
固定アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のU字形かぎ部材の前記第2の端部が前記第1の胴体フレームの前側に沿って延伸する第1の固定フランジを備え、前記第1の締め具が、前記第1の固定フランジおよび前記第1の胴体フレームを通って延伸する、請求項に記載の固定アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のU字形かぎ部材および前記第1の胴体フレームに固定された第2のU字形かぎ部材を備える第1の対のU字形かぎ部材をさらに含み、前記第1のU字形かぎ部材および前記第2のU字形かぎ部材は、前記第1の胴体フレームに沿って第2の方向に互いに離間して配置され、
前記第1のU字形かぎ部材は、前記第1のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第1の開口部を画定する第1のプロングを有し、前記第2のU字形かぎ部材は、前記第2のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第1の開口部を画定する第1のプロングを有し、
前記第1のU字形かぎ部材は、前記第1のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第2の開口部を画定する第2のプロングを有し、前記第2のU字形かぎ部材は、前記第2のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第2の開口部を画定する第2のプロングを有し、
前記第1のラグ部材は、前記第1の対のU字形かぎ部材の前記第1のU字形かぎ部材の前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間に配置され、
第2のラグ部材は、前記第1の対のU字形かぎ部材の前記第2のU字形かぎ部材の前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間に配置されている、
請求項1または2に記載の固定アセンブリ。
【請求項4】
第1のピンが、前記第1のU字形かぎ部材の前記第1のプロングの前記第1の開口部、前記第1のU字形かぎ部材の前記第2のプロングの前記第2の開口部を通り、前記第1のピンが前記第1の胴体フレームを横切る前記第1の方向に延伸するように、前記第1のラグ部材によって画定され前記第1のラグ部材を貫通する第1のラグ開口部を通って延伸し、
第2のピンが、前記第2のU字形かぎ部材の前記第1のプロングの前記第1の開口部、前記第2のU字形かぎ部材の前記第2のプロングの前記第2の開口部を通り、前記第2のピンが前記第1の胴体フレームを横切る前記第1の方向に延伸するように、前記第2のラグ部材によって画定され前記第2のラグ部材を貫通する第2のラグ開口部を通って延伸する、
請求項に記載の固定アセンブリ。
【請求項5】
前記第1のU字形かぎ部材の前記第2の端部が第1の固定フランジを備え、前記第2のU字形かぎ部材の前記第2の端部が第2の固定フランジを備え、
前記第1の固定フランジは、前記第1の胴体フレームを横切る前記第1の方向に前記第1の固定フランジおよび前記第1の胴体フレームを通って延伸する前記第1の締め具を伴って、前記第1の胴体フレームの前側に沿って延伸し、
前記第2の固定フランジは、前記第1の胴体フレームの前記前側に沿って延伸し、第2の締め具が、前記第1の胴体フレームを横切る前記第1の方向に前記第2の固定フランジおよび前記第1の胴体フレームを通って延伸する、
請求項3または4に記載の固定アセンブリ。
【請求項6】
前記航空機の長さに沿って前記第1のU字形かぎ部材から離間した、複合材料で構築された第2の胴体フレームに固定された第3のU字形かぎ部材をさらに含み、前記第3のU字形かぎ部材は、前記第3のU字形かぎ部材の第1の端部に第1の開口部を画定する第1のプロングを有し、前記第3のU字形かぎ部材の第1の端部に第2の開口部を画定する第2のプロングを有し、
第3のラグ部材が、前記第3のU字形かぎ部材の前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間に配置されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の固定アセンブリ。
【請求項7】
前記第3のU字形かぎ部材の前記第1のプロングの前記第1の開口部、前記第2のプロングの前記第2の開口部を通り、第3のピンが前記第2の胴体フレームに沿って第3の方向に延伸するように、前記第3のU字形かぎ部材を前記第3のラグ部材に係合させる前記第3のラグ部材によって画定され前記第3のラグ部材を貫通する第3のラグ開口部を通って延伸する前記第3のピンをさらに含む、請求項に記載の固定アセンブリ。
【請求項8】
前記第3のU字形かぎ部材の第2の端部は、前記第2の胴体フレームの前側に沿って延伸する第3の固定フランジを備え、第3の締め具が前記第2の胴体フレームを横切る第4の方向に前記第3の固定フランジおよび前記第2の胴体フレームを通って延伸する、請求項6または7に記載の固定アセンブリ。
【請求項9】
前記第3のU字形かぎ部材と、前記第2の胴体フレームに沿って第3の方向に互いに離間して配置された前記第2の胴体フレームに固定された第4のU字形かぎ部材とを備える第2の対のU字形かぎ部材をさらに含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の固定アセンブリ。
【請求項10】
前記第3のU字形かぎ部材が、前記第3のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第1の開口部を画定する第1のプロングを有し、前記第4のU字形かぎ部材が、前記第4のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第1の開口部を画定する第1のプロングを有し、
前記第3のU字形かぎ部材が、前記第3のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第2の開口部を画定する第2のプロングを有し、前記第4のU字形かぎ部材が、前記第4のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第2の開口部を画定する第2のプロングを有し、
前記第3のラグ部材が、前記第3のU字形かぎ部材の前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間に配置され、
第4のラグ部材が、前記第4のU字形かぎ部材の前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間に配置されている、
請求項に記載の固定アセンブリ。
【請求項11】
第3のピンが、前記第3のU字形かぎ部材の前記第1のプロングの前記第1の開口部、前記第3のU字形かぎ部材の前記第2のプロングの前記第2の開口部を通り、前記第3のピンが前記第2の胴体フレームに沿って前記第3の方向に延伸するように、前記第3のラグ部材によって画定され前記第3のラグ部材を貫通する第3のラグ開口部を通って延伸し、
第4のピンが、前記第4のU字形かぎ部材の前記第1のプロングの前記第1の開口部、前記第4のU字形かぎ部材の前記第2のプロングの前記第2の開口部を通り、前記第4のピンが前記第2の胴体フレームに沿って前記第3の方向に延伸するように、前記第4のラグ部材によって画定され前記第4のラグ部材を貫通する第4のラグ開口部を通って延伸する、
請求項10に記載の固定アセンブリ。
【請求項12】
前記第3のU字形かぎ部材の前記第2の端部が第3の固定フランジを備え、前記第4のU字形かぎ部材の前記第2の端部が第4の固定フランジを備え、
前記第3の固定フランジは、前記第2の胴体フレームの前側に沿って延伸し、第3の締め具が前記第2の胴体フレームを横切る第4の方向に前記第3の固定フランジおよび前記第2の胴体フレームを通って延伸し、
前記第4の固定フランジは、前記第2の胴体フレームの前記前側に沿って延伸し、第4の締め具が前記第2の胴体フレームを横切る前記第4の方向に前記第4の固定フランジおよび前記第2の胴体フレームを通って延伸する
請求項10または11に記載の固定アセンブリ。
【請求項13】
前記複合材料が、5プライ構成を含み、前記5プライ構成は、
非線形繊維構成を有する1つのプライと、
前記非線形繊維構成の半径方向軸からプラス30度の角度変位のプラスマイナス5度を含む角度範囲内に延伸する第1の線形繊維構成を有する2つのプライと、
前記非線形繊維構成の前記半径方向軸からマイナス30度の角度変位のプラスマイナス5度を含む角度範囲内に延伸する第2の線形繊維構成を有する別の2つのプライと、
を含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載の固定アセンブリ。
【請求項14】
垂直尾部フィンアセンブリを航空機に固定するための方法であって、
前記垂直尾部フィンアセンブリに固定された第1のラグ部材を第1のU字形かぎ部材の第1の端部に固定するステップと、
第1の胴体フレームを横切る第1の方向に前記第1のU字形かぎ部材の第2の端部および前記第1の胴体フレームを通って延伸する第1の締め具によって、前記第1のU字形かぎ部材の前記第2の端部を複合材料で構築された前記第1の胴体フレームに固定するステップと
を含み、
前記第1のラグ部材を前記第1のU字形かぎ部材の前記第1の端部に固定する前記ステップでは、
前記第1のU字形かぎ部材は、前記第1のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第1の開口部を画定する第1のプロングを有し、前記第1のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第2の開口部を画定する第2のプロングを有し、
前記第1のラグ部材は、前記第1のU字形かぎ部材の前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間に配置され、前記第1のラグ部材を通る第1のラグ開口部を画定し、
第1のピンは、前記第1のプロングの前記第1の開口部、前記第2のプロングの前記第2の開口部を通り、前記第1のピンが前記第1の胴体フレームを横切る前記第1の方向に延伸するように、前記第1のラグ部材の前記第1のラグ開口部を通って延伸する、
固定するための方法。
【請求項15】
前記第1のU字形かぎ部材と第2のU字形かぎ部材とを備える第1の対のU字形かぎ部材であって、前記第2のU字形かぎ部材は、前記第1の胴体フレームに沿って第2の方向に前記第1のU字形かぎ部材から離間して前記第1の胴体フレームに固定される、第1の対のU字形かぎ部材、
をさらに含み、
第2のピンが、前記第2のU字形かぎ部材の第1の端部の第1のプロングの第1の開口部、前記第2のU字形かぎ部材の前記第1の端部の第2のプロングの第2の開口部を通り、前記第2のピンが前記第1の胴体フレームを横切る前記第1の方向に延伸するように、第2のラグ部材の第2のラグ開口部を通って延伸し、
第2の締め具が、前記第2のU字形かぎ部材の第2の端部を通り、前記第1の胴体フレームを横切って前記第1の方向に前記第1の胴体フレームを通って延伸し、前記第2のU字形かぎ部材を前記第1の胴体フレームに固定する、
請求項14に記載の固定するための方法。
【請求項16】
前記第1の胴体フレームから離間された第2の胴体フレームに固定された第3のU字形かぎ部材の第2の端部の第3の固定フランジによって、第3のU字形かぎ部材の第1の端部に第3のラグ部材を固定するステップをさらに含み、
前記第3のU字形かぎ部材は、前記第3のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第1の開口部を画定する第1のプロングを有し、前記第3のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第2の開口部を画定する第2のプロングを有し、
前記第3のラグ部材は、前記第3のU字形かぎ部材の前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間に配置され、前記第3のラグ部材を通る第3のラグ開口部を画定し、
第3のピンは、前記第1のプロングの前記第1の開口部、前記第2のプロングの第2の開口部を通り、前記第3のピンが前記第2の胴体フレームに沿って第3の方向に延伸するように、前記第3のラグ部材の前記第3のラグ開口部を通って延伸し、
第3の締め具は、前記第2の胴体フレームを横切る第4の方向に前記第3のU字形かぎ部材の前記第2の端部の前記第3の固定フランジおよび前記第2の胴体フレームを通って延伸し、
第2の対のU字形かぎ部材は、前記第3のU字形かぎ部材および第4のU字形かぎ部材を含み、前記第4のU字形かぎ部材は、前記第2の胴体フレームに沿って前記第3の方向に前記第3のU字形かぎ部材から離間して前記第2の胴体フレームに固定され、
前記第4のU字形かぎ部材は、前記第4のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第1の開口部を画定する第1のプロングを有し、前記第4のU字形かぎ部材の前記第1の端部に第2の開口部を画定する第2のプロングを有し、
第4のラグ部材は、前記第4のU字形かぎ部材の前記第1のプロングと前記第2のプロングとの間に配置され、前記第4のラグ部材を通る第4のラグ開口部を画定し、
第4のピンは、前記第1のプロングの前記第1の開口部、前記第2のプロングの前記第2の開口部と通り、前記第4のピンが前記第2の胴体フレームに沿って前記第3の方向に延伸するように、前記第4のラグ部材の前記第4のラグ開口部を通って延伸し、
第4の締め具は、前記第2の胴体フレームを横切って前記第4の方向に前記第4のU字形かぎ部材の前記第2の端部の第4の固定フランジおよび前記第2の胴体フレームを通って延伸する、
請求項14または15に記載の固定するための方法。
【請求項17】
前記複合材料が、5プライ構成の複数のグループを含み、前記5プライ構成は、
非線形繊維構成を有する1つのプライと、
前記非線形繊維構成の半径方向軸からプラス30度の角度変位のプラスマイナス5度を含む角度範囲内に延伸する第1の線形繊維構成を有する2つのプライと、
前記非線形繊維構成の前記半径方向軸からマイナス30度の角度変位のプラスマイナス5度を含む角度範囲内に延伸する第2の線形繊維構成を有する別の2つのプライと、
を含む、
請求項14から16のいずれか一項に記載の固定するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、航空宇宙ビークルの垂直フィンアセンブリの航空宇宙ビークルへの固定に関し、より詳細には、垂直フィンアセンブリの航空機の胴体フレームへの固定に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムフレームが航空機の複合繊維強化ポリマー(「CFRP」)外板に取り付けられたアルミニウム胴体フレームの腐食の発生が懸念される。さらに、例えばCFRP外板を有するアルミニウムフレームを利用して航空機を構築すると、材料の違いおよびそれらの異なる熱膨張効果に起因して疲労の問題が生じる。例えば、アルミニウムは、CFRPの熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する。アルミニウムは、比較すると熱的に中性であるCFRP材料に対して、低温条件では収縮し、高温条件では膨張する。フレーム構造と外板構造に異なる材料を使用する結果として、航空機の動作中に異なる温度を受けて、これらの構造は圧縮力と引張り力を受ける。さらに、製造に関して、アルミニウム胴体フレームなどの金属フレームは、疲労亀裂を防止するために、穿孔後にバリ取りを必要とし;腐食を防ぐために設置前に接合面シーリングを必要とし;製造における時間需要の拡大をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その結果、フレーム用のアルミニウムおよび航空機の外板用のCFRPなどの異なる材料を使用して行われる防食対策に関連する航空機製造のコストを削減し、それぞれが異なる熱膨張係数を有する異なる材料で構築された航空機内の相互接続構造に対する熱膨張効果の結果としての熱疲労を低減する必要がある。また、金属フレームを用いた製造に与えられる時間に対して、製造時間を短縮する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一例は、垂直フィンアセンブリを航空機に固定するための固定アセンブリを含み、固定アセンブリは、垂直フィンアセンブリに固定された第1のラグ部材を含む。固定アセンブリは、第1のU字形かぎ部材を含む。第1のU字形かぎ部材の第1の端部は、第1のラグ部材に係合する。第1のU字形かぎ部材の第2の端部は、第1の胴体フレームを横切る第1の方向に第2の端部および第1の胴体フレームを通って延伸する第1の締め具を伴って、複合材料で構築された第1の胴体フレームに固定される。
【0005】
一例は、垂直フィンアセンブリを航空機に固定するための方法を含み、この方法は、垂直フィンアセンブリに固定された第1のラグ部材を第1のU字形かぎ部材の第1の端部に固定するステップを含む。本方法は、第1の胴体フレームを横切る第1の方向に第1のU字形かぎ部材の第2の端部および第1の胴体フレームを通って延伸する第1の締め具を伴って、第1のU字形かぎ部材の第2の端部を複合材料で構築された第1の胴体フレームに固定するステップをさらに含む。
【0006】
説明された形態、機能、および利点を、様々な実施形態において独立して達成することができ、または、さらに別の実施形態で組み合わせることが可能であり、そのさらなる詳細が以下の説明および図面を参照して理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】航空機の斜視図である。
図2】複合胴体外板が示されていない、航空機の垂直尾部アセンブリの一部に固定された複合胴体フレームの、図1の航空機の前部に向かう方向の部分斜視図である。
図3図2の航空機の垂直尾部アセンブリの一部に固定された複合胴体フレームの、図1の航空機の後部に向かう方向の部分斜視図である。
図4図2の航空機の垂直尾部アセンブリの一部に固定された複合胴体フレームの、図1の航空機の前部に向かう方向の端面部分図である。
図5図2の2つの複合胴体フレームの上面部分平面図であり、各胴体フレームは、2つの複合胴体フレームのそれぞれに沿って互いに離間して配置された2つのU字形かぎ部材を有し、垂直尾部アセンブリまたはラグ部材のいずれも存在しない。
図6】複合胴体外板を通って延伸するU字形かぎ部材に固定されたラグ部材を含む、図5に見られる線6-6に沿った断面図である。
図7】U字形かぎ部材に固定されたラグ部材を含む、図5に示す線7-7に沿った断面図である。
図8図4の「図8を参照」で特定される円の箇所で代表的に見られる胴体フレームの複合材料内の繊維配置の概略図である。
図9】垂直尾部フィンアセンブリに横方向の力を加えて胴体フレームを航空機の垂直尾部フィンアセンブリに固定する固定アセンブリが受ける反力を示す、図1の航空機の胴体および垂直尾部フィンアセンブリの概略断面図である。
図10】垂直尾部フィンアセンブリを航空機に固定するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、航空機10は、胴体アセンブリ12と、翼アセンブリ14と、垂直尾部フィンアセンブリ16とを含む。航空機10の製造において、垂直尾部フィンアセンブリ16は、航空機10の外板18が固定されるスパーおよびリブの支持構造(図示せず)を含む。垂直尾部フィンアセンブリ16は、胴体フレームに接続された状態で航空機10の胴体アセンブリ12にさらに固定される。航空機10の構築において、前述したように、製作者は、胴体フレームを構築するためにアルミニウムなどの金属を利用してきた。金属製胴体フレームは、図2図4に見られるように、例えば第1、第2、第3および第4の胴体フレーム20a、20b、20cおよび20dなどの胴体フレームの構成と同様であった。垂直尾部フィンアセンブリ16が固定される胴体フレームの数は、特定の航空機10の設計に応じて変化し得る。
【0009】
本開示では、第1~第4の胴体フレーム20a~20dは、金属の代わりにCFRP材料で構築されており、これにより、金属製の胴体フレームに関連して前述したように、欠点を回避する。胴体フレームを構築するためにCRFPを利用することにより、金属製の胴体フレームに対して耐食性予防措置をとる必要はもはやない。加えて、CFRPで構築された胴体フレームでは、第1~第4の胴体フレーム20a~20dおよび胴体外板22に関する材料疲労に関連する検査の必要性はもはやなく、航空機10の第1~第4の胴体フレーム20a~20dおよび外板18は両方とも、同様のCFRP材料で構築されており、その結果、第1~第4の胴体フレーム20a~20dおよび外板18は、同様の熱膨張係数特性を有する。さらに、航空機10の延長された製造時間は、製造スケジューリングから除去される金属製胴体フレームの製造に関する鍛造順序の遅延を排除することによって短縮される。
【0010】
これらの欠点は、この例では第1から第4の胴体フレーム20a~20d、および両方ともCFRP材料で構築されている胴体外板22によって克服される。20a~20dなどの胴体フレームに使用されるCFRP材料を使用することによってもたらされる利点により、本明細書で論じる固定アセンブリ24は、胴体アセンブリ12の第1~第4の胴体フレーム20a~20dを介して垂直尾部フィンアセンブリ16を航空機10に固定するために必要とされる。固定アセンブリ24は、垂直尾部フィンアセンブリ16から、CFRP材料で構築された本例の第1~第4の胴体フレーム20a~20dへの剪断荷重の必要な伝達を提供する。
【0011】
金属で構築された胴体フレームへの垂直尾部フィンアセンブリ16の固定は、垂直尾部フィンアセンブリ16および金属胴体フレームに対してほぼ垂直方向に垂直尾部フィンアセンブリ16をボルト締めすることによって達成された。しかしながら、この固定の構成は、CFRP材料で構築されている胴体フレームに対して、この例では、航空機10の動作の結果として垂直尾部フィンアセンブリ16から第1~第4の胴体フレーム20a~20dに伝達される剪断荷重に対して最適な剪断抵抗を提供しない。結果として、固定アセンブリ24は、図2図7に見られ、本明細書に記載されるように、垂直尾部フィンアセンブリ16から生じる剪断負荷に対する耐性のために、この例では、CFRPで構築された第1~第4の胴体フレーム20a~20dに垂直尾部フィンアセンブリ16を最適に固定する。
【0012】
本明細書の4つの第1~第4の胴体フレーム20a~20dに垂直尾部フィンアセンブリ16を固定する本例では、第1~第4の胴体フレーム20a~20dのそれぞれは、垂直尾部フィンアセンブリ16を第1~第4の胴体フレーム20a~20dのそれぞれに固定する第1~第4の胴体フレーム20a~20dのそれぞれに離間した一対の固定アセンブリ24を有する。図2を参照すると、航空機10の右舷側26の第1~第4の胴体フレーム20a~20dの斜視図が見られ、図3には、航空機10の左舷側28の第1~第4の胴体フレーム20a~20dの斜視図が見られる。これら2つの図は、第1~第4の胴体フレーム20a~20dのそれぞれに対する固定アセンブリ24の各対の図を提供する。固定アセンブリ24の第1の対30は第1の胴体フレーム20a上に配置され、固定アセンブリ24の第2の対32は第2の胴体フレーム20b上に配置され、固定アセンブリ24の第3の対34は第3の胴体フレーム20c上に配置され、固定アセンブリ24の第4の対36は第4の胴体フレーム20d上に配置されている。
【0013】
本例では、固定アセンブリ24の第1の対30および第4の対36は同じように構成され、図2および図3に見られるように、前方方向38および後方方向40に結果として生じる剪断荷重を有する垂直尾部フィンアセンブリ16から伝達される剪断力に抵抗するのに最適である。対照的に、この例では、固定アセンブリ24の第2の対32および第3の対34は、同じように構成されており、結果として生じる剪断荷重が右舷方向42または左舷方向44に向けられる垂直尾部フィンアセンブリ16から伝達される剪断力に抵抗するのに最適である。一方では、固定アセンブリ24の第1の対30と第4の対36との違い、他方では、固定アセンブリ24の第2の対32と第3の対34との違いは、議論されるラグ部材への固定アセンブリ24において使用されるピンの向きである。固定アセンブリ24の第1の対30および第4の対36において、各固定アセンブリ24に対するピンは、それぞれ第1の胴体フレーム20aおよび第4の胴体フレーム20dに沿って延伸するように配置されている。固定アセンブリ24の第2の対32および第3の対34において、各固定アセンブリ24に対するピンは、それぞれ第2の胴体フレーム20bおよび第3の胴体フレーム20cを横切る方向に延伸するように配置されている。
【0014】
本例では、図2および図3に見られるように、固定アセンブリ24の第1の対30が第1の胴体フレーム20a上に配置され、固定アセンブリ24の第2の対32が第2の胴体フレーム20b上に配置されている。固定アセンブリ24の第1の対30を支持する第1の胴体フレーム20aの箇所は、垂直尾部フィンアセンブリ16に固定される第1~第4の胴体フレーム20a~20dの最も後方の位置48として配置されることに限定されず、固定アセンブリ24の第4の対36を支持する第4の胴体フレーム20dの箇所は、垂直尾部フィンアセンブリ16に固定される第1~第4の胴体フレーム20a~20dの最も前方の位置50に配置されることに限定されないことを理解されたい。同様に、固定アセンブリ24の第2の対32は、第1の胴体フレーム20aおよび第4の胴体フレーム20d上にそれぞれ配置された、固定アセンブリ24の第1の対30と第4の対36との間に配置された第2の胴体フレーム20b上に配置されることに限定されない。同様に、固定アセンブリ24の第3の対34は、第1の胴体フレーム20aおよび第4の胴体フレーム20d上にそれぞれ配置された、固定アセンブリの第1の対30と第4の対36との間に配置された第3の胴体フレーム20c上に配置されることに限定されない。本明細書に記載の本例では、固定アセンブリ24の第1の対30および第4の対36は、垂直尾部フィンアセンブリ16に固定するために、航空機10の最も後方の位置48および最も前方の位置50にそれぞれ配置された第1の胴体フレーム20aおよび第4の胴体フレーム20d上に配置されている。第2の対32および第3の対34は、垂直尾部フィンアセンブリ16を固定するために、第1の胴体フレーム20aと第4の胴体フレーム20dとの間に配置された、第2の胴体フレーム20bおよび第3の胴体フレーム20c上にそれぞれ配置されている。
【0015】
図2図7を参照すると、この例では第1~第4の胴体フレーム20a~20dに固定することによって垂直尾部フィンアセンブリ16を航空機10に固定するための固定アセンブリ24は、例えば垂直尾部フィンアセンブリ16のスパーおよびリブ(図示せず)のフレームワークに第1のラグ部材46をボルト止めする(図示せず)など、垂直尾部フィンアセンブリ16に固定される(図示せず)第1のラグ部材46を含む。第1の胴体フレーム20a上に配置された第1のU字形かぎ部材52は、図6に見られるように、第1のラグ部材46に係合される第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54を有し、これについてはさらに詳細に説明する。第1のU字形かぎ部材52は、複合材料CFRPで構築された第1の胴体フレーム20aに固定された第1のU字形かぎ部材52の第2の端部56をさらに含む。第1の締め具58は、さらに説明されるように、第2の端部56および第1の胴体フレーム20aを通って第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に延伸する。この例では、第1の締め具58はボルトとナットのアセンブリを含む。
【0016】
図6に見られるように、第1のU字形かぎ部材52は、第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54に第1の開口部64を画定する第1のプロング62を有し、第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54に第2の開口部68を画定する第2のプロング66を有する。第1のラグ部材46は、第1のU字形かぎ部材52の第1のプロング62と第2のプロング66との間に配置されている。第1のピン70は、第1のプロング62の第1の開口部64、第2のプロング66の第2の開口部68を通り、第1のピン70が第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に延伸するように、第1のU字形かぎ部材52を第1のラグ部材46に係合させる第1のラグ部材46によって画定され、第1のラグ部材46を貫通する第1のラグ開口部72を通って延伸する。第1のU字形かぎ部材52の第2の端部56は、第1の固定フランジ74を含み、第1の固定フランジ74は、第1の固定フランジ74および第1の胴体フレーム20aを通って延伸する第1の締め具58を伴って、第1の胴体フレーム20aの前側76に沿って延伸する。図4および図6に見られるように、第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に延伸する第1の締め具58を配置することで、第1のU字形かぎ部材52は、CFRPで構築された第1の胴体フレーム20aに固定され、第1の固定フランジ74を第1の胴体フレーム20aに最適に固定して、垂直尾部フィンアセンブリ16から受ける剪断荷重に最適に対抗するようにする。
【0017】
U字形かぎ部材の第1の対35は、図5に見られるように、第1のU字形かぎ部材52と、第1の胴体フレーム20aに固定された第2のU字形かぎ部材78とを含み、第1のU字形かぎ部材52および第2のU字形かぎ部材78は、第1の胴体フレーム20aに沿って第2の方向80に互いに離間して配置されている。第1のU字形かぎ部材52は、第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54に第1の開口部64を画定する第1のプロング62を有し、第2のU字形かぎ部材78は、第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54と同様に、図4に見られるように、第2のU字形かぎ部材78の第1の端部89に第1の開口部84を画定する第1のプロング82を有する。第1のU字形かぎ部材52は、第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54に第2の開口部68を画定する第2のプロング66を有し、第2のU字形かぎ部材78は、図6に見られるように、第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54と同様の第2のU字形かぎ部材78の図4に示す第1の端部89に、図5に見られるように、第2の開口部88を画定する第2のプロング86を有する。
【0018】
第1のラグ部材46は、第1のU字形かぎ部材52と第2のU字形かぎ部材78との第1の対35の第1のU字形かぎ部材52の第1のプロング62と第2のプロング66との間に配置されている。第2のラグ部材90は、図4に見られるように、第1のU字形かぎ部材52と第2のU字形かぎ部材78との第1の対35の第2のU字形かぎ部材78の、図5の第1のプロング82と第2のプロング86との間に配置されている。第1のピン70は、図6に見られるように、第1のU字形かぎ部材52の第1のプロング62の第1の開口部64、第1のU字形かぎ部材52の第2のプロング66の第2の開口部68を通り、第1のピン70が第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に延伸するように、第1のラグ部材46によって画定され、第1のラグ部材46を貫通する第1のラグ開口部72を通って延伸する。第2のピン(図示せず)は、図4に見られるように、第2のU字形かぎ部材78の第1のプロング82の第1の開口部84、第2のU字形かぎ部材78の第2のプロング86の第2の開口部88を通り、第2のピン(図示せず)が第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に延伸するように、第2のラグ部材90によって画定され、第2のラグ部材を貫通する第2のラグ開口部(図示せず)を通って延伸する。第2のラグ部材90に係合される第2のU字形かぎ部材78の構成は、第1のラグ部材46に固定される第1のU字形かぎ部材52に関して図6に示すものと同様である。
【0019】
第1のU字形かぎ部材52の第2の端部56は、図6に見られるように、第1の固定フランジ74を含み、第2のU字形かぎ部材78の第2の端部91は、図4に見られるように、第2の固定フランジ92を含む。第1の固定フランジ74は、第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に第1の固定フランジ74および第1の胴体フレーム20aを通って延伸する図6の第1の締め具58を伴って、第1の胴体フレーム20aの前側76に沿って延伸する。第2の固定フランジ92は、図4に見られるように、第2の締め具94を伴って第1の胴体フレーム20aの前側76に沿って延伸し、第2の締め具94は、図6に見られる第1の固定フランジ74の構成と同様に、第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に第2の固定フランジ92および第1の胴体フレーム20aを通って延伸する。
【0020】
第3のU字形かぎ部材96は、図5および図7に見られるように、この例では、航空機10の長さLに沿って第1のU字形かぎ部材52から離間した、複合材料CFRPで構築された第2の胴体フレーム20bに固定され、第3のU字形かぎ部材96の第1の端部102に第1の開口部100を画定する第1のプロング98を有し、第3のU字形かぎ部材96の第1の端部102に第2の開口部106を画定する第2のプロング104を有する。第3のラグ部材108は、第3のU字形かぎ部材96の第1のプロング98と第2のプロング104との間に配置されている。第3のピン110は、第3のU字形かぎ部材96の第1のプロング98の第1の開口部100、第2のプロング104の第2の開口部106を通り、第3のピン110が、図5に見られるように、第2の胴体フレーム20bに沿って第3の方向112に延伸するように、第3のU字形かぎ部材96を第3のラグ部材108に係合させる第3のラグ部材108によって画定され、第3のラグ部材108を貫通する第3のラグ開口部(図示せず)を通って延伸する。図7に見られるように、第3のU字形かぎ部材96の第2の端部114は、例えばナットを有するボルトなどの第3の締め具120を伴って第2の胴体フレーム20bの前側118に沿って延伸する第3の固定フランジ116を含み、第3の締め具120は、第2の胴体フレーム20bを横切る第4の方向122に第3の固定フランジ116および第2の胴体フレーム20bを通って延伸する。
【0021】
この例には、図5に見られるように、上述のような第3のU字形かぎ部材96と、同じく複合材料CFRPで構築される第2の胴体フレーム20bに固定された第4のU字形かぎ部材124とを含む第2の対のU字形かぎ部材37がさらに含まれる。第3のU字形かぎ部材96および第4のU字形かぎ部材124は、第2の胴体フレーム20bに沿って第3の方向112に互いに離間して配置されている。上述したように、第3のU字形かぎ部材96は、第3のU字形かぎ部材96の第1の端部102に第1の開口部100を画定する第1のプロング98を有し、第4のU字形かぎ部材124は、第4のU字形かぎ部材124の第1の端部(図示せず)に第1の開口部127を画定する第1のプロング126を有する。第4のU字形かぎ部材124の第1の端部(図示せず)は、図7に示す第3のU字形かぎ部材96の第1の端部102と同様である。前述の図5に見られる第3のU字形かぎ部材96は、第3のU字形かぎ部材96の第1の端部102に第2の開口部106を画定する第2のプロング104を有する。第4のU字形かぎ部材124は、第4のU字形かぎ部材124の第1の端部(図示せず)に第2の開口部130を画定する第2のプロング128を有する。
【0022】
第3のラグ部材108は、第3のU字形かぎ部材96の第1のプロング98と第2のプロング104との間に配置されている。第4のラグ部材132は、図3に見られるように、図5の第4のU字形かぎ部材124の第1のプロング126と第2のプロング128との間に配置されている。第3のピン110は、図7に見られるように、第3のU字形かぎ部材96の第1のプロング98の第1の開口部100、第3のU字形かぎ部材96の第2のプロング104の第2の開口部106を通り、第3のピン110が、図5に示すように、第2の胴体フレーム20bに沿って第3の方向112に延伸するように、第3のラグ部材108によって画定され、第3のラグ部材を貫通する第3のラグ開口部(図示せず)を通って延伸する。第4のピン(図示せず)は、図7に見られる第3のピン110と同様に、図5の第4のU字形かぎ部材124の第1のプロング126の第1の開口部127、第4のU字形かぎ部材124の第2のプロング128の第2の開口部130を通り、第4のピン(図示せず)が、図5に見られるように第2の胴体フレーム20bに沿って第3の方向112に延伸するように、図3に見られるように、第4のラグ部材132によって画定され、第4のラグ部材132を貫通する第4のラグ開口部(図示せず)を通って延伸する。
【0023】
第3のU字形かぎ部材96の第2の端部114は、図7に見られるように、第3の固定フランジ116を含み、第4のU字形かぎ部材124の第2の端部(図示せず)は、図2に見られるように、第4の固定フランジ134を含む。第4のU字形かぎ部材124の第2の端部(図示せず)および第4の固定フランジ134は、図7に示すように、第3のU字形かぎ部材96の第2の端部114および第3の固定フランジ116と同様である。第3の固定フランジ116は、図2および図7に見られるように、第3の締め具120を伴って第2の胴体フレーム20bの前側118に沿って延伸し、第3の締め具120は、第2の胴体フレーム20bを横切る第4の方向122に第3の固定フランジ116および第2の胴体フレーム20bを通って延伸する。第4の固定フランジ134は、図2に見られるように、第4の締め具(図示せず)を伴って第2の胴体フレーム20bの前側118に沿って延伸するが、図7に見られる第3の固定フランジ116の固定配置と同様に、第2の胴体フレーム20bを横切る第4の方向122に第4の固定フランジ134および第2の胴体フレーム20bを通って延伸する図7の第3の締め具120と同様である。
【0024】
第1~第4の胴体フレーム20a~20dは、この例では、CFRPなどの複合材料で構築されている。この例では、複合材料は、第1~第4の胴体フレーム20a~20dを構築する際に使用される複合材料の各層に対して5プライ構成を有し、この例では、複合材料の複数の層が使用される。図8を参照すると、一方のプライは、繊維の非線形繊維構成136を有する。複合材料の各層を構築する際に、複合材料の一方のプライは、その層のプライの20%を含む繊維の非線形繊維構成136を含む。この例では、繊維の非線形繊維構成136は、半径方向軸Rを有する湾曲方向に延伸する。複合材料の2つのプライは、半径方向軸Rから角度的に変位するプラス30度のプラスマイナス5度を含む角度範囲内に延伸する繊維138の第1の線形繊維構成を有する。角度変位は角度「A」として表される。複合材料の2つのプライは、その層のプライの約40%を含む繊維138の第1の線形繊維構成を有する。層のための複合材料の別の2つのプライは、半径方向軸Rから角度的に変位するマイナス30度のプラスマイナス5度を含む角度範囲内に延伸する繊維140の第2の直線繊維構成を含む。角度変位は角度「B」として表される。複合材料中の繊維構成のこの例は、金属カウンターパート胴体フレームよりも軽量であり、航空機10の動作の結果として垂直尾部フィンアセンブリ16から生じる剪断荷重に対する必要な耐性を提供する構築を提供する。
【0025】
図9を参照すると、航空機10の後方の位置48に向かって見たときの航空機10の概略断面図が、胴体アセンブリ12および垂直尾部フィンアセンブリ16と共に示されている。航空機10の動作中の第1~第4の胴体フレーム20a~20dに対する反作用剪断力の例が示されている。航空機10の動作では、この例のように、航空機10の右舷側26から空気力学的動作力Fを加えることができる。空気力学的動作力Fの合力荷重は、垂直尾部フィンアセンブリ16を介して伝達され、それにより、20a~20dなどの胴体フレームは、空気力学的動作力Fに対抗する際に、航空機10の垂直尾部フィンアセンブリ16の左舷側28の垂直尾部フィンアセンブリ16に向かう方向の力F1と、航空機10の垂直尾部フィンアセンブリ16の右舷側26の垂直尾部フィンアセンブリ16から離れる方向の力F2との反作用力を提供する。空気力学的動作力Fの方向が逆になると、反作用力F1およびF2の方向が逆になる。本明細書に記載の固定アセンブリ24の例では、胴体フレーム20bおよび20c上にそれぞれ配置された固定アセンブリ24の第2の対32および第3の対34は、航空機10の右舷側26または左舷側28から受ける空気力学的動作力Fに対処する際に胴体フレーム20bと20cとの間の最適な荷重伝達を提供する。胴体フレーム20aおよび20d上にそれぞれ配置された固定アセンブリ24の第1の対30および第4の対36は、航空機10の長さLに沿った垂直尾部フィンアセンブリ16に対する長手方向の動作力に対処する際に、胴体フレーム20aおよび20dと垂直尾部フィンアセンブリ16との間の最適な荷重伝達を提供する。
【0026】
図10を参照すると、垂直尾部フィンアセンブリ16を航空機10に固定するための方法142は、垂直尾部フィンアセンブリ16に固定された第1のラグ部材46を第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54に固定するステップ144を含む。方法142は、第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に第1のU字形かぎ部材52の第2の端部56および第1の胴体フレーム20aを通って延伸する第1の締め具58を伴って、第1のU字形かぎ部材52の第2の端部56を複合材料で構築された第1の胴体フレーム20aに固定するステップ146をさらに含む。
【0027】
第1のラグ部材46を第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54に固定するステップ144では、図5に見られるように、第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54に第1の開口部64を画定する第1のプロング62を有し、第1のU字形かぎ部材52の第1の端部54に第2の開口部68を画定する第2のプロング66を有する、第1のU字形かぎ部材52が含まれる。第1のラグ部材46は、図6に見られるように、第1のU字形かぎ部材52の第1のプロング62と第2のプロング66との間に配置され、第1のラグ部材46を通る第1のラグ開口部72を画定する。第1のピン70は、第1のプロング62の第1の開口部64、第2のプロング66の第2の開口部68を通り、第1のピン70が第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に延伸するように、第1のラグ部材46の第1のラグ開口部72を通って延伸する。
【0028】
固定するための方法142は、図5に見られるように、第1のU字形かぎ部材52と第2のU字形かぎ部材78とを含むU字形かぎ部材の第1の対35をさらに含み、第2のU字形かぎ部材78は、第1の胴体フレーム20aに沿って第2の方向80に第1のU字形かぎ部材52から離間して第1の胴体フレーム20aに固定される。第2のピン(図示せず)は、第2のU字形かぎ部材78の第1の部分の第1のプロング82の第1の開口部84、第2のU字形かぎ部材78の第1の端部89の第2のプロング86の第2の開口部88を通り、第2のピン(図示せず)が第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に延伸するように、第2のラグ部材90の第2のラグ開口部(図示せず)を通って延伸する。第2の締め具94は、図4に見られるように、第2のU字形かぎ部材78の第2の端部91を通り、第1の胴体フレーム20aを横切る第1の方向60に第1の胴体フレーム20aを通って延伸し、第2のU字形かぎ部材78を第1の胴体フレーム20aに固定している。
【0029】
方法142は、図7に見られるように、第3のラグ部材108を第3のU字形かぎ部材96の第1の端部102に固定するステップをさらに含み、第3のU字形かぎ部材96の第2の端部114の第3の固定フランジ116は、第1の胴体フレーム20aから離間している第2の胴体フレーム20bに固定される。第3のU字形かぎ部材96は、図5に見られるように、第3のU字形かぎ部材96の第1の端部102に第1の開口部100を画定する第1のプロング98を含み、第3のU字形かぎ部材96の第1の端部102に第2の開口部106を画定する第2のプロング104を有する。第3のラグ部材108は、第3のU字形かぎ部材96の第1のプロング98と第2のプロング104との間に配置され、第3のラグ部材108を通る第3のラグ開口部(図示せず)を画定する。第3のピン110は、第1のプロング98の第1の開口部100、第2のプロング104の第2の開口部106を通り、第3のピン110が第2の胴体フレーム20bに沿って第3の方向112に延伸するように、第3のラグ部材108の第3のラグ開口部(図示せず)を通って延伸する。第3の締め具120は、図7に見られるように、第2の胴体フレーム20bを横切る第4の方向122に、第3のU字形かぎ部材96の第2の端部114の第3の固定フランジ116および第2の胴体フレーム20bを通って延伸する。
【0030】
図5に見られるように、第2の対のU字形かぎ部材37は、第3のU字形かぎ部材96および第4のU字形かぎ部材124を含み、第4のU字形かぎ部材124は、第2の胴体フレーム20bに沿って第3の方向112に第3のU字形かぎ部材96から離間した第2の胴体フレーム20bに固定される。第4のU字形かぎ部材124は、第4のU字形かぎ部材124の第1の端部(図示せず)に第1の開口部127を画定する第1のプロング126を有し、第4のU字形かぎ部材124の第1の端部(図示せず)に第2の開口部130を画定する第2のプロング128を有する。第4のU字形かぎ部材124の第1の端部(図示せず)は、図7に示す第3のU字形かぎ部材96の第1の端部102と同様である。第4のラグ部材132は、図3に見られるように、第4のU字形かぎ部材124の第1のプロング126と第2のプロング128との間に配置され、第4のラグ部材132を通る第4のラグ開口部(図示せず)を画定する。第4のピン(図示せず)は、図7に見られる第3のピン110と同様に、第1のプロング126の第1の開口部127、第2のプロング128の第2の開口部130を通り、第4のピン(図示せず)が第2の胴体フレーム20bに沿って第3の方向112に延伸するように、第4のラグ部材132の第4のラグ開口部(図示せず)を通って延伸する。図7の第3の締め具120と同様の第4の締め具(図示せず)は、図2に見られるように、第4のU字形かぎ部材124の第2の端部(図示せず)の第4の固定フランジ134および第2の胴体フレーム20bを貫通して、図7に見られる第3の固定フランジ116の固定配置と同様に、第2の胴体フレーム20bを横切る第4の方向122に延伸する。
【0031】
第1~第4の胴体フレーム20a~20dの構築に使用される複合材料は、層のための5プライ構成を含み、図8に見られるように、繊維の非線形繊維構成136を有する1つのプライを含む複数の層が、前述のように、この例では使用される。2つのプライは、繊維の非線形繊維構成136の半径方向軸Rからプラス30度の角度変位のプラスマイナス5度を含む角度範囲内に延伸する繊維138の第1の線形繊維構成を有する。別の2つのプライは、繊維の非線形繊維構成136の半径方向軸Rからマイナス30度の角度変位のプラスマイナス5度を含む角度範囲内に延伸する繊維140の第2の線形繊維構成を有する。
【0032】
様々な実施形態について上述したが、本開示はそれに限定されるものではない。添付の特許請求の範囲の範囲内にある開示された実施形態に変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 航空機
12 胴体アセンブリ
14 翼アセンブリ
16 垂直尾部フィンアセンブリ
18 外板
20a,20b,20c,20d 胴体フレーム
22 胴体外板
24 固定アセンブリ
26 右舷側
28 左舷側
30 第1の対
32 第2の対
34 第3の対
35 第1の対
36 第4の対
37 第2の対のU字形かぎ部材
38 前方方向
40 後方方向
42 右舷方向
44 左舷方向
46 第1のラグ部材
48 後方の位置
50 前方の位置
52 第1のU字形かぎ部材
54 第1の端部
56 第2の端部
58 第1の締め具
60 第1の方向
62 第1のプロング
64 第1の開口部
66 第2のプロング
68 第2の開口部
70 第1のピン
72 第1のラグ開口部
74 第1の固定フランジ
76 前側
78 第2のU字形かぎ部材
80 第2の方向
82 第1のプロング
84 第1の開口部
86 第2のプロング
88 第2の開口部
89 第1の端部
90 第2のラグ部材
91 第2の端部
92 第2の固定フランジ
94 第2の締め具
96 第3のU字形かぎ部材
98 第1のプロング
100 第1の開口部
102 第1の端部
104 第2のプロング
106 第2の開口部
108 第3のラグ部材
110 第3のピン
112 第3の方向
114 第2の端部
116 第3の固定フランジ
118 前側
120 第3の締め具
122 第4の方向
124 第4のU字形かぎ部材
126 第1のプロング
127 第1の開口部
128 第2のプロング
130 第2の開口部
132 第4のラグ部材
134 第4の固定フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10