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特許7737585静電容量による非接触式高さ測定方法及び測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-02
(45)【発行日】2025-09-10
(54)【発明の名称】静電容量による非接触式高さ測定方法及び測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/263 20220101AFI20250903BHJP
   E21D 11/10 20060101ALI20250903BHJP
【FI】
G01F23/263
E21D11/10 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2025117167
(22)【出願日】2025-07-11
【審査請求日】2025-07-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593089046
【氏名又は名称】青木あすなろ建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004598
【氏名又は名称】弁理士法人小野・引田特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊男
(72)【発明者】
【氏名】駒田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】村田 康平
(72)【発明者】
【氏名】梶原 陸
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-057097(JP,A)
【文献】特開2014-145729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0180663(US,A1)
【文献】中国実用新案第222332501(CN,U)
【文献】特開2022-003222(JP,A)
【文献】特開2013-210193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00、23/14-23/2965、23/80
B28B 1/14
E04G 21/00-21/32
E21D 11/10
G01N 27/22
G01N 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属型枠の外側面において、上下方向に沿って、導線が接続された一対の帯状の電極体を互いに水平方向に間隔を置いて配設し、前記一対の電極体に交流信号を入力して得られた静電容量に基づいて、前記非金属型枠の内側に形成された空間に導入したセメント系物質の導入高さを測定する非接触式高さ測定方法であって、
前記非金属型枠は、
非金属材料からなる基体と、
前記基体の外側面に所定の間隔で配設された複数の縦補強材と、
前記基体の外側面に所定の間隔で配設され、かつ、前記縦補強材と交差する複数の横補強材と、
を備え、
前記基体の外側面には、隣接する前記縦補強材同士の間に形成された領域のうちの少なくとも一つに、前記基体の上端側から下端側に亘って前記横補強材が配設されていない平滑面を含む開口部が形成されており、
前記開口部において、前記平滑面に前記一対の電極体が上下方向に起伏なく直線状に密着配置されており、かつ、前記一対の電極体の幅方向の外側両端部と、この電極体と隣接する前記縦補強材との間に、前記一対の電極体の電界の強度変化を抑制する離間部が形成されている、
静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項2】
前記縦補強材又は横補強材が、非金属材料又は金属材料からなる、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項3】
前記縦補強材が非金属材料であり、前記一対の電極体の幅方向の外側両端部と、この電極体と隣接する前記縦補強材までの水平距離が15mm以上である、
請求項2の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項4】
前記縦補強材が金属材料であり、前記一対の電極体の幅方向の外側両端部と、この電極体と隣接する前記縦補強材までの水平距離が40mm以上である、
請求項2の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項5】
前記一対の電極体の表面を絶縁体で覆うとともに、前記絶縁体をシールドシートで覆う、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項6】
上下方向に複数の前記非金属型枠を接続する場合において、
上側の前記非金属型枠に設置した前記一対の電極体の下端部と、下側の前記非金属型枠に設置した前記一対の電極体の上端部とが、コネクタで接続されている、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項7】
前記コネクタがシールドチューブで被覆されている、
請求項6の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項8】
上下に隣接する前記非金属型枠のうち、上側に位置する非金属型枠は、下端部に金属材料からなる前記横補強材を備え、下側に位置する非金属型枠は、上端部に金属材料からなる前記横補強材を備え、
前記コネクタが、上側に位置する前記非金属型枠の下端部の前記横補強材と、下側に位置する非金属型枠の上端部の前記横補強材との表面を跨いで接続されている、
請求項6の静電容量による非接触式高さ測定法。
【請求項9】
上下に隣接する前記非金属型枠のうち、上側に位置する非金属型枠は、下端部に金属材料からなる前記横補強材を備え、下側に位置する非金属型枠は、上端部に金属材料からなる前記横補強材を備え、
前記コネクタ部分の前記金属材料の横補強材を取り除き、前記一対の電極体が上下方向に起伏なく直線状に密着配置されている、
請求項6の静電容量による非接触式高さ測定法。
【請求項10】
前記非金属型枠が、前記一対の電極体が設置されていない他の型枠に接続されている、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定法。
【請求項11】
前記交流信号として、任意の測定周波数の測定用交流信号を入力し、前記一対の電極体間のインピーダンスと位相角を測定して容量性リアクタンスを算出し、静電容量の値を測定し、その値に基づいて前記空間に打設される前記セメント系物質の導入高さを算出する、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項12】
前記測定周波数が1KHz~20MHz、前記測定用交流信号が5mVrms~5Vrmsの範囲である、
請求項11の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項13】
測定時の静電容量の初期値をゼロ値として測定する、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項14】
前記一対の電極体が、長尺の電極体であり、前記電極体の長手方向の一部が幅広に形成されている、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項15】
前記一対の電極体が防水処理されている、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項16】
前記空間に打設された前記セメント系物質の導入高さの数値又は図表の少なくともいずれかを表示装置により表示する、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項17】
前記非金属型枠の前記基体がFRPからなるFRP型枠である、
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法。
【請求項18】
請求項1の静電容量による非接触式高さ測定方法に使用される、非接触式高さ測定装置であって、
非金属型枠と、
導線が接続され、互いに水平方向に間隔を置いて並設される一対の帯状の電極体と、
を備え、
前記非金属型枠は、
非金属材料からなる基体と、
前記基体の外側面に所定の間隔で配設された複数の縦補強材と、
前記基体の外側面に所定の間隔で配設され、かつ、前記縦補強材と交差する複数の横補強材と、
を備え、
前記基体の外側面には、隣接する前記縦補強材同士の間に形成された領域のうちの少なくとも一つに、前記基体の上端側から下端側に亘って前記横補強材が配設されていない平滑面を含む開口部が形成されており、
前記開口部において、前記平滑面に前記一対の電極体が上下方向に起伏なく直線状に密着配置されており、かつ、前記一対の電極体の幅方向の外側両端部と、この電極体と隣接する前記縦補強材との間に、前記一対の電極体の電界の強度変化を抑制する離間部が形成されている、
非接触式高さ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量による非接触式高さ測定方法及び測定装置に関し、詳しくは、壁体を隔てた反対側のセメント系物質の高さレベルを電極体間の静電容量の値に基づいて検出する非接触式高さ測定方法及び測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンクリート等のセメント系物質を型枠内に充填する際の充填量を測定する方法として、様々な高さ測定方法が開発されている(例えば、特許文献1)。その多くは、センサをコンクリートに直接接触させて検知する方法であり、これらの方法では、打設箇所毎にセンサをセットしなければならず、また、センサが構造物内で埋め殺しとなり、転用が不可能であるなどの問題があった。
【0003】
その問題を解決するために、本発明者は、型枠外面に設置したセンサに高周波電流を印可して電界を発生させ、コンクリートの打設高さに応じて電界が変化するとともに静電容量が増加する原理を利用し、型枠内のコンクリートの打設高さを非接触で測定する技術の開発に成功している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-3222号公報
【文献】特許第7636611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の静電容量による非接触式高さ測定方法は、非金属材料体からなる型枠内のセメント系物質の高さレベルを、型枠内の外側に配置した簡便で製造コストが安価なセンサにより、複雑な電気信号を処する回路を必要とすることなく容易に検出でき、特に比較的高い高さレベルに対しても検出することができる点で優れた技術である。
【0006】
また、この技術におけるセンサの型枠への配置は、導線が接続された一対の電極体を、型枠外側部の上下方向に、間隔を置いて密着配置又は離隔して配設するものであり、平坦な型枠の外側面に配置することを前提としている。
【0007】
一方で、例えば、トンネル工事におけるコンクリート打設施工の現場では、型枠の外側面が平坦でなかったり、センサの配置スペースが十分ない場合があった。また、型枠に金属製の補強部材等が使用されている場合には、その金属製補強部材が、発生させる電界に影響を及ぼし、静電容量を正確に測定できないなどの問題が考えられるため、これらの点において改良の余地があった。
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、非金属型枠を用いて形成した空間にセメント系物質を導入する施工において、一対の電極体を非金属型枠の外側部、上下方向に起伏なく容易に直線状に密着配置でき、かつ、金属補強部材等による電解への影響を防止し、正確な高さ測定を可能とする静電容量による非接触式高さ測定方法及びこれに用いる測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、以下のことを特徴としている。
【0010】
[1]非金属型枠の外側面において、上下方向に沿って、導線が接続された一対の帯状の電極体を互いに水平方向に間隔を置いて配設し、前記一対の電極体に交流信号を入力して得られた静電容量に基づいて、前記非金属型枠の内側に形成された空間に導入したセメント系物質の導入高さを測定する非接触式高さ測定方法であって、
前記非金属型枠は、
非金属材料からなる基体と、
前記基体の外側面に所定の間隔で配設された複数の縦補強材と、
前記基体の外側面に所定の間隔で配設され、かつ、前記縦補強材と交差する複数の横補強材と、
を備え、
前記基体の外側面には、隣接する前記縦補強材同士の間に形成された領域のうちの少なくとも一つに、前記基体の上端側から下端側に亘って前記横補強材が配設されていない平滑面を含む開口部が形成されており、
前記開口部において、前記平滑面に前記一対の電極体が上下方向に起伏なく直線状に密着配置されており、かつ、前記一対の電極体の幅方向の外側両端部と、この電極体と隣接する前記縦補強材との間に、前記一対の電極体の電界の強度変化を抑制する離間部が形成されている、
静電容量による非接触式高さ測定方法。
[2]前記縦補強材又は横補強材が、非金属材料又は金属材料からなる、
[1]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[3]前記縦補強材が非金属材料であり、前記一対の電極体の幅方向の外側両端部と、この電極体と隣接する前記縦補強材までの水平距離が15mm以上である、
[1]又は[2]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[4]前記縦補強材が金属材料であり、前記一対の電極体の幅方向の外側両端部と、この電極体と隣接する前記縦補強材までの水平距離が40mm以上である、
[1]又は[2]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[5]前記一対の電極体の表面を絶縁体で覆うとともに、前記絶縁体をシールドシートで覆う、
[1]から[4]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[6]上下方向に複数の前記非金属型枠を接続する場合において、
上側の前記非金属型枠に設置した前記一対の電極体の下端部と、下側の前記非金属型枠に設置した前記一対の電極体の上端部とが、コネクタで接続されている、
[1]から[5]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[7]前記コネクタがシールドチューブで被覆されている、
[6]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[8]上下に隣接する前記非金属型枠のうち、上側に位置する非金属型枠は、下端部に金属材料からなる前記横補強材を備え、下側に位置する非金属型枠は、上端部に金属材料からなる前記横補強材を備え、
前記コネクタが、上側に位置する前記非金属型枠の下端部の前記横補強材と、下側に位置する非金属型枠の上端部の前記横補強材との表面を跨いで接続されている、
[6]又は[7]の静電容量による非接触式高さ測定法。
[9]上下に隣接する前記非金属型枠のうち、上側に位置する非金属型枠は、下端部に金属材料からなる前記横補強材を備え、下側に位置する非金属型枠は、上端部に金属材料からなる前記横補強材を備え、
前記コネクタ部分の前記金属材料の横補強材を取り除き、前記一対の電極体が上下方向に起伏なく直線状に密着配置されている、
[6]又は[7]の静電容量による非接触式高さ測定法。
[10]前記非金属型枠が、前記一対の電極体が設置されていない他の型枠に接続されている、
[1]から[9]の静電容量による非接触式高さ測定法。
[11]前記交流信号として、任意の測定周波数の測定用交流信号を入力し、前記一対の電極体間のインピーダンスと位相角を測定して容量性リアクタンスを算出し、静電容量の値を測定し、その値に基づいて前記空間に打設される前記セメント系物質の導入高さを算出する、
[1]から[10]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[12]前記測定周波数が1KHz~20MHz、前記測定用交流信号が5mVrms~5Vrmsの範囲である、
[11]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[13]測定時の静電容量の初期値をゼロ値として測定する、
[1]から[12]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[14]前記一対の電極体が、長尺の電極体であり、前記電極体の長手方向の一部が幅広に形成されている、
[1]から[13]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[15]前記一対の電極体が防水処理されている、
[1]から[14]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[16]前記空間に打設された前記セメント系物質の導入高さの数値又は図表の少なくともいずれかを表示装置により表示する、
[1]から[15]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[17]前記非金属型枠の前記基体がFRPからなるFRP型枠である、
[1]から[16]の静電容量による非接触式高さ測定方法。
[18]前記[1]の静電容量による非接触式高さ測定方法に使用される、非接触式高さ測定装置であって、
非金属型枠と、
導線が接続され、互いに水平方向に間隔を置いて並設される一対の帯状の電極体と、
を備え、
前記非金属型枠は、
非金属材料からなる基体と、
前記基体の外側面に所定の間隔で配設された複数の縦補強材と、
前記基体の外側面に所定の間隔で配設され、かつ、前記縦補強材と交差する複数の横補強材と、
を備え、
前記基体の外側面には、隣接する前記縦補強材同士の間に形成された領域のうちの少なくとも一つに、前記基体の上端側から下端側に亘って前記横補強材が配設されていない平滑面を含む開口部が形成されており、
前記開口部において、前記平滑面に前記一対の電極体が上下方向に起伏なく直線状に密着配置されており、かつ、前記一対の電極体の幅方向の外側両端部と、この電極体と隣接する前記縦補強材との間に、前記一対の電極体の電界の強度変化を抑制する離間部が形成されている、
非接触式高さ測定装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法及び測定装置によれば、導線が接続された一対の電極体を非金属型枠の外側部の上下方向に、起伏なく容易に直線状に密着配置でき、かつ、金属補強部材等による電解への影響を防止し、正確に高さ測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る静電容量による非接触式高さ測定方法に用いる測定装置の非金属型枠の実施形態を示し、(a)は非金属材料からなる横補強材及び縦補強材を有する非金属型枠の横補強材を設けていない平滑面に一対の電極体を配置した実施形態を示す概略正面図であり、(b)は(a)におけるA-A断面図、(c)は(a)におけるB-B断面図である。
図2】本発明に係る静電容量による非接触式高さ測定方法に用いる測定装置の非金属型枠の他の実施形態を示し、(a)は非金属材料からなる横補強材及び縦補強材を有する非金属型枠の縦補強材と横補強材の一部を設けていない平滑面に一対の電極体を配置した実施形態を示す概略正面図であり、(b)は(a)におけるA-A断面図、(c)は(a)におけるB-B断面図である。
図3】本発明に係る静電容量による非接触式高さ測定方法に用いる測定装置の非金属型枠の他の実施形態を示し、(a)は、金属材料からなる縦補強材と、非金属材料及び金属材料からなる横補強材を有する非金属型枠に一対の電極体を配置した概略正面図であり、(b)は(a)におけるA-A断面図、(c)は(a)におけるB-B断面図である。
図4】一対の電極体と補強鋼材の離隔に伴う静電容量測定値の変化のグラフである。
図5】上型枠と下型枠を接合した実施形態を示し、(a)は非金属材型枠の接続部において、一対の電極体同士がコネクタで接続されている実施形態の正面図であり、(b)は(a)におけるA-A断面図、(c)は(a)における接続部の側面断面拡大図である。
図6】(a)はトンネル覆工用のFRP型枠を用いたセントルの横断面図であり、(b)は(a)におけるヒンジ部を示す箇所で、電極体の接続部が横補強材として金属材料を用いた実施形態の拡大正面図であり、(c)は(b)における上型枠と下型枠の接続部の拡大側面断面図、(d)は(c)における接続部のヒンジが開いた状態を示す拡大側面断面図である。
図7】(a)はトンネル覆工用のFRP型枠を用いたセントルにおいて、電極体の接続部がFRPの横補強材を使用している場合の拡大正面図であり、(b)は(a)における上側の型枠と下側型枠の接続部の拡大横断面図、(c)は(b)における接続部のヒンジが開いた状態の側面拡大図である。
図8】セントルに電極体を取り付けたFRP測定用型枠の斜視図である。
図9図8におけるコンクリートの打設高さをモニタで画面表示した説明図である。
図10】電極体を取り付けて一体化したセンサ付き高さFRP測定用型枠を、他の型枠に接続させた実施形態を示す斜視図である。
図11図10におけるコンクリートの打設高さをモニタで画面表示した説明図である。
図12】(a)は、一対の電極体を、長尺の電極体と、所定の位置の電極の幅を大きくした電極体からなる電極体を配置した実施形態を示す正面図であり、(b)は、(a)におけるコンクリート高さと静電容量との関係を示すグラフである。
図13】一対の電極体を防水した実施形態を示す上面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法は、非金属型枠の外側面において、上下方向に沿って、導線が接続された一対の帯状の電極体を互いに水平方向に間隔を置いて配設し、一対の電極体に交流信号を入力して得られた静電容量に基づいて、非金属型枠の内側に形成された空間に導入したセメント系物質の導入高さを測定する非接触式高さ測定方法であり、非金属材料からなる基体と、基体の外側面に所定の間隔で配設された複数の縦補強材と、基体の外側面に所定の間隔で配設され、かつ、縦補強材と交差する複数の横補強材とを備え、基体の外側面に、隣接する縦補強材同士の間に形成された領域のうちの少なくとも一つに、基体の上端側から下端側に亘って横補強材が配設されていない平滑面を含む開口部を形成させた非金属型枠を用いるものである。
【0014】
以下に、本発明に係る静電容量による非接触式高さ測定方法及び測定装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る静電容量による非接触式高さ測定方法に用いる測定装置の非金属型枠の実施形態を示し、(a)は非金属材料からなる横補強材及び縦補強材を有する非金属型枠の横補強材を設けていない平滑面に一対の電極体を配置した実施形態を示す概略正面図であり、(b)は(a)におけるA-A断面図、(c)は(a)におけるB-B断面図である。また、図2は、測定装置の非金属型枠の他の実施形態を示し、(a)は非金属材料からなる横補強材及び縦補強材を有する非金属型枠の縦補強材と横補強材の一部を設けていない平滑面に一対の電極体を配置した実施形態を示す概略正面図であり、(b)は(a)におけるA-A断面図、(c)は(a)におけるB-B断面図である。なお、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0015】
まず、本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法について詳述する。本発明の測定方法は、導線が接続された一対の電極体を間隔を置いて配設した上記構成の非金属型枠を使用した測定装置を用い、電極体に交流信号を入力して得られた静電容量に基づいて、空間に導入したセメント系物質の導入高さを測定する測定方法であり、その動作原理は、距離をおいて空気で絶縁させた一対の電極体間に交流電流を印加することにより、電極体間に電界を生じさせてコンデンサのように静電容量を生じさせ、この電界内に空気より比誘電率の高いセメント系物質を導入すると静電容量が増加するという原理を用いている。
【0016】
セメント系物質としては、比誘電率が高く測定可能なものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、フレッシュコンクリート、フレッシュモルタル等のセメント系物質を例示することができる。
【0017】
一対の電極体への入力信号は、所定の周波数の測定用交流信号であり、電極体間のインピーダンスと位相角を測定して容量性リアクタンスを算出し、次式を用いて静電容量の値を計算して、その値によりセメント系物質の高さレベルを求める。
=1/(2πfC)
(X:容量リアクタンス f:交流電圧の周波数 C:静電容量)
測定用交流信号は5mVrms~5Vrmsの範囲、測定周波数は1KHz~20MHzの範囲が好ましい。測定周波数を高い周波数範囲に設定することにより、電界の変動に対する検出感度が向上し、微細な静電容量の変化が検出できるとともに、ノイズに対して比較的耐性を有し、外部からの干渉や電磁ノイズの影響を抑えることができる。
【0018】
静電容量の計測装置としては、LCRメータ、マルチメータあるいはインピーダンスアナライザ等交流入力信号を発生し印加するとともに、静電容量を測定できる機器を好適に用いることができる。なお、非金属型枠の厚みについては、厚さが増加するにつれて静電容量が検出しづらくなるため、検出可能な範囲の厚みとすることが考慮される。また、計測装置で測定した計測データは、表示装置により表示することができる。また、測定開始時の静電容量は、電極体設置時の周囲の環境による静電容量の値を考慮して、初期値をゼロ値として測定することができる。
【0019】
導線が接続された一対の電極体は、非金属型枠の外側部に間隔を空けて密着して配設されている。そして、非金属型枠を用いて形成した空間にセメント系物質が充填されると、充填高さの増加に伴い電極体間の静電容量の値も増加する。これにより、静電容量の値に基づいてセメント系物質の高さを測定することができる。
【0020】
電極体は、導電性を有する金属板状のものであればよく、特に、銅、アルミ等の材質で、薄板状、膜状のものが軽量で好適である。電極体の非金属型枠への取り付けは、例えば、非金属型枠外側面の密着面に両面テープ又は絶縁性を有する接着剤により取り付けたり、電極体の片面に接着剤が塗布された導電性銅箔粘着テープや導電性アルミ箔粘着テープ等を使用することもできる。電極体の外側面は、絶縁性を有する片面粘着のテープで覆う等の保護をすることが望ましい。
【0021】
また、予め一組の電極体を絶縁体上に形成しておくこともできる。具体的には、例えば、絶縁材料からなる1枚のフィルムの片面に、板状又は膜状の2枚の電極体を互いに間隔を置いて配設したり、絶縁材料からなる2枚のフィルムの間に、膜状の2枚の電極体を互いに間隔を置いて配設する等して一対の電極体を一体に形成することができる。また、非金属型枠は、電極体との密着面が非金属型枠であればよく複合材料であってもよい。また、膜状の電極体は、フィルムに印刷又は蒸着又はめっきにより形成されていてもよい。
【0022】
導線は、リード線でも同軸ケーブルでもよく、リード線は単線でも撚線でもよい。ただし、リード線を用いる場合は、高周波になるほど外部から到来する電磁波の影響を受けやすいため、伝送長さが長い場合は電磁波の影響を受けにくい、高周波信号伝送用のケーブルとして用いる同軸ケーブルを用いるのが好ましい。
【0023】
なお、例えば、トンネル工事におけるコンクリート打設施工に非金属型枠を用いる場合には、型枠が十分な強度を有する必要があり、強度を付与するために基体と、基体の外側面に所定の間隔で配設された複数の縦補強材と、基体の外側面に所定の間隔で配設され、かつ、縦補強材と交差する複数の横補強材とを設けている。一方で、正確な静電容量の測定には電極体を平坦な外側面に対して、上下方向に起伏なく直線状に密着配置する必要があるが、上記のように、補強のために外側面に縦補強材、横補強材を設けた非金属型枠の場合には、特に横補強材が邪魔となり、電極体を上下方向に起伏なく直線状に密着配置することができない。そのため、本発明では、図1図2に例示するように、非金属材料からなる基体10の外側面に、隣接する縦補強材11同士の間に形成された領域のうちの少なくとも一つに、基体10の上端側から下端側に亘って横補強材13が配設されていない平滑面100を含む開口部101を形成させた非金属型枠1を用い、その平滑面100に電極体2を配設している。
【0024】
図1図2に示す実施形態では、非金属型枠1は、基体10の主材料がFRP(繊維強化プラスチック)からなるFRP型枠であり、縦補強材11及び横補強材13もFRPにより形成されている。また、図1に示す実施形態の非金属型枠1では、2本の縦補強材11の間の横補強材13を縦方向に配設していない平滑面100を含む開口部101を確保している。また、図2に示す実施形態の非金属型枠1では、中央の縦補強材と、2本の縦補強材11の間の横補強材13を縦方向に配設せず、平滑面100を含む開口部101を確保して、そのスペースに導線21が接続された一対の電極体2を間隔を置いて縦方向に配設している。図1図2に示す実施形態の非金属型枠1は、補強材を配設しない外側面はフラットの平滑面100であり、電極体2を上下方向に起伏なく直線状に密着配置させることができる。
【0025】
本発明に用いる非金属型枠1における基体10の材質は、絶縁体であれば特に限定されるものではなく、上記実施形態のFRPのほか、プラスチック、ゴム、木材、皮革等の有機材料や、ファインセラミックス、ガラス、陶磁器、耐火物、セメント系物質等の無機材料、また、これらの複合材料を用いることができる。なお、本発明における非金属型枠の意味は、基体10の主材料が非金属物質である型枠との意味であり、一部に金属製の補助部材を用いた型枠も本発明の非金属型枠とする。
【0026】
また、非金属型枠1の外側面に設けられた縦補強材11及び横補強材13の材質も、上記非金属型枠1の材質と同様の非金属材料であってもよいし、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属、また、これら金属を含む材料であってもよい。また、縦補強材11及び横補強材13は、非金属型枠1と一体に形成されていたり、別体に形成されて固定されていてもよく、形状等は、十分な補強強度が得られれば限定されるものではなく、無垢材や中空管、リブ形状等の補強材を用いることができる。
【0027】
なお、図1図2に示す実施形態のように、縦補強材11及び横補強材13の材質が非金属材料である場合、一対の電極体2と隣接する縦補強材11との間の離間部(α)、即ち、一対の電極体2の幅方向の外側両端部から縦補強材11までの水平距離(α)を15mm以上確保することが望ましい。離間部(α)を15mm以上とすることにより、電極体2を配設する十分なスペースを確保することができ、また、発生させる電界の強度変化に対する影響を抑制することができる。
【0028】
一方、一対の電極体2の近傍に金属材料からなる縦補強材12又は横補強材14がある場合、すべての補強材が非金属材料の場合と比較して、電極体2に交流電流を印加させて発生させた電界の強度変化に影響を及ぼし、それに伴い静電容量も変化することで高さ検知が不安定になることが想定される。
【0029】
そこで、図3に示す実施形態のFRP型枠1を用いて金属材料の補強材による影響を調べる実験を行った。図3に示す実施形態のFRP型枠1は、縦補強材12を金属材料とし、横補強材をFRPと金属材料が混在した横補強部材13、14としている。また、2本の縦補強材12の間の横補強材13、14を縦方向に配設しない平滑面100を含む開口部101を確保するとともに、金属部材からなる2本の縦補強材12の間の距離を変更可能としている。
【0030】
(実験)
空気中で、図3に示すFRP型枠1の一対の電極体の幅方向の外側両端部と、この電極体と隣接する金属材料からなる可変縦補強材12との間隔(離間部)を10mm~50mmまで10mm毎に変更して静電容量の変化を測定した。電極体2として40mmの銅箔テープを用い、テープ間隔を2mmとし、測定用交流信号を0.63Vrms、測定周波数100KHzの条件で印加し、静電容量をLCRメータで読値した。また、読値した静電容量を金属材料の影響が見られなかった、間隔が40mm、50mmの場合の静電容量268.9pFを測定時の初期値として、10mm~50mmの各静電容量から引いた値を調整後の静電容量として調整した。その結果を表1及び図4のグラフに示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1及び図4の結果から、縦補強材12と電極体2の離間部が40mm以上であると金属材料からなる補強材の影響がないことが確認された。従って、縦補強材12又は横補強材14の少なくとも何れかが金属材料又は金属材料を含む材料の場合、配設する一対の電極体2と隣接する縦補強材12との間の離間部(β)、即ち、電極体2の幅方向の外側両端部から縦補強材12までの水平距離(β)を40mm以上とすることが望ましい。
【0033】
本発明の静電容量による非接触式高さ測定方法では、非金属型枠1を上下に複数接続することができる。具体的には、図5に示す実施形態の構成を例示することができる。図5に示す構成では、上下のFRP型枠1(15)、(16)の接続部において、上下の電極体2同士がコネクタ22で接続されているとともに、高周波の印加に伴う電極体2、導線21、コネクタ22に対する外部環境からの高周波ノイズを考慮した対策として、一対の電極体2に絶縁体23を挟んでシールドシート24を外面に取り付け、さらに、防滴効果を考慮して、導線21、コネクタ22をシールドチューブで被覆している。また、シールドシートをさらにアース棒に接続等してアースしてもよい。
【0034】
例えば、1つのFRP型枠1の高さを1.8mとした場合、その高さより高く打設する場合は、上型枠15と下型枠16を接続して型枠を高くして打設する。このとき、打設高さを測定するためには、型枠の接続部で上下の電極体2を接続する。その接続方法は、上型枠15と下型枠16の外側面の上下に沿って配設している電極体2を上型枠15と下型枠16が接続される横補強材13の箇所でコネクタ22を用いて接続する。電極体2の接続部では、図5(c)に示すように、縦補強材11に対して横補強材13の位置で上型枠15と下型枠16に跨って外側面に沿って取り付けられている導線21を通じてコネクタ22で繋ぎ接続している。このようにして、型枠の接続部においても連続的に打設高さを測定することができる。なお、高さ測定においては、上型枠15と下型枠16の接続部は、電極体2が横補強材13の厚さ分ないので、電極体2の接続部の高さを増加調整するため、下型枠16から上型枠15に打設部分が移ったとき、電極体2が接続されていない導線21の部分においては横補強材13の厚みを高さの数値にプラスすることが考慮される。
【0035】
また、上下に非金属型枠1を接続する場合の上型枠15の下端部の横補強材13と、下型枠16の上端部の横補強材14が金属材料からなる場合においては、上型枠15に設置した電極体2の下端部と、下型枠16に設置した電極体2の上端部とを接続するコネクタ22は、横補強材14の表面を跨いで接続されていることが好ましい。また、接続部の横補強材14を取り除き、電極体2を上下方向に起伏なく直線状に密着配置させることもできる。
【0036】
具体的には、図6に示す実施形態を示すことができる。図6(a)はトンネル覆工用のFRP型枠1を用いたセントル61の横断面図である。上下のFRP型枠1同士を接続する接続部と、セントル61のセット、縮小のためのヒンジ17が左右2か所ずつ設けられている。ヒンジ17は、FRP型枠1の角度を変え、コンクリート打設時にセントル61を広げてセットし、コンクリート打設後、セントル61を縮めて次の位置にスライドして移動するために設けられている。図6(b)は、図6(a)におけるヒンジ17部の拡大正面図であり、ヒンジ17により接続された横補強材14が鋼材により形成されている。図6(c)は、図6(b)の拡大側面断面図ある。コネクタ22の接続は、上型枠15と下型枠16の接続部の横補強材14を跨って導線21を接続している。接続方法は、図5に示す実施形態と同様である。図6(d)は、図6(c)における接続部のヒンジが開いた状態の拡大側面断面図である。
【0037】
図7(a)に示す実施形態は、図6(a)において、セントル61における電極体の接続部がFRPの横補強材13を使用している場合を示している。図7(b)は、図7(a)における上側の型枠と下側型枠の接続部の拡大横断面図である。また、図7(c)は図7(b)における接続部のヒンジ17が開いた状態の側面拡大図である。
【0038】
図8は、セントル61において電極体2を取り付けた、本発明の測定装置の実施形態を示す斜視図である。電極体2をセントル61左右内側にそれぞれ円周方向に沿わせて取り付け、セントル61下端側から出ている導線21を計測装置3と表示装置4に繋げて測定、表示する。ここでは、一対の電極体2をセントル61の内側に、既設側、中央、妻側の3ヶ所で上下に左右取り付けて測定している。電極体2のセントル61への取り付けは、セントル61の内面に密着して取り付け、FRP型枠1の接続部、ヒンジ17はコネクタ22で接続いている。
【0039】
図9は、図8の測定装置のトンネル6のコンクリートの打設高さをモニタ4で画面表示した説明図である。図9の上部映像はトンネル6を側面から見た図で、下部映像はトンネル6を正面から見た断面図である。打設コンクリートの高さをこのように表示、図化することにより、打設状況をリアルタイムに視覚的に把握することができる。この場合、トンネル6の断面形状はアーチ型になるので、事前にアーチ形状に合わせて電極体2の長さと、コンクリートの打設高さとの関係を算定しておき、打設高さを算出している。
【0040】
本発明における非金属型枠1は、一対の電極体2が設置されていない他の型枠18に接続することもできる。電極体2が設置されていない他の型枠18としては、木製型枠、透明型枠、プラスチック型枠等を例示することができ、これらを適宜組み合わせで使用することもできる。また、非金属型枠1と他の型枠18との間は継目がずれないようにすることが好ましく、具体的には、例えば単管をホームタイ(登録商標)で締め付けたり、より確実に締め付けるために、非金属型枠1と他の型枠18の接続部に締結用穴を設けてボルトで固定したり、クランプで挟んで固定することができる。また、継目の止水をより強力にする場合は、非金属型枠1と他の型枠18の継目に防水テープを張ったり、継目の間にシールを挟むことで対応することもできる。なお、この場合、予め非金属型枠1のフレーム部に止水用のシール材を貼付しておくことが好ましい。
【0041】
図10は、電極体2をFRP型枠1の各側面の外側、上下方向に取り付けたFRP型枠1を他の型枠18(木製型枠)の間に接続した実施形態を示す概略斜視図である。なお、図10の実施形態では、FRP型枠1の縦補強材11、横補強材13は省略している。本実施形態では、打設面積が広く複数の位置の打設高さを検知する場合において、FRP型枠1に近い部分について同時に把握することができる。また、生コンクリートポンプ車のブームの移動による打設ではなく、配管を用いたバルブの切り替えで打設をする場合等、打設箇所のコンクリートの打設高さを知ることができるため、各バルブ切り替えのタイミングを適時把握することができる。また、データは無線通信装置で伝送し、パソコン等の表示装置4で画面表示することができる。伝送先は、打設をしている作業所内のほか、遠く離れた事務所等に伝送してもよい。
【0042】
図11は、図10におけるコンクリートの打設高さをモニタで画面表示した実施形態の説明図である。本実施形態では、4箇所の各位置の打設高さを表示している。この表示を作業所内の大型画面で表示することにより、作業関係者が打設の進捗状況を逐次把握することができ、次作業の準備などへの助けとすることができる。
【0043】
図12(a)は、他の実施形態の正面図であり、一対の電極体2を長尺の電極体2と、所定の位置の電極体2の幅を大きくした幅広の電極体25とを配置して高さを測定する場合を示している。本実施形態では、一対の電極体2において、FRP型枠1の側部中央部の一定高さ区間に幅広の電極体25を配置することで、打設コンクリートが幅広の電極体25の位置に達したときに静電容量の増加勾配が大きくなる。これにより、コンクリートが幅広の電極体25の一定高さまで充填されていることを検知し、実際の高さに補正することで、より精度よく測定することができる。長尺の電極体2の横幅は20mm、途中の短尺で幅広の電極体25の横幅は80mm、長さは20mmであり、高さ50cmから52cmの箇所に取り付けている。打設時間が長時間に及ぶ場合の打設済みのコンクリートの硬化に伴う比例定数の変化等が生じる場合の打設にも適用できる。
【0044】
図12(b)は、図12(a)における打設コンクリート高さと静電容量との関係を示すグラフである。この測定結果では、高さが0cmから50cm程度までは一定の増加率となっており、幅広の電極体25を設けた50cmから52cm程度で増加率が一旦高くなり、幅広の電極体25を過ぎた52cm程度から前の増加率に戻っている。この50~52cmの箇所の増加率の変化により、幅広の電極体25を配設した高さまで打設が行われたことが確認できる。そして、それ以降、引き続き比例定数を基に高さを測定することができる。なお、幅広の電極体25は、必要に応じて複数個所設置することができる。
【0045】
図13は、一対の電極体2を防水した実施形態を示す平面図である。一対の電極体2による静電容量は、FRP型枠1の外側の電界内に誘電体物質である水等が付いた場合、静電容量が増加し、高さの値に誤差が生じると考えられる。そこで、電極体2の周囲を防水囲い26で覆うことが好ましい。防水囲い26は、電極体2に対してある程度距離を置き、間に絶縁体である空気層を設けるようにする。防水囲い26は他の誘電体物質の接触の防御にもなる。また、防水囲い26の代わりに、アクリル板等の板を直接銅シートに張り付けることも考慮される。この場合の張り付け方法は、両面テープ又は接着剤を使用するのが好ましい。また、一対の電極体2に絶縁体23を挟んでシールドシート24を外面に取り付けたり、導線21及びまたコネクタ22をシールドチューブで被覆することと組み合わせることで、より防水効果を高めることもできる。
【0046】
本発明の測定装置は、上記静電容量による非接触式高さ測定方法に使用される非接触式高さ測定装置であり、非金属型枠1と、導線21が接続され、互いに水平方向に間隔を置いて並設される一対の帯状の電極体1とを備えており、非金属型枠1は、非金属材料からなる基体10と、基体10の外側面に所定の間隔で配設された複数の縦補強材11、12と、基体の外側面に所定の間隔で配設され、かつ、縦補強材11、12と交差する複数の横補強材13、14とを備え、基体10の外側面には、隣接する縦補強材11、12同士の間に形成された領域のうちの少なくとも一つに、基体10の上端側から下端側に亘って横補強材13、14が配設されていない平滑面100を含む開口部101が形成されており、開口部101において、平滑面100に一対の電極体1が上下方向に起伏なく直線状に密着配置されており、かつ、一対の電極体2の幅方向の外側両端部と、この電極体2と隣接する縦補強材11、12との間に、一対の電極体2の電界の強度変化を抑制する離間部(α)又は(β)が形成されている。
【0047】
上記構成の本発明の非接触式高さ測定装置によれば、導線21が接続された一対の電極体2を非金属型枠1の外側部の上下方向に、起伏なく容易に直線状に密着配置することができ、かつ、金属補強部材等による電解への影響を防止し、正確に高さ測定ができる。
【符号の説明】
【0048】
1 非金属型枠(FRP型枠)
10 基体
100 平滑面
101 開口部
11 非金属縦補強材
12 金属縦補強材
13 非金属横補強材
14 金属横補強材
15 上型枠
16 下型枠
17 ヒンジ
18 他の型枠
19 非金属型枠(センサ付きFRP型枠)と他の型枠(木製型枠)の接続部
α 離間部
β 離間部
2 電極体
21 導線
22 コネクタ
23 絶縁体
24 シールドシート
25 幅広の電極体
26 防水囲い
3 計測装置
4 表示装置(モニタ)
5 セメント系物質
6 トンネル
61 セントル
62 打設空間
【要約】
【課題】一対の電極体を非金属型枠の外側部、上下方向に起伏なく容易に直線状に密着配置でき、かつ、金属補強部材等による電解への影響を防止し、正確な高さ測定を可能とする静電容量による非接触式高さ測定方法及び測定装置を提供すること。
【解決手段】非金属型枠1の外側面において、上下方向に沿って、導線21が接続された一対の帯状の電極体2を互いに水平方向に間隔を置いて配設し、一対の電極体に交流信号を入力して得られた静電容量に基づいて、非金属型枠の内側に形成された空間に導入したセメント系物質5の導入高さを測定する非接触式高さ測定方法であって、非金属型枠は、非金属材料からなる基体10と、基体の外側面に所定の間隔で配設された複数の縦補強材と、基体の外側面に所定の間隔で配設され、かつ、縦補強材と交差する複数の横補強材とを備え、基体の外側面には、隣接する縦補強材同士の間に形成された領域のうちの少なくとも一つに、基体の上端側から下端側に亘って横補強材が配設されていない平滑面100を含む開口部101が形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13