(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-03
(45)【発行日】2025-09-11
(54)【発明の名称】分断装置
(51)【国際特許分類】
B28D 5/00 20060101AFI20250904BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20250904BHJP
C03B 33/033 20060101ALI20250904BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20250904BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20250904BHJP
【FI】
B28D5/00 Z
B26F3/00 A
C03B33/033
H01L21/68 N
H01L21/78 T
(21)【出願番号】P 2021158501
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2024-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】西尾 仁孝
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-071390(JP,A)
【文献】特開2010-280043(JP,A)
【文献】特開2014-120508(JP,A)
【文献】特開平03-255645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 5/00
B26F 3/00
C03B 33/033
H01L 21/683
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を、当該基板に形成されたスクライブラインに沿って分断する分断装置であって、
前記スクライブラインに沿う方向の刃先の長さが異なる複数のブレイクバーと、
前記複数のブレイクバーの中の一つのブレイクバーが、前記刃先が前記基板と当接可能となる使用位置に配置されるよう、前記複数のブレイクバーを切り替える切替機構と、
を備え
、
各前記ブレイクバーは、当該ブレイクバーが延びる方向と直交する方向に並ぶ、刃先の長さが等しい一対のブレードにより構成され、
前記複数のブレイクバーの前記一対のブレードを同時に開閉させる開閉機構を、さらに備える、
ることを特徴とする分断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分断装置において、
前記基板は、
円形に形成され、
内周縁が円形である環状のフレームに粘着シートを介して保持され、
前記スクライブラインと直交する方向に複数の領域に区分され、
前記領域に応じて前記複数のブレイクバーの切り替えが行われるように前記切替機構を制御する制御部を、さらに備える、
ことを特徴とする分断装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の分断装置において、
前記切替機構は、
前記複数のブレイクバーが周方向に配列され、前記複数のブレイクバーが延びる方向に平行な回動軸を中心に回動可能なバー保持体と、
前記バー保持体を回動させる第1アクチュエータと、を含む、
ことを特徴とする分断装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の分断装置において、
前記開閉機構は、
前記バー保持体の隣に配置され、前記回動軸を中心に回動可能な回動体と、
前記回動体を相反する第1方向と第2方向に回動させる第2アクチュエータと、
前記一対のブレードと前記回動体との間に設けられ、前記回動体が前記第1方向に回動したときに、前記一対のブレードを開く方向に移動させ、前記回動体が前記第2方向に回動したときに、前記一対のブレードを閉じる方向に移動させるリンク機構と、を含む、ことを特徴とする分断装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の分断装置において、
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータは、前記回動軸の方向において、前記バー保持体を挟むように配置される、
ことを特徴とする分断装置。
【請求項6】
請求項3ないし
5の何れか一項に記載の分断装置において、
前記バー保持体には、前記使用位置に配置された前記ブレイクバーと対向する位置に、残りの前記ブレイクバーのうちの一つが配置され、
前記使用位置の前記ブレイクバーの前記一対のブレードの隙間を、前記対向する位置の前記ブレイクバーの前記一対のブレードの隙間を通じて撮像できる位置に、撮像装置が設
けられる、
ことを特徴とする分断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を分断する分断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板や半導体ウェーハ等の脆性材料からなる基板を、当該基板の裏面側に位置する第1ブレードと、当該基板のスクライブラインが形成された表面側に位置する一対の第2ブレードとの三点曲げにより分断する分断装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。第1ブレードは、第1ブレイクバーを構成し、一対の第2ブレードは、第2ブレイクバーを構成する。
【0003】
一対の第2ブレードは、微小距離だけ隔てて配置される。ブレイク時には、2つの第2ブレードの中間にスクライブラインが位置し、第1ブレードの位置がスクライブラインの位置と一致するように基板が位置付けられ、第1ブレードが第2ブレードに近づくように移動して基板を押圧する。これにより、スクライブラインのクラック先端に応力集中が生じて第1ブレード側にクラックが伸展し、基板が分断される。基板は、スクライブラインと直交する方向に移動されながら、複数のスクライブラインの各位置で分断されていく。
【0004】
上記分断装置は、第2ブレードが第1ブレードに近づくように移動し、基板を押圧するような構成とすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板は円形に形成され、その裏面に張り付けられた粘着シートを介して内周縁が円形の環状のフレームに保持され得る。基板を保持したフレームは、分断装置に設けられた移動用のテーブルにセットされる。
【0007】
内周縁が円形のフレームでは、スクライブラインと直交する方向において、フレームの内側の間隔が、中央から両側に離れるに従って小さくなる。このため、従来は、ブレイクの際に、中央から離れた位置でフレームとブレードとの干渉が生じて三点曲げが妨げられないよう、フレームのサイズを基板のサイズよりも大幅に大きくする必要があり、粘着シートのランニングコストが高くなったり、分断装置のサイズが大きくなったりする虞があった。
【0008】
上記の課題などに鑑みた場合、分断する部分の幅(スクライブラインの長さ)に応じて、当該幅に適する長さの刃先を有するブレイクバーに切り替え可能であれば、基板のサイズに対してフレームのサイズを大幅に大きくしなくてよくなる。このことは、内周縁が円形でないフレームにより基板を保持する場合も同様である。
【0009】
そこで、本発明は、基板の保持に使用されるフレームのサイズを小さくでき得る分断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主たる態様は、基板を、当該基板に形成されたスクライブラインに沿って分断する分断装置に関する。本態様に係る分断装置は、前記スクライブラインに沿う方向の刃先の長さが異なる複数のブレイクバーと、前記複数のブレイクバーの中の一つのブレイクバーが、前記刃先が前記基板と当接可能となる使用位置に配置されるよう、前記複数のブレイクバーを切り替える切替機構と、を備える。各前記ブレイクバーは、当該ブレイクバーが延びる方向と直交する方向に並ぶ、刃先の長さが等しい一対のブレードにより構成され得る。この場合、前記複数のブレイクバーの前記一対のブレードを同時に開閉させる開閉機構を、さらに備える。
【0011】
本態様に係る分断装置によれば、分断する部分の幅(スクライブラインの長さ)に適する長さの刃先を有するブレイクバーを使用して基板を分断できる。これにより、ブレイクバーの刃先の長さによる制限を受けて基板のサイズよりも大幅に大きなサイズのフレームを基板の保持に使用しなくてよくなり、結果、フレームのサイズを小さくできる。また、複数のブレイクバーの一対のブレードの間隔、即ちブレード間隔を、一度に所望の間隔に調整できるので、効率的なブレード間隔の調整が行える。
【0012】
本態様に係る分断装置において、前記基板は、円形に形成され、内周縁が円形である環状のフレームに粘着シートを介して保持され、前記スクライブラインと直交する方向に複数の領域に区分されるような構成とされ得る。この場合、前記領域に応じて前記複数のブレイクバーの切り替えが行われるように前記切替機構を制御する制御部を、さらに備えるような構成が採られ得る。
【0013】
上記の構成によれば、基板が、円形に形成され、内周縁が円形であるフレームに保持された場合に、スクライブラインと直交する方向における、中央から両側に離れた位置で、フレームと上ブレイクバーとの干渉が生じることを防止できる。これにより、フレームのサイズを小さくできる。
【0014】
本態様に係る分断装置において、前記切替機構は、前記複数のブレイクバーが周方向に配列され、前記複数のブレイクバーが延びる方向に平行な回動軸を中心に回動可能なバー保持体と、前記バー保持体を回動させる第1アクチュエータと、を含むような構成とされ得る。なお、回動軸は回動しない。
【0015】
上記の構成によれば、第1アクチュエータを動作させてバー保持体を回動させることにより、ブレイクバーの切り替えを行うことができる。
【0018】
上記の構成とされた場合、さらに、前記開閉機構は、前記バー保持体の隣に配置され、前記回動軸を中心に回動可能な回動体と、前記回動体を相反する第1方向と第2方向に回動させる第2アクチュエータと、前記一対のブレードと前記回動体との間に設けられ、前記回動体が前記第1方向に回動したときに、前記一対のブレードを開く方向に移動させ、前記回動体が前記第2方向に回動したときに、前記一対のブレードを閉じる方向に移動させるリンク機構と、を含むような構成とされ得る。
【0019】
このような構成とされれば、開閉機構が、切替機構と同じ回動軸の周りに構成されているので、切替機構と開閉機構とを含む構造体全体をコンパクトに構成できる。
【0020】
上記の構成とされた場合、さらに、前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータは、前記回動軸の方向において、前記バー保持体を挟むように配置され得る。
【0021】
このような構成とされれば、回動軸の方向において、バー保持体の両側の重量バランスを良くすることができる。
【0022】
本態様に係る分断装置において、前記バー保持体には、前記使用位置に配置された前記ブレイクバーと対向する位置に、残りの前記ブレイクバーのうちの一つが配置され得る。この場合、前記使用位置の前記ブレイクバーの前記一対のブレードの隙間を、前記対向する位置の前記ブレイクバーの前記一対のブレードの隙間を通じて撮像できる位置に、撮像装置が設けられ得る。
【0023】
上記の構成によれば、撮像装置を用いて、使用位置の一対のブレードと基板のスクライブラインとの位置関係を良好に監視できる。
【発明の効果】
【0026】
上記のように、本発明によれば、基板の保持に使用されるフレームのサイズを小さくでき、フレームのサイズが小さくてもブレイク動作時にブレイクバーとフレームとが干渉しない分断装置を提供できる。
【0027】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の1つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る、分断装置により分断される基板がフレームに保持された状態を模式的に示す平面図および断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、Y軸負方向に見た分断装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、Y軸正方向に見た分断装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る、Y軸負方向に見た分断装置の調整ユニットの周辺の正面図である。
【
図5】
図5(a)は、実施形態に係る、Y軸負方向に見た上ブレイクバーユニットの斜視図である。
図5(b)は、実施形態に係る、Y軸正方向に見た上ブレイクバーユニットの斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、実施形態に係る、Y軸負方向に見た上ブレイクバーユニットの斜視断面図である。
図6(b)は、実施形態に係る、Y軸負方向に見たバー保持体の斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る、Y軸負方向に見た、2つのカム板に連結されたリンク機構の斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る、開閉機構による一対のブレードの開閉動作について説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る、Y軸負方向に見た昇降ユニットの正面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る、Y軸正方向に見た昇降ユニットの斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る、分断装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る、高さ調整処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態に係る、ブレイクバー切替処理のために基板に設定される領域について説明するための図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る、ブレイクバー切替処理を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施形態に係る、領域に応じた上ブレイクバーの切り替えについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。Z軸は、鉛直方向に平行である。上方および下方は、それぞれZ軸正方向およびZ軸負方向に対応する。
【0030】
[基板の構成]
図1(a)、(b)は、それぞれ、分断装置1により分断される基板Fがフレーム3に保持された状態を模式的に示す平面図および断面図である。
【0031】
本実施形態において、基板Fは、たとえば、脆性材料基板(脆性材料層を有する基板を含む)であり、ウェーハであってもよい。基板Fの材質、厚み、およびサイズは、製造目的となる製品(たとえば、半導体チップ、半導体デバイス)の種類、機能等によって適切に選択され、設計される。
【0032】
脆性材料として、たとえば、単結晶材料、多結晶材料(セラミックス等)、ガラスが挙げられる。
【0033】
基板Fは、たとえば、電子機器等に広く利用される半導体チップの母材となる半導体ウェーハや、半導体デバイスの母材となる半導体パッケージ基板である。
【0034】
単結晶材料として、たとえば、単結晶シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、およびヒ化ガリウム(GaAs)、サファイア、石英等が挙げられる。セラミックスとして、低温焼成セラミックスや高温焼成セラミックスなどが挙げられる。基板Fは、表面または内部に脆性材料に該当しない薄膜などの層(樹脂層、金属層等)あるいは半導体材料を付着させたり、含ませたりしたものであってもよい。
【0035】
基板Fは、複数、たとえば、2つの基板が貼り合わされてなる、貼り合わせ基板であってもよい。このような基板Fとして、たとえば、一方の基板にはカラーフィルタ(CF)が形成され、他方の基板には薄膜トランジスタ(TFT)が形成されているものが挙げられる。
【0036】
本実施形態では、基板Fが円形状を有する。基板Fの表面側には、縦横(格子状)に、複数のスクライブラインLが形成される。基板Fは、その裏面側が粘着シートであるダイシングテープ2に貼り付けられ、ダイシングテープ2を介してフレーム3に保持される。フレーム3は、内周縁が円形状を有する環状に形成され、基板Fを囲む。
【0037】
図1(b)に示すように、基板Fの厚みは、フレーム3の厚みよりも小さい。このため、フレーム3の表面は、基板Fの表面よりも張り出す。通常、フレーム3と基板Fは、ダイシングテープ2の同一面上に貼り付けられるため、フレーム3の裏面は、基板Fの裏面と面一となる。
【0038】
なお、
図1(a)では、スクライブラインLが格子状に形成されているが、スクライブラインLの形成方法は、これに限られない。
【0039】
基板Fは、フレーム3に保持された状態で分断装置1にセットされ、分断装置1により分断される。
【0040】
[分断装置の構成]
図2は、Y軸負方向に見た分断装置1の斜視図である。
図3は、Y軸正方向に見た分断装置1の斜視図である。
図4は、Y軸負方向に見た分断装置1の調整ユニット40の周辺の正面図である。なお、
図2および
図3では、分断装置1に基板Fがセットされている。また、
図4では、架台10およびテーブルユニット30が省略されている。
【0041】
分断装置1は、架台10と、支持フレーム20と、テーブルユニット30と、調整ユニット40と、下ブレイクバー50と、切替可能な4つの上ブレイクバー60と、昇降ユニット70と、2つの撮像装置80と、を備える。4つの上ブレイクバー60は、上ブレイクバーユニットBUに含まれる。
【0042】
架台10は、X軸、Y軸およびZ軸方向に延びる複数本のリニアフレーム11を組み付けることにより構成され、直方体状の外郭を有する。架台10の底面には、複数の調整脚12が設けられる。
【0043】
支持フレーム20は、Y軸方向に延びる2本のリニアフレーム21と、Z軸方向に延びる2本のリニアフレーム22とを、四角形状に組むことにより構成される。支持フレーム20は、架台10の天面に設置される。支持フレーム20には、2つのリニアフレーム22の内側近傍に、これらリニアフレーム22に沿うようにZ軸方向に延びる円柱状の一対のガイドポール23が設けられる。一対のガイドポール23は、上端が上側のリニアフレーム21に固定され、下端が下側のリニアフレーム21に固定される。
【0044】
支持フレーム20の内側に、テーブルユニット30、調整ユニット40、下ブレイクバー50、上ブレイクバーユニットBUおよび昇降ユニット70が配置される。
【0045】
テーブルユニット30は、リニアテーブル31と、ターンテーブル32とを含む。リニアテーブル31は、方形板状を有する。リニアテーブル31は、アクチュエータ33(たとえば、減速機付きサーボモータ)により駆動されてY軸方向に直線移動する。この際、リニアテーブル31は、Y軸方向に延びる一対のガイドシャフト34に案内される。
【0046】
ターンテーブル32は、円板状を有し、リニアテーブル31の上に配置される。ターンテーブル32は、アクチュエータ35(たとえば、減速機付きサーボモータ)により駆動されて回動する。
【0047】
テーブルユニット30には、リニアテーブル31とターンテーブル32とを貫通する方形状の開口部36が形成される。ターンテーブル32の上に、基板Fを保持したフレーム3が置かれる。ターンテーブル32にフレーム3が接触し、開口部36の内側に基板Fが位置する。
【0048】
調整ユニット40は、テーブルユニット30の下方に設けられ、テーブルユニット30の高さを調整する。調整ユニット40は、スライダ41と、アクチュエータ42と、ボールねじ43とを含む。
【0049】
スライダ41は、角棒状を有し、X軸方向に延びる。スライダ41は、両端部がリニアブッシュ44を介して一対のガイドポール23に接続され、一対のガイドポール23にZ軸方向(上下方向)にスライド可能に支持される。アクチュエータ42は、たとえば、減速機付きのサーボモータである。ボールねじ43は、スライダ41に固定されたナット43aと、アクチュエータ42に接続されたネジ軸43bとを含み、アクチュエータ42の駆動によるネジ軸43bの回転によりスライダ41を昇降させる。
【0050】
テーブルユニット30の一対のガイドシャフト34の中央部がスライダ41に固定される。スライダ41が昇降すると、テーブルユニット30が昇降する。
【0051】
下ブレイクバー50は、断面山形の刃先51を有する、X軸方向に延びる細長いブレードである。下ブレイクバー50は、スライダ41の上面中央部にX軸方向に並ぶように配置された2つのロードセル45により、下方から支持される。下ブレイクバー50は、両端部に下方に延びるシャフト52を有し、これらシャフト52が、スライダ41の上面に設けられたリニアブッシュ46に挿入される。これにより、下ブレイクバー50が、スライダ41に対してX軸およびY軸方向(水平方向)に固定される。一方、下ブレイクバー50は、上下方向には移動可能であるため、下ブレイクバー50に加わる荷重を、2つのロードセル45により検出可能となる。
【0052】
下ブレイクバー50は、テーブルユニット30の開口部36の内側に位置し、その刃先51の高さがターンテーブル32の上面の高さと同じになる。下ブレイクバー50は、テーブルユニット30と同じくスライダ41に固定されているため、調整ユニット40の動作により、テーブルユニット30と一体的に昇降する。
【0053】
上ブレイクバーユニットBUは、テーブルユニット30の上方に配置される。上ブレイクバーユニットBUは、基板FのスクライブラインLに沿う方向となるX軸方向の刃先61の長さが異なる4つの上ブレイクバー60と、それらの中の一つの上ブレイクバー60が使用位置に配置されるように、4つの上ブレイクバー60を自動で切り替える切替機構100とを含む。使用位置は、上ブレイクバー60が基板Fの分断に使用される位置であり、当該上ブレイクバー60が、テーブルユニット30に置かれた基板Fに当接可能となる位置、即ち、降下したときに基板Fと当接する位置である。また、使用位置の上ブレイクバー60は、基板Fを挟んで下ブレイクバー50と対向する。
【0054】
図5(a)は、Y軸負方向に見た上ブレイクバーユニットBUの斜視図である。
図5(b)は、Y軸正方向に見た上ブレイクバーユニットBUの斜視図である。
図6(a)は、Y軸負方向に見た上ブレイクバーユニットBUの斜視断面図である。
図6(b)は、Y軸負方向に見たバー保持体110の斜視図である。
図7は、Y軸負方向に見た、2つのカム板210に連結されたリンク機構230の斜視図である。なお、
図7では、便宜上、スライダ231がリンク部材232から離脱した状態とされている。
【0055】
各上ブレイクバー60は、X軸方向に延び、X軸に垂直な方向に並ぶ、細長い一対のブレード60a、60bにより構成される。一対のブレード60a、60bは、並び方向に対称な形状であり、隣り合う端部に断面が直角三角形の刃先61a、61bを有する。2つの刃先61a、61bは、互い対向する面が平行となる。2つの刃先61a、61bは、刃先61を構成する。
【0056】
4つの上ブレイクバー60のうち3つの上ブレイクバー60は、その刃先61、即ち一対のブレード60a、60bの刃先61aにおけるX軸方向の両端部が後退した形状(削られた形状)を有している。3つの上ブレイクバー60の刃先61の後退部分の長さ(削り量)は、互いに異なっており、これによって、刃先61の長さが異なる4つの上ブレイクバー60(4組の一対のブレード60a、60b)が構成される。一対のブレード60a、60bは、刃先61a、61bの長さが等しくなっている。
【0057】
以降、刃先61の長い上ブレイクバー60の順に、XLブレイクバー60A、Lブレイクバー60B、Mブレイクバー60C、Sブレイクバー60Dと称する。
【0058】
切替機構100は、4つの上ブレイクバー60が周方向に等間隔、即ち90度間隔で配列され、4つの上ブレイクバー60が延びるX軸方向に平行な回動軸Rを中心に回動可能なバー保持体110と、バー保持体110を回動させる第1アクチュエータ120と、を含む。
【0059】
バー保持体110は、2つの保持板111と、4本のシャフト112と、2つのハブ113とを含む。2つの保持板111は、ほぼ正方形状を有し、X軸方向に、4つの上ブレイクバー60の長さよりも僅かに広い間隔で並ぶ。各保持板111には、中心部に軸孔111aが形成される。また、各保持板111には、4つの辺の近傍に、それぞれ、各辺に沿う方向に延びる第1スライド孔111bが形成される。さらに、各保持板111には、4つの角部から、各角部を構成する2つの辺に対してほぼ45度の角度で中心側へと延びる第2スライド孔111cが形成される。さらに、各保持板111には、中央部に、4つの円弧状の挿入孔111dが90度の間隔で形成される。
【0060】
4本のシャフト112は、丸棒状を有し、その両端が2つの保持板111の4つの角部に接続される。2つのハブ113は、2つの保持板111の互いに対向する面と反対側の面に、軸孔111aと整合するように取り付けられる。X軸負方向側のハブ113には、フランジ114を介してギア115が固定される。
【0061】
バー保持体110の外形状は、X軸方向に長い、ほぼ正四角柱状を有しており、バー保持体110の周方向の4つの各面に、各上ブレイクバー60が配置される。
【0062】
バー保持体110の両側の軸孔111aおよびハブ113に、円筒状の固定シャフト130が通される。固定シャフト130と各ハブ113との間には、2つのベアリング140が介在する。これにより、バー保持体110は、固定シャフト130に回動可能に支持される。固定シャフト130の中心が回動軸Rとなる。
【0063】
固定シャフト130には、X軸方向の中央部に、当該固定シャフト130をZ軸方向に貫通する細長い開口部131が形成される。開口部131は、固定シャフト130の上方に配置された撮像装置80によって開口部131を介して基板F上のスクライブライン等のブレイク位置の基準となるものを観察するための開口であり、開口部131のX軸方向の長さは、4つの上ブレイクバー60の長さとほぼ等しくされる。
【0064】
第1アクチュエータ120は、たとえば、減速機付きのサーボモータであり、回転角(回転位置)を検出するセンサを含む。第1アクチュエータ120は、バー保持体110のX軸負方向側において、ブラケット150を介して固定シャフト130に固定される。第1アクチュエータ120の出力軸には、ギア115と噛み合うピニオン121が取り付けられる。第1アクチュエータ120の出力軸が回動すると、ピニオン121およびギア115が回動し、バー保持体110が回動する。
【0065】
切替機構100には、バー保持体110の回動基準位置を検出する位置検出器160が設けられる。位置検出器160は、フランジ114に固定されたセンサディスク161と、ブラケット150に取付板163を介して固定されたフォトセンサ162と、を含む。センサディスク161の外周縁には、所定の位置に切欠孔(図示せず)が形成される。XLブレイクバー60Aが使用位置にあるとき、切欠孔が、フォトセンサ162の位置に来て、フォトセンサ162により検出される。この位置が、バー保持体110の回動基準位置となる。回動基準位置からの第1アクチュエータ120の回転角(回転数)を検出することにより、バー保持体110の回動位置を検出できる。
【0066】
第1アクチュエータ120の回動により、バー保持体110は、X軸負方向に見て右回り方向に、回動基準位置から90度ずつ回動する。これにより、4つの上ブレイクバー60は、バー保持体110が90度回動する度に、Sブレイクバー60D、Mブレイクバー60C、Lブレイクバー60B、XLブレイクバー60Aの順に、使用位置にセットされる。
【0067】
なお、4つの上ブレイクバー60は、回動軸Rから各上ブレイクバー60の刃先61の先端までの距離が同じである。このため、上ブレイクバーユニットBUの高さ位置が同じである場合には、使用位置における4つの上ブレイクバー60の刃先61の高さ位置は何れも同じとなる。よって、何れの上ブレイクバー60が使用位置にあっても、同じ高さ位置で刃先61が基板Fに当接する。
【0068】
上ブレイクバーユニットBUは、切替機構100に加え、開閉機構200を含む。開閉機構200は、4つの上ブレイクバー60の一対のブレード60a、60bを同時に開閉させる。開閉機構200は、回動体である2つのカム板210と、第2アクチュエータ220と、リンク機構230と、を含む。
【0069】
各カム板210は、円環状のカム部211と、円筒状のボス部212とで構成される。カム部211には、90度間隔で4つのヒンジピン213が設けられる。X軸正方向側のカム板210には、フランジ214を介してギア215が固定される。2つのカム板210とフランジ214が、バー保持体110の2つのハブ113に通される。これにより、2つのカム板210が、X軸方向において、バー保持体110の両隣に配置される。
【0070】
各カム板210および各フランジ214と各ハブ113との間には、3つのベアリング240が介在する。これにより、2つのカム板210は、2つのハブ113に回動可能に支持され、バー保持体110と同軸に、即ち回動軸Rを中心に回動可能となる。
【0071】
2つのカム板210は、4本の丸棒状の連結シャフト216により連結される。各連結シャフト216は、2つの保持板111の各挿入孔111dを貫通する。
【0072】
第2アクチュエータ220は、たとえば、減速機付きのサーボモータであり、回転角(回転位置)を検出するセンサを含む。第2アクチュエータ220は、バー保持体110のX軸正方向側において、ブラケット250を介して固定シャフト130に固定される。即ち、上ブレイクバーユニットBUでは、第1アクチュエータ120と第2アクチュエータ220とが、回動軸Rの方向(X軸方向)において、バー保持体110を挟むように配置される。第2アクチュエータ220の出力軸には、ギア215と噛み合うピニオン221が取り付けられる。第2アクチュエータ220の出力軸の回動がピニオン221とギア215によりX軸正方向側のカム板210に伝達される。これにより、4つの連結シャフト216で連結された2つのカム板210が回動する。
【0073】
リンク機構230は、4組の一対のブレード60a、60bと2つのカム板210との間に設けられる。リンク機構230は、4組の一対のスライダ231と、8つのリンク部材232と、4つの丸棒状の連結シャフト233とを含む。リンク部材232は、4組の一対のスライダ231と各カム板210の間に4個ずつ設けられる。
【0074】
各一対のスライダ231は、バー保持体110の周方向の4つの各面に配置される。一対のスライダ231は、X軸方向に長いほぼ方形の板状を有し、X軸に垂直な方向に並ぶ。各スライダ231は、ベース231aとベース231aに重なるスペーサ231bとで構成される。ベース231aには、X軸方向の両端面に、2つのローラフォロア231cとヒンジピン231dが設けられる。ヒンジピン231dは、2つのローラフォロア231cの間に設けられる。ベース231aの両端の2つのローラフォロア231cとヒンジピン231dが、2つの保持板111の第1スライド孔111bに挿入される。ヒンジピン231dの先端部が、保持板111の外側、即ちカム板210側に張り出す。4つの一対のスライダ231が、X軸と垂直方向にスライド可能に、バー保持体110に保持される。
【0075】
2つの保持板111の各辺には、各辺に沿って延びる方形板状のスライドガイド116が設けられる。スライダ231のスペーサ231bに両側からスライドガイド116が接触する。これにより、一対のスライダ231は、X軸と垂直方向に真っすぐにスライドする。
【0076】
各上ブレイクバー60の各一対のブレード60a、60bが、各一対のスライダ231に固定される。即ち、一対のブレード60a、60bは、一対のスライダ231を介してバー保持体110に保持され、一対のスライダ231と共にスライドする。
【0077】
なお、厚さの異なる複数のスペーサ231bを用意し、スペーサ231bを付け替えることで、バー保持体110の各面からの各上ブレイクバー60の距離(高さ)を調整できる。
【0078】
バー保持体110の角部を挟んで隣り合う2つのスライダ231に対して、1つのリンク部材232が設けられる。各リンク部材232は、第1レバー232aと、2つの第2レバー232bとにより構成される。第1レバー232aの一端が、カム板210のヒンジピン213に回動可能に連結される。また、一方の第2レバー232bの一端が、一方のスライダ231のヒンジピン231dに回動可能に連結され、他方の第2レバー232bの一端が、他方のスライダ231のヒンジピン231dに回動可能に連結される。さらに、第1レバー232aと2つの第2レバー232bの他端が、2つの保持板111の第2スライド孔111cに通された連結シャフト233に回動可能に連結される。
【0079】
開閉機構200には、カム板210の回動基準位置を検出する位置検出器260が設けられる。位置検出器260は、フランジ214に固定されたセンサディスク261と、ブラケット250に取付板263を介して固定されたフォトセンサ262と、を含む。センサディスク261の外周縁には、所定の位置に切欠孔(図示せず)が形成される。カム板210が回動基準位置にあるとき、切欠孔が、フォトセンサ262の位置に来て、フォトセンサ262により検出される。回動基準位置からの第2アクチュエータ220の回転角(回転数)を検出することにより、カム板210の回動位置を検出できる。
【0080】
図8は、開閉機構200による一対のブレード60a、60bの開閉動作について説明するための図である。
【0081】
カム板210が回動基準位置にあるとき、
図8のように、一対のブレード60a、60bは、中間の開閉状態にあり、一対のブレード60a、60bの間隔(以下、「ブレード間隔」と称する)は、中間の間隔となる。
【0082】
第2アクチュエータ220の動作により、両側のカム板210が、実線矢印のように、X軸負方向に見て、回動基準位置から第1方向である左回り方向に回動すると、両側の4つのリンク部材232において、第1レバー232aと2つの第2レバー232bの他端が、実線矢印のように、第2スライド孔111cに沿って保持板111の角部に近づく方向に移動し、2つの第2レバー232bの一端が、実線矢印のように、第1スライド孔111bに沿って保持板111の角部に近づく方向に移動する。これにより、一対のブレード60a、60bが、一対のスライダ231と共に、当該一対のブレード60a、60bが開く方向に移動し、ブレード間隔が拡がる。
【0083】
一方、第2アクチュエータ220の動作により、両側のカム板210が、破線矢印のように、X軸負方向に見て、回動基準位置から第2方向である右回り方向に回動すると、両側の4つのリンク部材232において、第1レバー232aと2つの第2レバー232bの他端が、破線矢印のように、第2スライド孔111cに沿って保持板111の中心に近づく方向に移動し、2つの第2レバー232bの一端が、破線矢印のように、第1スライド孔111bに沿って保持板111の角部から離れる方向に移動する。これにより、一対のブレード60a、60bが、一対のスライダ231と共に、当該一対のブレード60a、60bが閉じる方向に移動し、ブレード間隔が狭まる。
【0084】
このように、開閉機構200によって一対のブレード60a、60bを開閉させることにより、ブレード間隔が調整される。
【0085】
なお、一対のブレード60a、60bが開閉したとき、2つのブレード60a、60bの隙間の中央の位置は変化しない。使用位置の上ブレイクバー60では、2つのブレード60a、60bの隙間の中央に下ブレイクバー50の刃先51が一致する。
【0086】
図4に示すように、上ブレイクバーユニットBUにおいて、固定シャフト130の両端には、ブラケット171を用いてリニアブッシュ172が取り付けられる。上ブレイクバーユニットBUは、両端のリニアブッシュ172を介して一対のガイドポール23に接続され、一対のガイドポール23にZ軸方向(上下方向)にスライド可能に支持される。
【0087】
図2および
図3を参照し、昇降ユニット70は、上ブレイクバーユニットBUの上方に配置され、上ブレイクバーユニットBU、即ち、使用位置にセットされた上ブレイクバー60を昇降させる。
【0088】
昇降ユニット70は、スライダ310と、2つのクランク機構320と、アクチュエータ330と、伝達機構340と、を含む。
【0089】
図9は、Y軸負方向に見た昇降ユニット70の正面図である。
図10は、Y軸正方向に見た昇降ユニット70の斜視図である。なお、
図9および
図10には、昇降ユニット70とともに、支持フレーム20の上側のリニアフレーム21と一対のガイドポール23が示されている。
【0090】
スライダ310は、角棒状を有し、X軸方向に延びる。スライダ310は、両端がリニアブッシュ350を介して一対のガイドポール23に接続され、一対のガイドポール23にZ軸方向(上下方向)にスライド可能に支持される。スライダ310には、X軸方向(長手方向)における中心から左右に所定距離だけ離れた位置に、丸棒状のシャフト311が、Y軸方向に貫通するように埋め込まれる。さらに、スライダ310には、X軸方向に長く、上下方向(Z軸方向)に貫通する開口部312が形成される。
【0091】
スライダ310の下面には、上ブレイクバーユニットBUが、固定シャフト130の両側に固定された2つのブラケット173を介して取り付けられる(
図2、
図3参照)。上ブレイクバーユニットBUがスライダ310に取り付けられることにより、4つの上ブレイクバー60がスライダ310に取り付けられることになる。
【0092】
2つのクランク機構320は、スライダ310の長手方向(X軸方向)における左右両側に接続される。2つのクランク機構320は、X軸方向において、上ブレイクバー60の中央から等しい距離に設けられる。
【0093】
各クランク機構320は、クランクシャフト321と、2つのクランク板322と、2つのコネクティングロッド323と、を含む。
【0094】
クランクシャフト321は、支持フレーム20の上側のリニアフレーム21をY軸方向に貫通し、当該リニアフレーム21にベアリング(図示せず)を介して回転可能に支持される。クランクシャフト321は、伝達機構340を介して伝達されたアクチュエータ330のトルクにより回転する。
【0095】
2つのクランク板322は、円板状を有し、中心からずれた位置が、リニアフレーム21から突出したクランクシャフト321の両側の部位に固定される。
【0096】
2つのコネクティングロッド323は、Z軸負方向(下方向)にやや先細りになった細長いほぼ方形板を有する。2つのコネクティングロッド323は、Y軸方向におけるスライダ310およびリニアフレーム21の両面側に配置される。各コネクティングロッド323は、その上端がベアリング324を介してクランク板322に回転可能に接続され、その下端がベアリング325を介してスライダ310のシャフト311に回転可能に接続される。2つのコネクティングロッド323は、スライダ310とリニアフレーム21の間の位置において、連結板326により連結される。
【0097】
アクチュエータ330は、たとえば、減速機付きのサーボモータであり、回転角(回転位置)を検出するセンサを含む。アクチュエータ330は、リニアフレーム21のY軸負方向側に配置され、ブラケット361を介してリニアフレーム21に固定される。アクチュエータ330の出力軸には、ピニオン331が取り付けられる。
【0098】
伝達機構340は、アクチュエータ330のピニオン331と噛み合うピニオン341と、ピニオン341に連結された丸棒状の第1シャフト342と、第1シャフト342にカップリング344により連結された丸棒状の第2シャフト343と、第1シャフト342の端部に取り付けられたベベルギア345と、第2シャフト343の端部に取り付けられたベベルギア346とを含む。第1シャフト342と第2シャフト343は、リニアフレーム21のY軸負方向側において、X軸方向に並ぶように配置され、アクチュエータ330と同じブラケット361とリニアフレーム21に固定された3つのブラケット362に、ベアリング(図示せず)を介して回転可能に支持される。ベベルギア345は、X軸正方向側のクランクシャフト321に取り付けられたベベルギア327と噛み合う。ベベルギア346は、X軸負方向側のクランクシャフト321に取り付けられたベベルギア327と噛み合う。
【0099】
昇降ユニット70には、クランク板322の回転基準位置を検出する位置検出器370が設けられる。位置検出器370は、X軸負方向側のクランクシャフト321に固定されたセンサディスク371と、リニアフレーム21に取付板373を介して固定されたフォトセンサ372を含む。センサディスク371の外周縁には、所定の位置に切欠孔(図示せず)が形成される。クランク板322が回転基準位置にあるとき、切欠孔が、フォトセンサ372の位置に来て、フォトセンサ372により検出される。このとき、2つのコネクティングロッド323が最も上方に位置し、スライダ310が最も高い位置をとる。回転基準位置からのアクチュエータ330の回転角(回転数)を検出することにより、クランク板322の回転位置を検出でき、スライダ310の高さ位置(Z軸方向の位置)を検出できる。
【0100】
アクチュエータ330の出力軸が回転すると、この回転がピニオン331および伝達機構340により2つのクランク機構320のクランクシャフト321に伝達される。2つのクランク機構320では、クランクシャフト321が回転すると、2つのクランク板322が偏心回転し、2つのコネクティングロッド323が上下方向に往復運動する。これにより、
図9に実線と破線とで示すように、2つのクランク機構320、即ち4つのコネクティングロッド323に接続されたスライダ310が昇降する。スライダ310に取り付けられた上ブレイクバーユニットBUが、最上点の位置(最も高い位置)と最下点の位置(最も低い位置)との間を上下動(昇降)する。
【0101】
図2を参照して、2つの撮像装置80は、上ブレイクバーユニットBUの上方に、X軸方向に並ぶように配置される。2つの撮像装置80は、Z軸方向に延びる両リニアフレーム22の上部からY軸負方向側に張り出すフレーム24に固定される。2つの撮像装置80は、2つのクランク機構320の間に位置する。
【0102】
各撮像装置80は、カメラ部81と、カメラ部81からの下方に延びるレンズ部82と、を含む。レンズ部82は、スライダ310の開口部312内に収容される。これにより、2つの撮像装置80が、昇降するスライダ310と干渉しないようにされている。
【0103】
上ブレイクバーユニットBUにおいて、バー保持体110には、使用位置の上ブレイクバー60(一対のブレード60a、60b)と対向する位置、即ち、当該上ブレイクバー60の真上の位置に、残りの3つの上ブレイクバー60(一対のブレード60a、60b)のうちの一つが配置されている。また、固定シャフト130には開口部131が設けられている。これにより、使用位置の一対のブレード60a、60bの隙間と、固定シャフト130の開口部131と、対向位置(真上位置)の一対のブレード60a、60bの隙間が、上下方向(Z軸方向)に重なる。
【0104】
2つの撮像装置80は、レンズ部82が、対向位置(真上位置)の上ブレイクバー60の真上に配置されている。このため、2つの撮像装置80によって、使用位置の一対のブレード60a、60bの隙間を、固定シャフト130の開口部131と対向位置の一対のブレード60a、60bの隙間とを通じて撮像できる。これにより、使用位置の一対のブレード60a、60bと基板FのスクライブラインLとの位置関係を、2つの撮像装置80により監視できる。
【0105】
図11は、分断装置1の構成を示すブロック図である。
【0106】
分断装置1は、制御部90を備える。制御部90は、CPU等の演算処理回路や、ROM、RAM、ハードディスク等のメモリ、駆動回路などを含む。制御部90は、メモリに記憶されたプログラムに従って各部を制御する。
【0107】
制御部90には、切替機構100および開閉機構200のフォトセンサ162、262から回動基準位置を示す検出信号が出力される。また、制御部90には、昇降ユニット70のフォトセンサ372から回転基準位置を示す検出信号が出力される。さらに、制御部90には、2つのロードセル45から、検出した荷重に応じた荷重信号が出力される。
【0108】
制御部90は、2つのアクチュエータ33、35を制御することにより、テーブルユニット30の動作(リニアテーブル31の直動、ターンテーブル32の回動)を制御する。また、制御部90は、アクチュエータ42を制御することにより、調整ユニット40の動作(スライダ41の上下移動)を制御する。さらに、制御部90は、第1アクチュエータ120を制御することにより、切替機構100の動作(バー保持体110の回動)を制御する。さらに、制御部90は、第2アクチュエータ220を制御することにより、開閉機構200の動作(一対のブレード60a、60bの開閉)を制御する。さらに、制御部90は、アクチュエータ330を制御することにより、昇降ユニット70の動作(スライダ310の昇降)を制御する。
【0109】
[分断動作]
次に、分断装置1による基板Fの分断動作について説明する。
【0110】
フレーム3に保持された基板Fがテーブルユニット30のターンテーブル32上にセットされた後に分断動作が開始され、準備工程と分断工程が、順次、実行される。
【0111】
準備工程では、制御部90は、2つの撮像装置80による監視のもとで、2つのアクチュエータ33、35を制御し、基板Fの最初に分断されるスクライブラインLが、上ブレイクバー60の一対のブレード60a、60bの隙間の中央に位置し、且つ、一対のブレード60a、60bと平行になるように、リニアテーブル31を移動させるとともにターンテーブル32を回動させる。スクライブラインLが一対のブレード60a、60bの隙間の中央に位置すると、下ブレイクバー50の刃先51がスクライブラインLと一致する。
【0112】
さらに、準備工程では、制御部90は、テーブルユニット30の高さを調整する高さ調整処理を実行する。これにより、テーブルユニット30の高さが、後段の分断工程において、使用位置の上ブレイクバー60(一対のブレード60a、60b)が、昇降ユニット70の2つのクランク機構320の動作により最下点の位置まで下降したときに基板Fに当接した位置から所定の押込み量だけ押し込まれるような高さに調整される。
【0113】
図12は、高さ調整処理を示すフローチャートである。
【0114】
図12を参照して、制御部90は、昇降ユニット70を動作させて、使用位置の上ブレイクバー60を最下点の位置まで降下させる(S101)。このとき、テーブルユニット30は、最下点まで降下した上ブレイクバー60に基板Fが接触しない高さ位置にある。
【0115】
次に、制御部90は、調整ユニット40を動作させて、テーブルユニット30の上昇を開始させる(S102)。その後、制御部90は、2つのロードセル45が検出した荷重に基づいて、上ブレイクバー60(一対のブレード60a、60b)の刃先61に基板Fの表面が接触したか否かを監視する(S103)。
【0116】
テーブルユニット30に置かれた基板Fの裏面には、ダイシングテープ2を介して下ブレイクバー50の刃先51が接触している。このため、上ブレイクバー60の刃先61に基板Fの表面が接触すると、当該接触により基板Fが受けた荷重が下ブレイクバー50を介して2つのロードセル45に伝わり、2つのロードセル45の検出荷重が変化する。制御部90は、2つのロードセル45に掛かる荷重の変化点を検出することにより、基板Fが上ブレイクバー60に接触したことを検出できる。
【0117】
制御部90は、上ブレイクバー60の刃先61に基板Fの表面が接触すると(S103:YES)、調整ユニット40の動作を停止させて、テーブルユニット30の上昇を停止させる(S104)。
【0118】
次に、制御部90は、昇降ユニット70を動作させて、使用位置の上ブレイクバー60を最上点の位置まで上昇させる(S105)。その後、制御部90は、調整ユニット40を動作させて、上ブレイクバー60に基板Fが接触した位置(接触を検出した位置)から所定の押込み量だけテーブルユニット30を上昇させる(S106)。押込み量は、基板Fの材質や厚み、分断後のチップのサイズなどに応じて設定される。
【0119】
こうして、テーブルユニット30の高さ調整が完了する。準備工程が終了し、分断工程が開始される。
【0120】
分断工程では、制御部90は、昇降ユニット70のアクチュエータ330を一定回転速度(等速)で回転させる。これにより、昇降ユニット70のスライダ310、即ち使用位置の上ブレイクバー60が、アクチュエータ330の回転速度で決まる加減速レートで、昇降動作(上下動作)を繰り返す。
【0121】
使用位置の上ブレイクバー60(一対のブレード60a、60b)は、最下点の位置まで下降すると、基板Fに当接した位置から所定の押込み量だけ押し込まれる。これにより、基板Fは、スクライブラインLの位置での2つのブレード60a、60bの刃先61a、61bと下ブレイクバー50の刃先51による三点曲げの状態となる。これにより、スクライブラインLのクラック先端に応力集中が生じて下ブレイクバー50側にクラックが伸展し、基板Fが分断される。
【0122】
ここで、上ブレイクバー60が基板Fを押し込むときの押圧力は、昇降ユニット70のスライダ310から上ブレイクバー60に付与される。昇降ユニット70を構成するクランク機構320は、倍力機構であるため、アクチュエータ330のトルクを大きく増幅させて押圧力に変換できる。よって、上ブレイクバー60は、大きな押圧力で基板Fを押し込むことができるので、押込み量だけ押し込んだ位置で確実に基板Fを分断できる。
【0123】
制御部90は、最下点の上ブレイクバー60が上昇した後に再び最下点まで降下する間に、スクライブラインLのピッチ分、リニアテーブル31を移動させて基板Fを移動させる。これにより、次のスクライブラインLの位置に上ブレイクバー60が降下し、そのスクライブラインLの位置で基板Fが分断される。
【0124】
基板Fが分断されるときの分断荷重がロードセル45により検出される。制御部90は、分断荷重が所定範囲から外れている場合に、基板Fが適正に分断できていないと見做して、この履歴をメモリに残す。また、制御部90は、ロードセル45が検出した荷重が過度に大きな場合、分断装置1に故障等の異常が生じたと見做して、分断工程を中止する。
【0125】
基板Fの一方の方向のスクライブラインLに沿った分断が完了すると、ターンテーブル32が90度回転し、先と同様な分断動作により、基板Fの他方の方向のスクライブラインLに沿った分断が行われる。ただし、準備工程では、テーブルユニット30の高さ調整が、先の準備工程で既に完了しているので、行われない。
【0126】
さて、基板Fを保持するフレーム3は、内周縁が円形であり、スクライブラインLと直交する方向において、フレーム3の内側の間隔が、中央から両側に離れるに従って小さくなる。また、
図1(b)で説明した通り、フレーム3の表面は、基板Fの表面よりも張り出す。このため、分断工程では、上ブレイクバー60を基板Fの表面に当接させる際に、中央から離れた位置でフレーム3と上ブレイクバー60との干渉が生じる虞がある。
【0127】
そこで、このようなフレーム3と上ブレイクバー60との干渉が生じないように、制御部90が、4つの上ブレイクバー60を切り替えるブレイクバー切替処理を実行する。ブレイクバー切替処理により、中央から離れた、スクライブラインLの長さが短くなる基板Fの領域では、刃先61の長さが短い上ブレイクバー60が使用されるので、この位置での上ブレイクバー60のフレーム3への干渉が防止される。
【0128】
なお、ブレイクバー切替処理により、上ブレイクバー60が切り替えられる際、制御部90は、切り替え前に昇降ユニット70の動作を一旦停止させて、使用位置の上ブレイクバー60を最上点に位置させる。そして、切り替えが完了すると、制御部90は、再び、昇降ユニット70を動作させる。
【0129】
図13は、ブレイクバー切替処理のために基板Fに設定される領域について説明するための図である。
【0130】
図13に示すように、基板Fは、スクライブラインLと直交する方向に4種類、7個の領域に区分される。スクライブラインLと直交する方向における基板Fの両端部の2つの領域がS領域となり、S領域の隣の2つの領域がM領域となり、M領域の中央側の隣りの2つの領域がL領域となり、中央の領域がXL領域となる。
【0131】
S領域、M領域、L領域、XL領域は、それぞれ、Sブレイクバー60D、Mブレイクバー60C、Lブレイクバー60BおよびXLブレイクバー60Aを使用したときに、その領域のスクライブラインLに沿った分断が行え、且つ、フレーム3に干渉しない範囲に設定される。
【0132】
制御部90は、基板Fに設定された領域に応じて複数(4つ)の上ブレイクバー60の切り替えが行われるように切替機構100を制御する。
【0133】
図14は、ブレイクバー切替処理を示すフローチャートである。
図15は、領域に応じた上ブレイクバー60の切り替えについて説明するための図である。
【0134】
図14を参照して、制御部90は、切替機構100の第1アクチュエータ120を制御し、最初の領域に対応する上ブレイクバー60を使用位置に移動させる(S201)。この際、バー保持体110とリンク機構230との相対位置が変わらないよう、制御部90は、開閉機構200の第2アクチュエータ220を制御して、カム板210をバー保持体110と同じ角度(回動量)だけ回動させる。
【0135】
領域に対応する上ブレイクバー60が使用位置にセットされると、制御部90は、第2アクチュエータ220を制御して、開閉機構200により、4つの上ブレイクバー60の一対のブレード60a、60bを同時に開閉し、ブレード間隔を調整する(S202)。
【0136】
次に、制御部90は、上ブレイクバー60が次の領域に移動したか否かを監視する(S203)。制御部90は、テーブルユニット30の移動量に基づいて、領域の遷移を判断できる。上ブレイクバー60が次の領域に移動すると(S203:YES)、制御部90は、次の領域に対応する上ブレイクバー60を使用位置に移動させる(S204)。さらに、制御部90は、4つの上ブレイクバー60の一対のブレード60a、60bを同時に開閉し、ブレード間隔を調整する(S205)。なお、必要なブレード間隔が前の領域と同じであれば、ステップS205の処理によるブレード間隔の調整は実行されない。
【0137】
その後、ステップS204およびS205の処理が繰り返され、領域に応じて上ブレイクバー60が切り替えられる。また、必要に応じてブレード間隔が調整される。制御部90は、次の領域が無くなると(S206:YES)、ブレイクバー切替処理を終了する。
【0138】
本実施形態では、テーブルユニット30がY軸負方向に移動し、基板FのY軸負方向側の端部からのY軸正方向側の端部へ向かって分断が行われる。この際、
図15に示すように、S領域→M領域→L領域→XL領域→L領域→M領域→S領域の順に基板Fの分断が行われ、Sブレイクバー60D→Mブレイクバー60C→Lブレイクバー60B→XLブレイクバー60A→Lブレイクバー60B→Mブレイクバー60C→Sブレイクバー60Dの順に、上ブレイクバー60が使用位置に切り替えられる。
【0139】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0140】
図5(a)、(b)に示すように、上ブレイクバーユニットBUは、基板FのスクライブラインLに沿う方向の刃先61の長さが異なる複数(4つ)の上ブレイクバー60と、複数の上ブレイクバー60の中の一つの上ブレイクバー60が、その刃先61が基板Fと当接可能となる使用位置に配置されるよう、複数の上ブレイクバー60を切り替える切替機構100と、を備える。
【0141】
この構成によれば、分断する部分の幅(スクライブラインLの長さ)に適する長さの刃先61を有する上ブレイクバー60を使用して基板Fを分断できる。これにより、上ブレイクバー60の刃先61の長さによる制限を受けて基板Fのサイズよりも大幅に大きなサイズのフレーム3を基板Fの保持に使用しなくてよくなる。よって、基板Fのサイズに対するフレーム3のサイズを従来よりも小さくできる。
【0142】
図1(a)、(b)に示すように、基板Fは、円形に形成され、内周縁が円形である環状のフレーム3に、ダイシングテープ2を介して保持される。また、
図13に示すように、基板Fは、スクライブラインLと直交する方向に複数の領域(S領域、M領域、L領域、XL領域)に区分される。
図14に示すように、制御部90は、ブレイクバー切替処理を実行し、領域に応じて複数の上ブレイクバー60の切り替えが行われるように切替機構100を制御する。
【0143】
この構成によれば、基板Fが、円形に形成され、内周縁が円形であるフレーム3に保持された場合に、スクライブラインLと直交する方向における、中央から両側に離れた位置で、フレーム3と上ブレイクバー60との干渉が生じることを防止できるので、基板Fのサイズに対するフレーム3のサイズを従来よりも小さくできる。
【0144】
図5(a)、(b)に示すように、切替機構100は、複数の上ブレイクバー60が周方向に配列され、複数の上ブレイクバー60が延びる方向に平行な回動軸Rを中心に回動可能なバー保持体110と、バー保持体110を回動させる第1アクチュエータ120と、を含む。
【0145】
この構成によれば、第1アクチュエータ120を動作させてバー保持体110を回動させることにより、上ブレイクバー60の切り替えを行うことができる。
【0146】
図5(a)、(b)および
図8に示すように、各上ブレイクバー60は、スクライブラインLが延びる方向と直交する方向に並ぶ、刃先61a、61bの長さが等しい一対のブレード60a、60bにより構成される。上ブレイクバーユニットBUは、切替機構100に加え、複数の上ブレイクバー60の一対のブレード60a、60bを同時に開閉させる開閉機構200を、さらに備える。
【0147】
この構成によれば、複数の上ブレイクバー60の一対のブレード60a、60bの間隔、即ちブレード間隔を、一度に所望の間隔に調整できるので、効率的なブレード間隔の調整が行える。なお、一対のブレード60a、60bごとに個別にブレード間隔を調整することは、煩雑な作業となる。
【0148】
図5(a)、(b)に示すように、開閉機構200は、バー保持体110の隣に配置され、回動軸Rを中心に回動可能なカム板210と、カム板210を相反する第1方向と第2方向に回動させる第2アクチュエータ220と、一対のブレード60a、60bとカム板210との間に設けられ、カム板210が第1方向に回動したときに、一対のブレード60a、60bを開く方向に移動させ、カム板210が第2方向に回動したときに、一対のブレード60a、60bを閉じる方向に移動させるリンク機構230と、を含む。
【0149】
この構成によれば、開閉機構200が、切替機構100と同じ回動軸Rの周りに構成されているので、切替機構100と開閉機構200とを含む構造体全体、即ち上ブレイクバーユニットBU全体をコンパクトに構成できる。
【0150】
図5(a)、(b)に示すように、第1アクチュエータ120および第2アクチュエータ220は、回動軸Rの方向(Y軸方向)において、バー保持体110を挟むように配置される。
【0151】
この構成によれば、回動軸Rの方向(Y軸方向)において、バー保持体110の両側の重量バランスを良くすることができる。これにより、上ブレイクバー60による基板Fの押圧バランスを良くすることができる。
【0152】
図6(a)に示すように、バー保持体110には、使用位置に配置された上ブレイクバー60と対向する位置に、残りの上ブレイクバー60のうちの一つが配置される。
図2に示すように、2つの撮像装置80は、使用位置の上ブレイクバー60の一対のブレード60a、60bの隙間を、対向位置の上ブレイクバー60の一対のブレード60a、60bの隙間を通じて撮像できる位置に設けられる。
【0153】
この構成によれば、2つの撮像装置80を用いて、使用位置の一対のブレード60a、60bと基板FのスクライブラインLとの位置関係を良好に監視できる。
【0154】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施形態も種々の変更が可能である。
【0155】
たとえば、上記実施形態では、上ブレイクバーユニットBUに、4個の上ブレイクバー60が含まれた。しかしながら、上ブレイクバーユニットBUに含まれる上ブレイクバー60の個数は、4個に限定されるものではなく、複数個であればいくつであってもよい。たとえば、上ブレイクバー60の個数を6個とすることができる。この場合、切替機構100では、バー保持体110の外形状が、ほぼ六角柱状とされ、6つの各面に各上ブレイクバー60が配置される。開閉機構200では、リンク機構230に、6組の一対のスライダ231と、両側に6個ずつのリンク部材232が含まれる。
【0156】
さらに、上記実施形態では、基板Fが、円形に形成され、内周縁が円形であるフレーム3に保持された。そして、基板Fは、スクライブラインLと直交する方向に複数の領域に区分され、制御部90は、領域に応じて複数の上ブレイクバー60の切り替えが行われるように切替機構100を制御した。しかしながら、基板Fが、四角形に形成され、内周縁が四角形であるフレームに保持されてもよい。この場合、基板Fの領域分割は行われず、基板Fが分断される際、スクライブラインLの方向の基板Fの幅に応じて、上ブレイクバー60が選定され、使用位置にセットされる。
【0157】
さらに、上記実施形態と反対に、下ブレイクバー50が一対のブレード(2つのブレード)により構成され、複数の上ブレイクバー60のそれぞれが一つのブレードのみからなるようにされてもよい。この場合、複数個(4個)の下ブレイクバー50が、切替機構100と開閉機構200を有する下ブレイクバーユニットに含まれる構成が採られる。基板Fを保持したフレーム3は、スクライブラインLが形成された基板Fの表面が下を向き、基板Fの裏面が上を向くように、テーブルユニット30にセットされる。
【0158】
上記のように、フレーム3の裏面と面一である(フレーム3の裏面より低くない)基板Fの裏面が上を向く場合であっても、上ブレイクバー60は、基板Fの裏面から押込み量だけ押し込まれるので、上ブレイクバー60がフレーム3と干渉する虞は生じたままとなる。よって、上ブレイクバー60が、複数個(4個)設けられて、切替機構100のみを有する上ブレイクバーユニットに含まれる構成が採られる。
【0159】
さらに、上下を反転させた構成、すなわち、下ブレイクバーを複数組の一対のブレードで構成し、上ブレイクバーを一つのブレードで構成してもよく、下ブレイクバーを一つのブレードで構成した複数のブレイクバーとし、上ブレイクバーを一つのブレードで構成した一つのブレイクバーとしてもよい。
【0160】
さらに、切替機構100は、上記実施形態の構成に限られない。たとえば、切替機構100は、複数の上ブレイクバー60が水平方向に並び、水平方向に移動することにより、その中の一つが使用位置にセットされるような構成とされてもよい。即ち、切替機構100は、複数の上ブレイクバー60の切り替えを行うことができれば、如何なる構成であってもよい。
【0161】
同様に、開閉機構200は、上記実施形態の構成に限られず、複数の上ブレイクバー60の一対のブレード60a、60bを同時に開閉させることができれば、如何なる構成であってもよい。
【0162】
さらに、上記実施形態では、4つの上ブレイクバー60は、X軸方向の刃先61の長さが異なっており、X軸方向の全体の長さは同じである。しかしながら、4つの上ブレイクバー60は、それらの全体の長さが刃先61の長さと同じになるようにすることにより、刃先61だけでなく全体の長さが異なるようにされてもよい。
【0163】
さらに、上ブレイクバー60(一対のブレード60a、60b)および下ブレイクバー50の形状は、上記実施形態の形状に限られるものではなく、基板Fを正常に分断できれば、如何なる形状であってもよい。
【0164】
さらに、上記実施形態では、バー保持体110をX軸方向に貫通する一本の固定シャフト130により、バー保持体110が回動可能に支持された。そして、バー保持体110の内部では、撮像装置80による撮像の妨げとならないように、固定シャフト130に開口部131が設けられた。しかしながら、2本の固定シャフトによってバー保持体110の両側のハブ113が回転可能に支持される構成とすることにより、バー保持体110の内部に固定シャフトが存在しないようにされてもよい。
【0165】
さらに、上記実施形態では、2つの撮像装置80が設けられたが、撮像装置80の個数は、1つでもよいし3つ以上でもよい。
【0166】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0167】
1…分断装置
2…ダイシングテープ(粘着シート)
3…フレーム
60…上ブレイクバー(ブレイクバー)
60a、60b…一対のブレード
61…刃先
61a、61b…刃先
80…撮像装置
90…制御部
100…切替機構
110…バー保持体
120…第1アクチュエータ
200…開閉機構
210…カム板(回動体)
220…第2アクチュエータ
230…リンク機構
F…基板
L…スクライブライン
R…回動軸