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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-03
(45)【発行日】2025-09-11
(54)【発明の名称】中空ソフトルアー用仕掛け
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/00 20060101AFI20250904BHJP
【FI】
A01K85/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024187420
(22)【出願日】2024-10-24
【審査請求日】2024-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】300042694
【氏名又は名称】株式会社 ホーペック
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【弁護士】
【氏名又は名称】山下 あや理
(72)【発明者】
【氏名】濱口 幸生
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3195136(JP,U)
【文献】特開2021-007301(JP,A)
【文献】登録実用新案第3134308(JP,U)
【文献】特開2008-011707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアー本体の後端部にある釣り針取付部の釣り針係止個所へ係止させた釣り針を前方から引っ張るために、そのルアー本体の中空内部へ後方から通し込んだ釣り糸を、ルアー本体の前端部にある釣り糸挿通孔から前方へ導出配線した中空ソフトルアー仕掛けであって、
上記釣り糸の折り返した後端部へリベットのかしめ付けにより造形された連結リングと、上記釣り針の前端部に屈曲形成された取付リングとを、一端部がその取付リングへの着脱可能な金属製スナップによって連結すると共に、
上記連結リングのかしめ付け用リベットとルアー本体の前端部との相互間に介在する重錘を、釣り糸へスライド自在に通し込み、
その重錘から釣り糸の上記連結リングかしめ付け用リベットとスナップを経て釣り針に至るまで直列する作用的な連結長さを、ルアー本体の前端部から後端部にある上記釣り針取付部の釣り針係止個所に至るまでの物理的な一定長さと実質上同等寸法に関係設定して、
前方から引っ張り使用されるルアー本体が、その前方から波の抵抗による圧縮力を受けても、その圧縮力に対抗する突っ張り作用により、その全体長さの短く不正変形するおそれを防止したことを特徴とする中空ソフトルアー仕掛け。
【請求項2】
釣り針が1本の金属線材から成る全体的なほぼ錨形として、その一定長さを有する金属線材の中間部に屈曲形成されたほぼΩ状の取付リングと、同じく金属線材の切り離し両端部に各々屈曲形成された対称な円弧状のフックと、上記取付リングから分岐して両フックまで一連に並列する直線状のシャンクとを備え、
そのシャンクに赤系着色カラーの紐がコイル状に巻き付け一体化されていると共に、
上記取付リングが金属製スナップの一端部へ直交する関係状態に連結される一方、上記両フックがルアー本体の後端部に設けられた釣り針取付部の対応的な一対の釣り針係止凹溝へ、係脱自在に係止使用されることを特徴とする請求項1記載の中空ソフトルアー仕掛け。
【請求項3】
スナップが一定長さの硬鋼線やピアノ線、その他の釣り針よりも細い金属線材から成る全体的に細長いリング状の形態として、
上記金属線材の中間を釣り糸の連結リングと連結すべく、その金属線材の中間に屈曲形成されたほぼΩ形の釣り糸用連結端部と、同じく金属線材の切り離し一端に上記釣り糸用連結端部から延長するほぼJ字形として屈曲形成された第1フックと、上記金属線材の切り離し他端に同じく釣り糸用連結端部から延長する上記第1フックと逆向きのほぼJ字形として屈曲形成された第2フックとを備え、
上記第1フックと第2フックとを互いに重なり合う同じ大きさと屈曲形状の釣り針用連結端部として、その釣り針用連結端部を第1、2フックの重なり合う状態から強制的に押し広げて、釣り針の取付リングへ抜き差しする如く着脱自在に取り付けることにより、その取付リングと上記スナップとを直交する関係の連結状態に保ったことを特徴とする請求項1記載の中空ソフトルアー仕掛け。
【請求項4】
スナップの釣り針用連結端部における第1、2フックのほぼJ字形に屈曲する口径を、釣り糸用連結端部のほぼΩ形に屈曲する口径よりも大きく寸法化したことを特徴とする請求項3記載の中空ソフトルアー仕掛け。
【請求項5】
スナップを形作る金属線材の表面全体に、耐蝕性の赤系着色樹脂コーティングを施したことを特徴とする請求項3記載の中空ソフトルアー仕掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主として大型回遊魚のトローリング漁にふさわしく有効な中空ソフトルアー用仕掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の出願人は特許文献1に記載のイカ形ソフトルアーと、特許文献2に記載の魚形ルアーとを実施事業化しており、その何れも柔軟な熱可塑性樹脂から成形された中空のルアー本体(ルアーボディ)(10)を備えている。
【0003】
そして、前者のイカ形ルアーではそのルアー本体(10)の後方から釣り針取付部(13)の釣り針受け入れ凹溝(27)又は釣り針挿通孔(28)へ差し込み係止させた釣り針(フック)(30)を、ルアー本体(10)の中空内部へ通し込み配線した釣り糸(ライン)(41)によって、そのルアー本体(10)の前方から引っ張り曳行するようになっている。
【0004】
また、後者の魚形ルアーでもそのルアーボディ(10)の後方から腹側接合面(16s)の後端部(開放縁部)へ係止させた釣り針(フック)(36)を、ルアーボディ(10)のやはり中空内部へ通し込み配線した釣り糸(ライン)(37)によって、そのルアーボディ(10)の前方から引っ張り曳行するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6288628号公報
【文献】特許第5597900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1、2に開示のルアーは何れも柔軟な熱可塑性樹脂から成形された中空のルアー本体(ルアーボディ)(10)を有するソフトルアーであるため、釣り針(30)(36)を上記のようにルアー本体(ルアーボディ)(10)へ後方から係止させ、そのソフトルアーを海面から沈めた状態において、前方から引っ張り曳行するトローリング漁に供した場合、そのルアー本体(ルアーボディ)(10)は波の強い抵抗を受けて、全長の短く圧縮変形され、生餌(イカや魚)本来のリアルな泳動をマグロやシイラ、ブリ、カツオなどの捕獲対象魚に印象づけることができず、その集魚と捕獲の成果を得られない問題がある。
【0007】
その場合、前者の釣り針(30)に直接連結されているナイロン糸の釣り糸(41)は勿論のこと、後者の釣り針(36)と釣り糸(37)を連結している強力なポリエチレン繊維の紐(好ましくは商品名「ダイニーマ」)(40)も、自由自在に変形する可撓性を有するため、上記波の抵抗によるルアー本体(ルアーボディ)(10)の圧縮変形力を受けても、これに対抗する突っ張り強度(剛性)がない結果、上記問題の発生を予防することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこのような課題の解決を目的としており、その目的を達成するために、請求項1ではルアー本体の後端部にある釣り針取付部の釣り針係止個所へ係止させた釣り針を前方から引っ張るために、そのルアー本体の中空内部へ後方から通し込んだ釣り糸を、ルアー本体の前端部にある釣り糸挿通孔から前方へ導出配線した中空ソフトルアー仕掛けであって、
【0009】
上記釣り糸の折り返した後端部へリベットのかしめ付けにより造形された連結リングと、上記釣り針の前端部に屈曲形成された取付リングとを、一端部がその取付リングへの着脱可能な金属製スナップによって連結すると共に、
【0010】
上記連結リングのかしめ付け用リベットとルアー本体の前端部との相互間に介在する重錘を、釣り糸へスライド自在に通し込み、
【0011】
その重錘から釣り糸の上記連結リングかしめ付け用リベットとスナップを経て釣り針に至るまで直列する作用的な連結長さを、ルアー本体の前端部から後端部にある上記釣り針取付部の釣り針係止個所に至るまでの物理的な一定長さと実質上同等寸法に関係設定して、
【0012】
前方から引っ張り使用されるルアー本体が、その前方から波の抵抗による圧縮力を受けても、その圧縮力に対抗する突っ張り作用により、その全体長さの短く不正変形するおそれを防止したことを特徴とする。
【0013】
請求項2では釣り針が1本の金属線材から成るほぼ錨形として、その一定長さを有する金属線材の中間部に屈曲形成されたほぼΩ状の取付リングと、同じく金属線材の切り離し両端部に各々屈曲形成された対称な円弧状のフック(針先部)と、上記取付リングから分岐して両フックまで一連に並列する直線状のシャンクとを備え、
【0014】
そのシャンクに赤系着色カラーの紐がコイル状に巻き付け一体化されていると共に、
【0015】
上記取付リングが金属製スナップの一端部へ直交する関係状態に連結される一方、
【0016】
上記両フックがルアー本体の後端部に設けられた釣り針取付部の対応的な一対の釣り針係止凹溝へ、係脱自在に係止使用されることを特徴とする。
【0017】
請求項3ではスナップが一定長さの硬鋼線やピアノ線、その他の釣り針よりも細い金属線材から成る全体的に細長いリング状の形態として、
【0018】
上記金属線材の中間を釣り糸の連結リングと連結すべく、その金属線材の中間に屈曲形成されたほぼΩ形の釣り糸用連結端部と、同じく金属線材の切り離し一端に上記釣り糸用連結端部から延長するほぼJ字形として屈曲形成された第1フックと、上記金属線材の切り離し他端に同じく釣り糸用連結端部から延長する上記第1フックと逆向きのほぼJ字形として屈曲形成された第2フックとを備え、
【0019】
上記第1フックと第2フックとを互いに重なり合う同じ大きさと屈曲形状の釣り針用連結端部として、その釣り針用連結端部を第1、2フックの重なり合う状態から強制的に押し広げて、釣り針の取付リングへ抜き差しする如く着脱自在に取り付けることにより、その取付リングと上記スナップとを直交する関係の連結状態に保ったことを特徴とする。
【0020】
請求項4ではスナップの釣り針用連結端部における第1、2フックのほぼJ字形に屈曲する口径を、釣り糸用連結端部のほぼΩ形に屈曲する口径よりも大きく寸法化したことを特徴とする。
【0021】
請求項5ではスナップを形作る金属線材の表面全体に、耐蝕性の赤系着色樹脂コーティングを施したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の上記構成によれば、冒頭に述べた従来技術の課題を確実に解決できる効果がある。
【0023】
つまり、中空のルアー本体における前端部から、釣り針が係止される後端部の釣り針取付部に至るまでの物理的な一定長さと実質上同等寸法の作用長さ分だけ、上記釣り針を前方から引っ張るために緊張して直線となる釣り糸の配線上には、その前側から後側への順次に重錘、連結リングのかしめ付け用リベット、金属製スナップ並びに釣り針が直列状態に連結されており、これらの全体がルアー本体の長手中心線に沿って前後方向へ延在する言わば剛性な筋骨として、そのルアー本体が前方から波の抵抗による圧縮力を受けても、その圧縮変形されないように突っ張る対抗作用を営むことになる結果、海面から沈下した状態での引っ張り使用中に発生する中空ソフトルアーの不正変形(生餌本来の泳ぐ動きや姿などに与える異変)を防ぐことができ、マグロやシイラ、ブリ、その他の捕獲対象魚の優れた集魚と捕獲の成果を得られるのである。
【0024】
その場合、請求項2の構成を採用するならば、上記中空ソフトルアー仕掛けの釣り針を1本の金属線材から高強度なほぼ錨形に造形することができ、トレブルフックのような溶接やロウ付けなどを行う必要がなく、量産効果も得られるほか、特にその一対の対称なフックをルアー本体における釣り針取付部の釣り針係止個所として対応する一対の釣り針係止凹溝へ係止させることにより、透明又は半透明のルアー本体を備えたイカ形の中空ソフトルアーに適用して、そのルアーを生餌であるイカ本来のリアルに泳動させることができ、しかもシャンクに巻き付け一体化された紐の赤系着色カラーにより、捕獲対象魚にイカの内臓を印象づけ、その索餌本能を刺激できる効果もある。
【0025】
また、請求項3の構成を採用するならば、1本の硬鋼線やピアノ線、その他の金属線材から全体的な細長いリング状に造形されたスナップの釣り針用連結端部を、釣り針の取付リングへ着脱自在に取り付けることができ、その第1フックと第2フックとの重なり合う状態によって、不慮に離脱するおそれがない安定性と耐用性に富む連結状態を得られる効果がある。
【0026】
その場合、マイナスドライバーやコインなどの扁平な用具を使って、又は安全に取り扱う限りでは釣り針の取付リングを直接に、そのスナップの釣り針用連結端部をなす第1、2フックの相互間隙へ差し込んで、強制的に押し広げる(押し開く)ことにより、そのスナップの釣り針用連結端部を釣り針の取付リングへ瞬間的に、しかも自ずとその取付リングと直交する関係の連結状態に保つことができ、著しく便利である。
【0027】
請求項4の構成を採用するならば、スナップの比較的小さい口径に屈曲する釣り糸用連結端部には、ナイロン糸から成る釣り糸の後端部を連結リングとなるように折り返して、リベットによりかしめ付け固定することができる一方、釣り針用連結端部は比較的大きい口径に屈曲形成されているため、スナップよりも太い金属線材から成る釣り針の取付リングと容易に連結することができ、釣り針よりも細い金属線材から成るスナップであっても、その釣り針用連結端部の第1、2フックが重なり合う状態を保っているので、上記した強制的な押し開きの復元力とも相俟って、連結強度の低下や連結状態の離脱を生じるおそれはない。
【0028】
更に、請求項5の構成を採用するならば、そのスナップの金属線材に施された耐蝕性樹脂コーティングの赤系着色カラーにより、捕獲対象魚にイカの内臓を印象づけて、その索餌本能を刺激することができるため、透明又は半透明のルアー本体を備えたイカ形の中空ソフトルアーに適用する仕掛けとして、著しく有益である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1本発明の実施形態に係るイカ形の中空ソフトルアーを示す側面図である。
図2図1の平面図である。
図3図2の3―3線断面図である。
図4図2の4-4線拡大断面図である。
図5図2の5―5線拡大断面図である。
図6上記中空ソフトルアーの分解状態を示す図3に対応する断面図である。
図7上記中空ソフトルアーに用いた仕掛けを示す側面図である。
図8図7の8-8線断面図である。
図9図8の9―9線断面図である。
図10錨型の釣り針を抽出して示す平面図である。
図11金属製スナップを抽出して示す側面図である。
図12図11の平面図である。
図13図11の13―13線断面図である。
図14中空ソフトルアーを海面から沈めて引っ張り中の使用状態図である。
図15図7と対応する別な仕掛けでの使用例を示す底面図である。
図16図15の16―16線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述する。図1~9はそのイカ(烏賊)形の中空ソフトルアー(A)に適用した実施形態を示しており、(10)は柔軟な透明又は半透明の熱可塑性樹脂(好ましくはアクリル樹脂)や熱可塑性エラストマーなどから成る中空のルアー本体であって、弾丸形の胴部(11)からその胴部(11)の基端よりも径小な円筒形の頭部(12)を経て、その頭部(12)よりも更に径小な円筒形の釣り針取付部(13)に至るまでの全体的な断面ほぼ円形をなしている。
【0031】
その場合、ルアー本体(10)の頭部(12)からは左右一対の目玉被覆面(14)が、横方向への円弧状に隆起している。(15)はその目玉被覆面(14)の裏側凹曲面に黒色などの濃く着色塗装された目玉、(16)は同じくルアー本体(10)の頭部(12)と釣り針取付部(13)との境界(段差)位置から、その頭部(12)よりも若干径大に張り出された足部係止フランジであり、ここには後述する吹き流し状足部(17)の基端が係止されることとなる。
【0032】
上記ルアー本体(10)における胴部(11)の一定長さ分に限っては、左右一対のサイド縁取りフランジ(18)が横方向へ水平に張り出し形成されており、その張り出す両サイド縁取りフランジ(18)によって、後述の釣り糸を中心として回転しようとする中空ソフトルアー(A)の振れ動きに抵抗し、生餌であるイカの水平な安定姿勢での泳動を印象づけることができるようになっている。尚、その両サイド縁取りフランジ(18)における弾丸型胴部(11)の先端(前端)付近を、左右一対ずつの部分的なヒレ(耳部)(図示省略)として横方向へ水平に張り出し形成されることもある。
【0033】
また、上記ルアー本体(10)における胴部(11)の先端(前端)には、そのルアー本体(10)の中空内部と連通する釣り糸挿通孔(19)が形成されている。その釣り糸挿通孔(19)は断面ほぼ円形をなすルアー本体(10)の中心に位置し、そのルアー本体(10)の長手中心線上に沿って後述の釣り糸が通し込み配線されるようになっている。
【0034】
他方、同じくルアー本体(10)における釣り針取付部(13)の先端(後端)には、左右一対の釣り針係止凹溝(20)が図3、6、9のような側面視の後向きに開口するコ字形として切り欠かれている。その両釣り針係止凹溝(20)の溝底面(前端面)を図2、8のような平・底面視の後向きに拡開するハ字形として、その傾斜面により後述する錨型釣り針(F)の屈曲する中途部を、安定良く受け止めることができるように定めることが好ましい。
【0035】
更に、上記ルアー本体(10)の釣り針取付部(13)には上下一対の円形な釣り針挿通孔(21)も貫通形成されており、上記左右一対の釣り針係止凹溝(20)と使い分けることができるようになっている。
【0036】
上記した吹流し状足部(17)はルアー本体(10)と別個独立して、そのルアー本体(10)と同じ柔軟な透明又は半透明の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなどから成形されており、多数の吹流し短冊片(22)を備えている。その吹流し短冊片(22)を形成するためのスリット(割り溝)(23)は、これを成形金型によらず、成形後の機械加工として切り込んでも良い。
【0037】
そして、その足部(17)の基端と吹流し短冊片(22)との境界には、側断面ほぼ三角形の位置決め段部(24)が設けられており、その位置決め段部(24)が上記ルアー本体(10)の足部係止フランジ(16)へ係止され、足部(17)とルアー本体(10)との全体的に円形の同芯連通開口状態として、無色(透明)の接着剤により貼り付け一体化されている。
【0038】
その中空ソフトルアー(A)のルアー本体(10)に対する足部(17)の取付状態では、図1~9からも明白なように、そのルアー本体(10)における円筒形の釣り針取付部(13)が足部(17)の吹流し短冊片(22)によって周囲から被覆され、その釣り針取付部(13)の釣り針係止凹溝(20)又は釣り針挿通孔(21)へ差し込み係止される釣り針(F)を、外側から見え難くカムフラージュすることになる。
【0039】
図示の実施形態ではイカ形中空ソフトルアー(A)の製造法として、その上記ルアー本体(10)が上下一対の対称な輪郭形状を備えた断面ほぼ半円形の本体ハーフセグメント(本体の背側半割体と腹側半割体)(10a)(10b)から、無色(透明)の接着剤を介して、その左右両サイド縁取りフランジ(18)同士の合掌状態に貼り合わせ一体化されることにより、断面ほぼ円形の中空品に組み立てられている。
【0040】
しかも、その場合両本体ハーフセグメント(10a)(10b)の裏側凹曲面には、各々図外のホログラムシートに生餌(イカ)の体表(肌)を印象づける色調のカラー印刷された胴部用転写シート(25a)(25b)と頭部用転写シート(26a)(26b)とが、予め貼り付けられており、これを外側から透視できるようになっている。
【0041】
また、上記吹流し状足部(17)も上下一対の対称な輪郭形状を備えた足部ハーフセグメント(足部の背側半割り体と腹側半割り体)(17a)(17b)から、やはり無色(透明)の接着剤を介して貼り合わせ一体化されており、その場合にも両足部ハーフセグメント(17a)(17b)の裏側凹曲面には、各々図外のホログラムシートに生餌(イカ)の体表(肌)を印象づける色調のカラー印刷された足部用転写シート(27a)(27b)が、予め貼り付けられている。
【0042】
そして、その足部(17)の上側足部ハーフセグメント(17a)がルアー本体(10)の上側本体ハーフセグメント(10a)の頭部(12)へ、無色(透明)の接着剤によって上方から被覆状態に貼り付け一体化されている一方、下側足部ハーフセグメント(17b)が下側本体ハーフセグメント(10b)の頭部(12)へ、やはり無色(透明)の接着剤によって下方から被覆状態に貼り付け一体化されることにより、足部(17)の全体として中空のルアー本体(10)と同芯の連通開口状態を保っているのである。
【0043】
イカ形中空ソフトルアー(A)の製造法は上記のそれだけに限らず、その他の製造法を自由に採用することができ、要するに胴部(11)から頭部(12)を経て釣り針取付部(13)に至るまで中空のルアー本体(10)と、足部(17)を備えたソフトルアー(A)であれば良い。
【0044】
次に、図7~9は上記中空ソフトルアー(A)用の仕掛けを示しており、ルアー本体(10)の後端部にある上記釣り針取付部(13)の釣り針係止凹溝(釣り針係止個所)(20)へ係止させた釣り針(F)を前方から引っ張るために、そのルアー本体(10)の中空内部へ後方から通し込んだ釣り糸(28)を、ルアー本体(10)の胴部(11)に開口する釣り糸挿通孔(19)から前方へ導出配線しており、その釣り糸(28)によりソフトルアー(A)を前方から引っ張り曳行使用するようになっている。
【0045】
即ち、釣り糸(28)はナイロン糸から成り、図8、9から明白なように、そのルアー本体(10)の中空内部に位置する先端部(後端部)が、折り返し造形された連結リング(29)として、リベット(30)によりかしめ付け固定されている。しかも、その連結リング(29)として折り返された後端部には、金属製スナップ(S)との摺擦や引っ張りの負荷などから釣り糸(28)を保護するためのカバーチューブ(図示省略)が被着されている。
【0046】
(31)は上記ルアー本体(10)における弾丸形胴部(11)の前端と、連結リング(29)のかしめ付け用リベット(30)との相互間に介在する重錘(ウェイト)であって、鉛やその他の重量物から成り、ソフトルアー(A)が海面から浮上することを防ぎ、沈下状態に保てるようになっている。その重錘(31)の大きさ(重量)や形状は適当に選定すれば良いが、例えば弾丸形や円錐形としてルアー本体(10)における前端部の保形機能も与えることが好ましい。
【0047】
また、上記釣り針(F)は1本の硬鋼線やその他の金属線材から成る図10のような全体のほぼ錨形であって、その一定長さを有する金属線材の中間部がほぼΩ状の取付リング(32)として屈曲されていると共に、同じく金属線材の切り離し両端部が左右一対の対称なフック(針先部)(33)として、横方向へほぼ水平の円弧状に張り出し形成されている。
【0048】
しかも、上記取付リング(32)から分岐して左右一対のフック(33)に連なる途中が、直線状のシャンク(34)として並列されている。その並列するシャンク(34)には赤系の着色カラーが施された強靭な紐(35)を、コイル状に巻き付け一体化することが望ましい。これによって、シャンク(34)の不正な開きを防止できるほか、その紐(35)はルアー本体(10)の外側から透視されるため、マグロやシイラなどの捕獲対象魚に対して、赤系の着色カラーにより生餌(イカ)の内臓を印象づけることができ、索餌本能を刺激することに役立つからである。
【0049】
そして、このような錨型釣り針(F)の基端部(前端部)にある取付リング(32)は、金属製スナップ(S)の一端部(後端部)へ直交する関係状態に連結される一方、その釣り針(F)の両フック(針先部)(33)が上記ルアー本体(10)の後端部に設けられた釣り針取付部(13)の対応的な釣り針係止個所である一対の釣り針係止凹溝(20)へ、後方から係脱自在に係止使用されることとなる。
【0050】
上記金属スナップ(S)について具体的に詳述すると、これは一定長さの硬鋼線やピアノ線、その他の釣り針(F)よりも細い金属線材から成り、図11~13から明白なように、その金属線材の中間が上記釣り糸(28)の連結リング(29)と連結する釣り糸用連結端部(36)として、ほぼΩ状に屈曲形成されている。
【0051】
また、金属線材の切り離し一端が第1フック(37a)として、上記釣り糸用連結端部(36)から延長するほぼJ字形に屈曲形成されている一方、同じく金属線材の切り離し他端は第2フック(37b)として、やはり釣り糸用連結端部(36)から延長するも上記第1フック(37a)とは逆向き(対称)のほぼJ字形に屈曲形成されており、しかもその第1、2フック(37a)(37b)は互いに重なり合う同じ大きさと屈曲形状(J字形)の釣り針用連結端部(37)として造形されている。
【0052】
上記仕掛け用スナップ(S)は図9、11のような全体的に細長いリング状の形態として、その長手方向(前後方向)における両端が釣り糸用連結端部(36)と釣り針用連結端部(37)をなしているわけであり、その金属線材の表面全体には赤系の着色樹脂コーティングが施されている。(38)はそのコーティング被膜であるが、これも赤系の着色カラーにより、上記捕獲対象魚に対して生餌(イカ)の内臓を印象づけるようになっている。
【0053】
その場合、釣り針用連結端部(37)における第1、2フック(37a)(37b)のほぼJ字形に屈曲する口径(D)は、釣り糸用連結端部(36)のほぼΩ形に屈曲する口径(d)よりも比較的に大きく寸法化されており、そのスナップ(S)よりも太い金属線材から成る釣り針(F)の上記取付リング(32)と容易に安定良く連結することができるようになっている。
【0054】
しかも、スナップ(S)の釣り針用連結端部(37)は上記釣り針(F)よりも細い金属線材の第1、2フック(37a)(37b)から重なり合う状態にあるものとして、その釣り針(F)の取付リング(32)へ着脱自在に取り付け連結できるようになっている。
【0055】
つまり、その釣り針用連結端部(37)の重なり合う状態にある第1、2フック(37a)(37b)の相互間隙へ、マイナスドライバーやその他の扁平な用具(図示省略)を差し込むことにより、その第1、2フック(37a)(37b)を強制的に押し広げて(押し開いて)、上記釣り針(F)の取付リング(32)に対し抜き差しする如く、その取付リング(32)へ取り付け又は取りはずせば良い。安全に取り扱う限りでは上記の適当な用具を使わずに、両者を直接抜き差し操作することも可能である。
【0056】
その釣り針(F)の取付リング(32)と、スナップ(S)の釣り針用連結端部(37)を形作っている第1、2フック(37a)(37b)とは、何れも金属線材から屈曲形成されているため、その何れか一方から他方へ差し込んで取り付ける時、その両方(釣り針とスナップ)が自ずと90度相対回転して瞬時に直交する関係の連結状態となり、上記強制的な押し開きの復元力とも相俟って、その連結状態の不慮に離脱するおそれはない。
【0057】
図7~9は上記中空ソフトルアー(A)に用いた仕掛けの全体を示しており、これらの図面から明白なように、釣り糸(28)の先端部(後端部)にはスナップ(S)の一端部(前端部)をなすほぼΩ状の釣り糸用連結端部(36)が、その釣り糸(28)の折り返し状態をリベット(30)のかしめ付け固定により造形した連結リング(29)と、その直交する関係状態に連結されていると共に、その釣り糸(28)における上記リベット(30)の直前位置にはソフトルアー(A)の海面から浮上することを防ぐ重錘(ウエイト)(31)が、スライド自在に通し込まれている。その重錘(31)はルアー本体(10)の前端部と上記リベット(30)との前後相互間に、挟まれる状態として介在する。
【0058】
他方、上記スナップ(S)の他端部(後端部)をなす釣り針用連結端部(37)には、錨型釣り針(F)の前端部に屈曲形成されたほぼΩ状の取付リング(32)が、その釣り針用連結端部(37)における第1、2フック(37a)(37b)の強制的な押し開き操作によって、着脱自在に取り付け連結されていると共に、その釣り針(F)の左右対称なフック(針先部)(33)の屈曲する途中が、ルアー本体(10)の後端部に対応形成された釣り針取付部(13)の就中釣り針係止凹溝(20)へ、後方から係脱自在に係止されている。
【0059】
そして、上記重錘(31)のほかに、その連結リング(29)にスナップ(S)を介して釣り針(F)が取り付け連結された釣り糸(28)は、ルアー本体(10)の後方から中空内部へ通し込まれ、そのルアー本体(10)の釣り糸挿通孔(19)から前方へ導出配線されて、その前方からトローリング用の漁船やクルーザー(プレジャーボート)などにより、引っ張り曳行使用されることになるが、図8、9のように釣り針(F)をルアー本体(10)における釣り針取付部(13)の釣り針係止個所である釣り針係止凹溝(20)へ係止させた状態のもとでは、その中空のルアー本体(10)に内蔵設置されている重錘(31)から釣り糸(28)の連結リングかしめ付け用リベット(30)とスナップ(S)を経て、釣り針(F)に至るまで直列する作用的な連結長さ(例えば170mm又は175mm)(L1)が、ルアー本体(10)の前端部から後端部にある釣り針取付部(13)の上記釣り針係止凹溝(20)に至るまでの物理的な一定長さ(L2)と実質上同等寸法に関係設定されている。
【0060】
更に言えば、上記作用的な連結長さ(L1)だけ直列状態に連結された諸部材のうちに、自由自在に屈曲変形する紐やその他の可撓材や、長さの長短変化するゴムやスポンジ、その他の伸縮材は少しも介在しておらず、その必要な諸部材のすべてが剛性な金属製品である。
【0061】
つまり、上記中空ソフトルアー(A)の仕掛けがトロ―リング用として、その釣り針(F)の付属する釣り糸(28)により、図14のような海面(Z-Z)から適当な深さ(Y)だけ沈下した姿勢状態として、前方からの引っ張り使用に供された場合に、そのルアー本体(10)が前方から波の抵抗による強い圧縮力を受けても、ルアー本体(10)の中空内部において釣り糸(28)の配線上に、実質的に隙間なく詰まった直列の連結状態にある上記金属製品(重錘とリベット、スナップ並びに釣り針)が、ルアー本体(10)の長手中心線上に延在する言わば剛性な筋骨となって、そのルアー本体(10)を圧縮変形されないように、中空内部から突っ張る対抗作用を営むのである。
【0062】
そして、上記ソフトルアー(A)のルアー本体(10)に捕獲対象魚のマグロやシイラなどが喰い付いた場合、その引っ張り力を受けた釣り針(F)は、その釣り糸(28)上の上記仕掛けが言わば弛緩する如く、ルアー本体(10)から引き離される所謂針落ち状態となる。
【0063】
その結果、中空ソフトルアー(A)の不正変形を防ぐことができ、そのトローリング漁中必ずや生餌(イカや魚)のリアルに泳ぐ動きや姿を、マグロやシイラ、ブリ、その他の捕獲対象魚に印象づけて、その優れた集魚と捕獲の成果を得られるのであり、そのための構成としても必要最少限の部品点数で足り、簡素であるため、量産効果を最大限に期待することができる。
【0064】
尚、図7~9に基づいて説示した中空ソフトルアー用仕掛けでは、ルアー本体(10)の後端部にある釣り針取付部(13)の釣り針係止個所を左右一対の釣り針係止凹溝(20)として、その後向きに開口する凹溝(20)へ後方から、錨型の釣り針(F)における両フック(針先部)(33)の屈曲途中を差し込み係止させているが、図15、16の別な使用例に示す如く、同じく釣り針取付部(13)の釣り針係止個所を上下一対の上記釣り針挿通孔(21)として、その好ましくは下側の釣り針挿通孔(21)へ下方から、1つのフック(針先部)(33)が円弧状に屈曲する釣り針(F)を、差し込み係止させた仕掛けとしても良い。
【0065】
その図15、16の仕掛けにおけるその他の構成は、図7~9のそれと実質的に同一であり、その何れの仕掛けにあっても中空のルアー本体(10)から張り出す両サイド縁取りフランジ(18)は、生餌であるイカの安定な水平姿勢での泳動を行わせることに役立つほか、そのルアー本体(10)の圧縮変形に対抗する突っ張り作用力の発揮にも有効である。
【0066】
イカ形の中空ソフトルアー(A)に適用した本発明の実施形態を説明したが、中空のルアー本体(10)を備えたソフトルアー(A)であるならば、そのイカ形のみならず、冒頭の特許文献2に記載された魚形のそれにも、本発明を適用実施することができる。その特許文献2の魚形中空ソフトルアーでもルアーボディ(ルアー本体)(10)のハーフセグメント(10L)(10R)同士が、仮想線(Z―Z)よりも前頭側で貼り合わされているも、これよりも後尾側では開口状態にあるため、その仮想線(Z-Z)上の言わば切り欠き部を釣り針係止個所として、図28図43のように、後方から釣り針(36)の屈曲する途中を係止させて使う仕掛けが成り立つと言えるからである。
【符号の説明】
【0067】
(10)・・・・ルアー本体
(11)・・・・胴部
(12)・・・・頭部
(13)・・・・釣り針取付部
(17)・・・・足部
(18)・・・・サイド縁取りフランジ
(19)・・・・釣り糸挿通孔
(20)・・・・釣り針係止凹溝(釣り針係止個所)
(21)・・・・釣り針挿通孔(釣り針係止個所)
(22)・・・・吹流し短冊片
(28)・・・・釣り糸
(29)・・・・連結リング
(30)・・・・リベット
(31)・・・・重錘(ウェイト)
(32)・・・・取付リング
(33)・・・・フック(針先部)
(34)・・・・シャンク
(35)・・・・紐
(36)・・・・釣り糸用連結端部
(37)・・・・釣り針用連結端部
(37a)・・・第1フック
(37b)・・・第2フック
(38)・・・・着色コーティング被膜
(A)・・・・・中空ソフトルアー
(F)・・・・・釣り針
(S)・・・・・スナップ
(L1)・・・・作用的な連結長さ
(L2)・・・・物理的な一定長さ
【要約】
【課題】
トローリング漁に供した柔軟な中空のルアー本体が、波の抵抗による強い圧縮力を受けて不正変形することの防止に役立つ中空ソフトルアー用仕掛けを提供する。
【解決手段】
釣り糸(28)の折り返した後端部へリベット(30)のかしめ付けにより造形された連結リング(29)と、釣り針(F)の前端部に屈曲された取付リング(32)とを、一端部がその取付リングへの着脱可能な金属製のスナップ(S)により連結し、上記リベットと中空ルアー本体(10)の前端部との相互間に介在する重錘(31)を、上記釣り糸へスライド自在に通し込むと共に、その重錘からリベットとスナップを経て釣り針に至るまで直列する作用的な連結長さ(L1)を、ルアー本体の前端部から後端部にある釣り針取付部(13)の釣り針係止凹溝(20)に至るまでの物理的な一定長さ(L2)と実質上同等寸法に設定した。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16