(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-03
(45)【発行日】2025-09-11
(54)【発明の名称】取引処理システム及び決済装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/20 20120101AFI20250904BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20250904BHJP
【FI】
G06Q20/20 310
G07G1/12 341B
G07G1/12 321H
(21)【出願番号】P 2021203466
(22)【出願日】2021-12-15
【審査請求日】2024-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】栗原 直樹
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-187793(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0069824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
G07G 1/00 -G07G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引
内容を登録するための情報処理を実行する取引処理装置と、前記取引処理装
置によって
登録された取引内容に応じた決済に必要な情報が操作者による操作によって入力されると決済のための情報処理を実行する決済装置と
、管理装置と、を具備した取引処理システムであって、
前記取引処理装置に備えられ、
前記取引処理装置により予め定められた精算期間に登録済みの複数の取引に関して
予め定められた項目について精算し
て値を得て、その値を表した文字列を含んだ画像のプリントデータとして第1のデータを
生成する第3の生成手段と、
前記取引処理装置に備えられ、前記第3の生成手段により生成された第1のデータを前記決済装置に送信する第1の送信手段と、
前記決済装置に備えられ、前記第1の送信手段により送信された第1のデータを受信する第1の受信手段と、
前記決済装置に備えられ、前記第1の受信手段により受信された第1のデータが表す画像に含まれる文字列が表す値を判定する判定手段と、
前記決済装置に備えられ、前記第1の受信手段により受信された第1のデータを
、前記判定手段により判定された値についてコンピュータにより解釈可能な形態で表した第2のデータに変換する変換手段と、
前記決済装置に備えられ、前記決済装置により前記精算期間に実行済みの複数の決済に関して予め定められた項目について精算して値を得て、当該の値についてコンピュータにより解釈可能な形態で表した第4のデータを生成する第2の生成手段と、
前記決済装置に備えられ、前記変換手
段により得られた第2のデータ
と、前記第2の生成手段により生成された第4のデータとを前記管理装置に送信する第2の送信手段と、
前記管理装置に備えられ、前記第2の送信手段により送信された第2のデータ
及び第4のデータを受信する第2の受信手段と、
前記管理装置に備えられ、前記第2の受信手段により受信された第2のデータ
及び第4のデータを管理する第1の管理手段と、
を具備した取引処理システム。
【請求項2】
前記決済装置に備えられ、
前記判定手段により判定された値について人間が把握できるように表した画像に関する第3のデータを生成する第1の生成手段、を更に備え、
前記第2の送信手段は、第2のデータ
及び第4のデータとともに
、前記第1の生成手段により生成された第3のデータを前記管理装置に送信し、
前記第2の受信手段は、前記第2の送信手段により送信された第3のデータを第2のデータ
及び第4のデータとともに受信し、
前記第1の管理手段は、前記第2の受信手段により受信された第
3のデータ
を、当該第
3のデータとともに前記第2の受信手段により受信された第
2のデータ
と関連付けて管理する、
請求項
1に記載の取引処理システム。
【請求項3】
前記決済装置に備えられ、前記決済装置により前記精算期間に実行済みの複数の決済に関して予め定められた項目について精算して値を得て、当該の値について人間が把握できるように表した画像に関する第5のデータを生成する第4の生成手段、を更に備え、
前記第2の送信手段は、第2のデータ及び第4のデータとともに、前記第4の生成手段により生成された第5のデータを前記管理装置に送信し、
前記第2の受信手段は、前記第2の送信手段により送信された第5のデータを第2のデータ及び第4のデータとともに受信し、
前記第1の管理手段は、前記第2の受信手段により受信された第5のデータを、当該第5のデータとともに前記第2の受信手段により受信された第4のデータと関連付けて管理する、
請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項4】
取引
内容を登録するための情報処理を実行する取引処理装置と
、管理装置と、ともに取引処理システムを構成し、前記取引処理装
置によって
登録された取引内容に応じた決済に必要な情報が操作者による操作によって入力されると決済のための情報処理を実行する決済装置であって、
前記取引処理装置により予め定められた精算期間に登録済みの複数の取引に関して
予め定められた項目について精算し
て値を得て、その値を表した文字列を含んだ画像のプリントデータとして生成されて前記取引処理装置から送信された第1のデータを受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段により受信された第1のデータが表す画像に含まれる文字列が表す値を判定する判定手段と、
前記第1の受信手段により受信された第1のデータを
、前記判定手段により判定された値についてコンピュータにより解釈可能な形態で表した第2のデータに変換する変換手段と、
前記精算期間に実行済みの複数の決済に関して予め定められた項目について精算して値を得て、当該の値についてコンピュータにより解釈可能な形態で表した第4のデータを生成する第2の生成手段と、
前記変換手段
で得られた第2のデータ
と、前記第2の生成手段により生成された第4のデータとを前記管理装置に送信する第2の送信手段と、
を具備した決済装置。
【請求項5】
前記判定手段により判定された値について人間が把握できるように表した画像に関する第3のデータを生成する第1の生成手段、を更に備え、
前記第2の送信手段は、第2のデータ及び第4のデータとともに、前記第1の生成手段により生成された第3のデータを前記管理装置に送信する、
請求項4に記載の決済装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引処理システム及び決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のテナントが出店するショッピングセンターでは、クレジットカード又は電子マネーなどの一部の決済方法を利用した決済に関しては、ショッピングセンターの運営者からテナントに提供される決済装置が用いられる場合がある。ただし、この場合も、取引処理のためのPOS端末などの取引処理装置は、テナントが独自に選定したものが用いられることがある。そして、決済装置と取引処理装置との連携は図られていない。
一方、このようなショッピングセンターでは、各テナントでの取引の実績を、ショッピングセンターの運営者が管理することが広く行われている。
このため、日毎などの予め定められた精算期間内に行われた複数の取引に関する精算業務に当たっては、該当の精算期間内に取引処理装置で処理済みの複数の取引に関して精算した結果をレシート用紙にプリントした精算票を取引処理装置で発行し、この精算票をテナントから運営者に提出している。
かくして、テナントの取引実績の運営者による管理に関しては、テナント及び運営者ともに面倒であった。
このような事情から、テナントの取引実績の運営者による管理をより簡易に行えることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、テナントの取引実績の運営者による管理をより簡易に行える取引処理システム及び決済装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の取引処理システムは、取引内容を登録するための情報処理を実行する取引処理装置と、取引処理装置によって登録された取引内容に応じた決済に必要な情報が操作者による操作によって入力されると決済のための情報処理を実行する決済装置と、管理装置と、を具備した取引処理システムであって、取引処理装置に備えられた第3の生成手段、第1の送信手段、決済装置に備えられた第1の受信手段、判定手段、変換手段、第2の生成手段及び第2の送信手段、ならびに管理装置に備えられた第2の受信手段及び第1の管理手段を備える。第3の生成手段は、取引処理装置により予め定められた精算期間に登録済みの複数の取引に関して予め定められた項目について精算して値を得て、その値を表した文字列を含んだ画像のプリントデータとして第1のデータを生成する。第1の送信手段は、第3の生成手段により生成された第1のデータを決済装置に送信する。第1の受信手段は、第1の送信手段により送信された第1のデータを受信する。判定手段は、第1の受信手段により受信された第1のデータが表す画像に含まれる文字列が表す値を判定する。変換手段は、第1の受信手段により受信された第1のデータを、判定手段により判定された値についてコンピュータにより解釈可能な形態で表した第2のデータに変換する。第2の生成手段は、決済装置により精算期間に実行済みの複数の決済に関して予め定められた項目について精算して値を得て、当該の値についてコンピュータにより解釈可能な形態で表した第4のデータを生成する。第2の送信手段は、変換手段により得られた第2のデータと、第2の生成手段により生成された第4のデータとを管理装置に送信する。第2の受信手段は、第2の送信手段により送信された第2のデータ及び第4のデータを受信する。第1の管理手段は、第2の受信手段により受信された第2のデータ及び第4のデータを管理する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る取引処理システムの概略構成を表すブロック図。
【
図2】
図1中の取引処理装置の要部回路構成の一例を表すブロック図。
【
図3】
図1中の決済装置の要部回路構成を表すブロック図。
【
図4】
図1中の管理サーバの要部回路構成を表すブロック図。
【
図5】管理データベースに含まれるデータレコードの1つの構造を模式的に表す図。
【
図6】
図2中のプロセッサによる精算処理のフローチャート。
【
図7】
図2中のプロセッサによるスクレイプ処理のフローチャート。
【
図8】
図3中のプロセッサによる精算処理のフローチャート。
【
図9】
図3中のプロセッサによるアップロード処理のフローチャート。
【
図10】
図4中のプロセッサによる収集処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、ショッピングセンターに出店している複数のテナントのそれぞれで行われる取引を処理する取引処理システムを例に説明する。
図1は本実施形態に係る取引処理システム1の概略構成を表すブロック図である。
取引処理システム1は、複数の取引処理装置100、複数の決済装置200、管理サーバ300、設定サーバ400及び設定端末500を含む。
【0008】
取引処理装置100は、商品販売などの取引の登録と、登録された取引に関する決済額の算出などの情報処理を実行する情報処理装置である。取引処理装置100としては、例えば既存のPOS端末装置又はキャッシュレジスタなどが用いられてよい。複数の取引処理装置100は、複数のテナントでそれぞれ使用される。複数の取引処理装置100は、同一の構成である必要はない。ただし、複数の取引処理装置100の中に、同一の構成のものが複数含まれていても構わない。例えば、取引処理装置100は、個々のテナントにより適宜に選定される。
【0009】
決済装置200は、例えば通信ネットワーク2を介したクラウドサービスとして提供される決済サービスを利用した決済処理のための情報処理を実行する情報処理装置である。決済装置200は、接続先の取引処理装置100で処理済みの取引に関する実績を精算した結果を表す精算データ(以下、取引精算データと称する)を生成し、管理サーバ300に送信する機能も備える。複数の決済装置200は、基本的に同一の構成のものとする。例えば、決済装置200は、運営者からテナントに貸与される。決済装置200は、同じテナントで用いられる取引処理装置100と通信可能に接続される。取引処理装置100と決済装置200との接続形態は任意で合ってよい。例えばRS-232C又はUSB(universal serial bus)などのインタフェース規格を用いた有線接続であってもよいし、無線LAN(local area network)又はBluetooth(登録商標)などの無線通信規格を用いた無線接続であってもよい。
なお、互いに接続された取引処理装置100と決済装置200とは、複数組が1つのテナントで用いられても構わない。
【0010】
管理サーバ300は、通信ネットワーク2を介して複数の決済装置200のそれぞれと通信可能とされる。管理サーバ300は、各テナントでの取引の実績と決済サービスを利用した決済の実績とを管理するための情報処理を行う情報処理装置である。つまり管理サーバ300は、取引処理装置100により処理された取引を管理する管理装置に相当する。
【0011】
設定サーバ400は、通信ネットワーク2を介して複数の決済装置200のそれぞれと通信可能とされる。設定サーバ400は、決済装置200で取引精算データを生成するための条件などの設定を表す設定ファイルを複数の決済装置200のそれぞれに関して記憶し、当該設定ファイルを決済装置200に提供する。
【0012】
設定端末500は、設定ファイルが表す設定の変更のための操作を受け付けるユーザインタフェース端末である。
通信ネットワーク2としては、典型的にはLANが用いられる。しかしながら通信ネットワーク2としては、LANの他、インターネット、VPN、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。
【0013】
図2は取引処理装置100の要部回路構成の一例を表すブロック図である。
取引処理装置100は、プロセッサ101、メインメモリ102、補助記憶ユニット103、表示ユニット104、入力ユニット105、スキャナ106、レシートプリンタ107、釣銭ユニット108、通信ユニット109及び伝送路110を備える。
【0014】
プロセッサ101、メインメモリ102及び補助記憶ユニット103が伝送路110で接続されて、取引処理装置100の制御に関する情報処理を実行するためのコンピュータが構成される。
プロセッサ101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ101は、メインメモリ102及び補助記憶ユニット103に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに基づく情報処理を実行することにより、取引処理装置100の各種の機能を実現するべく取引処理装置100の各部を制御する。
【0015】
メインメモリ102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ102は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ102は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。またメインメモリ102は、プロセッサ101が各種の情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性または揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ102は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ101によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0016】
補助記憶ユニット103は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット103は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを備える。補助記憶ユニット103は、プロセッサ101が各種の情報処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ101での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット103は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。本実施形態では補助記憶ユニット103は、取引処理プログラムPRA及びスクレイパープログラムPRBを記憶する。取引処理プログラムPRAは、取引処理のための情報処理の手順を記述した情報処理プログラムである。スクレイパープログラムPRBは、後述する情報処理(以下、スクレイプ処理と称する)の手順を記述した情報処理プログラムである。また本実施形態では補助記憶ユニット103は、ジャーナルデータDAAを記憶する。ジャーナルデータDAAは、処理済みの取引に関する履歴を表したデータである。取引処理プログラムPRAは、複数の取引処理装置100で別々であっても構わない。スクレイパープログラムPRBは、複数の取引処理装置100で共通とする。ジャーナルデータDAAの内容は、複数の取引処理装置100で別々であっても構わない。
【0017】
表示ユニット104は、液晶表示器などの周知の表示デバイスを1つ又は複数備える。表示ユニット104は、店員等の操作者に対する情報提示のための画面を表示デバイスにて表示する。なお、表示ユニット104は、タッチパネルに備えられた表示デバイスを含んでもよい。
【0018】
入力ユニット105は、操作者による操作に応じて当該操作者の指示を入力する。入力ユニット105としては、タッチパネルに備えられたタッチセンサ、キーボード、各種のスイッチなどの各種の操作デバイスを、単独又は適宜に組み合わせて備える。
【0019】
スキャナ106は、バーコード及び2次元コードを読み取って、それらバーコード及び2次元コードが表すデータを認識する。スキャナ106は例えば、読取窓の前に翳された商品をカメラにより撮像して得られたデータに対する画像処理によってデータを認識する。あるいはスキャナ106は、レーザ光の反射を利用して光学的にバーコード又は2次元コードを読み取る。なおスキャナ106は、商品を撮像して得た商品自体の画像からオブジェクト認識技術を利用して商品を特定するのでもよい。
レシートプリンタ107は、レシート用紙に対して各種の画像をプリントして、レシート、領収証、売上票、あるいは精算票などの各種の証票を発行する。
【0020】
釣銭ユニット108は、硬貨投入口から投入された硬貨を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット108は、収納庫に収容している硬貨を、硬貨排出口を介して硬貨トレイへと排出する。釣銭ユニット108は、紙幣投入口から投入された紙幣を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット108は、収納庫に収容している紙幣を紙幣排出口から排出する。
【0021】
通信ユニット109は、決済装置200との間で各種データを授受するための通信処理を行う。通信ユニット109としては、決済装置200との通信に用いるインタフェース規格に準拠した既存の通信デバイスを用いることができる。
伝送路110は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含む。伝送路110は、接続されている各部の間で授受されるデータ及び信号を伝送する。
【0022】
図3は決済装置200の要部回路構成を表すブロック図である。
決済装置200は、プロセッサ201、メインメモリ202、補助記憶ユニット203、タッチパネル204、カードリーダ/ライタ205、近接通信ユニット206、レシートプリンタ207、通信ユニット208,209及び伝送路210を備える。
【0023】
プロセッサ201、メインメモリ202及び補助記憶ユニット203が伝送路210で接続されて、取引処理装置100の制御に関する情報処理を実行するためのコンピュータが構成される。
【0024】
プロセッサ201は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ201は、メインメモリ202及び補助記憶ユニット203に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに基づく情報処理を実行することにより、決済装置200の各種の機能を実現するべく決済装置200の各部を制御する。
【0025】
メインメモリ202は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ202は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ202は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。またメインメモリ202は、プロセッサ201が各種の情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性または揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ202は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ201によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0026】
補助記憶ユニット203は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット203は、例えばEEPROM、HDD、SSD等の周知の記憶デバイスを備える。補助記憶ユニット203は、プロセッサ201が各種の情報処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ201での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット203は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。本実施形態では補助記憶ユニット203は、決済プログラムPRC及びエージェントプログラムPRDを記憶する。決済プログラムPRCは、決済のための情報処理の手順を記述した情報処理プログラムである。エージェントプログラムPRDは、後述する情報処理(以下、抽出処理と称する)の手順を記述した情報処理プログラムである。また本実施形態では補助記憶ユニット203は、設定ファイルFIA及びジャーナルデータDABを記憶する。設定ファイルFIAは、設定サーバ400からダウンロードしたファイルである。ジャーナルデータDABは、処理済みの決済に関する履歴を表したデータである。
【0027】
タッチパネル204は、店員等の操作者に対する情報提示のための画面を表示する。タッチパネル204は、操作者による操作に応じて当該操作者の指示を入力する。
カードリーダ/ライタ205は、クレジットカード、会員カード及びプリペイドカードなどの予め定められたカードに記録されたカードデータを読み取る。またカードリーダ/ライタ205は、会員カード等の予め定められたカードに対して任意のデータを書き込む。
【0028】
近接通信ユニット206は、近接された無線タグとの間で近接無線通信を行い、当該無線タグに記憶されたデータを取得する。また近接通信ユニット206は、上記の近接無線通信により、上記の無線タグに任意の情報を書き込む。
レシートプリンタ207は、レシート用紙に対して各種の画像をプリントして、レシート、領収証、売上票、あるいは精算票などの各種の証票を発行する。
【0029】
通信ユニット208は、取引処理装置100との間で各種データを授受するための通信処理を行う。通信ユニット208としては、取引処理装置100との通信に用いるインタフェース規格に準拠した既存の通信デバイスを用いることができる。
通信ユニット209は、通信ネットワーク2を介したデータ通信のための通信処理を行う。通信ユニット209としては、通信ネットワーク2の通信方式に適応した既存の通信デバイスを用いることができる。
伝送路210は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含む。伝送路210は、接続されている各部の間で授受されるデータ及び信号を伝送する。
【0030】
図4は管理サーバ300の要部回路構成を表すブロック図である。
管理サーバ300は、プロセッサ301、メインメモリ302、補助記憶ユニット303、通信ユニット304及び伝送路305を含む。管理サーバ300のハードウェアとしては、例えば汎用のサーバ装置を用いることができる。
【0031】
プロセッサ301、メインメモリ302及び補助記憶ユニット303が伝送路305で接続されて、取引処理システム1により処理済みの取引及びその決済を管理するためのコンピュータが構成される。
プロセッサ301は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ301は、メインメモリ302及び補助記憶ユニット303に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに基づく情報処理を実行することにより、上記の管理のための情報処理を実行する。
【0032】
メインメモリ302は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ302は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ302は、不揮発性のメモリ領域では上記の情報処理プログラムを記憶する。またメインメモリ302は、プロセッサ301が各種の情報処理を実行する上で必要なデータを不揮発性または揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ302は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ301によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0033】
補助記憶ユニット303は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット303は、例えばEEPROM、HDD、SSD等の周知の記憶デバイスを備える。補助記憶ユニット303は、プロセッサ301が各種の情報処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ301での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット303は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。本実施形態では、補助記憶ユニット303は、情報処理プログラムの1つである管理プログラムPREを記憶する。管理プログラムPREは、取引処理システム1により処理済みの取引及びその決済を管理するための情報処理(以下、管理処理と称する)の手順を記述したアプリケーションプログラムである。補助記憶ユニット303の記憶領域の一部は、管理データベースDBAとして用いられる。
【0034】
図5は管理データベースDBAに含まれるデータレコードREAの1つの構造を模式的に表す図である。
データレコードREAは、複数の決済装置200のそれぞれに関連付けられる。つまり管理データベースDBAは、複数のデータレコードREAの集合である。データレコードREAは、フィールドFAA,FAB,FAC…を含む。フィールドFAAには、関連付けられた決済装置200の識別子としての決済装置コードがセットされる。フィールドFABには、関連付けられた決済装置200を使用するテナントの識別子としてのテナントコードがセットされる。フィールドFAC以降の各フィールドには、関連付けられた決済装置200が接続されている取引処理装置100により処理済みの取引と、関連付けられた決済装置200で処理済みの決済とに関する精算データ群がセットされる。
【0035】
精算データ群は、フィールドFBA,FBB,FBC,FBD,FBEを含む。フィールドFBAには、該当の精算データ群に関する日時がセットされる。フィールドFBB~FBEには、取引精算データ、取引精算票データ、決済精算データ及び決算精算票データがそれぞれセットされる。これら取引精算データ、取引精算票データ、決済精算データ及び決算精算票データについては後述する。
なお管理データベースDBAは、取引処理システム1の構築時などに補助記憶ユニット103に書き込まれる。ただし、初期の管理データベースDBAにおいて各データレコードREAは、フィールドFAA,FABのみに決済装置コード及びテナントコードがセットされており、フィールドFAC以降のフィールドには精算データ群がセットされていない。
【0036】
通信ユニット304は、通信ネットワーク2を介したデータ通信のための処理を行う。通信ユニット304としては、通信ネットワーク2の通信方式に適応した既存の通信デバイスを用いることができる。
伝送路305は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含む。伝送路305は、接続されている各部の間で授受されるデータ及び信号を伝送する。
【0037】
ところで、取引処理プログラムPRA、スクレイパープログラムPRB、決済プログラムPRC、エージェントプログラムPRD及び管理プログラムPREは、取引処理装置100、決済装置200及び管理サーバ300の譲渡の際に補助記憶ユニット103,203,303に記憶されていてもよいし、取引処理装置100、決済装置200及び管理サーバ300のハードウェアとは別に譲渡された各プログラムが、任意の作業者の操作に応じてプロセッサ101,201,301によって補助記憶ユニット103,203,303に書き込まれてもよい。なお各プログラムは、ハードウェアとは別での譲渡に当たっては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録されて譲渡されてもよいし、あるいはネットワークを介した通信により譲渡されてもよい。
【0038】
次に以上のように構成された取引処理システム1の動作につき説明する。なお、以下に説明する各種の処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。
【0039】
テナントでの取引に際しては、そのテナントで用いられる取引処理装置100により取引内容の登録が行われ、登録された取引内容に応じた決済額が算出される。そして決済装置200を用いるべき決済サービスが利用されないのであれば、決済装置200を用いること無しに、例えば釣銭ユニット108を用いた現金決済などが行われる。決済装置200を用いるべき決済サービスが利用される場合は、決済に必要な情報がタッチパネル204での操作者による操作によって決済装置200に入力された上で、決済装置200により決済サービスを利用した決済が実行される。なお、この場合の取引処理装置100の動作は、例えば既存のPOS端末又はキャッシュレジスタなどの動作と同様であってよい。また決済装置200の動作は、例えば既存の決済装置などの動作と同様であってよい。つまり取引処理装置100にてプロセッサ101は、取引処理プログラムPRAに従って、既存のPOS端末又はキャッシュレジスタのプロセッサが実行しているのと同様な取引処理を実行する。また決済装置200にてプロセッサ201は、決済プログラムPRCに従って、既存の決済装置のプロセッサが実行しているのと同様な決済処理を実行する。
【0040】
なお、取引処理装置100では、実行した取引処理に関する各種の情報がジャーナルデータDAAに追加される。また決済装置200では、実行した決済に関する各種の情報がジャーナルデータDABに追加される。ジャーナルデータDAA,DABには、取引の対象となる商品のリストなどのような取引の内容、あるいは決済方法及び決済額などの決済の内容の他に、操作ログなどの付帯情報が含められてもよい。
【0041】
さて、予め定められた精算タイミングとなると、テナント店員などの作業者は、例えば入力ユニット105及びタッチパネル204での予め定められた操作によって、精算実行を取引処理装置100及び決済装置200にそれぞれ指示する。精算タイミングは、典型的には、テナントの営業終了後の日計精算のタイミングである。しかしながら精算タイミングは、例えば1日の中に1回又は複数回として予め定められた時刻毎や、1週間又は1ヶ月などのような複数営業日を含んだ期間毎のタイミングとされても構わない。
【0042】
取引処理装置100では、精算実行が指示されると、プロセッサ101が取引処理プログラムPRAに従って精算処理を実行する。
図6はプロセッサ101による精算処理のフローチャートである。
【0043】
ACT11としてプロセッサ101は、取引実績の精算処理を実行する。プロセッサ101は例えば、予め定められた精算期間に処理済みの取引に関してジャーナルデータDAAに含まれる情報を対象として、予め定められた複数の項目に関して精算する。精算期間は例えば、直近の1営業期間内とすることが想定される。精算の対象とする項目としては例えば、客数、現金売上総額、総売上額、あるいは税合計額などが想定される。なお、精算期間をどのような期間とし、どのような項目を精算の対象とするかは、テナント毎の事情、あるいは取引処理装置100の設定などに応じて、複数の取引処理装置100で個別であってよい。
【0044】
ACT12としてプロセッサ101は、ACT11での精算結果を表した精算票のプリントデータを生成する。このプリントデータは、精算の対象となった各項目を表す文字列及び精算結果として得られた数値を表す文字列などを予め定められたフォームで2次元的に配置した画像を表すデータである。プリントデータは例えば、画像に表す文字を表す文字コードと、当該文字の画像中での配置を制御するための制御文字を表す文字コードとの羅列からなるテキスト形式のデータである。
ACT13としてプロセッサ101は、上記のように生成したプリントデータに基づく精算票のプリントをレシートプリンタ107に指示する。そしてプロセッサ101は、これをもって精算処理を終了する。
【0045】
この指示に応じてレシートプリンタ107は、上記のプリントデータが表す画像をレシート用紙にプリントしてなる精算票を発行する。なお、このプリント指示に当たっては、プリンタドライバにプリントデータが引き渡される。そしてプロセッサ101は、プリンタドライバの機能によりレシートプリンタ107を制御する。
【0046】
一方、プロセッサ101は、精算処理とは別のスレッドの処理として、スクレイパープログラムPRBに従ってスクレイプ処理を実行する。
図7はプロセッサ101によるスクレイプ処理のフローチャートである。
【0047】
ACT21としてプロセッサ101は、プリンタドライバへのプリントデータの受け渡しが行われるのを待ち受ける。そしてプロセッサ101は、例えば上記のように精算処理によりプリンタドライバへとプリントデータの受け渡しが行われたならばYESと判定し、ACT22へと進む。
【0048】
ACT22としてプロセッサ101は、プリンタドライバへと受け渡されるプリントデータを取得する。なお、既存の多くのPOS端末又はキャッシュレジスタなどでは、レシートのプリントに関わるプリントデータの授受がOPOS(open POS)仕様で行われているので、プロセッサ101はスクレイパー処理では例えば、このOPOS仕様に則ってプリントデータを取得することが可能である。
ACT23としてプロセッサ101は、上記のように取得したプリントデータを決済装置200に通信ユニット109から送信する。そしてプロセッサ101はこののち、ACT21の待受状態に戻る。
【0049】
以上のようにスクレイプ処理により送信されるプリントデータは、処理済みの複数の取引に関して精算した結果を表した画像に関するデータであるから、第1のデータの一例である。そしてスクレイパープログラムPRBに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは通信ユニット109との協働により、第1のデータとしてのプリントデータを送信する第1の送信手段としての機能を実現する。
【0050】
決済装置200では、精算実行が指示されると、プロセッサ201が決済プログラムPRCに従って精算処理を実行する。
図8はプロセッサ201による精算処理のフローチャートである。
【0051】
ACT31としてプロセッサ201は、プリントデータが受信されるのを待ち受ける。上述のように取引処理装置100から送信されたプリントデータは、通信ユニット209により受信される。つまり通信ユニット209は、第1の受信手段の一例である。そしてプロセッサ201は、プリントデータが通信ユニット209により受信されると、ACT31にてYESと判定し、ACT32へと進む。
【0052】
ACT32としてプロセッサ201は、受信されたプリントデータが精算票に関するプリントデータであるか否かを確認する。プロセッサ201は、プリントデータが表す画像の予め定められた位置に例えば「精算」などの予め定められたキーワードが含まれるか否かに基づいてこの確認を行う。より具体的にはプロセッサ201は、プリントデータを構成する文字コード列に、画像中の予め定められた位置に表すべき文字に関して含まれる「精」を表す文字コードと「算」を表す文字コードとの連続が含まれるか否かを確認する。そしてプロセッサ201は、例えば該当の事象を確認できないならば、精算票に関するプリントデータであることを確認できないとしてNOと判定し、ACT31の待受状態に戻る。
【0053】
なお、プリントデータのフォームは取引処理装置100毎で異なる場合があり、キーワードとして使用できる文字列及びその配置位置は様々である。そこでプロセッサ201は、設定ファイルFIAに表された設定に基づいて、キーワードとする文字列と、その文字列を探すべき位置を決定する。設定ファイルFIAは、このように決済装置200のそれぞれに関して、その決済装置200に接続された取引処理装置100において生成されるプリントデータのフォームを考慮して、キーワードとする文字列と、その文字列を探すべき位置とを表す設定データを含むように予め用意される。
【0054】
そしてプロセッサ201は、受信されたプリントデータが精算票に関するプリントデータであることが確認できたならば、ACT32にてYESと判定し、ACT33へと進む。
ACT33としてプロセッサ201は、受信されたプリントデータに基づいて、取引精算データを生成する。プロセッサ201は例えば、エージェントプログラムPRDに従った抽出処理を別スレッドの処理として起動する。そして抽出処理にてプロセッサ201は、精算票の画像に表すべき文字列としてプリントデータに含まれる文字列のうちから、予め定められた項目に関する項目名及び数値を表した文字列を抽出する。そしてプロセッサ201は、抽出した文字列から、上記の各項目の値を判定する。例えばプロセッサ201は、プリントデータから「客数 12」「現金売上 10000」「総売上 33000」「税合計 3000」の文字列をそれぞれ抽出し、「客数」「現金売上」「総売上」「税合計」、「12」「10000」「33000」「3000」を各項目の値として判定する。
【0055】
なお、プリントデータのフォームは取引処理装置100毎で異なる場合があり、抽出対象となる項目も異なる場合がある。そこでプロセッサ201は、設定ファイルFIAに表された設定に基づいて、抽出対象とする項目を決定する。設定ファイルFIAは、このように決済装置200のそれぞれに関して、その決済装置200に接続された取引処理装置100において生成されるプリントデータのフォームを考慮して、抽出対象とする項目を表す設定データを含むように予め用意される。
【0056】
そしてプロセッサ201はACT33では、抽出処理によって抽出された数値をそれぞれ、コンピュータにより解釈可能な形態で表したデータとして取引精算データを生成する。なお、取引精算データにて各値を表すフォームは任意であってよい。一例としては、「<客数>12</客数>」のような形態で各値を表すようにすればよい。
取引精算データは、第2のデータに相当する。かくして、取引精算データの生成は、第1のデータとしてのプリントデータを第2のデータとしての取引精算データに変換することに相当する。つまり、決済プログラムPRCに基づく情報処理をプロセッサ201が実行することによって、プロセッサ201を中枢部分とするコンピュータは変換手段として機能する。
【0057】
ACT34としてプロセッサ201は、取引精算票データを生成する。取引精算票データは、取引精算票の画像を表したデータである。プロセッサ201は、抽出処理により抽出された各値がどの項目に関する値であるかを人間が容易に把握できるように各項目名と数値とをそれぞれ表す文字列を配置して表した画像のデータとして取引精算票データを生成する。取引精算票データも、例えば精算票のプリントデータと同様なテキスト形式のデータである。プロセッサ201は、取引処理装置100から受信されたプリントデータが表す精算票のフォームに拘わらずに、予め定められたフォームで取引精算票データを生成する。取引精算票データは、第3のデータに相当する。かくして決済プログラムPRCに基づく情報処理をプロセッサ201が実行することによって、プロセッサ201を中枢部分とするコンピュータは第1の生成手段として機能する。
【0058】
ACT35としてプロセッサ201は、決済実績の精算処理を実行する。プロセッサ201は例えば、予め定められた精算期間に処理済みの決済に関してジャーナルデータDABに含まれる情報を対象として、予め定められた複数の項目に関して精算する。精算期間は例えば、直近の1営業期間内とすることが想定される。精算の対象とする項目としては例えば、クレジット決済額、電子マネー決済額、商品券決済額、あるいは総決済額などが想定される。なお、精算期間をどのような期間とし、どのような項目を精算の対象とするかは、運営者などによって適宜に定められてよい。
【0059】
ACT36としてプロセッサ201は、ACT35での精算の結果として得られた数値をそれぞれ、コンピュータにより解釈可能な形態で表したデータとして決済精算データを生成する。なお、決済精算データにて各値を表すフォームは任意であってよい。一例としては、取引精算データと同様、「<クレジット決済額>3000</クレジット決済額>」のような形態で各値を表すようにすればよい。決済精算データは、第4のデータに相当する。かくして決済プログラムPRCに基づく情報処理をプロセッサ201が実行することによって、プロセッサ201を中枢部分とするコンピュータは第2の生成手段として機能する。
【0060】
ACT37としてプロセッサ201は、決済精算票データを生成する。プロセッサ201は、ACT35での精算の結果として得られた各値がどの項目に関する値であるかを人間が容易に把握できるように各項目名と数値とをそれぞれ表す文字列を配置して表した画像のデータとして決済精算票データを生成する。
そしてプロセッサ201は、決済精算票データを生成し終えたならば、精算処理を終了する。なおプロセッサ201は、ACT33,ACT34,ACT36,ACT37で生成した取引精算データ、取引精算票データ、決済精算データ及び決済精算票データを、メインメモリ202又は補助記憶ユニット203に保存しておく。
【0061】
一方、決済装置200にてプロセッサ201は、決済プログラムPRCに従って、上記の決済処理及び精算処理とは別のスレッドの処理として、アップロード処理を実行する。
図9はプロセッサ201によるアップロード処理のフローチャートである。
【0062】
ACT41としてプロセッサ201は、管理サーバ300からアップロードが要求されるのを待ち受ける。
管理サーバ300にてプロセッサ301は、予め定められた収集タイミングとなると、管理プログラムPREに従って収集処理を開始する。収集タイミングは、例えばショッピングセンターの営業時間外に定められた開始時刻などとすることが想定される。収集タイミングは、例えばショッピングセンターの運営者などによって適宜に定められてよい。
【0063】
図10はプロセッサ301による収集処理のフローチャートである。
ACT51としてプロセッサ301は、複数の決済装置200のうちの1つを選択する。
ACT52としてプロセッサ301は、ACT51にて選択した決済装置200に対して、精算データのアップロードを要求する。プロセッサ301は例えば、アップロードを要求するための予め定められた要求コマンドを、ACT51にて選択した決済装置200を宛先として通信ユニット304から通信ネットワーク2へと送出する。この要求コマンドは、通信ネットワーク2により宛先とされた決済装置200へと伝送されると、当該決済装置200の通信ユニット209により受信される。これに応じて、この要求コマンドを受信した通信ユニット209が備えられた決済装置200のプロセッサ201は、
図9中のACT41にてYESと判定してACT42へと進む。ただし、精算データのアップロードの要求とは別の要求が、管理サーバ300から決済装置200に対して行われる場合もある。この場合もプロセッサ201は、ACT41にてYESと判定してACT42へと進む。
【0064】
ACT42としてプロセッサ201は、精算データのアップロードの要求であるか否かを確認する。そしてプロセッサ201は、別の要求であるならばNOと判定し、要求に応じた処理へと進む。この場合のプロセッサ201の処理についての説明は省略する。しかしながらプロセッサ201は、精算データのアップロードの要求であるならばACT42にてYESと判定し、ACT43へと進む。
【0065】
ACT43としてプロセッサ201は、取引精算データ、取引精算票データ、決済精算データ及び決済精算票データを含んだ精算データ群を管理サーバ300に送信する。プロセッサ201は例えば、精算処理により前述のように生成し、メインメモリ202又は補助記憶ユニット203に保存してある取引精算データ、取引精算票データ、決済精算データ及び決済精算票データを含んだアップロードデータを生成し、当該アップロードデータを管理サーバ300に宛てて通信ユニット209から通信ネットワーク2に送出させる。なおプロセッサ201は、精算処理の実行タイミングに関する日時情報をアップロードデータに含めてもよい。これにより、第2のデータとしての取引精算データ、取引精算データを表した画像に関する第3のデータとしての取引精算票データ、さらには第4のデータとしての決済精算データが管理装置としての管理サーバ300に送信される。かくして決済プログラムPRCに基づく情報処理をプロセッサ201が実行することによって、プロセッサ201を中枢部分とするコンピュータは通信ユニット209との協働により第2の送信手段及び第3の送信手段としての機能を実現する。
そしてプロセッサ201はこののち、ACT41の待受状態に戻る。
上記のアップロードデータは、通信ネットワーク2により管理サーバ300へと伝送されると、通信ユニット304により受信される。かくして通信ユニット304は、第2の受信手段及び第3の受信手段の一例である。
【0066】
管理サーバ300にてプロセッサ301は、ACT52にてアップロードを要求した後には、ACT53へと進む。
ACT53としてプロセッサ301は、アップロードデータが受信されるのを待ち受ける。そして上記のようにアップロードデータが通信ユニット304により受信されるとYESと判定し、ACT54へと進む。
【0067】
ACT54としてプロセッサ301は、受信されたアップロードデータに基づいて管理データベースDBAを更新する。プロセッサ301は例えば、受信されたアップロードデータに含まれている取引精算データ、取引精算票データ、決済精算データ及び決済精算票データをフィールドFBB~FBEにそれぞれセットした新たな精算データ群を生成する。プロセッサ301は例えば、選択中の決済装置200の決済装置コードがフィールドFAAにセットされているデータレコードREAを管理データベースDBAから探し出す。プロセッサ301は例えば、該当のデータレコードREAに現存するフィールドの末尾に新たなフィールドを付加し、当該フィールドに上記の生成した精算データ群をセットする。なおプロセッサ301は、新たに生成する精算データ群のフィールドFBAには、当該精算データ群の取得に関する日時をセットする。プロセッサ301は例えば、当該精算データ群を生成した日時を表す日時情報をフィールドFBAにセットする。あるいはプロセッサ301は例えば、アップロードデータに日時情報が含まれるならば、その日時情報をフィールドFBAにセットするのでもよい。これによりプロセッサ301は、第2のデータとしての取引精算データ、取引精算データを表した画像に関する第3のデータとしての取引精算票データ、さらには第4のデータとしての決済精算データを、管理データベースDBAを用いて管理することとなる。かくして管理プログラムPREに基づく情報処理をプロセッサ301が実行することによって、プロセッサ301を中枢部分とするコンピュータは第1の管理手段及び第2の管理手段として機能する。
【0068】
ACT55としてプロセッサ301は、この収集処理により精算データを収集する対象となる決済装置200の全てからの収集が完了したか否かを確認する。なお、収集処理により精算データを収集する対象とする決済装置200は、取引処理システム1に含まれる全ての決済装置200とすることが想定される。しかしながら、取引処理システム1に含まれる全ての決済装置200を複数のグループに分けておき、プロセッサ301は、それぞれのグループに属する決済装置200を、それぞれ異なるタイミングで実行する収集処理の対象としてもよい。プロセッサ301は例えば、対象となる決済装置200の全てを選択済みでなければNOと判定し、ACT51以降の処理を上述と同様に繰り返す。ただしプロセッサ301はACT51では、今回の収集処理の対象である決済装置200のうちで、今回の収集処理中にまだ選択していない決済装置200を選択する。これによりプロセッサ301は、対象となる決済装置200のそれぞれから送られるアップロードデータに基づく精算データ群を管理データベースDBAに追加する。
そしてプロセッサ301は、今回の収集処理の対象である決済装置200の全てを選択済みである状態でACT55へと進んだ場合には、YESと判定して収集処理を終了する。
【0069】
以上のように取引処理システム1では、決済装置200が、取引処理の実績を精算した結果を表す精算票のプリントデータを取引処理装置100から取得し、当該プリントデータに基づいて、取引処理の実績を精算した結果をコンピュータが容易に解釈可能に表した取引精算データを生成する。そして管理サーバ300が、決済装置200から取引精算データを取得して管理する。従って、レシート用紙などを使用した精算票をテナントから運営者に提出せずとも、運営者は管理サーバ300により管理された取引精算データに基づいて各テナントでの取引の実績をコンピュータ管理できる。つまり、テナントの取引実績の運営者による管理をより簡易に行える。
【0070】
また取引処理システム1では、決済装置200が、取引処理の実績を精算した結果を人間が容易に把握できるように表した画像に関するデータである取引精算票データを生成し、これを管理サーバ300が管理する。従って、取引精算票データが表す画像を参照することで、管理担当者などが取引の実績を容易に確認できる。
【0071】
また取引処理システム1では、取引処理装置100では、精算票のプリントのためのプリントデータを決済装置200に送信する。このため、取引処理装置100は、管理サーバ300での管理に適応するデータを生成する必要が無い。そして取引処理装置100でプロセッサ101は、プリントデータを決済装置200に送信するための情報処理を、スクレイパープログラムPRBに基づくスクレイプ処理として、取引処理とは別に実行する。このため、既存のPOS端末又はキャッシュレジスタなどに、スクレイパープログラムPRBをインストールすることにより、取引処理装置100を実現できる。
【0072】
また取引処理システム1では、決済装置200での決済の実績を精算した結果をコンピュータが容易に解釈可能に表した決済精算データを決済装置200にて生成する。そして管理サーバ300が、決済装置200から決済精算データを取得して管理する。従って、取引処理装置100で処理された取引に関する決済の実績に関する運営者による管理も容易に行える。
【0073】
また取引処理システム1では、決済の実績を精算した結果を人間が容易に把握できるように表した画像に関するデータである決済精算票データを生成し、これを管理サーバ300が管理する。従って、決済精算票データが表す画像を参照することで、管理担当者などが決済の実績を容易に確認できる。
【0074】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
取引精算票データ、決済精算データ及び決済精算票データのうちの一部又は全ての生成及び収集は行わなくてもよい。
【0075】
プリントデータに代えて、ジャーナルデータDAAの一部又は全てを取引処理装置100から決済装置200へと送ってもよい。そして取引処理装置100にてプロセッサ201は、ジャーナルデータに基づいて取引を精算した結果を表した取引精算データ及び取引精算票データを生成してもよい。
【0076】
取引処理装置100から決済装置200へのデータ送信は、プロセッサ101により取引処理の中の処理として実行されてもよい。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1] 取引を処理するための情報処理を実行する取引処理装置と、前記取引処理装置による情報処理によって処理された取引に関する決済のための情報処理を実行する決済装置と、前記取引処理装置による情報処理によって処理された取引を管理する管理装置と、を具備した取引処理システムであって、
前記取引処理装置に備えられ、処理済みの複数の取引に関して精算した結果を表す第1のデータを決済装置に送信する第1の送信手段と、
前記決済装置に備えられ、前記第1の送信手段により送信された第1のデータを受信する第1の受信手段と、
前記決済装置に備えられ、前記第1の受信手段により受信された第1のデータを第2のデータに変換する変換手段と、
前記決済装置に備えられ、前記変換手段での変換により得られた第2のデータを前記管理装置に送信する第2の送信手段と、
前記管理装置に備えられ、前記第2の送信手段により送信された第2のデータを受信する第2の受信手段と、
前記管理装置に備えられ、前記第2の受信手段により受信された第2のデータを管理する第1の管理手段と、
を具備した取引処理システム。
[付記2] 前記第1の送信手段は、処理済みの複数の取引に関して精算した結果を表した画像をプリントするためのプリントデータを第1のデータとして送信し、
前記変換手段は、前記第2の受信手段により受信された第1のデータが表す画像から精算結果を表す情報を抽出して、この抽出した情報を含んだデータとして第2のデータを生成する、
付記1に記載の取引処理システム。
[付記3] 前記決済装置に備えられ、前記変換手段により生成された第2のデータを表した画像に関する第3のデータを生成する第1の生成手段、を更に備え、
前記第2の送信手段は、第2のデータとともに、その第2のデータから前記第1の生成手段により生成された第3のデータを前記管理装置に送信し、
前記第2の受信手段は、前記第2の送信手段により送信された第3のデータを第2のデータとともに受信し、
前記第1の管理手段は、前記第2の受信手段により受信された第2のデータと、当該第2のデータとともに前記第2の受信手段により受信された第3のデータとを互いに関連付けて管理する、
付記2に記載の取引処理システム。
[付記4] 前記決済装置に備えられ、情報処理を実行済みの複数の決済に関して精算した結果を表す第4のデータを生成する第2の生成手段と、
前記第2の生成手段により生成された第4のデータを前記管理装置に送信する第3の送信手段と、
前記管理装置に備えられ、前記第3の送信手段により送信された第4のデータを受信する第3の受信手段と、
前記管理装置に備えられ、前記第3の受信手段により受信された第4のデータを管理する第2の管理手段と、
をさらに具備する付記1-付記3のいずれか一項に記載の取引処理システム。
[付記5] 取引を処理するための情報処理を実行する取引処理装置と、前記取引処理装置による情報処理によって処理された取引を管理する管理装置と、ともに取引処理システムを構成し、前記取引処理装置による情報処理によって処理された取引に関する決済のための情報処理を実行する決済装置であって、
前記取引処理装置から送信された、処理済みの複数の取引に関して精算した結果を表す第1のデータを受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段により受信された第1のデータを第2のデータに変換する変換手段と、
前記変換手段での変換により得られた第2のデータを前記管理装置に送信する第2の送信手段と、
を具備した決済装置。
【符号の説明】
【0078】
1…取引処理システム、2…通信ネットワーク、100…取引処理装置、200…決済装置、300…管理サーバ、101,201,301…プロセッサ、102,202,302…メインメモリ、103,203,303…補助記憶ユニット、104…表示ユニット、105…入力ユニット、106…スキャナ、107,207…レシートプリンタ、108…釣銭ユニット、109,208,209,304…通信ユニット、110,210,305…伝送路、204…タッチパネル、205…カードリーダ/ライタ、206…近接通信ユニット。