(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-03
(45)【発行日】2025-09-11
(54)【発明の名称】モジュール情報管理システム及びモジュール情報管理方法。
(51)【国際特許分類】
G06F 8/71 20180101AFI20250904BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20250904BHJP
【FI】
G06F8/71
G06F8/65
(21)【出願番号】P 2022108254
(22)【出願日】2022-07-05
【審査請求日】2024-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 豊和
(72)【発明者】
【氏名】梅津 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】出野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】助川 祐太
(72)【発明者】
【氏名】藪内 達志
【審査官】西間木 祐紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-041355(JP,A)
【文献】特表2007-528067(JP,A)
【文献】特開2014-085766(JP,A)
【文献】特開2013-250923(JP,A)
【文献】特開2001-265692(JP,A)
【文献】特開2021-005148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/71
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の機能を実現するモジュール部であって、複数の処理部において共通して使用可能なモジュール部を一種類以上有する複数の処理部と、前記モジュール部の情報を管理する管理部と、を備えるモジュール情報管理システムであって、
前記処理部は、
当該処理部に格納されたすべての前記モジュールのバージョン情報を格納するモジュールバージョン情報格納部と、
前記モジュールバージョン情報格納部から前記モジュール部のバージョン情報を読み出して前記管理部に送信する第1制御部と、を備え、
前記管理部は、複数の前記処理部から送信されたすべての前記モジュール部のバージョン情報を管理するバージョン情報データベース
と、前記モジュール部のデータを更新する制御を行う第2制御部と、複数の前記処理部の動作を制御する処理部制御部と、を備え
、
前記モジュール部は、自身のバージョン情報を格納するバージョン情報格納部を備え、予め定められた定期的なタイミングにおいて、自身のバージョン情報を前記バージョン情報格納部に格納し、
前記第1制御部は、予め定められた定期的なタイミングにおいて、前記バージョン情報格納部から前記モジュール部のバージョン情報を読み出して前記モジュールバージョン情報格納部に格納し、前記管理部から前記モジュール部のバージョン情報を読み出すバージョンリード指令を受信した場合、前記バージョンリード指令において指定された前記モジュール部のバージョン情報を前記モジュールバージョン情報格納部から読み出して前記管理部に送信し、
前記第2制御部は、前記バージョン情報データベースに格納された前記モジュール部のバージョン情報に基づいて、データを更新すべき前記モジュール部を特定し、特定した前記モジュール部を対象としてデータ書き換え指令を送信し、
前記処理部制御部は、
複数のすべての前記処理部から送信された前記モジュールのバージョン情報を格納する全処理部バージョン情報格納部と、
前記全処理部バージョン情報格納部から前記モジュール部のバージョン情報を読み出して前記管理部に送信する第3制御部と、をさらに備える
モジュール情報管理システム。
【請求項2】
特定の機能を実現するモジュール部であって、複数の処理部において共通して使用可能なモジュール部を一種類以上有する複数の処理部と、前記モジュール部の情報を管理する管理部と、を備えるモジュール情報管理システムによるモジュール情報管理方法であって、
前記処理部は、
当該処理部に格納されたすべての前記モジュールのバージョン情報を格納するモジュールバージョン情報格納部と、
前記モジュールバージョン情報格納部から前記モジュール部のバージョン情報を読み出して前記管理部に送信する第1制御部と、を備え、
前記管理部は、複数の前記処理部から送信されたすべての前記モジュール部のバージョン情報を管理するバージョン情報データベースと、前記モジュール部のデータを更新する制御を行う第2制御部と、複数の前記処理部の動作を制御する処理部制御部と、を備え、
前記モジュール部は、自身のバージョン情報を格納するバージョン情報格納部を備え、
前記モジュール部が、予め定められた定期的なタイミングにおいて、自身のバージョン情報を前記バージョン情報格納部に格納する手順と、
前記第1制御部が、予め定められた定期的なタイミングにおいて、前記バージョン情報格納部から前記モジュール部のバージョン情報を読み出して前記モジュールバージョン情報格納部に格納する手順と、
前記第1制御部が、前記管理部から前記モジュール部のバージョン情報を読み出すバージョンリード指令を受信した場合、前記バージョンリード指令において指定された前記モジュール部のバージョン情報を前記モジュールバージョン情報格納部から読み出して前記管理部に送信する手順と、
前記第2制御部が、前記バージョン情報データベースに格納された前記モジュール部のバージョン情報に基づいて、データを更新すべき前記モジュール部を特定し、特定した前記モジュール部を対象としてデータ書き換え指令を送信する手順と、を含み、
前記処理部制御部は、
複数のすべての前記処理部から送信された前記モジュールのバージョン情報を格納する全処理部バージョン情報格納部と、
前記全処理部バージョン情報格納部から前記モジュール部のバージョン情報を読み出して前記管理部に送信する第3制御部と、をさらに備える
モジュール情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール情報管理システム及びモジュール情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特定の機能を実現するモジュールであって、様々な処理部に適用可能な汎用的なモジュールを複数種類組み合わせることによって、エレベーター等の装置を構成する端末、機器等の各処理部を設計することが行われている。処理部をこのように設計することにより、モジュールによって構成されるソフトウェアの移植性、拡張性の向上を図れるためである。そして、このように様々な端末に格納されたソフトウェアの情報を管理する様々な手法が考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両に搭載された機器のトレーサビリティ情報と関連付けられている機器要求仕様に対応する法規IDと、トレーサビリティ情報に含まれている一つ以上のソフトウェアIDとを関連づけた情報である認可ソフトウェア照会情報を生成し、認可ソフトウェア照会情報とトレーサビリティ情報とを関連付けた車両トレーサビリティ情報を生成するソフトウェア照会情報管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の技術では、法規の機能を構成するソフトウェアが、複数のソフトウェアの組み合わせにより構成されるものである場合には、複数のソフトウェアのまとまりに対してソフトウェア照会番号が割り振られる。そして、該ソフトウェア照会番号と法規IDとが対応付けて管理される。つまり、特許文献1に記載の技術においては、複数のソフトウェアを構成する各ソフトウェア単位での情報のトレーサビリティについては考慮されていない。
【0006】
したがって、汎用性を持つモジュールが様々な処理部で使用される形態において、モジュール単位での機能のアップデートや、モジュールにおける不具合の修正などを行う場合、特許文献1に記載の技術では、対象のモジュールがどの処理部において使用されているかを調べることは困難になる。
【0007】
本発明は、上記の状況を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、複数の処理部において共通して使用される複数のモジュールの情報を、一括して管理できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るモジュール情報管理システムは、特定の機能を実現するモジュール部であって、複数の処理部において共通して使用可能なモジュール部を一種類以上有する複数の処理部と、モジュール部の情報を管理する管理部と、を備えるモジュール情報管理システムである。本発明の一態様に係るモジュール情報管理システムの処理部は、当該処理部に格納されたすべてのモジュールのバージョン情報を格納するモジュールバージョン情報格納部と、モジュールバージョン情報格納部からモジュール部のバージョン情報を読み出して管理部に送信する第1制御部と、を備え、管理部は、複数の処理部から送信されたすべてのモジュール部のバージョン情報を管理するバージョン情報データベースと、前記モジュール部のデータを更新する制御を行う第2制御部と、複数の前記処理部の動作を制御する処理部制御部と、を備える。そして、モジュール部は、自身のバージョン情報を格納するバージョン情報格納部を備え、予め定められた定期的なタイミングにおいて、自身のバージョン情報をバージョン情報格納部に格納し、第1制御部は、予め定められた定期的なタイミングにおいて、バージョン情報格納部からモジュール部のバージョン情報を読み出してモジュールバージョン情報格納部に格納し、管理部からモジュール部のバージョン情報を読み出すバージョンリード指令を受信した場合、バージョンリード指令において指定されたモジュール部のバージョン情報をモジュールバージョン情報格納部から読み出して管理部に送信し、第2制御部は、バージョン情報データベースに格納されたモジュール部のバージョン情報に基づいて、データを更新すべきモジュール部を特定し、特定したモジュール部を対象としてデータ書き換え指令を送信し、処理部制御部は、複数のすべての処理部から送信されたモジュールのバージョン情報を格納する全処理部バージョン情報格納部と、全処理部バージョン情報格納部からモジュール部のバージョン情報を読み出して管理部に送信する第3制御部と、をさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一態様によれば、複数の処理部において共通して使用される複数のモジュールの情報を、一括して管理できるようになる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るモジュール情報管理システムの概略構成例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るホール端末の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るモジュール情報管理システムを構成するホール端末、号機制御部、全体管理部のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るモジュール部内のバージョン情報格納部の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るペリフェラル部内のモジュールバージョン情報一括格納部の構成例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る号機制御部内の全処理部バージョン情報格納部の構成例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る全体管理部内のバージョン情報データベースの構成例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る全体管理部のROMデータベースの構成例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る全体管理部の制御部によるバージョンリード処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る号機制御部の制御部によるバージョンリード処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係るホール端末におけるバージョンセット処理・バージョンリード処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る全体管理部、号機制御部及びホール端末によるROMデータ書き換え処理の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値等は例示である。また、本明細書及び図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0012】
<モジュール情報管理システムの概略構成>
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るモジュール情報管理システムの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るモジュール情報管理システム100の概略構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、モジュール情報管理システム100は、かご部1と、モータ部2と、ホール端末3_1~3_n(nは2以上の自然数)と、第1号機制御部4_1~第3号機制御部4_3と、全体管理部5と、を備える。
【0014】
第1号機制御部4_1~第3号機制御部4_3と全体管理部5との間は、公衆インターネット網等よりなるネットワークNを介して接続される。
【0015】
かご部1は、不図示の建物の昇降路内を昇降するエレベーターの乗りかごである。
モータ部2は、かご部1を昇降させる巻上機を駆動するモータ(いずれも図示略)等により構成される。
ホール端末3_1~3_n(処理部の一例)は、エレベーターのホール(図示略)に設けられたホールボタン31、インジケータ32(いずれも
図2参照)、及び、これらを制御する制御系により構成される端末である。以下の説明において、ホール端末3_1~3_nを個別に識別する必要がない場合には、これらをホール端末3と総称する。ホール端末3の制御系の構成については、次の
図2を参照して詳述する。
【0016】
なお、本実施形態では、ホール端末3がホールボタン31及びインジケータ32を含む例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。ホール端末3には、スピーカ、照明灯などのその他の端末が含まれてもよい。
【0017】
[号機制御部]
第1号機制御部4_1は、かご部1、モータ部2、ホール端末3の動作を制御する制御装置である。本実施形態では、第1号機制御部4_1~第3号機制御部4_3の3つの号機制御部が設けられる例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。号機制御部の数は、2つ以下でもよく、4つ以上であってもよい。以下の説明において、第1号機制御部4_1~第3号機制御部4_3を個別に識別する必要がない場合には、これらを号機制御部4(処理部制御部の一例)と総称する。
【0018】
第1号機制御部4_1は、通信部41と、モータ制御部42と、かご制御部43と、ホール端末制御部44と、通信部45と、ROM(Read Only Memory)データ格納部46と、全処理部バージョン情報格納部47と、制御部48と、を含む。
【0019】
通信部41は、かご部1、モータ部2及びホール端末3のそれぞれと間における通信の動作を制御する。
モータ制御部42は、モータ部2の動作を制御する。
かご制御部43は、かご部1の不図示のドアの開閉動作、かご部1内に設けられた不図示の各種端末(以下、「かご内端末」とも称する、処理部の一例)の動作等を制御する。かご内端末には、例えば、行先階ボタン、ドアの開閉ボタン、表示装置、スピーカ、照明灯(いずれも図示略)等が含まれる。
【0020】
ホール端末制御部44は、ホール端末3の動作を制御する。
通信部45は、全体管理部5との間における通信の動作を制御する。
【0021】
ROMデータ格納部46には、号機制御部4が管理する対象の各端末において使用されている各モジュール部331(
図2参照)のバージョンに関する情報(バージョン情報)、及び、各モジュール部331のデータ(プログラム、以下、ROMデータとも称する)が格納される。モジュール部331は、端末におけるIO(Input Output:入出力)機能、IND(Indicate:表示)機能などを実現するモジュールであり、異なる種類の端末において共通で使用可能なように、汎用的な仕様で設計されている。
【0022】
ROMデータ格納部46は、例えば2面により構成され、第1面は書き換えROMデータによる書き換え前の(現在使用中の)ROMデータの格納用、第2面は、書き換えROMデータによる書き換え後の新しいバージョンのROMデータの格納用に用いられる。そして、全体管理部5よりROM書き換え指令が送信された場合に、ROMデータ格納部46の面を第1面から第2面に切り替える処理が行われる。ROMデータ格納部46に格納されるROMデータの構成については、後述の
図6を参照して詳述する。
【0023】
全処理部バージョン情報格納部47には、ホール端末3やかご内端末、モータ部2を制御するインバータ端末(図示略)などの各処理部が有する各モジュール部のバージョン情報が一括して格納される。全処理部バージョン情報格納部47の構成については、後述の
図6を参照して詳述する。
【0024】
制御部48(第3制御部の一例)は、号機制御部4を構成する各部の動作を制御する。また、制御部48は、全体管理部5からバージョンリード指令が送信された場合に、ホール端末3に対してバージョンリード指令を送信する。そして制御部48は、該指令に基づいてホール端末3から送信された各モジュール部のバージョン情報で、全処理部バージョン情報格納部47内のバージョン情報を更新する。これにより、全処理部バージョン情報格納部47内のバージョン情報は最新に保たれる。さらに、制御部48は、全処理部バージョン情報格納部47に格納された各モジュール部のバージョン情報を、通信部45を介して全体管理部5に送信する。制御部48による処理については、後述の
図10を参照して詳述する。
【0025】
[全体管理部]
全体管理部5(管理部の一例)は、例えば遠隔地に設置された不図示の監視センタ内等に設けられ、ホール端末3やかご内端末などの各処理部が有する各モジュール部のバージョン情報を管理するとともに、該バージョンの更新処理等を行う。また、全体管理部5は、各処理部が有する各モジュール部のバージョン情報に基づいて、モジュール部のROMデータの書き換え制御等を行う。
全体管理部5は、バージョン情報データベース51と、ROMデータベース52と、制御部53と、操作部54と、を含む。
【0026】
バージョン情報データベース51には、ホール端末3やかご内端末などの処理部が有するすべてのモジュール部のバージョン情報が格納される。バージョン情報データベース51の構成については、後述の
図7を参照して詳述する。
ROMデータベース52には、各モジュール部のROMデータが格納される。ROMデータベース52の構成については、後述の
図8を参照して詳述する。
【0027】
制御部53(第2制御部の一例)は、バージョンリード定期処理の実行タイミングの到来時や、操作部54を介してユーザよりバージョンリード指令又はROM書き換え指令が入力された場合などに、バージョンリード処理を行う。
【0028】
バージョンリード定期処理は、各端末が有する各モジュールのバージョン情報を読み取るために定期的に実行される処理であり、例えば、エレベーターのかご部1に人が乗っていない空き時間や、保守の実行時などに定期的に実行される処理である。バージョンリード処理は、各端末が有する各モジュールのバージョン情報を読み取る処理であり、具体的には、号機制御部4にバージョンリード指令を送信し、該指令に基づいて返信されたバージョン情報によって、バージョン情報データベース51の情報を更新する処理である。このような定期的なタイミングでバージョン情報データベース51の情報が更新されることにより、バージョン情報データベース51内のバージョン情報は、最新の情報に保たれる。
【0029】
バージョンリード指令は、各モジュールのバージョン情報を把握したいユーザによって、操作部54を介して入力される指示である。
【0030】
ROM書き換え指令は、アップデート又は不具合の解消等を目的としてモジュールのバージョン更新が行われる場合における、モジュールのROMデータの書き換えを指示する指令である。ROM書き換え指令も、エレベーターのかご部1に人が乗っていない空き時間や、保守の実行時などに送信される。
【0031】
操作部54は、例えばマウスやキーボード、あるいはタッチセンサなどによって構成され、ユーザによって入力された操作内容に応じた操作信号を生成して制御部53に出力する。
【0032】
[ホール端末]
次に、
図2を参照して、ホール端末3の制御系の構成について説明する。
図2は、ホール端末3の制御系の構成例を示すブロック図である。なお、
図2には端末(処理部)の一例としてホール端末3を例示したが、かご内端末等の他の端末も、同様の構成を有するものとする。
【0033】
ホール端末3は、ペリフェラル部33と全体制御部34と、を含む。
ペリフェラル部33は、モジュールA部331Aと、モジュールB部331Bと、通信部332と、モジュールバージョン情報一括格納部333と、ROMデータ格納部334と、を含む。
【0034】
モジュールA部331Aは、ホールボタン31の入出力(IO:Input Output)機能を提供するモジュールであり、モジュールB部331Bは、インジケータ32の表示(IND:Indicate)機能を提供するモジュールである。モジュールA部331A及びモジュールB部331Bの制御系の構成は同一であるため、モジュールA部331Aのみを例に挙げて説明する。以下の説明において、モジュールA部331AとモジュールB部331Bとを個別に識別する必要がない場合には、これらをモジュール部331と総称する。
【0035】
なお、
図2には、ホール端末3がホールボタン31の入出力機能を提供するモジュールA部331Aと、インジケータ32の表示機能を提供するモジュールB部331Bとの2つのモジュールを有する例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。ホール端末3が備えるモジュールは、1つ(種類)であってもよく3つ以上であってもよい。
【0036】
モジュール部331は、機能部(IO)3311Aと、パラメータ格納部3312Aと、バージョン情報格納部3313Aと、を含む。
【0037】
機能部(IO)3311Aは、ホールボタン31の入出力機能を提供するモジュールの本体である。機能部(IO)3311Aは、バージョンセット定期処理の実行タイミングの到来時には、自身のバージョンの情報を不図示のメモリから読み出してバージョン情報格納部3313Aに格納(セット)する。バージョンセット定期処理は、最新のバージョンの情報をバージョン情報格納部3313Aに格納するための定期処理であり、空き時間や、保守の実行時などに定期的に実行される処理である。このような定期的なタイミングで実行される処理に基づいて、バージョン情報格納部3313Aの情報が更新されることにより、バージョン情報格納部3313A内のバージョン情報は、最新の情報に保たれる。
【0038】
パラメータ格納部3312Aには、機能部(IO)3311AがIO機能を提供するにあたって使用する各種パラメータが格納される。
【0039】
バージョン情報格納部3313Aには、機能部(IO)のモジュール部のバージョンの情報が格納される。つまり、本実施形態においては、一つの端末において複数種類のモジュール部(
図2に示す例では、モジュールA部331A及びモジュールB部331B)が使用されている場合にも、複数の各モジュール部331のバージョンの情報が、それぞれのモジュール部331において個別に管理される。なお、例えば、システムの運用途中に、端末に格納されるモジュール部の種類が変更された場合には、バージョン情報格納部3313内で管理されるモジュール部のバージョン情報も、変更後の情報に更新される。
【0040】
以下の説明において、機能部3311Aと3311Bとを個別に識別する必要がない場合には、これらを機能部3311と総称する。また、パラメータ格納部3312Aと3312Bとを個別に識別する必要がない場合には、これらをパラメータ格納部3312と総称し、バージョン情報格納部3313Aと3313Bとを個別に識別する必要がない場合には、これらをバージョン情報格納部3313と総称する。
【0041】
通信部332は、全体制御部34の通信部341との間における通信の動作を制御する。
モジュールバージョン情報一括格納部333(モジュールバージョン情報格納部の一例)には、モジュールA部331Aのバージョン情報、及び、モジュールB部331Bのバージョン情報が格納される。つまり、モジュールバージョン情報一括格納部333には、複数のモジュールが有するそれぞれのバージョンの情報が一括して登録される。モジュールバージョン情報一括格納部333の構成については、後述の
図5を参照して詳述する。
【0042】
ROMデータ格納部334には、モジュールA部331A及びモジュールB部331Bの各ROMデータが格納される。ROMデータ格納部334は、号機制御部4のROMデータ格納部46と同様に、2面により構成される。書き換えROMデータは第2面に書き込まれ、号機制御部4からROM書き換え指令を受信したタイミングで、ROMデータ格納部334の面が第1面から第2面に切り替えられる。
【0043】
全体制御部34は、通信部341と、制御部342と、を含む。
通信部341は、号機制御部4との間における通信動作の制御、及び、ペリフェラル部33の通信部332との間における通信動作の制御を行う。
【0044】
制御部342(第1制御部の一例)は、バージョンリード定期処理の実行時や、全体管理部5から送信されるバージョンリード指令又はROM書き換え指令等の受信時に、モジュールバージョン情報一括格納部333から対象のモジュールのバージョン情報を読み出して、通信部341を介して号機制御部4に送信する制御を行う。また、制御部342は、全体管理部5よりROM書き換え指令及びROM書き換えデータが送信された場合には、該ROM書き換え指令及びROM書き換えデータを、モジュールA部331A及びモジュールB部331Bに送信する。
【0045】
なお、
図1及び
図2に示した例では、モジュール情報管理システム100が、複数の号機制御部4、及び、ホール端末3を含む複数の端末を含む例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、エレベーターの号機が1つである場合には、モジュール情報管理システムは、号機制御部4内のROMデータ格納部46及び全体処理部バージョン情報格納部47は備えない構成とされてもよい。この場合、全体管理部5及びホール端末3は、直接情報のやり取りを行うことができる。
【0046】
具体的には、全体管理部5からバージョンリード指令が送信された場合、ホール端末3の制御部342は、モジュールバージョン情報一括格納部333から読みだした各モジュール部のバージョン情報を、通信部341を介して全体管理部5に送信することができる。
【0047】
<計算機のハードウェア構成例>
次に、
図1に示したモジュール情報管理システム100の制御系の機能を実現するための各装置のハードウェア構成について、
図3を参照して説明する。
【0048】
図3は、モジュール情報管理システム100を構成するホール端末3、号機制御部4、全体管理部5のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3に示す計算機200は、いわゆるコンピュータとして用いられるハードウェアである。
【0049】
計算機200は、バスBにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、表示部204、操作入力部205、不揮発性ストレージ206及び通信インターフェース207を備える。
【0050】
CPU201は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM202から読み出してRAM203に展開して実行する。なお、計算機200は、CPU201の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。RAM203には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0051】
全体管理部5の制御部53、号機制御部4の制御部48、ホール端末3の全体制御部34の制御部342、モジュール部331の機能部3311の各機能は、CPU201がROM202から該当するプログラムコードを読み出してRAM203に展開して実行することにより実現される。
【0052】
表示部204は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成されるモニタであり、計算機20で行われる処理の結果等を表示する。
操作入力部205は、例えば、キーボード、マウス、タッチセンサ等によって構成され、ユーザによる操作に応じた操作信号を生成してCPU201に供給する。全体管理部5の操作部54の機能は、操作入力部205により実現される。
【0053】
なお、表示部204と操作入力部205とは、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。また、計算機200は、表示部204及び操作入力部205を備えない構成とされてもよい。
【0054】
不揮発性ストレージ206としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この不揮発性ストレージ206には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機200を機能させるためのプログラム等が記録される。なお、プログラムは、ROM202に格納されてもよい。
【0055】
プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU201は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM202又は不揮発性ストレージ206は、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0056】
全体管理部5のバージョン情報データベース51、ROMデータベース52、号機制御部4のROMデータ格納部46、全処理部バージョン情報格納部47、ホール端末3のモジュールバージョン情報一括格納部333、ROMデータ格納部334、モジュール部331のパラメータ格納部3312、バージョン情報格納部3313の各機能は、不揮発性ストレージ206又はROM202によって実現される。
【0057】
通信インターフェース207には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、ネットワーク又は通信線を介して外部装置との間で各種のデータを送受信することが可能である。号機制御部4の通信部45、ホール端末3の全体制御部34の通信部341、ホール端末3のペリフェラル部33の通信部332の各機能は、通信インターフェース207によって実現される。
【0058】
<モジュール部内のバージョン情報格納部の構成>
次に、
図4を参照して、モジュール部331内のバージョン情報格納部3313の構成について説明する。
図4は、モジュール部331内のバージョン情報格納部3313の構成例を示す図である。
図4Aには、のバージョン情報格納部3313Aの構成例を示し、
図4Bには、バージョン情報格納部3313Bの構成例を示す。
【0059】
図4Aに示すバージョン情報格納部3313Aは、内容フィールドF1、アドレスフィールドF2、データフィールドF3の各フィールドを有する。内容フィールドF1には、格納される情報は、モジュールA部331Aのバージョン情報及び該バージョンの更新日時であることを示す文字が、項目として格納される。具体的には、「モジュールA部のバージョン」及び「モジュールA部の更新日時」の文字が格納される。
【0060】
アドレスフィールドF2には、モジュールA部331Aのバージョン情報及び該バージョンの更新日時の各情報が格納されたアドレスの情報が格納される。
データフィールドF3には、バージョン情報のデータ及びバージョンの更新日時を示すデータが格納される。
【0061】
例えば、バージョン情報格納部3313Aの一番目のレコードには、アドレス“H’00”に、モジュールA部331Aのバージョン情報のデータである“32H’0001_0000”が格納されていることが示されている。また、2番目のレコードには、アドレス“H’01”に、バージョンの更新日時を示すデータである“32H’2022_0513”が格納されていることが示されている。
【0062】
図4Bに示すバージョン情報格納部3313Bも同様に、内容フィールドF11、アドレスフィールドF12、データフィールドF13の各フィールドを有する。これらの各フィールドが持つ意味は
図4Aに示したバージョン情報格納部3313Aにおけるそれらと同一であるため、ここではこれらの説明は省略する。
【0063】
例えば、バージョン情報格納部3313Bの一番目のレコードには、アドレス“H’00”に、モジュールB部331Bのバージョン情報のデータである“32H’0002_0000”が格納されていることが示されている。また、2番目のレコードには、アドレス“H’01”に、バージョン情報の更新日時を示すデータである“32H’2022_0513”が格納されていることが示されている。
【0064】
つまり、ホール端末3はモジュールA部331A及びモジュールB部331Bの組み合わせによってその機能が実現されるが、本実施形態では、2つのモジュール部の組み合わせの情報ではなく、1つ1つの各モジュール部のバージョン情報が、それぞれのパラメータ格納部3312において管理される。
【0065】
<ペリフェラル部内のモジュールバージョン情報一括格納部の構成>
次に、
図5を参照して、ペリフェラル部33内のモジュールバージョン情報一括格納部333の構成について説明する。
図5は、ペリフェラル部33内のモジュールバージョン情報一括格納部333の構成例を示す図である。
【0066】
図5に示すように、モジュールバージョン情報一括格納部333は、内容フィールドF21、アドレスフィールドF22、データフィールドF23の各フィールドを有する。これらの各フィールドが持つ意味は
図4Aに示したバージョン情報格納部3313Aにおけるそれらと同一であるため、ここではこれらの説明は省略する。
【0067】
モジュールバージョン情報一括格納部333には、モジュールA部331Aのバージョンに関する情報と、モジュールB部331Bのバージョンに関する情報とが、一括して格納される。例えば、モジュールバージョン情報一括格納部333の一番目のレコードには、モジュールA部331Aのアドレス“H’00”に、モジュールA部331Aのバージョン情報のデータである“32H’0001_0000”が格納されていることが示されている。また、2番目のレコードには、モジュールA部331Aのアドレス“H’01”に、バージョン情報の更新日時を示すデータである“32H’2022_0513”が格納されていることが示されている。
【0068】
<号機制御部内の全処理部バージョン情報格納部の構成>
次に、
図6を参照して、号機制御部4内の全処理部バージョン情報格納部47の構成について説明する。
図6は、号機制御部4内の全処理部バージョン情報格納部47の構成例を示す図である。
【0069】
図6に示すように、全処理部バージョン情報格納部47は、内容フィールドF31、アドレスフィールドF32、データフィールドF33の各フィールドを有する。これらの各フィールドが持つ意味は
図4Aに示したバージョン情報格納部3313Aにおけるそれらと同一であるため、ここではこれらの説明は省略する。
【0070】
全処理部バージョン情報格納部47には、号機制御部4に接続されたすべての端末(処理部)のバージョンに関する情報が格納される。具体的には、全処理部バージョン情報格納部47には、号機制御部4の制御対象であるホール端末3、かご内端末(図示略)、モータ部2を制御するインバータ端末(図示略)が有する各モジュールのバージョンに関する情報が一括して格納される。
【0071】
例えば、全処理部バージョン情報格納部47の「ホール端末」の情報の格納部には、
図5に示したモジュールバージョン情報一括格納部333に格納された情報とともに、ホール端末3_2(図示略)~ホール端末3_n(
図1参照)までの全ホール端末に格納された各モジュールのバージョンに関する情報が格納される。
【0072】
また、全処理部バージョン情報格納部47の「かご内端末」の情報の格納部には、かご内端末に格納されているモジュールA部331A及びモジュールB部331Bの各バージョンに関する情報が格納され、「インバータ端末」の情報の格納部には、インバータ端末に格納されているモジュールC部331C(図示略)のバージョンに関する情報が格納されている。
【0073】
<全体管理部内のバージョン情報データベースの構成>
次に、
図7を参照して全体管理部5内のバージョン情報データベース51の構成について説明する。
図7は、全体管理部5内のバージョン情報データベース51の構成例を示す図である。
【0074】
図7に示すように、全体管理部5内のバージョン情報データベース51は、内容フィールドF41、アドレスフィールドF42、データフィールドF43の各フィールドを有する。これらの各フィールドが持つ意味は
図4Aに示したバージョン情報格納部3313Aにおけるそれらと同一であるため、ここではこれらの説明は省略する。
【0075】
バージョン情報データベース51には、第1号機制御部4_1が制御するすべての端末に格納されている全モジュールのバージョン情報が格納されている。具体的には、バージョン情報データベース51には、第1号機制御部4_1が制御するホール端末3_1~3_nのそれぞれに格納されている各モジュール(モジュールA部~X部)のバージョンに関する情報(アドレス及びデータ)が格納されている。
【0076】
また、バージョン情報データベース51には、第1号機制御部4_1が制御するかご端末に格納されている各モジュール(モジュールA部及びB部)のバージョンに関する情報(アドレス及びデータ)が格納されている。さらに、バージョン情報データベース51には、第1号機制御部4_1が制御するインバータ端末に格納されている各モジュール(モジュールC部)のバージョンに関する情報(アドレス及びデータ)が格納されている。
【0077】
また、バージョン情報データベース51には、詳細の図示は省略してあるが、第2号機制御部4_2が制御するすべての端末に格納されている全モジュールのバージョンに関する情報、及び、第3号機制御部4_3が制御するすべての端末に格納されている全モジュールのバージョンに関する情報も格納されている。
【0078】
<全体管理部内のROMデータベースの構成>
次に、
図8を参照して、全体管理部5内のROMデータベース52の構成について説明する。
図8は、全体管理部5内のROMデータベース52の構成例を示す図である。
【0079】
図8に示すように、全体管理部5内のROMデータベース52は、内容フィールドF51、バージョンフィールドF52、データフィールドF53の各フィールドを有する。
【0080】
内容フィールドF51には、モジュール情報管理システム100が管理するすべてのモジュール(モジュールA部331A~モジュールX部(図示略))の名称が格納される。バージョンフィールドF52には、モジュールのバージョンの情報が格納される。データフィールドF53の各フィールドには、モジュールの各バージョンのデータ(ROMデータ)が格納される。
【0081】
<全体管理部によるバージョンリード処理>
次に、
図9を参照して、全体管理部5によるバージョンリード処理について説明する。
図9は、全体管理部5の制御部53によるバージョンリード処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0082】
まず、全体管理部5の制御部53(
図1参照)は、バージョンリード定期処理の実行タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS1)。バージョンリード定期は、上述したように、各端末(処理部)が有する各モジュールのバージョン情報を取得するために定期的に実行される処理であり、例えば、エレベーターのかご部1に人が乗っていない空き時間や、保守の実行時などに定期的に実行される処理である。
【0083】
ステップS1で、バージョンリード定期処理の実行タイミングではないと判定された場合(ステップS1がNO判定の場合)、制御部53は、バージョンリード指令はあるか(入力されたか)否かを判定する(ステップS2)。バージョンリード指示は、各モジュールのバージョンの情報を入手したいユーザによって、操作部54(
図1参照)を介して入力される指令である。
【0084】
ステップS2で、バージョンリード指令はないと判定された場合(ステップS2がNO判定の場合)、制御部53は、ROM書き換え指令はあるか(入力されたか)否かを判定する(ステップS3)。ROM書き換え指令は、上述したように、アップデート又は不具合の解消等を目的としてモジュール部のバージョン更新が行われる場合における、モジュール部のROMデータの書き換えを指示する指令である。ROM書き換え指令も、エレベーターのかご部1に人が乗っていない空き時間や、保守の実行時などに送信される。
【0085】
ステップS3で、バージョンリード指令はないと判定された場合(ステップS3がNO判定の場合)、制御部53はステップS1に戻って判定を行う。一方、ステップS1、ステップS2及びステップS3のいずれかがYES判定だった場合、制御部53は、バージョンリード定期処理、バージョンリード指令、又は、ROM書き換え指令の対象となる端末を制御する号機制御部4に対して、バージョンリード指令を送信する(ステップS4)。
【0086】
次いで、制御部53は、ステップS4でバージョンリード指令を送信したいずれかの号機制御部4より、モジュール部のバージョン情報を受信したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5で、バージョン情報は受信していないと判定された場合(ステップS5がNO判定の場合)、制御部53は、ステップS5の判定を続ける。
【0087】
一方、ステップS5で、バージョン情報を受信したと判定された場合(ステップS5がYES判定の場合)、制御部53は、ステップS5で受信したバージョン情報で、バージョン情報データベース51(
図1参照)の情報を更新する(ステップS6)。次いで、制御部53は、対象のすべての号機制御部4からバージョン情報を受信したか否かを判定する(ステップS7)。
【0088】
ステップS7で、対象のすべての号機制御部4からバージョン情報を受信していないと判定された場合(ステップS7がNO判定の場合)、制御部53はステップS4に戻って処理を行う。一方、ステップS7で、対象のすべての号機制御部4からバージョン情報を受信したと判定された場合(ステップS7がYES判定の場合)、全体管理部5によるバージョンリード処理は終了する。
【0089】
<号機制御部によるバージョンリード処理>
次に、
図10を参照して、号機制御部4によるバージョンリード処理について説明する。
図10は、号機制御部4の制御部48(
図2参照)によるバージョンリード処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0090】
まず、号機制御部4の制御部48(
図1参照)は、バージョンリード定期処理の実行タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11で、バージョンリード定期処理の実行タイミングではないと判定された場合(ステップS11がNO判定の場合)、制御部48は、バージョンリード指令はあるか(全体管理部5から送信されたか)否かを判定する(ステップS12)。ステップS12で、バージョンリード指令はないと判定された場合(ステップS12がNO判定の場合)、制御部48は、ステップS11に戻って判定を行う。
【0091】
一方、ステップS11及びステップS12いずれかがYES判定だった場合、制御部48は、バージョンリード定期処理又はバージョンリード指令の対象となる端末に対して、バージョンリード指令を送信する(ステップS13)。
【0092】
次いで、制御部48は、ステップS13でバージョンリード指令を送信した端末より、モジュールのバージョン情報を受信したか否かを判定する(ステップ14)。ステップS14で、バージョン情報は受信していないと判定された場合(ステップS14がNO判定の場合)、制御部48は、ステップS14の判定を続ける。
【0093】
一方、ステップS14で、バージョン情報を受信したと判定された場合(ステップS14がYES判定の場合)、制御部48は、ステップS14で受信したバージョン情報で、全処理部バージョン情報格納部47(
図1参照)の情報を更新する(ステップS15)。
【0094】
次いで、制御部48は、ステップS12でバージョンリード指令ありと判定された場合、すなわち、バージョンリード指令を受信している場合には、全処理部バージョン情報格納部47に格納された情報を、通信部45を介して全体管理部5に送信する(ステップS16)。
【0095】
次いで、制御部48は、対象のすべての端末からバージョン情報を受信したか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17で、対象のすべての端末からバージョン情報を受信していないと判定された場合(ステップS17がNO判定の場合)、制御部48はステップS13に戻って処理を行う。一方、ステップS17で、対象のすべての端末からバージョン情報を受信したと判定された場合(ステップS17がYES判定の場合)、号機制御部4によるバージョンリード処理は終了する。
【0096】
<ホール端末におけるバージョンセット処理・リード処理>
次に、
図11を参照して、ホール端末3におけるバージョンセット処理・バージョンリード処理について説明する。
図11は、ホール端末3におけるバージョンセット処理・バージョンリード処理の手順の例を示すフローチャートである。なお、
図11では、バージョンセット処理・バージョンリード処理を行う端末(処理部)がホール端末3である例を挙げるが、これらの各処理は、かご内端末やインバータ端末(いずれも図示略)などの他の端末においても行われるものとする。
【0097】
まず、ホール端末3の各モジュール部331内の各機能部3311(
図2参照)は、バージョンセット定期処理の実行タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21で、バージョンセット定期処理の実行タイミングである判定された場合(ステップS21がYES判定の場合)、各機能部3311は、不図示のメモリ等より自身のバージョンの情報を読み出して、該情報をバージョン情報格納部3313にセット(格納)する(ステップS22)。ステップS22の処理後、ホール端末3によるバージョンセット処理は終了する。
【0098】
一方、ステップS21で、バージョンセット定期処理の実行タイミングではないと判定された場合(ステップS21がNO判定の場合)、ホール端末3の制御部342は、バージョンリード定期処理の実行タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23で、バージョンリード定期処理の実行タイミングであると判定された場合(ステップS23がYES判定の場合)、制御部342は、対象のモジュール部331に対して、通信部341及び通信部332を介してバージョンリード指令を送信する(ステップS24)。
【0099】
次いで、制御部342は、いずれかのモジュール部331からバージョン情報を受信したか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25で、バージョン情報は受信していないと判定された場合(ステップS25がNO判定の場合)、制御部342は、ステップS25の判定を続ける。一方、ステップS25で、バージョン情報を受信したと判定された場合(ステップS25がYES判定の場合)、制御部342は、受信したバージョン情報でモジュールバージョン情報一括格納部333の情報を更新する(ステップS26)。
【0100】
次いで、制御部342は、すべてのモジュール部331のバージョン情報を受信したか否かを判定する(ステップS27)。ステップS27で、すべてのモジュールのバージョン情報は受信していないと判定された場合(ステップS27がNO判定の場合)、制御部342は、ステップS24に戻って処理を行う。一方、ステップS27で、すべてのモジュール部331からバージョン情報を受信したと判定された場合(ステップS27がYES判定の場合)、ホール端末3によるバージョンリード定期処理は終了する。
【0101】
ステップS23で、バージョンリード定期処理の実行タイミングではないと判定された場合(ステップS23がNO判定の場合)、制御部342は、バージョンリード指令はあるか(号機制御部4から受信したか)否かを判定する(ステップS28)。ステップS28で、バージョンリード指令は受信していないと判定された場合(ステップS28がNO判定の場合)、制御部342は、ステップS21に戻って判定を続ける。
【0102】
一方、ステップS28で、バージョンリード指令を受信したと判定された場合(ステップS28がYES判定の場合)、制御部342は、バージョンリード指令においてバージョンリードが指示されたモジュール部のバージョン情報を、モジュールバージョン情報一括格納部333からリードする(読み出す)(ステップS29)。次いで、制御部342は、リードしたバージョン情報を、通信部341を介して号機制御部4に送信する(ステップS30)。ステップS30の処理後、ホール端末3によるバージョンリード処理は終了する。
【0103】
本実施形態では、各モジュール部のバージョン情報が、ホール端末3のモジュールバージョン情報一括格納部333に一括して格納されるため、バージョンリード定期処理の実行時やバージョンリード指令の受信時などに、ホール端末3の制御部342は、各モジュール部のバージョン情報を即時にリードすることができる。
【0104】
また、不具合対応時や保守の実行時などにおいて、特定のモジュール部331のバージョン情報のみを取得したい場合にも、ユーザがバージョンリード指令においてモジュールを指定すれば、バージョンリード指令を受信した制御部342は、モジュールバージョン情報一括格納部333から対象のモジュール部331のバージョン情報をリードして、号機制御部4を介して全体管理部5に送信する。
【0105】
したがって、本実施形態では、一つのモジュール部331が複数の異なる端末において使用されている場合や、一つの端末において複数のモジュール部331が組み合わせて使用されている場合などであっても、ユーザは、所望のモジュールのバージョンの情報を、素早く適切に取得することができる。つまり、本実施形態によれば、複数の端末において共通で使用される汎用的なモジュール部のバージョン情報のトレーサビリティを向上させることができる。
【0106】
また、本実施形態では、例えば、端末に適用されるモジュールの組み合わせが運用の途中で変更された場合であっても、ユーザは、所望のモジュール部を対象としたバージョンリード指令を発行することにより、該モジュール部のバージョン情報を適切に取得することが可能となる。
【0107】
<ROMデータ書き換え処理>
次に、
図12を参照して、全体管理部5、号機制御部4及びホール端末3によるROMデータ書き換え処理について説明する。
図12は、全体管理部5、号機制御部4及びホール端末3によるROMデータ書き換え処理の手順の例を示すフローチャートである。なお、
図12では、ROMデータ書き換え処理を行う端末(処理部)がホール端末3である例を挙げるが、これらの各処理は、かご内端末やインバータ端末などの他の端末においても行われるものとする。
【0108】
まず、全体管理部5の制御部53(
図1参照)は、書き換えROMデータをROMデータベース52に格納する(ステップS41)。書き換えROMデータは、モジュール部331の不具合が修正されたROMデータ、又は、バージョンアップされた最新のROMデータである。ステップS41の処理は、例えば、操作部54に対するユーザからの操作に基づいて行われる。
【0109】
次いで、操作部54は、ユーザによる操作に基づいて、制御部53に対してROM書き換え指令を発行する(ステップS42)。次いで、制御部53は、操作部54によって発行されたROM書き換え指令に基づいて、ROMデータベース52を検索する(ステップS43)。次いで、制御部53は、ROM書き換え指令に示されたバージョン情報に基づいて、バージョン情報データベース51を検索することにより、ROM書き換え処理を行う対象のモジュール部331を決定する(ステップS44)。
【0110】
本実施形態では、バージョン情報データベース51に、各端末に使用されている各モジュール部のバージョン情報がすべて格納されている。したがって、端末に複数のモジュール部が組み合わせて用いられている場合であっても、制御部53は、バージョン情報データベース51を検索することにより、所望のモジュール部のバージョン情報を適切に取得することができる。
【0111】
次いで、制御部53は、ROM書き換え対象のモジュール部331を備えた端末を制御する号機制御部4に対して、書き換えROMデータを送信する(ステップS45)。次いで、制御部53は、対象の号機制御部4に対して、ROM書き換え指令を送信する(ステップS46)。
【0112】
次いで、制御部53は、ROM書き換え指令による書き換えの対象となるすべてのモジュール部331を対象として、ステップS45及びステップS46の処理を行ったか否かを判定する(ステップS47)。ステップS47で、すべてのモジュール部331に対する処理は終了していないと判定された場合(ステップS47がNO判定の場合)、制御部53は、ステップS45に戻って処理を続ける。一方、ステップS47で、すべてのモジュール部331に対する処理は終了したと判定された場合(ステップS47がYES判定の場合)、制御部53は、ROMデータ書き換え処理を終了する。
【0113】
ステップS45で制御部53から号機制御部4に書き換えROMデータが送られると、号機制御部4の通信部45(
図1参照)は、書き換えROMデータを受信する(ステップS51)。次いで、号機制御部4の制御部48(
図1参照)は、2面により構成されるROMデータ格納部46の第2面を、ステップS51で受信した書き換えROMデータにより書き換える(ステップS52)。
【0114】
次いで、制御部48は、書き換え対象のホール端末3(処理部)に対して、書き換えROMデータを送信する(ステップS53)。次いで、号機制御部4の通信部45は、全体管理部5からROM書き換え指令を受信する(ステップS54)。次いで、制御部48は、ROMデータ格納部46の面を、現在参照中の第1面から、ステップS52で書き換えが行われた第2面に切り替える(ステップS55)。
【0115】
次いで、制御部48は、書き換えの対象のホール端末3に対して、通信部41を介してROM書き換え指令を送信する(ステップS56)。ステップS56の処理後、号機制御部4によるROMデータ書き換え処理は終了する。
【0116】
ステップS53で、号機制御部4から端末に対して書き換えROMデータが送信されると、ホール端末3の通信部341(
図2参照)は、書き換えROMデータを受信する(ステップS61)。次いで、ホール端末3の制御部342は、2面で構成されるROMデータ格納部334の第2面を、ステップS61で受信した書き換えROMデータにより書き換える(ステップS62)。
【0117】
次いで、ホール端末3の通信部341は、号機制御部4からROM書き換え指令を受信する(ステップS63)。次いで、制御部342は、ROMデータ格納部334の面を、現在参照中の第1面から、ステップS62で書き換えが行われた第2面に切り替える(ステップS64)。ステップS64の処理後、ホール端末3によるROMデータ書き換え処理を終了する。
【0118】
図12に示した処理が行われることにより、ホール端末3は、ROM書き換え指令を受信したタイミングで、書き換えROMデータが書き込まれた第2面の情報をすぐに参照可能になるため、処理が完了するまでエレベーターの稼働を停止させる等の制御を行わずに済む。したがって、本実施形態によれば、エレベーターの不稼働時間を最小限に抑えることができる。
【0119】
また、例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0120】
また、
図1及び
図2において実線、片矢印、両矢印で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0121】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0122】
また、上述した本開示の一実施形態にかかるモジュール情報管理システムの各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1…かご部、2…モータ部、3…ホール端末、4…号機制御部、5…全体管理部、33…ペリフェラル部、34…全体制御部、46…ROMデータ格納部、47…全処理部バージョン情報格納部、48…制御部、51…バージョン情報データベース、52…ROMデータベース、53…制御部、54…操作部、100…モジュール情報管理システム、331…モジュール部、333…モジュールバージョン情報一括格納部、334…ROMデータ格納部、341…通信部、342…制御部