(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-04
(45)【発行日】2025-09-12
(54)【発明の名称】煙検知装置
(51)【国際特許分類】
G08B 17/107 20060101AFI20250905BHJP
G01N 21/954 20060101ALI20250905BHJP
【FI】
G08B17/107 A
G01N21/954 Z
(21)【出願番号】P 2024517292
(86)(22)【出願日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 JP2023016019
(87)【国際公開番号】W WO2023210548
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2024-07-09
(31)【優先権主張番号】P 2022073655
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 義裕
(72)【発明者】
【氏名】星野 智宏
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 啓
(72)【発明者】
【氏名】矢木 里実
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-181507(JP,A)
【文献】特開平07-057165(JP,A)
【文献】特開平09-269293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/107
G01N 21/954
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙を検知するための空間に偏光を発光する第1発光部と、
前記第1発光部の発光軸と交差する第1受光軸を有する第1受光部と、
前記第1発光部の発光軸と交差し前記第1受光軸と異なる方向の第2受光軸を有する第2受光部と、
前記第1発光部が発光中に前記第1受光部が生成する信号と、前記第1発光部が発光中に前記第2受光部が生成する信号とに基づき空気中の煙の種類を判定する煙判定部と、
前記空間を含む領域に非偏光を発光する第2発光部と、
前記第2発光部が発光中に前記第1受光部が生成する信号、及び、前記第2発光部が発光中に前記第2受光部が生成する信号の少なくとも一方に基づき、
前記空間を形成する容器内の汚損の程度を判定する汚損判定部と
を備える煙検知装置。
【請求項2】
前記第1受光軸に交差する方向で前記第1受光部に向かう光を遮光する第1遮光部材を備え、
前記第2発光部から前記第1受光部に直接向かう光が前記第1遮光部材により遮光される位置に前記第2発光部が配置されている
請求項1に記載の煙検知装置。
【請求項3】
前記第2受光軸に交差する方向で前記第2受光部に向かう光を遮光する第2遮光部材を備え、
前記第2発光部から前記第2受光部に直接向かう光が前記第2遮光部材により遮光される位置に前記第2発光部が配置されている
請求項2に記載の煙検知装置。
【請求項4】
前記第1受光部と前記第2発光部が配置された第1電子回路基板と、
前記第2受光部が配置された第2電子回路基板と
を備え
、
前記第1電子回路基板と前記第2電子回路基板は互いに正の角度で交わる2平面の各々の上に配置されている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の煙検知装置。
【請求項5】
前記第2電子回路基板に配置され非偏光を発光する第3発光部を備え、
前記汚損判定部は、前記第3発光部が発光中に前記第1受光部が生成する信号、及び、前記第3発光部が発光中に前記第2受光部が生成する信号の少なくとも一方に基づき前記容器内の汚損の程度を判定する
請求項4に記載の煙検知装置。
【請求項6】
前記第1受光軸に交差する方向で前記第1受光部に向かう光を遮光する第1遮光部材を備え、
前記第3発光部から前記第1受光部に直接向かう光が前記第1遮光部材により遮光される位置に前記第3発光部が配置されている
請求項5に記載の煙検知装置。
【請求項7】
前記第2受光軸に交差する方向で前記第2受光部に向かう光を遮光する第2遮光部材を備え、
前記第3発光部から前記第2受光部に直接向かう光が前記第2遮光部材により遮光される位置に前記第3発光部が配置されている
請求項6に記載の煙検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙を検知する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視対象の空間に含まれる煙を検知することで、監視対象の空間における煙の発生を検知する煙検知装置がある。煙検知装置の一方式として、光電式と呼ばれる方式がある。光電式の煙検知装置は、発光部及び受光部を収容する容器内に外部から流れ込む空気中の煙の粒子により発光部から発光された光が反射した反射光を受光部が受光した際に生成する信号に基づき煙の検知を行う。
【0003】
光電式の煙検知装置のさらに一方式として、2受光式と呼ばれる方式がある。2受光式の煙検知装置は、発光部から発光軸方向に偏光を発光し、発光軸に対し異なる方向から交差する受光軸を有する2つの受光部が生成する信号に基づき、空気中の煙の種類を判定する。
【0004】
2受光式の煙検知装置を開示している特許文献として、例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光電式の煙検知装置は、煙を検知するための空間を形成する容器に、監視対象の空間から流れ込む空気中の煙の粒子を検知する。容器に流れ込む空気には粉塵が含まれ、それらの粉塵の一部は容器内に汚れとして付着する。それらの汚れの一部は発光部又は受光部に付着し、発光部から発光される光の一部を遮ったり反射したりする。また、汚れの一部は容器の内壁や容器内の構造物に付着し、発光部から発光され、空気中の粒子で反射した光をさらに反射する。その結果、煙検知装置による煙の検知における精度が低下する。
【0007】
光電式の煙検知装置の容器内の汚損の程度が判定できれば、煙の検知の精度が許容範囲を超える前に清掃や交換を行うことで、汚れによる煙の誤検知を低減できる。従って、光電式の煙検知装置の容器内の汚損の程度を判定したい、というニーズがある。光電式の一種である2受光式の煙検知装置においても同様のニーズがある。
【0008】
上記の事情に鑑み本発明は、2受光式の煙検知装置における容器内の汚損の程度を判定可能とする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、偏光を発光する第1発光部と、前記第1発光部の発光軸と交差する第1受光軸を有する第1受光部と、前記第1発光部の発光軸と交差し前記第1受光軸と異なる方向の第2受光軸を有する第2受光部と、前記第1発光部が発光中に前記第1受光部が生成する信号と、前記第1発光部が発光中に前記第2受光部が生成する信号とに基づき空気中の煙の種類を判定する煙判定部と、非偏光を発光する第2発光部と、前記第2発光部が発光中に前記第1受光部が生成する信号、及び、前記第2発光部が発光中に前記第2受光部が生成する信号の少なくとも一方に基づき、煙を検知するための空間を形成する容器内の汚損の程度を判定する汚損判定部とを備える煙検知装置を提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る煙検知装置によれば、第2発光部が発光する光により容器内の汚損の程度が判定されるため、第2発光部を備えない煙検知装置と比較し高い精度で容器内の汚損の程度が分かる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る煙検知装置の構成を模式的に示した図。
【
図2】一変形例に係る煙検知装置の構成を模式的に示した図。
【
図3】一変形例に係る煙検知装置の構成を模式的に示した図。
【
図4】一変形例に係る煙検知装置の構成を模式的に示した図。
【0012】
[実施形態]
以下に、本発明の一実施形態に係る煙検知装置1を説明する。煙検知装置1は2受光式の煙検知装置である。
図1は、煙検知装置1の構成を模式的に示した図である。ただし、
図1においては、本発明の特徴に関係しない構成部については図示が省略されている。
図1(A)は煙検知装置1の容器の蓋を取り外した状態を平面視した図である。
図1(B)は
図1(A)に破線で示す断面を矢印Aの方向に見た図である。
【0013】
以下の説明において、便宜的に、
図1(A)が描かれている紙面が拡がる方向を水平面とする。
【0014】
煙検知装置1は、第1発光部11、第1受光部12、第2受光部13、第2発光部14、第1電子回路基板15、第2電子回路基板16、容器17、遮光部材18を備える。また、煙検知装置1は煙判定部(図示略)及び汚損判定部(図示略)を備える。
【0015】
第1発光部11は、
図1において矢印Bで示される発光軸の方向に偏光を発光する。
【0016】
第1受光部12は第1電子回路基板15に配置されている。第1受光部12は、
図1(B)において矢印Cで示される第1受光軸の方向に向かう光を受光し、受光した光の強度を示す信号を生成する。第1受光軸は、第1発光部11の発光軸を含む垂直面(水平面と直交する面)内において第1発光部11の発光軸と所定の角度で交差する軸である。
【0017】
第2受光部13は第2電子回路基板16に配置されている。第2受光部13は、
図1(A)において矢印Dで示される第2受光軸の方向に向かう光を受光し、受光した光の強度を示す信号を生成する。第2受光軸は、第1発光部11の発光軸を含む水平面内において第1発光部11の発光軸と所定の角度で交差する軸である。
【0018】
なお、第1発光部11の発光軸と第1受光部12の第1受光軸の間の角度と、第1発光部11の発光軸と第2受光部13の第2受光軸の間の角度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0019】
第2発光部14は第1電子回路基板15に配置されている。第2発光部14は容器17内の汚損の程度を判定するための非偏光を発光する。第2発光部14が発光する光は容器17内の煙検知領域を含む広い領域に向かう。
【0020】
煙判定部(図示略)は、第1発光部11が発光しており、第2発光部14が発光していない期間中に、例えば第1受光部12が生成する信号の強度に基づき、煙の有無を判定する。また、煙判定部は、第1発光部11が発光しており、第2発光部14が発光していない期間中に第1受光部12が生成する信号と第2受光部13が生成する信号とに基づき、煙の種類を判定する。
【0021】
汚損判定部(図示略)は、第1発光部11が発光しておらず、第2発光部14が発光している期間中に、第1受光部12が生成する信号と第2受光部13が生成する信号の少なくとも一方に基づき、容器17内の汚損の程度を判定する。例えば、汚損判定部は、以下のような判定を行う。
【0022】
第1受光部12が生成する信号の強度が下限閾値を下回ると、第1受光部12の汚損の程度が許容範囲を超えたと判定する。
第1受光部12が生成する信号の強度が上限閾値を上回ると、第1受光部12に対向する壁面等の構造物の汚損の程度が許容範囲を超えたと判定する。
第2受光部13が生成する信号の強度が下限閾値を下回ると、第2受光部13の汚損の程度が許容範囲を超えたと判定する。
第2受光部13が生成する信号の強度が上限閾値を上回ると、第2受光部13に対向する壁面等の構造物の汚損の程度が許容範囲を超えたと判定する。
【0023】
なお、上述した汚損判定部の判定の方法は一例であって、他の方法が採用されてもよい。例えば、汚損判定部が、第1受光部12が生成する信号と第2受光部13が生成する信号の比率に基づき、容器17内の汚損の程度を判定してもよい。
【0024】
ここで注目すべき点は、第2発光部14が、第2受光部13が配置されている第2電子回路基板16とは異なる第1電子回路基板15に配置されている点である。第2発光部14が第1電子回路基板15に配置されていると、第2発光部14が第2電子回路基板16に配置されている場合と比較し、第2発光部14から発光された光が第2電子回路基板16に深い角度(垂直に近い角度)であたる。従って、第2発光部14から発光され第2電子回路基板16に付着した汚れにより反射した光が第1受光部12に届き易くなる。その結果、第2電子回路基板16の汚損の程度が高い精度で判定できる。
【0025】
遮光部材18は、第1受光部12を囲むように配置された筒状の遮光性の部材である。遮光部材18の上側の底面は、第1受光軸(
図1(B)の矢印C)に向かう光が第1受光部12に達するように開口している。遮光部材18は、第1受光軸に交差する方向で第1受光部12に向かう光を遮光する。遮光部材18により遮光される光には、第1発光部11から発光され、第1発光部11の発光軸から外れて第1受光部12に向かう光や、第1発光部11から発光され、容器17内で反射して第1受光部12に向かう光が含まれる。遮光部材18は、それらの光が煙の有無の判定や煙の種類の判定に与える影響を低減する役割を果たす。
【0026】
第2発光部14は、第2発光部14から第1受光部12に直接向かう光が遮光部材18により遮光される位置に配置されている。そのため、第2発光部14が発光した光が直接、第1受光部12に届く場合と比較し、汚損の判定時に第1受光部12が生成する信号の振幅が全体的に小さくなり、正常時の振幅に対する汚損時の振幅の変化量が顕著に現れる。従って、汚損判定部による汚損の程度の判定が容易となる。
【0027】
容器17は、煙を検知するための空間を形成する構成部であり、第1発光部11、第1受光部12、第2受光部13等を収容する。容器17には、監視対象の空間から内部へ空気が流れ込む際の通路となる流入口と、内部に流れ込んだ空気が外部へ流れ出す際の通路となる流出口が設けられている。
【0028】
なお、煙検知装置1は、
図1に示した構成部に加え、例えば、外部から容器17内へと向かう空気の流れを強制的に生成するファンや、容器17内へと向かう空気から、煙の粒子のサイズよりも大きいサイズの粉塵を除去するためのフィルタ等を備えていてもよい。
【0029】
また、煙判定部による煙の検知結果及び煙の種類の判定結果や、汚損判定部による容器17内の汚損程度の判定結果は、煙検知装置1が備える表示部(
図1において図示略)による表示や発音部(
図1において図示略)による発音により保守員等に通知されてもよいし、煙検知装置1が備える通信部(
図1において図示略)により、例えば火災受信盤等の上位システムを介して、設備管理者等に通知されてもよい。
【0030】
上述した煙検知装置1によれば、容器17内の汚損の程度が判定されるため、設備管理者等は容器17内の汚損により煙の検知や煙の種類の判定の精度が許容範囲以上に低下する前に、煙検知装置1の清掃や交換等の対策を行うことができる。
【0031】
[変形例]
上述の実施形態は本発明の一具体例であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形可能である。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0032】
(変形例1)
上述した実施形態において、第1受光部12は第1電子回路基板15に配置されるものとしたが、第1受光部12は第1電子回路基板15に配置されなくてもよい。すなわち、第1受光部12の受光軸が、第1発光部11の発光軸(
図1の矢印B)と交差する第1受光軸(
図1(B)の矢印C)となるように第1受光部12が配置される限り、第1受光部12はいずれの部材に配置されてもよい。
【0033】
また、上述した実施形態において、第2受光部13は第2電子回路基板16に配置されるものとしたが、第2受光部13は第2電子回路基板16に配置されなくてもよい。すなわち、第2受光部13の受光軸が、第1発光部11の発光軸(
図1の矢印B)と交差し第1受光軸(
図1(B)の矢印C)と異なる方向の第2受光軸(
図1(A)の矢印D)となるように第2受光部13が配置される限り、第2受光部13はいずれの部材に配置されてもよい。
【0034】
(変形例2)
煙検知装置1が、第2受光軸に交差する方向で第2受光部13に向かう光を遮光する遮光部材を備えてもよい。
【0035】
図2は、この変形例に係る煙検知装置1の構成を模式的に示した図である。
図2(A)は
図2(B)に破線で示す断面を矢印Eの方向に見た図である。
図2(B)は
図2(A)に破線で示す断面を矢印Aの方向に見た図である。この変形例に係る煙検知装置1は、上述した実施形態に係る煙検知装置1が備える構成部に加え、遮光部材19を備える。
【0036】
遮光部材19は、第2受光部13を囲むように配置された筒状の遮光性の部材である。遮光部材19の手前側の底面は、第2受光軸(
図2(A)の矢印D)に向かう光が第2受光部13に達するように開口している。遮光部材19は、第2受光軸に交差する方向で第2受光部13に向かう光を遮光する。遮光部材19により遮光される光には、第1発光部11から発光され、第1発光部11の発光軸から外れて第2受光部13に向かう光や、第1発光部11から発光され、容器17内で反射して第2受光部13に向かう光が含まれる。遮光部材19は、それらの光が煙の有無の判定や煙の種類の判定に与える影響を低減する役割を果たす。
【0037】
この変形例において、第2発光部14が、第2発光部14から第2受光部13に直接向かう光が遮光部材19により遮光される位置に配置されていてもよい。その場合、第2発光部14が発光した光が直接、第2受光部13に届く場合と比較し、汚損の判定時に第2受光部13が生成する信号の振幅が全体的に小さくなり、正常時の振幅に対する汚損時の振幅の変化量が顕著に現れる。従って、汚損判定部による汚損の程度の判定が容易となる。
【0038】
(変形例3)
煙検知装置1が、第2電子回路基板16に配置され、容器17内の汚損の程度を判定するための非偏光を発光する発光部を備えてもよい。
【0039】
図3は、この変形例に係る煙検知装置1の構成を模式的に示した図である。この変形例に係る煙検知装置1は、上述した実施形態に係る煙検知装置1が備える構成部に加え、第3発光部10を備える。第3発光部10は第2電子回路基板16に配置されている。第3発光部10が発光する光は容器17内の煙検知領域を含む広い領域に向かう。
【0040】
この変形例において、煙判定部(図示略)は、第1発光部11が発光しており、第2発光部14及び第3発光部10が発光していない期間中に、例えば第1受光部12が生成する信号の強度に基づき、煙の有無を判定する。また、煙判定部は、第1発光部11が発光しており、第2発光部14及び第3発光部10が発光していない期間中に第1受光部12が生成する信号と第2受光部13が生成する信号とに基づき、煙の種類を判定する。
【0041】
この変形例において、汚損判定部(図示略)は、第1発光部11及び第2発光部14が発光しておらず、第3発光部10が発光している期間中に、第1受光部12が生成する信号と第2受光部13が生成する信号の少なくとも一方に基づき、容器17内の汚損の程度を判定する。例えば、汚損判定部は、以下のような判定を行う。
【0042】
第1受光部12が生成する信号の強度が下限閾値を下回ると、第1受光部12の汚損の程度が許容範囲を超えたと判定する。
第1受光部12が生成する信号の強度が上限閾値を上回ると、第1受光部12に対向する壁面等の構造物の汚損の程度が許容範囲を超えたと判定する。
第2受光部13が生成する信号の強度が下限閾値を下回ると、第2受光部13の汚損の程度が許容範囲を超えたと判定する。
第2受光部13が生成する信号の強度が上限閾値を上回ると、第2受光部13に対向する壁面等の構造物の汚損の程度が許容範囲を超えたと判定する。
【0043】
なお、上述した汚損判定部の判定の方法は一例であって、他の方法が採用されてもよい。例えば、汚損判定部が、第1受光部12が生成する信号と第2受光部13が生成する信号の比率に基づき、容器17内の汚損の程度を判定してもよい。
【0044】
また、汚損判定部が、第1発光部11が発光しておらず、第2発光部14と第3発光部10が同時に発光している期間中に、第1受光部12が生成する信号と第2受光部13が生成する信号の少なくとも一方に基づき、容器17内の汚損の程度を判定してもよい。
【0045】
また、汚損判定部が、第1発光部11と第3発光部10が発光しておらず、第2発光部14が発光している期間中に、第1受光部12が生成する信号と第2受光部13が生成する信号の少なくとも一方と、第1発光部11と第2発光部14が発光しておらず、第3発光部10が発光している期間中に、第1受光部12が生成する信号と第2受光部13が生成する信号の少なくとも一方と、に基づき、容器17内の汚損の程度を判定してもよい。
【0046】
例えば、汚損判定部が、第2発光部14のみが発光している期間中に第1受光部12が生成する信号の大きさと、第3発光部10のみが発光している期間中に第1受光部12が生成する信号の大きさの比率が所定の範囲から外れた場合に、容器17内の汚損の程度が許容範囲を超えたと判定してもよい。
【0047】
この変形例において、第3発光部10が、第3発光部10から第1受光部12に直接向かう光が遮光部材18により遮光される位置に配置されていてもよい。その場合、第3発光部10が発光した光が直接、第1受光部12に届く場合と比較し、汚損の判定時に第1受光部12が生成する信号の振幅が全体的に小さくなり、正常時の振幅に対する汚損時の振幅の変化量が顕著に現れる。従って、汚損判定部による汚損の程度の判定が容易となる。
【0048】
上述の変形例2に係る煙検知装置1に、この変形例(変形例3)で採用されている第3発光部10が組み合わされてもよい。
図4は、そのような変形例の組み合わせに係る煙検知装置1の構成を模式的に示した図である。
【0049】
図4に示される構成の煙検知装置1において、第3発光部10が、第3発光部10から第2受光部13に直接向かう光が遮光部材19により遮光される位置に配置されていてもよい。その場合、第3発光部10が発光した光が直接、第2受光部13に届く場合と比較し、汚損の判定時に第2受光部13が生成する信号の振幅が全体的に小さくなり、正常時の振幅に対する汚損時の振幅の変化量が顕著に現れる。従って、汚損判定部による汚損の程度の判定が容易となる。
【0050】
(その他の変形例)
煙検知装置1が備える構成部の配置や姿勢は
図1~
図4に示されるものに限られない。例えば、上述した実施形態においては、第1電子回路基板15と第2電子回路基板16は互いに垂直に交わる2平面の各々の上に配置される位置関係となっているが、それらの2平面が直交しなくてもよい。例えば、第2電子回路基板16が、水平面に対し垂直な平面ではなく、水平面に対し90度未満の角度で交わる傾斜した平面の上に配置されてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態又はその変形例に係る煙検知装置1は遮光部材18を備えるものとしたが、煙検知装置1が遮光部材18を備えなくてもよい。
【0052】
また、上述した実施形態又はその変形例に係る煙検知装置1において、汚損判定部が汚損の判定を行う際、第1発光部11は発光しないものとしたが、汚損判定部が汚損の判定を行う際、第2発光部14及び第3発光部10の少なくとも一方に加えて、第1発光部11が発光してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…煙検知装置、11…第1発光部、12…第1受光部、13…第2受光部、14…第2発光部、15…第1電子回路基板、16…第2電子回路基板、17…容器、18…遮光部材、19…遮光部材、10…第3発光部。