(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-05
(45)【発行日】2025-09-16
(54)【発明の名称】紙から包装材料を製造する為の装置
(51)【国際特許分類】
B31F 5/00 20060101AFI20250908BHJP
B31B 50/59 20170101ALI20250908BHJP
【FI】
B31F5/00
B31B50/59
(21)【出願番号】P 2023549852
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2022053777
(87)【国際公開番号】W WO2022179903
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】102021104207.0
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021133913.8
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022100868.1
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】523311579
【氏名又は名称】パペアー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾルフ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ビッデル,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】サットナー,ベルント
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-066573(JP,A)
【文献】国際公開第2019/031159(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/159145(WO,A1)
【文献】特開2000-071356(JP,A)
【文献】特表2020-504685(JP,A)
【文献】特開2012-197544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31F 5/00
B31B 50/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙から包装材料を製造する為の装置であって、
第1紙ウェブ(6)
をエンボス領域(30)へ
給送し、そして
前記第1紙ウェブ(6)および第2紙ウェブ(8)を前記
第1紙ウェブ(6)の給送方向において前記エンボス領域(30)の下流にあるプレス領域(32)へ給送する為の手段と、
前記第1紙ウェブ(6)をエンボス加工する為に装置の前記エンボス領域(30)に配置されるエンボス器具(16,18)であって、成形領域(11)が前記第1紙ウェブ(6)から作成されて前記第1紙ウェブ(6)を越えて突出し、各々が前記第1紙ウェブ(6)の紙ウェブ平面で閉鎖外周線により画定されるように設計及び設定されるエンボス器具と、
接着及び接続用合成補助材料を含まずに前記紙ウェブ(6,8)をプレス接合する為に装置の前記プレス領域(32)に配置されるプレス器具(20,18)であって、前記成形領域(11)の間の接続部分(110,112)において、前記第1紙ウェブ(6)の紙繊維が前記第2紙ウェブ(8)の紙繊維に接続されるように設計及び設定されるプレス器具(20,18)であり、前記紙ウェブ(6,8)は前記成形領域(11)の領域に閉鎖空洞(108)を画定する、プレス器具と、
前記エンボス領域(30)への前記第1紙ウェブ(6)の給送経路に配置されて、前記第1紙ウェブ(6)をエンボス加工する
為に前記第1紙ウェブ(6)
を事前調整する為の
第1事前調整器具(12)
と、前記プレス領域(32)への前記第2紙ウェブ(8)の給送経路に配置されて、前記紙ウェブ(6,8)を一緒にプレス接合する為に前記第2紙ウェブ(8)を事前調整する為の第2事前調整器具(14)と、を備える
事前調整手段と、
を備え、
前記第1事前調整器具(12)が、水を含有する事前調整液体を前記第1紙ウェブ(6)の上又は中に塗着又は導入する為に設計及び設定され、前記
第2事前調整器具(
14)が、セルロース繊維又はセルロース粒子を含有する事前調整液体を前記
第2紙ウェブ(
8)
の上又は中に塗着又は導入する為に設計及び設定される、装置。
【請求項2】
前記事前調整液体が関連の紙ウェブ(6又は8)へ噴射、噴霧、又は蒸着されるように、
第1事前調整器具(12)および第2事前調整器具(
14)が
それぞれ前記事前調整液体を噴射、噴霧、又は蒸着する為に設計及び設定される、請求項1による装置。
【請求項3】
前記第1事前調整器具
(12)が
前記第1紙ウェブ(6)を蒸気で蒸らす為に設計及び設定されている、請求項1又は2による装置。
【請求項4】
エンボスローラ回転軸(15)回りに回転可能に取り付けられるとともに、前記第1紙ウェブ(6)に前記成形領域(11)を形成する為のエンボス凸部(42)をその外周面に有するエンボスローラ(16)を備えるローラ配置構成(10)がエンボス領域(30)に配置され、前記エンボスローラ(16)は、エンボスローラ回転軸に平行な回転軸(19)回りに回転可能に取り付けられるとともに前記エンボスローラの前記エンボス凸部(42)に対して相補的であるように設計されたエンボス凹部(44)をその外周面に有する対向ローラ(18)と係合する、請求項1乃至
3のいずれか一項による装置。
【請求項5】
プレスローラ回転軸(21)回りに回転可能に取り付けられるプレスローラ(20)が前記プレス領域(32)に配置され、前記第1紙ウェブ(6)を前記第2紙ウェブ(8)とプレス接合する為に、回転可能に取り付けられた対向ローラ(18)と協働し、前記紙ウェブ(6,8)の前記接続部分の前記成形領域から離れたところで前記第1紙ウェブ(6)を前記第2紙ウェブ(8)とプレス接合する為に、前記プレスローラ(20)と前記対向ローラ(18)との間にプレスローラ間隙が形成されるように、前記対向ローラの回転軸(19)は、前記プレスローラ回転軸(21)に対して平行であり、離間している、請求項1乃至
4のいずれか一項による装置。
【請求項6】
前記エンボスローラ(16)の対向ローラと前記プレスローラ(20)の対向ローラとが共通の対向ローラ(18)により形成され、それにより、互いに動作係合している三つのローラ(16,18,20)を前記ローラ配置構成(10)が有する、請求項
4又は
5による装置。
【請求項7】
前記エンボスローラ回転軸(15)と前記プレスローラ回転軸(21)との間の接続直線上に前記対向ローラ(18)回転軸(19)が配置される、請求項
6による装置。
【請求項8】
前記プレスローラ回転軸(21)に対して径方向に延びる線形軸における前記プレスローラ間隙の間隙幅を設定する為にモータ駆動式調節器具(104)がプレスローラ(20)と関連している、請求項
5乃至
7のいずれか一項による装置。
【請求項9】
前記ローラ(16,18,20)の温度を別々に設定する為に、それぞれのローラ(16,18,20)を加熱する為の加熱装置が前記エンボスローラ(16)及び/又は前記対向ローラ(18)及び/又は前記プレスローラ(20)と関連している、請求項
4乃至
8のいずれか一項による装置。
【請求項10】
それぞれのローラ(16又は18又は20)の温度を検出する為に、少なくとも一つの温度センサ(98又は100又は102)が前記エンボスローラ(16)及び/又は前記対向ローラ(18)及び/又は前記プレスローラ(20)とそれぞれ関連している、請求項
4乃至
9のいずれか一項による装置。
【請求項11】
前記プレス領域(32)で互いにプレス接合された前記紙ウェブ(6,8)を乾燥させる為の乾燥手段が、前記給送方向において前記プレス領域(32)と前記完成包装材料の為の前記保管手段との間に配置される、請求項1乃至
10のいずれか一項による装置。
【請求項12】
前記乾燥手段が、前記給送方向において互いに離間している少なくとも二つの乾燥器具(24,26,28)を有する、請求項
11による装置。
【請求項13】
少なくとも一つの乾燥器具が赤外線放射装置(24)として設計されて少なくとも一つの乾燥器具(26,28)が温風乾燥器具として設計される、請求項
11又は
12による装置。
【請求項14】
前記プレスローラ(20)は少なくともその外周面において弾性の可撓性材料で構成される、請求項
5乃至
13のいずれか一項による装置。
【請求項15】
第1紙ウェブ
が、エンボス領域
に給送され、
前記第1紙ウェブおよび第2紙ウェブが前記第1紙ウェブの前記給送方向において前記エンボス領域の下流にあるプレス領域
に給送され、
エンボス器具によって前記エンボス領域で前記第1紙ウェブにより成形領域が作成され、前記成形領域は、前記第1紙ウェブを越えて突出して、各々が前記第1紙ウェブの前記紙ウェブ平面で閉鎖外周線により画定され、
前記成形領域の間の接続部分において、前記第1紙ウェブの紙繊維が前記第2紙ウェブの紙繊維に接続して、前記紙ウェブが前記成形領域の領域で閉鎖空洞を画定するように、接着及び接続用の合成補助材料を含まず、前記紙ウェブは、プレス器具によって前記プレス領域で互いにプレス接合され、
前記エンボス領域への前記第1紙ウェブの前記給送経路に配置される第1事前調整器具によって、前記エンボス領域でのエンボス作用
の準備として、前記第1紙ウェブ
は事前調整され、
前記プレス領域への前記第2紙ウェブの前記給送経路に配置される第2事前調整器具によって、前記プレス領域での前記紙ウェブのプレス接合作用の準備として、前記第2紙ウェブは事前調整され、
前記第1紙ウェブは、水を含有する事前調整液体をこれに導入又は塗着することにより、事前調整され、前記第2紙ウェブは、セルロース繊維又はセルロース粒子を含有する事前調整液体をこれに導入又は塗着することにより、事前調整される、紙から包装材料を製造する為の方法。
【請求項16】
前記事前調整液体は関連の紙ウェブへ噴射、噴霧、又は蒸着される、請求項
15による方法。
【請求項17】
前記第1紙ウェブを事前調整する為に前記第1紙ウェブは蒸気で蒸らされる、請求項
15又は16による方法。
【請求項18】
エンボスローラ回転軸回りに回転可能に取り付けられたエンボスローラを備えるローラ配置構成が前記エンボス領域で使用され、前記第1紙ウェブの前記成形領域を形成する為のエンボス凸部を前記エンボスローラがその外周面に有し、エンボスローラ回転軸に対して平行な回転軸回りに回転可能に取り付けられて、前記エンボスローラの前記エンボス凸部と相補的であるように設計された前記エンボス凹部をその外周面に有する対向ローラと前記エンボスローラが係合する、請求項
15乃至
17のいずれか一項による方法。
【請求項19】
プレスローラ回転軸回りに回転可能に取り付けられたプレスローラが前記プレス領域で使用され、前記第1紙ウェブを前記第2紙ウェブとプレス接合する為に対向ローラと協働し、前記第1紙ウェブの前記接続部分において、前記成形領域から離れたところで前記第1紙ウェブを前記第2紙ウェブとプレス接合する為に前記プレスローラと前記対向ローラとの間にプレスローラ間隙が形成されるように、前記対向ローラの回転軸が前記プレスローラ回転軸から離間している、請求項
15乃至
18のいずれか一項による方法。
【請求項20】
共通の対向ローラが前記エンボスローラの前記対向ローラとして、そして前記プレスローラの前記対向ローラとして使用され、それにより、前記ローラ配置構成は互いに動作係合する三つのローラを有する、請求項
18又は
19による方法。
【請求項21】
前記エンボスローラ回転軸と前記プレスローラ回転軸との間の接続直線上に前記対向ローラ回転軸が配置される、請求項
20による方法。
【請求項22】
モータ駆動式調節器具を備えるプレスローラが、前記プレスローラ回転軸に対して径方向に延びる線形軸上での前記プレスローラ間隙の間隙幅を設定するのに使用される、請求項
19乃至
21のいずれか一項による方法。
【請求項23】
前記エンボスローラ及び/又は前記対向ローラ及び/又は前記プレスローラが加熱される、請求項
19乃至
22のいずれか一項による方法。
【請求項24】
前記エンボスローラ及び/又は前記対向ローラ及び/又は前記プレスローラの温度が測定される、請求項
19乃至
23のいずれか一項による方法。
【請求項25】
前記プレス領域で互いにプレス接合された前記紙ウェブは、前記給送方向において前記プレス領域と前記完成包装材料の為の保管空間との間で乾燥される、請求項
15乃至
24のいずれか一項による方法。
【請求項26】
互いにプレス接合された前記紙ウェブは、前記給送方向において互いに離間した少なくとも二つの乾燥器具により幾つかの段階で乾燥される、請求項
25による方法。
【請求項27】
互いにプレス接合された前記紙ウェブは、赤外線放射装置として設計された少なくとも一つの乾燥器具によって、そして温風乾燥器具として設計された少なくとも一つの乾燥器具により乾燥される、請求項
25又は
26による方法。
【請求項28】
弾性の可撓性材料で構成されるプレスローラが少なくともその外周面で使用される、請求項
15乃至
27のいずれか一項による方法。
【請求項29】
請求項1乃至
14のいずれか一項による装置を使用して紙から包装材料を製造する為の方法。
【請求項30】
紙製の包装材料であって、
第1紙ウェブ(6)及び第2紙ウェブ(8)、
を備え、
少なくとも
前記第1紙ウェブ(6)から成形領域(11)が作成され、前記成形領域は前記
第1紙ウェブ(6)を越えて突出して、各々が
前記第1紙ウェブの紙ウェブ平面で閉鎖外周線により画定される、
包装材料において、
前記成形領域(11)の間の接続部分(110,112)において前記第1紙ウェブ(6)の紙繊維が前記第2紙ウェブ(8)の紙繊維に接続されるように、
水を含有する事前調整液体を導入又は塗着することによる前記第1ウェブ(6)の事前調整の後で、セルロース繊維又はセルロース粒子を含有する事前調整液体を導入又は塗着することによる
前記第2紙ウェブ(
8)の事前調整の後で、前記
第1紙ウェブ(6)および前記第2紙ウェブ(8)は、互いに対向する表面においてもっぱら紙で製作され、接着及び接続用の合成補助材料を含まずに互いにプレス接合される、
ことを特徴とする包装材料。
【請求項31】
成形領域(11)を画定する前記外周線が各事例で円形又は略円形であり、それにより、前記成形領域(11)が球面のように形成されることを特徴とする、請求項
30による包装材料。
【請求項32】
前記成形領域(11)は
前記第1紙ウェブ(6)および前記前記第2紙ウェブ(8)から作成されることと、
前記第1紙ウェブ(6)の前記成形領域が
前記第2紙ウェブ(8)の対応の成形領域に向かい合って配置されるように前記
第1紙ウェブ(6)および前記第2紙ウェブ(8)は互いに接続されることとを特徴とする、請求項
30又は
31による包装材料。
【請求項33】
前記成形領域(11)は規則的パターンを形成することを特徴とする、請求項
30乃至
32のいずれか一項による包装材料。
【請求項34】
前記紙ウェブ(6,8)はリサイクル紙で構成されることを特徴とする、請求項
30乃至
33のいずれか一項による包装材料。
【請求項35】
前記リサイクル紙は、以下の特性パラメータ、すなわち
‐固有の基本重量/坪量[ISO 536]:60~140g/m
2
‐コッブ60(Cobb60)による吸水性[ISO 535]:26~113g/m
2‐ベントセン(Bendtsen)による粗度[ISO 8791‐2]:≧300ml/分
‐破裂強度[ISO 2758]:160‐240kPa
‐横方向のSCT指数(SCT INDEX)[ISO 9895]:1.1‐1.9kN/m、
のうち少なくとも一つを有することを特徴とする、請求項
34による包装材料。
【請求項36】
前記成形領域(11)の間の前記接続部分(110,112)がウェブ状に設計されることを特徴とする、請求項
30乃至
35のいずれか一項による包装材料。
【請求項37】
前記紙ウェブ(6,8)が前記接続部分(110,112)の少なくとも一部で圧縮されることを特徴とする、請求項
30乃至
36のいずれか一項による包装材料。
【請求項38】
前記セルロース繊維又はセルロース粒子は、マイクロセルロース及び/又はナノセルロースであるか、あるいは、マイクロセルロース及び/又はナノセルロースを含有する、請求項1による装置。
【請求項39】
前記セルロース繊維又はセルロース粒子は、マイクロセルロース及び/又はナノセルロースであるか、あるいは、マイクロセルロース及び/又はナノセルロースを含有する、請求項
15による方法。
【請求項40】
前記セルロース繊維又はセルロース粒子は、マイクロセルロース及び/又はナノセルロースであるか、あるいは、マイクロセルロース及び/又はナノセルロースを含有する、請求項
30による包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙から包装材料を製造する為の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
壊れやすいか圧力に弱い物体を輸送中に保護する為に、プラスチック製の気泡緩衝材が多く使用され、これは例えばポリエチレンで構成され、緩衝効果を達成するように規則的なパターンで配置された複数の気泡状エアポケットを含む。エアポケットの凹凸状形態の為、気泡緩衝材は「凹凸シート」と称されることも多い。
【0003】
対応するプラスチック製の気泡緩衝材は実際には再利用され得るが、しかしながら、他に理由がなくても、ターゲットとされるリサイクルの為に包装材料を回収するシステムが存在しない為に、再利用が行われない。
【0004】
例えばポリエチレン製の気泡緩衝材は実際には技術的にリサイクル可能であっても、比較的高いレベルの複雑性、それゆえ対応してリサイクルには高いコストが伴う。その結果、気泡緩衝材は1回使用の後に廃棄されることが多い。ポリエチレン製の気泡緩衝材は生分解性ではないので、これは実質的な環境汚染につながる。気泡緩衝材により生じるプラスチック廃棄物はとりわけ、いわゆるサーマルリサイクル及び焼却処分に送られることが多い。
【0005】
気泡緩衝材が循環システムの一部として回収される限りにおいては、これが環境汚染を妨げないことが慣行から分かっている。反対に、対応する循環システムからのプラスチックは、環境へ、とりわけ海へ放出されることが多い。プラスチック材料は、劣化しない限り、エコシステムに負担をかけ、例えば海洋動物に危険を与える。例えば機械的衝撃又はUV放射ゆえにプラスチック材料が時間とともに細断されるか劣化する限り、プラスチック粒子は特にマイクロプラスチックの形で形成され、環境に残留するか、又は生物により食物で摂取される。
【0006】
小包及び郵便物の数量の更なる増加ゆえに包装材料によるプラスチック廃棄物の量が増加を続けているという事実により、プラスチックによる環境の汚染は深刻化している。
【0007】
特許文献1は、圧力に弱い物体の為に数層の紙で製作されたパッド入り緩衝材の形の包装材料を開示しており、これは球形又はワッフル形状のエンボスを備える少なくとも1枚の紙ウェブを有し、紙ウェブは互いに接着されている。
【0008】
特許文献2には、上述の刊行物から周知の包装材料の改良が図示及び記載されており、包装材料の外側面は、エンボス加工セルロースの詰め物に接着されている。類似の包装材料は特許文献3からも周知である。
【0009】
特許文献4は、多層の繊維ウェブを製造する為の方法及び器具を開示している。
【0010】
特許文献5は、特許文献6から周知の数層の緩衝材料が上下に載置されて一緒に接着される包装材料を開示している。
【0011】
特許文献7は、波状エンボス紙による輸送用緩衝包装の為の多層構造を図示及び記載している。
【0012】
特許文献8は、段ボールの製造を図示及び記載している。
【0013】
特許文献9は、緩衝効果を達成するように特殊な器具を使用して任意で表面の一部にしわが寄せられた包装材料を開示している。
【0014】
特許文献10は、多層包装材料を製造する為の器具を図示及び記載している。包装材料は、上下に配置された三つのエンボス加工ウェブで構成されている。
【0015】
特許文献11は、波形中間ウェブが二つの平滑な担体ウェブに接着される段ボールを製造する為の器具を開示している。
【0016】
特許文献12は、波状断面を有する二つのウェブが重ねて構成される包装材料を開示しており、一方の内側ウェブは寸法的に安定しており、一方の外側ウェブは可撓性である。
【0017】
特許文献13は、幾つかのエンボス紙層で構成されるいわゆる緩衝紙を開示しており、紙の層は上下に配置されて、より継ぎ又は波形によって互いに接続されている。
【0018】
特許文献14は、波状断面を持つウェブが二つの平滑ウェブの間に配置されて打抜き加工によりウェブが互いに接続される段ボール状包装材料を図示及び記載している。
【0019】
特許文献15は、多層ティッシュペーパーを製造する為の方法及び装置を開示している。
【0020】
特許文献16は、リサイクル紙と草繊維とを含有する多層紙を開示している。
【0021】
後に公開された刊行物である特許文献17は、気泡緩衝材と同様である幾つかの紙ウェブで構成される包装材料を開示しており、接着剤、ステープルなどの締結要素により、あるいは縁を折ることにより、紙ウェブが互いに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】西独国特許出願公開第604412号明細書
【文献】西独国特許出願公開第1156701号明細書
【文献】英国特許出願第893060号明細書
【文献】独国特許出願公開第102006000006号明細書
【文献】西独国特許出願公開第622340号明細書
【文献】西独国特許出願公開第604412号明細書
【文献】国際公開第2020/227649号明細書
【文献】西独国特許出願公開第69731号明細書
【文献】米国特許出願公開第2020/0180255号明細書
【文献】欧州特許第0523382号明細書
【文献】欧州特許出願公開2792478号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0086021号明細書
【文献】西独国特許第1156701号明細書
【文献】欧州特許第0650827号明細書
【文献】欧州特許第1853419号明細書
【文献】欧州特許第3683357号明細書
【文献】国際公開第2021/046395号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、周知の包装材料と比較して改善された包装材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この目的は、請求項1に明記されているように本発明により達成される。
【0025】
請求項1に記載の発明による、紙から包装材料を製造する為の装置は、少なくとも第1紙ウェブと第2紙ウェブとを、装置のエンボス領域へ、そして紙ウェブの給送方向においてエンボス領域の下流に配置された装置のプレス領域へ給送する為の手段を有する。第1紙ウェブをエンボス加工する為のエンボス器具がエンボス領域に配置され、成形領域が第1紙ウェブから作成されて第1紙ウェブを越えて各々が突出して第1紙ウェブの紙ウェブ平面で閉鎖外周線により画定されるようにエンボス器具が設計及び設定される。
【0026】
プレス領域に配置されるのは、接着及び接続用の合成補助材料を含まず、特にプラスチックフィルムを含まずにプレス領域に配置されるように紙ウェブを一緒にプレス接合する為のプレス器具であり、成形領域の間の接続部分において、第1紙ウェブの紙繊維が第2紙ウェブの紙繊維に接続されて成形領域の領域で紙ウェブが閉鎖空洞を画定するようにプレス器具が設計及び設定され、エンボス領域及び/又はプレス領域の給送方向上流に配置される事前調整手段を備え、少なくとも一つの事前調整器具は、第1紙ウェブをエンボス加工するか一緒にプレス接合された紙ウェブをプレスする為に第1紙ウェブ及び/又は第2紙ウェブを事前調整する。
【0027】
本発明では、気泡緩衝材タイプの紙で製作されて第1紙ウェブと第2紙ウェブとを有する包装材料が提供され、少なくとも一つの紙ウェブから成形領域が作成され、成形領域は紙ウェブを越えて突出して各々が紙ウェブの平面で閉鎖外周線により画定される。こうして紙ウェブの少なくとも一方は、成形領域を備える「エンボスウェブ」を形成し、一方で少なくとも一つの他の紙ウェブは平滑な「担体ウェブ」を形成する。第1紙ウェブの成形領域は、例えば、約10mmの直径と約3から4mmの高さとを有する。
【0028】
本発明によれば、第1紙ウェブの紙繊維と第2紙ウェブの紙繊維との接続、あるいは第1紙ウェブの紙繊維が第2紙ウェブの紙繊維とつながっているか、又は接続されているという事実が、紙ウェブが互いにプレス接合された時に発生する紙繊維の機械的接続を意味することは了解済みである。紙ウェブが互いにプレス接合されると、第1紙ウェブの紙繊維が第2紙ウェブの紙繊維と「交絡」し、こうして紙ウェブ同士の機械的接続が形成される。
【0029】
本発明によれば、互いに対向する表面上で、紙ウェブはもっぱら紙で構成され、好ましくは紙ウェブの事前調整後に、接着及び接続用の合成補助材料を含まず、特にプラスチックフィルムを含まず、成形領域の間の接続部分において第1紙ウェブの紙繊維が第2紙ウェブの紙繊維に接続されて成形領域の領域に紙ウェブが閉鎖空洞を画定するように、紙ウェブがプレス接合される。本発明によれば、閉鎖空洞は、存在するかどうか、そして存在する場合に閉鎖空洞がどの程度の気密状態であるかに関係なく、幾何学的に閉鎖された空洞を意味することは了解済みである。
【0030】
本発明による包装材料は、その基本構造については従来のプラスチック製気泡緩衝材に類似しているが、これとは対照的に全体が紙で構成される。
【0031】
本発明によれば紙ウェブはもっぱら紙で製作され、接着剤及び合成補助材料を含まない、特にプラスチックフィルムを含まないという事実ゆえに、本発明による包装材料は容易かつ完全にリサイクルされ得る。
【0032】
ゆえに本発明による包装材料は、環境負担をかなりの程度まで低下させる。世界中で使用されている大量の気泡緩衝材料及び類似の包装材料を考慮すると、この環境への影響の低下は重大であり、本発明に大きな社会的便益を付与する。
【0033】
本発明は大量のプラスチック廃棄物を回避し、この廃棄物はさもなければ処分が必要であって、経験上分かるように、環境、特に海にかなりの程度ことになる。
【0034】
驚くべきことに、本発明による包装材料の成形領域に形成される閉鎖空洞は、従来のプラスチック製気泡緩衝材料の気泡とは対照的に気密性ではないとしても、従来のプラスチック製気泡緩衝材に匹敵する緩衝効果を有することが判明している。
【0035】
少なくとも「エンボスウェブ」を事前調整した後に、ウェブは、接着剤、他の合成締結材、プラスチックフィルム、又は機械的締結材を必要とすることなく、ウェブをプレス接合することにより互いに充分確実に接続されることも判明している。本発明によれば、ウェブは、事前調整の後のプレス接合中に発生するウェブの紙繊維の接続によりもっぱら互いに接続される。
【0036】
それぞれの要件及び状況に応じて、少なくとも一つの紙ウェブは、事前調整器具により、特に水分および熱を関連するウェブへ導入することにより、適切なやり方で事前調整され得る。本発明の有利な改良により、好ましくは水であるか、又は水を含有する事前調整液体を紙ウェブの少なくとも一方の中又は上に導入又は塗着する為に少なくとも一つの事前調整器具が設計及び設定されることがもたらされる。
【0037】
本発明によれば、適切なやり方で、例えば、事前調整液体の槽、例えば水槽にそれぞれの紙ウェブを通すことにより、事前調整液体が紙ウェブへ導入されるか、又はこれに塗着され得る。上述の実施形態の有利な改良により、事前調整液体が関連の紙ウェブに噴射、噴霧、又は蒸着されるように、少なくとも一つの事前調整器具は事前調整液体を噴射、噴霧、又は蒸着する為に設計及び設定されることがもたらされる。
【0038】
上述の実施形態の特に有利な改良により、少なくとも一つの事前調整器具、特に第1紙ウェブと関連する事前調整器具が、関連の紙ウェブを蒸気で蒸らす為に設計及び設定されることがもたらされる。例えば100℃から約150℃までの温度の蒸気の使用は、水分と熱とが同時にウェブへ導入されるという点でそれぞれのウェブの特に効果的な事前調整を可能にする。
【0039】
本発明によれば、原則として、「エンボスウェブ」つまり成形領域が形成されたウェブのみが事前調整されれば充分である。しかしながら、「エンボスウェブ」と一つあるいは少なくとも一つの「担体ウェブ」の両方が本発明により事前調整されると有利である。原則として、ウェブは同一又は類似のやり方で事前調整され得る。本発明の有利な改良により、紙ウェブの各々が、紙ウェブの別々の、特に様々な事前調整の為の別々の事前調整器具と関連していることがもたらされる。別々の事前調整器具の使用はウェブの事前調整をカスタマイズすることを可能にする。
【0040】
この文脈において、本発明の改良により、第1事前調整器具が第1紙ウェブと関連していてエンボス領域への第1紙ウェブの給送経路に同器具が配置され、第2事前調整器具が第2紙ウェブと関連していてこれがプレス領域への第2紙ウェブの給送経路に配置されることがもたらされる。
【0041】
本発明の極めて有利な改良により、少なくとも一つの事前調整器具、特に第2紙ウェブと関連する事前調整器具が、セルロース繊維又はセルロース粒子を含有する事前調整液体、好ましくは水を導入又は塗着する為に設計及び設定されており、セルロース繊維又はセルロース粒子は好ましくはマイクロセルロース及び/又はナノセルロース、特にセルロースマイクロファイバ(CMF)及び/又はセルロースナノファイバ(CNF)であるか、又はこれらを含有することがもたらされる。好ましくは水である事前調整液体によって塗着されるセルロースファイバを使用すると、もっぱら紙で構成される包装材料を提供するという本発明の基本的概念を保ちながら、ウェブ同士の接続を更に向上させる。したがって、この実施形態でも、接着剤、プラスチックフィルム、又は他の合成添加物により、包装材料のリサイクルがより困難になることはない。同じように、セルロース繊維に加えて、あるいはセルロース繊維の代わりに、他の天然繊維が使用されてもよい。
【0042】
「エンボスウェブ」のエンボス作用は、それぞれの要件及び状況に応じて異なる形で行われ得る。本発明の有利な改良により、これに関して、エンボスローラ回転軸回りに回転可能に取り付けられるとともに第1紙ウェブに成形領域を形成する為のエンボス凸部を外周面に有するエンボスローラを備えるローラ配置構成が、エンボス器具としてエンボス領域に配置され、エンボスローラ回転軸と平行である回転軸回りに回転可能に取り付けられるとともにエンボスローラのエンボス凸部に相補的なものとして設計されたエンボス凹部を外周面に有する対向ローラと、エンボスローラが係合することがもたらされる。こうして、連続方法によるエンボス加工が可能となる一方で、本発明による包装材料を製造する為の本発明による装置の比較的簡単で故障を生じない構造が同時に得られる。本発明によれば、エンボスウェブのエンボス凸部に対する対向ローラのエンボス凹部の相補的設計は、エンボス凸部がエンボス凹部と係合した時に間隙が残ってその間隙幅が成形領域の領域でのエンボス加工後の紙ウェブの紙の結果として生じる厚さに対応するという意味であることは了解済みである。エンボス凸部の形状、幾何学的配置、及び数は、それぞれの要件及び状況にしたがって広範囲の限度内で選択され得る。
【0043】
本発明の別の有利な改良により、プレスローラ回転軸回りに回転可能に取り付けられたプレスローラがプレス器具としてプレス領域に配置され、第1紙ウェブと第2紙ウェブとのプレス接合を目的として、紙ウェブの接続部分の成形領域から離れたところで、第1紙ウェブを第2紙ウェブとプレス接合する為にプレスローラと対向ローラとの間にプレスローラ間隙が形成されるように、プレスローラ回転軸に対して平行に離間した回転軸を持つ対向ローラと、プレスローラが協働することがもたらされる。
【0044】
この実施形態において、ウェブは連続方法にしたがって互いにプレス接合されるので、本発明による包装材料は連続方法にしたがって全体が製造され得る。装置の動作中にプレスローラが対向ローラにプレスされることにより、装置の動作中に互いにプレス接合される紙ウェブが内側に設置されるプレスローラ間隙を形成する時に印加される接触圧及び/又は駆動力は、それぞれの要件及び状況にしたがって広範囲の限度内で選択され、好ましくは設定され得る。
【0045】
原則として、本発明によれば、エンボス領域はエンボスステーションに実装され、プレス領域は、紙ウェブの給送方向においてエンボス領域から離間したプレスステーションに実装され得る。本発明のきわめて有利な改良により、これに関して、エンボスローラの対向ローラとプレスローラの対向ローラとが共通の対向ローラにより形成され、それにより、ローラ配置構成は、互いに動作係合する三つのローラを有することがもたらされる。この実施形態において、エンボスローラと対向ローラとプレスローラとで構成されるローラ配置構成は、装置のエンボス/プレス複合ステーションを形成する。本明細書のローラ配置構成は、カレンダ加工方式で設計され、本発明によるローラ配置構成は、最も単純な事例では三つのローラ、すなわちエンボスローラと対向ローラとプレスローラのみを有し、したがってLカレンダに存在する搬送方向で最終の第4ローラが必要とされないという点で、Lカレンダと異なっている。この実施形態の特に有利な点は、対向ローラとプレスローラとの間のプレスローラ間隙でウェブが互いにプレス接合されるまで、「エンボスウェブ」でエンボスローラにより形成される成形領域が対向ローラの凹部に残るという事実である。
【0046】
上述した実施形態では、本発明の有利な改良で行われるように、対向ローラ回転軸線は、エンボスローラ回転軸とプレスローラ回転軸との間の接続直線上に便宜上配置される。
【0047】
プレスローラ間隙の間隙幅を設定可能にする為に、本発明の別の有利な改良により、プレスローラ回転軸に対して径方向に延びる線形軸でのプレスローラ間隙の間隙幅を設定する為の好ましくはモータ駆動式の調節器具がプレスローラと関連していることがもたらされる。またこの実施形態により、本発明による装置が、もっぱら「エンボスウェブ」で構成される包装材料を製造するのに使用される場合に、プレスローラを対向ローラから完全に開放することが可能である。調節器具は特に、制御装置により制御可能である電気モータ調節装置であり得る。
【0048】
本発明の有利な改良によれば、それぞれのローラを加熱する為の加熱装置が、好ましくはローラの温度を別々に設定する為に、エンボスローラ及び/又は対向ローラ及び/又はプレスローラと関連している。プレス工程中には、ウェブから水分が押し出され、ローラを加熱することにより、エンボス又はプレス工程中にウェブは事前乾燥される。それに応じてローラの温度を適宜設定することにより、それぞれの要件及び状況にしたがってこの事前乾燥作用は制御され得る。
【0049】
上述した実施形態では、それぞれのローラの温度を検出することを目的として、温度センサがエンボスローラ及び/又は対向ローラ及び/又はプレスローラと関連している。
【0050】
最終製品すなわち包装材料について望ましい残留水分含有量を達成するべく互いにプレス接合されたウェブを更に乾燥させる為に、本発明の別の有利な改良は、プレス領域でプレス接合された紙ウェブを乾燥させる為の乾燥手段が、給送方向においてプレス領域と完成包装材料の為の保管手段との間に配置することがもたらされる。完成包装材料で望ましい残留水分含有量を達成することに加えて、乾燥作用は紙ウェブの間の接続の強度を高めるという効果を有する。
【0051】
乾燥手段の数、熱出力、及び構造的構成は、それぞれの要件及び状況にしたがって広範囲の限度内で選択され得る。本発明の有利な改良により、乾燥手段は、給送方向において互いに離間している少なくとも二つの乾燥器具を有すること、及び/又は、少なくとも一つの乾燥器具は赤外線放射乾燥器具として設計され、かつ少なくとも一つの乾燥器具は温風乾燥器具として設計されることをことがもたらされる。少なくとも一つの温風乾燥器具は、好ましくは紙ウェブの給送方向において少なくとも一つの赤外線放射乾燥器具の下流に配置される。
【0052】
本発明の別の有利な改良により、プレスローラは、少なくともその外周面において弾性の可撓性材料、特にシリコンで構成されることがもたらされる。
【0053】
本出願の開示と本発明の主題とは、請求項19によれば、紙製の包装材料を製造する為の方法も含み、少なくとも一つの第1紙ウェブと少なくとも一つの第2紙ウェブとはエンボス領域へ、そして紙ウェブの給送方向においてエンボス領域の下流のプレス領域へ給送され、エンボス器具によってエンボス領域では第1紙ウェブから成形領域が作成され、成形領域は第1紙ウェブを越えて突出して各々が第1紙ウェブの紙ウェブ平面で閉鎖外周線により画定され、接着及び接続用の合成補助材料を含まない、特にプラスチックフィルムを含まない紙ウェブは、成形領域の間の接続部分において、第1紙ウェブの紙繊維が第2紙ウェブの紙繊維に接続されるようにプレス器具によってプレス領域で互いにプレス接合され、紙ウェブは成形領域の領域に閉鎖空洞を画定し、エンボス領域でのエンボス作用あるいはプレス領域での紙ウェブのプレス接合の準備として、第1紙ウェブ及び/又は第2紙ウェブは事前調整される。
【0054】
本発明による方法の有利かつ好都合な改良は、請求項19を引用している従属請求項に明記されている。本発明による装置及びその改良についてのものと同じ利点及び特性が得られる。
【0055】
本発明による方法は、特に本発明による装置を使用して実行され得る。
【0056】
請求項38によれば、本出願の開示と本発明の主題とは、第1紙ウェブと第2紙ウェブとを有する紙製の包装材料も含み、少なくとも一つの紙ウェブから成形領域が作成され、成形領域は紙ウェブを越えて突出して、各々が紙ウェブ平面で閉鎖外周線により画定され、紙ウェブは、互いに対向するその表面においてもっぱら紙で製作され、成形領域の間の紙ウェブの接続部分で、第1紙ウェブの紙繊維が第2紙ウェブの紙繊維に接続されて成形領域の領域で紙ウェブが閉鎖空洞を画定するように、好ましくは紙ウェブを事前調整した後に、接着及び接続用の合成補助材料を含まずに、特にプラスチックフィルムを含まずに互いにプレス接合される。
【0057】
本発明の意味における成形領域が紙ウェブの平面を越えて突出する紙ウェブのエンボスを意味することは了解済みである。好適な実施形態によれば、本発明による包装材料が成形領域を備える「エンボスウェブ」と平滑な「担体ウェブ」とで製作される場合には、紙ウェブ平面を越えて突出する成形領域は「担体ウェブ」とともに空洞を画定するので、本発明による包装材料は気泡緩衝材のように形成される。プラスチック製の気泡緩衝材で周知のように、成形領域は特に凹凸形状で形成され得る。
【0058】
それぞれの要件及び状況に応じて、第1紙ウェブに作成された成形領域の形状及びサイズは、広範囲の限度内で選択され得る。本発明の有利な改良により、これに関して、成形領域が球体面のように形成されるように、成形領域を画定する外周線は円形又は略円形であることがもたらされる。一方で包装材料に望ましい緩衝効果について、他方では製造に関して、成形領域の対応形状が有利である。
【0059】
破損又は圧力に弱い物体の包装の為の本発明による包装材料は多様な手法で、例えば、特に包装される物体のサイズにしたがってユーザにより切断され得るウェブの形で販売される材料の形で提供される。本発明による包装材料は、既製ブランクの形でも提供され得る。例えば、本発明による包装材料は輸送用ボックスとして、又はクッション封筒のように設計されてもよく、あるいは、このような包装材料の一部を形成してもよい。
【0060】
要件及び状況に応じて、本発明による包装材料が製作される紙ウェブの数は広範囲の限度内で選択され得る。例えば、本発明による包装材料は二つを超える紙ウェブから製作され得る。例えば、そして特に、本発明による包装材料は、成形領域を備える「エンボスウェブ」と平滑な「担体ウェブ」とで製作され得る。上記に対する発明の代替実施形態では、成形領域が両方の紙ウェブから作成されるとともに、一方の紙ウェブの成形領域が他方の紙ウェブの成形領域に対応して互いに向かい合って配置されるように紙ウェブは互いに接続される。この実施形態では、一方の紙ウェブの成形領域は他方の紙ウェブの成形領域とともに、本発明による包装材料の空洞を画定する。
【0061】
本発明による包装材料の別の有利な改良により、成形領域が規則的なパターンを形成し、特に横列及び/又は縦列に配置されることがもたらされる。
【0062】
本発明による包装材料の為の出発材料として、適切な紙が使用され得る。本発明の特に有利な改良により、紙ウェブがリサイクル紙で製作されるか、又はリサイクル紙を含有することがもたらされる。高いエネルギー消費量が製造に必要とされる新紙の使用が完全又は少なくとも部分的に回避されるので、この実施形態は特に環境に優しい。
【0063】
上述の実施形態のさらなる改良により、以下の特性パラメータ、すなわち、
‐固有の基本重量/坪量[ISO 536]:60~140g/m2
‐コッブ60(Cobb60)による吸水性[ISO 535]:26~113g/m2
‐ベントセン(Bendtsen)による粗度[ISO 8791‐2]:≧300ml/分
‐破裂強度[ISO 2758]:160‐240kPa
‐横方向のSCT指数(SCT INDEX)[ISO 9895]:1.1‐1.9kN/m
のうち少なくとも一つ、特に全てをリサイクル紙が有することがもたらされる。
【0064】
本発明による包装材料の有利な改良によれば、成形領域の間の接続部分がブリッジのように設計される。
【0065】
本発明の別の有利な改良により、接続部分の少なくとも一部で紙ウェブが圧縮されることがもたらされる。
【0066】
請求項46によれば、本発明の主題は、紙ウェブを越えて突出して各々が紙ウェブ平面で閉鎖外周線により画定される成形領域が作成される少なくとも一つの紙ウェブを有する包装材料の製造におけるリサイクル紙の使用も含み、以下の特性パラメータ、すなわち、
‐固有の基本重量/坪量[ISO 536]:60~140g/m2
‐コッブ60(Cobb60)による吸水性[ISO 535]:26~113g/m2
‐ベントセン(Bendtsen)による粗度[ISO 8791‐2]:≧300ml/分
‐破裂強度[ISO 2758]:160‐240kPa
‐横方向のSCT指数(SCT INDEX)[ISO 9895]:1.1‐1.9kN/m
のうち少なくとも一つ、特に全てをリサイクル紙は有する。
【0067】
例示的な実施形態を使用し、高度に概略的な添付図面を参照して、本発明が以下でより詳しく説明される。例示的実施形態の個々の特徴により、単独で、つまり他の特徴から独立して例示的実施形態が改良されることが、当業者には明白である。それゆえ、図面に示されて請求項に記載され、個別に解釈されるとともに技術的に有意な組み合わせで解釈される記載の特徴全てが、請求項内でのその組み合わせ及びその引用にも関わらず、また図面での具体的な記載又は表現にも関わらず、発明の主題を形成することも、当業者には明白である。本出願の主題及び開示は、装置請求項の特徴と方法請求項の特徴との組み合わせも含む。本出願の主題及び開示は、一つの例示的実施形態の特徴と別の例示的実施形態の特徴との組み合わせも含む。本出願の主題及び開示は、請求項の少なくとも一つの特徴が省略されるか別の特徴と置き換えられる請求項の下位組み合わせも含む。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】包装材料の製造の為の本発明による装置の第一例示的実施形態を高度に概略的にスケッチ風に示す。
【
図2】
図1による例示的実施形態の概略側面図を示す。
【
図3】
図1による例示的実施形態の概略斜視図を示す。
【
図4】
図1による例示的実施形態のローラ配置構成の径方向概略図を示す。
【
図6】
図4によるローラ配置構成についての
図5のA‐A線における断面図である。
【
図7】
図4によるローラ配置構成のエンボスローラの斜視図を示す。
【
図8】
図4によるローラ配置構成の対向ローラを
図7と同じ表現で示す。
【
図9】
図1による装置のウェブ張力センサの例示的実施形態の構造のスケッチを示す。
【
図10】
図1による装置のシステム制御の構造をブロック図の形で示す。
【
図11】気泡緩衝材の形である本発明による包装材料の例示的実施形態のウェブの上面図である。
【
図12】成形領域のエリアにおける
図11による包装材料の断面を
図11よりかなり大きく規模を拡大して示す。
【
図13】本発明による装置の第二例示的実施形態を
図1と類似した表現で示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
紙から包装材料を製造する為の本発明による装置の第一例示的実施形態が、
図1乃至10を参照して以下でより詳しく説明される。
【0070】
図1は、紙製の包装材料の製造の為の本発明による装置又はシステムの例示的実施形態を高度に概略的にスケッチ風に示し、以下ではその機能が簡単に記載される。
【0071】
保管ローラ2,4から、以下略して「ウェブ」とも称される第1紙ウェブ6と第2紙ウェブ8とが偏向を介してローラ配置構成10へ給送される。ここで第1紙ウェブは、ローラ配置構成10によって成形領域11が作成される「エンボスウェブ」を形成し、一方で第2紙ウェブは、完成した包装材料でエンボスウェブを担持し、すなわち、これを目的としてローラ配置構成10によって「エンボスウェブ」をプレス接合される平滑な「担体ウェブ」を形成する。エンボス作用の為に、給送方向においてローラ配置構成10の上流で、「エンボスウェブ」が蒸気で蒸らすことにより参照番号12で事前調整される。例えば、そして特に、100℃と約150℃との間の温度の蒸気が使用され得る。
【0072】
図示されている例示的実施形態において、紙ウェブ6,8はリサイクル紙で製作される。しかしながら、本発明によれば、それぞれの要件及び状況に応じて、他の適切な紙で紙ウェブ6,8が製作されてもよい。
【0073】
給送方向において、ローラ配置構成10の前で、セルロース繊維又は粒子、特に、好ましくはセルロースナノ繊維(CNF)の形のナノセルロースを含有する液体を噴射することにより、「担体ウェブ」は参照番号14で事前調整される。
【0074】
ローラ配置構成10は、対向ローラ(負ローラ)18と係合するエンボスローラ(正ローラ)を有する。紙ウェブ6は、成形領域を形成するようにローラ16,18の間でエンボス加工される。エンボスローラ16と対向ローラ18とプレスローラとは、以下略して「ローラ」とも称される。
【0075】
プレスローラ20は対向ローラ18と係合し、接着及び接続用の合成保持材料を含まない、特にプラスチックフィルムを含まないやり方で、対向ローラ18とプレスローラ20との間で紙ウェブ6,8は互いにプレス接合される。
【0076】
互いにプレス接合されて気泡緩衝材のやり方で本発明による包装材料を形成する紙ウェブ6,8は、もっぱら紙で製作される完成気泡緩衝材状の包装材料の為に保管ロールの形で保管手段22へ給送され、三つの乾燥器24,26,28を備える多段乾燥器具が給送経路に配置される。ここで乾燥器24はIR放射器であり、乾燥器26,28は温風乾燥器である。
【0077】
装置の構造は以下の通りである。
【0078】
装置は、少なくとも第1紙ウェブ6と第2紙ウェブ8とを、エンボス領域30へ、そして紙ウェブの給送方向においてエンボス領域30の下流にあるプレス領域32へ給送する為の手段を有する。紙ウェブ6,8又はプレス接合紙ウェブ6,8の給送方向又は搬送方向は、
図1では矢印34,36,38,40で記されている。
【0079】
成形領域11が第1紙ウェブ6から作成されて第1紙ウェブ6を越えて突出し、各々が第1紙ウェブ6の紙ウェブ平面で閉鎖外周線により画定されるように、第1紙ウェブをエンボス加工する為のエンボス器具31がエンボス領域30に配置される。図示された例示的実施形態において、閉鎖外周線は円形又は略円形である。
【0080】
プレス器具33は、紙ウェブ6,8を一緒にプレス接合する為のプレス領域に配置され、成形領域の間の接続部分において、第1紙ウェブ6の紙繊維が第2紙ウェブ8の紙繊維と接続されて紙ウェブ6,8が成形領域の領域に閉鎖空洞を画定するように、接着剤及び接続用の合成補助材料を含まずに、特にプラスチックフィルムを含まずに、プレス接合が行われる。
【0081】
第1紙ウェブ6及び/又は第2紙ウェブ8を事前調整する為の少なくとも一つの事前調整器具を備える事前調整手段が、給送方向においてエンボス領域30及び/又はプレス領域32の上流に配置される。
【0082】
本発明によれば、液体、特に水で構成されるか、又は水を含有する事前調整液体を紙ウェブ6,8の少なくとも一方の中か、又は上に導入又は塗着する為に少なくとも一つの事前調整器具が設計される。図示された例示的実施形態において、参照番号12は、エンボス領域30でのエンボス作用について事前調整を行なう為に第1紙ウェブ6の上又は中へ蒸気の形の水を塗着又は導入する為の事前調整器具を指す。
【0083】
本発明によれば、事前調整液体が関連の紙ウェブへ噴射、噴霧、又は蒸着されるように、少なくとも一つの事前調整器具は、事前調整液体を噴射、噴霧、又は蒸着する為に設計及び設定される。
【0084】
図示されている例示的実施形態では、紙ウェブ6,8についての別々の、図示された例示的実施形態では異なる事前調整の為に、別々の事前調整器具が紙ウェブ6,8の各々と関連している。
【0085】
詳しく記すと、第1事前調整器具12は第1紙ウェブ6と関連していてエンボス領域30への第1紙ウェブの給送経路に配置され、第2事前調整器具14は第2紙ウェブ8と関連していてプレス領域への第2紙ウェブ8の給送経路に配置されている。
【0086】
第1紙ウェブ6と関連する第1事前調整器具12は、図示された例示的実施形態では100℃とおよそ150℃との間の温度の蒸気で第1紙ウェブを蒸らす為に設計されている。
【0087】
第2紙ウェブと関連する第2事前調整器具14は、第2紙ウェブ8の中か、又は上に事前調整液体を塗着又は導入する為に設計及び設定され、図示された例示的実施形態の事前調整液体はセルロース繊維又はセルロース粒子を含有する水であり、セルロース繊維又はセルロール粒子は好ましくは、マイクロセルロース及び/又はナノセルロース、特にセルロースマイクロファイバ(CMF)及び/又はセルロースナノファイバ(CNF)であるか、又はこれらを含有する。事前調整液体でのセルロース繊維の含有量は、第2紙ウェブ8に噴霧され得るか噴霧されるように選択される。
【0088】
エンボスローラ回転軸15回りに回転可能に取り付けられたエンボスローラ16を備えるローラ配置構成10はエンボス領域30に配置され、このエンボスローラ16は第1紙ウェブ6に成形領域11を形成する為のエンボス凸部をその外周面に有し、エンボスローラ回転軸と平行な回転軸19回りに回転可能に取り付けられて、エンボスローラ16のエンボス凸部に対して相補的になるように設計されたエンボス凹部をその外周面に有する対向ローラ18と、エンボスローラ16が係合する。
【0089】
プレスローラ回転軸21回りに回転可能に取り付けられたプレスローラ20はプレス領域32に配置され、第1紙ウェブ6を第2紙ウェブ8とプレス接合する為に対向ローラ18と協働し、第1紙ウェブ6の成形領域11から離れたところで第1紙ウェブ6を第2紙ウェブ8とプレス接合する為にプレスローラ20と対向ローラ18との間にプレスローラ間隙が形成されるように、対向ローラの回転軸はプレスローラ回転軸と平行に離間している。
【0090】
プレスローラ20は平滑な外周面を有して弾性の可撓性材料でその外周面が構成され、図示された例示的実施形態でこれはシリコンである。
【0091】
図示された例示的実施形態では、ローラ配置構成10が動作接続又は動作係合された三つのローラ16,18,20を有するように、エンボスローラ16の対向ローラとプレスローラ20の対向ローラとは共通する一つの対向ローラ、すなわち対向ローラ18により形成される。図示された例示的実施形態では、エンボスローラ16は対向ローラ18とともにエンボス器具31を形成し、プレスローラ20は対向ローラ18とともにプレス器具33を形成することが分かる。
【0092】
図示された例示的実施形態において、対向ローラ18とプレスローラ20とは互いに直接プレス係合状態にある、つまりエンボスローラ16によってエンボス加工される第1紙ウェブ6の為の搬送部が介在していない。こうして、紙ウェブ6,8は互いにプレス接合され、一方で、エンボスローラ16によって第1紙ウェブから作成される成形領域11はやはり対向ローラ18のエンボス凹部にある。その結果、ローラ16,18,20で構成されるローラ配置構成10はエンボス・プレス複合ステーションを形成する。
【0093】
図1に見られるように、図示された例示的実施形態において、対向ローラ18の回転軸19は、エンボスローラ回転軸15とプレスローラ回転軸21との間の接続線上に配置される。
【0094】
図の実施形態において、例示的実施形態ではプレスローラ回転軸21に対して径方向に延びる線形軸上でのプレスローラ間隙の間隙幅を設定する為のモータ作動式調節器具とプレスローラ20が好ましくは関連している。調節器具は、成形領域を備える単一ウェブからもっぱら、つまり「担体ウェブ」を含まずに「エンボスウェブ」からもっぱら構成される包装材料が製造される時に、プレスローラ20を対向ローラ18から開放させることも可能にする。
【0095】
さらに、本発明によれば、それぞれのローラを加熱する為の加熱装置が、エンボスローラ16及び/又は対向ローラ18及び/又はプレスローラ20と関連している。図示された例示的実施形態では、ローラ16,18,20の各々についての温度が別々に設定され得るように、別々の加熱器具がローラ16,18,20の各々と関連している。この為に、それぞれのローラ16又は18又は20の温度を検出する為の温度センサが、好ましくはエンボスローラ16及び/又は対向ローラ18及び/又はプレスローラ20と関連している。本明細書では、例えば少なくとも一つの電気加熱ロッドの形の加熱装置と温度センサの両方が、例示的実施形態の事例のようにそれぞれのローラ16又は18又は20に一体化されると有利である。こうして、本発明による装置の構造設定が単純化される。
【0096】
本発明によれば、プレス領域で互いにプレス接合された紙ウェブ6,8を乾燥させる為の乾燥手段が、給送方向において、プレス領域32と、完成包装材料の為の保管ロール22の形をした保管手段との間に配置される。
【0097】
図示された例示的実施形態において、乾燥手段は、給送方向又は搬送方向において互いに離間している少なくとも二つの乾燥器具を有し、少なくとも一つの乾燥器具は赤外線放射乾燥器具として設計され、少なくとも一つの乾燥器具は温風乾燥器具として設計される。図示された例示的実施形態では、プレス領域32の直ぐ下流に配設される乾燥器具24は赤外線放射乾燥器具として設計され、一方で給送方向又は搬送方向において乾燥器具24の下流にある二つの乾燥器具26,28は温風乾燥器具として設計され得る。
【0098】
個々の紙ウェブ6,8及び/又は互いにプレス接合された紙ウェブのウェブ張力は、それぞれの要件及び状況にしたがって適切なセンサにより監視される。これは、
図9を参照して以下でより詳しく説明される。
【0099】
ローラ16,18,20は適切な材料で製作され得る。特に、ローラ16,18,20の外周面はそれぞれのローラ本体と異なる材料で製作され得るか、又は別の材料でコーティングされ得る。特に、図示された例示的実施形態と同様に、プレスローラ20は少なくともその外周面において弾性の可撓性材料、特にシリコンで製作され得る。対照的に、エンボスローラ16と対向ローラ18とは、少なくともその外周面において、寸法的に安定した材料、例えば金属で製作され得る。
【0100】
ローラ16,18,20の各々は、別々の回転駆動装置によって互いに独立して回転駆動され得る。別々の回転駆動装置によって互いに独立して各々が回転駆動され得る保管ロール2,4,22にも、同じことが当てはまる。ローラ16,18,20及び保管ロール2,4,22と関連する回転駆動装置の制御は、
図11を参照して以下でより詳しく説明される。
【0101】
図2は、
図1の例示的実施形態の概略側面図を示し、一方で
図3は例示的実施形態の概略斜視図を示す。
【0102】
図2及び3に図示されているように、装置は、様々な組立体及び部品が配置されているフレーム46を有する。
【0103】
第1事前調整器具12はハウジング48を有する。第1紙ウェブ6が水で蒸らされた後に残る余剰水はハウジング48で回収されるか、あるいは蒸気として吸い出され、排出されてから再利用又は処分される。余剰水は化学添加物を含まないので、環境を汚染することなく下水設備で処分され得る。
【0104】
これに対応するように、第2事前調整器具14はハウジング50を有する。第2紙ウェブ8が事前調整された後に残る余剰の事前調整液体がハウジング50で回収され、排出され、そして再利用又は処分され得る。図示された例示的実施形態の事前調整液体はもっぱら、セルロースナノファイバが追加された水で構成され、それゆえ化学添加物を含まないので、やはり環境を汚染することなく排水設備で処分され得る。
【0105】
図2及び3の参照番号52は、ローラ配置構成10が収納されるハウジングを指す。
【0106】
参照符号54及び56はそれぞれ、温風乾燥器具26及び28がそれぞれ収納されるハウジングを指す。図示された例示的実施形態では、水で構成されて温風乾燥器具26,28での乾燥中にウェブ6,8から除去された液体は、このためにこの事例では給送方向における前後端部で開口しているハウジング54,56から流出できる。事前調整器具12,14に関して上で説明したように、結果的に得られる液体も環境を汚染することなく排水設備で処理され得る。
【0107】
参照番号58は、第1紙ウェブ6のウェブ張力を検知又は測定する為に給送方向において保管ロール2と第1事前調整器具12との間に配置されるウェブ張力センサを指す。ウェブ張力センサ58の構造は、
図10を参照して以下でより詳しく説明される。対応したやり方で、ウェブ張力センサは第2紙ウェブと関連しており、参照番号60で示されている。ウェブ張力センサ60はウェブ張力センサ58と同じように構築され、それゆえより詳しい説明は行わない。
【0108】
装置及び/又はシステムの全てのシステムパラメータ、特に紙ウェブの給送速度又は搬送速度、ウェブ張力、ローラ16,18,20の速度及び温度、そして事前調整器具12,14及び乾燥器具24,26,28の動作パラメータは、中央システム制御部により制御され、これについては
図11を参照して以下でより詳しく説明される。
【0109】
ローラ配置構成10、そしてそのエンボスローラ16及び対向ローラ18は、
図4乃至8に異なる図で示されている。
【0110】
【0111】
【0112】
図6は、
図4に描かれているローラ配置構成10のA‐A線における径方向断面図を示す。
【0113】
図7は、エンボスローラ16の斜視図を示し、エンボスローラ16の外周面に設けられて外周面を越えて突出するエンボス凸部が見られ、
図7ではそのうち一つのエンボス凸部のみが参照番号42で挙げられている。図示された例示的実施形態において、エンボス凸部42は球体又は球面のように設計されている。図示された例示的実施形態において、その外周面でエンボスローラ16の周方向にエンボス凸部42の連続する横列が配置され、エンボス凸部が「千鳥状」に配置されるように周方向の連続する横列が互いに関連して配置されている。エンボス凸部の形状、幾何学的配置、及び数は、それぞれの要件及び状況にしたがって広範囲の限度内で選択され得る。
【0114】
図8は、対向ローラ18の斜視図を示し、対向ローラ18のエンボス凹部44が見られる。
【0115】
プレスローラ20は平滑な外周面を有することが
図5及び6に見られる。
図9は、ウェブ張力センサ58の概略的なスケッチ風の図を示す。ウェブ張力センサ58は回転可能に取り付けられた三つの従動偏向ロール62,64,66を有し、
図10におけるその回転軸68,70,72は図面平面に向かって延在して三角形の頂点に配置される。偏向ロール62,66は固定状態で取り付けられ、一方で偏向ロール64は両矢印76の方向において線形測定軸74上で移動可能に取り付けられている。ここでの偏向ロール64は、
図9に例として示されている初期位置にばね手段により事前張力を受け得る。この開始位置から始めて、第1紙ウェブ6のウェブ張力が上昇すると、
図9の偏向ロール64は上向きに移動する。この移動は、例えばひずみゲージを使用するか他の幾つかの手法で、力変換器を介して検出されて、ウェブ張力センサ58から装置の中央制御器へセンサ出力信号として供給され、これについては以下でより詳しく説明される。
【0116】
図10は、制御装置78を有する装置の中央システム制御部の構造をブロック図の形で示す。制御装置78は、それぞれの要件及び状況にしたがってハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを含む様々な形で、例えば、そして特にプログラマブルロジックコントローラ(PLC)として設計される。
【0117】
制御装置78により制御可能である回転駆動装置80,82,84は、ウェブ6,8の為の保管ロール2,4と、そして完成包装材料の為の保管ロール22と関連している。装置の動作中には、紙ウェブ6,8に望ましいウェブ張力が設定されるように、制御装置78が回転駆動装置80,82,84の速度を制御する。このために、ウェブ張力センサ58,60は制御装置78との信号送信接続状態にある。
【0118】
制御装置78により制御可能である回転駆動装置86,88,90はローラ16,18,20の各々と関連している。装置の動作中に、エンボス領域30での第1ウェブ6のエンボス加工の為とプレス領域32でのウェブ6,8のプレス接合の為のローラ16,18,20が同期して動くように、制御装置78は回転駆動装置86,88,90の速度を制御する。
【0119】
ローラ16,18,20を加熱する為に、好ましくはそれぞれのローラ16,18,20に一体化された、例えば、特にそれぞれのローラ16,18,20に一体化された少なくとも一つの電気加熱ロッドにより形成される加熱装置92,94,96がこれらのローラと関連している。
【0120】
温度を検出する為に、例えば温度センサの形でそれぞれのローラ16,18,20に好ましくはやはり一体化される温度測定装置98,100,102が、ローラ16,18,20の各々と関連している。温度測定装置98,100,102は、制御装置78との信号送信接続状態にある。装置の動作中に、制御装置78は、加熱装置92,94,96を適切に制御することによりローラ16,18,20の温度を制御する。特に、エンボスローラ16の温度が対向ローラ18の温度より高く対向ローラ18の温度がプレスローラ20の温度より高いので、エンボスローラ16からプレスローラ20への温度勾配が設けられるように、温度が制御され得る。
【0121】
図10の参照番号104は、プレスローラ回転軸21に対して径方向に延びる線形軸におけるプレスローラ間隙の間隙幅を設定する為の電動調節器具を指す。例えば、「担体ウェブ」を含まずに成形領域を備える単一の「エンボスウェブ」からもっぱら構成される包装材料を製造するのに装置が使用される場合にも、プレスローラ間隙の間隙幅を異なる厚さの紙ウェブに合わせて調節するか、又はプレスローラ20を対向ローラ18から開放するように、電動調節器具は制御装置78によって制御可能である。
【0122】
本発明による装置を使用する本発明による方法によって、本発明による包装材料が気泡緩衝材のやり方で製造される。
【0123】
図11には、対応する気泡緩衝材のような包装材料のブランク106が一例として示されており、格子状に配置された凹凸形状領域11を包装材料が備えることが分かる。本発明による包装材料の構造組成は従来のプラスチック製気泡緩衝材のものと類似しているが、紙又はセルロールでもっぱら製作されるという点でこれと異なっている。
【0124】
図示された例示的実施形態では円形又は略円形である閉鎖外周線により「エンボスウェブ」6の紙ウェブ平面での成形領域11の各々が画定されることが、
図11から分かる。
【0125】
図12は、
図11と比較してかなり大きく規模を拡大して包装材料の断面を示す。第1紙ウェブ6のエンボス加工11は平滑な第2紙ウェブ8とともに閉鎖空洞108を範囲画定することが分かる。エンボス加工11から離れたところで、紙ウェブ6,8はウェブ状接続部110,112で互いにプレス接合される。
【0126】
図示された例示的実施形態において、紙ウェブ6,8は、以下の特性パラメータ、すなわち、
‐固有の基本重量/坪量[ISO 536]:60~140g/m2
‐コッブ60(Cobb60)による吸水性[ISO 535]:26~113g/m2
‐ベントセン(Bendtsen)による粗度[ISO 8791‐2]:≧300ml/分
‐破裂強度[ISO 2758]:160‐240kPa
‐横方向のSCT指数(SCT INDEX)[ISO 9895]:1.1‐1.9kN/m
のうち少なくとも一つ、特に全てを有するリサイクル紙で製作される。
【0127】
それぞれの要件及び状況に応じて、他のタイプ又はグレードの紙が紙ウェブ6,8に使用されてもよい。ここで紙ウェブ6,8は、特に、同じタイプの紙で製作され得る。しかしながら、本発明によれば、紙ウェブ6,8に異なるタイプの紙を使用することも可能である。
【0128】
図13は、主に、ウェブ6,8の給送方向又は搬送方向において装置のプレス領域32がエンボス領域30と離間しているという点で、主として第一の例示的実施形態と異なっている本発明による装置の第二例示的実施形態を示す。プレス領域32とエンボス領域30との空間的距離ゆえに、この例示的実施形態においてエンボスローラ16とプレスローラ18とは共通の対向ローラを有していない。むしろ、対向ローラ18はエンボスローラ16と関連しており、別の対向ローラ114がプレスローラ20と関連している。
【0129】
図1乃至10による第一例示的実施形態では、ローラ配置構成10のローラ16,18,20はエンボス・プレス複合ステーションを形成するが、第二例示的実施形態は、エンボスステーション(エンボスローラ16/対向ローラ18)と、給送方向又は搬送方向においてエンボスステーションから離間しているプレスステーション(プレスローラ20/対向ローラ114)とを有する。