(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-05
(45)【発行日】2025-09-16
(54)【発明の名称】ターボ機械内の液体燃料を点火する方法
(51)【国際特許分類】
F02C 7/26 20060101AFI20250908BHJP
F02C 3/22 20060101ALI20250908BHJP
F02C 3/24 20060101ALI20250908BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20250908BHJP
F02C 7/232 20060101ALI20250908BHJP
F02C 9/40 20060101ALI20250908BHJP
F23R 3/36 20060101ALI20250908BHJP
【FI】
F02C7/26 D
F02C3/22
F02C3/24
F02C7/22 A
F02C7/232 B
F02C9/40 A
F23R3/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021105586
(22)【出願日】2021-06-25
【審査請求日】2024-06-11
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ジーイー・ベルノバ・テクノロジー・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】GE Vernova Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・シー.・カステロー
(72)【発明者】
【氏名】デビット・オーガスト・スナイダー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ウィリアム・ピンソン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ウォルター・アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・グラント・クーパー
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0363910(US,A1)
【文献】特開平10-185109(JP,A)
【文献】特開2010-133339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00-9/58
F23R 3/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械燃焼器(22)内の液体燃料(58)を点火する方法(700、800)であって、
気体燃料供給源(228)から気体燃料ノズル(322)への気体燃料(28)の流れを開始するステップ(720、830)と、
液体燃料供給源(158)から液体燃料カートリッジ(358)への液体燃料(58)の流れを開始するステップ(730、840)
であって、前記液体燃料の流れを開始する前記ステップは、前記気体燃料の流れを開始する前記ステップと同時に、またはその後に行われる、前記ステップ(730、840)と、
前記気体燃料(28)の流れと前記液体燃料(58)の流れの両方を開始した後、点火器(370)で前記気体燃料(28)の流れおよび前記液体燃料(58)の流れを
同時に点火するステップ(740、850)と、
前記気体燃料供給源(228)から前記気体燃料ノズル(322)への前記気体燃料(28)の流れを終了させるステップ(760、870)と
を含む、方法(700、800)。
【請求項2】
前記液体燃料カートリッジ(358)は、前記ターボ機械燃焼器(22)の軸方向中心線(310)に沿って位置決めされ、前記気体燃料ノズル(322)は、前記液体燃料カートリッジ(358)を取り囲み、前記液体燃料カートリッジ(358)および前記気体燃料ノズル(322)は、前記ターボ機械燃焼器(22)のヘッド端部(320)に位置決めされる、請求項1に記載の方法(700、800)。
【請求項3】
ターボ機械燃焼器(22)内の液体燃料(58)を点火する方法(700、800)であって、
気体燃料供給源(228)から気体燃料ノズル(322)への気体燃料(28)の流れを開始するステップ(720、830)と、
液体燃料供給源(158)から液体燃料カートリッジ(358)への液体燃料(58)の流れを開始するステップ(730、840)と、
前記気体燃料(28)の流れと前記液体燃料(58)の流れの両方を開始した後、点火器(370)で前記気体燃料(28)の流れおよび前記液体燃料(58)の流れを点火するステップ(740、850)と、
前記気体燃料供給源(228)から前記気体燃料ノズル(322)への前記気体燃料(28)の流れを終了させるステップ(760、870)と
を含み、
前記気体燃料(28)の流れを開始する前記ステップ(720、830)と前記液体燃料(58)の流れを開始する前記ステップ(730、840)は、同時に実行される
、方法(700、800)。
【請求項4】
前記気体燃料供給源(228)は、主気体燃料供給(128)システム、補助気体燃料供給(228)システム、または前記主気体燃料供給(128)システムと前記補助気体燃料供給(228)システムの両方のうちの1つである、請求項1に記載の方法(700、800)。
【請求項5】
前記点火器(370)、前記気体燃料供給源(228)、および前記液体燃料供給源(158)と通信するコントローラ(400)を設けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法(700、800)。
【請求項6】
火炎検出器(412、414)を使用して
前記ターボ機械燃焼器(22)の燃焼チャンバ(350)内の火炎を検出するステップ(750、860)をさらに含み、前記火炎検出器(412、414)は、前記コントローラ(400)と通信
し、火炎の検出の信号(422、424)を前記コントローラ(400)に送信する、請求項5に記載の方法(700、800)。
【請求項7】
前記気体燃料(28)の流れを開始する前記ステップ(720、830)および前記液体燃料(58)の流れを開始する前記ステップ(730、840)は、前記火炎検出器(412、414)が前記燃焼チャンバ(350)内の火炎を検出する前に行われる、請求項6に記載の方法(700、800)。
【請求項8】
前記気体燃料供給源(228)から前記気体燃料(28)の流れを開始する前記ステップ(720、830)は、前記気体燃料供給源(228)から延びる気体燃料供給(228)ライン(170、270)に位置する気体燃料弁(135)を制御することによって達成される、請求項1に記載の方法(700、800)。
【請求項9】
前記気体燃料供給源(228)からの前記気体燃料(28)の流れを終了させる前記ステップ(760、870)は、前記気体燃料弁(135)を制御することによって達成される、請求項8に記載の方法(700、800)。
【請求項10】
前記液体燃料供給源(158)から前記液体燃料(58)の流れを開始する前記ステップ(730、840)は、前記液体燃料供給源(158)と前記液体燃料カートリッジ(358)との間に延びる液体燃料供給(158)ライン(160)に位置する液体燃料弁(165)を制御することによって達成される、請求項1に記載の方法(700、800)。
【請求項11】
液体燃料(58)でガスタービン(10)を始動する方法であって、前記ガスタービン(10)は、圧縮機(14)およびタービン(18)に結合されたロータシャフト(17)を備え、複数の燃焼器(22)は、前記タービン(18)と前記圧縮機(14)との間に配置され、
燃焼速度に向かって前記ロータシャフト(17)の回転を加速し、空気を前記ガスタービン(10)に強制的に通すステップ(810)と、
前記複数の燃焼器(22)の各燃焼器(22)内で、
気体燃料供給源(228)から気体燃料ノズル(322)への気体燃料(28)の流れを開始するステップ(720、830)と、
液体燃料供給源(158)から液体燃料カートリッジ(358)への液体燃料(58)の流れを開始するステップ(730、840)
であって、前記液体燃料の流れを開始する前記ステップは、前記気体燃料の流れを開始する前記ステップと同時に、またはその後に行われる、前記ステップ(730、840)と、
前記気体燃料(28)の流れと前記液体燃料(58)の流れの両方を開始した後、点火器(370)で前記気体燃料(28)の流れおよび前記液体燃料(58)の流れを
同時に点火するステップ(740、850)と、
前記気体燃料供給源(228)から前記気体燃料ノズル(322)への前記気体燃料(28)の流れを終了させるステップ(760、870)と
を含む、方法(700、800)。
【請求項12】
前記液体燃料カートリッジ(358)は、前記複数の燃焼器(22)の各燃焼器(22)の軸方向中心線(310)に沿って位置決めされ、前記気体燃料ノズル(322)は、前記液体燃料カートリッジ(358)を取り囲み、前記液体燃料カートリッジ(358)および前記それぞれの気体燃料ノズル(322)は、前記複数の燃焼器(22)の各燃焼器(22)のヘッド端部(320)に位置決めされる、請求項11に記載の方法(700、800)。
【請求項13】
液体燃料(58)でガスタービン(10)を始動する方法であって、前記ガスタービン(10)は、圧縮機(14)およびタービン(18)に結合されたロータシャフト(17)を備え、複数の燃焼器(22)は、前記タービン(18)と前記圧縮機(14)との間に配置され、
燃焼速度に向かって前記ロータシャフト(17)の回転を加速し、空気を前記ガスタービン(10)に強制的に通すステップ(810)と、
前記複数の燃焼器(22)の各燃焼器(22)内で、
気体燃料供給源(228)から気体燃料ノズル(322)への気体燃料(28)の流れを開始するステップ(720、830)と、
液体燃料供給源(158)から液体燃料カートリッジ(358)への液体燃料(58)の流れを開始するステップ(730、840)と、
前記気体燃料(28)の流れと前記液体燃料(58)の流れの両方を開始した後、点火器(370)で前記気体燃料(28)の流れおよび前記液体燃料(58)の流れを点火するステップ(740、850)と、
前記気体燃料供給源(228)から前記気体燃料ノズル(322)への前記気体燃料(28)の流れを終了させるステップ(760、870)と
を含み、
前記気体燃料(28)の流れを開始する前記ステップ(720、830)と前記液体燃料(58)の流れを開始する前記ステップ(730、840)は、同時に実行される
、方法(700、800)。
【請求項14】
前記気体燃料供給源(228)は、主気体燃料供給(128)システム、補助気体燃料供給(228)システム、または前記主気体燃料供給(128)システムと前記補助気体燃料供給(228)システムの両方のうちの1つである、請求項11に記載の方法(700、800)。
【請求項15】
前記点火器(370)、前記気体燃料供給源(228)、および前記液体燃料供給源(158)と通信するコントローラ(400)を設けるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法(700、800)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ターボ機械内の液体燃料を点火する方法に関する。特に、本開示は、ターボ機械の燃焼器内の液体燃料を点火する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、エネルギー伝達の目的で様々な産業および用途で利用されている。例えば、ガスタービンエンジンは、一般に、圧縮機セクションと、燃焼セクションと、タービンセクションと、排気セクションとを含む。圧縮機セクションは、ガスタービンエンジンに入る作動流体の圧力を徐々に上昇させ、この圧縮された作動流体を燃焼セクションに供給する。圧縮された作動流体および燃料(例えば、天然ガス)は、燃焼セクション内で混合され、燃焼チャンバ内で燃焼して高圧および高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、燃焼セクションからタービンセクションに流れ、そこで膨張して仕事を発生する。例えば、タービンセクションにおける燃焼ガスの膨張は、例えば、発電機に接続されたロータシャフトを回転させ、電気を発生することができる。次いで、燃焼ガスは、排気セクションを介してガスタービンから出る。
【0003】
燃焼セクションにおいて、燃料ノズルは、気体燃料のみで、液体燃料のみで、または同時に気体燃料および液体燃料で動作することができる。多くの場合、発電プラントは、液体燃料のみを使用して所与の時間動作する必要がある場合があり得る。これらの例では、プラントオペレータは、気体燃料動作から液体燃料動作への移行が便利であることを見出した。しかし、一次気体燃料供給源が利用不可能な場合が生じる。これらの場合において、移送を達成するために、一次気体燃料供給源に頼ることなく始動時に液体燃料を点火することが課題であった。
【0004】
始動時の液体燃料の点火に関する1つの課題は、点火可能な液体噴霧の領域に対する点火器の近接性を確保することにある。点火器が点火可能な液体噴霧に十分に接近していない場合、点火は起こり得ない。いくつかの従来の点火システムは、火炎ゾーン内に位置決めされ、次いで点火された燃焼ガスの圧力のために引き込まれる火花点火器に依存している。このような火花点火器は、特に引き込み機構が適切に機能しない場合、高温燃焼ガスに近接しているために加速摩耗を受ける可能性がある。
【0005】
液体燃料の点火に関する課題は、火炎を燃焼器のアレイ間で伝播するために火炎伝播管を使用する燃焼システムで発生する。これらのシステムでは、可燃性液体が燃焼器の幅に及ばない(したがって、火炎伝播管の範囲に入る)場合、燃焼器の適切な火炎伝播が生じない。この問題は、液体燃料が中央に位置する液体燃料カートリッジから送達される場合に悪化する可能性がある。
【0006】
液体燃料の点火に関する別の課題は、液体燃料カートリッジから出る交差しない液体燃料ジェットを有する燃焼システムで発生する。そのようなシステムでは、液体燃料のみで動作しているとき、交差しない燃料ジェットの各々を点火することは困難または不可能であり得る。
【0007】
燃焼システム内の液体燃料を点火するための既存の方法は、予め確立された火炎の存在に依存することが多い。例えば、典型的には液体燃料は、最初に1つまたは複数の燃料ノズルを通して気体燃料を流して点火し、続いて1つまたは複数の液体燃料カートリッジを通して液体燃料を流すことによって点火される。燃料ノズルから出る気体燃料からの既存の火炎は、液体燃料カートリッジから出る液体燃料に伝播して点火する。しかし、燃焼システム内の液体燃料を点火するためのこの方法には問題が存在する。
【0008】
例えば、燃焼システム内で気体燃料を燃焼させることが液体燃料よりも優先されることが多いため、ターボ機械は、一般に、気体燃料の供給が少なくなり始めるか、または利用不可能になった場合にのみ液体燃料の燃焼に移行する。したがって、ターボ機械が複数の始動を実行することができ、液体燃料のみでの運転に移行することができることを確実にするために、気体燃料の残りが効率的に管理されることが重要である。したがって、予め確立された気体火炎に依存する方法は、発生し得る始動回数に悪影響を及ぼす比較的大量の気体燃料を必要とする。
【0009】
したがって、予め確立されたガス燃焼火炎の存在を必要としない、液体燃料を点火するための改善された方法が当技術分野では望まれている。特に、有利には、始動時に使用される気体燃料の量を最小にする、燃焼システム内の液体燃料を点火するための改善された方法が当技術分野では望まれている。
【発明の概要】
【0010】
本開示による方法の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載されており、または説明から明らかとなり、または本技術の実践を通して学ぶことができる。
【0011】
一実施形態によれば、ターボ機械燃焼器内の液体燃料を点火する方法が提供される。方法は、気体燃料供給源から気体燃料ノズルへの気体燃料の流れを開始するステップを含む。方法は、液体燃料供給源から一次液体燃料カートリッジへの液体燃料の流れを開始するステップをさらに含む。気体燃料の流れと液体燃料の流れの両方を開始した後、方法は、点火器で気体燃料の流れおよび液体燃料の流れを点火するステップを含む。方法は、気体燃料供給源から気体燃料ノズルへの気体燃料の流れを終了させるステップをさらに含む。
【0012】
別の実施形態によれば、液体燃料でガスタービンを始動するための方法が提供される。ガスタービンは、圧縮機およびタービンに取り付けられたロータシャフトを含む。ガスタービンは、タービンと圧縮機との間に配置された複数の燃焼器をさらに含む。方法は、燃焼速度に向かってロータシャフトの回転を加速し、空気をガスタービンに強制的に通すステップをさらに含む。方法は、気体燃料供給源から気体燃料ノズルへの気体燃料の流れを開始するステップを含む。方法は、液体燃料供給源から一次液体燃料カートリッジへの液体燃料の流れを開始するステップをさらに含む。気体燃料の流れと液体燃料の流れの両方を開始した後、方法は、点火器で気体燃料の流れおよび液体燃料の流れを点火するステップを含む。方法は、気体燃料供給源から気体燃料ノズルへの気体燃料の流れを終了させるステップをさらに含む。
【0013】
本方法のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されよう。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであるが、本技術の実施形態を例示し、明細書における説明と併せて本技術の原理を説明するのに役立つ。
【0014】
当業者へと向けられた本システムおよび方法の作製および使用の最良の態様を含む、本方法の完全かつ実施可能な開示が、添付の図を参照する本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施形態による、ターボ機械の概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、燃焼器および液体燃料点火システムの概略断面図である。
【
図3】本開示の実施形態による、液体燃料カートリッジの側面図である。
【
図4】本開示の実施形態による、液体燃料カートリッジのカートリッジ先端の上面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、第1の例示的な燃焼器ヘッド端部の平面図(後方から前方を見た図)である。
【
図6】本開示の実施形態による、第2の例示的な燃焼器ヘッド端部の平面図(後方から前方を見た図)である。
【
図7】本開示の実施形態による、ターボ機械燃焼器内の液体燃料を点火する方法のフローチャートである。
【
図8】本開示の実施形態による、液体燃料でガスタービンを始動する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本方法の実施形態を詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が図面に示されている。各例は、本技術の説明のために提供するものであって、本技術を限定するものではない。実際、特許請求される技術の範囲または趣旨を逸脱せずに、修正および変更が本技術において可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示または記載された特徴は、またさらなる実施形態をもたらすために、別の実施形態において使用することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるそのような修正および変更を包含することを意図している。
【0017】
詳細な説明は、図面の特徴を参照するために、数字および文字の符号を使用する。図面および説明における類似または同様の符号は、本発明の類似または同様の部分を指して使用されている。本明細書で使用する場合、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図するものではない。
【0018】
本明細書で使用する場合、「上流」(または「前方」)、および「下流」(または「後方」)という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向を指す。例えば、「上流」は、流体が流れてくる方向を指し、「下流」は、流体が流れていく方向を指す。「半径方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に垂直な相対的な方向を指し、「軸方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に平行であり、かつ/または同軸に整列する相対的な方向を指し、「円周方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線の周りを延びる相対的な方向を指す。
【0019】
「概して」、または「約」などの近似の用語は、記載された値のプラスマイナス10パーセントの範囲内の値を含む。角度または方向の文脈で使用されるとき、そのような用語は、記載された角度または方向のプラスマイナス10度の範囲を含む。例えば、「概して垂直」は、任意の方向、例えば、時計回りまたは反時計回りの垂直から10度の範囲内の方向を含む。
【0020】
ここで図面を参照すると、
図1は、ターボ機械の一実施形態の概略図を示しており、これは、図示の実施形態ではガスタービン10である。産業用または陸上用のガスタービンが本明細書に示されて説明されているが、本開示は、特許請求の範囲に特に明記されない限り、産業用および/または陸上用ガスタービンに限定されない。例えば、本明細書に記載の方法は、限定はしないが、蒸気タービン、航空機用ガスタービン、または船舶用ガスタービンを含む任意のタイプのターボ機械に使用することが可能である。
【0021】
図示のように、ガスタービン10は、発電に使用されるヘビーデューティガスタービンである。ガスタービン10は、一般に、一連のフィルタ、冷却コイル、水分分離器、および/またはガスタービン10に入る作動流体(例えば、空気)24を洗浄および他の方法で調整するための他の装置を含むことができる入口セクション12を含む。作動流体24は、圧縮機セクションに流れ、そこで圧縮機14が運動エネルギーを作動流体24に徐々に与えて圧縮された作動流体26を発生する。
【0022】
圧縮された作動流体26は、気体燃料28または液体燃料混合物58と混合され、燃焼セクションまたは燃焼システム16の1つまたは複数の燃焼器22内に可燃混合物を形成する。気体燃料28は、主気体燃料供給ライン170を介して、主気体燃料供給システム128(気体燃料パイプラインなど)から、または補助気体燃料供給ライン270を介して、補助気体燃料供給源228(貯蔵タンクなど)から生じ得る。様々な実施形態において、気体燃料供給弁135が、気体燃料28が単一の供給源(主気体燃料供給システム128または補助気体燃料供給システム228のいずれか)から送達されるように、主気体燃料供給ライン170および補助気体燃料供給ライン270と流体連通して位置決めされてもよい。液体燃料混合物58は、液体燃料38および水40が混合される液体燃料供給システム158(混合タンクなど)から生じ、液体燃料供給ライン160を介して燃焼器22に送達される。液体燃料供給弁165が、液体燃料58の送達を制御する。
【0023】
気体および/または液体燃料を含み得る可燃混合物は、燃焼されて高温、高圧、および高速の燃焼ガス30を発生する。燃焼ガス30は、タービンセクションのタービン18を通って流れ、仕事を発生する。例えば、タービン18の回転によって圧縮機14を駆動して圧縮された作動流体26を発生するために、タービン18をシャフト17に接続することができる。あるいは、またはそれに加えて、シャフト17は、タービン18を、電気を発生するための発電機20に接続することができる。
【0024】
タービン18からの排気ガス32は、タービン18をタービンの下流の排気スタックに接続する排気セクション(図示せず)を通って流れる。排気セクションは、例えば、環境に放出される前に排気ガス32から追加の熱を浄化および抽出するための排熱回収ボイラ(図示せず)を含んでもよい。
【0025】
燃焼器22は、当技術分野で公知の任意のタイプの燃焼器であってもよく、本方法は、特許請求の範囲に具体的に記載されない限り、任意の特定の燃焼器設計に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、燃焼器22は、缶型または缶環状型の燃焼セクションを構成することができ、各燃焼器22は、燃焼ガス30の一部を発生する独自の個々の燃焼チャンバを有することができる。他の実施形態では、燃焼器22は、燃焼がバーナ(燃料ノズル)の円周方向アレイによって供給される共通の環状部で行われる環状型燃焼セクションであってもよい。
【0026】
図2は、ヘビーデューティガスタービン10用の缶環状燃焼システム16に含まれ得る燃焼器22の概略図である。缶環状燃焼システム16では、複数の燃焼器22(例えば、8、10、12、14、16、またはそれ以上)が、圧縮機14をタービン18に接続するシャフト17を中心に環状アレイで位置決めされる。複数の燃焼器の各燃焼器22は、燃焼ガス30が各缶環状燃焼器22からタービンセクション18に向かって流れることができるように、独自の局所燃焼チャンバを有する。
【0027】
図2に示すように、燃焼器22は、燃焼ガス30を収容してタービンに搬送するライナ312を含む。ライナ312は、燃焼が起こる燃焼チャンバを画定することができる。ライナ312は、多くの従来の燃焼システムのように、円筒状のライナ部分と、円筒状のライナ部分から分離されたテーパ状の移行部分とを有することができる。あるいは、ライナ312は、円筒状の部分およびテーパ状の部分が互いに一体化された、一体型本体(または「ユニボディ」)構成を有してもよい。したがって、本明細書のライナ312の説明は、別個のライナおよびトランジションピースを有する従来の燃焼システムと、ユニボディライナを有する燃焼システムの両方を包含することが意図されている。さらに、本開示は、トランジションピースおよびタービンの第1段ノズルが、「移行ノズル」または「一体化出口ピース」と呼ばれることもある、単一のユニットに一体化された燃焼システムにも同様に適用可能である。
【0028】
ライナ312は、外側スリーブ314によって取り囲まれ、外側スリーブ314は、ライナ312の半径方向外側に間隔を置いて配置され、ライナ312と外側スリーブ314との間に環状部332を画定する。外側スリーブ314は、多くの従来の燃焼システムのように、前方端部に流れスリーブ部分を、後方端部に衝突スリーブ部分を含むことができる。あるいは、外側スリーブ314は、流れスリーブ部分および衝突スリーブ部分が軸方向に互いに一体化された、一体型本体(または「ユニスリーブ」)構成を有してもよい。前述のように、本明細書の外側スリーブ314の説明は、別個の流れスリーブおよび衝突スリーブを有する従来の燃焼システムと、ユニスリーブの外側スリーブを有する燃焼システムの両方を包含することが意図されている。
【0029】
燃焼器22のヘッド端部部分320は、1つまたは複数の燃料ノズル322を含む。燃料ノズル322は、上流(または入口)端部に燃料入口324を有する。燃料入口324は、燃焼器22の前方端部にエンドカバー326を通して形成されてもよい。燃料ノズル322の下流(または出口)端部は、燃焼器キャップ328(
図4にも示す)の中におよび/もしくは中を通って延びるか、またはキャップ(図
6に示す)として機能する後方プレート368を含む。
【0030】
多くの実施形態では、燃焼器22のヘッド端部部分320は、前方ケーシングによって少なくとも部分的に取り囲まれ得、前方ケーシングは、圧縮機吐出ケースに物理的に結合され、流体接続される。様々な実施形態において、圧縮機吐出ケースは、圧縮機14の出口に流体接続され、燃焼器22の少なくとも一部を取り囲む加圧空気プレナムを画定することができる。圧縮空気26は、外側スリーブ314に画定された開口部を介して、圧縮機吐出ケースから燃焼器22の後方端部の環状部332に流れることができる。環状部332はヘッド端部部分320に流体結合されるので、空気流26は、燃焼器22の後方端部からヘッド端部部分320へと上流に移動し、そこで空気流26が方向転換して燃料ノズル322に入る。例えば、空気26は、ライナ312内の燃焼ガス30の反対方向に環状部332を通って移動することができる。
【0031】
燃料28および圧縮空気26は、燃料ノズル322によってライナ312の前方端部の燃焼チャンバ350に導入され、そこで燃料28および空気26は点火器370を介して点火され、燃焼されて燃焼ガス30を形成する。点火器370は、燃焼器22のヘッド端部320に近接して位置決めされる。あるいは、点火器は、(例えば、燃料ノズル322の一方の上流のエンドカバー326を通して)燃焼器22のヘッド端部320内に位置決めされたトーチ型点火器380であってもよい。一方の燃焼器22からの燃焼ガス30は、隣接する燃焼器22のライナ312の間の火炎伝播管(図示せず)を通って移動し、燃焼器22のアレイの周りに火炎を伝播させる。
【0032】
一実施形態では、燃料28および空気26は、燃料ノズル322内で(例えば、予混合燃料ノズル内で)混合される。他の実施形態では、燃料28および空気26は、燃焼チャンバ350に別々に導入され、燃焼チャンバ350内で(例えば、拡散ノズルで発生し得るように)混合されてもよい。本明細書における「燃料/空気混合物」への言及は、いずれも燃料ノズル322によって発生することができる予混合された燃料/空気混合物と拡散タイプの燃料/空気混合物の両方を説明するものとして解釈されるべきである。
【0033】
液体燃料動作の場合、液体燃料混合物58が、液体燃料供給ライン160を介して液体燃料カートリッジ358に送達される。例示的な実施形態では、液体燃料カートリッジ358は、燃焼器22の軸方向中心線310に沿って設置され、燃料ノズル322のうちの1つの中に同軸に配置される。多くの実施形態では、液体燃料カートリッジ358は、燃焼器22と燃料ノズル322の両方と同軸に延びてもよい。
【0034】
気体燃料28および/または液体燃料58を圧縮空気26で燃焼させることによって発生された燃焼ガス30は、燃焼器22の後方フレーム318に向かって下流に移動し、後方フレーム318は、燃焼器22の後方端部を表す。多くの実施形態では、後方フレーム318は、燃焼ガス30が後方フレーム318で燃焼器セクション16から出てタービン18に入ることができるように、タービン18に接続することができる。
【0035】
制御システム、またはコントローラ400を使用して、燃焼器22に提供される燃料28、58を制御することができる。制御システム400は、信号435を介して、主気体燃料供給ライン170および補助気体燃料供給ライン270に沿って配置された気体燃料供給弁135と通信することができ、それにより気体燃料28は、これらの供給ライン170または270の一方または両方から弁135を通って、気体燃料供給ライン70に導かれる。制御システム400はまた、信号465を介して、液体燃料供給ライン160に沿って配置された液体燃料供給弁165と通信する。いくつかの実施形態では、制御システム400は、燃焼器22の始動中に開始信号470を点火器370に送信する。他の実施形態では、制御システム400は、燃焼システムの始動中に開始信号480をトーチ型点火器380に送信する。
【0036】
火炎検出器412または414(センサを表すために
図2では「S」とラベル付けされている)を使用して、燃焼チャンバ350内の火炎を検出することができる。火炎検出器412は、エンドカバー326内にまたはそれを通して配置され、燃料ノズル322の上流端部を通して見て、燃焼チャンバ350内の火炎を検出するように位置決めされる。火炎検出器414は、ライナ312の内面に沿って配置され、燃焼器22の下流端部からヘッド端部320へと上流に向かって見て(すなわち、後方から前方を見て)、燃焼チャンバ350内の火炎を検出するように位置決めされてもよい。火炎検出器412または414は、火炎の検出が信号422、424としてコントローラ400に送信されるように、コントローラ400と通信する。火炎検出器412、414は、限定はしないが、光学検出器、分光計、カメラ、紫外線火炎検出器、赤外線火炎検出器、熱検出器、圧力センサ、またはそれらの組み合わせを含む、当技術分野で公知の任意のタイプの火炎検出器であってもよい。
【0037】
図3は、
図2の燃焼器22と共に使用することができる液体燃料カートリッジ358を示している。液体燃料カートリッジ358は、円筒状本体360と、液体燃料カートリッジ先端362と、液体燃料供給ライン160から液体燃料混合物58を受け入れる入口364を画定する取り付けフランジ366とを含む。図示のように、多くの実施形態では、カートリッジ先端は、円筒状本体360に直接結合する基部361を含むことができ、基部361は、軸方向Aに関してカートリッジ先端362の軸方向最内部分である。
図3に示すように、カートリッジ先端362は、基部361から下流面363まで半径方向内側に分岐することができ、カートリッジ先端362は、概して円錐形の形状を有する。カートリッジ先端362の円錐形状は、カートリッジ先端362に沿った燃料渦またはホットスポットの可能性を最小にする空気力学的輪郭を提供するように、例えば、円筒形状よりも有利であり得る。様々な実施形態において、
図2に最もよく示すように、カートリッジ先端362は、燃焼チャンバ350内に完全に配置され、燃焼器キャップ328の下流に位置決めされた下流面363で終端することができる。
図3に示すように、カートリッジ先端362は、カートリッジ先端362上に互いに円周方向に間隔を置いて配置された液体燃料噴射孔364の列を画定することができる。
【0038】
図4は、わずかに下流から上流に向かって見たカートリッジ先端362を示している。
図3および
図4に示すように、液体燃料噴射孔364は、燃料ノズル322からの燃料/空気混合物の送達に対して斜めおよび/または垂直な方向に液体燃料混合物58を送達することができる。
図4に示すように、液体燃料噴射孔364は、カートリッジ先端362から出る液体燃料混合物58の流れが互いに重ならないように、円周方向にオフセットしたグループにクラスタ化されてもよい。したがって、液体燃料混合物の1つの流れからの火炎は、一般に、気体燃料の存在なしに液体燃料の別の流れに伝播しない。いくつかの実施形態では、下流面363は、燃料ノズル322からの燃料/空気混合物の送達に平行な方向に、すなわち、軸方向Aに平行に液体燃料混合物58を送達する1つまたは複数の液体燃料噴射孔365を貫通して画定することができる。
【0039】
図5は、
図3および
図4の液体燃料カートリッジ358が設置される、燃焼器ヘッド端部320aの第1の実施形態の平面図である。図示のように、液体燃料カートリッジ358は、旋回燃料ノズル、スウォズル、または他の適切な燃料ノズルなどの中央燃料ノズル322a内に設置された一次液体燃料カートリッジ357であってもよい。中央燃料ノズル322aは、旋回燃料ノズル、スウォズル、または他の適切な燃料ノズルであってもよい複数の外側燃料ノズル322bによって取り囲まれる。図示のように、液体燃料カートリッジ358と同様の構成を有することができる1つまたは複数の二次液体燃料カートリッジ359は、外側燃料ノズル322bの1つまたは複数の中に配置することができる。
【0040】
各燃料ノズル322a、322bは、通過して流れる空気に旋回方向を与える旋回ベーン323を含むことができる。いくつかの実施形態では、外側燃料ノズル322bの旋回ベーン323は、中央ハブ321の周りに配置される。他の実施形態では、図示のように、旋回ベーン323は、二次液体燃料カートリッジ359の周りに配置することができる。例示的な実施形態では、外側燃料ノズル322bの各々は、中央ハブ321を含むことができ、それにより唯一の液体燃料カートリッジ358は、中央燃料ノズル322a内に配置された一次液体燃料カートリッジ357である。中央燃料ノズル322aにおける旋回ベーン323は、一次液体燃料カートリッジ357の周りに配置することができる。6つの外側燃料ノズル322bが示されているが、他の数の燃料ノズル322b(例えば、4、5、または8つの燃料ノズル322b)が用いられてもよいことを理解されたい。燃料ノズル322a、322bは、燃焼器キャップ328における対応する開口部(別々にラベル付けされていない)内に設置される。
【0041】
図6は、
図3および
図4の液体燃料カートリッジ358が設置される、燃焼器ヘッド端部320bの第2の実施形態の平面図である。図示のように、液体燃料カートリッジ358は、束管燃料ノズルなどの中央燃料ノズル322c内に設置された一次液体燃料カートリッジ357であってもよい。中央燃料ノズル322cは、複数の燃料ノズル322dによって取り囲まれ、燃料ノズル322dもまた、束管燃料ノズルであってもよい。図示のように、液体燃料カートリッジ358と同様の構成を有することができる1つまたは複数の二次液体燃料カートリッジ359は、燃料ノズル322dの1つまたは複数の中に配置することができる。各束管燃料ノズル322c、322dは、燃料および空気が混合される複数の個々の予混合管522を含む。予混合管522は、各束管燃料ノズル322c、322dに固有であってもよく、またはすべての束管燃料ノズル322c、322dにわたって延びてもよい後方プレート368を通って延びる。
【0042】
束管燃料ノズル322c、322dは、各燃料ノズル322c、322dに固有の上流燃料プレナムを含むことができ、各予混合管522は、燃料プレナムと流体連通する1つまたは複数の燃料噴射ポートを含むことができる。各予混合管522の入口端部を通って流れる空気は、燃料噴射ポートを通って流れる燃料と混合し、燃料と空気の混合物は、各管522の出口端部を通って搬送される。
【0043】
あるいは、各予混合管522は、燃料ランスが設置される入口端部を含んでもよい。複数の空気入口孔が燃料ランスの下流に配置され、それにより空気入口孔を通って流れる空気が燃料ランスからの燃料と混合される。燃料と空気の混合物は、各管522の出口端部を通って搬送される。
【0044】
束管燃料ノズル322dは、2つの半径方向に延びる側面および2つの対向して配置された弓形側面を含む扇形形状を有するものとして示されているが、束管燃料ノズル322dは、中央束管燃料ノズル322cに対して任意の形状またはサイズを有することができることを理解されたい。
【0045】
図7は、本開示の一実施形態による、ガスタービン燃焼器内の液体燃料を点火する方法700を定義するステップ710~760の連続したセットのフローチャートである。フローチャートは、
図2の燃焼器22の燃料ノズル322および液体燃料カートリッジ358からのそれぞれの流れを示すための概略図を含む。
【0046】
点線のボックスによって
図7に示されるように、方法700は、任意選択のステップ710を含むことができる。任意選択のステップ710は、火炎検出器412、414などの1つまたは複数の火炎検出器を用いて、燃焼チャンバ350内に活性火炎が存在しないことを検出することを含むことができる。本明細書で説明するように、火炎検出器412、414は、燃焼チャンバ350内の火炎の存在を感知し、信号422、424を介して感知データをコントローラ400に通信するように動作可能である。
【0047】
ステップ720は、気体燃料供給源から気体燃料ノズル322への気体燃料28の流れを開始することを含む。ステップ730は、液体燃料供給源から一次液体燃料カートリッジ357への液体燃料58の流れを開始することを含む。
図2に示すように、気体燃料供給源は、主気体燃料供給源128、補助気体燃料供給源228、またはその両方であってもよい。同様に、液体燃料供給源は、液体燃料供給システム158であってもよい。ステップ720および730は、燃焼器内での点火の前に両方の弁135、165を開き、気体燃料および液体燃料を燃焼ゾーン350に提供するために、気体燃料供給弁135への信号435および液体燃料供給弁165への信号465を送信することによって実行することができる。
【0048】
例示的な実施形態では、方法700は、有利には、液体燃料58の流れが開始される前に気体燃料28の点火を必要とせず、気体燃料28のより効率的な使用を可能にする。このようにして、液体燃料58でガスタービン10を動作させるときの始動回数を最大にするために、気体燃料28を効率的に利用することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ステップ720および730は、同時に実行されてもよい。そのような実施形態では、燃焼器22内に気体燃料28および液体燃料58を同時に提供するために、気体燃料供給弁135を開くための信号435および液体燃料供給弁165を開くための信号465を同時に送ることができる。
図2に示すように、気体燃料供給弁135を開くことにより、気体燃料が主気体燃料供給源128、補助燃料供給源228、またはその両方から燃料供給ライン70を介して気体燃料ノズル322に流れることを可能にすることができる。同様に、液体燃料供給弁165を開くことにより、液体燃料が液体燃料供給システム158から液体燃料供給ライン160を介して液体燃料カートリッジ358に流れることを可能にすることができる。その結果、概略
図735に示すように、燃焼器22内での点火の前に、気体燃料/空気混合物が気体燃料ノズル322から燃焼ゾーン350に送達され、液体燃料58が一次液体燃料カートリッジ357から燃焼ゾーン350に送達される。
【0050】
ステップ740において、ステップ720とステップ730の両方が実行された後、コントローラ400は、信号470および/または480を点火器370および/またはトーチ点火器380に送信することによって、点火器370またはトーチ点火器380などの点火器を開始する。ステップ720および730を740の前に実行することにより、有利には、気体燃料28および液体燃料58の同時点火が可能になり、気体燃料の節約が可能になる。
【0051】
多くの実施形態では、気体燃料28および液体燃料58は、気体燃料ノズル322および液体燃料カートリッジ358の下流に位置決めされた点火器370を介して点火することができる。点火器370は、燃焼チャンバ350内の気体燃料/空気混合物を点火する火花を生成することができる。
【0052】
例示的な実施形態では、気体燃料28および液体燃料58は、(例えば、燃料ノズル322の一方の上流のエンドカバー326を通して)燃焼器22のヘッド端部320内に位置決めされたトーチ点火器380を介して点火することができる。気体燃料/空気混合物によって生成された火炎は、気体燃料点火の瞬間に燃焼器22内に液体燃料58が存在するため、一次液体燃料カートリッジ358から出る液体燃料58に直ちに伝播する。
【0053】
方法700はまた、1つまたは複数の火炎検出器412、414を用いて、燃焼ゾーン350内の気体燃料ノズル322と液体燃料カートリッジ358の両方から発する火炎の存在を検出する任意選択のステップ750を含むことができる。コントローラ400は、燃焼が燃焼チャンバ内で起こり、火炎が気体燃料ノズル322および液体燃料カートリッジ358から発していることを示す、火炎検出器412、414の一方または両方からの信号422、424を受信することができる。このステップは、液体燃料カートリッジ358から出る液体燃料58が点火したことを確認するために実行されてもよい。
【0054】
ステップ760において、コントローラ400は、第2の信号435を気体燃料供給弁135のみに送信することによって、気体燃料ノズル322への気体燃料供給を終了させることができる。気体燃料供給弁135は、気体燃料供給ライン170および/または270と気体燃料供給ライン70との間の通路を閉じる。気体燃料供給ライン170から気体燃料供給ライン70へ、および気体燃料供給ライン270から気体燃料供給ライン70への通路は閉じたままであり、それにより気体燃料28が気体燃料供給ライン70を通って気体燃料ノズル322に移動することは許可されない。その結果、概略
図765に示すように、液体燃料混合物58のみが液体燃料カートリッジ358から送達され、気体燃料ノズル322は、燃料を供給されない(すなわち、空気のみを送達することができる)。コントローラ400は、ステップ750が含まれる場合、時系列に基づいて、または信号422もしくは424の受信に基づいて、ステップ760を開始することができる。
【0055】
図8は、本開示の別の態様による、液体燃料でガスタービンを始動する方法800を定義するステップ810~870の連続したセットのフローチャートである。上記で詳細に説明したように、ガスタービン10は、圧縮機14およびタービン18に結合されたロータシャフト17を含むことができ、複数の燃焼器22は、タービン18と圧縮機14との間に配置することができる。
図8に示すように、フローチャートは、
図2の燃焼器22の燃料ノズル322および液体燃料カートリッジ358からのそれぞれの流れを示すための概略図を含む。
【0056】
方法800は、燃焼速度に向かってロータシャフト17の回転を加速し、空気をガスタービン10に強制的に通すステップ810を含むことができる。空気をガスタービン10に強制的に通すステップは、燃焼が起こる前に空気が燃焼チャンバ内に存在するように、燃焼器22を通して、例えば、1つまたは複数の気体燃料ノズル322を通して空気を流すことを含む。ロータシャフトが燃焼速度に達すると、燃料は、気体燃料ノズル322および/または液体燃料カートリッジ358に送られ始めることができる。
【0057】
点線のボックスによって
図8に示されるように、方法800は、任意選択のステップ820を含むことができる。任意選択のステップ820は、火炎検出器412、414などの1つまたは複数の火炎検出器を用いて、燃焼チャンバ350内に活性火炎が存在しないことを検出することを含むことができる。本明細書で説明するように、火炎検出器412、414は、燃焼チャンバ350内の火炎の存在を感知し、信号422、424を介して感知データをコントローラ400と通信するように動作可能である。
【0058】
ステップ830は、気体燃料供給源から気体燃料ノズル322への気体燃料の流れを開始することを含む。ステップ840は、液体燃料供給源から一次液体燃料カートリッジ357への液体燃料の流れを開始することを含む。
図2に示すように、気体燃料供給源は、主気体燃料供給源128、補助気体燃料供給源228、またはその両方であってもよい。同様に、液体燃料供給源は、液体燃料供給システム158であってもよい。ステップ830および840は、燃焼器22内での点火の前に両方の弁135、165を開き、気体燃料28および液体燃料58を燃焼ゾーン350に提供するために、気体燃料供給弁135への信号435および液体燃料供給弁165への信号465を送信することによって実行することができる。
【0059】
例示的な実施形態では、方法800は、有利には、液体燃料58の流れが開始される前に気体燃料28の点火を必要とせず、気体燃料28のより効率的な使用を可能にする。このようにして、液体燃料58でガスタービン10を動作させるときの始動回数を最大にするために、気体燃料28を効率的に利用することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、ステップ830および840は、同時に実行されてもよい。そのような実施形態では、燃焼器22内に気体燃料28および液体燃料58を同時に提供するために、気体燃料供給弁135を開くための信号435および液体燃料供給弁165を開くための信号465を同時に送ることができる。
図2に示すように、気体燃料供給弁135を開くことにより、気体燃料が主気体燃料供給源128、補助燃料供給源228、またはその両方から燃料供給ライン70を介して気体燃料ノズル322に流れることを可能にすることができる。同様に、液体燃料供給弁165を開くことにより、液体燃料が液体燃料供給システム158から液体燃料供給ライン160を介して液体燃料カートリッジ358に流れることを可能にすることができる。その結果、概略
図845に示すように、燃焼器22内での点火の前に、気体燃料/空気混合物が気体燃料ノズル322から燃焼ゾーン350に送達され、液体燃料58が一次液体燃料カートリッジ357から燃焼ゾーン350に送達される。
【0061】
ステップ850において、コントローラ400は、信号470および/または480を点火器370および/またはトーチ点火器380に送信することによって、点火器370またはトーチ点火器380などの点火器を開始する。多くの実施形態では、気体燃料28および液体燃料58は、気体燃料ノズル322および液体燃料カートリッジ358の下流に位置決めされた点火器370を介して点火することができる。点火器370は、燃焼チャンバ350内の気体燃料/空気混合物を点火する火花を生成することができる。
【0062】
例示的な実施形態では、気体燃料28および液体燃料58は、(例えば、燃料ノズル322の一方の上流のエンドカバー326を通して)燃焼器22のヘッド端部320内に位置決めされたトーチ点火器380を介して点火することができる。気体燃料/空気混合物によって生成された火炎は、気体燃料点火の瞬間に燃焼器22内に液体燃料58が存在するため、一次液体燃料カートリッジ357から出る液体燃料58に直ちに伝播する。
【0063】
方法800はまた、1つまたは複数の火炎検出器412、414を用いて、燃焼ゾーン350内の気体燃料ノズル322と液体燃料カートリッジ358の両方から発する火炎の存在を検出する任意選択のステップ860を含むことができる。コントローラ400は、燃焼が燃焼チャンバ350内で起こり、火炎が気体燃料ノズル322および液体燃料カートリッジ358から発していることを示す、火炎検出器412、414の一方または両方からの信号422、424を受信することができる。このステップは、液体燃料カートリッジ358から出る液体燃料58が点火したことを確認するために実行されてもよい。
【0064】
ステップ870において、コントローラ400は、第2の信号435を気体燃料供給弁135のみに送信することによって、気体燃料ノズル322への気体燃料供給を終了させることができる。気体燃料供給弁135は、気体燃料供給ライン170および/または270と気体燃料供給ライン70との間の通路を閉じる。気体燃料供給ライン170から気体燃料供給ライン70へ、および気体燃料供給ライン270から気体燃料供給ライン70への通路は閉じたままであり、それにより気体燃料28が気体燃料供給ライン70を通って気体燃料ノズル322に移動することは許可されない。その結果、概略
図875に示すように、液体燃料混合物のみが液体燃料カートリッジ358から送達され、気体燃料ノズル322は、燃料を供給されない(すなわち、空気のみを送達することができる)。コントローラ400は、ステップ860が含まれる場合、時系列に基づいて、または信号422もしくは424の受信に基づいて、ステップ870を開始することができる。
【0065】
多くの実施形態では、方法700および800は、本明細書に記載の補助燃料供給システム228などの補助燃料供給源のみにアクセスして実行することができる。そのような実施形態では、主気体燃料供給システム128は、利用不可能な場合がある。したがって、ガスタービンが複数の始動を実行し、液体燃料で動作することができることを確実にするために、補助燃料供給システム228からの気体燃料が効率的に管理されることが非常に重要である。
【0066】
したがって、数十秒(例えば、1分未満)以内に、燃焼器22を首尾よく始動させ、液体燃料で動作させることができる。本明細書に記載の方法700、800は、有利には、燃焼器22内の予め確立された火炎なしにガスタービン10を始動することを可能にし、これは有利には、始動時に必要とされる気体燃料の量を最小にし、それによって最大始動回数にわたって補助燃料供給システム228内で利用可能な燃料供給源を効率的に管理する。特に、本明細書に記載の方法700、800は、予め確立された火炎を必要とする方法、すなわち、「燃料移送方法」よりも有利であり得、これは、方法700、800が前記燃料移送方法よりもはるかに少ない気体燃料を必要とするためである。例えば、燃料移送方法では、液体燃料が導入される前に気体燃料が燃焼器内で点火され、これには、補助燃料供給源からの気体燃料の大部分が必要である。本方法を使用して、単一の気体燃料タンク228から複数の始動を達成することができ、それによってより大きな動作柔軟性をプラントオペレータに提供する。
【0067】
本明細書に記載の方法およびシステムは、ガスタービン燃焼器における液体燃料の点火を容易にする。より具体的には、方法およびシステムは、一次気体燃料供給源にアクセスすることなく液体燃料の点火を容易にする。したがって、方法およびシステムは、ガスタービンアセンブリ内の燃焼器などの燃焼器の全体的な動作柔軟性の改善を容易にする。これは、ガスタービンアセンブリ内の燃焼器などの燃焼器を動作させることに関連するコストを低減し、かつ/または燃焼器の動作時間(および出力)を増加させることができる。
【0068】
以上、液体燃料点火方法の例示的な実施形態について詳細に説明した。本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、方法の構成要素は、本明細書に記載の他の構成要素から独立してかつ別々に利用することが可能である。例えば、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載のタービンアセンブリにおける実践に限定されない他の用途を有することができる。むしろ、本明細書に記載の方法およびシステムは、様々な他の産業に関連して実施および利用することが可能である。
【0069】
本明細書は、最良の態様を含む本発明を開示するため、およびどのような当業者も、任意の装置またはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明の実践を可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を含む場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0070】
10 ガスタービン
12 入口セクション
14 圧縮機
16 燃焼セクション、缶環状燃焼システム、燃焼器セクション
17 ロータシャフト
18 タービンセクション
20 発電機
22 燃焼器、缶環状燃焼器、ターボ機械燃焼器
24 作動流体
26 圧縮された作動流体、圧縮空気、空気流
28 気体燃料
30 燃焼ガス
32 排気ガス
38 液体燃料
40 水
58 液体燃料混合物、液体燃料
70 気体燃料供給ライン
128 主気体燃料供給システム、主気体燃料供給源
135 気体燃料供給弁
158 液体燃料供給システム
160 液体燃料供給ライン
165 液体燃料供給弁
170 主気体燃料供給ライン
228 補助気体燃料供給源、補助気体燃料供給システム、気体燃料タンク
270 補助気体燃料供給ライン
310 軸方向中心線
312 ライナ
314 外側スリーブ
318 後方フレーム
320 ヘッド端部部分
320a 燃焼器ヘッド端部
320b 燃焼器ヘッド端部
321 中央ハブ
322 気体燃料ノズル
322a 中央燃料ノズル
322b 外側燃料ノズル
322c 中央束管燃料ノズル
322d 束管燃料ノズル
323 旋回ベーン
324 燃料入口
326 エンドカバー
328 燃焼器キャップ
332 環状部
350 燃焼チャンバ、燃焼ゾーン
357 一次液体燃料カートリッジ
358 液体燃料カートリッジ
359 二次液体燃料カートリッジ
360 円筒状本体
361 基部
362 液体燃料カートリッジ先端
363 下流面
364 入口、液体燃料噴射孔
365 液体燃料噴射孔
366 取り付けフランジ
368 後方プレート
370 点火器
380 トーチ型点火器、トーチ点火器
400 制御システム、コントローラ
412 火炎検出器
414 火炎検出器
422 信号
424 信号
435 第2の信号
465 信号
470 開始信号
480 開始信号
522 予混合管
700 方法
735 概略図
765 概略図
800 方法
845 概略図
875 概略図
A 軸方向