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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-05
(45)【発行日】2025-09-16
(54)【発明の名称】円筒形非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/593 20210101AFI20250908BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20250908BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20250908BHJP
   H01M 50/167 20210101ALI20250908BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/586
H01M50/107
H01M50/167
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023508959
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2022010201
(87)【国際公開番号】W WO2022202311
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2025-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2021049369
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 守彦
(72)【発明者】
【氏名】矢冨 翔太
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-040135(JP,A)
【文献】特開平08-264173(JP,A)
【文献】実開昭62-103169(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒形状で、開口部に溝入部を有する外装缶と、
前記外装缶に収容される、電極体及び非水電解質と、
前記開口部において、前記溝入部と開口端部との間にかしめ固定される封口体と、
前記電極体と前記封口体との間に挿入された上部絶縁板とを備え、
前記上部絶縁板は、前記溝入部の内径よりも小さい円盤状の第1絶縁板と、前記第1絶縁板の下に配置されるリング状の第2絶縁板とを有し、
前記第1絶縁板は、前記第2絶縁板よりも耐熱性が高い、円筒形非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記第2絶縁板のリング幅は、前記溝入部の前記外装缶の内側方向への突出長さよりも大きい、請求項1に記載の円筒形非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、円筒形非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、充放電の繰り返すことでガスが発生する場合があり、電池内部の圧力が所定値以上となるとガスを排出する機構を有している。また、二次電池には、外部からの衝撃にも対応できる耐久性が求められる。特許文献1には、電極体の上に配置される上部絶縁板の平面圧縮強度と、上部絶縁板に設けられた貫通孔の開口率を特定の範囲とすることで、二次電池の安全性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-53262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、二次電池は、電気自動車用の電源や、自然エネルギーを活用するための蓄電装置などへ用途が拡大しており、益々の高容量化が求められている。高容量化の観点から、外装缶の薄板化やセパレータの薄膜化することで、電極体を収納可能な空間の拡張が検討されてきたが、安全性の観点から、外装缶の薄板化やセパレータの薄膜化には限界がある。特許文献1に開示された技術は、電池の高容量化については検討しておらず、未だ検討の余地がある。
【0005】
本開示の目的は、高容量で、安全性が向上した円筒形非水電解質二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様である円筒形非水電解質二次電池は、有底円筒形状で、開口部に溝入部を有する外装缶と、外装缶に収容される、電極体及び非水電解質と、開口部において、溝入部と開口端部との間にかしめ固定される封口体と、電極体と封口体との間に挿入された上部絶縁板とを備え、上部絶縁板は、溝入部の内径よりも小さい円盤状の第1絶縁板と、第1絶縁板の下に配置されるリング状の第2絶縁板とを有し、第1絶縁板は、第2絶縁板よりも耐熱性が高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る円筒形非水電解質二次電池によれば、電池容量と安全性を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の一例である円筒形非水電解質二次電池の縦方向断面図である。
図2】実施形態の一例における上部絶縁板を分解した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、図面を参照しながら、本開示に係る円筒形二次電池の実施形態の一例について詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、円筒形二次電池の仕様に合わせて適宜変更することができる。また、以下の説明において、複数の実施形態、変形例が含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0010】
図1は、実施形態の一例である二次電池10の縦方向断面図である。図1に示す二次電池10は、電極体14及び非水電解質(図示せず)が外装缶15に収容されている。なお、以下では、説明の便宜上、封口体16側を「上」、外装缶15の底部側を「下」として説明する。
【0011】
電極体14は、正極11及び負極12がセパレータ13を介して巻回されてなる巻回型の構造を有する。正極11は、帯状の正極集電体と、正極集電体の両面に形成された正極合剤層とを有する。正極集電体としては、例えば、アルミニウムなどの金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。
【0012】
正極合剤層は、例えば、正極活物質、導電剤、結着剤、及びN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の溶剤を含む正極合剤スラリーを正極集電体の両面に塗布した後、乾燥および圧縮することにより作製される。正極活物質としては、Co、Mn、Ni等の遷移金属元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物が例示できる。導電剤の例としては、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料などが挙げられる。結着剤の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0013】
負極12は、帯状の負極集電体と、負極集電体の両面に形成された負極合剤層とを有する。負極集電体としては、例えば、銅などの金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。
【0014】
負極合剤層は、例えば、負極活物質、結着剤、及び水等を含む負極合剤スラリーを負極集電体の両面に塗布した後、乾燥および圧縮することにより作製される。負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、Si、Sn等のリチウムと合金化する金属、又はこれらを含む合金、酸化物が例示できる。結着剤の例としては、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、CMC又はその塩、ポリアクリル酸又はその塩、ポリビニルアルコール等などが挙げられる。
【0015】
セパレータ13としては、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔膜、織布、不織布などが挙げられる。セパレータの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が好ましい。
【0016】
外装缶15に収容される非水電解質の非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を用いることができ、これらの溶媒は2種以上を混合して用いることができる。2種以上の溶媒を混合して用いる場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒を用いることが好ましい。例えば、環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等を用いることができ、鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジエチルカーボネート(DEC)等を用いることができる。非水電解質の電解質塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO等及びこれらの混合物を用いることができる。非水溶媒に対する電解質塩の溶解量は、例えば0.5mol/L~2.0mol/Lとすることができる。
【0017】
外装缶15の開口部が封口体16で塞がれることで、二次電池10の内部は、密閉される。電極体14の上下には、上部絶縁板17、下部絶縁板18がそれぞれ挿入される。正極リード19は上部絶縁板17の貫通孔を通って上方に延び、封口体16の底板であるフィルタ22の下面に溶接される。二次電池10では、フィルタ22と電気的に接続された封口体16の天板であるキャップ27が正極端子となる。他方、負極リード20は下部絶縁板18の貫通孔を通って、外装缶15の底部側に延び、外装缶15の底部内面に溶接される。二次電池10では、外装缶15が負極端子となる。
【0018】
外装缶15は、有底円筒形状で、開口部に溝入部21を有する。外装缶15は、例えば、金属製である。溝入部21は、後述するように、その上面で封口体16を支持する。外装缶15の溝入部21よりも下の部分には、電極体14及び非水電解質が収容される。溝入部21は、外装缶15の周方向に沿って環状に存在することが好ましい。溝入部21は、例えば、外装缶15の側面部を外側からプレスして形成できる。
【0019】
封口体16は、外装缶15の開口部において、溝入部21と開口端部との間にかしめ固定されている。封口体16は、電極体14側から順に積層された、フィルタ22、下弁体23、絶縁部材24、上弁体25、PTCサーミスタ板26、及びキャップ27を有する。封口体16を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材24を除く各部材は互いに電気的に接続されている。下弁体23と上弁体25とは各々の中央部で互いに接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材24が介在している。異常発熱で電池の内圧が上昇すると、例えば、下弁体23が破断し、これにより上弁体25がキャップ27側に膨れて下弁体23から離れることにより両者の電気的接続が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体25が破断し、キャップ27の開口孔からガスが排出される。また、二次電池10に過大な電流が流れると、PTCサーミスタ板26の温度が上昇することで、PTCサーミスタ板26の抵抗値が急激に上昇し、電流を遮断する。
【0020】
次に、図1及び図2を参照しつつ、上部絶縁板17について説明する。
【0021】
図1に示すように、上部絶縁板17は、溝入部21の内径よりも小さい円盤状の第1絶縁板17aと、第1絶縁板17aの下に配置されるリング状の第2絶縁板17bとを有する。これにより、第2絶縁板17bを溝入部21の下に配置しつつ、第1絶縁板17aを溝入部21の内側方向に位置させることができるので、電極体14の収容部分を大きくして、二次電池10の電池容量を向上させることができる。
【0022】
第2絶縁板17bのリング幅は、溝入部21の外装缶15の内側方向への突出長さよりも大きくてもよい。これにより、第2絶縁板17bは、外装缶15と電極体14の上部との接触を抑制しつつ、第1絶縁板17aを下側から支えることができる。
【0023】
図2は、実施形態の一例における上部絶縁板17を分解した状態を示す斜視図である。第1絶縁板17aの直径は、第2絶縁板17bのリングの内径よりも大きく、第2絶縁板17bのリングの外径よりも小さい。第1絶縁板17aは、図2に示すように、第1孔30と、第2孔32を有してもよい。第1孔30及び第2孔32は、第1絶縁板17aを貫通する孔である。第1孔30は、電極と非水電解質との反応により発生したガスを二次電池10の上部に放出する機能を有する。第1孔30の形状は、特に限定されないが、例えば、円である。また、第1孔30の個数は、1個以上であれば特に限定されない。第2孔32は、正極リード19を通すための孔である。第2孔32は、例えば、第1孔30より大きく、略半円形状を有する。
【0024】
第1絶縁板17aは、第2絶縁板17bよりも耐熱性が高い。これにより、二次電池10が異常発熱、又は、発火した場合でも、第1絶縁板17aが形状を維持し、電池内部で発生するガスの排気経路が確保されるので、二次電池10の破裂やキャップ27の開口孔以外からのガスの排出を抑制することが出来る。
【0025】
第1絶縁板17aの材質としては、例えば、ガラス繊維などの絶縁性の繊維を含浸させたフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。第1絶縁板17aの材質としては、ガラス繊維を混合したフェノール樹脂(GP)が好ましい。
【0026】
第2絶縁板17bの材質としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。第2絶縁板17bの材質としては、PPが好ましい。PPは加工し易いので、PP製の第2絶縁板17bは作製しやすい。また、PPは変形し易いので、外部からの衝撃により二次電池10が変形した場合でも、第2絶縁板17bが破断せず、外装缶15と電極体14の上部との接触を抑制することができる。
【0027】
第1絶縁板17aの厚みは、第2絶縁板17bの厚みよりも大きいことが好ましい。これにより、二次電池10の耐熱性を向上させることができる。また、第2絶縁板17bを第1絶縁板17aより薄くすることで、二次電池10の電池容量を向上させることができる。また、第2絶縁板17bを薄いリング状とすることで、外部からの衝撃により二次電池10が変形した場合でも、第2絶縁板17bが破断せず、外装缶15と電極体14の上部との接触を抑制することができる。第1絶縁板17aの厚みは、例えば、0.2mm~0.5mmである。また、第2絶縁板17bの厚みは、例えば、0.1mm~0.2mmである。
【実施例
【0028】
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
<実施例1>
[正極の作製]
正極活物質として、LiNi0.8Co0.15Al0.05で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を用いた。この正極活物質を100質量部と、導電剤としてのアセチレンブラック(AB)を2.0質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を2.0質量部とを混合し、さらに、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加えて、正極合剤スラリーを調製した。次に、この正極合剤スラリーをアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、乾燥させた後、所定の電極サイズに切り取り、ローラを用いて圧延して帯状の正極を得た。正極の長手方向の略中央部に、合剤層が存在せず集電体表面が露出した正極露出部を設け、アルミニウム製の正極リードを正極露出部に溶接した。
【0030】
[負極の作製]
負極活物質として、グラファイトを用いた。この負極活物質100質量部と、結着剤としてのスチレン―ブタジエンゴム(SBR)1.0質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1.0質量部とを混合し、さらに、水を適量加えて、負極合剤スラリーを調製した。次に、この負極合剤スラリーを、銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、乾燥させた後、所定の電極サイズに切り取り、ローラを用いて圧延して帯状の負極を得た。負極の巻外端部に合剤層が存在せず集電体表面が露出した負極露出部を設け、ニッケル‐銅製の負極リードを負極露出部に溶接した。
【0031】
[電極体の作製]
作製された正極及び負極を、オレフィン系樹脂からなる微多孔膜のセパレータを介して渦巻状に巻回することにより、巻回型の電極体を作製した。その際、正極の正極リードが接続された一端部が巻内端部に位置し、負極の負極リードが接続された一端部が巻外端部に位置するようにした。
【0032】
[非水電解液の調製]
エチレンカーボネート(EC)と、ジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比でEC:DMC=40:60となるように混合した混合溶媒に、LiPFを1モル/Lとなるように添加し非水電解液を調製した。
【0033】
[上部絶縁板の作製]
第1絶縁板の素材としてガラス繊維を混合したフェノール樹脂(GP)を選択した。また、第2絶縁板の素材として、ポリプロピレン(PP)を選択した。図2に示すように、第1絶縁板は、第1孔及び第2孔を有する円盤状に形成し、第2絶縁板は、リング状に形成した。第1絶縁板の外径は、外装缶の溝入部の内径に略内接する大きさとした。また、第1絶縁板の厚みは、0.3mmとした。第2絶縁板の外径は、外装缶に略内接する大きさとした。また、第2絶縁板のリング幅は、外装缶と電極体の絶縁性を十分に確保するために、溝入部の内側方向への突出長さを十分に覆うことができる大きさに設定した。第2絶縁板の厚みは、0.1mmとした。なお、この厚みは、従来使用されてきた絶縁板より薄いものである。
【0034】
[二次電池の作製]
直径φ18mm、高さ65mmの有底円筒形状の金属缶を外装缶とした。電極体の下部には下部絶縁板を配置し、電極体の上部には上から第1絶縁板、第2絶縁板の順に上部絶縁板を配置した状態で、電極体を外装缶に収容した。次に、負極リードを外装缶の底部に溶接し、正極リードに封口体を溶接し、外装缶の開口部にプレスで溝入部を形成してから、外装缶の内部に非水電解質を注液した。その後、外装缶の開口部を、ガスケット28を介して封口体をかしめるように封口して、円筒形非水電解質二次電池を作製した。作製した二次電池の定格容量は、5Ahであった。
【0035】
<比較例1>
上部絶縁板の作製において、第1絶縁板の素材としてPPを選択したこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0036】
<比較例2>
上部絶縁板の作製において、第2絶縁板の素材としてGPを選択したこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0037】
<比較例3>
上部絶縁板の作製において、第1絶縁板の素材としてPPを選択し、第2絶縁板の素材としてGPを選択したこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0038】
<比較例4>
上部絶縁板の作製において、素材としてGPを選択し、平面視における形状が第1絶縁板に相似な形状で、外径が第2絶縁板と同じになるような、第3絶縁板を作製して、これを上部絶縁板としたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。なお、第3絶縁板の厚みは、第1絶縁板と同じであった。
【0039】
<比較例5>
上部絶縁板の作製において、素材としてPPを選択し、平面視における形状が第1絶縁板に相似な形状で、外径が第2絶縁板と同じになるような、第4絶縁板を作製して、これを上部絶縁板としたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。なお、第4絶縁板の厚みは、第1絶縁板と同じであった。
【0040】
[平板圧壊試験による評価]
実施例及び比較例に係る各電池10個ずつについて、平板圧壊試験を行った。まず、25℃の環境下で、0.3Itの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電を行い、4.2Vで電流値が1/50Itになるまで定電圧充電を行った。その後、0.2Itの定電流で電池電圧が2.5Vになるまで放電を行った。次に、25℃の環境下で、20cm×20cmの正方形のステンレス板で、放電後の二次電池を側面方向から、荷重20kN、スピード15mm/秒の条件で加圧した。外装缶の直径に対して10%変形するまで圧壊したものを5個と、外装缶の直径に対して25%変形するまで圧壊したものを5個作製した。試験後の電池を分解し、上部絶縁板が破壊されたことにより、電極体の上部において短絡が発生していないかを確認した。
【0041】
[燃焼試験による評価]
満実施例及び比較例に係る各電池5個ずつについて、燃焼試験を行った。まず、25℃の環境下で、0.3Itの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電を行い、4.2Vで電流値が1/50Itになるまで定電圧充電を行った。充電後の電池を、金属製の網の上に寝かした状態で載置し、金属製の網の上をアルミニウム製の網籠で覆い、網の直下38mm離れたバーナーの炎で二次電池の側面を加熱した。試験後の電池について、破裂していないかと、ピンホールが発生していないかを確認した。
【0042】
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。表1には、平板圧壊試験において短絡痕が確認された電池の数、及び、燃焼試験において破裂又はピンホールが確認された電池の数を示す。燃焼試験においては、5個の電池のいずれかに破損が確認された場合には、これらの電池のピンホールの有無については確認しなかった。また、表1には、第1絶縁板及び第2絶縁板の材質、形状についても併せて示す。
【0043】
【表1】
【0044】
請求項の範囲において、平板圧壊試験時の絶縁板割れによる短絡を抑制することができた。また、燃焼試験時にガス排気弁以外からの燃焼ガス排出を抑制することができ、不安全リスクを低減することができた。
【符号の説明】
【0045】
10 二次電池、11 正極、12 負極、13 セパレータ、14 電極体、15 外装缶、16 封口体、17 上部絶縁板、17a 第1絶縁板、17b 第2絶縁板、18 下部絶縁板、19 正極リード、20 負極リード、21 溝入部、22 フィルタ、23 下弁体、24 絶縁部材、25 上弁体、26 PTCサーミスタ板、27 キャップ、28 ガスケット、30 第1孔、32 第2孔
図1
図2