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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-05
(45)【発行日】2025-09-16
(54)【発明の名称】紙葉類取扱装置及び異物検知方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/08 20060101AFI20250908BHJP
   G07D 7/00 20160101ALI20250908BHJP
   G07D 7/189 20160101ALI20250908BHJP
   G07D 11/235 20190101ALI20250908BHJP
【FI】
G07D7/08
G07D7/00 D
G07D7/189
G07D11/235
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024562502
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2022045195
(87)【国際公開番号】W WO2024122006
(87)【国際公開日】2024-06-13
【審査請求日】2025-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】525184980
【氏名又は名称】株式会社富士通フロンテックシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】翁 玉卿
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-189497(JP,A)
【文献】特開2001-351141(JP,A)
【文献】特開2022-111890(JP,A)
【文献】特開2013-020557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 7/00- 7/207
G07D 11/00-13/00
G07F 19/00
B65B 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の束が搬送される搬送路と、
前記搬送路に配置された複数の超音波センサを有し、前記複数の超音波センサによって前記紙葉類の束に混入した異物の有無を検知する検知部と、を備え、
前記検知部は、前記搬送路に沿って搬送される前記紙葉類の束の紙面における複数の位置に向けて前記複数の超音波センサから超音波をそれぞれ照射し、前記複数の位置からの超音波の反射波に基づいて前記異物の有無を検知する、紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記異物の有無の検知を、前記紙面に対して前記搬送路の搬送方向に一定の間隔をあけて複数回、繰り返す、
請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
前記搬送路に沿って搬送される前記紙葉類の束を当該紙葉類の束の厚さ方向に対して押圧する複数のローラを有する押圧部を更に備える、
請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
前記複数のローラは、前記搬送路に沿って搬送される前記紙葉類の束の厚さ方向に直交する平面上において基盤目状に配置されている、
請求項3に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
前記紙葉類の束を前記搬送路に沿って搬送する搬送機構を更に備え、
前記搬送機構は、前記紙葉類の束の厚さ方向に対して当該紙葉類の束を挟んで搬送する一対の搬送部材を有し、
前記複数のローラは、前記一対の搬送部材における、互いに対向する対向面にそれぞれ設けられている、
請求項4に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
前記搬送機構は、前記一対の搬送部材の間に挟まれた前記紙葉類の束を前記複数のローラに対して移動させる移動部材を有する、
請求項5に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項7】
前記複数の超音波センサは、前記搬送路に沿って搬送される前記紙葉類の束の厚さ方向に直交する平面上において基盤目状に配置されている、
請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項8】
前記複数の超音波センサは、周波数が3.4[MHz]以上の超音波を前記紙葉類の束の前記紙面に照射する、
請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項9】
紙葉類の束を搬送路に沿って搬送することと、
前記搬送路に沿って搬送される前記紙葉類の束の紙面における複数の位置に向けて、前記搬送路に配置された複数の超音波センサから超音波をそれぞれ照射することと、
前記複数の位置からの超音波の反射波に基づいて、前記紙葉類の束に混入した異物の有無を検知することと、を有する異物検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類取扱装置及び異物検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類取扱装置としては、例えば、現金自動預払機(Automated Teller Machine)等の紙幣取扱装置が知られている。この種の紙幣取扱装置には、例えば、紙幣を束ねる紙幣用のクリップや、硬貨等の異物が、入金される紙幣に混入する場合があり、紙幣に混入した異物の有無を検知する検知部を備えるものが知られている。
【0003】
このような検知部としては、例えば、紙幣に混入した金属量に基づいて異物を検知する金属センサを有するものがある。しかし、磁気印刷等が施された紙幣自身の金属含有量が多い紙幣を取り扱う場合、金属センサは、異物の混入が無い紙幣に対しても異物が混入したと誤検知するおそれがある。また、金属センサは、紙幣取扱装置において、金属センサが配置された箇所の周囲に存在する金属板等を異物として誤検知するおそれもある。また、検知部としては、金属センサの代わりに、超音波センサによって紙幣に超音波を照射し、紙幣を透過した超音波の透過波の透過量(音波量)に基づいて異物の有無を検知するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-189497号公報
【文献】特開2001-351141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、超音波センサを有する検知部では、1枚の紙幣を透過した超音波の透過波の透過量を基準値として、この基準値よりも超音波の透過量が小さくなったときに異物が有ると検知する。このように超音波の透過量に基づいて検知しているので、複数枚の紙幣束を取り扱う場合には、複数枚の紙幣束を透過する透過波の透過量が低下することに伴って異物の検知が困難になる。したがって、紙幣束に混入した異物の有無の検知精度が低い問題がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、紙葉類の束に混入した異物の有無の検知精度を高めることができる紙葉類取扱装置及び異物検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する紙葉類取扱装置の一態様は、紙葉類の束が搬送される搬送路と、前記搬送路に配置された複数の超音波センサを有し、前記複数の超音波センサによって前記紙葉類の束に混入した異物の有無を検知する検知部と、を備え、前記検知部は、前記搬送路に沿って搬送される前記紙葉類の束の紙面における複数の位置に向けて前記複数の超音波センサから超音波をそれぞれ照射し、前記複数の位置からの超音波の反射波に基づいて前記異物の有無を検知する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する紙葉類取扱装置の一態様によれば、紙葉類の束に混入した異物の有無の検知精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例の紙幣取扱装置を模式的に示す縦断面図である。
図2図2は、実施例の紙幣取扱装置を模式的に示す横断面図である。
図3図3は、実施例における搬送機構の動作を説明するための縦断面図である。
図4図4は、実施例における検知部を模式的に示す平面図である。
図5図5は、実施例における異物の検知原理を説明するための模式図である。
図6図6は、実施例における異物の検知原理を説明するための模式図である。
図7図7は、実施例の紙幣取扱装置における異物の検知動作を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、実施例において、異物の有無の検知を、搬送路の搬送方向に一定の間隔をあけて複数回、繰り返す状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する紙葉類取扱装置及び異物検知方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する紙葉類取扱装置及び異物検知方法が限定されるものではない。
【実施例
【0011】
(紙幣取扱装置の構成)
図1は、実施例の紙幣取扱装置を模式的に示す縦断面図である。図2は、実施例の紙幣取扱装置を模式的に示す横断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、実施例の紙幣取扱装置1は、入金する紙幣束2Aが挿入される挿入口(入金口)4と、入金された紙幣束2Aが搬送される搬送路5と、搬送路5に沿って紙幣束2Aを搬送する搬送機構6と、複数の超音波センサによって紙幣束2Aに混入した異物3の有無を検知する検知部7と、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aをこの紙幣束2Aの厚さ方向に対して押圧する押圧部8と、を備える。また、紙幣取扱装置1は、搬送機構6によって搬送された紙幣束2Aが収容される収容部9と、収容部9から送られた紙幣2の真贋を鑑別する鑑別部10と、各部5~10の制御を行う制御部11と、を備える。
【0013】
説明の便宜上、図1において紙幣取扱装置1を挿入口4が位置する前面側から見て、紙幣取扱装置1の幅方向をX方向、紙幣取扱装置1の前後方向をY方向、紙幣取扱装置1の上下方向をZ方向と称する。図1以降の図面においても、図1と同様にX、Y、Z方向をそれぞれ示す。また、本実施例では、紙葉類の一例として紙幣2を用いるが、紙幣2に限定するものではない。紙葉類には、例えば、手形、小切手、商品券、各種証券、株券等の有価証券も含まれる。
【0014】
また、本実施例において紙幣束2Aとは、例えば、100枚~200枚程度の紙幣2が重ねられた束を指すが、紙幣束2Aにおける紙幣2の枚数が限定されるものではない。実施例における紙幣束2Aには、例えば、2枚の紙幣2が重ねられた束が含まれる。検知部7が検知する対象となる異物3には、紙幣束2Aの内部に存在する硬貨、クリップ等に限定されず、紙幣束2Aの紙面2s上の載せられた硬貨や、紙幣束2Aの紙面2s上に位置するクリップ等が含まれる。
【0015】
(搬送路)
紙幣束2Aは、矩形状の紙幣2の短辺に沿って挿入口4へ挿入される。搬送路5は、挿入口4に対する紙幣束2Aの挿入方向(Y方向)に沿って設けられている。したがって、紙幣束2Aは、紙幣2の短辺に沿って搬送路5を搬送される。
【0016】
(搬送機構)
図3は、実施例における搬送機構6の動作を説明するための縦断面図である。図2及び図3に示すように、搬送機構6は、搬送路5に沿って往復移動するシャトル13と、シャトル13に対して紙幣束2Aを移動させる移送ベルト14と、シャトル13を搬送路5に沿って搬送する搬送ベルト15と、を有する。また、搬送機構6は、シャトル13が有する後述の上シャトル部材13Aを昇降させるギア16a及びモータ16bと、移送ベルト14を駆動するギア17a及びモータ17bと、搬送ベルト15を駆動するギア18a及びモータ18bと、を有する。
【0017】
シャトル13は、紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に対してこの紙幣束2Aを挟んで搬送する一対の搬送部材としての上シャトル部材13A及び下シャトル部材13Bを有する。下シャトル部材13Bは、挿入口4から挿入された紙幣束2Aが載せられる載置面20を有する。上シャトル部材13Aは、下シャトル部材13Bの載置面20との間に紙幣束2Aを挟むようにZ方向に昇降可能に設けられている。シャトル13には、シャトル13への紙幣束2Aの挿入を検知する挿入センサ(図示せず)が設けられており、挿入口4からの紙幣束2Aの挿入を検知したときに、搬送機構6によって上シャトル部材13Aが下シャトル部材13B側へ下降される。
【0018】
上シャトル部材13Aは、挿入口4から紙幣束2Aが下シャトル部材13Bに挿入されたとき、ギア16a及びモータ16bによって下降されることで、紙幣束2Aを下シャトル部材13Bとの間に挟み込む。これにより、搬送機構6は、上シャトル部材13Aと下シャトル部材13Bによって、紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に対して紙幣束2Aを挟んだ状態で搬送する。また、上シャトル部材13Aは、検知部7から紙幣束2Aの紙面2sに向けて照射される超音波を遮らない形状に形成されている。
【0019】
移送ベルト14は、上シャトル部材13Aの下面19及び下シャトル部材13Bの載置面20に沿って搬送方向(Y方向)に移動するように、上シャトル部材13A及び下シャトル部材13Bに設けられている。移送ベルト14は、載置面20に載せられた紙幣束2Aを、シャトル13内における奥側(収容部9側)へ引き込むように移動させる。また、移送ベルト14は、シャトル13が収容部9まで搬送された後に、シャトル13内の紙幣束2Aを収容部9の内部へ移動させる。
【0020】
搬送ベルト15は、搬送路5の幅方向(X方向)の両側に、搬送方向(Y方向)に沿って配置されており、ギア18aを介してシャトル13の下シャトル部材13Bを支持している。搬送機構6は、紙幣束2Aが載せられたシャトル13を搬送ベルト15によって送ることで、挿入口4から挿入された紙幣束2Aを搬送路5に沿って収容部9へ搬送する。
【0021】
また、シャトル13には押圧部8が設けられており、押圧部8が有する後述の複数のローラ25が、上シャトル部材13A及び下シャトル部材13Bに配置されている。
【0022】
(検知部)
図4は、実施例における検知部7を模式的に示す平面図である。図4に示すように、実施例における検知部7は、一例として、第1超音波センサ21-1、第2超音波センサ21-2、及び第3超音波センサ21-3(以下、各超音波センサ21とも称する。)を有しており、制御部11と電気的に接続されている。図示しないが、各超音波センサ21は、紙幣束2Aの紙面2sに向けて超音波を発する送波器と、紙幣束2Aの紙面2sからの超音波の反射波を受け取る受波器と、を有しており、受波器が反射波を検知した検知信号を制御部11へ送る。
【0023】
本実施例における制御部11としては、紙幣取扱装置1の内部に設けられた制御基板の制御回路が用いられるが、これに限定されず、紙幣取扱装置1と接続された外部コンピュータが用いられてもよい。
【0024】
検知部7は、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aの紙面2sにおける複数の位置(例えば、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3)に向けて、複数の超音波センサ21(例えば、第1超音波センサ21-1、第2超音波センサ21-2、第3超音波センサ21-3)から超音波をそれぞれ照射し(図5及び図6参照)、複数の位置からの超音波の反射波に基づいて異物3の有無を検知する。
【0025】
実施例では、各超音波センサ21からの検知信号に基づいて制御部11が異物3の有無を判断するが、検知部7の各超音波センサ21が検知信号を制御部11へ送ることを、検知部7が異物3の有無を検知することと定義する。また、検知部7は、各超音波センサ21の検知信号に基づいて異物3の有無を判断する演算処理部を、制御部11とは独立して備えてもよい。また、紙幣束2Aの紙面2sとは、各超音波センサ21に対向する紙幣2の表面を指しており、例えば、紙幣束2Aにおける最も上に配置された紙幣2の印刷面を指す。
【0026】
各超音波センサ21は、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に直交する平面(X-Y平面)上において、搬送方向(Y方向)に直交する搬送路5の幅方向(X方向)に間隔をあけて配置されている。言い換えると、各超音波センサ21は、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aにおける紙幣2の長辺方向(X方向)に間隔をあけて配置されている。各超音波センサ21の間隔は、例えば、異物3とされる複数種類の硬貨の平均的な直径寸法程度に設定されている。各超音波センサ21は、例えば、搬送路5に対向する、紙幣取扱装置1の天板等の構造体に支持されている。
【0027】
本実施例では、各超音波センサ21が、搬送路5の幅方向(X方向)に間隔をあけて配置されたが、この配列に限定されない。各超音波センサ21は、例えば、図4に示すように、紙幣束2Aの搬送方向(Y方向)に間隔をあけて配置されてもよい。また、複数の超音波センサ21は、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に直交する平面(X-Y平面)上において基盤目状に配置、すなわち、搬送路5の搬送方向(Y方向)と幅方向(X方向)とにそれぞれ等間隔に配置されてもよい。複数の超音波センサ21が基盤目状に配置されることにより、異物3の検知精度を高めると共に、紙幣束2の紙面2sの所定範囲における異物3の検知を迅速に行うことが可能になる。
【0028】
詳細は後述するが、各超音波センサ21は、周波数が3.4[MHz]以上の超音波を紙幣束2Aの紙面2sに照射するように設定されている。これにより、検知部7は、異物3によって膨らむ紙面2sの変化量(膨出量)、あるいは紙面2s上の異物3の膨らみによる変化量が、例えば、1.0[mm]以上であるか否かを、0.1[mm]以下の分解能の検知精度で検知可能になる。検知部7の検知結果に基づいて制御部11は、紙幣束2Aに異物3が存在しない(異物なし)、または、紙幣束2Aに異物3が存在する(異物あり)を判断する。
【0029】
また、検知部7は、搬送機構6によって各超音波センサ21の位置へ搬送された紙幣束2Aを検知する位置センサ23を有する。位置センサ23は、第1超音波センサ21-1、第2超音波センサ21-2、及び第3超音波センサ21―3のいずれかの近傍に配置されており、制御部11と電気的に接続されている。位置センサ23としては、例えば、反射型の光センサや透過型の光センサが用いられている。位置センサ23は、位置センサ23が発した検知光が、例えば、紙幣束2Aやシャトル13によって遮断されることで各超音波センサ21の位置への紙幣束2Aの到達を検知し、検知信号を制御部11へ送信する。この検知信号に基づいて制御部11は、検知部7に検知を開始させる。
【0030】
したがって、検知部7は、各超音波センサ21の位置への紙幣束2Aの到着を検知した後、紙幣束2Aにおける異物3の有無の検知を開始する。検知部7が異物3の有無を検知するとき、搬送機構6によって紙幣束2Aを搬送しながら検知が行われるが、紙幣束2Aの搬送を一時停止させて検知を行ってもよい。
【0031】
また、詳細は後述するが、検知部7は、異物3の有無の検知、すなわち紙幣束2Aの紙面2sに各超音波センサ21から超音波をそれぞれ照射し、紙面2sからの超音波の反射波を受け取る検知を、紙幣束2Aの紙面2sに対して搬送路5の搬送方向(Y方向)に一定の間隔をあけて、複数回、間欠的に繰り返す。
【0032】
(押圧部)
図2に示すように、押圧部8は、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aを、この紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に対して押圧する複数のローラ25を有する。複数のローラ25は、上シャトル部材13A及び下シャトル部材13Bにおける、互いに対向する対向面、すなわち、上シャトル部材13Aの下面19と、下シャトル部材13Bの載置面20にそれぞれ設けられている。言い換えると、複数のローラ25は、シャトル13に載せられた紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)の両側、すわなち、搬送路5の上下方向(Z方向)の両側に配置されている。
【0033】
このように配置された複数のローラ25によって紙幣束2Aが厚さ方向(Z方向)の両側から押圧されることで、紙幣束2Aが有する皺や折れ癖によって生じた紙面2sの膨らみが抑制され、このような膨らみによる紙面2sの変化を避けられるので、異物3による膨らみを適正に検知可能となり、異物3の検知精度を高められる。
【0034】
なお、複数のローラ25は、紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)の両側に配置されることで、紙幣束2Aを厚さ方向(Z方向)に対して押圧する作用を高められるが、これに限定されず、紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)の片側のみに設けられてもよい。
【0035】
また、複数のローラ25は、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に直交する平面(X-Y平面)上において基盤目状に配置されている。実施例では、一例として、搬送路5の搬送方向(Y方向)と搬送路5の幅方向(X方向)にそれぞれ3つずつ、合計9つのローラ25が間隔をあけて配置されている。
【0036】
挿入口4からシャトル13に挿入された紙幣束2Aは、上シャトル部材13Aと下シャトル部材13Bとの間に挟まれた後、移送ベルト14によって搬送方向(Y方向)に沿って送られることで、シャトル13内における挿入口4側から収容部9側へ移動させる。このようにシャトル13内において紙幣束2Aが移動されるときに、複数のローラ25によって紙幣束2Aがその厚さ方向(Z方向)に押圧されて上述した紙面2sの膨らみが抑えられる。したがって、搬送機構6において、下シャトル部材13Bに設けられ移送ベルト14が、一対の上シャトル部材13Aと下シャトル部材13Bとの間に挟まれた紙幣束2Aを複数のローラ25に対して移動させる移動部材に相当する。
【0037】
(収容部)
収容部9は、図1図2及び図3に示すように、搬送機構6のシャトル13から受け取った紙幣束2Aが載せされるステージ26と、ステージ26上の紙幣束2Aを押圧するプッシャ部材27と、ステージ26及びプッシャ部材27をZ方向に昇降させる昇降機構(図示せず)と、ステージ26上の紙幣束2Aの紙幣2を鑑別部10へ送る繰出し機構28と、を有する。繰出し機構28は、ステージ26上の紙幣束2Aから紙幣2を送るピックアップローラ28aと、紙幣束2Aの紙幣2を1枚ずつに分離する分離ローラ28bと、各ローラ28a、28bを駆動するギア及びモータ(図示せず)と、を有する。
【0038】
収容部9は、搬送機構6によって送られた紙幣束2Aがステージ26上に載せられた後、プッシャ部材27と共にステージ26が下降し、繰出し機構28によってステージ26上の紙幣束2Aから紙幣2を1枚ずつ鑑別部10へ送る。このように収納部9から1枚ずつ送られる紙幣2は、鑑別部10によって鑑別される。
【0039】
(紙幣束に混入した異物の検知原理)
図5及び図6は、実施例における異物3の検知原理を説明するための模式図である。図5は紙幣束2Aにおいて異物なしの場合を示し、図6は紙幣束2Aにおいて異物ありの場合を示している。
【0040】
図5及び図6に示すように、制御部11は、検知部7によって、第1超音波センサ21-1と紙幣束2Aの紙面2sの第1位置P1との間の第1距離L1、第2超音波センサ21-2と紙幣束2Aの紙面2sの第2位置P2との間の第2距離L2、及び第3超音波センサ21-3と紙幣束2Aの紙面2sの第3位置P3との間の第3距離L3をそれぞれ測定する。
【0041】
各距離L1、L2、L3は、超音波センサ21の送波器が超音波を発したときから、この超音波が紙幣束2Aの紙面2sに照射され、紙面2sからの超音波の反射波を受波器が受けたときまでの経過時間を計測することで算出される。ここで、各超音波センサ21と紙幣束2Aの紙面2sとの間の距離をL[mm]、超音波が距離Lを往復する往復時間をT[s]、空気中の伝播速度をV[m/s]としたとき、L=V×T×(1/2)によって求められる。
【0042】
続いて、制御部11は、上述した各超音波センサ21の各距離L1、L2、L3同士の各差分の絶対値である距離差|S1|、|S2|、|S3|をそれぞれ算出する。
|S1|=|(L1-L2)|
|S2|=|(L1-L3)|
|S3|=|(L2-L3)|
【0043】
そして、制御部11は、距離差|S1|、|S2|、|S3|と、異物3の有無を判断するための閾値G、例えば、1.0[mm]と比較し、距離差|S1|、|S2|、|S3|のいずれかが、閾値G以上である場合(|S|≧G)、異物ありと判断する。一方、距離差|S1|、|S2|、|S3|のいずれかが、閾値G未満である場合(|S|<G)、制御部11は、異物なしと判断する。
【0044】
図5に示すように、異物なしの場合には、紙幣束2Aの紙面2sの膨らみによる変化が生じずに平坦となり、各超音波センサ21と紙幣束2Aの紙面2sとの間の第1距離L1、第2距離L2、第3距離L3が互いに等しくなる。このため、各距離差|S1|、|S2|、|S3|が“0”となり、制御部11は、異物なしと判断する。
【0045】
一例として、図6に示すように、紙幣束2Aの紙面2sの中央付近に異物3が位置して、異物ありの場合には、第2超音波センサ21-2に対応する第2位置P2に紙面2sの膨らみによる変化が生じる。このため、第2超音波センサ21-2と紙幣束2Aの紙面2sの第2位置P2との間の第2距離L2が、第1超音波センサ21-1と紙幣束2Aの紙面2sの第1位置P1との間の第1距離L1、及び第3超音波センサ21-3と紙幣束2Aの紙面2sの第3位置P3との間の第3距離L3よりも小さくなる(L2<L1、L2<L3)と共に、第1距離L1と第3距離L3とが等しくなる(L1=L3)。このとき、第2距離L2と第1距離L1との距離差|S1|、第2距離L2と第3距離L3との距離差|S3|が、閾値G以上である場合、制御部11は、異物ありと判断する。
【0046】
(超音波の周波数)
各超音波センサ21の送波器が発する超音波の周波数は、異物3に伴う紙幣束2Aの紙面2sの変化量、すなわち、紙幣束2Aの紙面2sと超音波センサ21との間の距離Lを検知する分解能が、0.1[mm]以下となるように設定されている。超音波の波長をλ、空気中の伝播速度をV、超音波の周波数をfとしたとき、λ=(V/f)によって表され、超音波の周波数fは、f=(V/λ)によって求められる。
【0047】
紙幣束2Aの紙面2sの変化量である、上述した距離Lの分機能は、超音波の波長で決定されるので、λ=0.1[mm]、V=340[m/s]としたとき、超音波の周波数fは、f=(V/λ)={(340[m/s]×10)/0.1[mm]}/10=3.40[MHz]となる。
【0048】
したがって、検知部7は、各超音波センサ21によって、周波数fが3.4[MHz]以上の超音波を紙幣束2Aの紙面2sに照射することで、異物3によって膨らむ紙面2sの0.1[mm]以下の変化量を検知可能になり、硬貨等の異物3を検知するための分解能が適正に確保されている。
【0049】
各超音波センサ21の検知結果に基づいて、制御部11は、上述した各距離差|S1|、|S2|、|S3|のいずれかが1.0[mm]以上の場合に異物ありと判断する。異物3の有無を判断するための閾値Gは、例えば、日本で使用される硬貨の厚さが1.5[mm]程度~1.8[mm]程度であることや、一般的な紙幣用のクリップの寸法に基づいて1.0[mm]以上に設定されたが、これに限定されない。閾値Gは、紙幣取扱装置1が設置される環境で使用される硬貨等の厚さに基づいて適宜設定される。
【0050】
(紙幣取扱装置における異物の検知動作)
図7は、実施例の紙幣取扱装置1における異物3の検知動作を説明するためのフローチャートである。
【0051】
紙幣取扱装置1は、挿入口4から挿入された紙幣束2Aが移送ベルト14によってシャトル13内に引き込まれるときに、上シャトル部材13Aと下シャトル部材13Bとの間に紙幣束2Aが挟まれながら、複数のローラ25によって紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に押圧される。これにより、シャトル13内に載せられた紙幣束2Aは、紙幣束2Aの紙幣2の皺や折れ癖による紙面2sの膨らみが抑制され、図1及び図2に示すように、搬送機構6によって検知部7へ送られる。
【0052】
図7に示すように、紙幣取扱装置1は、搬送機構6によって搬送された紙幣束2Aを検知部7の位置センサ23によって検知し、紙幣束2Aが検知部7に到着したか否かを制御部11によって判断する(ステップS1)。ステップS1において、紙幣束2Aが検知部7に到着しない場合(NO)、紙幣取扱装置1は、位置センサ23によって紙幣束2Aの検知を継続する。ステップS1において、紙幣束2Aが検知部7に到着した場合(YES)、紙幣取扱装置1は、検知部7によって異物3の有無の検知を開始し(ステップS2)、紙幣束2Aの紙面2sに各超音波センサ21によって超音波を照射し、紙面2sからの反射波を各超音波センサ21が受け取るまでの往復時間Tの時間計測を開始する(ステップS3)。
【0053】
続いて、紙幣取扱装置1は、紙幣束2Aの紙面2sで反射された超音波の反射波が各超音波センサ21によって検知されたか否かを制御部11によって判断する(ステップS4)。ステップS4において、反射波が超音波センサ21によって検知されない場合(NO)には、超音波センサ21による反射波の検知を継続する。ステップS4において、反射波が超音波センサ21によって検知された場合(YES)には、反射波を受け取った時点で、往復時間Tの時間計測を停止する(ステップS5)。
【0054】
次に、紙幣取扱装置1は、各超音波センサ21からの検知結果に基づいて、超音波センサ21毎に超音波の往復時間Tを制御部11によって算出する(ステップS6)。制御部11は、往復時間Tを用いて、超音波センサ21毎に距離L(L1、L2、L3)を算出し(ステップS7)、距離Lを用いて距離差|S|(|S1|、|S2|、|S3|)を算出する(ステップS8)。
【0055】
続いて、紙幣取扱装置1は、各超音波センサ21の各距離差|S|(|S1|、|S2|、|S3|)について1.0[mm]以上であるか否か(|S|≧1.0[mm])を制御部11によって判断する(ステップS9)。ステップS9において、距離差|S|が1.0[mm]以上である場合(YES)、制御部11は、紙幣束2Aに混入した異物ありと判断し(ステップS10)、搬送機構6によって紙幣束2Aを挿入口4へ戻すことで利用者へ紙幣束2Aを返却する(ステップS11)。これにより、紙幣取扱装置1は、異物3の検知を終了する(ステップS15)。
【0056】
ステップS9において、距離差|S|が1.0[mm]未満である場合(NO)、制御部11は、紙幣束2Aに混入した異物なしと判断し(ステップS12)、検知部7による異物3の有無の検知を一定時間待機する(ステップS13)。紙幣取扱装置1は、ステップS13において一定時間待機することで、搬送機構6によって紙幣束2Aを一定の搬送距離だけ搬送する。
【0057】
続いて、紙幣取扱装置1は、位置センサ23によって紙幣束2Aが検知される否か、言い換えると、紙幣束2Aが検知部7を通過したか否かを制御部11によって判断する(ステップS14)。ステップS14において紙幣束2Aが検知部7を通過した場合(YES)、紙幣取扱装置1は、異物3の検知を終了する(ステップS15)。一方、ステップS14において紙幣束2Aが検知部7を通過していない場合(NO)、紙幣取扱装置1は、再度ステップS2に戻って異物3の有無の検知を続ける。
【0058】
ここで、ステップS13において一定時間待機する待機時間について説明する。図8は、実施例において、異物3の有無の検知を、搬送路5の搬送方向(Y方向)に一定の間隔をあけて複数回、繰り返す状態を説明するための模式図である。
【0059】
本実施例では、図8に示すように、異物3が硬貨である場合に、超音波を位置P1-1に照射することで位置P1-1に異物3が存在しないことを検知したとき、位置P1-1から搬送方向(Y)に沿って硬貨の直径寸法に相当する一定の搬送距離だけ異物3が存在しないものとして取り扱う。検知部7は、位置P1-1で検知を行った後、紙幣束2Aが一定の搬送距離だけ移動する間、検知を行うことを待機し、硬貨の直径寸法分だけ紙幣束2Aが搬送された後、次の位置P1-2で検知を行う。同様に、検知部7は、位置P1-2で検知を行った後、紙幣束2Aが一定の搬送距離だけ移動する間、検知を行うことを待機し、硬貨の直径寸法分だけ紙幣束2Aが搬送された後、次の位置P1-3で検知を行う。
【0060】
このときの検知の待機時間は、例えば、硬貨の直径を30[mm]、紙幣束2Aの搬送速度を1600[mm/s]とした場合、硬貨の直径寸法に相当する一定の搬送距離だけ紙幣束2Aを搬送する搬送時間Xは、X=30[mm]/(1600[mm/s]×10)=18.8[ms]となる。
【0061】
したがって、検知部7は、紙幣束2Aが18.8[mm]送られる毎に、検知を間欠的に繰り返す。検知部7は、搬送機構6の搬送速度に基づいて制御部11によって検知を行うタイミングが制御される。
【0062】
これにより、検知部7は、紙幣束2Aの搬送方向(Y方向)の全体にわたって検知可能とすると共に、検知を行う回数を必要最小限に抑えられる。その結果、紙幣取扱装置1は、紙幣束2Aの搬送方向(Y方向)の全体にわたる異物3の検知に要する検知時間を短縮し、搬送機構6によって紙幣束2Aを搬送しながら検知を行うことが可能になる。
【0063】
(異物検知方法)
以上のように構成された実施例の紙幣取扱装置1において、紙幣束2Aに混入した異物3を検知する異物検知方法について説明する。実施例の異物検知方法は、紙幣束2Aを搬送路5に沿って搬送することと、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aの紙面2sにおける複数の位置(例えば、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3)に向けて、搬送路5に配置された複数の超音波センサ21から超音波をそれぞれ照射することと、複数の位置からの超音波の反射波に基づいて、紙幣束2Aに混入した異物3の有無を検知することと、を有する。なお、実施例の異物検知方法は、紙幣取扱装置1によって行われるが、異物検知方法における検知や紙幣束2Aの搬送の制御をコンピュータに実行させるプログラムやこのプログラムが記録された光ディスク等の記録媒体に適用されてもよい。
【0064】
(実施例の効果)
上述したように、実施例の紙幣取扱装置1は、紙幣束2Aが搬送される搬送路5と、搬送路5に配置された複数の超音波センサ21によって紙幣束2Aに混入した異物3の有無を検知する検知部7と、を備えており、検知部7が、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aの紙面2sにおける複数の位置(例えば、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3)に向けて複数の超音波センサ21から超音波をそれぞれ照射し、複数の位置からの超音波の反射波に基づいて異物3の有無を検知する。これにより、紙幣束2Aの枚数にかかわらずに異物3の有無を適正に検知することが可能になり、紙幣束2Aに混入した異物3の有無の検知精度を高めることができる。つまり、本実施例における検知部7によれば、例えば、磁気印刷等が施された紙幣束2Aに混入された異物3の有無を検知する場合に、磁気センサや、超音波の透過波を利用する超音波センサと比べて、検知精度の向上を図ることができる。
【0065】
また、実施例の紙幣取扱装置1の検知部7は、異物3の有無の検知を、紙幣束2Aの紙面2sに対して搬送路5の搬送方向(Y方向)に一定の間隔をあけて複数回、繰り返す。これにより、紙幣束2Aの紙面2sの搬送方向(Y方向)の全体にわたって検知可能となると共に、検知を適切な頻度で行うように検知回数を抑えられる。その結果、紙幣束2Aの搬送方向(Y方向)の全体にわたる異物3の検知に要する検知時間を短縮し、搬送機構6によって紙幣束2Aを搬送しながら検知を行うことが可能になる。
【0066】
また、実施例の紙幣取扱装置1は、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aをこの紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に対して押圧する複数のローラ25を有する押圧部8を備える。これにより、検知部7へ送られる紙幣束2Aの紙幣2が有する皺や折り癖によって生じた紙面2sの膨らみが抑制され、異物3による膨らみを適正に検知可能となるので、異物3の検知精度を高められる。
【0067】
また、実施例の紙幣取扱装置1における押圧部8の複数のローラ25は、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に直交する平面(X-Y平面)上において基盤目状に配置されている。これにより、検知部7へ送られる紙幣束2Aの紙幣2が有する皺や折り癖によって生じた紙面2sの膨らみが、複数のローラ25によって更に抑制され、異物3による膨らみを更に適正に検知可能となるので、異物3の検知精度を更に高められる。
【0068】
また、実施例の紙幣取扱装置1は、紙幣束2Aを搬送路5に沿って搬送する搬送機構6を備えており、搬送機構6が、紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に対してこの紙幣束2Aを挟んで搬送する一対の上シャトル部材13A及び下シャトル部材13Bを有し、押圧部8の複数のローラ25が、一対の上シャトル部材13A及び下シャトル部材13Bにおける、互いに対向する対向面(下面19と載置面20)にそれぞれ設けられている。これにより、紙幣束2Aの紙幣2が有する皺や折り癖によって生じた紙面2sの膨らみが、複数のローラ25を用いて容易に抑制され、異物3による膨らみを更に適正に検知可能となるので、異物3の検知精度を更に高められる。
【0069】
また、実施例の紙幣取扱装置1の搬送機構6は、一対の上シャトル部材13A及び下シャトル部材13Bの間に挟まれた紙幣束2Aを複数のローラ25に対して移動させる移送ベルト14を有する。これにより、紙幣束2Aの紙面2sに沿って複数のローラ25を転がしながら紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に紙幣束2Aを押圧することが可能になり、紙幣束2Aの紙幣2が有する皺や折り癖によって生じた紙面2sの膨らみが、複数のローラ25を用いて容易に抑制され、異物3による紙面2sの膨らみを更に適正に検知可能となるので、異物3の検知精度を更に高められる。
【0070】
また、実施例の紙幣取扱装置1における検知部7の複数の超音波センサ21は、搬送路5に沿って搬送される紙幣束2Aの厚さ方向(Z方向)に直交する平面(X-Y平面)上において基盤目状に配置されている。これにより、異物3の検知精度を高めると共に、紙幣束2の紙面2sの所定範囲における異物3の検知を迅速に行うことができる。
【0071】
また、実施例の紙幣取扱装置1における検知部7の複数の超音波センサ21は、周波数fが3.4[MHz]以上の超音波を紙幣束2Aの紙面2sに照射する。これにより、異物3によって膨らむ紙面2sの0.1[mm]以下の変化量を検知可能になり、硬貨等の異物3を検知するための分解能を適正に確保できる。
【符号の説明】
【0072】
1 紙幣取扱装置(紙葉類取扱装置)
2 紙幣(紙葉類)
2A 紙幣束(紙葉類の束)
2s 紙面
3 異物
5 搬送路
6 搬送機構
7 検知部
8 押圧部
13 シャトル(搬送部材)
13A 上シャトル部材(搬送部材
13B 下シャトル部材(搬送部材)
14 移送ベルト(移動部材)
21 超音波センサ
21-1 第1超音波センサ
21-2 第2超音波センサ
21-3 第3超音波センサ
25 ローラ
P1~P3 第1位置~第3位置(複数の位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8