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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-08
(45)【発行日】2025-09-17
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20250909BHJP
   B65H 35/06 20060101ALI20250909BHJP
【FI】
B41J11/70
B65H35/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021160230
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050222
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2024-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 康介
(72)【発明者】
【氏名】西川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
(72)【発明者】
【氏名】辻 拓也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 慶充
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-94784(JP,A)
【文献】特開2017-64810(JP,A)
【文献】特開2001-233543(JP,A)
【文献】特開2001-88383(JP,A)
【文献】特開2021-54607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/70
B65H 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
印刷媒体を収容する給紙トレイと、
前記給紙トレイから前記印刷媒体を取り出して搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、
前記給紙トレイの位置を検出するトレイ脱着センサと、
前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、
前記カッター交換位置は、前記給紙トレイの上方の位置に設けられており、
前記給紙トレイは、前記筐体に対して着脱可能であり、
前記制御部は、前記トレイ脱着センサの検出結果を基づき、前記給紙トレイが前記筐体に対して抜かれていることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させない印刷装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記給紙トレイから前記切断部に達する印刷媒体の搬送経路である主搬送路と、前記主搬送路を搬送される印刷媒体を反転させて前記主搬送路に戻す反転搬送路とを有し、
前記反転搬送路は、前記カッター交換位置に位置する前記切断部に対して、離間可能に構成された離間部材を備える、請求項に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記離間部材は、前記給紙トレイが前記筐体から抜かれたときに前記切断部から離間する離間動作を行う、請求項に記載の印刷装置。
【請求項4】
筐体と、
印刷媒体を収容する給紙トレイと、
前記給紙トレイから前記印刷媒体を取り出して搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、
前記筐体に対して回動可能に構成されるとともに、原稿の画像を読み取る読取部と、
前記読取部の位置を検出する読取位置検出センサと、
前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、
前記カッター交換位置は、前記給紙トレイの上方の位置に設けられており、
前記制御部は、前記読取位置検出センサの検出結果を基づき、前記読取部が前記筐体に対して回動して前記切断部を露出する露出位置にあることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させない印刷装置。
【請求項5】
筐体と、
印刷媒体を収容する給紙トレイと、
前記給紙トレイから前記印刷媒体を取り出して搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、
前記筐体の外部に突出可能に構成されるとともに、前記筐体の外部に排出される印刷媒体を収容する排紙トレイと、
前記排紙トレイの位置を検出する排紙トレイ位置検出センサと、
前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、
前記カッター交換位置は、前記給紙トレイの上方の位置に設けられており、
前記制御部は、前記排紙トレイ位置検出センサの検出結果を基づき、前記排紙トレイが前記筐体の外部に突出する突出位置にあることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させない印刷装置。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体に対して回動可能に構成されるとともに、原稿の画像を読み取る読取部と、
印刷媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、
前記読取部の位置を検出する読取位置検出センサと、
前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、
前記カッター交換位置は、前記読取部の下方の位置に設けられており、
前記制御部は、前記読取位置検出センサの検出結果を基づき、前記読取部が前記筐体に対して回動して前記切断部を露出する露出位置にあることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させない印刷装置。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体の外部に突出可能に構成されるとともに、前記筐体の外部に排出される印刷媒体を収容する排紙トレイと、
印刷媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、
前記排紙トレイの位置を検出する排紙トレイ位置検出センサと、
前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、
前記カッター交換位置は、前記排紙トレイの上方の位置に設けられており、
前記制御部は、前記排紙トレイ位置検出センサの検出結果を基づき、前記排紙トレイが前記筐体の外部に突出する突出位置にあることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させない印刷装置。
【請求項8】
前記切断方向の少なくとも一方の端部に設けられ、前記切断部が原点位置に位置しているか否かを判別する原点センサを、さらに備え、
前記制御部は、前記原点センサの検出結果を基づき、前記切断部の前記カッターの交換作業が完了したか否かについて判別する、請求項1からのいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
筐体と、
印刷媒体を収容する給紙トレイと、
前記給紙トレイから前記印刷媒体を取り出して搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、
前記搬送部により搬送されている印刷媒体の位置を検出する媒体位置検出センサと、
前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、
前記カッター交換位置は、前記給紙トレイの上方の位置に設けられており、
前記制御部は、前記媒体位置検出センサの検出結果を基づき、前記印刷媒体が前記搬送部により搬送されていることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させない印刷装置。
【請求項10】
筐体と、
前記筐体に対して回動可能に構成されるとともに、原稿の画像を読み取る読取部と、
印刷媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、
前記搬送部により搬送されている印刷媒体の位置を検出する媒体位置検出センサと、
前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、
前記カッター交換位置は、前記読取部の下方の位置に設けられており、
前記制御部は、前記媒体位置検出センサの検出結果を基づき、前記印刷媒体が前記搬送部により搬送されていることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させない印刷装置。
【請求項11】
筐体と、
前記筐体の外部に突出可能に構成されるとともに、前記筐体の外部に排出される印刷媒体を収容する排紙トレイと、
印刷媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、
前記搬送部により搬送されている印刷媒体の位置を検出する媒体位置検出センサと、
前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、
前記カッター交換位置は、前記排紙トレイの上方の位置に設けられており、
前記制御部は、前記媒体位置検出センサの検出結果を基づき、前記印刷媒体が前記搬送部により搬送されていることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させない印刷装置。
【請求項12】
前記切断部の位置を検出するエンコーダを、さらに備え、
前記制御部は、前記エンコーダの検出結果を基づき、前記切断部の位置を制御する、請求項1から11のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記筐体の内部で前記搬送部よりも前記搬送方向の下流側に設けられるとともに、前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を前記筐体内の所定位置に案内する2つのリブを有するロアーカバーを、さらに備え、
前記カッター交換位置は、前記2つのリブの間の位置に設定されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記カッター交換位置は、前記切断方向の中央部に設定されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置等の印刷装置には、印刷媒体を切断するカッターを備えた切断部を実装したものがある。また、特許文献1には、所定のカッター交換位置に切断部を移動させて、劣化したカッターの交換作業を可能とした印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-88383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の印刷装置では、通常、カッターの交換作業を行うための専用の作業スペースを確保していた。具体的にいえば、上記特許文献1に記載の従来の印刷装置では、カッターの交換作業を行うために、印刷媒体を下方から支持する下部紙ガイドに対して、ユーザの手が挿入可能な切り欠き部を専用の作業スペースとして形成していた。
【0005】
ところで、上記従来の印刷装置は、例えば、床面上に設置する、大型の印刷装置なので、上述の専用の作業スペースを確保し易かった。
【0006】
これに対し、例えば、卓上に設置されるような小型の印刷装置では、上記のような作業スペースを確保した場合に、印刷装置の大型化を抑えることができないという問題を発生することがあった。
【0007】
本開示は、作業スペースを確保した場合でも、カッターの交換作業を実施することができるコンパクトな印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様の印刷装置は、筐体と、印刷媒体を収容する給紙トレイと、前記給紙トレイから前記印刷媒体を取り出して搬送方向に沿って搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、前記カッター交換位置は、前記給紙トレイの上方の位置に設けられている。
【0009】
上記構成によれば、カッター交換位置は給紙トレイの上方の位置に設けられているので、給紙トレイ上方のスペースを切断部のカッターの交換作業のスペースとして活用することができる。これにより、作業スペースを確保した場合でも、カッターの交換作業を実施することができるコンパクトな印刷装置を構成することができる。
【0010】
本開示の第2態様は、第1態様の印刷装置であって、前記給紙トレイは、前記筐体に対して着脱可能であってもよい。
【0011】
上記構成によれば、筐体から給紙トレイを抜くことにより、上記作業スペースを容易に確保することができ、カッターの交換作業を簡単に実施することができる。
【0012】
本開示の第3態様は、第1態様または第2態様の印刷装置であって、前記給紙トレイの位置を検出するトレイ脱着センサを、さらに備え、前記制御部は、前記トレイ脱着センサの検出結果を基づき、前記給紙トレイが前記筐体に対して抜かれていることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させなくてもよい。
【0013】
上記構成によれば、給紙トレイが筐体に対して抜かれている場合にユーザが筐体内に手を差し入れたときでも、カッターにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。これにより、優れた安全性を有する印刷装置を構成することができる。
【0014】
本開示の第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つの印刷装置であって、前記搬送部は、前記給紙トレイから前記切断部に達する印刷媒体の搬送経路である主搬送路と、前記主搬送路を搬送される印刷媒体を反転させて前記主搬送路に戻す反転搬送路とを有し、前記反転搬送路は、前記カッター交換位置に位置する前記切断部に対して、離間可能に構成された離間部材を備えてもよい。
【0015】
上記構成によれば、切断部に対して離間部材を離間することによって、カッターの交換作業の作業スペースを大きくすることができ、カッターの交換作業を容易に行うことができる。
【0016】
本開示の第5態様は、第4態様の印刷装置であって、前記離間部材は、前記給紙トレイが前記筐体から抜かれたときに前記切断部から離間する離間動作を行ってもよい。
【0017】
上記構成によれば、上記離間動作が給紙トレイの動作に連動して行われるので、カッターの交換作業の作業スペースを自動的に大きくすることができ、カッターの交換作業をより容易に行うことができる。
【0018】
本開示の第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つの印刷装置であって、前記筐体に対して回動可能に構成されるとともに、原稿の画像を読み取る読取部と、前記読取部の位置を検出する読取位置検出センサを、さらに備え、前記制御部は、前記読取位置検出センサの検出結果を基づき、前記読取部が前記筐体に対して回動して前記切断部を露出する露出位置にあることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させなくてもよい。
【0019】
上記構成によれば、読取部が回動して切断部を露出している場合に切断部をカッター交換位置に移動させないので、ユーザが筐体内に手を差し入れたときでも、カッターにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。これにより、優れた安全性を有する印刷装置を構成することができる。
【0020】
本開示の第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1つの印刷装置であって、前記筐体の外部に突出可能に構成されるとともに、前記筐体の外部に排出される印刷媒体を収容する排紙トレイと、前記排紙トレイの位置を検出する排紙トレイ位置検出センサを、さらに備え、前記制御部は、前記排紙トレイ位置検出センサの検出結果を基づき、前記排紙トレイが前記筐体の外部に突出する突出位置にあることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させなくてもよい。
【0021】
上記構成によれば、排紙トレイが筐体の外部に突出する突出位置にある場合に切断部をカッター交換位置に移動させないので、ユーザが筐体内に手を差し入れたときでも、カッターにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。これにより、優れた安全性を有する印刷装置を構成することができる。
【0022】
本開示の第8態様の印刷装置は、筐体と、前記筐体に対して回動可能に構成されるとともに、原稿の画像を読み取る読取部と、印刷媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、前記カッター交換位置は、前記読取部の下方の位置に設けられている。
【0023】
上記構成によれば、カッター交換位置は読取部の下方の位置に設けられているので、読取部を筐体に対して回動させて切断部を外部に露出させたときに、切断部上方のスペースを切断部のカッターの交換作業のスペースとして活用することができる。これにより、作業スペースを確保した場合でも、カッターの交換作業を実施することができるコンパクトな印刷装置を構成することができる。
【0024】
本開示の第9態様は、第8態様の印刷装置であって、前記読取部の位置を検出する読取位置検出センサを、さらに備え、前記制御部は、前記読取位置検出センサの検出結果を基づき、前記読取部が前記筐体に対して回動して前記切断部を露出する露出位置にあることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させなくてもよい。
【0025】
上記構成によれば、読取部が回動して切断部を露出している場合に切断部をカッター交換位置に移動させないので、ユーザが筐体内に手を差し入れたときでも、カッターにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。これにより、優れた安全性を有する印刷装置を構成することができる。
【0026】
本開示の第10態様の印刷装置は、筐体と、前記筐体の外部に突出可能に構成されるとともに、前記筐体の外部に排出される印刷媒体を収容する排紙トレイと、印刷媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体に印刷する印刷部と、前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を切断するカッターを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部と、前記カッターを交換可能なカッター交換位置に前記切断部を移動させる制御部と、を備え、前記カッター交換位置は、前記排紙トレイの上方の位置に設けられている。
【0027】
上記構成によれば、カッター交換位置は排紙トレイの上方の位置に設けられているので、排紙トレイ上方のスペースを切断部のカッターの交換作業のスペースとして活用することができる。これにより、作業スペースを確保した場合でも、カッターの交換作業を実施することができるコンパクトな印刷装置を構成することができる。
【0028】
本開示の第11態様は、第10態様の印刷装置であって、前記排紙トレイの位置を検出する排紙トレイ位置検出センサを、さらに備え、前記制御部は、前記排紙トレイ位置検出センサの検出結果を基づき、前記排紙トレイが前記筐体の外部に突出する突出位置にあることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させなくてもよい。
【0029】
上記構成によれば、排紙トレイが筐体の外部に突出する突出位置にある場合に切断部をカッター交換位置に移動させないので、ユーザが筐体内に手を差し入れたときでも、カッターにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。これにより、優れた安全性を有する印刷装置を構成することができる。
【0030】
本開示の第12態様は、第1態様から第11態様のいずれか1つの印刷装置であって、前記切断方向の少なくとも一方の端部に設けられ、前記切断部が原点位置に位置しているか否かを判別する原点センサを、さらに備え、前記制御部は、前記原点センサの検出結果を基づき、前記切断部の前記カッターの交換作業が完了したか否かについて判別してもよい。
【0031】
上記構成によれば、カッターの交換作業が完了したか否かについて判別されるので、切断部による切断動作を実施可能か否かについて即座に判断することが可能となる。これにより、切断部による切断動作を適切に行わせることができる。
【0032】
本開示の第13態様は、第1態様から第12態様のいずれか1つの印刷装置であって、前記搬送部により搬送されている印刷媒体の位置を検出する媒体位置検出センサを、さらに備え、前記制御部は、前記媒体位置検出センサの検出結果を基づき、前記印刷媒体が前記搬送部により搬送されていることを判別した場合に、前記切断部を前記カッター交換位置に移動させなくてもよい。
【0033】
上記構成によれば、印刷媒体が搬送部によって搬送されている場合に切断部をカッター交換位置に移動させないので、搬送中の印刷媒体によってカッターの交換作業が阻害されるのを極力抑えることができ、交換作業の作業性を向上させることができる。
【0034】
本開示の第14態様は、第1態様から第13態様のいずれか1つの印刷装置であって、前記切断部の位置を検出するエンコーダを、さらに備え、前記制御部は、前記エンコーダの検出結果を基づき、前記切断部の位置を制御してもよい。
【0035】
上記構成によれば、制御部は切断部の位置制御を精度よく行うことができ、カッター交換位置に高精度に位置決めすることが可能となってカッターの交換作業をより容易に実施することができる。
【0036】
本開示の第15態様は、第1態様から第14態様のいずれか1つの印刷装置であって、前記筐体の内部で前記搬送部よりも前記搬送方向の下流側に設けられるとともに、前記搬送部により搬送されてきた前記印刷媒体を前記筐体内の所定位置に案内する2つのリブを有するロアーカバーを、さらに備え、前記カッター交換位置は、前記2つのリブの間の位置に設定されてもよい。
【0037】
上記構成によれば、印刷が施された印刷媒体を上記所定位置に適切に案内する場合でも、カッターの交換作業を容易に実施することが可能となる。
【0038】
本開示の第16態様は、第1態様から第15態様のいずれか1つの印刷装置であって、前記カッター交換位置は、前記切断方向の中央部に設定されてもよい。
【0039】
上記構成によれば、カッター交換位置が筐体の一方向(幅方向)の中央部に設定されることとなり、カッターの交換作業を容易に実施することが可能となる。
【発明の効果】
【0040】
本開示の一態様によれば、作業スペースを確保した場合でも、カッターの交換作業を実施することができるコンパクトな印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本開示の実施形態1に係る印刷装置の外観を示す斜視図である。
図2図1に示した印刷装置の内部構成を示す断面図である。
図3】上記印刷装置の要部構成を示す平面図である。
図4】上記印刷装置が備える制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】本開示の実施形態2に係る印刷装置の内部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について図1図2を参照しつつ説明する。図1は、本開示の実施形態1に係る印刷装置1の外観を示す斜視図である。図2は、図1に示した印刷装置1の内部構成を示す断面図である。尚、以下の説明では、印刷装置1として、モノクロ画像の印刷処理を行うモノクロプリンタを例示するが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、フルカラー画像の印刷処理を行うカラープリンタであってもよい。
【0043】
また、印刷装置1は、例えば、スキャン機能、プリント機能、コピー機能、及びファックス機能などの複数の機能を有する複合機(MFP:Multifunction Printer)である。また、以下の説明では、印刷装置1が使用可能に設置された図1の状態を基準として、印刷装置1の上下、左右および前後の各方向を定義している。
【0044】
〔印刷装置1の概要〕
図1に示すように、印刷装置1は、概略直方体形状の外容器を有し、本開示の印刷媒体の一例である印刷用紙16に対して、例えば、インクを吐出することにより、印刷処理を施すインクジェット方式のプリンタを構成している。尚、この説明以外に、印刷装置1は、例えば、電子写真方式にて印刷用紙16に画像を記録するレーザプリンタであってもよい。また、印刷媒体としては、印刷用紙16などの紙媒体に限らず、他にも、例えばOHPシート等のプラスチックからなる樹脂媒体であってもよい。
【0045】
図1に示すように、印刷装置1は、下部に給紙トレイ11を備え、印刷装置1の外容器を構成する筐体12を有する。給紙トレイ11の上には排紙トレイ13が設けられ、排紙トレイ13の上は開口14が形成されている。また、排紙トレイ13の上には、スキャナユニット73が設けられている。
【0046】
〔印刷装置1の内部構成〕
図2に示すように、印刷装置1は、筐体本体12Aの内部に、上記給紙トレイ11、上記排紙トレイ13、及び搬送部15を備えている。給紙トレイ11は、筐体本体12Aに対して着脱可能に取り付けられており、印刷用紙16を収容する。搬送部15は、給紙トレイ11から印刷用紙16を取り出して搬送方向に沿って搬送する。
【0047】
具体的には、搬送部15は、給紙トレイ11から切断部10を経て排紙トレイ13へ達する、印刷用紙16の搬送経路である主搬送路151及び主搬送路151から分岐した反転搬送路152を有する。搬送部15は、給紙トレイ11から取り込んだ印刷用紙16を主搬送路151によって主搬送路151の終端位置まで搬送し、主搬送路151から排紙トレイ13上に排出する。あるいは、搬送部15は、主搬送路151によって搬送する印刷用紙16を反転搬送路152によって反転させた後に主搬送路151に戻し、同様に、主搬送路151から排紙トレイ13上に排出する。
【0048】
また、搬送部15は、給紙トレイ11の上に設けられた給送ローラ17によって、給紙トレイ11の印刷用紙16を主搬送路151に取り込む。主搬送路151は、給紙トレイ11側の始端部付近から半円の円弧状に前方向に向かって湾曲している。
【0049】
給紙トレイ11から排紙トレイ13までの間の主搬送路151には、印刷用紙16の搬送方向の上流側(以下、単に上流側と称する)から印刷用紙16の搬送方向の下流側(以下、単に下流側と称する)へ向かって、後端センサ18、一対の第1搬送ローラ19、先端センサ20、印刷部21、一対の第2搬送ローラ22、一対の第3搬送ローラ23、切断部10、及び一対の第4搬送ローラ25が設けられている。
【0050】
第1搬送ローラ19は、印刷部21の直前の上流側に位置する。第2搬送ローラ22は、印刷部21と反転搬送路152の上流側端部との間に位置する。第3搬送ローラ23は、反転搬送路152の上流側端部と切断部10との間に位置する。第4搬送ローラ25は、切断部10と主搬送路151の下流側端部との間に位置し、印刷用紙16を排紙トレイ13上へ排出する排出ローラとしての機能を有する。
【0051】
後端センサ18は、主搬送路151を搬送される印刷用紙16の後端を検知する。先端センサ20は、主搬送路151を搬送される印刷用紙16の先端を検知する。これらの後端センサ18と先端センサ20とは、主搬送路151上で第1搬送ローラ19を挟むように設けられており、搬送部15によって印刷部21に向かって搬送される印刷用紙16の有無を検出するように構成されている。すなわち、これらの後端センサ18と先端センサ20とは、搬送部15により搬送されている印刷用紙16の位置を検出する、後述の媒体位置検出センサとしても機能させることが可能である。
【0052】
印刷部21は、搬送部15により搬送されてきた印刷用紙16に印刷処理を実行する。具体的には、印刷部21は、インクジェット方式の記録ヘッド211を有し、記録ヘッド211により印刷用紙16に画像を印刷する。
【0053】
切断部10は、搬送部15により搬送されてきた印刷用紙16を切断するカッター(切断刃)10A及び10Bを有するとともに、切断方向に移動可能なカッターキャリッジを含んでいる。具体的にいえば、切断部10では、カッター10A及び10Bの一方が他方に対して近接した状態で、搬送部15による搬送方向と直交する切断方向に移動することにより、印刷用紙16を搬送方向の上流側および下流側の部分に分断するように切断する。
【0054】
また、切断部10では、少なくとも一方のカッター10A及び10Bが劣化した場合に、給紙トレイ11の上方に位置に設けられている、カッター交換位置において、劣化したカッター10A及び/または10B(以下、カッター10Kと略称する)を交換可能に構成されている(詳細は後述。)。
【0055】
反転搬送路152は、上流側端部が一対の第3搬送ローラ23の上流側に位置し、下流側端部が主搬送路151の始端部付近に位置する。反転搬送路152の上流側端部には第1フラップ26が設けられ、下流側端部には第2フラップ27が設けられている。第1フラップ26および第2フラップ27は、印刷用紙16の搬送方向を切り替えるように動作する。反転搬送路152には一対の第5搬送ローラ28が設けられている。第1~第5搬送ローラ19,22,23,25,28は、印刷用紙16を挟持し搬送する。
【0056】
上記のように、反転搬送路152を設けることにより、印刷装置1では、印刷用紙16に対して、印刷部21による両面印刷を施すことができるように構成されている。
【0057】
また、反転搬送路152は、上記カッター交換位置に位置する切断部10に対して、離間可能に構成された離間部材152Aを備えている。具体的には、本実施形態では、離間部材152Aは、反転搬送路152の下流側の端部(図2の左側の端部)に設けられた回動軸(図示せず)により軸支されており、反転搬送路152の上流側の端部(図2の右側の端部)が上記回動軸を中心に回動して筐体本体12Aの下側に移動することにより、切断部10に対して離間するよう構成されている。
【0058】
排紙トレイ13は、筐体12の外部に突出可能に構成されるとともに、筐体12の外部に排出される印刷用紙116を収容する。排紙トレイ13の上方には、ロアーカバー131が筐体本体12Aに設けられている。つまり、ロアーカバー131は、筐体12の内部で搬送部15よりも搬送方向の下流側に設けられるとともに、搬送部15により搬送されてきた印刷用紙16を、筐体12内の所定位置としての排紙トレイ13に案内する2つのリブ131Aを有している。
【0059】
尚、上記の説明以外に、給紙トレイ11と同様に、筐体12に対して排紙トレイ13を着脱可能に構成してもよい。
【0060】
スキャナユニット73は、筐体12に対して回動可能に構成されるとともに、原稿の画像を読み取る読取部の一例である。具体的には、スキャナユニット73は、スキャナユニット本体73Aと、スキャナユニット本体73A上に設けられたカバー73Bとを備えている。スキャナユニット本体73Aは、回動部材73Dを介して筐体本体12Aに取り付けられており、回動部材73Dを中心として筐体12に対して回動することにより筐体本体12Aの内部構成を露出可能となっている。
【0061】
スキャナユニット本体73Aでは、ガラスプラテン73Cが設けられており、画像の読取対象の原稿がガラスプラテン73C上に載置されて読取動作が行われるよう構成されている。カバー73Bは、回動部材73Eを介在させてスキャナユニット本体73Aに対して回動可能に構成されており、スキャナユニット本体73Aから回動してスキャナユニット73Aに対して開状態とすることにより、ガラスプラテン73C上に原稿を載置可能となっている。また、カバー73Bには、図示しない自動原稿送り装置が設けられており、カバー73Bがスキャナユニット73Aに対して閉状態のときに上記自動原稿送り装置により原稿をガラスプラテン73C上に載置可能となっている。
【0062】
〔印刷装置1の要部構成〕
次に、図3及び図4も参照して、本実施形態の印刷装置1の要部構成について具体的に説明する。図3は、上記印刷装置1の要部構成を示す平面図である。図4は、上記印刷装置1が備える制御装置4の構成を示すブロック図である。尚、図3では、給紙トレイ11及び排紙トレイ13は、各々筐体12の外部に取り出される先端部のみを図示している。
【0063】
図3に示すように、本実施形態の印刷装置1では、切断部10は筐体12の内部で切断方向に設けられたガイドレール10Cに沿って移動可能に構成されている。具体的には、切断部10は、制御部71(図4)の指示に従って、不図示のモータが駆動することにより、上記切断方向に移動しつつ、搬送部15によって搬送されてきた印刷用紙16を切断する。
【0064】
ガイドレール10Cの一方の端部には、切断部10の位置を検出するエンコーダ42が設けられている。エンコーダ42は、切断部10を駆動する上記モータの回転量を検出して制御部71に出力することで切断方向での切断部10の位置が検知されるようになっている。このように、本実施形態では、エンコーダ42の検出結果が用いられるので、制御部71は切断部10の位置制御を精度よく行うことができる。この結果、本実施形態では、後述のカッター交換位置に切断部10を高精度に位置決めすることが可能となってカッターKの交換作業をより容易に実施することができる。
【0065】
ガイドレール10Cの他方の端部には、原点センサ65が設けられている。原点センサ65は、切断部10が予め定められた初期位置である、原点位置に位置しているか否かを判別する。原点センサ65は、その判別結果を制御部71に出力することで切断部10が切断動作または後述のカッター交換位置でのカッターKの交換作業を完了して原点位置に戻ったか否かについて検知されるようになっている。
【0066】
上記のように、本実施形態では、原点センサ65の検出結果を用いることにより、カッターKの交換作業が完了したか否かについて判別されるので、切断部10による切断動作を実施可能か否かについて即座に判断することが可能となる。これにより、本実施形態では、切断部10による切断動作を適切に行わせることができる。
【0067】
尚、上記の説明以外に、原点位置として切断方向の両方の端部(つまり、ガイドレール10Cの一方及び他方の端部)に設定する構成でもよい。この場合、2つの原点センサ65が、切断方向の両方の端部にそれぞれ設けられる。
【0068】
〔カッター交換位置〕
また、切断部10は、制御部71の指示に従って、カッター10Kを交換可能なカッター交換位置に移動される。具体的にいえば、本実施形態の印刷装置1では、カッター交換位置は、図3に示すように、給紙トレイ11の上方の位置において、2つのリブ131Aの間の位置であって上記切断方向の中央部の位置に設定されている。
【0069】
〔制御装置4の構成〕
本実施形態の印刷装置1は、図4に示す制御装置4を備えており、印刷装置1の各部は制御装置4によって制御される。また、制御装置4は、印刷装置1の各部を制御するコントローラとしての制御部71を備えている。制御部71には、給送ローラ17と、第1~第5搬送ローラ19,22,23,25,28と、後端センサ18と、先端センサ20と、印刷部21と、切断部10と、第1~第2フラップ26,27と、エンコーダ42と、操作部53とが接続されている。
【0070】
また、制御部71は、給送ローラ17、及び第1~第5搬送ローラ19,22,23,25,28、並びに第1~第2フラップ26,27の各々について、これらを駆動する1または複数のモータ等の駆動部材(不図示)の制御を行うことにより、これらの各動作を制御する。
【0071】
第1~第2フラップ26,27は、制御部71の制御により、反転案内位置(図2の実線位置)及び退避位置(図2の破線位置)に駆動される。反転案内位置は、第3搬送ローラ23の逆回転により逆方向に搬送される印刷用紙16を第1フラップ26が主搬送路151から反転搬送路152へ案内し、かつ第2フラップ27が反転搬送路152から主搬送路151へ案内する位置である。退避位置は、主搬送路151における給紙トレイ11から排紙トレイ13へ向かう印刷用紙16の搬送を第1~第2フラップ26,27が妨げない位置である。
【0072】
また、第1~第5搬送ローラ19,22,23,25,28には、例えば、ロータリエンコーダが適宜設置されており、対応する第1~第5搬送ローラ19,22,23,25,28の回転量を検出して制御部71に出力するようになっている。制御部71は、ロータリエンコーダからの検出結果を基に対応する第1~第5搬送ローラ19,22,23,25,28による印刷用紙16の搬送量を検知して、更には、主搬送路151における印刷用紙16の位置を検知する。すなわち、上記ロータリエンコーダは、搬送部15により搬送されている印刷用紙16の位置を検出する、媒体位置検出センサ64としても機能させることが可能である。
【0073】
また、制御部71は、後端センサ18の検出結果、先端センサ20の検出結果、及び上記ロータリエンコーダの検出結果を基に、切断部10での印刷用紙16の切断動作を精度よく行うことができるように構成されている。具体的には、制御部71は、先端センサ20が印刷用紙16の先端を検知してから後端センサ18が印刷用紙16の後端を検知するまでの印刷用紙16の搬送量に基づいて印刷用紙長を決定する。そして、制御部71は、決定した印刷用紙長に基づいて、切断部10に切断動作を行わせることにより、印刷用紙16を所望の印刷用紙長の所定位置にて精度よく切断することができる。
【0074】
また、制御部71には、トレイ脱着センサ61と、排紙トレイ位置検出センサ62と、スキャナ位置検出センサ63と、媒体位置検出センサ64と、原点センサ65と、メインユニット72と、スキャナユニット73と、記憶部43とが接続されている。また、制御部71には、図示を省略した表示部が接続されており、ユーザに対して、印刷装置1の状態や動作状況などの所定情報の表示を行うようになっている。また、制御部71には、図示を省略した通信部が接続されており、制御部71は、通信部を介在させて有線形式または無線形式のネットワークを介して印刷装置1の外部の機器(例えば、コンピュータ端末)との間で双方向のデータ通信を行うように構成されている。
【0075】
また、制御部71は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)などのマイクロコンピュータを有する。制御部71は、種々の処理を実行することによって、印刷装置1に印刷処理及びそれに付随する処理を行わせる。また、制御部71は、切断部10による印刷用紙16の切断動作、及び切断部10のカッターKの交換作業などのメンテナンス作業を適切に行わせるように構成されている(詳細は後述。)。
【0076】
なお、制御部71は、CPU等のプロセッサを備えてもよい。この場合、記憶部43に印刷制御方法を実現する制御プログラムが記憶されていてもよい。そして、制御部71のプロセッサが、記憶部43が記憶する制御プログラムにしたがって動作することにより、印刷装置1における印刷処理が実行されてもよい。
【0077】
また、制御部71自体が、制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えていてもよい。記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、磁気ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、制御プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを利用してもよい。
【0078】
また、制御プログラムは、制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。
【0079】
記憶部43は、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリである。記憶部43は、RAMまたはNVM(不揮発性メモリ)である。記憶部43には、印刷枚数等の所定の情報が記憶される。更に、記憶部43には、切断部10での切断動作の実施回数が所定の情報として記憶される。
【0080】
操作部53は、操作ボタン等の所定の操作部材が設けられており、ユーザによって操作されることにより、印刷装置1に対するユーザからの指示を受付け、制御部71に通知する。尚、この説明以外に、上記表示部にタッチパネルを用いることにより、タッチパネルを操作部53として機能させてもよい。
【0081】
トレイ脱着センサ61は、筐体本体12Aに設けられるとともに、給紙トレイ11の位置を検出して制御部71に出力するようになっている。具体的にいえば、トレイ脱着センサ61は、給紙トレイ11が筐体12に対して抜かれているか否かについて検出する。
【0082】
排紙トレイ位置検出センサ62は、筐体本体12Aに設けられるとともに、排紙トレイ13の位置を検出して制御部71に出力するようになっている。具体的にいえば、排紙トレイ位置検出センサ62は、排紙トレイ13が筐体12の外部に突出する突出位置にある否かについて検出する。
【0083】
スキャナ位置検出センサ63は、筐体12に設けられるとともに、スキャナユニット(読取部)73の位置を検出して制御部71に出力するようになっている。具体的にいえば、スキャナ位置検出センサ63は、スキャナユニット73が筐体12に対して回動して筐体本体12Aの内部を開放して切断部10を露出する露出位置にあるか否かについて検出する。尚、スキャナ位置検出センサ63は、読取位置検出センサの一例である。
【0084】
媒体位置検出センサ64は、筐体本体12Aに設けられるとともに、搬送部15により搬送されている印刷用紙16の位置を検出して制御部71に出力するようになっている。具体的にいえば、媒体位置検出センサ64は、切断部10の上流側及び下流側の少なくとも一方側に設けられており、切断部10による切断処理前の印刷用紙16及び切断処理後の印刷用紙16が主搬送路151に存在するか否かについて検出する。
【0085】
メインユニット72は、印刷装置1の主要な機能である、プリント機能及びコピー機能での各印刷処理を実行するユニットであり、筐体本体12Aの内部に収容されている印刷装置1の要部構成を含んでいる。
【0086】
〔印刷装置1の動作〕
以下、本実施形態の印刷装置1の動作について具体的に説明する。尚、以下の説明では、カッターKの交換作業に関する動作を主に説明する。
【0087】
制御部71は、記憶部43を参照することにより、切断部10での切断動作の実施回数が予め定められた交換回数以上となったことを判別すると、制御部71は、例えば、上記表示部においてカッターKの交換作業を促す表示を行わせることにより、ユーザに対して、劣化したカッターKの交換作業の実施許諾を求める。
【0088】
その後、制御部71は、例えば、操作部53へのユーザの操作によってカッターKの交換作業の実施が指示されたことを判別すると、制御部71は、トレイ脱着センサ61、排紙トレイ位置検出センサ62、スキャナ位置検出センサ63、及び媒体位置検出センサ64からの各検出結果に基づき、図3に示したカッター交換位置に切断部10を移動させるか否かを判断する。つまり、制御部71は、カッターKの交換作業を実施させるかどうかについて判断する。
【0089】
具体的にいえば、制御部71は、トレイ脱着センサ61からの検出結果を基に給紙トレイ11が筐体12に対して抜かれていないことを判別し、排紙トレイ位置検出センサ62からの検出結果を基に排紙トレイ13が筐体12の外部に突出する突出位置にないことを判別し、スキャナ位置検出センサ63からの検出結果を基にスキャナユニット73が筐体12に対して回動して切断部10を露出する露出位置にないことを判別し、かつ、媒体位置検出センサ64からの検出結果を基に印刷用紙16が搬送部15より搬送されていないことを判別した場合において、カッター交換位置に切断部10を移動させる。そして、制御部71は、ユーザによるカッターKの交換作業を実施可能とさせる。
【0090】
また、カッターKの交換作業の際に、離間部材152Aでは、反転搬送路152の上流側の端部(図2の右側の端部)が筐体本体12Aの下側に移動して、切断部10に対して離間する。これにより、本実施形態では、カッターKの交換作業の作業スペースを大きくすることができ、カッターKの交換作業を容易に行うことができる。
【0091】
また、離間部材152Aの離間動作は、給紙トレイ11が筐体12から抜かれたときに連動して行われる。つまり、筐体本体12Aには、給紙トレイ11の抜き動作に応じて、離間部材152Aの上記上流側の端部(自由端)が係止状態から回動可能とする係止部(不図示)が設けられている。そして、本実施形態では、離間部材152Aの離間動作が給紙トレイ11の動作に連動して行われるので、カッターKの交換作業の作業スペースを自動的に大きくすることができ、カッターKの交換作業をより容易に行うことができる。
【0092】
尚、上記の説明以外に、離間部材152Aにおいて、反転搬送路152の下流側の端部(図2の左側の端部)が筐体本体12Aの下側に移動して、切断部10に対して離間する構成でもよい。
【0093】
一方、制御部71は、トレイ脱着センサ61からの検出結果を基に給紙トレイ11が筐体12に対して抜かれていることを判別した場合に、制御部71は、切断部10をカッター交換位置に移動させない。これにより、本実施形態では、給紙トレイ11が筐体12に対して抜かれている場合にユーザが筐体12内に手を差し入れたときでも、カッターKにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。この結果、本実施形態では、優れた安全性を有する印刷装置1を構成することができる。
【0094】
但し、本実施形態では、給紙トレイ11は筐体12に対して着脱可能に構成されているので、ユーザ側でカッターKに対する十分な配慮が行われて、例えば、操作部53がユーザから切断部10のカッター交換位置への移動指示を受付けた場合に、制御部71は、カッター交換位置に切断部10を移動させる。これにより、本実施形態では、筐体12から給紙トレイ11を抜くことにより、カッターKの交換作業の作業スペースを容易に確保することができ、カッターKの交換作業を簡単に実施することが可能となる。
【0095】
また、制御部71は、排紙トレイ位置検出センサ62の検出結果を基に排紙トレイ13が筐体12の外部に突出する突出位置にあることを判別した場合に、制御部71は、切断部10をカッター交換位置に移動させない。これにより、本実施形態では、ユーザが筐体12内に手を差し入れたときでも、カッターKにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。この結果、本実施形態では、優れた安全性を有する印刷装置1を構成することができる。
【0096】
また、制御部71は、スキャナ位置検出センサ63の検出結果を基にスキャナユニット73が筐体12に対して回動して切断部10を露出する露出位置にあることを判別した場合に、制御部71は、切断部10をカッター交換位置に移動させない。これにより、本実施形態では、ユーザが筐体12内に手を差し入れたときでも、カッターKにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。この結果、本実施形態では、優れた安全性を有する印刷装置1を構成することができる。
【0097】
また、制御部71は、媒体位置検出センサ64の検出結果を基に印刷用紙16が搬送部15により搬送されていることを判別した場合に、制御部71は、切断部10をカッター交換位置に移動させない。これにより、本実施形態では、搬送中の印刷用紙16によってカッターKの交換作業が阻害されるのを極力抑えることができ、交換作業の作業性を向上させることができる。
【0098】
尚、上記の説明以外に、例えば、ユーザが操作部53を操作することにより、切断動作の実施回数が上記交換回数に達する前に、制御部71に対して、カッターKの交換作業の実施を指示する構成でもよい。
【0099】
また、上記のように制御部71がカッター交換位置に切断部10を移動させないと判断した後に、例えば、操作部53がユーザから切断部10のカッター交換位置への移動指示を受付けた場合には、制御部71は、ユーザの指示に応じて、カッター交換位置に切断部10を移動させる。
【0100】
以上のように、本実施形態の印刷装置1では、給紙トレイ11と、印刷用紙16を切断するカッター10A及び10Bを有するとともに、切断方向に移動可能に構成された切断部10と、カッター10A及び/または10B(カッターK)を交換可能なカッター交換位置に切断部10を移動させる制御部71と、を備える。カッター交換位置は、給紙トレイ11の上方の位置に設けられている。これにより、本実施形態では、給紙トレイ11上方のスペースであって、搬送部15によって搬送される印刷用紙16が通過する、筐体12の幅方向の中央のスペースを切断部10のカッターKの交換作業のスペースとして有効に活用することができる。この結果、本実施形態では、作業スペースを確保した場合でも、カッターKの交換作業を実施することができるコンパクトな印刷装置1を構成することができる。従って、本実施形態では、例えば、卓上に設置可能な小型の印刷装置1を構成した場合でも、カッターKの交換作業を容易に行うことができる。
【0101】
尚、カッターKの交換作業のスペースとして給紙トレイ11から外れた位置に設定した比較例では、その比較例での幅寸法が大きくなったり、構造が複雑化したりすることがある。
【0102】
また、本実施形態では、カッター交換位置が2つのリブ131Aの間の位置に設定されているので、印刷が施された印刷用紙16を排紙トレイ13に適切に案内する場合でも、カッターKの交換作業を容易に実施することが可能となる。
【0103】
また、本実施形態では、カッター交換位置は切断部10の切断方向の中央部に設定されているので、カッター交換位置が筐体12の一方向(幅方向)の中央部に設定されることとなり、カッターKの交換作業を容易に実施することが可能となる。
【0104】
〔変形例〕
本変形例では、図2において、カッター交換位置は、スキャナユニット(読取部)73の下方の位置に設けられている。すなわち、本変形例では、スキャナユニット73を筐体12に対して回動させて切断部10を外部に露出させたときに、切断部10上方のスペースを切断部10のカッターKの交換作業のスペースとして活用することができる。これにより、本変形例では、作業スペースを確保した場合でも、カッターKの交換作業を実施することができるコンパクトな印刷装置1を構成することができる。
【0105】
また、本変形例では、制御部71は、スキャナ位置検出センサ63の検出結果を基にスキャナユニット73が筐体12に対して回動して切断部10を露出する露出位置にあることを判別した場合に、制御部71は、切断部10をカッター交換位置に移動させない。これにより、本変形例では、ユーザが筐体12内に手を差し入れたときでも、カッターKにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。この結果、本変形例では、優れた安全性を有する印刷装置1を構成することができる。
【0106】
但し、本変形例では、実施形態1と同様に、ユーザ側でカッターKに対する十分な配慮が行われて、例えば、操作部53がユーザから切断部10のカッター交換位置への移動指示を受付けた場合に、制御部71は、カッター交換位置に切断部10を移動させる。
【0107】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0108】
図5は、本開示の実施形態2に係る印刷装置の内部構成を示す断面図である。
【0109】
図5において、本実施形態と上記実施形態1との相違点は、排紙トレイ13の上方の位置にカッター交換位置を設けた点である。
【0110】
図5に示すように、本実施形態の印刷装置1では、切断部10は第4搬送ローラ25の下流側に配置されている。また、切断部10のカッターKの交換位置は、図3に示したように、排紙トレイ13の上方の位置において、2つのリブ131Aの間の位置であって上記切断方向の中央部の位置に設定されている。これにより、本実施形態では、実施形態1と同様に、排紙トレイ13上方のスペースを切断部10のカッターKの交換作業のスペースとして活用することができる。この結果、本実施形態では、作業スペースを確保した場合でも、カッターKの交換作業を実施することができるコンパクトな印刷装置1を構成することができる。
【0111】
また、本実施形態では、制御部71は、排紙トレイ位置検出センサ62の検出結果を基に排紙トレイ13が筐体12の外部に突出する突出位置にあることを判別した場合に、制御部71は、切断部10をカッター交換位置に移動させない。これにより、本実施形態では、ユーザが筐体12内に手を差し入れたときでも、カッターKにより傷等が生じるのを確実に抑制することができる。この結果、本実施形態では、優れた安全性を有する印刷装置1を構成することができる。
【0112】
但し、本実施形態では、実施形態1と同様に、ユーザ側でカッターKに対する十分な配慮が行われて、例えば、操作部53がユーザから切断部10のカッター交換位置への移動指示を受付けた場合に、制御部71は、カッター交換位置に切断部10を移動させる。
【0113】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1 印刷装置
10 切断部
10A、10B カッター
11 給紙トレイ
12 筐体
13 排紙トレイ
15 搬送部
16 印刷用紙(印刷媒体)
21 印刷部
42 エンコーダ
61 トレイ脱着センサ
62 排紙トレイ位置検出センサ
63 スキャナ位置検出センサ
64 媒体位置検出センサ
65 原点センサ
71 制御部
73 スキャナユニット(読取部)
131 ロアーカバー
131A リブ
151 主搬送路
152 反転搬送路
152A 離間部材
図1
図2
図3
図4
図5