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特許7740295電極活物質複合粒子、固体電池、電極活物質複合粒子の製造方法及び固体電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-08
(45)【発行日】2025-09-17
(54)【発明の名称】電極活物質複合粒子、固体電池、電極活物質複合粒子の製造方法及び固体電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/38 20060101AFI20250909BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20250909BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20250909BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20250909BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20250909BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20250909BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M10/0562
H01M10/0565
H01M10/052
H01M10/058
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023067830
(22)【出願日】2023-04-18
(65)【公開番号】P2024154157
(43)【公開日】2024-10-30
【審査請求日】2024-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】内山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】中西 真二
(72)【発明者】
【氏名】古屋 遼介
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087882(JP,A)
【文献】特表2022-507401(JP,A)
【文献】特開2003-303588(JP,A)
【文献】特開2005-135925(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107112504(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111180712(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0315311(US,A1)
【文献】特表2019-511103(JP,A)
【文献】国際公開第2023/002758(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/002759(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/082263(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13-4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン粒子及び繊維状導電性物質を含む電極活物質複合粒子であって、
前記電極活物質複合粒子が空隙を有し、かつ
前記繊維状導電性物質が前記電極活物質複合粒子の内部に局在している、
電極活物質複合粒子。
【請求項2】
前記繊維状導電性物質がピラーとして機能して、前記電極活物質複合粒子の内部に前記空隙を維持している、請求項1に記載の電極活物質複合粒子
【請求項3】
前記シリコン粒子が、多孔質シリコン粒子である、請求項1に記載の電極活物質複合粒子。
【請求項4】
前記繊維状導電性物質の繊維径が1000nm以下である、請求項1に記載の電極活物質複合粒子。
【請求項5】
前記繊維状導電性物質が繊維状カーボンである、請求項1に記載の電極活物質複合粒子。
【請求項6】
バインダーを更に含む、請求項1に記載の電極活物質複合粒子。
【請求項7】
電極活物質層を有し、かつ
前記電極活物質層が請求項1~のいずれか一項に記載の電極活物質複合粒子を含有している、
固体電池。
【請求項8】
シリコン粒子、及び繊維状導電性物質を含むスラリーをスプレードライすることを含む、請求項1に記載の電極活物質複合粒子の製造方法。
【請求項9】
前記繊維状導電性物質の繊維径が1000nm以下である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維状導電性物質が繊維状カーボンである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記スラリーがバインダーを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
請求項8~11のいずれか一項に記載の方法により電極活物質複合粒子を製造すること、及び
前記電極活物質複合粒子を含有する電極活物質層を形成することを含む、
固体電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極活物質複合粒子、固体電池、電極活物質複合粒子の製造方法及び固体電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池の開発が盛んに行われている。例えば、自動車産業界では、電気自動車又はハイブリッド自動車に用いられる電池及び電池に用いられる活物質の開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1は、電池に用いられる負極活物質であって、前記負極活物質が、シリコン繊維を含有する不織布状の粒子であり、前記負極活物質の平均粒子径(D50)が、0.2μm以上3.6μm以下であり、前記負極活物質が非晶質である、負極活物質、を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-022554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
負極活物質としては、充電に伴う膨張量が小さいことが求められている。
【0006】
したがって、本開示は、充電に伴う膨張が小さい電極活物質複合粒子、そのような電極活物質複合粒子を有する固体電池、そのような電極活物質複合粒子の製造方法、及びそのような電極活物質複合粒子を製造することを含む固体電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件開示者等は、以下の手段により上記課題を解決することができることを見出した。
〈態様1〉
シリコン粒子及び繊維状導電性物質を含む電極活物質複合粒子であって、
前記繊維状導電性物質が前記電極活物質複合粒子の内部に局在している、
電極活物質複合粒子。
〈態様2〉
前記繊維状導電性物質の繊維径が1000nm以下である、態様1に記載の電極活物質複合粒子。
〈態様3〉
前記繊維状導電性物質が繊維状カーボンである、態様1又は2に記載の電極活物質複合粒子。
〈態様4〉
バインダーを更に含む、態様1~3のいずれか一項に記載の電極活物質複合粒子。
〈態様5〉
電極活物質層を有し、かつ
前記電極活物質層が態様1~4のいずれか一項に記載の電極活物質複合粒子を含有している、
固体電池。
〈態様6〉
シリコン粒子、及び繊維状導電性物質を含むスラリーをスプレードライすることを含む、電極活物質複合粒子の製造方法。
〈態様7〉
前記繊維状導電性物質の繊維径が1000nm以下である、態様6に記載の方法。
〈態様8〉
前記繊維状導電性物質が繊維状カーボンである、態様6又は7に記載の方法。
〈態様9〉
前記スラリーがバインダーを更に含む、態様6~8のいずれか一項に記載の方法。
〈態様10〉
態様6~9のいずれか一項に記載の方法により電極活物質複合粒子を製造すること、及び
前記電極活物質複合粒子を含有する電極活物質層を形成することを含む、
固体電池の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、充電に伴う膨張が小さい電極活物質複合粒子、そのような電極活物質複合粒子を有する固体電池、そのような電極活物質複合粒子の製造方法、及びそのような電極活物質複合粒子を製造することを含む固体電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、参考例に係る電極活物質複合粒子のSEM画像である。
図2図2は、Ckα線を用いて測定した、参考例に係る電極活物質複合粒子の断面構造を示すSEM-EDX画像である。
図3図3は、Sikα線を用いて測定した、参考例に係る電極活物質複合粒子の断面構造を示すSEM-EDX画像である。
図4図4は、実施例1に係る電極活物質複合粒子の断面構造を示すSEM画像である。
図5図5は、Ckα線を用いて測定した、実施例1に係る電極活物質複合粒子の断面構造を示すSEM-EDX画像である。
図6図6は、Sikα線を用いて測定した、実施例1に係る電極活物質複合粒子の断面構造を示すSEM-EDX画像である。
図7図7は、実施例2に係る電極活物質複合粒子のSEM画像である。
図8図8は、Ckα線を用いて測定した、実施例2に係る電極活物質複合粒子の断面構造を示すSEM-EDX画像である。
図9図9は、Sikα線を用いて測定した、実施例2に係る電極活物質複合粒子の断面構造を示すSEM-EDX画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について詳述する。なお、本開示は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、開示の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0011】
《電極活物質複合粒子》
本開示の電極活物質複合粒子は、シリコン粒子及び繊維状導電性物質を含む。また、本開示の電極活物質複合粒子では、繊維状導電性物質が電極活物質複合粒子の内部に局在している。
【0012】
固体電池において、充電に伴う活物質の膨張を抑制するために、多孔質シリコン粒子を用いる技術が知られている。この技術は、多孔質シリコン粒子内部の空隙がシリコン粒子の膨張を吸収するため、膨張を抑制できるとの推定に基づくものである。
【0013】
本件開示者等は、多孔質シリコン粒子を用いてもシリコン粒子の膨張を十分に抑制できない場合があることを見出した。この理由としては、何らの理論に束縛されることを意図しないが、以下のように推定される。すなわち、固体電池を製造する場合、緻密化のために多孔質シリコンを含む活物質層をプレスする必要があるが、その際に、多孔質シリコン粒子内部の空隙が部分的に潰れると考えられる。これによって、膨張を吸収するのに十分な空隙を確保できず、膨張を十分に抑制できない場合があるためであると考えられる。
【0014】
これに対して、本開示の電極活物質複合粒子では、繊維状導電性物質がピラーとして機能することで、電極活物質複合粒子の内部に空隙を維持することができ、それによって充電時に電極活物質複合粒子の膨張が抑制されると考えられる。
【0015】
また、本開示の電極活物質複合粒子は、繊維状導電性物質によって高い導電性を提供することができるので、活物質層が均一に膨張することにより、活物質層全体としての膨張が抑制されると考えられる。
【0016】
本開示に関して、「電極」は、正極であっても負極であってもよく、特に負極であることが好ましい。
【0017】
〈シリコン粒子〉
電極活物質複合粒子は、シリコン粒子を含む。
【0018】
シリコン粒子の組成は特に限定されるものではない。シリコン粒子に含まれる全ての元素に占めるシリコン元素の割合は、例えば、50mol%以上、70mol%以上、又は90mol%以上であってもよい。
【0019】
シリコン粒子は、Si元素以外に、Li元素等のその他の元素を含んでいてもよい。その他の元素としては、Li元素のほか、Sn元素、Fe元素、Co元素、Ni元素、Ti元素、Cr元素、B元素、及びP元素等が挙げられる。
【0020】
シリコン粒子は、酸化物等の不純物を含んでいてもよい。
【0021】
シリコン粒子は、非晶質であっても結晶であってもよい。シリコン粒子に含まれる結晶相は特に限定されるものではない。
【0022】
シリコン粒子の形状やサイズは特に限定されるものではない。シリコン粒子の平均粒子径は、例えば、30nm以上、50nm以上、100nm以上、又は150nm以上であってもよく、10μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下、又は1μm以下であってもよい。なお、平均粒子径は、SEM等の電子顕微鏡による観察によって求めることができ、例えば、複数の粒子の各々の最大フェレ径の平均値として求められる。サンプル数は、多いことが好ましく、例えば20以上であり、50以上であってもよく、100以上であってもよい。平均粒子径は、例えば、後述するシリコン粒子の製造条件を適宜変更したり、分級処理を行ったりすることで、適宜調整可能である。
【0023】
電極活物質複合粒子に含まれるシリコン粒子は、多孔質シリコン粒子であってよい。多孔質シリコン粒子は、空隙を複数有するシリコンを含むものである。多孔質シリコン粒子における空隙の形態に特に制限はない。
【0024】
多孔質シリコン粒子は、ナノポーラスシリコンを含む粒子であってもよい。ナノポーラスシリコンとは、ナノメートルオーダー(1000nm未満、好ましくは100nm以下)の細孔径を有する細孔が複数存在するシリコンをいう。
【0025】
多孔質シリコン粒子は、直径55nm以下の細孔を含むものであってもよい。直径55nm以下の細孔は、プレスによっても潰れ難い。すなわち、直径55nm以下の細孔を含む多孔質シリコン粒子は、プレス後においても多孔質が維持され易い。例えば、多孔質シリコン粒子1gあたり、直径55nm以下の細孔が0.21cc以上、0.22cc/g以上、又は0.23cc/g以上含まれていてもよく、0.30cc/g以下、0.28cc/g以下、又は0.26cc/g以下含まれていてもよい。多孔質シリコン粒子に含まれる直径55nm以下の細孔の量は、例えば、窒素ガス吸着法、DFT法による細孔径分布から求めることができ
る。
【0026】
多孔質シリコン粒子は、所定の空隙率を有していてもよい。多孔質シリコン粒子の空隙率は、例えば、1%以上、5%以上、10%以上、又は20%以上であってもよく、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、又は30%以下であってもよい。シリコン粒子の空隙率は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察等により求めることができる。サンプル数は多いことが好ましく、例えば100以上である。空隙率は、これらサンプルから求めた平均値とすることができる。
【0027】
〈繊維状導電性物質〉
本開示の電極活物質複合粒子は、繊維状導電性物質を含み、繊維状導電性物質は、電極活物質複合粒子の内部に局在している。
【0028】
繊維状導電性物質の繊維径は、1000nm以下であることが好ましい。繊維状導電性物質の繊維径が上記範囲内であると、電極活物質複合粒子の内部に十分な空隙を保持できること、繊維状導電性物質が変形可能であること等によって、充電に伴う膨張が更に小さくなる。また、この繊維径は、1nm以上、3nm以上、5nm以上、又は10nm以上であってよく、また750nm以下、500nm以下、300nm以下、200nm以下、又は150nm以下であってよい。
【0029】
繊維状導電性物質としては、特に限定されないが、繊維状カーボンや金属繊維などが例示される。繊維状カーボンとしては、カーボンナノチューブ(CNT)、及び気相法炭素繊維(VGCF)等が例示される。また、金属繊維を構成する金属としては、ニッケル、アルミニウム、銅、鉄、及びステンレス鋼等が例示される。繊維状導電性物質は、好ましくは繊維状カーボンであり、より好ましくはカーボンナノチューブ、及び気相法炭素繊維であり、更に好ましくはカーボンナノチューブである。繊維状導電性物質は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0030】
本開示において、繊維状導電性物質は、電極活物質複合粒子の内部に局在している。繊維状導電性物質が電極活物質複合粒子の内部に局在していることは、例えば、走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)により、断面構造を観察することによって確認することができる。
【0031】
〈バインダー〉
本開示の電極活物質複合粒子は、バインダーを更に含んでいてもよい。バインダーは、複数のシリコン粒子同士を結合する。バインダーの種類は、特に限定されるものではない。例えば、ブタジエンゴム(BR)系バインダー、ブチレンゴム(IIR)系バインダー、アクリレートブタジエンゴム(ABR)系バインダー、スチレンブタジエンゴム(SBR)系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系バインダー、ポリイミド(PI)系バインダー、カルボキシメチルセルロース(CMC)系バインダー、ポリアクリル酸塩系バインダー、ポリアクリル酸エステル系バインダー等から選ばれるものであってもよい。特にPVdF系バインダーの性能が高い。PVdF系バインダーは、VdF以外の単量体に由来する単位を有する共重合体であってもよい。バインダーは、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0032】
電極活物質複合粒子に含まれるシリコン粒子、繊維状導電性物質、及びバインダーの質量比(シリコン粒子:繊維状導電性物質:バインダー)は、電極活物質複合粒子を形成することができる程度のものであれば特に限定されない。例えば、シリコン粒子:繊維状導電性物質:バインダーは、100:5~15:0.1~10であってもよい。
【0033】
電極活物質複合粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではない。電極活物質複合粒子の平均粒子径は、100nm以上、1μm以上、2μm以上、又は3μm以上であってもよく、20μm以下、15μm以下、又は10μm以下であってもよい。電極活物質複合粒子の平均粒子径は、SEM等の電子顕微鏡による観察によって求めることができ、例えば、複数の電極活物質複合粒子の最大フェレ径の平均値として求められる。サンプル数は、多いことが好ましく、例えば20以上であり、50以上であってもよく、100以上であってもよい。或いは、電極活物質複合粒子のみを取り出し、レーザー回折式粒子分布測定装置を用いて測定される電極活物質複合粒子の平均粒子径(D50、メジアン径)が、100nm以上、1μm以上、2μm以上、又は3μm以上であってもよく、20μm以下、15μm以下、又は10μm以下であってもよい。
【0034】
《電極活物質複合粒子の製造方法》
電極活物質複合粒子を製造する本開示の方法は、シリコン粒子、及び繊維状導電性物質を含むスラリーをスプレードライすることを含む。
【0035】
シリコン粒子、及び繊維状導電性物質については、本開示の電極活物質複合粒子に関する上記の記載を参照できる。
【0036】
スラリーは、バインダーを更に含んでいてもよい。バインダーについては、本開示の電極活物質複合粒子に関する上記の記載を参照できる。
【0037】
スプレードライの方法としては、常法を採用することができる。
【0038】
例えば、スラリーを、100℃~180℃の不活性ガスが導入されたスプレードライヤー内に噴霧して、乾燥する方法が挙げられる。
【0039】
この場合の温度は、110℃以上、120℃以上、又は130℃以上であってもよく、170℃以下、160℃以下、又は150℃以下であってもよい。
【0040】
不活性ガスとしては、窒素やアルゴン等が例示されるが、これに限定されない。
【0041】
《固体電池》
本開示の固体電池は、電極活物質層を有している。電極活物質層は本開示の電極活物質複合粒子を含有している。特に本開示の固体電池は、負極活物質として本開示の電極活物質複合粒子を含んでいることが好ましく、この場合、負極集電体層、本開示の電極活物質複合粒子を含有している負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層、及び正極集電体層をこの順に有していてもよい。固体電池とは、キャリアイオン伝導性を有する電解質が主に固体電解質によって構成されているものをいう。ただし、添加剤レベルで液体成分が含まれていてもよい。或いは、固体電池は、液体成分を実質的に含まない全固体電池であってもよい。
【0042】
〈負極集電体層〉
負極集電体は、固体電池の負極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。
【0043】
負極集電体は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び発泡体等であってよい。負極集電体は、金属箔又は金属メッシュであってもよく、或いは、カーボンシートであってもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。負極集電体は、複数枚の箔やシートからなっていてもよい。
【0044】
負極集電体を構成する金属としては、銅、ニッケル、クロム、金、白金、銀、アルミニウム、鉄、チタン、亜鉛、コバルト、及びステンレス鋼等が挙げられる。特に、還元耐性を確保する観点及びリチウムと合金化し難い観点から、負極集電体が銅、ニッケル、及びステンレス鋼から選ばれる少なくとも1種の金属を含むものであってもよい。
【0045】
負極集電体は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、負極集電体は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、負極集電体が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔の間に何らかの層を有していてもよい。
【0046】
負極集電体の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上、又は1μm以上であってもよく、1mm以下、又は100μm以下であってもよい。
【0047】
〈負極活物質層〉
負極活物質層は、少なくとも負極活物質としての電極活物質複合粒子を含み、更に随意に、電極活物質複合粒子以外の負極活物質、固体電解質、導電助剤、及びバインダー等を含んでいてもよい。負極活物質層はその他に各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0048】
(負極活物質)
【0049】
負極活物質層は、負極活物質として電極活物質複合粒子を含む。電極活物質複合粒子については、本開示の電極活物質複合粒子に関する上記の記載を参照できる。
【0050】
負極活物質層は、電極活物質複合粒子以外の負極活物質を含んでいてもよい。この場合、全ての負極活物質における、電極活物質複合粒子の割合は、例えば50重量%以上、70重量%以上、又は90重量%以上であってもよい。
【0051】
負極活物質層における負極活物質の割合は、例えば、20重量%以上、30重量%以上、又は40重量%以上であってもよく、80重量%以下、70重量%以下、又は60重量%以下であってもよい。
【0052】
(固体電解質)
固体電解質としては、典型的には、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、窒化物固体電解質、ハロゲン化物固体電解質等の無機固体電解質、及びポリマー電解質等の有機高分子電解質が挙げられる。
【0053】
リチウムイオン伝導性を有する硫化物固体電解質としては、例えば、Li元素、X元素(Xは、P、As、Sb、Si、Ge、Sn、B、Al、Ga、Inの少なくとも一種である)、及びS元素を含有する固体電解質が挙げられる。また、硫化物固体電解質は、O元素及びハロゲン元素の少なくとも一方を更に含有していてもよい。ハロゲン元素としては、例えば、F元素、Cl元素、Br元素、I元素が挙げられる。
【0054】
硫化物固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-GeS、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-P-LiI-LiBr、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-ZmSn(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)が挙げられる。
【0055】
また、リチウムイオン伝導性を有する酸化物固体電解質としては、例えば、Li元素、Y元素(Yは、Nb、B、Al、Si、P、Ti、Zr、Mo、W、Sの少なくとも一種である)、及びO元素を含有する固体電解質が挙げられる。具体例としては、LiLaZr12、Li7-xLa(Zr2-xNb)O12(0≦x≦2)、LiLaNb12等のガーネット型固体電解質;(Li,La)TiO、(Li,La)NbO、(Li,Sr)(Ta,Zr)O等のペロブスカイト型固体電解質;Li(Al,Ti)(PO、Li(Al,Ga)(POのナシコン型固体電解質;LiPO、LIPON(LiPOのOの一部をNで置換した化合物)等のLi-P-O系固体電解質;LiBO、LiBOのOの一部をCで置換した化合物等のLi-B-O系固体電解質が挙げられる。
【0056】
負極活物質層における固体電解質の割合は、1重量%以上、10重量%以上、又は20重量%以上であってよく、60重量%以下、又は50重量%以下であってもよい。
【0057】
(導電助剤)
導電助剤としては、例えば炭素材料及び金属粒子が挙げられる。炭素材料の具体例としては、例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)等の粒子状炭素材料、炭素繊維、カーボンナノチューブ(CNT)、及びカーボンナノファイバー(CNF)等の繊維状炭素材料が挙げられる。金属粒子としては、例えば、ニッケル、銅、鉄、及びステンレス鋼等を挙げることができる。負極活物質層における導電助剤の割合は、1重量%以上、又は5重量%以上であってもよく、30重量%以下、又は20重量%以下であってもよい。
【0058】
(バインダー)
バインダーとしては、例えば、ブタジエンゴム、水素化ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素化スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム等のゴム系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-ポリヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等のフッ化物系バインダー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、ポリアミド等のアミド系樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル系樹脂、及びポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリラート等のメタクリル系樹脂が挙げられる。負極活物質層におけるバインダーの割合は、例えば、1重量%以上、30重量%以下である。
【0059】
負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
【0060】
〈固体電解質層〉
固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含み、更に随意に、バインダー等を含んでいてもよい。
【0061】
固体電解質、及びバインダーについては、本開示の負極活物質層に関する上記の記載を参照できる。
【0062】
固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
【0063】
〈正極活物質層〉
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含み、更に随意に、固体電解質、導電助剤、及びバインダー等を含んでいてもよい。
【0064】
正極活物質としては、例えば、酸化物活物質が挙げられる。リチウムイオン電池に用いられる酸化物活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiMn、LiVO、LiCrO、LiFePO、LiCoPO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の酸化物活物質が挙げられる。また、これらの活物質の表面には、例えば、LiNbO等のLiイオン伝導性酸化物を含有するコート層が形成されていてもよい。
【0065】
正極活物質層における正極活物質の割合は、20重量%以上、30重量%以上、又は40重量%以上であってもよく、80重量%以下、70重量%以下、又は60重量%以下であってもよい。
【0066】
正極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
【0067】
〈正極集電体層〉
正極集電体は、固体電池の正極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。また、正極集電体は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び発泡体等であってよい。正極集電体は、金属箔又は金属メッシュによって構成されていてもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。正極集電体は、複数枚の箔からなっていてもよい。
【0068】
正極集電体を構成する金属としては、銅、ニッケル、クロム、金、白金、銀、アルミニウム、鉄、チタン、亜鉛、コバルト、及びステンレス鋼等が挙げられる。特に、酸化耐性を確保する観点等から、正極集電体がアルミニウムを含むものであってもよい。
【0069】
正極集電体は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、正極集電体は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、正極集電体が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔間に何らかの層を有していてもよい。
【0070】
正極集電体の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上、又は1μm以上であってもよく、1mm以下、又は100μm以下であってもよい。
【0071】
〈その他の構成〉
固体電池は、上記の各構成が外装体の内部に収容されたものであってもよい。外装体は、電池の外装体として公知のものをいずれも採用可能である。また、複数の固体電池が、任意に電気的に接続され、また、任意に重ね合わされて、組電池とされていてもよい。この場合、公知の電池ケースの内部に当該組電池が収容されてもよい。固体電池は、このほか必要な端子等の自明な構成を備えていてよい。固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、及び角型等を挙げることができる。
【0072】
《固体電池の製造方法》
固体電池を製造する本開示の方法は、本開示の電極活物質複合粒子を製造すること、及び電極活物質複合粒子を含有する負極活物質層を形成することを含む。
【0073】
本開示の電極活物質複合粒子を製造する方法については、本開示の電極活物質複合粒子の製造方法に関する上記の記載を参照できる。
【0074】
電極活物質複合粒子を含有する負極活物質層を形成する方法としては、電極活物質複合粒子等の構成材料を混合して負極合材を得て、得られた負極合材を圧粉成形する方法が例示される。
【0075】
固体電池を製造する本開示の方法は、負極集電体、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層、及び正極集電体をこの順に積層することを更に含んでもよい。ここで、更に積層体がプレス成形されてもよい。積層体には必要に応じて端子等のその他の部材が取り付けられる。積層体を電池ケースに収容して密封することで、固体電池が得られる。
【実施例
【0076】
〈ナノポーラスシリコン粒子の調製〉
シリコン(Si)粒子(粒径0.5μm、高純度化学製)0.65g、及び金属リチウム(Li)(本城金属製)0.60gを、アルゴン(Ar)雰囲気下において、メノウ乳鉢で混合して、リチウムシリコン(LiSi)前駆体を得た。Ar雰囲気下のガラス反応器内で、得られたLiSi前駆体1.0g、及び分散媒としての1,3,5-トリメチルベンゼン(ナカライテスク製)125mlを、超音波ホモジナイザー(UH-50、SMT社製)を用いて混合した。その後、得られたLiSi前駆体分散液を0℃に冷却し、エタノール(ナカライテスク製)125mlを滴下して、120分間反応させた。反応後、更に酢酸(ナカライテスク製)50mlを滴下して、60分間反応させた。反応後、吸引ろ過にて液体と固体反応物とを分離した。得られた固体反応物を120℃で2時間真空乾燥して、ナノポーラスシリコン粒子を得た。
【0077】
〈電極活物質複合粒子の調製〉
(参考例)
上記ナノポーラスシリコン粒子、バインダーとしてのPVDF-HFP(クレハ製)、及び導電性物質としてのカーボンブラック(CB)を、シリコン粒子:バインダー:CB=100:13.3:20の比率(質量比)となるように、炭酸ジメチル(ナカライテスク)に分散させて、スラリーを得た。このスラリーを、140℃の条件下で、窒素ガス雰囲気のスプレードライヤー内に噴霧して、乾燥させた。これによって、参考例の電極活物質複合粒子を得た。
【0078】
(実施例1)
上記ナノポーラスシリコン粒子、バインダーとしてのPVDF-HFP(クレハ製)、及び繊維状導電性物質としてのカーボンナノチューブ(CNT)(繊維径:約10nm)を、シリコン粒子:バインダー:CNT=100:13.3:0.4の比率(質量比)となるように、炭酸ジメチル(ナカライテスク)に分散させて、スラリーを得た。このスラリーを、140℃の条件下で、窒素ガス雰囲気のスプレードライヤー内に噴霧して、乾燥させた。これによって、実施例1の電極活物質複合粒子を得た。
【0079】
(実施例2)
上記ナノポーラスシリコン粒子、バインダーとしてのPVDF-HFP(クレハ製)、及び繊維状導電性物質としての気相成長炭素繊維(VGCF)(繊維径:150nm)を、シリコン粒子:バインダー:VGCF=100:13.3:8の比率(質量比)となるように、炭酸ジメチル(ナカライテスク)に分散させて、スラリーを得た。このスラリーを、140℃の条件下で、窒素ガス雰囲気のスプレードライヤー内に噴霧して、乾燥させた。これによって、実施例2の電極活物質複合粒子を得た。
【0080】
(比較例1)
上記ナノポーラスシリコン粒子、及びバインダーとしてのPVDF-HFP(クレハ製)を、シリコン粒子:バインダー=100:13.3の比率(質量比)となるように、炭酸ジメチル(ナカライテスク)に分散させて、スラリーを得た。このスラリーを、140℃の条件下で、窒素ガス雰囲気のスプレードライヤー内に噴霧して、乾燥させた。これによって、比較例1の電極活物質複合粒子を得た。
【0081】
(固体電解質の調製)
硫化リチウム(LiS)(フルウチ化学製)0.550g、五硫化リン(P)(アルドリッチ製)0.887g、ヨウ化リチウム(LiI)(日宝化学製)0.285g、及び臭化リチウム(LiBr)(高純度化学製)0.277gを、メノウ乳鉢で5分間混合した。得られた混合物に、n-ヘプタン(脱水グレード、関東化学製)を4g加え、遊星型ボールミルを用いて40時間メカニカルミリングすることで、固体電解質を得た。
【0082】
(評価用電池の作製)
リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)(日亜化学工業製)を、ニオブ酸リチウム(LiNbO)で表面処理して、正極活物質を得た。この正極活物質1.5g、導電助剤(VGCF、昭和電工製)0.023g、上記固体電解質0.239g、バインダー(PVdF、クレハ製)0.011g、及び酪酸ブチル(キシダ化学製)0.8gを、超音波ホモジナイザー(UH-50、SMT社製)を用いて混合して、正極合材を得た。
【0083】
上記各例の電極活物質複合粒子1.0g、導電助剤(VGCF、昭和電工製)0.04g、上記固体電解質0.776g、バインダー(PVdF、クレハ製)0.02g、及び酪酸ブチル(キシダ化学製)1.7gを、超音波ホモジナイザー(UH-50、SMT社製)を用いて混合し、負極合材を得た。
【0084】
1cmのセラミックス製の型に上記固体電解質0.065gを入れて、1ton/cmでプレスして、固体電解質層を作製した。その片側に上記正極合材0.018gを入れて、1ton/cmでプレスして、正極活物質層を作製した。正極活物質層とは逆側に上記負極合材0.0054gを入れて、4ton/cmでプレスして、負極活物質層を作製した。また、正極集電体にアルミニウム箔を、負極集電体に銅箔を用いた。これにより、評価用電池としての全固体電池を作製した。
【0085】
〈評価〉
(顕微鏡観察)
参考例、並びに実施例1及び2で得られた電極活物質複合粒子の断面構造を、走査型電子顕微鏡(SEM)、及び走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)により観察した。
【0086】
(拘束圧増加量)
得られた評価用電池について、0.245mAで4.55VまでCC/CV充電した後、0.245mAで3.0VまでCC/CV放電を行った。初回充電において、電池の拘束圧力をモニタリングし、4.55Vでの拘束圧を測定した。拘束圧増加量を膨張の大きさの指標とした。比較例1における拘束圧を1.00として相対評価した。
【0087】
〈結果〉
SEMにより観察した各例の電極活物質複合粒子の画像を図1、4、及び7に示し、SEM-EDXにより観察した各例の電極活物質複合粒子の断面構造を表す画像を図2、3、5、6、8、及び9に示す。また、各例の電極活物質複合粒子を用いて作製した全固体電池の拘束圧増加量の結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
図1~3に示されるように、導電性物質が粒子状である参考例の電極活物質複合粒子では、シリコン粒子と導電性物質が均一に分散していた。これに対して、図4~6、及び図7~9に示されるように、導電性物質が繊維状である実施例の電極活物質複合粒子では、導電性物質が電極活物質複合粒子の内部に局在していた。
【0090】
また、表1に示されるように、実施例1及び2の電池は、比較例1の電池よりも拘束圧増加量、すなわち膨張が小さかった。特に、繊維状導電性物質の繊維径がより小さい実施例1の電池は、膨張が最も小さかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9