(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-08
(45)【発行日】2025-09-17
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/186 20210101AFI20250909BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20250909BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20250909BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20250909BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20250909BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20250909BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20250909BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20250909BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20250909BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20250909BHJP
【FI】
H01M50/186
H01M10/04 Z
H01M10/0566
H01M50/193
H01M50/103
H01M50/121
H01M50/184 A
H01M10/052
H01G11/80
H01G11/12
(21)【出願番号】P 2024519191
(86)(22)【出願日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 JP2023015783
(87)【国際公開番号】W WO2023214511
(87)【国際公開日】2023-11-09
【審査請求日】2024-10-09
(31)【優先権主張番号】P 2022075934
(32)【優先日】2022-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】岡本 夕紀
(72)【発明者】
【氏名】山岡 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】石黒 文彦
(72)【発明者】
【氏名】弘瀬 貴之
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-140881(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159456(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103531851(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00 - 50/198
H01M 10/00 - 10/39
H01G 11/00 - 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と前記集電体に形成された活物質層とを含み、第1方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体と、
隣り合う前記集電体の間に内部空間を形成すると共に、当該内部空間を封止するように前記電極積層体に設けられた封止体と、
前記内部空間に収容された電解液と、
前記封止体と別体に構成されて前記封止体に接合された枠部材と、
を備え、
前記封止体は、
複数の前記集電体のそれぞれの周縁部に設けられた枠状の複数のシール材と、
前記第1方向に隣り合う前記シール材の間に介在され、前記複数のシール材と共に前記集電体の間に前記内部空間を形成する複数のスペーサと、
前記複数のシール材及び前記複数のスペーサの前記内部空間と反対側の端部が溶着されて形成された溶着端部と、
複数の前記内部空間のそれぞれに連通し、前記溶着端部の前記内部空間と反対側の外側面に開口を有する複数の連通孔と、
を含み、
前記枠部材は、前記外側面に交差する第2方向からみて前記複数の連通孔のそれぞれの前記開口を囲む複数の枠部を含み、
前記複数の枠部のそれぞれは、
前記第2方向からみて前記複数の連通孔のそれぞれの前記開口を囲むように前記外側面に接合される第1端面と、
前記第1端面と反対側の端面であって、前記第2方向からみて前記複数の連通孔のそれぞれの前記開口を囲むように形成される第2端面と、
を有
し、
前記枠部材は、前記第2方向からみて前記連通孔のそれぞれの前記開口から離間するように形成されている、
蓄電モジュール。
【請求項2】
集電体と前記集電体に形成された活物質層とを含み、第1方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体と、
隣り合う前記集電体の間に内部空間を形成すると共に、当該内部空間を封止するように前記電極積層体に設けられた封止体と、
前記内部空間に収容された電解液と、
前記封止体と別体に構成されて前記封止体に接合された枠部材と、
を備え、
前記封止体は、
複数の前記集電体のそれぞれの周縁部に設けられた枠状の複数のシール材と、
前記第1方向に隣り合う前記シール材の間に介在され、前記複数のシール材と共に前記集電体の間に前記内部空間を形成する複数のスペーサと、
前記複数のシール材及び前記複数のスペーサの前記内部空間と反対側の端部が溶着されて形成された溶着端部と、
複数の前記内部空間のそれぞれに連通し、前記溶着端部の前記内部空間と反対側の外側面に開口を有する複数の連通孔と、
を含み、
前記枠部材は、前記外側面に交差する第2方向からみて前記複数の連通孔のそれぞれの前記開口を囲む複数の枠部を含み、
前記複数の枠部のそれぞれは、
前記第2方向からみて前記複数の連通孔のそれぞれの前記開口を囲むように前記外側面に接合される第1端面と、
前記第1端面と反対側の端面であって、前記第2方向からみて前記複数の連通孔のそれぞれの前記開口を囲むように形成される第2端面と、
を有し、
前記枠部材は、前記複数の枠部のそれぞれにおける前記第1端面側の端部から前記外側面に沿って突出すると共に前記外側面に接合されるフランジをさらに含む、
蓄電モジュール。
【請求項3】
前記フランジは、前記第2方向からみて前記枠部で囲われる領域の内側に向けて前記枠部から突出している、
請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記第1方向及び前記第2方向に交差すると共に前記外側面に沿う方向である第3方向に沿って配列された複数の前記枠部材を備え、
複数の前記枠部材のそれぞれは、互いに異なる一群の前記開口であって、前記第2方向からみて前記第1方向に沿って配列された一群の前記開口を前記枠部によって囲うように配置され、
前記フランジは、前記第3方向に沿って前記枠部から突出している、
請求項2に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
複数の前記枠部材は、前記第1方向についての大きさが異なる少なくとも2つの前記枠部を含むことにより、前記第1方向について非対称な形状を有する前記枠部材を含む、
請求項4に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
前記封止体は、樹脂からなり、
前記枠部材は、前記封止体の樹脂と同じ主剤の樹脂であって、前記封止体の樹脂の融点よりも高い融点を有する樹脂からなる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電モジュールが記載されている。この蓄電モジュールは、セパレータを介して積層された複数の電極を含む電極積層体と、電極積層体を取り囲むように配置された封止体と、を有している。封止体は、電極板の周縁部に設けられた第1樹脂部と、複数の第1樹脂部を取り囲むように複数の第1樹脂部の外側に設けられた第2樹脂部と、を含む。封止体には、電極間に形成された互いに異なる内部空間に連通する複数の連通孔が設けられている。連通孔は、例えば内部空間に電解液を供給するために用いられる。封止体を構成する4つの壁部のうちの1つの壁部には、複数の連通孔が同数ずつ設けられた複数の連通孔領域が形成されている。この蓄電モジュールにおいて、電解液の供給装置のノズルの先端面を、パッキンを介して封止体の連通孔領域に押し付けた状態において、内部空間への電解液の供給が行われる。このとき、パッキンは、複数の連通孔のそれぞれを囲むように連通孔領域に設けられた複数の突条部において、強く圧縮される。
【0003】
特許文献2には、蓄電モジュールが記載されている。この蓄電モジュールは、セパレータを介して積層された複数の電極を含む電極積層体と、電極積層体を取り囲むように配置された枠体と、枠体に取り付けられた圧力調整弁と、を備えている。枠体は、電極板の周縁部に設けられた第1封止部と、第1封止部の外側に設けられた第2封止部と、を含む。枠体を構成する1つの壁部には、圧力調整弁を取り付けるための複数の取付領域が設けられている。各取付領域において、枠体は、電極間に形成された内部空間に連通された連通孔が設けられている。連通孔は、例えば内部空間に電解液を供給するために用いられる。この蓄電モジュールでは、当該取付領域に圧力調整弁が取り付けられることにより、連通孔が封止され得る。枠体には、取付領域において枠状の突起が設けられており、圧力調整弁との熱溶着による接合に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-035665号公報
【文献】特開2021-009795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2では、射出成形によって、第2樹脂部や第2封止部と共に枠状の突条部や突起を形成している。具体的な一例としては、第1封止部が設けられた電極板を積層して構成される積層体を、射出成型用の型内に配置して樹脂を注入するインサート成形により、第2封止部と共に枠状の突起を形成する。このとき、型内に注入された樹脂が、第1封止部の連通孔の開口を含む外側面の全体に流動する。この結果、当該樹脂により連通孔が塞がるといった不良が発生し、信頼性の低下につながるおそれがある。
【0006】
本開示は、信頼性の低下を抑制可能な蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る蓄電モジュールは、集電体と集電体に形成された活物質層とを含み、第1方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体と、隣り合う集電体の間に内部空間を形成すると共に、当該内部空間を封止するように電極積層体に設けられた封止体と、内部空間に収容された電解液と、封止体と別体に構成されて封止体に接合された枠部材と、を備え、封止体は、複数の集電体のそれぞれの周縁部に設けられた枠状の複数のシール材と、第1方向に隣り合うシール材の間に介在され、複数のシール材と共に集電体の間に内部空間を形成する複数のスペーサと、複数のシール材及び複数のスペーサの内部空間と反対側の端部が溶着されて形成された溶着端部と、複数の内部空間のそれぞれに連通し、溶着端部の内部空間と反対側の外側面に開口を有する連通孔と、を含み、枠部材は、外側面に交差する第2方向からみて複数の連通孔のそれぞれの開口を囲む複数の枠部を含み、複数の枠部のそれぞれは、第2方向からみて複数の連通孔のそれぞれの開口を囲むように外側面に接合される第1端面と、第1端面と反対側の端面であって、第2方向からみて複数の連通孔のそれぞれの開口を囲むように形成される第2端面と、を有する。
【0008】
この蓄電モジュールでは、電極積層体に設けられた封止体には、電極の集電体間の電解液を収容する内部空間に連通する連通孔が設けられている。封止体は、集電体の周縁部に設けられたシール材と、シール材間に介在されたスペーサの端部とが溶着されて形成された溶着端部を含む。この溶着端部の外側面には、上記の連通孔の開口が形成されている。そして、封止体には、溶着端部の外側面における連通孔の開口を囲む枠部を有する枠部材が設けられている。したがって、例えば、電解液の注液のときのノズルの押し当てによる封止や、封止体に別部材を接合する際に、当該枠部材を利用することが可能である。そして、この蓄電モジュールでは、当該枠部材が封止体とは別体に構成されて、外側面の連通孔の開口を囲う部分において封止体に接合されている。これによれば、射出成形により枠部材を封止体と一体的に形成する場合と異なり、射出成形のための樹脂によって連通孔が塞がるといった不良が発生しにくい。よって、信頼性の低下が抑制される。
【0009】
本開示に係る蓄電モジュールでは、枠部材は、複数の枠部のそれぞれにおける第1端面側の端部から外側面に沿って突出すると共に外側面に接合されるフランジをさらに含んでもよい。この構成によれば、例えば、電解液の注液装置のノズル等を枠部材に押し当てる場合や、別部材を枠部材に接合する場合に、枠部材の端面に加えられる応力が枠部とフランジとに分散されることにより、封止体側にかかる応力が低減される。したがって、枠部材がフランジを有していない場合と比較して、封止体側の構造の損傷を抑制しつつ、枠部材の端面に加える面圧を大きくして封止や接合の不良を抑制することが可能となる。
【0010】
本開示に係る蓄電モジュールでは、フランジは、第2方向からみて枠部で囲われる領域の内側に向けて枠部から突出していてもよい。この場合、枠部材の外形寸法を維持したまま、フランジを有することの上記効果を得ることが可能となる。
【0011】
本開示に係る蓄電モジュールでは、第1方向及び第2方向に交差すると共に外側面に沿う方向である第3方向に沿って配列された複数の枠部材を備え、複数の枠部材のそれぞれは、互いに異なる一群の開口であって、第2方向からみて第1方向に沿って配列された一群の開口を枠部によって囲うように配置され、フランジは、第3方向に沿って枠部から突出していてもよい。このように、複数の枠部材を用いて、各枠部材にフランジを設けることにより、封止体側にかかる応力を確実に低減可能である。
【0012】
本開示に係る蓄電モジュールでは、複数の枠部材は、第1方向についての大きさが異なる少なくとも2つの枠部を含むことにより、第1方向について非対称な形状を有する枠部材を含んでもよい。この場合、第1方向についての大きさが異なる2つの枠部のうちの一方が他方よりも第1方向の一方側(例えば上側)に向くように枠部材が配置される場合と、その逆の向きに枠部材が配置される場合とで、第1方向における枠部に囲われる領域の位置を変化させることができる。よって、第1方向の位置が異なる複数の連通孔の開口を、より少ない種類の枠部材によって(すなわち、部品点数を削減しつつ)、干渉することなく囲うことが可能となる。
【0013】
本開示に係る蓄電モジュールでは、封止体は、樹脂からなり、枠部材は、封止体の樹脂と同じ主剤の樹脂であって、封止体の樹脂の融点よりも高い融点を有する樹脂からなってもよい。この場合、例えば溶着により枠部材を封止体に接合した場合に、収縮による枠部材の変形が抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、信頼性を向上可能な蓄電モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る蓄電モジュールの模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された蓄電モジュールの一部を拡大して示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された蓄電モジュールの模式的な側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された枠部材の複数の例を示す概略断面図である。
【
図5】
図1~4に示された蓄電モジュールの製造方法の一工程を説明するための概略断面図である。
【
図6】
図1~4に示された蓄電モジュールの製造方法の一工程を説明するための概略断面図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る枠部材を示す概略平面図である。
【
図9】
図7,8に示された枠部材を設ける工程を示す図である。
【
図10】
図7,8に示された枠部材を設ける工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。第1方向D1を示す座標軸、第2方向D2を示す座標軸、及び、第3方向D3を示す座標軸によって規定される直交座標系を示す。
【0017】
図1は、本実施形態に係る蓄電モジュールの模式的な断面図である。
図1に示される蓄電モジュール1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。蓄電モジュール1は、例えばニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電モジュール1は、電気二重層キャパシタであってもよいし、全固体電池であってもよい。ここでは、蓄電モジュール1がリチウムイオン二次電池である場合を例示する。
【0018】
蓄電モジュール1は、電極積層体10と、封止体20と、枠部材30と、シート部材40と、を備えている。電極積層体10は、第1方向D1に沿って積層された複数の電極を含む。第1方向D1は、電極の積層方向であって、蓄電モジュール1の高さ方向である。複数の電極は、複数のバイポーラ電極11と、正極終端電極12と、負極終端電極13と、を含む。互いに隣り合う電極の間には、セパレータ14が介在されている。電極積層体10は、正極終端電極12と負極終端電極13との間に、複数のバイポーラ電極11を積層することにより形成されている。
【0019】
バイポーラ電極11は、集電体15と、正極活物質層16と、負極活物質層17と、を有している。集電体15は、例えば矩形シート状を呈している。集電体15は、一方の表面である第1主面15a、及び第1主面15aとは反対側の他方の表面である第2主面15bを含んでいる。すなわち、集電体15は、積層方向Dにおいて互いに逆向きの第1主面15aと第2主面15bとを有している。正極活物質層16は、集電体15の第1主面15aに設けられている。負極活物質層17は、集電体15の第2主面15bに設けられている。複数のバイポーラ電極11は、一のバイポーラ電極11の正極活物質層16と別のバイポーラ電極11の負極活物質層17とが対向するように積層されている。ここでは、集電体15の第1主面15aは、第1方向D1の一方を向く面であり、集電体15の第2主面15bは、第1方向D1の他方を向く面である。
【0020】
正極活物質層16及び負極活物質層17は、第1方向D1からみて矩形状である。負極活物質層17は、第1方向D1から見て正極活物質層16よりも一回り大きい。つまり、第1方向D1から見た平面視において、正極活物質層16の形成領域の全体が負極活物質層17の形成領域内に位置している。
【0021】
正極終端電極12は、集電体15と、集電体15の第1主面15aに設けられた正極活物質層16と、を有している。正極終端電極12は、集電体15の第2主面15bにおいて正極活物質層16及び負極活物質層17を有していない。つまり、正極終端電極12の集電体15の第2主面15bには、活物質層が設けられていない。正極終端電極12の集電体15の第2主面15bは、蓄電モジュール1の正極端子面となっている。正極終端電極12は、電極積層体10の第1方向D1の一方側の端部においてバイポーラ電極11に積層されている。正極終端電極12は、その正極活物質層16がバイポーラ電極11の負極活物質層17に対向するようにバイポーラ電極11に積層されている。
【0022】
負極終端電極13は、集電体15と、集電体15の第2主面15bに設けられた負極活物質層17と、を有している。負極終端電極13は、集電体15の第1主面15aにおいて正極活物質層16及び負極活物質層17を有していない。つまり、負極終端電極13の集電体15の第1主面15aには、活物質層が設けられていない。負極終端電極13の集電体15の第1主面15aは、蓄電モジュール1の負極端子面となっている。負極終端電極13は、電極積層体10の第1方向D1の他方側の端部においてバイポーラ電極11に積層されている。つまり、負極終端電極13は、複数のバイポーラ電極11に対して、正極終端電極12とは反対側に配置されている。負極終端電極13は、その負極活物質層17がバイポーラ電極11の正極活物質層16に対向するようにバイポーラ電極11に積層されている。
【0023】
セパレータ14は、第1方向D1において隣り合うバイポーラ電極11の間、正極終端電極12とバイポーラ電極11の間、及び、負極終端電極13とバイポーラ電極11との間に、それぞれ配置されている。セパレータ14は、正極活物質層16と負極活物質層17との間に介在している。セパレータ14は、正極活物質層16と負極活物質層17とを隔離することで、隣り合う電極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンのような電荷担体を通過させる。
【0024】
集電体15は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、正極活物質層16及び負極活物質層17に電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。集電体15の材料は、例えば、金属材料、導電性樹脂材料又は導電性無機材料等である。導電性樹脂材料としては、例えば、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。集電体15は、複数の層を備えていてもよい。この場合、集電体15の各層は、上記の金属材料又は導電性樹脂材料を含んでいてもよい。
【0025】
集電体15の表面には、被覆層が形成されていてもよい。当該被覆層は、例えばメッキ処理又はスプレーコート等の公知の方法によって形成されていてもよい。集電体15は、例えば、板状、箔状(例えば金属箔)、フィルム状又はメッシュ状等を呈していてもよい。金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、チタン箔又はステンレス鋼箔等が挙げられる。集電体15は、上記の金属の合金箔や、複数枚の上記金属箔を貼り合わせ等により一体化させたものであってもよい。集電体15が箔状を呈している場合、集電体15の厚さは、例えば、1μm~100μmであってもよい。なお、例えば、バイポーラ電極11、正極終端電極12、負極終端電極13のそれぞれの集電体15のうち、いくつかの集電体15は、その厚さが100μm以上であってもよい。この場合、電極積層体10の構造安定性が高まる。
【0026】
正極活物質層16は、リチウムイオンのような電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含んでいる。正極活物質としては、例えば、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物、スピネル構造を有する金属酸化物、ポリアニオン系化合物等が挙げられる。正極活物質は、リチウムイオン二次電池に使用可能なものであればよい。正極活物質層16は、複数の正極活物質を含んでいてもよい。本実施形態では、正極活物質層16は、複合酸化物としてのオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を含んでいる。
【0027】
負極活物質層17は、リチウムイオンのような電荷担体を吸蔵及び放出し得る負極活物質を含んでいる。負極活物質は、単体、合金又は化合物のいずれであってもよい。負極活物質としては、例えば、Li、炭素、金属化合物等が挙げられる。負極活物質は、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等であってもよい。炭素としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化性炭素)又はソフトカーボン(易黒鉛化性炭素)等が挙げられる。人造黒鉛としては、例えば、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等が挙げられる。リチウムと合金化可能な元素としては、シリコン(ケイ素)又はスズ等が挙げられる。本実施形態では、負極活物質層17は、炭素系材料としての黒鉛を含んでいる。
【0028】
正極活物質層16及び負極活物質層17のそれぞれ(以下、単に「活物質層」という場合がある)は、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等をさらに含み得る。導電助剤は、各電極(バイポーラ電極11、正極終端電極12、負極終端電極13)の導電性を高めるために添加される。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック又はグラファイト等である。
【0029】
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、アクリル酸又はメタクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体等が挙げられる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が用いられる。
【0030】
セパレータ14は、例えば、電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布であってもよい。セパレータ14の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。セパレータ14は、単層構造又は多層構造を有していてもよい。多層構造は、例えば、接着層又は耐熱層としてのセラミック層等を有していてもよい。セパレータ14には、電解質が含浸されていてもよい。セパレータ14は、高分子電解質又は無機型電解質等の電解質によって構成されていてもよい。セパレータ14に含浸される電解質としては、例えば、非水溶媒と非水溶媒に溶解された電解質塩とを含む液体電解質(電解液)、又はポリマーマトリクス中に保持された電解質を含む高分子ゲル電解質等が挙げられる。
【0031】
セパレータ14に電解液が含浸される場合、その電解質塩としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)2等の公知のリチウム塩が用いられていてもよい。また、非水溶媒としては、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類等の公知の溶媒が用いられていてもよい。なお、二種以上のこれらの公知の溶媒材料が組合せて用いられていてもよい。
【0032】
封止体20は、電極積層体10を取り囲むように、電極積層体10の周縁部に枠状に形成されている。封止体20は、集電体15それぞれの周縁部15cにおいて、集電体15の第1主面15a及び第2主面15bのそれぞれに接合され得る。封止体20は、第1方向D1に隣り合う集電体15の間に内部空間Sを形成すると共に、当該内部空間Sのそれぞれを封止するためのものである。それぞれの内部空間Sには、電解液(不図示)が収容されている。すなわち、封止体20は、第1方向D1に隣り合う集電体15と共に電解液を収容する内部空間Sを画成する。封止体20は、電解液の外部への透過を防止している。
【0033】
封止体20は、電極積層体10の外部から内部空間Sへの水分やガス等の侵入を抑制すると共に、電極積層体10に含まれる電解質が外部に漏出することを抑制している。セパレータ14の縁部は、封止体20に接合されている。封止体20は、絶縁材料を含んでいる。封止体20の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレン、アクリロニトリルスチレン樹脂等の種々の樹脂材料が挙げられる。
【0034】
封止体20は、複数のシール材21、複数のスペーサ22、及び、溶着端部23を含む。シール材21は、集電体15のそれぞれに設けられている。したがって、シール材21は、第1方向D1に沿って互いに積層されている。シール材21は、枠状であり、集電体15の周縁部15cに設けられている。つまり、シール材21は、集電体15の第1主面15aから端面を経て第2主面15bに至るように設けられ、周縁部15cを被覆している。シール材21は、集電体15の第1主面15a及び第2主面15bのうちの少なくとも一方に溶着され得る。
【0035】
スペーサ22は、第1方向D1に隣り合うシール材21の間に介在するように配置されている。これにより、スペーサ22は、第1方向D1に隣り合うシール材21の間、すなわち、第1方向D1に隣り合う集電体15の間のスペースを保持している。スペーサ22は、内周端面と外周端面とを有する枠状を呈しており、第1方向D1からみて集電体15の周縁部15c上に配置されている。ここでは、セパレータ14の端部は、シール材21とスペーサ22との間に挟まれて固定されている。セパレータ14の端部は、シール材21及びスペーサ22の少なくとも一方に溶着され得る。
【0036】
溶着端部23は、複数のシール材21と複数のスペーサ22の内部空間Sと反対側の端部が溶着されて一体化されることにより形成されている。より具体的には、第1方向D1からみて集電体15よりも外側に位置する複数のシール材21及び複数のスペーサ22の部位同士が溶着されて溶着端部23が形成されている。溶着端部23は、第1方向D1から見て、電極積層体10を取り囲むように枠状を呈している。溶着端部23の内部空間Sと反対側の外側面23sは、第1方向D1に沿って延びており、封止体20の外側面を構成している。
【0037】
なお、封止体20は、肉盛り部25を有している。肉盛り部25は、正極終端電極12及び負極終端電極13の集電体15に設けられたシール材21の第1方向D1の外側の表面上に配置されている。肉盛り部25は、シール材21に接合されている。第1方向D1からみて集電体15よりも外側に位置する肉盛り部25の端部は、シール材21の端部に溶着され、溶着端部23の一部を構成している。封止体20は、第1方向D1からみたときの外形が多角形状であり、当該多角形のそれぞれの辺を含む。例えば、第1方向D1からみたときの封止体20の外形が四角形である場合、封止体20は、4つの辺を含む。後述する連通孔27は、封止体20の当該複数の辺のうちの1つの辺に設けられる。そして、ここでは、肉盛り部25は、当該連通孔27が設けられた辺のみに設けられている。
【0038】
また、正極終端電極12の集電体15の第1主面15a、及び、負極終端電極13の集電体15の第2主面15bの封止体20から露出された部分には、蓄電モジュール1から電流を取り出すための端子として機能する導電部材50が配置されて電気的に接続されている。導電部材50は、複数の蓄電モジュール1を電気的に接続するために利用され得る。また、導電部材50は、電極積層体10に対して拘束荷重を付加するために拘束部材としても利用され得る。さらに、導電部材50には、冷却流路が形成されていてもよい。導電部材50に形成された冷却流路に冷却媒体を流通させることによって、電極積層体10を冷却することができる。
【0039】
枠部材30は、封止体20とは別体に構成されて封止体20に接合されている。ここでは、枠部材30は、封止体20の外側面である溶着端部23の外側面23sに接合(例えば溶着)されている。枠部材30は、第1方向D1について、一方の肉盛り部25(正極終端電極12側の肉盛り部25)から他方の肉盛り部25(負極終端電極13側の肉盛り部25)にわたって延在している。したがって、第1方向D1における枠部材30の外縁は、肉盛り部25上に位置し、一例として肉盛り部25の外縁と一致している。シート部材40は、枠部材30における封止体20と反対側の端面30sに接合されている(張り付けられている)。シート部材40は、例えば、ラミネートフィルムである。引き続いて、枠部材30の詳細について説明する。
【0040】
図2は、
図1に示された蓄電モジュールの一部を拡大して示す概略断面図である。
図3は、
図1に示された蓄電モジュールの模式的な側面図である。
図4の(a)は、
図3のIV-IV線に沿っての概略断面図である。
図3の(a)では、封止体20に枠部材30が設けられていない状態が示され、
図3の(b)では、封止体20に枠部材30が設けられている状態が示されている。
図2,3及び
図4の(a)に示されるように、封止体20には、複数の内部空間Sのそれぞれに連通する連通孔27が形成されている。
【0041】
一例として、連通孔27は、スペーサ22の一部を切り欠くことで形成され、スペーサ22及び溶着端部23を貫通して形成されている。連通孔27は、内部空間Sに一方の開口を有すると共に、溶着端部23の外側面23sに他方の開口27hを有している。蓄電モジュール1では、隣り合う一対の集電体15によって、1つの内部空間Sを含むセルCが形成されている。ここでは、1つのセルCに対して1つの連通孔27が形成されている。外側面23sに交差(直交)する第2方向D2からみたとき(
図3の(a)参照)、連通孔27の開口27hは、その第3方向D3についての位置がセルCごとに異なるように配置されている。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2に交差する方向であって、外側面23sに沿う蓄電モジュール1の幅方向である。
【0042】
一例として、第3方向D3における開口27hの位置は、第1方向D1の一端側のセルCから他端側のセルCにかけて互い違いにされている。したがって、ここでは、第3方向D3の位置が概ね同一の複数の開口27hが、1つおきのセルCに対応して設けられ、第1方向D1に沿って配列されている。換言すれば、ここでは、複数の開口27hは、第2方向D2からみて、第1方向D1に沿って配列された一群の開口28と、第3方向D3について開口28とは異なる位置において第1方向D1に沿って配列された別の一群の開口29とを含む。
【0043】
枠部材30は、溶着端部23の外側面23sに接合(例えば溶着)されている。枠部材30は、第2方向D2からみて、複数の連通孔27のそれぞれの開口27hを囲む複数の枠部31を含む。ここでは、複数の枠部材30が用いられている。複数の枠部材30は、第3方向D3に沿って互いに離間しつつ配列されている。ここでは、1つの枠部材30の複数の枠部31のそれぞれが一群の開口28のそれぞれを囲うように設けられ、別の枠部材30の複数の枠部31のそれぞれが別の一群の開口29のそれぞれを囲うように設けられている。すなわち、複数の枠部材30のそれぞれは、互いに異なる一群の開口27hであって、第2方向D2からみて第1方向D1に配列された一群の開口28,29を枠部31によって囲うように配置されている。
【0044】
枠部31は、第2方向D2からみて複数の連通孔27のそれぞれの開口27hを囲むように外側面23sに接合(例えば溶着)される第1端面31aと、第1端面31aと反対側の端面であって、第2方向D2からみて複数の連通孔27のそれぞれの開口27hを囲むように形成される第2端面31bと、を含む。それぞれの枠部材30は、枠部31の第1端面31a側の端部から外側面23sに沿って突出すると共に、外側面23sに接合(例えば溶着)されるフランジ32をさらに含む。ここでは、枠部31は、矩形枠状を呈している。したがって、第2方向D2からみて枠部31に囲われる領域33は、矩形状である。この領域33の底面は溶着端部23の外側面23s(封止体20の外側面)とされている。この例では、フランジ32は、第2方向D2からみて、枠部31で囲われる領域33の内側に向けて、枠部31の第1方向D1に沿って延びる部分から第3方向D3に沿って突出している。第2方向D2からみて、フランジ32は、領域33のそれぞれにおいて、開口27hから離間するように形成されている(すなわち、開口27h至らない)。
【0045】
ただし、
図4の(b)に示されるように、フランジ32は、枠部31で囲われる領域33の外側に向けて、枠部31の第1方向D1に沿って延びる部分から第3方向D3に沿って突出するように設けられてもよい。或いは、
図4の(c)に示されるように、フランジ32は、枠部31で囲われる領域33の内側及び外側の両方に向けて突出するように設けられてもよい。さらには、
図3の(b)に示されるように、枠部材30にあっては、枠部31で囲われる領域33の内側に向けて、枠部31の第3方向D3に沿って延びる部分から第1方向D1に沿って突出するように別のフランジ34が設けられていてもよい。この場合、フランジ34についても、第2方向からみて、それぞれの領域33において開口27hより離間して形成される(すなわち、開口27h至らない)。
【0046】
再び
図2~4を参照する。1つの枠部材30では、複数の枠部31によって、第1方向D1に沿って配列された複数(図示の例では3つ)の領域33が区画されており、第2方向からみてそれぞれの領域33内に連通孔27の開口27hが位置させられている。また、枠部材30は、溶着端部23の外側面23sと反対側(すなわち封止体20と反対側)の端面30s(第2端面31b)を有する。したがって、後述するように、電解液の注液装置のノズルをこの端面30sに密着させた状態で当該ノズルからそれぞれの領域33内に電解液を導入することにより、開口27hを介してそれぞれの領域33に繋がる連通孔27から、内部空間Sに電解液を注液することが可能となる。
【0047】
なお、シート部材40は、端面30sに接合(例えば接着)されて領域33(すなわち内部空間S)を封止している。蓄電モジュール1においては、複数の枠部材30にわたって1つのシート部材40が設けられていてもよいし、1つの枠部材30ごとに1つのシート部材40が設けられていてもよい。
【0048】
ここで、
図3の(b)に示されるように、複数の枠部材30は、第1方向D1についての大きさが異なる少なくとも2つの枠部31を含むことにより、第1方向D1について非対称な形状を有する。ここでは、1つの枠部材30について、3つの枠部31のうちの1つの枠部31(すなわち領域33)の第1方向D1についての大きさが、他の2つの枠部31(すなわち領域33)の第1方向D1についての大きさよりも大きくされている。
【0049】
そして、このような非対称な複数の枠部材30が、向きを違えて(第1方向D1について反転されて)配置されている。これにより、第1方向D1における枠部31に囲われる領域33の位置が、異なる向きの枠部材30の間で異ならせられている。この結果、第1方向D1の位置が異なる複数の連通孔27の開口27hを、より少ない種類の枠部材30によって囲うことが可能とされている。
【0050】
以上のような枠部材30は、封止体20の樹脂の融点よりも高い融点を有する樹脂により形成され得る。また、封止体20の樹脂と枠部材30の樹脂とは、互いに主剤が同じ樹脂を用いることができる。一例として、封止体20が低密度ポリエチレンから形成される場合、高密度ポリエチレンにより枠部材30を形成することができる。なお、枠部材30が封止体20の樹脂の融点よりも高い融点を有する樹脂により形成され得るとは、封止体20が複数の樹脂により構成されている場合には、封止体20を構成する複数の樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂の融点よりも高い融点を有する樹脂により枠部材30が形成される場合も含み得る。一例として、封止体20のうち、シール材21を低密度ポリエチレンで形成し、スペーサ22及び肉盛り部25を高密度ポリエチレンで形成する場合、高密度ポリエチレンにより枠部材30を形成することができる。
【0051】
引き続いて、蓄電モジュール1の製造方法について説明する。
図5及び
図6は、
図1~4に示された蓄電モジュールの製造方法の一工程を説明するための概略断面図である。
図5に示されるように、ここでは、電極積層体10及び封止体20と、枠部材30とを別途に用意する。封止体20は電極積層体10に設けられて一体化されている。なお、
図5,6では、電極積層体10及び封止体20の一部のみを示している。
【0052】
続いて、封止体20の外側面(溶着端部23の外側面23s)側にヒータH1を配置する。また、枠部材30の端面30sと反対側の端面30r(第1端面31a)側にヒータH2を配置する。ヒータH1は、ヒータH2よりも低温のヒータである。続いて、ヒータH1により封止体20を加熱し、外側面23s側から封止体20の一部を溶融させる。また、ヒータH2により枠部材30を加熱し、端面30r側から枠部材30の一部を溶融させる。このとき、一例として、ヒータH1を赤外線ヒータとし、ヒータH2を熱板ヒータとすることにより、枠部材30については端面30r近傍のみを選択的に溶融させる一方で、封止体20については、外側面23sから相対的に深い位置まで溶融させることができる。
【0053】
続いて、
図6に示されるように、封止体20の外側面23s側の一部と枠部材30の端面30r側の一部とが溶融している状態において、枠部材30を封止体20に押し付け、封止体20の外側面23s側の一部と枠部材30の端面30r側の一部とが相溶した状態を形成する。これにより、封止体20に対して枠部材30が溶着される。
【0054】
続いて、電解液の注液装置のノズル60を枠部材30の端面30sに押し当てて密着させ、ノズル60の注液口61から枠部材30の領域33内に電解液を導入する。これにより、封止体20の開口27hを介してそれぞれの領域33に繋がる連通孔27から、各セルCの内部空間Sに電解液が注液される。その後、枠部材30の端面30sからノズル60を取り外し、領域33を封止するように端面30sにシート部材40を張り付ける。これにより、電解液が配置された内部空間Sが封止され、蓄電モジュール1が製造される。
【0055】
以上説明したように、蓄電モジュール1では、電極積層体10に設けられた封止体20には、電極の集電体15間の電解液を収容する内部空間Sに連通する連通孔27が設けられている。封止体20は、集電体15の周縁部15cに設けられたシール材21と、シール材21間に介在されたスペーサ22の端部とが溶着されて形成された溶着端部23を含む。この溶着端部23の外側面23sには、連通孔27の開口27hが形成されている。そして、封止体20には、溶着端部23の外側面23sにおける連通孔27の開口27hを囲む枠部31を有する枠部材30が設けられている。
【0056】
したがって、例えば、電解液の注液のときのノズル60の押し当てによる封止や、封止体20に別部材を接合する際に、枠部材30を利用することが可能である。そして、この蓄電モジュール1では、枠部材30が封止体20とは別体に構成され、外側面23sの連通孔27の開口27hを囲う部分において、封止体20に接合されている。これによれば、射出成形により枠部材30を封止体20と一体的に形成する場合と異なり、射出成形のための樹脂によって連通孔27が塞がるといった不良が発生しにくい。よって、信頼性の低下が抑制される。
【0057】
また、蓄電モジュール1では、枠部材30は、複数の枠部31のそれぞれにおける第1端面31a側の端部から外側面23sに沿って突出すると共に外側面23sに接合されるフランジ32をさらに含む。このため、例えば、電解液の注液装置のノズル60等を枠部材30に押し当てる場合や、別部材を枠部材30に接合する場合に、枠部材30の端面30sに加えられる応力が枠部31とフランジ32とに分散されることにより、封止体20側にかかる応力が低減される。したがって、枠部材30がフランジ32を有していない場合と比較して、封止体20側の構造の損傷を抑制しつつ、枠部材30の端面30sに加える面圧を大きくして封止や接合の不良を抑制することが可能となる。
【0058】
また、蓄電モジュール1では、フランジ32は、第2方向D2からみて枠部31で囲われる領域33の内側に向けて枠部31から突出している。このため、枠部材30の外形寸法を維持したまま、フランジ32を有することの上記効果を得ることが可能となる。
【0059】
また、蓄電モジュール1では、第1方向D1及び第2方向D2に交差すると共に外側面23sに沿う方向である第3方向D3に沿って配列された複数の枠部材30を備えている。複数の枠部材30のそれぞれは、互いに異なる一群の開口27hであって、第2方向D2からみて第1方向D1に沿って配列された一群の開口28,29を枠部31によって囲うように配置される。そして、フランジ32は、第3方向D3に沿って枠部31から突出している。このように、複数の枠部材30を用いて、枠部材30のそれぞれにフランジ32を設けることにより、封止体20側にかかる応力を確実に低減可能である。
【0060】
また、蓄電モジュール1では、複数の枠部材30は、第1方向D1についての大きさが異なる少なくとも2つの枠部31を含むことにより、第1方向D1について非対称な形状を有する枠部材30を含む。このため、第1方向D1についての大きさが異なる2つの枠部31のうちの一方が他方よりも第1方向D1の一方側(例えば上側)に向くように枠部材30が配置される場合と、その逆の向きに枠部材30が配置される場合とで、第1方向D1における枠部31に囲われる領域33の位置を変化させることができる。よって、第1方向D1の位置が異なる複数の連通孔27の開口27hを、より少ない種類の枠部材30によって(すなわち、部品点数を削減しつつ)、枠部31と開口27hとが干渉することなく囲うことが可能となる。
【0061】
さらに、蓄電モジュール1では、封止体20は、樹脂からなり、枠部材30は、封止体20の樹脂の融点よりも高い融点を有する樹脂からなる。また、枠部材30の樹脂として、封止体20の樹脂と同じ主剤の樹脂を用いることができる。これにより、例えば溶着により枠部材30を封止体20に接合した場合に、接合対象である封止体20の溶融をより低い温度で行えるため、枠部材30を封止体20に押し当てた際により高温に熱されることが無く、熱膨張収縮による枠部材30の変形が抑制される。
【0062】
以上の実施形態は、本開示に係る蓄電モジュールの一態様を説明したものである。したがって、本開示に係る蓄電モジュールは、上記の蓄電モジュール1に限定されることなく、任意に変形され得る。
【0063】
例えば、上記実施形態では、枠部材30を封止体20に溶着する場合について説明したが、枠部材30を封止体20に接合する方法については、接着剤を用いた接着といった公知の方法を用いることも可能である。すなわち、蓄電モジュール1においては、封止体20とは別体に形成された枠部材30が封止体20に接合されていればよい。
【0064】
また、上記実施形態では、枠部材30がフランジ32を有する態様について説明したが、フランジ32は必須ではない。また、枠部材30は、第1方向D1について非対称な形状を有する場合に限定されず、第1方向D1について対称な形状を有していてもよい。さらに、枠部材30は、第1方向D1についての大きさが互いに異なる3つ以上の枠部31を含んでもよい。
【0065】
図7は、変形例に係る枠部材を示す概略平面図である。
図8は、
図7に示された枠部材の概略断面図である。
図8の(a)は
図7のXIIIa-XIIIa線に沿っての断面図であり、
図8の(b)は
図7のXIIIb-XIIIb線に沿っての断面図である。蓄電モジュール1は、上記実施形態に係る枠部材30に変えて、
図7,8に示される枠部材30Aを備えることができる。枠部材30Aは、上記実施形態に係る枠部材30と比較して、フランジ32に代えてフランジ32Aを含む点において相違しており、他の点で一致している。フランジ32Aは、フランジ32と比較して、枠部31からの突出量(厚さ)に対する枠部31の高さ方向(第2方向D2)に沿った長さの比率が大きくされている(ここでは、フランジ32よりも第2方向D2に長い)点で相違しており、第2方向D2に長尺状に形成されている。このようなフランジ32Aは、枠部31における相対的に厚く形成された厚肉部とも捉えられる。
【0066】
なお、
図7,8では、フランジ32Aの一例として、枠部31で囲われる領域33の内側に向けて突出する例について図示されているが、フランジ32Aは、
図4の(b),(c)に示されるフランジ32のように、枠部31で囲われる領域33の外側に向けて突出して設けられてもよいし、領域33の内側及び外側の両方に向けて突出して設けられてもよい。
【0067】
以上のような枠部材30Aを封止体20に設ける際には、まず、
図9に示されるように、封止体20の外側面(溶着端部23の外側面23s)側にヒータH1を配置する。また、枠部材30Aの端面30sと反対側の端面30r(第1端面31a)側にヒータH2を配置する。続いて、ヒータH1により封止体20を加熱し、外側面23s側から封止体20の一部を溶融させる。また、ヒータH2により枠部材30Aを加熱し、端面30r側から枠部材30の一部を溶融させる。このとき、一例として、ヒータH1を赤外線ヒータとし、ヒータH2を熱板ヒータとすることにより、枠部材30Aについては端面30r近傍のみを選択的に溶融させる一方で、封止体20については、外側面23sから相対的に深い位置まで溶融させることができる。
【0068】
続いて、
図10に示されるように、封止体20の外側面23s側の一部と枠部材30Aの端面30r側の一部とが溶融している状態において、枠部材30Aを封止体20に押し付け、封止体20の外側面23s側から封止体20の内部に枠部材30Aを押し入れる。図示の例では、枠部材30Aの厚肉部であるフランジ32Aの全体を溶着端部23の中に入り込ませ、フランジ32Aと溶着端部23とを相溶させている。したがって、この工程の後には、封止体20の外側面23sから、枠部材30Aの枠部31のフランジ32A以外の部分が突出した状態とされる。ただし、封止体20の外側面23s側から枠部材30Aを押し入れる際に、フランジ32Aの一部のみが溶着端部23の中に入り込むようにしてもよい。この場合、封止体20の外側面23sから、フランジ32Aの残部が突出した状態となる。
【0069】
以上のような枠部材30Aを用いる場合には、上記実施形態に係る枠部材30を用いる場合と同様の効果に加えて、次のような効果を奏することが可能となる。すなわち、枠部材30Aを用いる場合には、枠部材30Aを封止体20に溶着する際に、枠部材30Aの先端部(フランジ32Aの少なくとも一部)が封止体20の溶着端部23の中に入り込んで、枠部材30Aの先端部と封止体20とが相溶する。このため、枠部材30Aの先端部と溶着端部23とを確実に気密に溶着することが可能となる。
【0070】
また、厚肉部を有さない枠部材の先端部を溶着端部23に押し入れようとすると、当該枠部材の先端部が変形してしまうおそれがある。しかし、枠部材30Aでは、厚肉部としてのフランジ32Aが設けられることにより、枠部材30Aの先端部を溶着端部23に押し入れる際の先端部の変形が抑制される。なお、枠部材30Aでは、シール材21及びスペーサ22の積層方向(第1方向D1)に沿った辺部分は、複数のシール材21及びスペーサ22に横断的に押し入れられることで相対的に大きな力が加わるため、当該変部分に厚肉部としてのフランジ32を形成して補強することが有効である。
【0071】
以下、本実施形態について付記する。本開示に係る蓄電モジュールは、[1]「集電体と前記集電体に形成された活物質層とを含み、第1方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体と、隣り合う前記集電体の間に内部空間を形成すると共に、当該内部空間を封止するように前記電極積層体に設けられた封止体と、前記内部空間に収容された電解液と、前記封止体と別体に構成されて前記封止体に接合された枠部材と、を備え、前記封止体は、複数の前記集電体のそれぞれの周縁部に設けられた枠状の複数のシール材と、前記第1方向に隣り合う前記シール材の間に介在され、前記複数のシール材と共に前記集電体の間に前記内部空間を形成する複数のスペーサと、前記複数のシール材及び前記複数のスペーサの前記内部空間と反対側の端部が溶着されて形成された溶着端部と、複数の前記内部空間のそれぞれに連通し、前記溶着端部の前記内部空間と反対側の外側面に開口を有する複数の連通孔と、を含み、前記枠部材は、前記外側面に交差する第2方向からみて前記複数の連通孔のそれぞれの前記開口を囲む複数の枠部を含み、前記複数の枠部のそれぞれは、前記第2方向からみて前記複数の連通孔のそれぞれの前記開口を囲むように前記外側面に接合される第1端面と、前記第1端面と反対側の端面であって、前記第2方向からみて前記複数の連通孔のそれぞれの前記開口を囲むように形成される第2端面と、を有する蓄電モジュール」である。
【0072】
本開示に係る蓄電モジュールは、[2]「前記枠部材は、前記複数の枠部のそれぞれにおける前記第1端面側の端部から前記外側面に沿って突出すると共に前記外側面に接合されるフランジをさらに含む、上記[1]に記載の蓄電モジュール」であってもよい。
【0073】
本開示に係る蓄電モジュールは、[3]「前記フランジは、前記第2方向からみて前記枠部で囲われる領域の内側に向けて前記枠部から突出している、上記[2]に記載の蓄電モジュール」であってもよい。
【0074】
本開示に係る蓄電モジュールは、[4]「前記第1方向及び前記第2方向に交差すると共に前記外側面に沿う方向である第3方向に沿って配列された複数の前記枠部材を備え、複数の前記枠部材のそれぞれは、互いに異なる一群の前記開口であって、前記第2方向からみて前記第1方向に沿って配列された一群の前記開口を前記枠部によって囲うように配置され、前記フランジは、前記第3方向に沿って前記枠部から突出している、上記[2]又は上記[3]に記載の蓄電モジュール」であってもよい。
【0075】
本開示に係る蓄電モジュールは、[5]「複数の前記枠部材は、前記第1方向についての大きさが異なる少なくとも2つの前記枠部を含むことにより、前記第1方向について非対称な形状を有する前記枠部材を含む、上記[4]に記載の蓄電モジュール」であってもよい。
【0076】
本開示に係る蓄電モジュールは、[6]「前記封止体は、樹脂からなり、前記枠部材は、前記封止体の樹脂と同じ主剤の樹脂であって、前記封止体の樹脂の融点よりも高い融点を有する樹脂からなる、上記[1]~上記[5]のいずれかに記載の蓄電モジュール」であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…蓄電モジュール、10…電極積層体、11…バイポーラ電極(電極)、12…正極終端電極(電極)、13…負極終端電極(電極)、15…集電体、16…正極活物質層(活物質層)、17…負極活物質層(活物質層)、20…封止体、21…シール材、22…スペーサ、23…溶着端部、23s…外側面、27…連通孔、27h…開口、30,30A…枠部材、30s…端面、31…枠部、31a…第1端面、31b…第2端面、32,32A…フランジ、33…領域、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、S…内部空間。