(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-08
(45)【発行日】2025-09-17
(54)【発明の名称】鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/38 20060101AFI20250909BHJP
E01D 4/00 20060101ALI20250909BHJP
G01N 25/18 20060101ALI20250909BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250909BHJP
G01F 23/22 20060101ALI20250909BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20250909BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20250909BHJP
【FI】
G01N33/38
E01D4/00
G01N25/18 J
G06T7/00 610Z
G01F23/22 A
G01J5/48 A
E01D21/00 C
(21)【出願番号】P 2025021377
(22)【出願日】2025-02-13
【審査請求日】2025-02-13
(31)【優先権主張番号】202410251677.6
(32)【優先日】2024-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515273380
【氏名又は名称】重慶交通大学
【氏名又は名称原語表記】Chongqing Jiaotong University
(73)【特許権者】
【識別番号】525045810
【氏名又は名称】四川公路橋梁建設集団有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】525053136
【氏名又は名称】四川路橋華東建設有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】周 建庭
(72)【発明者】
【氏名】楊 如剛
(72)【発明者】
【氏名】周 銀
(72)【発明者】
【氏名】唐 中波
(72)【発明者】
【氏名】于 志兵
(72)【発明者】
【氏名】盧 偉
(72)【発明者】
【氏名】蔡 国慶
(72)【発明者】
【氏名】張 洪
(72)【発明者】
【氏名】程 崇晟
(72)【発明者】
【氏名】向 俊杰
(72)【発明者】
【氏名】厳 成俊
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109655007(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0061040(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第117034400(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116341130(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115855277(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106324037(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110222417(CN,A)
【文献】DAGHER, Habib J.,Bending behavior of concrete-filled tubular FRP arches for bridge structures,Construction and Building Materials,2012年09月05日,37,pp.432-439,http://dx.doi.org/10.1016/j.conbuildmat.2012.07.067
【文献】久保 昌史,報告 赤外線画像と可視画像を併用した画像診断技術の開発,コンクリート工学年次論文集,2011年,Vol.33,No.1,pp.1847-1852
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/38
G01M 5/00
E01D 4/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全橋の可視光画像及び鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列をそれぞれ取得し、且つ予め設定された鋼管の局所のRGB範囲に基づいて鋼管の局所のRGB三次元行列における異物点を除去し、前記異物点が除去された後の前記鋼管の局所のRGB三次元行列におけるRGBの最大値と最小値との間に限定される値の範囲によって、全橋のRGB三次元行列における環境背景点を識別するステップ(1)と、
全橋の赤外画像の温度情報の行列を取得し、且つ前記環境背景点に基づいて前記温度情報の行列における環境背景温度点を表記し、前記環境背景温度点が表記された後の前記温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した後の温度差が予め設定された鋼管コンクリートと空鋼管との間の温度差の範囲を満たすか否かによって、コンクリートが打設された点を識別し、ここで、前記全橋の赤外画像及び前記全橋の可視光画像の撮影位置、撮影角度及びカメラの解像度はいずれも同じであるステップ(2)と、
上述した、
画素が位置する座標におけるコンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの縦軸の最小値点に基づいて、
画素が位置する座標における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を確認し、上述した、
画素が位置する座標におけるコンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの横軸の最小値点と縦軸の最大値点に基づいて、
画素が位置する座標における左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸を確認し、
画素が位置する座標における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸と
画素が位置する座標における左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸に基づいて、
画素が位置する座標における直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を取得するステップ(3)と、
打設対象のアーチリブ全体を2n等分し、各セグメントの荷重による各断面の変位に基づいて、
画素が位置する座標における前記直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面の変位応答を算出するステップ(4)とを含む
ことを特徴とする鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【請求項2】
ステップ(1)では、前記全橋の可視光画像及び鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列は、次の通りであり、
前記全橋の可視光画像のRGB三次元行列は、次の通りであり、
【数1】
ここで、Rは、前記全橋の可視光画像のRGB三次元行列であり、r、g、bは、ぞれぞれ前記全橋の可視光画像のRGB三次元行列におけるRGB三原色値であり、x×yは、カメラの解像度であり、
前記鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列は、次の通りであり、
【数2】
ここで、R´は、前記鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列であり、r´、g´、b´は、それぞれ前記鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列におけるRGB三原色値である
請求項1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【請求項3】
ステップ(1)では、前記全橋のRGB三次元行列における環境背景点は、次の通りであり、
【数3】
ここで、R
1は、前記環境背景点が識別された後の全橋のRGB三次元行列であり、「…」は、前記全橋のRGB三次元行列における環境背景点であり、「1」は、前記全橋のRGB三次元行列における鋼管の表面点であり、x×yは、カメラの解像度である
請求項1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【請求項4】
ステップ(2)では、前記全橋の赤外画像の温度情報の行列は、次の通りであり、
【数4】
ここで、Kは、前記全橋の赤外画像の温度情報の行列であり、Tは、温度であり、x×yは、カメラの解像度である
請求項1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【請求項5】
ステップ(2)では、前記環境背景点に基づいて前記温度情報の行列における環境背景温度点を表記することは、
前記環境背景温度点が上述したコンクリートが打設された点の識別に影響を与えないように、前記温度情報の行列における、前記全橋のRGB三次元行列における環境背景点位置に対応する環境背景温度点に対して予め設定された温度を表記し、次の通りであり、
【数5】
ここで、K
1は、環境背景温度点に対して予め設定された温度を表記した後の温度情報の行列であり、「…」は、前記全橋のRGB三次元行列における環境背景点位置に対応する環境背景温度点であり、予め設定された温度に表記し、Tは、前記温度情報の行列における鋼管の表面温度であり、x×yは、カメラの解像度である
請求項1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【請求項6】
ステップ(2)では、前記環境背景温度点が表記された後の前記温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した温度差は、次の通りであり、
【数6】
ここで、K
2は、前記環境背景温度
点が表記された後の前記温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した温度差行列であり、「…」は、環境背景温度点とドーム鋼管の温度倍の単位行列における対応点との温度差であり、△Tは、鋼管の表面温度とドーム鋼管の温度倍の単位行列における対応点との温度差であり、x×yは、カメラの解像度である
請求項1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【請求項7】
ステップ(3)では、上述した、
画素が位置する座標におけるコンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの縦軸の最小値点に基づいて、
画素が位置する座標における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を確認することは、次の通りであり、
【数7】
ここで、u
左中は、
画素が位置する座標における左半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、mは、
画素が位置する座標における左半分アーチの縦軸の最小値点の数量であり、u
iは、
画素が位置する座標における第i個の左半分アーチの縦軸の最小値点の横軸であり、
【数8】
ここで、u
右中は、
画素が位置する座標における右半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、wは、
画素が位置する座標における右半分アーチの縦軸の最小値点の数量であり、u
i´は、
画素が位置する座標における第i個の右半分アーチの縦軸の最小値点の横軸である
請求項1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【請求項8】
ステップ(3)では、上述した、
画素が位置する座標におけるコンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの横軸の最小値点と縦軸の最大値点に基づいて、
画素が位置する座標における左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸を確認することは、次の通りであり、
【数9】
ここで、u
左フットは、
画素が位置する座標における左側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
左フット1は、
画素が位置する座標における左半分アーチの横軸の最小値点の横軸であり、u
左フット2は、
画素が位置する座標における左半分アーチの縦軸の最大値点の横軸であり、
【数10】
ここで、u
右フットは、
画素が位置する座標における右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
右フット1は、
画素が位置する座標における右半分アーチの横軸の最小値点の横軸であり、u
右フット2は、
画素が位置する座標における右半分アーチの縦軸の最大値点の横軸である
請求項1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【請求項9】
ステップ(3)では、
画素が位置する座標における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸と
画素が位置する座標における左と右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸とに基づいて、
画素が位置する座標における直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を取得することは、次の通りであり、
【数11】
ここで、x
左中は、
画素が位置する座標における直交座標系における左半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、lは、橋梁スパンであり、u
右フットは、
画素が位置する座標における右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
左フットは、
画素が位置する座標における左側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
左中は、
画素が位置する座標における左半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、x
右中は、
画素が位置する座標における直交座標系における右半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、u
右中は、
画素が位置する座標における右半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸である
請求項1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【請求項10】
ステップ(4)では、各セグメントの荷重による各断面の変位に基づいて、
画素が位置する座標における前記直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面の変位応答を算出することは、次の通りであり、
前記各セグメントの荷重による各断面の変位は、次の通りであり、
【数12】
ここで、△
ijは、q
j荷重による断面iの変位値であり、
【数13】
請求項1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁工事の技術分野に関し、特に鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管内のコンクリートを打設する過程において、コンクリートが鋼管に包まれているため、人は液面の位置を目視でリアルタイムに直接に観察することができず、左右の両側の鋼管を同期して打設し、橋梁の片側が荷重されることによる非対称な変形、施工リスクの増大を回避する必要があり、そして、当該液面差による荷重の作業状況は沢山であり、打設する前に総当たり法を用いて有限要素計算を行うことができず、打設時の橋梁構造の応答を正確に予測することができない。
【0003】
従来技術において、機器のポンピング速度と鋼管の断面積に基づいてコンクリート打設済みの液面位置をおおよそ予測し、施工者がその付近でハンマーを用いて鋼管を叩いていき、経験によりコンクリート打設済みの液面を決定することが多い。打設時の橋梁構造の応答の予測について、打設過程においてアーチの両側の液面が同一水平面にあり、液面差による非対称な荷重が発生しないと簡略化して思われ、打設する前にいつくかの荷重作業状況を選択して有限要素により構造の応答を算出し、リアルタイムに予測することができない。
【0004】
そのため、如何にコンクリート打設済みの液面を人為的な経験により決定する主観的要因を回避し、且つ打設過程における液面差による非対称な荷重を総合的に考慮し、打設過程における橋梁構造の応答をリアルタイムに予測できる鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法を実現することは、当業者が早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑み、本発明は、鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は、次のような技術案を採用する。
【0007】
鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法であって、全橋の可視光画像及び鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列をそれぞれ取得し、且つ予め設定された鋼管の局所のRGB範囲に基づいて鋼管の局所のRGB三次元行列における異物点を除去し、異物点が除去された後の鋼管の局所のRGB三次元行列におけるRGBの最大値と最小値との間に限定される値の範囲によって、全橋のRGB三次元行列における環境背景点を識別するステップ(1)と、全橋の赤外画像の温度情報の行列を取得し、且つ環境背景点に基づいて温度情報の行列における環境背景温度点を表記し、環境背景温度点が表記された後の温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した後の温度差が予め設定された鋼管コンクリートと空鋼管との間の温度差の範囲を満たすか否かによって、コンクリートが打設された点を識別し、ここで、全橋の赤外画像及び全橋の可視光画像の撮影位置、撮影角度及びカメラの解像度はいずれも同じであるステップ(2)と、コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの縦軸の最小値点に基づいて、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を確認し、コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの横軸の最小値点と縦軸の最大値点に基づいて、左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸を確認し、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸と、左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸とに基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を取得するステップ(3)と、打設対象のアーチリブ全体を2n等分し、各セグメントの荷重による各断面の変位に基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面の変位応答を算出するステップ(4)とを含む。
【0008】
選択的に、ステップ(1)では、全橋の可視光画像及び鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列は、次の通りであり、
全橋の可視光画像のRGB三次元行列は、次の通りであり、
【数1】
ここで、Rは、全橋の可視光画像のRGB三次元行列であり、r、g、bは、それぞれ全橋の可視光画像のRGB三次元行列におけるRGB三原色値であり、x×yは、カメラの解像度であり、
鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列は、次の通りであり、
【数2】
ここで、R´は、鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列であり、r´、g´、b´は、それぞれ鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列におけるRGB三原色値である。
【0009】
選択的に、ステップ(1)では、全橋のRGB三次元行列における環境背景点は、次の通りであり、
【数3】
ここで、R
1は、環境背景点が識別された後の全橋のRGB三次元行列であり、「…」は、全橋のRGB三次元行列における環境背景点であり、「1」は、全橋のRGB三次元行列における鋼管の表面点であり、x×yは、カメラの解像度である。
【0010】
選択的に、ステップ(2)では、全橋の赤外画像の温度情報の行列は、次の通りであり、
【数4】
ここで、K、全橋の赤外画像の温度情報の行列であり、Tは、温度であり、x×yは、カメラの解像度である。
【0011】
選択的に、ステップ(2)では、環境背景点に基づいて温度情報の行列における環境背景温度点を表記することは、具体的に、環境背景温度点はコンクリートが打設された点の識別に影響を与えないように、温度情報の行列における、全橋のRGB三次元行列における環境背景点位置に対応する環境背景温度点に対して予め設定された温度を表記し、次の通りであり、
【数5】
ここで、K
1は、環境背景温度点に対して予め設定された温度を表記した後の温度情報の行列であり、「…」は、全橋のRGB三次元行列における環境背景点位置に対応する環境背景温度点であり、予め設定された温度に表記し、Tは、温度情報の行列における鋼管の表面温度であり、x×y歯、カメラの解像度である。
【0012】
選択的に、ステップ(2)では、環境背景温度点が表記された後の温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した温度差は、次の通りであり、
【数6】
ここで、K
2は、環境背景温度が表記された後の温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した温度差行列であり、「…」は、環境背景温度点とドーム鋼管の温度倍の単位行列における対応点との温度差であり、△Tは、鋼管の表面温度とドーム鋼管の温度倍の単位行列における対応点との温度差である。
【0013】
選択的に、ステップ(3)では、コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの縦軸の最小値点に基づいて、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を確認することは、次の通りであり、
【数7】
ここで、u
左中は、左半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、mは、左半分アーチの縦軸の最小値点の数量であり、u
iは、第i個の左半分アーチの縦軸の最小値点の横軸であり、
【数8】
ここで、u
右中は、右半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、wは、右半分アーチの縦軸の最小値点の数量であり、u
i´は、第i個の右半分アーチの縦軸の最小値点の横軸である。
【0014】
選択的に、ステップ(3)では、コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの横軸の最小値点と縦軸の最大値点に基づいて、左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸を確認することは、次の通りであり、
【数9】
ここで、u
左フットは、左側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
左フット1は、左半分アーチの横軸の最小値点の横軸であり、u
左フット2は、左半分アーチの縦軸の最大値点の横軸であり、
【数10】
ここで、u
右フットは、右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
右フット1は、右半分アーチの横軸の最小値点の横軸であり、u
右フット2は、右半分アーチの縦軸の最大値点の横軸である。
【0015】
選択的に、ステップ(3)では、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸と、左と右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸とに基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を取得することは、次の通りであり、
【数11】
ここで、x
左中は、直交座標系における左半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、lは、橋梁スパンであり、u
右フットは、右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
左フットは、左側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
左中は、左半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、x
右中は、直交座標系における右半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、u
右中は、右半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸である。
【0016】
選択的に、ステップ(4)では、各セグメントの荷重による各断面の変位に基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面の変位応答を算出することは、次の通りであり、
各セグメントの荷重による各断面の変位は、次の通りであり、
【数12】
ここで、△
ijは、q
j荷重による断面iの変位値であり、
【数13】
【発明の効果】
【0017】
上記技術案から分かるように、従来技術に比べ、本発明は、鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法を提供する。鋼管アーチ橋のさび止めペイント色と環境背景色との明らかな差異に基づいて、可視光画像のRGB三次元行列を構築することにより、RGB色に基づいて環境背景点を識別し、打設時に打設済みの領域と空鋼管領域との比較的大きい温度差に基づいて、RGB色に基づいて環境背景点を識別し赤外画像に対して環境背景点を表記した上で、コンクリートが打設された点を識別し、コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの縦軸の最小値点に基づいて、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を確認し、コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの横軸の最小値点と縦軸の最大値点に基づいて、左と右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸を確認し、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸と左と右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸に基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を取得し、左と右の半分アーチの打設された液面の中心を得る。従来の人工による叩き方法に比べ、施工者の経験不足による施工リスクを低減させ、作業効率及び正確度を大幅に向上させ、施工コストを低減させることができる。左と右の半分アーチの打設された液面の中心に基づいて、打設する前に打設対象の鋼管のコンクリートの重量を水平投影によって等距離に分割した後独立して構造に印加し、各セグメントの荷重による各断面の変位に基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面の変位応答を算出する。従来、打設の過程を対称に荷重することにやみくもに簡略化することに比べ、両側のコンクリートの液面差をリアルタイムに観察し、現在の打設状態における構造応答を取得し、アーチ橋の施工リスクを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明の固定されたカメラ位置の模式図である。
【
図3】本発明の行列要素の画素座標系における位置の模式図である。
【
図4】本発明において鋼管の局所を撮影する模式図である。
【
図5】本発明の鋼管の局所の可視光画像の模式図である。
【
図6】本発明の左側の半分アーチリブの打設液面の模式図である。
【
図7】本発明の左アーチフットの画素点の模式図である。
【
図8】本発明の打設液面の画素座標系から直交座標系への変換の模式図である。
【
図9】本発明のアーチリブのセグメントの模式図である。
【
図10】本発明の実施例1の荷重の単一作用による鋼管の変形の模式図である。
【
図11】本発明のコンクリートの打設対象の主アーチの模式図である。
【
図12】本発明の全橋の可視光画像の模式図である。
【
図14】本発明の実施例2の荷重の単一作用による鋼管の変形の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明において使用する必要のある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は単に本発明の実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払わない前提で、提供される図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に記述し、明らかに、説明される実施例は、単に本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者は創造的な労力を払わない前提で得られた他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1は、鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法を開示し、
図1に示すように、次のステップを含む。
【0021】
ステップ(1):全橋の可視光画像及び鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列をそれぞれ取得し、且つ予め設定された鋼管の局所のRGB範囲に基づいて鋼管の局所のRGB三次元行列における異物点を除去し、異物点が除去された後の鋼管の局所のRGB三次元行列におけるRGBの最大値と最小値との間に限定される値の範囲によって、全橋のRGB三次元行列における環境背景点を識別する。
【0022】
図2に示すように、橋梁付近において解像度及び精度の要件を満たす4つの固定されたカメラ位置を選択し、ここで、カメラ位置1、2は、橋梁A側を観察するために用いられ、カメラ位置3、4は橋梁B側を観察するために用いられ、位置を選択する原則は次の通りであり、橋梁縦方向においてカメラ位置の隣接するアーチフットから離れる距離d×はl/10以下であり、lは橋梁スパンであり、橋梁横方向においてカメラ位置の隣接するアーチフットから離れる距離dy×はl/10以上であり、カメラ位置と2つのアーチフットとの接続線の間のなす角α≧30°であり、各側に少なくとも1つの固定されたカメラ位置を設ける必要がある。固定されたカメラ位置に解像度が1280×1024である可視光カメラを取り付け、ホルダの水平角及び仰角を調整して適切な撮影角度を探索し、スクリーンが全橋をカバすることができることを目指し、水平角β及び仰角γを記録し、完了した後に全橋の可視光画像を撮影し取得することができ、そして、matlabにおけるimread関数によって全橋の可視光画像をRGB三次元行列へ変換する。
【0023】
図4に示すように、可視光カメラによって鋼管の局所を近距離に撮影し、画像には鋼管以外にいかなる介在物が存在しないことが要望され、
図5に示す鋼管の局所の可視光画像が得られ、同様に、matlabにおけるimread関数によって鋼管の局所の可視光画像をRGB三次元行列へ変換する。
【0024】
全橋の可視光画像及び鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列は、次の通りであり、
全橋の可視光画像のRGB三次元行列は、次の通りであり、
【数14】
ここで、Rは、全橋の可視光画像のRGB三次元行列であり、r、g、bは、それぞれ全橋の可視光画像のRGB三次元行列におけるRGB三原色値であり、x×yは、カメラの解像度であり、
図3に示すように、行列の行番号と列番号は、画素座標系の縦軸vと横軸uに対応し、例えば、行列における1行目、1列目の要素に対応する画素座標は(1,1)であり、下記の行列のいずれにもこのような対応関係が存在する。
【0025】
鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列は、次の通りであり、
【数15】
ここで、R´は、鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列であり、r´、g´、b´は、それぞれ鋼管の局所の可視光画像のRGB三次元行列におけるRGB三原色値である。
【0026】
鋼管コンクリートアーチ橋のさび止めペイントは、一般的に赤色であり、RGB範囲はU=(200~255,0~50,0~50)であるため、予め設定された鋼管の局所のRGB範囲をUに設定し、R´行列における要素(r´,g´,b´)がUに属するか否かを判断して、鋼管の局所のRGB三次元行列における異物点を除去する。
【0027】
異物点が除去された後の鋼管の局所のRGB三次元行列におけるRGBの最大値と最小値との間に限定される値の範囲、即ち(r´
min~r´
max,g´
min~g´
max,b´
min~b´
max,)によって、全橋のRGB三次元行列における環境背景点を識別することは、次の通りであり、
【数16】
ここで、R
1は、環境背景点が識別された後の全橋のRGB三次元行列であり、「…」は、全橋のRGB三次元行列における環境背景点であり、「1」は、全橋のRGB三次元行列における鋼管の表面点であり、x×yは、カメラの解像度である。
【0028】
ステップ(2):全橋の赤外画像の温度情報の行列を取得し、且つ環境背景点に基づいて温度情報の行列における環境背景温度を表記し、環境背景温度点が表記された後の温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した温度差が予め設定された鋼管コンクリートと空鋼管との間の温度差の範囲を満たすか否かによってコンクリートが打設された点を識別し、ここで、全橋の赤外画像(赤外カメラによって撮影される)及び全橋の可視光画像の撮影位置(固定されたカメラ位置)、撮影角度(水平角β及び仰角γ)及びカメラの解像度(1280×1024)はいずれも同じである。
【0029】
赤外カメラに付属のソフトウェアによって全橋の赤外画像の温度情報の行列を取得することは、次の通りであり、
【数17】
ここで、Kは、全橋の赤外画像の温度情報の行列であり、Tは、温度であり、x×yは、カメラの解像度である。
【0030】
環境背景点に基づいて温度情報の行列における環境背景温度点を表記することは、具体的に、環境背景温度点はコンクリートが打設された点の識別に影響を与えないように、温度情報の行列における、全橋のRGB三次元行列における環境背景点位置に対応する環境背景温度点に対して予め設定された温度を表記し、次の通りであり、
【数18】
ここで、K
1は、環境背景温度点に対して予め設定された温度を表記した後の温度情報の行列であり、「…」は、全橋のRGB三次元行列における環境背景点位置に対応する環境背景温度点であり、予め設定された温度に表記し、ここで、-100℃に設定してもよく、-100℃からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した温度差が-100℃よりも小さく、△Tに影響を与えることがないからであり、予め設定された温度は他の温度に設定してもよく、環境背景温度点がコンクリートが打設された点の識別に影響を与えなければよく、Tは、温度情報の行列における鋼管の表面温度であり、x×yは、カメラの解像度である。
【0031】
環境背景温度点が表記された後の温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した温度差は、次の通りであり、
【数19】
ここで、K
2は、環境背景温度が表記された後の温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列を減算した温度差行列であり、「…」は、環境背景温度点とドーム鋼管の温度倍の単位行列における対応点との温度差であり、△Tは、鋼管の表面温度とドーム鋼管の温度倍の単位行列における対応点との温度差である。
【0032】
鋼管コンクリートと空鋼管との間の温度差は、一般的に、25℃よりも大きく、即ち、△T>25℃であり、対応する画素点は、即ちコンクリートが打設された領域における1つの点である。このような点の数は、カメラの解像度の高さによって変化する。
【0033】
ステップ(3):コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの縦軸の最小値点に基づいて、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を確認し、コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの横軸の最小値点と縦軸の最大値点に基づいて、左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸を確認し、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸と左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸に基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を取得する。
【0034】
コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの縦軸の最小値点に基づいて、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を確認することは、次の通りであり、
【数20】
ここで、u
左中は、左半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、mは、左半分アーチの縦軸の最小値点の数量であり、u
iは、第i個の左半分アーチの縦軸の最小値点の横軸であり、左側の半分アーチリブの打設された液面は
図6に示し、
【数21】
ここで、u
右中は、右半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、wは、右半分アーチの縦軸の最小値点の数量であり、u
i´は、第i個の右半分アーチの縦軸の最小値点の横軸である。
【0035】
コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの横軸の最小値点と縦軸の最大値点に基づいて、左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸を確認することは、次の通りであり、
【数22】
ここで、u
左フットは、左側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
左フット1は、左半分アーチの横軸の最小値点の横軸であり、u
左フット2は、左半分アーチの縦軸の最大値点の横軸であり、左アーチフットの画素点は
図7に示し、
【数23】
ここで、u
右フットは、右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
右フット1は、右半分アーチの横軸の最小値点の横軸であり、u
右フット2は、右半分アーチの縦軸の最大値点の横軸である。
【0036】
左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸と左と右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸に基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を取得することは、次の通りであり、
図8に示すように、ドーム断面の中心を原点Oとし、水平左方向はx軸であり、高度下方向はy軸であるように全橋の座標系を作成し、次のような打設液面の画素座標系から直交座標系への変換を実現し、
【数24】
ここで、x
左中は、直交座標系における左半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、lは、橋梁スパンであり、u
右フットは、右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
左フットは、左側アーチフットの断面の中心の画素の横軸であり、u
左中は、左半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、x
右中は、直交座標系における右半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、u
右中は、右半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸であり、mは、左半分アーチの縦軸の最小値点の数量であり、u
右フット1は、右半分アーチの横軸の最小値点の横軸であり、u
右フット2は、右半分アーチの縦軸の最大値点の横軸であり、u
左フット1は、左半分アーチの横軸の最小値点の横軸であり、u
左フット2は、左半分アーチの縦軸の最大値点の横軸であり、u
iは、第i個の左半分アーチの縦軸の最小値点の横軸であり、wは、右半分アーチの縦軸の最小値点の数量であり、u
i´は、第i個の右半分アーチの縦軸の最小値点の横軸である。
【0037】
ステップ(4):管内コンクリートを打設する時に、重力作用によってアーチ橋の各断面に内力及び変位などの力受けの応答が発生し、単に変位を例とすると、
図9に示すように、打設対象のアーチリブ全体を2n等分し(n>0、且つ整数であり、n値が大きいほど精度は高くなる)、
図10に示す各セグメントの荷重による各断面の変位に基づいて、且つ直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面の変位応答を算出する。
【0038】
各セグメントの荷重による各断面の変位に基づいて、且つ直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面の変位応答を算出することは、次の通りであり、
各セグメントの荷重による各断面の変位は、次の通りであり、
左側アーチフットから右側アーチフットへの各セグメントの荷重は、それぞれq
1...q
nであり、断面番号は、それぞれ0…2nであり、単一のq
1...q
nによる各断面の変位、即ち各セグメントの荷重による各断面の変位は、次の通りであり、
【数25】
【0039】
以上により、赤外撮影時の構造の力受けの応答を取得し、コンクリートを打設する過程において、固定されたカメラ位置に赤外撮影をタイミングで行う場合、構造の力受け状態をリアルタイムに予測、評価することができる。
【実施例2】
【0040】
本発明の実施例2は、実施例1に記載の鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法を利用して、
図11に示すあるアーチ橋の打設過程における力受け状態をリアルタイムモニタリング及び評価することを開示した。
【0041】
ステップ(1):当該橋l=500mであり、本発明の実施例は、固定されたカメラ位置1を例とし、dx1=10m<l/10=50m、dy1=80m>l/10=50m、α=74゜<30゜を採用する。
【0042】
固定されたカメラ位置1に解像度が1280×1024である可視光カメラを取り付け、ホルダの水平角及び仰角を調整し適切な撮影角度を探索し、水平角β=60゜及び仰角γ=35゜を記録し、完了した後に
図12に示す全橋の可視光画像を撮影して取得することができ、そして、matlabにおけるimread関数によって全橋の可視光画像をRGB三次元行列へ変換し、次の通りであり、
【数26】
可視光カメラによって鋼管の局所を近距離に撮影し、鋼管の局所の可視光画像が得られ、同様の変換方法を採用することにより、鋼管の局所の可視光画像をRGB三次元行列へ変換し、次の通りであり、
【数27】
鋼管コンクリートアーチ橋のさび止めペイントは、一般的に赤色であり、RGB範囲はU=(200~255,0~50,0~50)であるため、予め設定された鋼管の局所のRGB範囲をUに設定し、R´行列における要素(r´,g´,b´)がUに属するか否かを判断して、鋼管の局所のRGB三次元行列における異物点を除去する。
【0043】
異物点が除去された後の鋼管の局所のRGB三次元行列におけるRGBの最大値と最小値との間に限定される値の範囲、即ち、(r´
min=245~r´
max=255,g´
min=0~g´
max=25,b´
min=0~b´
max=23,)によって、全橋のRGB三次元行列における環境背景点を識別することは、次の通りであり、
【数28】
【0044】
ステップ(2):全橋の可視光画像の撮影位置(固定されたカメラ位置)、撮影角度(水平角β及び仰角γ)及びカメラの解像度(1280×1024)といずれも同じである場合、赤外カメラによって撮影して
図13に示す全橋の赤外画像(コンクリートを打設する過程において)を得、温度情報の行列へ変換し、次の通りであり、
【数29】
全橋のRGB三次元行列における環境背景点に基づいて、温度情報の行列における環境背景温度点を表記し、次の通りであり、
【数30】
【0045】
環境背景温度点が表記された後の温度情報の行列からドーム鋼管の温度倍の単位行列(K
1の最小値23.3゜を取る)を減算した温度差が予め設定された鋼管コンクリートと空鋼管との間の温度差の範囲に基づいてコンクリートが打設された点を識別し、次の通りであり、
【数31】
鋼管コンクリートと空鋼管との間の温度差は、一般的に、25℃よりも大きく、即ち、△T>25℃であり、対応する画素点は、即ちコンクリートが打設された領域における1つの点である。
【0046】
ステップ(3):コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの縦軸の最小値点に基づいて、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を確認することは、次の通りであり、
【数32】
コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの横軸の最小値点と縦軸の最大値点に基づいて、左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸を確認することは、次の通りであり、
【数33】
左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸と左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸に基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を取得することは、次の通りであり、
【数34】
以上により、打設された液面の画素座標系から直交座標系への変換を実現した。
【0047】
ステップ(4):n=4を取る場合、単一のq
1...q
8による各断面の変位は、
図14に示し、次の通りであり、
【数35】
各セグメントの荷重による各断面の変位に基づいて、且つ直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面の変位応答を算出することは、次の通りであり、
【数36】
【0048】
以上により、赤外撮影時の構造の力受けの応答を取得し、コンクリートを打設する過程において、固定されたカメラ位置に赤外撮影をタイミングで行う場合、構造の力受け状態をリアルタイムに予測、評価することができる。
【0049】
本発明の実施例は、鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法を開示する。鋼管アーチ橋のさび止めペイント色と環境背景色との明らかな差異に基づいて、可視光画像のRGB三次元行列を構築することにより、RGB色に基づいて環境背景点を識別し、打設時に打設済みの領域と空鋼管領域との比較的大きい温度差に基づいて、RGB色に基づいて環境背景点を識別し赤外画像に対して環境背景点を表記した上で、コンクリートが打設された点を識別し、コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの縦軸の最小値点に基づいて、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を確認し、コンクリートが打設された点における左と右の半分アーチの横軸の最小値点と縦軸の最大値点に基づいて、左と右側のアーチフットの断面の中心の画素の横軸を確認し、左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸と左と右側アーチフットの断面の中心の画素の横軸とに基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を取得し、左と右の半分アーチの打設された液面の中心を得る。従来の人工による叩き方法に比べ、施工者の経験不足による施工リスクを低減させ、作業効率及び正確度を大幅に向上させ、施工コストを低減させることができる。左と右の半分アーチの打設された液面の中心に基づいて、打設する前に打設対象の鋼管のコンクリートの重量を水平投影によって等距離に分割した後独立して構造に印加し、各セグメントの荷重による各断面の変位に基づいて、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面の変位応答を算出する。従来、打設の過程を対称に荷重することにやみくもに簡略化することに比べ、両側のコンクリートの液面差をリアルタイムに観察し、現在の打設状態における構造応答を取得し、アーチ橋の施工リスクを低減させることができる。
【0050】
本明細書における各実施例は、漸進的な方式によって説明し、各実施例と他の実施例との相違点を中心に説明し、各実施例の間の同じ又は同様の部分は互いに参照すればよい。実施例に開示される装置について、実施例に開示される方法に対応するため、簡単に説明しており、関連内容は方法部分の説明を参照すればよい。
開示される実施例の上記説明によって、当業者は本発明を実現し又は使用することができる。これらの実施例に対する様々な修正は当業者にとっては明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神又は範囲を逸脱しない限り、他の実施例で実現することができる。従って、本発明は、本明細書に示すこれらの実施例に制限されることなく、本明細書に開示される原理と新規的な特徴と一致する最も広い範囲とする。
【要約】 (修正有)
【課題】橋梁工事の技術分野に適用され、鋼管コンクリートアーチ橋の打設過程における力受け状態のリアルタイムモニタリング及び評価方法を提供すること。
【解決手段】鋼管の局所のRGB三次元行列におけるRGBの最大値と最小値間の範囲で全橋のRGB三次元行列における環境背景点を識別、温度情報の行列における環境背景温度点を表記し、ドーム鋼管の温度倍の単位行列条件を満たすか否かによってコンクリート打設点を識別し、直交座標系における左と右の半分アーチの打設された液面の中心の画素の横軸の取得と、打設対象のアーチリブ全体を2n等分し、各セグメントの荷重作用からの断面変位より、左右の半分アーチの打設液面の中心の画素の横軸を参照し、構造の各断面変位応答算出を含む。よって、両側のコンクリートの液面差をリアルタイム、効率的且つ正確的に観察でき、打設状態における構造応答を取得し、アーチ橋の施工リスクを低減させる。
【選択図】
図1