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特許7740901レーザー超音波検査システムのためのビームステアリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-08
(45)【発行日】2025-09-17
(54)【発明の名称】レーザー超音波検査システムのためのビームステアリング
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20250909BHJP
   G02F 1/33 20060101ALI20250909BHJP
【FI】
G01N29/265
G02F1/33
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021084685
(22)【出願日】2021-05-19
(65)【公開番号】P2021193372
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】16/879,450
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サファイ, モルテザ
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0291963(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02427282(GB,A)
【文献】特開2019-215327(JP,A)
【文献】特開平10-260163(JP,A)
【文献】特開2012-173427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0204454(US,A1)
【文献】特開平10-186423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
G02F 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(104)の表面(102)を検査するためのレーザー超音波試験(UT)装置(100)であって、
励起レーザービーム(118)を生成するように選択的に動作可能な励起レーザー(106)、
前記励起レーザー(106)から前記励起レーザービーム(118)を受け取り、第1の方向(125)と平行な経路に沿って前記励起レーザービーム(118)の位置を調節するように構成された第1の音響光学偏向器(AOD)(114)、
前記第1のAOD(114)から前記励起レーザービーム(118)を受け取り、前記第1の方向(125)とは異なる第2の方向(127)と平行な経路に沿って前記励起レーザービーム(118)の前記位置を調節するように構成された第2のAOD(116)、
検出レーザービーム(142)を生成するように選択的に動作可能な検出レーザー(108)、
前記検出レーザー(108)から前記検出レーザービーム(142)を受け取り、前記第1の方向(125)と平行な経路に沿って前記検出レーザービーム(142)の位置を調節するように構成された第3のAOD(130)
前記第3のAOD(130)から前記検出レーザービーム(142)を受け取り、前記第2の方向(127)と平行な経路に沿って前記検出レーザービーム(142)の前記位置を調節するように構成された第4のAOD(136)、及び
コントローラ(110)であって、
前記第1の方向(125)と平行な前記経路に沿って前記励起レーザービーム(118)の前記位置の調節と前記検出レーザービーム(142)の前記位置の調節とを同期させるように、前記第1のAOD(114)及び前記第3のAOD(130)を制御するように、且つ
前記第2の方向(127)と平行な前記経路に沿って前記励起レーザービーム(118)の前記位置の調節と前記検出レーザービーム(142)の前記位置の調節とを同期させるように、前記第2のAOD(116)及び前記第4のAOD(136)を制御するように構成された、コントローラ(110)を備える、レーザーUT装置(100)。
【請求項2】
前記第1の方向(125)は、前記第2の方向(127)と垂直である、請求項に記載のレーザーUT装置(100)。
【請求項3】
前記第1のAOD(114)は、第1の水晶素子(122)に結合された第1の圧電変換器(124)を備え、前記第1の方向(125)において第1の音波を生成するように構成され、
前記第2のAOD(116)は、前記第1のAOD(114)に結合され、且つ前記第2のAOD(116)は、第2の水晶素子(126)に結合された第2の圧電変換器(128)を更に備え、前記第2の方向(127)において第2の音波を生成するように構成される、請求項1又は2に記載のレーザーUT装置(100)。
【請求項4】
前記第2のAOD(116)に結合された複数のAOD(154)を更に備え、前記複数のAOD(154)のそれぞれは、前記複数のAOD(154)のうちの隣接するAODによって生成される音波と垂直な方向において音波を生成するように構成された圧電変換器(160)を有する、請求項に記載のレーザーUT装置(100)。
【請求項5】
前記第3のAOD(130)は、第3の水晶素子(132)に結合された第3の圧電変換器(134)を備え、前記第1の方向(125)において第3の音波を生成するように構成され、
前記第4のAOD(136)は、前記第3のAOD(130)に結合され、且つ前記第4のAOD(136)は、第4の水晶素子(138)に結合された第4の圧電変換器(140)を更に備え、前記第2の方向(127)において第4の音波を生成するように構成される、請求項又はに記載のレーザーUT装置(100)。
【請求項6】
物体(104)を非破壊検査するためのシステム(200)であって、
ロボットアーム(202)、
前記ロボットアームの工具中心点(TCP)(204)の移動を制御するように構成されたコントローラ(110)、並びに
前記TCP(204)に結合されたレーザー超音波試験(UT)装置(100)を備え、前記レーザーUT装置(100)は、
音響光学偏向器(AOD)の第1のペア(117)であって、前記AODの第1のペア(117)のうちの各AODは、x次元(125)又はy次元(127)のうちの一方において、励起レーザー(106)によって生成された励起レーザービーム(118)の位置を調節するように構成され、前記x次元(125)は前記y次元(127)と垂直である、AODの第1のペア(117)、及び
前記x次元(125)又は前記y次元(127)のうちの一方において、検出レーザー(108)によって生成された検出レーザービーム(142)の位置を調節するようにそれぞれが構成された、AODの第2のペア(137)を備え
前記コントローラは、第1の方向と平行な経路に沿って前記励起レーザービーム(118)の前記位置の調節と前記検出レーザービーム(142)の前記位置の調節とを同期させ、且つ前記第1の方向とは異なる第2の方向と平行な経路に沿って前記励起レーザービーム(118)の前記位置の調節と前記検出レーザービーム(142)の前記位置の調節とを同期させるように、前記AODの第1のペア(117)及び前記AODの第2のペア(137)を制御するように更に構成されている、システム。
【請求項7】
前記物体(104)の表面(102)から放出された超音波エネルギーを検出するように構成された干渉計検出器(112)を更に備える、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラ(110)は、前記AODの第1のペア(117)の励起を前記AODの第2のペア(137)の励起と同期させるように更に構成される、請求項又はに記載のシステム。
【請求項9】
表面(102)の外形を特定し、前記表面(102)の前記外形に対応した外形情報を生成し、前記外形情報を前記コントローラ(110)に通信するように構成された、表面プロファイラ(208)を更に備える、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラ(110)は、前記物体(104)のコンピュータ支援設計モデルに基づいて、表面(102)の外形に対応した外形情報を特定するように構成される、請求項からのいずれか一に記載のシステム。
【請求項11】
物体(104)を非破壊検査する方法(300)であって、
レーザー超音波試験(UT)装置(100)を前記物体(104)の表面(102)に隣接して配置することであって、前記レーザーUT装置(100)は、
音響光学偏向器(AOD)の第1のペア(117)であって、前記AODの第1のペア(117)のうちの各AODは、x次元(125)又はy次元(127)のうちの一方において、励起レーザービーム(118)の偏向を調節するように構成され、前記x次元(125)は前記y次元(127)と垂直である、AODの第1のペア(117)、及び
AODの第2のペア(137)であって、前記AODの第2のペア(137)のうちの各AODは、前記x次元(125)又は前記y次元(127)のうちの一方において、検出レーザービーム(142)の偏向を調節するように構成された、AODの第2のペア(137)を備える、配置すること、
前記AODの第1のペア(117)の励起を前記AODの第2のペア(137)の励起と同期させることによって、前記励起レーザービーム(118)の前記偏向を前記検出レーザービーム(142)の前記偏向とマッチングすること、
前記物体(104)を走査して欠陥を探索すること、並びに
前記物体(104)の前記表面(102)から所定の距離(126)にある前記レーザーUT装置(100)を用いて、前記物体(104)の前記表面(102)をトラバースすることを含む、方法(300)。
【請求項12】
干渉計検出器(112)で、前記物体(104)から放出された超音波エネルギーを検出することを更に含む、請求項11に記載の方法(300)。
【請求項13】
前記物体(104)を走査して欠陥を探索することは、前記物体(104)の前記表面(102)の外形情報に従って前記物体(104)を走査することを更に含む、請求項11又は12に記載の方法(300)。
【請求項14】
前記表面(102)の外形に基づいて、ロボットアーム(202)を介して、前記レーザーUT装置(100)と前記物体(104)との間の所定の距離(126)を維持することを更に含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、部品の非破壊検査に関し、特に、レーザーを使用した部品の非破壊検査のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送体の部品などの様々な製造構成要素が、製造工程中に利用され得る。そのような製造構成要素は、複合材料から形成された複合材構造物であり得る。これらの複合材構造物の形成は、層間剥離、含有物、ボイド、ディスバンド(disband)などの欠陥を不注意で含み得る。したがって、複合材構造物は、構造物の品質を評価する(例えば、構造物内の欠陥を特定する)ために走査される。
【0003】
複合材構造物内の欠陥を特定するために有用な1つの走査技法は、レーザーを使用する。構造物の表面に向けられたレーザーは、構造物を通過する超音波の生成を誘起し、その超音波は、構造物の表面に伝播しつつ戻る前に、構造物の内部にある特徴と相互作用する。検出器が、構造物の表面に伝播する超音波を測定し、解析器が、表面から伝播する超音波の特性に応じて、欠陥が存在するかどうかを判定する。概して、ロボットアームが、構造物の表面に沿ってレーザーを移動させる。残念なことに、ロボットアームが構造物の表面に沿ってレーザーを移動させるときに、レーザーと構造物の表面との間で一貫した距離を維持することは難しい。
【発明の概要】
【0004】
本出願の主題は、先行技術の技法の上述の欠点を克服する例示的な非破壊検査デバイスを提供する。本出願の主題は、現在の最先端技術に応じて、特に、現在の非破壊検査デバイスの欠点に応じて開発されている。
【0005】
本明細書で開示されるのは、物体の表面を検査するためのレーザー超音波試験(UT)装置である。レーザーUT装置は、励起レーザービームを生成するために選択的に動作可能な励起レーザーを備える。レーザーUT装置はまた、励起レーザーから励起レーザービームを受け取り、第1の方向と平行な経路に沿って励起レーザービームの位置を調節するように構成された第1の音響光学偏向器(AOD)も備える。レーザーUT装置は、第1のAODから励起レーザービームを受け取り、第1の方向とは異なる第2の方向と平行な経路に沿って励起レーザービームの位置を調節するように構成された第2のAODを更に備える。レーザーUT装置は、更に、検出レーザービームを生成するために選択的に動作可能な検出レーザーを備える。レーザーUT装置は、検出レーザーから検出レーザービームを受け取り、第1の方向と平行な経路に沿って検出レーザービームの位置を調節するように構成された第3のAODを更に備える。レーザーUT装置は、更に、第3のAODから検出レーザービームを受け取り、第2の方向と平行な経路に沿って検出レーザービームの位置を調節するように構成された第4のAODを備える。この段落の前述の主題は、本開示の実施例1を特徴付ける。
【0006】
レーザーUT装置は、表面から放出された超音波エネルギーを検出するように構成された干渉計検出器(interferometer detector)を更に備える。この段落の前述の主題は、本開示の実施例2を特徴付け、実施例2は、上述の実施例1による主題も含む。
【0007】
レーザーUT装置は、第1の方向と平行な経路に沿った励起レーザービームと検出レーザービームとの位置の調節を同期させるよう、第1のAOD及び第3のAODを制御するように構成されたコントローラを更に備える。コントローラはまた、第2の方向と平行な経路に沿った励起レーザービームと検出レーザービームとの位置の調節を同期させるよう、第2のAOD及び第4のAODを制御するように構成される。この段落の前述の主題は、本開示の実施例3を特徴付け、実施例3は、上述の実施例1又は2による主題も含む。
【0008】
レーザーUT装置は、表面の外形を特定し、表面の外形に対応した外形情報を生成し、外形情報をコントローラに通信するように構成された表面プロファイラを更に備える。この段落の前述の主題は、本開示の実施例4を特徴付け、実施例4は、上述の実施例3による主題も含む。
【0009】
該コントローラは、物体のコンピュータ支援設計モデルに基づいて、表面の外形に対応した外形情報を特定するように構成される。この段落の前述の主題は、本開示の実施例5を特徴付け、実施例5は、上述の実施例3又は4による主題も含む。
【0010】
第1の方向は、第2の方向と垂直である。この段落の前述の主題は、本開示の実施例6を特徴付け、実施例6は、上述の実施例1から5のいずれか一つによる主題も含む。
【0011】
第1のAODは、第1の水晶素子(crystal)に結合された第1の圧電変換器を備え、第1の方向において第1の音波を生成するように構成される。第2のAODは、第1のAODに結合され、第2の水晶素子に結合された第2の圧電変換器を更に備え、第2の方向において第2の音波を生成するように構成される。この段落の前述の主題は、本開示の実施例7を特徴付け、実施例7は、上述の実施例1から6のいずれか1つによる主題も含む。
【0012】
レーザーUT装置は、第2のAODに結合された複数のAODを更に備え、複数のAODのそれぞれは、複数のAODのうちの隣接するAODによって生成される音波と垂直な方向において音波を生成するように構成された圧電変換器を有する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例8を特徴付け、実施例8は、上述の実施例7による主題も含む。
【0013】
第3のAODは、第3の水晶素子に結合された第3の圧電変換器を備え、第1の方向において第3の音波を生成するように構成される。第4のAODは、第3のAODに結合され、第4の水晶素子に結合された第4の圧電変換器を更に備え、第2の方向において第4の音波を生成するように構成される。この段落の前述の主題は、本開示の実施例9を特徴付け、実施例9は、上述の実施例7又は8による主題も含む。
【0014】
レーザーUT装置は、第4のAODに結合された複数のAODを更に備える。複数のAODのそれぞれは、複数のAODのうちの隣接するAODによって生成される音波と垂直な方向において音波を生成するように構成された圧電変換器を有する。この段落の前述の主題は、本開示の実施例10を特徴付け、実施例10は、上述の実施例9による主題も含む。
【0015】
本明細書で更に開示されるのは、物体を非破壊検査するためのシステムである。該システムは、ロボットアームを備える。該システムはまた、ロボットアームの工具中心点(TCP)の移動を制御するように構成されたコントローラも備える。該システムは、TCPに結合されたレーザー超音波試験(UT)装置を更に備える。レーザーUT装置は、音響光学偏向器(AOD)の第1のペアを備える。AODの第1のペアの各AODは、x次元又はy次元のうちの一方において、励起レーザーによって生成された励起レーザービームを調節するように構成される。x次元は、y次元と垂直である。レーザーUT装置はまた、x次元又はy次元のうちの一方において、検出レーザーによって生成された検出レーザービームを調節するようにそれぞれ構成されたAODの第2のペアも備える。この段落の前述の主題は、本開示の実施例11を特徴付ける。
【0016】
該システムは、物体の表面から放出された超音波エネルギーを検出するように構成された干渉計検出器を更に備える。この段落の前述の主題は、本開示の実施例12を特徴付け、実施例12は、上述の実施例11による主題も含む。
【0017】
該コントローラは、AODの第1のペアの励起をAODの第2のペアの励起と同期させるように更に構成される。この段落の前述の主題は、本開示の実施例13を特徴付け、実施例13は、上述の実施例11又は12による主題も含む。
【0018】
該システムは、表面の外形を特定し、表面の外形に対応した外形情報を生成し、外形情報をコントローラに通信するように構成された表面プロファイラを更に備える。この段落の前述の主題は、本開示の実施例14を特徴付け、実施例14は上述の実施例11から13のうちのいずれか一つによる主題も含む。
【0019】
該コントローラは、物体のコンピュータ支援設計モデルに基づいて、表面の外形に対応した外形情報を特定するように構成される。この段落の前述の主題は、本開示の実施例15を特徴付け、実施例15は、上述の実施例11から14のいずれか一つによる主題も含む。
【0020】
本明細書で更に開示されるのは、物体を非破壊検査する方法である。該方法は、レーザー超音波試験(UT)装置を物体の表面に隣接して配置することを含む。レーザーUT装置は、x次元又はy次元のうちの一方において、励起レーザービームの偏向を調節するようにそれぞれ構成された音響光学偏向器(AOD)の第1のペアを備える。x次元は、y次元と垂直である。レーザーUT装置はまた、x次元又はy次元のうちの一方において、検出レーザービームの偏向を調節するようにそれぞれ構成されたAODの第2のペアも備える。該方法はまた、AODの第1のペアの励起をAODの第2のペアの励起と同期させることによって、励起レーザービームの偏向を検出レーザービームの偏向とマッチングすることも含む。該方法は、物体を走査して欠陥を探索することを更に含む。該方法は、更に、表面から所定の距離にあるレーザーUT装置を用いて、物体の表面をトラバースする(traverse:横断しながら詳しく調べる)ことを含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例16を特徴付ける。
【0021】
該方法は、干渉計検出器で、物体から放出された超音波エネルギーを検出することを更に含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例17を特徴付け、実施例17は、上述の実施例16による主題も含む。
【0022】
該方法は、物体内の欠陥の存在を特定するために、検出された超音波エネルギーを解析することを更に含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例18を特徴付け、実施例18は、上述の実施例17による主題も含む。
【0023】
物体を走査して欠陥を探索することは、物体の表面の外形情報に従って物体を走査することを更に含む。この段落中の上記の主題は、本開示の実施例19を特徴付け、実施例19は、上述の実施例16から実施例18のいずれか一つによる主題も含む。
【0024】
該方法は、表面の外形に基づいて、ロボットアームを介して、レーザーUT装置と物体との間の所定の距離を維持することを更に含む。この段落の前述の主題は、本開示の実施例20を特徴付け、実施例20は、上述の実施例16から19のいずれか一つによる主題も含む。
【0025】
説明される本開示の主題の特徴、構造、利点、及び/又は特性は、1以上の実施例において任意の適切なやり方で組み合わされてよい。本開示の主題の実施例の包括的な理解を促すために、後述の説明において、数々の具体的な詳細が提供される。当業者であれば、本開示の主題は、特定の実施例の具体的な特徴、詳細、構成要素、材料、及び/又は方法のうちの1以上がなくても実施することができることを認識するであろう。他の場合では、更なる特徴及び利点は、特定の実施例において認識され得るが、全ての実施例に存在しない場合がある。更に、幾つか事例では、本開示の主題の態様を不明瞭にしないよう、周知の構造、材料、又は工程が、詳細に記載又は図示されていない。本開示の主題の特徴及び利点は、後述の記載及び添付の特許請求の範囲によって更に明らかとなる、或いは、本主題を下記に記載されるように実施することによって理解されるであろう。
【0026】
本主題の利点がより容易に理解され得るように、上記で概説した本主題のより具体的な記載が、添付図面に示す具体的な実施例を参照して提供される。これらの図面は、本主題の典型的な実施例のみを図示しており、本主題の範囲を限定するものと見なされるべきではないことが理解される。本主題は、図面の使用を通じて、更に具体的且つ詳細に記載され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】開示される主題の実施例による、レーザー超音波試験装置の一実施例を示す概略ブロック図である。
図2】開示される主題の実施例による、図1のレーザー超音波試験装置の励起レーザーアセンブリの一実施例を示す概略ブロック図である。
図3】開示される主題の実施例による、図1のレーザー超音波試験装置の検出レーザーアセンブリの一実施例を示す概略ブロック図である。
図4】開示される主題の実施例による、音響光学偏向器のペアの一実施例を示す概略ブロック図である。
図5】開示される主題の実施例による、複数の音響光学偏向器の一実施例を示す概略ブロック図である。
図6】開示される主題の実施例による、非破壊検査試験のためのシステムの一実施例を示す概略ブロック図である。
図7】開示される主題の実施例による、コントローラの一実施例を示す概略ブロック図である。
図8】開示される主題の実施例による、物体を非破壊検査する方法を示すフローチャートの図である。
図9】開示される主題の実施例による、構造物の一実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書において「一実施例」、「ある実施例」、又は同様の文言に対して言及がなされるとき、それは、実施例に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。本明細書を通して記載されている「一実施例」、「ある実施例」、又は同様の文言は、全て同じ実施例を指してもよいが、必ずしもそうでなくともよい。同様に、「実施態様」という用語は、本開示の1以上の実施例に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性を有する実施態様を意味するが、そうでないことを示唆する明らかな相関性がない限り、その実施態様は、1以上の実施例に関連付けられてよい。
【0029】
図1を参照すると、開示される主題の実施例による物体104の表面102を非破壊試験するためのレーザー超音波試験(UT)装置100が示されている。特定の実施例では、レーザーUT装置100が、励起レーザーアセンブリ101、検出レーザーアセンブリ103、コントローラ110、及び干渉計検出器112を含む。明瞭にするために、図1は、回折されたレーザービームを示すことなしに、励起レーザー106、検出レーザー108、コントローラ110、及び干渉計検出器112を含む、レーザーUT装置100の簡略化された図を示している。図2及び図3は、それぞれ、励起レーザーアセンブリ101と検出レーザーアセンブリ103との個別の図を描いており、それぞれは、どのようにしてレーザーUT装置100が、物体104の表面102にわたり励起レーザー106と検出レーザー108とをラスター走査するかを描くために、回折されたビームを示している。
【0030】
特定の実施例では、物体104が、航空機の部分(例えば、主翼、胴体など)又は別の製造される構造物などの、任意の適切な構造物である。物体104は、物体104の表面102下に閉じ込められた空気に起因する変形などの物体104の表面の変形、又は物体104の内部にある欠陥が存在する場合、欠陥を有する。幾つかの状況では、物体104の表面102下に閉じ込められた空気が、剥離した層/材料からもたらされる。レーザーUT装置100は、物体104内の欠陥を検出するように構成される。
【0031】
特定の実施例では、励起レーザーアセンブリ101が、励起レーザービーム118の形態を採る超音波エネルギーを生成するように構成された励起レーザー106を含む。励起レーザー106のような用途向けに適切なレーザーは、非限定的に、ガスレーザー、化学レーザー、ダイレーザー(dye laser)、固体レーザー、半導体レーザーなどを含む。励起レーザー106の励起レーザービーム118は、表面102のエリアの突然の熱膨張によって超音波エネルギー波を生成する。突然の熱膨張は、表面102の小さいエリアの加熱により、超音波を生成する。特定の実施例では、生成される超音波の周波数が、励起レーザー106のパルス化周波数によって決まる。幾つかの実施例では、励起レーザー106の出力レベルが、表面102の一部の蒸発又はアブレーション(ablation)をもたらすのに十分であり、超音波エネルギーは、蒸発した材料の反跳効果(recoil effect)によって生成される。
【0032】
超音波エネルギー波の一部分は、直ちに表面102から反射されるが、超音波エネルギー波の別の一部分は、物体104の中に伝播する。更に、これらの伝播した波の一部分は、例えば、物体104内の層境界から、検出レーザー108の位置に向けて反射される。特定の実施例では、これらの超音波エネルギー波が、表面102から放出されるときに表面102を変形又は移動させ、検出器レーザーアセンブリ103の検出レーザー108によって生成される検出レーザービーム142の偏向をもたらす。この偏向された検出レーザービームが、干渉計検出器112によって検出される。したがって、干渉計検出器112は、超音波エネルギーを検出し、検出された超音波エネルギーに関する情報をコントローラ110に通信するように構成される。
【0033】
特定の実施例では、干渉計検出器112が、複数のレーザー生成干渉ポイント(multiple laser-produced interferometry point)を検出するように構成される。励起レーザー106によって生成された超音波情報は、検出レーザー108からの反射ビームを偏向させる。偏向された反射ビームは、干渉計検出器112によって検出される。超音波情報は、コントローラ110に通信され、解析されて、物体104内の欠陥を特定する。
【0034】
特定の実施例では、励起レーザーアセンブリ101の第1の音響光学偏向器(「AOD」又は複数の音響光学偏向器に言及するときは「複数のAOD」)114及び第2のAOD116が、励起レーザー106と光学的に結合され、物体104の表面102にわたる走査運動において、励起レーザー106によって生成された励起レーザービーム118を向けるように構成される。第1のAOD114と第2のAOD116とは、集合的にAODの第1のペア117と呼ばれる。図1及び図2で描かれているように、第1のAOD114と第2のAOD116とは、励起レーザービーム118が、物体104の励起エリア120にわたりラスター走査(すなわち、線ごとに走査)することをもたらす。特定の実施例では、第1のAOD114と第2のAOD116とのそれぞれが、単一の軸に沿って励起レーザービーム118を偏向させるように構成される。説明を容易にするために、物体104の表面102によって画定される二次元空間では、第1の軸がx次元であり、本明細書で第1の方向125とも呼ばれ、第2の軸がy次元であり、本明細書で第2の方向127とも呼ばれる。特定の実施例では、x次元すなわち第1の方向125が、y次元すなわち第2の方向127と垂直である。
【0035】
第1のAOD114と第2のAOD116とは、ブラッグ回折(Bragg diffraction)原理に従って、励起レーザービーム118を偏向させる。特定の実施例では、第1のAOD114が、第1の水晶素子122と、第1の水晶素子122に結合された第1の圧電変換器124を含む。第1の圧電変換器124が音波を生成するときに、第1の水晶素子122を通過する励起レーザービーム118が偏向される。偏向の角度は、音波の周波数に関連する。第1の水晶素子122は、可変屈折率を有する専用の複屈折材料である。音波を増加させると、励起レーザービーム118の中心軸位置から、第1の方向125と平行な経路に沿って離れる、励起ビームの偏向が増加する。
【0036】
同様に、第2のAOD116は、第2の水晶素子126と第2の圧電変換器128とを含む。第2のAOD116は、第1の方向125と実質的に垂直な第2の方向127と平行な経路に沿って、励起レーザービーム118を偏向させるように構成される。本明細書で使用される際に、「実質的に」という用語は、言及される値の±10%の範囲内の値を指す。例えば、「実質的に垂直な」方向は、約80度と100度との間の角度を形成する軸を含む。併せて考えると、第1のAOD114と第2のAOD116とは、励起エリア120にわたりラスター走査するために励起レーザービーム118を向けるように、コントローラ110によって制御可能である。
【0037】
特定の実施例では、レーザーUT装置100の検出レーザーアセンブリ103が、第3のAOD130(第3の水晶素子132及び第3の圧電変換器134を含む)と、第4のAOD136(第4の水晶素子138及び第4の圧電変換器140を含む)とを含む。特定の実施例では、第3のAOD130と第4のAOD136とが、AODの第2のペア137と呼ばれる。第3のAOD130と第4のAOD136とは、検出レーザー108と光学的に結合されている。言い換えると、励起レーザー106と第1のAOD114及び第2のAOD116と同様に、第3のAOD130及び第4のAOD136は、検出レーザー108の検出レーザービーム142を受信する関係にある。上述されたように、検出レーザービーム142が第3のAOD130及び第4のAOD136を通過するときに、それぞれの圧電変換器134、140は、検出エリア144のラスター走査を実現するために、第1の方向125又は第2の方向127のいずれかと平行な経路に沿って、検出レーザービーム142の偏向をもたらす。
【0038】
特定の実施例では、以下でより詳細に説明されるように、レーザーUT装置100が、物体104の表面102に沿って移動される。励起レーザー106と検出レーザー108との間の、続いて励起エリア120と検出エリア144との間の距離146が維持される。幾つかの実施例では、図1で描かれているように、検出エリア144が、励起エリア120と部分的に交差する。オフセットの距離146は、有益なことに最小化される。というのも、ビーム偏向又はビームステアリングは、機械的な干渉なしに実現されるからである。これにより、レーザーUT装置100の最小化が可能になる。
【0039】
特定の実施例では、励起レーザー106と検出レーザー108との両方の、レーザーパルス及び中心軸(すなわち標準ビーム位置)からのビーム偏向は、第1のAOD114及び第2のAOD116のエネルギーレベルを、第3のAOD130及び第4のAOD136のエネルギーレベルと同期させることによって同期される。例えば、コントローラ110は、AODに印加される電圧を個別に及び/又は集合的にの両方で制御して、励起ビームと検出レーザービーム142とのパルス及び位置を同期させるように構成される。これは、有益なことに、検出レーザービーム142が、励起レーザー106によって生成された超音波エネルギーを検出するのに最適に配置されることを可能にする。コントローラ110は、水晶素子の配向に基づくアルゴリズムを使用して、単一の電源から各AOD114、116、130、136を制御するように構成される。以下でより詳細に説明されるように、該アルゴリズムは、励起レーザー106と検出レーザー108との調節の間の時間遅延を実施して、超音波の生成及び伝播を可能にする。AOD114、116、130、136は、励起レーザービーム118と検出レーザービーム142とのパルス時間を調節するための光学シャッター(例えば、ビームチョッパー)としても機能することができる。
【0040】
次に図4を参照すると、本開示の主題の実施例によるAOD148の第1のペアの斜視図が示されている。励起レーザーアセンブリ101の第1のAOD114及び第2のAOD116の描写として説明されるが、その説明は、概して、検出レーザーアセンブリ103の第3のAOD130及び第4のAOD136に適用される。特定の実施例では、第1のAOD114が、第2のAOD116に結合されている。幾つかの実施例では、第1のAOD114と第2のAOD116とが物理的に結合されているが、他の実施例では、第1のAOD114と第2のAOD116とが光学的に結合される。「光学的に結合される」という言い回しは、励起レーザー106の励起レーザービーム118が、第1のAOD114と第2のAOD116との両方を通過するような配向又は関係で配置されていることを指す。第1の圧電変換器124は、第1の水晶素子122の面上に配置される。それによって、第1の圧電変換器124によって生成された音波が、矢印150で描かれているように、励起レーザービーム118の移動の方向を横切る方向に移動する。
【0041】
特定の実施例では、第2の圧電変換器128が、第2の水晶素子126の面上に配置される。それによって、第2の圧電変換器128によって生成された音波が、矢印152で示されているように、励起レーザービーム118を横切る方向に移動する。特定の実施例では、矢印150、152が、図1図3の第1の方向125と第2の方向127とに、それぞれ一致する。幾つかの実施例では、矢印150によって特定される方向が、実質的に、矢印152によって特定される方向に垂直である。
【0042】
図5は、本開示の主題の実施例による複数のAODの斜視図である。特定の実施例では、1以上の更なるAOD156が、第1のAOD114及び第2のAOD116(例えば、AODの第1のペア117)に結合される。更なるAOD156のそれぞれは、第1のAOD114及び第2のAOD116と光学的に結合される。それによって、励起レーザービーム118は、更なるAOD156のそれぞれを通過する。更なるAOD156のグループ化は、複数のAOD154と呼ばれる。図4と同様に、幾つかの実施例では、更なるAOD156が、検出レーザー108の第3のAOD130及び第4のAOD136に同様なやり方で結合される。
【0043】
更なるAOD156のそれぞれは、水晶素子158及び圧電変換器160を含む。特定の実施例では、各更なるAOD156の圧電変換器160が、音波が更なるAOD156の隣接するAODと垂直な方向に生成されるように配置される。言い換えると、隣接する圧電変換器160は、水晶素子158の面と交互になるように配置される。図1図5で描かれている水晶素子は、四角形であるが、AODは都合の良い数の面を有する(すなわち、三角形、五角形、六角形など)ことが考えられる。
【0044】
次に図6を参照すると、本開示の主題の実施例による、製造構成要素(例えば、物体104とも呼ばれる)の非破壊検査(NDI)用のシステム200の一実施例を示す概略ブロック図が示されている。特定の実施例では、システム200を使用して、複合材航空機翼、スパー、及び胴体バレルなどの、幅広い範囲のサイズ及び形状の複合材構造物を含む、様々な構造物を検査する。
【0045】
特定の実施例では、システム200が、ロボットアーム202を含む。ロボットアーム202は、工具中心点(TCP)204の移動及び配置を提供するように構成されたジョイントアームロボット(jointed-arm robot)である。特定の実施例では、TCP204が、ロボットアーム202がロボットベース206を基準として空間を通って移動する数学的なポイント(ロボットアーム202の端部上に配置された)である。特定の実施例では、TCP204が、ロボットアーム202の端部に位置付けられ、レーザーUT装置100などのツールに結合されるように構成される。例えば、ロボットアーム202の端部は、レーザーUT装置100又はエンドエフェクタが取り付けられるプレートである。特定の実施例では、TCP204が、物体104の表面102を走査するためのレーザーUT装置100からの理想的な距離に一致する、ロボットアームの端部から所定の距離に配置されたポイントである。コントローラ110は、TCP204の移動及び配置を制御するように構成される。
【0046】
特定の実施例では、コントローラ110が、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせを使用して実装される。ソフトウェアが使用されるときに、コントローラ110によって実行される動作は、例えば、プロセッサユニットで実行されるように構成されたプログラムコードを使用して実装される。ファームウェアが使用されるときに、該動作は、例えば、プロセッサユニットで実行される、永続メモリ内に記憶されたプログラムコード及びデータを使用して実装される。ハードウェアが使用されるときに、ハードウェアは、TCP204を移動させる動作を実行するように動作する1以上の回路を含む。特定の実施例では、ハードウェアが、回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理デバイスなどの形態を採る。
【0047】
特定の実施例では、コントローラ110が、6つ以上までの自由度を有する移動を可能にするロボットアーム202の移動を制御するように構成される。特定の実施例では、ロボットアーム202が、エンドエフェクタ(例えば、レーザーUT装置100)と結合されるように構成される。一実施例では、エンドエフェクタが、ロボットアーム202の部分として統合されるか、又はTCP204と着脱可能に結合される。特定の実施例では、物体104の検査が、図1図5を参照して上述されたように、レーザーUT装置100を使用する。物体104の構造は、物体104に欠陥がないことを保証するために、レーザーUT装置100によって走査される。
【0048】
特定の実施例では、物体104が、変動する半径及び変動する角度の湾曲を備える部分を有する。効果的な走査のために、レーザーUT装置100が、物体104に隣接して配置される。特定の実施例では、レーザーUT装置100が、物体104の特定の位置に対して、特定の距離及び角度又は配向に維持される。これを実現するために、コントローラ110は、表面プロファイラ208と通信するように構成される。特定の実施例では、表面プロファイラ208が、物体104の表面102の外形又は湾曲を特定するように構成されたレーザープロファイラである。幾つかの実施例では、表面プロファイラ208が、物体104のコンピュータ支援設計モデルからの物体104の外形情報を解析及び特定するように構成される。特定の実施例では、表面プロファイラ208が、外形情報をコントローラ110に通信する。湾曲を特定した後で、コントローラ110は、レーザーUT装置100と物体104の表面102との間の適切な距離を維持するように構成される。
【0049】
特定の実施例では、コントローラ110がタイマー210を含む。タイマー210は、第3のAOD130及び第4のAOD136を介する検出レーザー108の調節を同期させるが、遅延させるように構成される。特定の実施例では、コントローラ110が、圧電変換器124、128、134、140に駆動信号を提供する単一の圧電ドライバを含む。超音波を生成し、その波が、物体104の中を伝播し、潜在的に検出のために表面102から反射して戻ることを可能にするために必要とされる時間を考慮すべく、タイマー210は、駆動信号に遅延を導入する。小さいとしても、その遅延は、検出レーザー108が、超音波を検出するために適切な位置へ調節されることを可能にする。この遅延は、表面102の湾曲に基づいて変動する。例えば、実質的に平坦な表面は、凹面又は凸面よりも小さい遅延を必要とする。特定の実施例では、タイマー210が、表面プロファイラ208によって導出された湾曲情報に基づいて遅延を更新するように構成される。
【0050】
図7は、開示される主題の実施例による、コントローラ110を示している概略ブロック図である。コントローラ110は、計算デバイスの一実施例である。それは、幾つかの実施例では、本開示の実施例の1以上の構成要素を実施するために使用される。コントローラ110内には、工程を実施するコンピュータ使用可能プログラムコード又は指示命令が、例示的な実施例向けに置かれてよい。この例示的な実施例では、コントローラが、通信ファブリック214を含む。それは、プロセッサユニット216、メモリ218、表面プロファイラ208、固定記憶装置220、通信ユニット235、及びディスプレイ237の間の通信を提供する。
【0051】
特定の実施例では、表面プロファイラ208が、ロボットアーム202上に配置され、物体104の表面102の湾曲を特定するために、物体104の表面を走査するように構成される。表面プロファイラ208はまた、TCP204と物体104との間の距離を測定し、その距離をコントローラ110に通信するようにも構成される。今度は、コントローラ110が、特定された距離に応じてTCP204を移動させるように構成される。
【0052】
幾つかの実施例では、プロセッサユニット216が、メモリ218の中にロードされるソフトウェア用の指示命令を実行するために働く。一実施例では、プロセッサユニット216が、特定の実施態様に応じて、一組の1以上のプロセッサであるか、又はマルチプロセッサコアであってよい。更に、プロセッサユニット216は、1以上の異種プロセッサシステムを使用して実装される。その場合、幾つかの実施例に従って、主たるプロセッサが単一のチップ上で副次的なプロセッサと共に存在する。別の例示的な一実施例として、プロセッサユニット216は、同じ種類の複数のプロセッサを包含する対称型マルチプロセッサシステムである。
【0053】
メモリ218及び固定記憶装置220は、記憶デバイス228の実施例である。記憶デバイスは、例えば、限定するものではないが、データ、機能的な形態のプログラムコードなどの情報、及び/又は他の適切な情報を一時的に及び/又は永続的に保存できる、任意のハードウェアである。これらの実施例では、メモリ218が、ランダムアクセスメモリ、又は任意の他の適切な揮発性若しくは不揮発性の記憶デバイスであってよい。固定記憶装置220は、特定の実施態様に応じて様々な形態を採る。一実施例では、固定記憶装置220が、1以上の構成要素又はデバイスを包含する。一実施例では、固定記憶装置220が、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書き換え可能光ディスク、書き換え可能磁気テープ、又はこれらの何らかの組み合わせである。幾つかの実施例では、固定記憶装置220によって使用される媒体が、着脱可能である。例えば、様々な実施態様では、着脱可能ハードドライブが固定記憶装置220向けに使用される。
【0054】
これらの実施例では、通信ユニット235が、他のデータ処理システム又はデバイスとの通信を提供する。これらの実施例では、通信ユニット235が、ネットワークインターフェースカードである。通信ユニット235は、物理的通信リンクと無線通信リンクとのうちのいずれか、又はそれら両方を使用することによって通信を提供する。幾つかの実施例では、通信ユニット235が、キーボード、マウス、及び/又は何らかの他の適切な入力デバイスを介して、ユーザ入力向けの接続も提供する。更に、様々な実施例では、入力/出力ユニットが、プリンターに出力を送り、又は任意の他の周辺デバイスから入力を受け取る。ディスプレイ237は、ユーザに情報を表示するための機構を提供する。
【0055】
幾つかの実施例では、オペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又はプログラム用の指示命令が、記憶デバイス228内に置かれる。この記憶デバイス228は、通信ファブリック214を介してプロセッサユニット216と通信する。これらの実施例では、指示命令が、固定記憶装置220上で機能的形態を採る。幾つかの実施例では、これらの指示命令が、プロセッサユニット216による実行のためにメモリ218の中にロードされる。特定の実施例では、種々の実施例の工程が、コンピュータ実装指示命令を使用して、プロセッサユニット216によって実行される。この指示命令は、メモリ218などのメモリ内に置かれる。
【0056】
これらの指示命令は、プロセッサユニット216内のプロセッサによって読まれ、実行され得る、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと呼ばれる。種々の実施例では、プログラムコードが、メモリ218や固定記憶装置220などの、種々の物理的又はコンピュータ可読記憶媒体上に具現化される。
【0057】
プログラムコード230は、コンピュータ可読媒体232に機能的な形態で置かれる。コンピュータ可読媒体232は、選択的に着脱可能であり、プロセッサユニット216による実行のためにコントローラ110にロード又は伝送されてよい。幾つかの実施例では、プログラムコードがまた、物体104のコンピュータ支援設計も包含する。プログラムコード230及びコンピュータ可読媒体236は、コンピュータプログラム製品234を形成する。一実施例では、コンピュータ可読媒体232が、コンピュータ可読記憶媒体236又はコンピュータ可読信号媒体238である。一実施例では、コンピュータ可読記憶媒体236が、固定記憶装置220の部分であるハードドライブなどの、記憶デバイスに転送するための固定記憶装置220の部分あるドライブ又は他のデバイスに挿入又は配置される、光ディスク又は磁気ディスクを含む。他の実施例では、コンピュータ可読記憶媒体236がまた、コントローラ110に接続された固定記憶装置(例えば、ハードドライブ、サムドライブ、又はフラッシュメモリ)の形態を採ることもできる。幾つかの事例では、コンピュータ可読記憶媒体236が、コントローラ110から着脱可能でない。
【0058】
代替的に、プログラムコード230は、コンピュータ可読信号媒体238を使用して、コントローラ110に伝送される。一実施例では、コンピュータ可読信号媒体238が、プログラムコード230を包含する伝播されるデータ信号である。一実施例では、例えば、コンピュータ可読信号媒体238が、電磁信号、光信号、及び/又は他の任意の適切な種類の信号である。これらの信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、ワイヤー、及び/又は他の適切な種類の通信リンクを介して送信される。言い換えると、例示的な実施例では、通信リンク及び/又は接続が、物理的なものであるか又は無線によるものである。幾つかの実施例では、コンピュータ可読媒体がまた、プログラムコードを包含する通信リンクや無線送信などの無形の媒体の形態も採る。
【0059】
幾つかの例示的な実施例では、プログラムコード230が、コントローラ110内での使用のために、コンピュータ可読信号媒体238を介して、別のデバイス又はデータ処理システムから固定記憶装置220に、ネットワーク経由でダウンロードされる。一実施例では、サーバデータ処理システム内のコンピュータ可読記憶媒体内に記憶されたプログラムコードが、ネットワーク経由でサーバからコントローラ110にダウンロードされる。様々な実施例によれば、プログラムコード230を提供するシステムは、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、又はプログラムコード230を記憶及び送信できる何らかの他のデバイスである。
【0060】
コントローラ110向けに例示される種々の構成要素は、種々の実施態様が実装され得る様態に物理的又は構造的制限を設けることを意図するものではない。種々の例示的な実施例は、コントローラ110向けに例示されたものに加えて及び/又はその代わりに構成要素を含むコントローラ内に実装され得る。図7で示されている他の構成要素は、図示されている例示的な実施例から変動し得る。種々の実施例は、プログラムコードを実行することができる任意のハードウェアドライブ又はシステムを使用して実装され得る。例えば、コントローラ110内の記憶デバイスは、データを記憶することができる任意のハードウェア装置である。メモリ218、固定記憶域220、及びコンピュータ可読媒体232は、有形の形態を採る記憶デバイスの実施例である。
【0061】
別の一実施例では、バスシステムが、通信ファブリック214を実装するために使用され、システムバス又は入力/出力バスなどの1以上のバスから構成され得る。無論、幾つかの実施例では、バスシステムが、バスシステムに取り付けられる種々の構成要素の間のデータの伝送を提供する任意の適切な種類のアーキテクチャを使用して実装され得る。更なる実施例では、通信ユニットが、モデムやネットワークアダプタといったデータの送受信に使用される1以上のデバイスを含む。更に、例えば、メモリは、通信ファブリック214に備わっている場合があるインターフェース及びメモリコントローラハブに見られるようなメモリ218又はキャッシュである。
【0062】
本開示の主題の態様向けの動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト-指向プログラミング言語、及び、「C」プログラミング言語もしくはこれに類するプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれていてよい。プログラムコードは、専らユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型のソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的に遠隔コンピュータ上で、又は、専ら遠隔コンピュータ又はサーバ上で、実行し得る。最後の事例の場合、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続され得るか、又は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)外部コンピュータへの接続がなされ得る。
【0063】
これらのコンピュータプログラム指示命令は、コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ可読媒体に記憶された指示命令が、製造品を作製するような特定の様態で機能するよう、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスに指示命令し得る、コンピュータ可読媒体に記憶されることも可能であり、そのコンピュータプログラム指示命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1以上のブロック内で特定されている機能/作用を実装する指示命令を含む。コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行される指示命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1以上のブロック内で特定されている機能/作用を実施するための工程を提供するように、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイス上で実行されるべき一連の動作ステップを引き起こして、コンピュータ実装工程を生成するために、コンピュータプログラム指示命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスにロードされることも可能である。
【0064】
図8は、開示される主題の実施例による、部品を非破壊検査する方法300を示しているフローチャートの図である。該方法は、ブロック302では、レーザーUT装置100を物体104の表面102に隣接して配置することを含む。特定の実施例では、レーザーUT装置100が、図1図5を参照しながら上述されたように構成される。つまり、レーザーUT装置100は、第1のAOD114、第2のAOD116、第3のAOD130、及び第4のAOD136を含む。ブロック304では、方法300が、第1のAOD114及び第2のAOD116の励起を、第3のAOD130及び第4のAOD136と同期させることによって、励起レーザー106の励起レーザービーム118の偏向を、検出レーザー108の検出レーザービーム142の偏向とマッチングすることを含む。特定の実施例では、コントローラ110が、同じ励起信号を用いて、AOD114、116、130、136を励起し又はそれらにエネルギー供給する(すなわち、電圧を印加する)。それによって、励起レーザービーム118の偏向は、検出レーザービーム142の偏向とマッチする。
【0065】
ブロック306では、該方法が、物体104を走査して欠陥を探索することを含む。特定の実施例では、物体104を走査して欠陥を探索することが、コントローラ110が励起レーザー106に超音波を生成するように命令すること、及びコントローラ110が検出レーザー108に超音波を検出するように命令することを含む。ブロック308では、方法300が、レーザーUT装置100を用いて、物体104の表面102をトラバースすることを含む。特定の実施例では、物体104の表面102をトラバースすることが、コントローラ110がロボットアーム202に物体104の表面102にわたりレーザーUT装置100を移動させるように命令することを含む。
【0066】
次に図9を参照しながら、本開示の主題の実施例による、非破壊試験が実行される構造物400の一実施例が、本明細書で示される。特定の実施例では、構造物400が、航空機、又は輸送体、航空機、タービン、エンジン、及び宇宙のような環境内で動作可能な装備(例えば、人工衛星、ロケット、ミサイル、宇宙ステーションなど)などの、任意の適切な製造されるデバイスである。特定の実施例では、物体104が、主翼、胴体、主翼のスパーなどの構造物400の構成要素である。この構造物が、レーザーUT装置100を使用して試験される。幾つかの実施例では、レーザーUT装置100が、構造物400の表面102上での超音波試験を可能にする。
【0067】
以上の説明では、「上」、「下」、「上部」、「下部」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「~の上」、「~の下」などの特定の用語が使用され得る。これらの用語は、必要に応じ、相関関係を取り扱う際に説明に何らかの明確性をもたらすために用いられている。しかしながら、これらの用語には絶対的な関係、位置、及び/又は向きを含意させる意図はない。例えば、ある対象物に関して、単純にこの対象物の上下を逆にすることで「上方の」表面が「下方の」表面となり得る。それでもなお、これは同じ対象物である。更に、「含む」、「備える」、「有する」などの用語及びこれらの変化形は、別途明示的な記載がない限り、「~を含むがそれらに限定されない」ことを意味する。列挙されたアイテムは、別途明示的な記載がない限り、それらアイテムのうちの任意のもの又は全てが互いを排除する及び/又は互いを含むものであることを含意しない。「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」などの用語は、別途明示的な記載がない限り、「1以上の」という意味も表す。更に、「複数」という用語は、「少なくとも2つ」と定義され得る。
【0068】
更に、本明細書において、1つの要素が他の要素に「連結される」とは、直接的な連結及び間接的な連結を含み得る。直接的結合は、1つの要素が他の要素と結合しており、また他の要素と何らかの接触があることと定義され得る。間接的連結とは、互いに直接接触しておらず、連結された要素間に1以上の追加の要素を有する、2つの要素間の連結と定義され得る。更に、1つの要素を他の要素に固定することとは、本明細書で使用される場合、直接的な固定及び間接的な固定を含み得る。更に、「隣接」とは、本明細書で使用される場合、必ずしも接触を意味しない。例えば、1つの要素が他の要素に接触することなく隣接し得る。
【0069】
本明細書で使用される際に、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1以上の種々の組み合わせが使用されてもよく、また列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいということを意味する。アイテムとは、特定の物体、物品、又はカテゴリであり得る。すなわち、「~のうち少なくとも1つ」とは、列挙された中から任意の組み合わせのアイテム又は幾つかのアイテムを使用してもよいが、列挙されたアイテムの全てが必要ではない場合があることを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」とは、例えば、「アイテムA」、「アイテムAとアイテムB」、「アイテムB」、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」を意味し得る。幾つかの場合には、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、「2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC」、「4個のアイテムBと7個のアイテムC」、又は他の好適な組み合わせを意味し得る。
【0070】
別途提示されない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本明細書では単に符号として使用されており、これらの用語が表すアイテムに対して、順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことを意図していない。更に、例えば、「第2」のアイテムが言及された場合、例えば、「第1」の若しくはより小さい数のアイテム、及び/又は、「第3」の若しくはより大きい数のアイテムが必要とされたり、除外されたりすることはない。
【0071】
本明細書において、特定の機能を実施する「ように構成/設定された(configured to)」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、実際には、いかなる変更も伴わずにその特定の機能を実施することが可能であり、更なる改変の後にその特定の機能を実施する可能性があるにすぎないというものではない。換言すると、特定の機能を実施する「ように構成/設定された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、その特定の機能を実施するという目的のために、特に選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラムされ、且つ/又は設計される。本明細書において、「ように構成/設定された(configured to)」という表現は、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアがさらなる改変なしで特定の機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの既存の特性を意味する。この開示において、特定の機能を実施する「ように構成/設定され」ていると説明されているシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、追加的又は代替的には、その機能を実施するよう「適合している(adapted to)」、及び/又は、実施するよう「動作可能である(operative to)」とも説明され得る。
【0072】
本明細書に含まれる概略的なフローチャートは一般的に、論理フローチャートとして記載されている。したがって、記載の順序及び名付けられたステップは、提示された方法の一実施例を示す。示される方法の1以上のステップもしくはそれらの部分の機能、論理、又は効果と均等である他のステップ及び方法が、想起され得る。更に、用いられている形式及びシンボルは、本方法の論理的ステップを説明するために提供されており、本方法の範囲を限定するものではないと理解される。フローチャートにおいて様々なタイプの矢印及び線が用いられ得るが、これらに対応する方法の範囲を限定するものではないことが理解される。実際、幾つかの矢印又はその他のコネクタは、本方法の論理的フローのみを示すために用いられ得る。例えば、矢印は、記載の方法の列挙されたステップの間の、不特定の長さの待機時間又はモニタリング時間を示し得る。更に、具体的な方法が発生する順序は、図示されている対応するステップの順序に厳密に従うこともあるが、従わないこともある。
【0073】
更に、本開示は、以下の実施例による実施態様を含む。
実施例1.
物体の表面を検査するためのレーザー超音波試験(UT)装置であって、励起レーザービームを生成するように選択的に動作可能な励起レーザー、前記励起レーザーから前記励起レーザービームを受け取り、第1の方向と平行な経路に沿って前記励起レーザービームの位置を調節するように構成された第1の音響光学偏向器(AOD)、前記第1のAODから前記励起レーザービームを受け取り、前記第1の方向とは異なる第2の方向と平行な経路に沿って前記励起レーザービームの前記位置を調節するように構成された第2のAOD、検出レーザービームを生成するように選択的に動作可能な検出レーザー、前記検出レーザーから前記検出レーザービームを受け取り、前記第1の方向と平行な経路に沿って前記検出レーザービームの位置を調節するように構成された第3のAOD、及び、前記第3のAODから前記検出レーザービームを受け取り、前記第2の方向と平行な経路に沿って前記検出レーザービームの前記位置を調節するように構成された第4のAODを備える、レーザーUT装置。
実施例2.
前記表面から放出された超音波エネルギーを検出するように構成された干渉計検出器を更に備える、実施例1に記載のレーザーUT装置。
実施例3.
前記第1の方向と平行な前記経路に沿った、前記励起レーザービームと前記検出レーザービームとの前記位置の調節を同期させるように前記第1のAOD及び前記第3のAODを制御し、前記第2の方向と平行な前記経路に沿った、前記励起レーザービームと前記検出レーザービームとの前記位置の調節を同期させるように前記第2のAOD及び前記第4のAODを制御するように構成された、コントローラを更に備える、実施例1又は2に記載のレーザーUT装置。
実施例4.
前記表面の外形を特定し、前記表面の前記外形に対応した外形情報を生成し、前記外形情報を前記コントローラに通信するように構成された、表面プロファイラを更に備える、実施例3に記載のレーザーUT装置。
実施例5.
前記コントローラは、前記物体のコンピュータ支援設計モデルに基づいて、前記表面の外形に対応した外形情報を特定するように構成される、実施例3又は4に記載のレーザーUT装置。
実施例6.
前記第1の方向は、前記第2の方向と垂直である、実施例1から5のいずれか一つに記載のレーザーUT装置。
実施例7.
前記第1のAODは、第1の水晶素子に結合された第1の圧電変換器を備え、前記第1の方向において第1の音波を生成するように構成され、前記第2のAODは、前記第1のAODに結合され、且つ前記第2のAODは、第2の水晶素子に結合された第2の圧電変換器を更に備え、前記第2の方向において第2の音波を生成するように構成される、実施例1から6のいずれか一つに記載のレーザーUT装置。
実施例8.
前記第2のAODに結合された複数のAODを更に備え、前記複数のAODのそれぞれは、前記複数のAODのうちの隣接するAODによって生成される音波と垂直な方向において音波を生成するように構成された圧電変換器を有する、実施例7に記載のレーザーUT装置。
実施例9.
前記第3のAODは、第3の水晶素子に結合された第3の圧電変換器を備え、前記第1の方向において第3の音波を生成するように構成され、前記第4のAODは、前記第3のAODに結合され、且つ前記第4のAODは、第4の水晶素子に結合された第4の圧電変換器を更に備え、前記第2の方向において第4の音波を生成するように構成される、実施例7又は8に記載のレーザーUT装置。
実施例10.
前記第4のAODに結合された複数のAODを更に備え、前記複数のAODのそれぞれは、前記複数のAODのうちの隣接するAODによって生成される音波と垂直な方向において音波を生成するように構成された圧電変換器を有する、実施例9に記載のレーザーUT装置。
実施例11.
物体を非破壊検査するためのシステムであって、ロボットアーム、前記ロボットアームの工具中心点(TCP)の移動を制御するように構成されたコントローラ、及び、前記TCPに結合された実施例1から10のいずれか一つに記載のレーザー超音波試験(UT)装置を備える、システム。
実施例12.
物体を非破壊検査するためのシステムであって、ロボットアーム、前記ロボットアームの工具中心点(TCP)の移動を制御するように構成されたコントローラ、並びに、前記TCPに結合されたレーザー超音波試験(UT)装置を備え、前記レーザーUT装置は、音響光学偏向器(AOD)の第1のペアであって、前記AODの第1のペアのうちの各AODは、x次元又はy次元のうちの一方において、励起レーザーによって生成された励起レーザービームを調節するように構成され、前記x次元は前記y次元と垂直である、AODの第1のペア、及び、前記x次元又は前記y次元のうちの一方において、検出レーザーによって生成された検出レーザービームを調節するようにそれぞれが構成された、AODの第2のペアを備える、システム。
実施例13.
前記物体の表面から放出された超音波エネルギーを検出するように構成された干渉計検出器を更に備える、実施例11又は12に記載のシステム。
実施例14.
前記コントローラは、前記AODの第1のペアの励起を前記AODの第2のペアの励起と同期させるように更に構成される、実施例11から13のいずれか一つに記載のシステム。
実施例15.
表面の外形を特定し、前記表面の前記外形に対応した外形情報を生成し、前記外形情報を前記コントローラに通信するように構成された、表面プロファイラを更に備える、実施例11から14のいずれか一つに記載のシステム。
実施例16.
前記コントローラは、前記物体のコンピュータ支援設計モデルに基づいて、表面の外形に対応した外形情報を特定するように構成される、実施例11から15のいずれか一つに記載のシステム。
実施例17.
物体を非破壊検査する方法であって、実施例11から16のいずれか一つに記載のシステムのレーザー超音波試験(UT)装置を前記物体の表面に隣接して配置すること、前記AODの第1のペアの励起を前記AODの第2のペアの励起と同期させることによって、前記励起レーザービームの前記偏向を前記検出レーザービームの前記偏向とマッチングすること、前記物体を走査して欠陥を探索すること、及び、前記物体の前記表面から所定の距離にある前記レーザーUT装置を用いて、前記物体の前記表面をトラバースすることを含む、方法。
実施例18.
物体を非破壊検査する方法であって、実施例1から10のいずれか一つに記載のレーザー超音波試験(UT)装置を前記物体の表面に隣接して配置すること、前記AODの第1のペアの励起を前記AODの第2のペアの励起と同期させることによって、前記励起レーザービームの前記偏向を前記検出レーザービームの前記偏向とマッチングすること、前記物体を走査して欠陥を探索すること、及び、前記物体の前記表面から所定の距離にある前記レーザーUT装置を用いて、前記物体の前記表面をトラバースすることを含む、方法。
実施例19.
物体を非破壊検査する方法であって、レーザー超音波試験(UT)装置を前記物体の表面に隣接して配置することであって、前記レーザーUT装置は、音響光学偏向器(AOD)の第1のペアであって、前記AODの第1のペアのうちの各AODは、x次元又はy次元のうちの一方において、励起レーザービームの偏向を調節するように構成され、前記x次元は前記y次元と垂直である、AODの第1のペア、及び、AODの第2のペアであって、前記AODの第2のペアのうちの各AODは、前記x次元又は前記y次元のうちの一方において、検出レーザービームの偏向を調節するように構成された、AODの第2のペアを備える、レーザーUT装置を前記物体の表面に隣接して配置すること、前記AODの第1のペアの励起を前記AODの第2のペアの励起と同期させることによって、前記励起レーザービームの前記偏向を前記検出レーザービームの前記偏向とマッチングすること、前記物体を走査して欠陥を探索すること、並びに、前記物体の前記表面から所定の距離にある前記レーザーUT装置を用いて、前記物体の前記表面をトラバースすることを含む、方法。
実施例20.
干渉計検出器で、前記物体から放出された超音波エネルギーを検出することを更に含む、実施例17から19のいずれか一つに記載の方法。
実施例21.
前記物体内の欠陥の存在を特定するために、前記検出された超音波エネルギーを解析することを更に含む、実施例20に記載の方法。
実施例22.
前記物体を走査して欠陥を探索することは、前記物体の前記表面の外形情報に従って前記物体を走査することを更に含む、実施例17から21のいずれか一つに記載の方法。
実施例23.
前記表面の外形に基づいて、ロボットアームを介して、前記レーザーUT装置と前記物体との間の所定の距離を維持することを更に含む、実施例17から22のいずれか一つに記載の方法。
【0074】
本主題は、その本質的な特性から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得る。説明された実施例は、あらゆる点で、例示にすぎず限定的ではないと解釈するべきである。特許請求の範囲の目的及び均等範囲内に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
図1
図2
図3
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図9