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特許7741115道路障壁の位置を追跡及び記録するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-08
(45)【発行日】2025-09-17
(54)【発明の名称】道路障壁の位置を追跡及び記録するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/08 20060101AFI20250909BHJP
【FI】
E01F15/08
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022579728
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 US2021038357
(87)【国際公開番号】W WO2021262637
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2024-06-12
(31)【優先権主張番号】16/911,786
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521209214
【氏名又は名称】リンゼー トランスポーテーション ソリューションズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】プロヴァズニク, リチャード エドワード
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0255096(US,A1)
【文献】特開2019-085769(JP,A)
【文献】特開2013-238058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0191233(US,A1)
【文献】特開2013-257258(JP,A)
【文献】特開2016-029248(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110941223(CN,A)
【文献】国際公開第2005/107148(WO,A1)
【文献】米国特許第05885046(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路障壁を拾い上げて再位置決めするための障壁移送機であって、
路面から前記道路障壁を拾い上げるための入口スナウトと、
前記道路障壁を前記路面上に戻すための出口スナウトと、
前記入口スナウトから前記出口スナウトに前記道路障壁を搬送するために前記入口スナウトと前記出口スナウトとの間に配置されるコンベヤシステムと、
前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の位置を追跡するための追跡システムと、を備え、
前記追跡システムは、
前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の位置を感知するために前記障壁移送機に装着される位置センサと、
前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の位置を表わす位置データと、前記位置データに対応する日時データとを記憶するためのメモリと
前記位置センサ及び前記メモリと通信する処理システムと、を有し、
前記処理システムは、
前記位置データ及び前記日時データを前記メモリに記憶し、
前記メモリを介して、前記位置データ及び前記日時データのログであって検索可能なログを生成し、
前記日時データに基づいて前記ログの照会を行い、
前記日時データによって表される日時における前記道路障壁の位置を決定するための前記照会に基づいて、前記位置データを出力する、障壁移送機。
【請求項2】
前記処理システムは、前記位置データを基準位置データと比較して、前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の位置が基準位置から逸脱しているかどうかを決定する、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項3】
前記処理システムは、前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の位置が前記基準位置から閾値量を超えて逸脱していると決定する場合に警報信号を生成する、請求項2に記載の障壁移送機。
【請求項4】
前記位置データ及び前記警報信号をリモートコンピューティングデバイスに送信するために前記処理システムと通信するデータ送信機を更に備える、請求項3に記載の障壁移送機。
【請求項5】
前記位置センサは、前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の地理座標を感知するために前記出口スナウトに装着されるGNSS受信機である、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項6】
前記位置センサは、前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の画像を捕捉して、前記画像を表わす画像データを生成するためのカメラである、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項7】
前記位置センサがGPS受信機及びカメラを含む、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項8】
前記路面は、道路、道路の路肩、橋梁面上の走行車線、橋梁面の路肩、駐車場、入口ランプ、又は、出口ランプである、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項9】
道路障壁を拾い上げて再配置するための障壁移送機であって、
路面から前記道路障壁を拾い上げるために前記障壁移送機の前端部に装着される入口スナウトと、
前記道路障壁を前記路面上に戻すために前記障壁移送機の後端部に装着される出口スナウトと、
前記入口スナウトから前記出口スナウトに前記道路障壁を搬送するために前記入口スナウトと前記出口スナウトとの間に配置されるコンベヤシステムと、
前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の位置を追跡するための追跡システムと、を備え、
前記追跡システムは、
前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁のそれぞれの位置を感知するために前記障壁移送機に装着される位置センサと、
前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の位置を表わす位置データと、前記位置データに対応する日時データとを記憶するためのメモリと
前記位置センサ及び前記メモリと通信する処理システムと、を有し、
前記処理システムは、
前記位置データ及び前記日時データを前記メモリに記憶し、
前記メモリを介して、前記位置データ及び前記日時データのログであって検索可能なログを生成し、
前記日時データに基づいて前記ログの照会を行い、
前記日時データによって表される日時における前記道路障壁の位置を決定するための前記照会に基づいて、前記位置データを出力し、
前記位置データを基準位置データと比較して、前記道路障壁の位が基準位置から逸脱しているかどうかを決定する、障壁移送機。
【請求項10】
前記処理システムは、前記道路障壁の位置が前記基準位置から閾値量を超えて逸脱している場合に警報信号を生成する、請求項に記載の障壁移送機。
【請求項11】
前記位置データ、前記日時データ、及び前記警報信号をリモートコンピューティングデバイスに送信するために前記処理システムと通信するデータ送信機を更に備える、請求項10に記載の障壁移送機。
【請求項12】
前記位置センサが前記出口スナウトに装着されるGNSS受信機である、請求項に記載の障壁移送機。
【請求項13】
前記位置センサは、前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の画像を捕捉して前記画像を表わす画像データを生成するためのカメラである、請求項に記載の障壁移送機。
【請求項14】
前記位置センサは、前記出口スナウトに装着されるGNSS受信機及びカメラを含む、請求項に記載の障壁移送機。
【請求項15】
前記路面は、道路、道路の路肩、橋梁面上の走行車線、橋梁面の路肩、駐車場、入口ランプ、又は、出口ランプである、請求項に記載の障壁移送機。
【請求項16】
道路障壁を移動させる方法であって、
障壁移送機の入口スナウトを用いて前記道路障壁を路面から拾い上げるステップと、
コンベヤシステムを用いて前記道路障壁を前記障壁移送機の前記入口スナウトから出口スナウトに搬送するステップと、
前記出口スナウトを用いて前記道路障壁を前記路面上に戻すステップと、
前記障壁移送機に装着されるセンサを用いて前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の位置を感知するステップと、
前記道路障壁が前記路面上に配置されるときの前記道路障壁の位置を表わす位置データと前記位置データに対応する日時データとをメモリに記憶するステップと、
前記メモリを介して、前記位置データ及び前記日時データのログであって検索可能なログを生成するステップと、
前記日時データに基づいて前記ログの照会を行うステップと、
前記日時データによって表される日時における前記道路障壁の位置を決定するための前記照会に基づいて、前記位置データを出力するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記位置データを基準位置データと比較して、前記道路障壁の位置が基準位置から閾値量を超えて逸脱している場合に警報信号を生成するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記警報信号を前記障壁移送機のオペレータに送信するステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記道路障壁が配置される前記路面の動きを考慮するように前記位置データを増補して補正するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
移動可能な道路障壁(バリア)システムは、対向車線間に交通障壁を作り出すために道路上に配置されることが多い。恒久的な障壁とは異なり、移動可能な道路障壁システムは、空間のより効率的な利用を行なって、車両の容量を増大させ、交通渋滞を減らすために、障壁移送機によって拾い上げられて及び再配置される場合がある。例えば、障壁移送機は、ピーク交通の方向により多くの車線を提供するために及び/又は建設作業員のための作業領域空間を作成するために、道路障壁システムを1日を通して道路の車線間で前後に移動させる場合がある。
【0002】
道路障壁システムの正確な配置は、それらのシステムが一般に混雑した車線に隣接して設置され、したがって、それらのシステムが不適切に配置される場合に交通流を妨げて更には衝突を引き起こす可能性があるため、重要である。残念ながら、道路障壁の正確な配置は、特に経験の浅いオペレータにとって、様々な理由で困難な場合がある。それらのシステムが適切に位置される場合であっても、道路障壁システムは車両によって打撃を受けることがある。そのような衝突における障害をもたらすことは困難である。これは、車両の衝撃が、障壁を移動させ、調査員が衝突前に道路障壁システムが適切に配置されていたかどうかを判定することを妨げるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前述の問題及び関連する問題を解決し、道路障壁移(バリア)送機の技術分野における明確な進歩を提供する。より詳細には、本発明は、証拠目的のために及び/又は誤って配置された道路障壁についてオペレータ又は他の人に警告するために障壁の最後の位置を定めることができるように、道路障壁が路面上に配置されるときの道路障壁の位置を追跡及び記録する追跡システムを伴う道路障壁移送機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態にしたがって構成される障壁移送機は、概して、移動可能なシャーシ、入口スナウト、出口スナウト、コンベヤシステム、及び、前述の追跡システムを備える。
【0005】
シャーシは、前端部及び後端部を有し、従来のエンジン、変速機、並びに、関連する機械的及び電気的構成要素によって駆動されるホイール、ベルト、又は、他の接地牽引要素に乗る。一実施形態では、シャーシの各端部に1つずつ、2つのオペレータケーブルがシャーシに支持される。移送機はいずれの方向にも駆動することができるが、一般的には、キャプスタンシステム制御を担うことができるのは常に運転室のうちの1つだけである。移送機の他の実施形態は、ただ1つの運転室を有してもよく又は全く運転室を有しなくてもよく、代わりに遠隔又は自律的に制御される。
【0006】
障壁移送機の両方のスナウトは、移送機のいずれかの端部が前方にあり得るため、道路障壁を拾い上げて降ろすことができる。本明細書で使用されるように、入口スナウトは、現在前方にあって路面上の第1の位置から道路障壁スパンを拾い上げるシャーシの端部のスナウトとして規定され、また、出口スナウトは、現在後方にあって第1の位置とは異なる第2の位置で路面上にスパンを戻すシャーシの端部のスナウトとして規定される。
【0007】
コンベヤシステムは、シャーシの下方で延在し、入口スナウトから出口スナウトまで道路障壁スパンを搬送する。一実施形態において、コンベヤシステムは、シャーシの底部に取り付けられた 「S」 字形の構造フレームと、移送動作中に移送機を通じて障壁を拾い上げて運ぶフレームによって支持されるボギーのアレイとから成る。
【0008】
本発明の重要な態様によれば、追跡システムは、証拠目的のために及び/又は誤って配置された道路障壁についてオペレータ又は他の人に警告するために障壁の最後の位置を定めることができるように、道路障壁が障壁移送機によって路面上に配置されるときの道路障壁の位置を追跡及び記録する。追跡システムの一実施形態は、少なくとも1つの位置センサと処理システムとを備える。
【0009】
位置センサは、障壁移送機に装着されるとともに、道路障壁が路面上に配置されるときの道路障壁の位置を感知する。一実施形態において、位置センサは、障壁が路面上に配置されるときの障壁の地理的座標を感知するために障壁移送機の後部に装着されるGPS受信機である。他の実施形態において、位置センサは、道路障壁が路面上に配置されるときの道路障壁の画像を捕捉するためのカメラであってもよい。他の実施形態では、GPS受信機及びカメラの両方を使用して道路障壁の位置を感知することができる。
【0010】
処理システムは、1つ又は複数の位置センサからデータを受信し、道路障壁の現在位置を表わす位置データを記憶する。また、処理システムは、道路障壁が路面上に配置された時期を表わす日時データを記憶することもできる。このデータは、処理システムの常駐メモリ又は外部メモリに記憶され、後にアクセスされて、任意の日時における障壁の位置の証拠を提供することができる。例えば、障壁に車両が押し付けられている場合、衝突の日時に関連するデータにアクセスして、障壁が衝突の直前に位置された場所を決定することができる。したがって、追跡システムは、任意の日時における障壁の位置の検索可能なログを提供する。また、追跡システムは、障壁移送機のオペレータの訓練を支援する訓練目的で使用されてもよい。
【0011】
幾つかの実施形態において、処理システムは、道路障壁の現在位置を基準位置データと比較して、道路障壁が現在誤って配置されているかどうかを決定するように更に構成される。道路障壁が誤って配置されている場合、処理システムは警報信号を生成することができる。警報信号は、オペレータが障壁を再配置する又は他の是正措置をとることができるように、障壁移送機のユーザインターフェースで警報、表示、又は命令をトリガすることができる。或いは、警報信号は、リモートコンピュータ又は制御ステーションに送信されてもよい。
【0012】
道路障壁は、経時的に揺れたり、シフトしたり、或いは移動したりする可能性がある橋に配置される場合があるため、処理システムは、そのような移動を考慮するために必要に応じて位置データを補正又は増補することもできる。一実施形態において、これは、橋梁に装着される1つ以上のGPS受信機又は他の全地球航法衛星システム(GNSS)受信機から現在位置データを受信して、そのような現在位置データを橋梁に関する基準位置データと比較し、道路障壁に関する位置データを補正又は増補するために使用できる補正係数を生成することによって達成することができる。基準位置データは、橋梁の定常状態位置、すなわち、その初期非移動位置にあるときの橋梁の位置を表わすデータであってもよい。
【0013】
この概要は、以下の詳細な説明で更に説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求の範囲に記載される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求の範囲に記載される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。本発明の他の態様及び利点は、以下の実施形態の詳細な説明及び添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施形態は、添付図面に関連して以下に詳細に説明される。
図1】本発明の実施形態にしたがって構成される障壁移送機の上面斜視図である。
図2】障壁移送機の正面図又は背面図である。
図3】障壁移送機の側面図である。
図4】障壁移送機の上面図である。
図5】障壁移送機の底面図である。
図6】道路障壁スパンを道路の一方側から他方側に移動させて示される障壁移送機の上面図である。
図7】道路障壁のスパンを拾い上げて示される障壁移送機の部分正面斜視図である。
図8】道路障壁のスパンを拾い上げて再配置して示される障壁移送機の側面図である。
図9】キャプスタンシステムをより良く示すための図8の9-9線に沿う障壁移送機の垂直断面図である。
図10】固定された道路障壁の右側面斜視図である。
図11】固定された道路障壁の左側面斜視図である。
図12】その引き込み位置で示される可変長道路障壁の斜視図である。
図13】その中間ストローク又は中立位置で示される可変長道路障壁の斜視図である。
図14】完全伸長位置で示される可変長道路障壁の斜視図である。
図15】典型的な道路障壁スパンの斜視図である。
図16】障壁移送機の追跡システムの構成要素を示すブロック図である。
図17】本発明の方法の典型的なステップを示すフロー図である。 図面は、本明細書に開示及び記載された特定の実施形態に本発明を限定するものではない。図面は、必ずしも原寸に比例しておらず、むしろ本発明の原理を明確に示すことに重点が置かれている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、図面を参照すると、本発明の実施形態にしたがって構成される障壁移送(バリア)機10が示される。図6に最も良く示されるように、障壁移送機10は、相互接続された道路障壁のスパン12を拾い上げて再配置することにより、ピーク交通の方向でより多くの車線を提供して、建設作業員のための作業領域空間を作成し、或いはさもなければ、道路空間のより効率的な利用を行なって、車両容量を増大させ、及び/又は、交通渋滞を軽減するように構成される。
【0016】
障壁移送機10によって拾い上げられて再配置され得る道路障壁の典型的なスパン12が図15に示される。スパン12は、任意の長さであってもよく、任意の数の固定長道路障壁14及び可変長障壁16を含んでもよい。幾つかの実施形態において、障壁14,16は、以下でより詳細に説明する鋼ピン及び/又はテンショニングヒンジ機構で終端間接続される。
【0017】
固定長障壁14の例が図10及び図11に示される。障壁14は、任意のタイプ、形状、及びサイズであってもよく、コンクリートが充填された高強度コンクリート又は高強度鋼フレームなどの任意の適切な材料から形成されてもよい。一実施形態において、障壁14は、図9に示されて以下で説明されるように、障壁移送機のボギーホイールによって拾い上げられて再配置され得るように、T字形の上端18を有する。
【0018】
図10及び図11に戻ると、各障壁14の一方側は、固定されて離間した接続フランジ20を含み、反対側は、離間したばね付勢された反作用引張要素22を含む。鋼ロッド24が、隣り合う障壁がそれらを相互接続するように位置合わせされるときに、隣り合う障壁のフランジ20及び引張要素22の穴に挿通されてもよい。反作用引張要素22は、障壁が張力下又は圧縮下にあるときに、隣り合う障壁が互いに対して長手方向に移動できるようにする。他の実施形態において、固定長障壁は、反作用引張要素を有さなくてもよいが、代わりに、隣り合う障壁間の長手方向の何らかの長手方向の動きに対応するために 「緩慢なヒンジ」 を形成するより大きな穴を接続フランジに有してもよい。
【0019】
可変長障壁16の例が図12図14に示される。障壁は、任意の形状及びサイズであってもよく、外側フレーム26と、障壁が引張力又は圧縮力を受けるときに外側フレーム26に出入りすることができる内側伸縮構造体28とをそれぞれが有する。また、可変長障壁は、鋼ロッド32を伴う隣り合う障壁の接続フランジと位置合わせされてこれに相互接続され得る接続フランジ30も含む。伸縮内側構造体28の動きは、内部液圧シリンダ又は他の液圧又はばね機構によって抵抗される。
【0020】
図12は、液圧シリンダ又は他の付勢機構を完全に圧縮するのに十分な大きさの圧縮力を受けたときの完全引き込み又は圧縮状態の可変長障壁16を示す。図14は、液圧シリンダ又は他の付勢機構を完全に伸長させるのに十分な大きさの引張力を受けたときの完全伸長状態の障壁16を示す。図13は、圧縮力又は引張力を受けていないときのその中立状態又は定常状態にある障壁を示す。可変長障壁の典型的な実施形態の更なる詳細は、参照によりその全体が本願に組み入れられる米国特許第6,439,802号に開示される。
【0021】
ここで、図1図9及び図16を参照して、障壁移送機10の態様について更に詳しく説明する。障壁移送機の一実施形態は、概して、移動可能なシャーシ34と、入口スナウト36と、出口スナウト38と、コンベヤシステム40と、キャプスタンシステム42と、追跡システム44とを備える。以下でより詳細に説明するように、追跡システム44は、以下でより詳細に説明するように、証拠目的のために及び/又は誤って配置された道路障壁についてオペレータ又は他の人に警告するために障壁の最後の位置を定めることができるように、道路障壁が障壁移送機によって配置されるときの道路障壁の現在位置を追跡及び記録する。
【0022】
シャーシ34は、移送機が走行する道路と本質的に平行な略長手方向の軸に沿って配置される前端部及び後端部を有する。シャーシ34は、ホイール46、ベルト、又は、従来のエンジン、変速機、及び関連する機械的及び電気的構成要素によって駆動される他の接地牽引要素に乗っている。
【0023】
一実施形態において、障壁移送機10は、シャーシ34の各端部に1つずつ、2つの運転室48,50を備える。移送機10はどちらの方向にも駆動することができるが、一般的には、運転室のうちの1つのオペレータのみが任意の時点で重要な制御を担うことができる。通常、制御中の運転室は、移送機が走行している方向を指す移送機の端部の運転室である。幾つかの実施形態において、移送機10は、直接的なオペレータ制御を伴わない自律動作又は何らかのオペレータ制御を伴う半自律動作を提供する様々なセンサ及び制御器を有する代わりに、単一の運転室のみを有してもよく或いは更には運転室を有さなくてもよい。
【0024】
入口スナウト36は、シャーシの前端部に装着されるとともに、路面上の第1の位置から道路障壁スパンを拾い上げるように構成され、また、出口スナウト38は、スパンを路面上の第1の位置とは異なる第2の位置に戻すためにシャーシの後端部に装着される。スナウトは、道路障壁が拾い上げられる及び/又は降ろされるときの道路障壁用のガイドとしての機能を果たすとともに、移送機のオペレータによって移動及び調整されて、スナウトを到来する道路障壁及び所望の配置位置と位置合わせすることができる。各スナウト36,38は、後述するコンベヤフレーム上に支持されるボギーアセンブリ52のアレイを含む。各ボギーアセンブリ52は、移送機の走行方向に応じて障壁を拾い上げ、運び、及び/又は、敷設する幾つかのキャリアホイール54を備える。
【0025】
コンベヤシステム40は、障壁移送機の下方で延在するとともに、入口スナウト36から出口スナウト38まで道路障壁のスパンを搬送するように構成される。コンベヤシステム40は、スナウト36,38に接続される直線セクション、ターンセクション、及び、拾い上げ/敷設セクションを含む複数のアセンブリ及びセクションから構成されてもよい。図5に最も良く示されるように、コンベヤシステム40の一実施形態は、移送機の底部に取り付けられたS字形又はさもなければ湾曲した構造フレーム56と、フレームに支持されたボギーアセンブリ52のアレイとを備える。各ボギーアセンブリ52は、障壁移送動作中に移送機を通じて障壁を拾い上げて運ぶ幾つかのキャリアホイール54を備える。
【0026】
キャプスタンシステム42は、コンベヤシステム40に沿って装着されるとともに、障壁スパンを道路に対するその当初の長手方向位置に維持しようとしてコンベヤシステムによって搬送されている間に道路障壁スパン12における引張又は圧縮を調整する。図5及び図9に最も良く示されるように、キャプスタンシステム42の一実施形態は、コンベヤシステムの両側の一対の大きなキャプスタンホイール58、液圧シリンダ、リンケージ、又は、道路障壁が通過するときに道路障壁に対してホイールを付勢するための他の機構60、並びに、道路障壁に様々な前後の圧力を加えるようにホイールを駆動するためのモータ及びポンプを備える。キャプスタンシステム42は、障壁がコンベヤシステム42上を通過するときに障壁をキャプスタンホイール58でクランプするとともに障壁に順方向又は逆方向の回転圧力を加えることによって機能する。これにより、スパンにおける過度の引張又は圧縮が緩和され、障壁の移動が減少し、及び/又は、障壁が互いに対して再配置される。
【0027】
ここで、追跡システム44の実施形態について更に詳しく説明する。追跡システム44は、証拠目的のために及び/又は誤って配置された道路障壁についてオペレータ又は他の人に警告するために障壁の最後の位置を定めることができるように、道路障壁が障壁移送機によって配置されるときの道路障壁の現在位置を追跡及び記録する。追跡システム44の一実施形態が図16に示されており、この追跡システムは、概して、少なくとも1つの位置センサ62及び処理システム64を備える。制御システム44は、スタンドアロンシステムであってもよく、又は、障壁移送機10 の他の制御システムに組み込まれてもよい。
【0028】
位置センサ62は、障壁移送機10に装着されるとともに、道路障壁が路面上に配置されるときの道路障壁の位置を感知する。位置センサ62は、道路障壁が路面上に配置されるときの道路障壁の座標又は相対位置を感知して対応する位置データを生成するように動作可能な任意の感知デバイス及び/又はデバイスの組み合わせであってもよい。
【0029】
一実施形態において、位置センサ62は、衛星から航法信号を受信して信号に応じて障壁の位置を計算するように動作可能な、GPS受信機、Glonass受信機、Galileo受信機、又はコンパスシステム受信機などの全地球航法衛星システム(GNSS)受信機である。GNSS受信機は、1つ以上のプロセッサ、コントローラ、又は他のコンピューティングデバイスと、プロセッサ又は他のコンピューティングデバイスによってアクセス及び/又は生成された情報を格納するためのメモリとを含むことができ、パッチアンテナ、ヘリカルアンテナ、又は任意の他のタイプのアンテナを含む又はそれらと結合することができる。GPS又は他のGNSS受信機は、各道路障壁が道路上に配置されるときの各道路障壁の地理座標を感知するように構成される。
【0030】
図3及び図7に最も良く示されるように、GPS又は他のGNSS受信機62は、各障壁が障壁移送機によって地面に配置される位置の真上にそれが吊り下げられるように出口スナウト38の背後に延在する支持アーム66に装着されてもよい。GPS又は他のGNSS受信機62及び/又は処理システム64は、道路障壁が地面に配置されるときの各道路障壁の中心の座標を処理システムが記録するように、スイッチ又は他の機構によってトリガされてもよい。他の実施形態において、GPS又は他のGNSS受信機は、移送機の他の場所に装着されてもよく、また、処理システムは、道路障壁が地面に配置されるときの道路障壁の中心の座標に位置読取値が対応するように補償するべく構成される。他の実施形態において、GPS又は他のGNSS受信機62は、各障壁の端部及び中心の位置など、それぞれの道路障壁ごとに複数の座標を取得することができる。更に他の実施形態において、GPS又は他のGNSS受信機は、道路障壁のより多くの又はより少ない座標を取得することができる。
【0031】
他の実施形態において、位置センサ62は、道路障壁が路面上に配置されるときの道路障壁の画像を捕捉して関連する画像データを生成するために出口スナウトに装着されるカメラであってもよい。この画像データは、画像に示される車線マーカ、路肩、及び他のマーカに対する道路障壁の相対位置を示す。
【0032】
幾つかの実施形態において、追跡システムは、前述のGPS受信機、カメラ、及び/又は更なるセンサを含む複数の位置センサを備えることができる。
【0033】
処理システム66は、前述の位置データ、画像データ、及び場合によっては道路障壁の現在位置を表わす他のデータを含むデータを1つ又は複数の位置センサ62から受信する。処理システム64は、位置データ、画像データ、及び他のデータを、常駐メモリ68又は外部メモリ70に保存する。また、処理システム64は、道路障壁が路面上に配置された日時を表わす日時データを記憶することもできる。この日時データは、常駐メモリ68に記憶されてもよく、外部メモリ70に記憶されてもよい。記憶されたデータは、任意の日時における障壁の位置の証拠を提供するために後にアクセスされてもよい。例えば、障壁に車両が押し付けられている場合、衝突の日時に関連するデータにアクセスして、障壁が衝突の直前に位置された場所を決定することができる。したがって、追跡システムは、任意の日時における障壁の位置の検索可能なログを提供する。幾つかの実施形態では、保険査定人、法執行官などを含む誰もがログにアクセスして任意の日時に障壁の位置を決定できるように、ログがウェブサイト又は他の公的にアクセス可能なコンピュータシステムに記憶されてもよい。
【0034】
道路障壁は、経時的に揺れたり、シフトしたり、或いは移動したりする可能性がある橋又は他の構造物に配置される場合があるため、処理システム64は、そのような動きを考慮するために必要に応じて位置データを補正又は増補することもできる。一実施形態において、これは、橋梁又は他の構造体に装着された1つ以上のGPS受信機から現在位置データを受信して、そのような現在位置データを構造体に関する基準位置データと比較し、道路障壁に関する位置データを補正又は増補するために使用ができる補正係数を生成することによって達成することができる。橋梁又は他の構造体に関する基準位置データは、構造体の定常状態位置、すなわち、その初期非移動位置にあるときの構造体の位置を表わすデータであってもよい。
【0035】
また、処理システム64は、道路障壁の現在位置を基準位置と比較して、道路障壁が現在誤って配置されているかどうかを決定することもできる。道路障壁が誤って配置されている場合、処理システム64は警報信号を生成することができる。警報信号は、オペレータが障壁を再配置する又は他の是正措置をとることができるように、障壁移送機10におけるユーザインターフェース72で警報、表示、又は命令をトリガすることができる。他の実施形態において、警報信号は、移送機が是正措置をとることができるように障壁移送機の制御システム74に送信されてもよく、及び/又は、遠隔監視及び制御目的のために遠隔コンピュータ又は制御ステーションに送信されてもよい。
【0036】
基準位置は、メモリ68、メモリ70、又は障壁移送機の別の制御システム内の常駐メモリ、外部コンピュータ、及び/又はコンピュータ、スマートフォン、及び移送機のオペレータによって使用される他の電子デバイスなどの他のデータソース76に記憶することができる。そのような基準データは、障壁が最初に設置されたときの障壁の座標、障壁が最後に再配置されたときの障壁の座標、及び/又は障壁の所望の位置に関する座標を含むことができる。
【0037】
幾つかの実施形態において、処理システム64は、道路障壁の位置が基準位置から閾値量を超えて逸脱していると決定する場合にのみ警報信号を生成する。閾値量は、ユーザが選択することができ、道路障壁システムが配置される環境に応じて変化し得る。例えば、狭い車線及び高速交通がある環境では、閾値量が1インチなどの少量であり得る。しかし、駐車場などのより広い空間及びより遅い交通量を伴う環境では、閾値量が1フィートなど、より大きくなり得る。
【0038】
また、追跡システム44は、位置データ、日時データ、警報信号、及び他のデータをメモリ70、ユーザインターフェース72、制御システム74、及び/又は他のデバイスに送信するためのデータ送信機を備えることもできる。データ送信機は、有線又は無線接続を介してデータを送信することができる任意のデバイスであってもよい。データ受信機は、Bluetooth通信、無線周波数(RF)通信、近距離無線通信(NFC)、及び/又は、携帯電話ネットワーク、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、3 G、又は他のモバイルデータネットワーク、及び/又はワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMAX)などで使用するための有線又は無線ネットワークアダプタ又は無線データトランシーバであってもよく或いはそれらを含んでもよい。
【0039】
本発明の他の実施形態は、本明細書に記載及び図示されるような障壁移送機を用いて道路障壁を移動させる方法170である。図17のフローチャートは、方法170の一実施形態における典型的なステップを示す。幾つかの別の実施態様において、様々なブロックに記載されているステップ又は機能は、図17に示される順序とは異なる順序で行なわれてもよい。例えば、図17に連続して示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行されてもよく、又は、ブロックは、関連する機能に応じて逆の順序で実行されることがある。
【0040】
方法170の一実施形態は、ボックス172に示されるように路面から道路障壁を拾い上げるステップを含む。方法は、ボックス174に示されるように、障壁移送機で道路障壁を搬送するステップを更に含む。方法は、ボックス176に示されるように、道路障壁を路面上に戻すステップを更に含む。
【0041】
方法は、ボックス178に示されるように、障壁移送機に装着されるセンサを用いて、道路障壁が路面上に配置されるときの道路障壁の位置を感知するステップを更に含む。センサは、前述のセンサのうちの1つ以上であってもよい。
【0042】
方法は、ボックス180に示されるように、道路障壁が路面上に配置されるときの道路障壁の位置を表わす位置データを記憶するステップを更に含む。位置データは、前述のように処理システムに結合される又は処理システムと通信するメモリに記憶することができる。方法は、ボックス180に示されるように、道路障壁が路面上に配置された日時を表わす日時データを記憶するステップを更に含む。位置データは、前述した処理システムと結合される又は処理システムと通信するメモリに記憶することができる。
【0043】
方法は、ボックス182に示されるように、道路障壁が配置される路面の任意の動きを考慮するために必要に応じて位置データを補正又は増補するステップを更に含む。一実施形態において、このステップは、路面に装着された1つ以上のGPS受信機から現在位置データを受信するステップと、そのような現在位置データを基準位置データと比較するステップと、道路障壁に関する位置データを補正又は増補するために使用され得る補正係数を生成するステップとを含む。
【0044】
方法は、ボックス184に示されるように、道路障壁に関する現在位置を基準位置と比較して、道路障壁が現在誤って配置されているかどうかを決定するステップを更に含む。比較するステップは、前述の処理システムを用いて実行されてもよい。方法は、ボックス186に示されるように障壁が誤って配置されている場合に警報信号を生成するステップを更に含む。比較するステップは、前述の処理システムを用いて実行されてもよく、また、警報信号は、ユーザインターフェース、移送機の制御システム、又は外部制御システムに送信されてもよい。
追加の考慮事項
【0045】
本明細書において、「1つの実施形態」、「一実施形態」、又は「実施形態」への言及は、言及されている1つ以上の特徴が本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書における「1つの実施形態」、「一実施形態」又は「実施形態」への別々の言及は、必ずしも同じ実施形態を指すものではなく、そのように述べられていない限り、及び/又は説明から当業者に容易に明らかになる場合を除いて、相互に排他的でもない。例えば、一実施形態で説明した特徴、構造、動作などは、他の実施形態に含まれてもよいが、必ずしも含まれなくてもよい。したがって、現在の技術は、本明細書に記載の実施形態の様々な組み合わせ及び/又は統合を含むことができる。
【0046】
本出願は、多数の異なる実施形態の詳細な説明を記載しているが、説明の法的範囲は、この特許の最後に記載された特許請求の範囲の文言及び均等物によって定義される。詳細な説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、全ての可能な実施形態を説明することは非現実的であるため、全ての可能な実施形態を説明するものではない。現在の技術又は本特許の出願日後に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替実施形態を実施することができ、これらは依然として特許請求の範囲内に含まれる。
【0047】
本明細書を通して、複数の事例は、単一の事例として説明された構成要素、動作、又は構造を実装することができる。1つ以上の方法の個々の動作は別個の動作として図示及び説明されているが、個々の動作のうちの1つ以上は同時に実行されてもよく、動作が図示の順序で実行されることを必要とするものはない。例示的な構成において別個の構成要素として提示される構造及び機能は、組み合わされた構造又は構成要素として実装されてもよい。同様に、単一の構成要素として提示された構造及び機能は、別個の構成要素として実装されてもよい。これら及び他の変形、修正、追加、及び改良は、本明細書の主題の範囲内にある。
【0048】
特定の実施形態は、論理又は幾つかのルーチン、サブルーチン、アプリケーション、又は命令を含むものとして本明細書に記載されている。これらは、ソフトウェア(例えば、機械可読媒体又は送信信号で具現化されたコード)又はハードウェアのいずれかを構成し得る。ハードウェアでは、ルーチンなどは、特定の動作を実行することができる有形のユニットであり、特定の方法で構成又は配置され得る。例示的な実施形態では、1つ以上のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロン、クライアント又はサーバコンピュータシステム)又はコンピュータシステム(例えば、プロセッサ又はプロセッサのグループ)の1つ以上のハードウェアモジュールは、本明細書に記載の特定の動作を実行するように動作するコンピュータハードウェアとしてのソフトウェア(例えば、アプリケーション又はアプリケーション部分)によって構成されてもよい。
【0049】
様々な実施形態において、処理システム64、他の処理要素などのコンピュータハードウェアは、専用又は汎用として実装されてもよい。例えば、処理システム64は、特定用途向け集積回路(ASIC)などの永続的に構成されるか、又はFPGAなどの特定の動作を実行するように無期限に構成される専用回路又は論理を備えることができる。処理システム64はまた、特定の動作を実行するようにソフトウェアによって一時的に構成されたプログラマブル論理又は回路(例えば、汎用プロセッサ又は他のプログラマブルプロセッサに包含されるように)を備える。処理システムを専用として、専用の恒久的に構成された回路として、又は汎用(例えば、ソフトウェアによって構成される)として実装する決定は、コスト及び時間の考慮によって決定され得ることが理解される。
【0050】
したがって、「処理システム」又は同等物という用語は、有形の実体を包含するものと理解されるべきであり、それは、特定の方法で動作するか、又は本明細書に記載の特定の動作を実行するように物理的に構築されるか、恒久的に構成される(例えば、ハードワイヤード)か、又は一時的に構成される(例えば、プログラムされている)実体である。処理システムが一時的に構成される(例えば、プログラムされている)実施形態を考慮すると、各処理要素は、任意の1つのインスタンスで時間的に構成又はインスタンス化される必要はない。例えば、処理システムがソフトウェアを使用して構成された汎用プロセッサを含む場合、汎用プロセッサは、異なる時点でそれぞれ異なる処理要素として構成されてもよい。したがって、ソフトウェアは、ある時点でハードウェア構成を構成し、異なる時点で異なるハードウェア構成を構成するように処理要素を構成することができる。
【0051】
処理システム64、関連するメモリ要素、処理要素などのコンピュータハードウェア構成要素は、他のコンピュータハードウェア構成要素に情報を提供し、他のコンピュータハードウェア構成要素から情報を受信することができる。したがって、記載されたコンピュータハードウェア構成要素は、通信可能に結合されていると見なされてもよい。複数のそのようなコンピュータ・ハードウェア・コンポーネントが同時に存在する場合、通信は、コンピュータ・ハードウェア・コンポーネントを接続する信号伝送(例えば、適切な回路及びバスを介して)によって達成されうる。複数のコンピュータハードウェア構成要素が異なる時間に構成又はインスタンス化される実施形態では、そのようなコンピュータハードウェア構成要素間の通信は、例えば、複数のコンピュータハードウェア構成要素がアクセスするメモリ構造内の情報の記憶及び検索によって達成され得る。例えば、1つのコンピュータハードウェア構成要素は、動作を実行し、その動作の出力を、それが通信可能に結合されているメモリデバイスに記憶することができる。その後、更なるコンピュータハードウェア構成要素は、記憶された出力を取り出して処理するためにメモリ装置にアクセスすることができる。コンピュータハードウェア構成要素はまた、入力又は出力デバイスとの通信を開始することができ、リソース(例えば、情報の集合)上で動作することができる。
【0052】
本明細書に記載の例示的な方法の様々な動作は、少なくとも部分的に、関連する動作を実行するように一時的に(例えば、ソフトウェアによって)又は恒久的に構成された1つ以上の処理要素によって実行されてもよい。一時的に又は永続的に構成されるかにかかわらず、そのような処理要素は、1つ以上の動作又は機能を実行するように動作する処理要素実装モジュールを構成することができる。本明細書で言及されるモジュールは、幾つかの例示的な実施形態では、処理要素実装モジュールを含み得る。
【0053】
同様に、本明細書に記載の方法又はルーチンは、少なくとも部分的に処理要素が実装されてもよい。例えば、方法の動作の少なくとも一部は、1つ以上の処理要素又は処理要素実装ハードウェアモジュールによって実行されてもよい。特定の動作の性能は、単一の機械内に存在するだけでなく、幾つかの機械にわたって展開される1つ以上の処理要素間で分散されてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、処理要素は単一の場所に(例えば、家庭環境内、オフィス環境内、又はサーバファームとして)配置されてもよく、他の実施形態では、処理要素は複数の場所に分散されてもよい。
【0054】
特に明記しない限り、「処理」、「演算」、「計算」、「決定」、「提示」、「表示」などの単語を使用する本明細書の説明は、1つ以上のメモリ(例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はそれらの組み合わせ)、レジスタ、又は情報を受信、記憶、送信、又は表示する他の機械構成要素内の物理(例えば、電子的、磁気的、又は光学的)量として表されるデータを操作又は変換する機械(例えば、処理要素及び他のコンピュータハードウェア構成要素を有するコンピュータ)の動作又はプロセスを指すことができる。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含むことができる。
【0056】
本特許出願の最後の特許請求の範囲は、「~するための手段」又は「~するためのステップ」などの従来のミーンズプラスファンクションの文言が請求項に明示的に記載されていない限り、35 U.S.C.§112(f)の下で解釈されることを意図していない。
【0057】
添付の図面に示された実施形態を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、均等物を使用し、本明細書で置換することができることに留意されたい。
【0058】
このように本発明の様々な実施形態を説明してきたが、新規であり、特許文献によって保護されることが望まれるものには、以下が含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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