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77411852つのペプチドと組み合わせたビタミンB3を含むスキンケア組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-08
(45)【発行日】2025-09-17
(54)【発明の名称】2つのペプチドと組み合わせたビタミンB3を含むスキンケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20250909BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250909BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20250909BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20250909BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20250909BHJP
   C07K 5/10 20060101ALI20250909BHJP
【FI】
A61K8/64
A61Q19/00
A61K8/49
A61Q19/08
C07K7/06 ZNA
C07K5/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023540863
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022070277
(87)【国際公開番号】W WO2022159967
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】17/155,327
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオ ティモシー ラフリン ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジョセフ フラグラー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドレイ ブライアン ジャロルド
(72)【発明者】
【氏名】リサ アン マリンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ダニエル シェリル
(72)【発明者】
【氏名】田村 牧生
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-542178(JP,A)
【文献】特表2017-527580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0095732(US,A1)
【文献】国際公開第2016/067218(WO,A1)
【文献】特表2018-515487(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0227011(US,A1)
【文献】特開2020-142995(JP,A)
【文献】特表2018-501193(JP,A)
【文献】Carver Korea, South Korea,Cream,Mintel GNPD,[検索日 2024.06.14],2020年10月,ID:8209161,インターネット<http://portal.mintel. com/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/64
A61Q 19/00
A61K 8/49
A61Q 19/08
C07K 7/06
C07K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンケア組成物であって、
a)ナイアシンアミド、パルミトイルペンタペプチド-4(pal-KTTKS)[配列番号1]、及びアセチルテトラペプチド-11(ac-PPYL)[配列番号2]の組み合わせであって、前記ナイアシンアミド前記pal-KTTKS及び前記ac-PPYLの組み合わせが、抗酸化応答配列(ARE)アッセイに従って細胞の抗酸化応答配列(ARE)の活性を相乗作用的に増加し、少なくとも1.3の相乗因子を示す組み合わせと、
b)皮膚科学的に許容される担体と、を含み、
前記ナイアシンアミドの、前記pal-KTTKS[配列番号1]に対する比、及び前記ac-PPYL[配列番号2]に対する比が、500:1:2~1:1:0.5である、スキンケア組成物。
【請求項2】
ナイアシンアミド、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]の前記組み合わせが、核因子エリスロイド2関連因子2(NRF2)[配列番号3]、Schlafenファミリーメンバー5(SLFN5)[配列番号4]、グリセロホスホジエステルホスホジエステラーゼ1(GDE1)[配列番号5]、多重イノシトール-ポリリン酸ホスファターゼ1(MINPP1)[配列番号6]、及び3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAリアーゼ(HMGCL)[配列番号7]からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子を相乗作用的に上方調節する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ナイアシンアミドが、前記組成物の0.05重量%~10重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記pal-KTTKS[配列番号1]が、前記組成物の0.0001重量%~2重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ac-PPYL[配列番号2]が、前記組成物の0.0001重量%~2重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ビタミン、ミネラル、ペプチド、糖アミン、日焼け止め剤、オイルコントロール剤、フラボノイド化合物、抗酸化剤、プロテアーゼ阻害剤、チロシナーゼ阻害剤、抗炎症剤、保湿剤、剥離剤、皮膚美白剤、抗ニキビ剤、抗しわ剤、フィトステロール、N-アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、抗真菌剤、pH調整剤、増粘剤、防腐剤、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の成分を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
皮膚における酸化的ストレスを処置する非治療的方法であって、
処置が望まれる皮膚の標的部分を特定することと、
請求項1~のいずれか一項に記載のスキンケア組成物をそこに適用することと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記方法が、処置期間の過程にわたって皮膚老化の目に見える兆候の外観を改善する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記処置期間が、少なくとも2週間である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、スキンケア活性物質の相乗的組み合わせを用いて皮膚の健康を改善することを対象とする。より具体的には、本開示は、ビタミンBと、細胞の抗酸化及び修復プロセスを相乗的に刺激する2つ以上のペプチドとの組み合わせを対象とする。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、本来なら敏感な基礎組織及び器官に損傷を与え得る環境傷害に対する最初の防衛線であり、皮膚は、人の身体的外観において重要な役割を果たす。皮膚上のしわ及びしみなどの老化の明確な兆候は、望ましくない、若さの消失を思い出させるものである。結果として、若さを意識する社会において、皮膚の老化の兆候を処置することは、急成長事業となっている。
【0003】
皮膚は、皮膚の健康を維持するために動的で複雑な関係で一緒に機能する様々な異なる細胞でできている。しかしながら、皮膚細胞が老化又は損傷するにつれて、それらは一般に、若くて健康に見える皮膚を維持するのに必要とされるレベルで機能する能力を失う。皮膚細胞は、様々な内因性及び外因性のストレッサー(例えば、紫外線、ポリューション、喫煙)によって損傷され得る。いくつかの例において、これらのストレッサーは、正常な細胞プロセスを妨害する活性酸素種(reactive oxygen species、ROS)の産生を引き起こす。これに応答して、ヒト細胞は、ROSに対向するための防御を進化させたが、細胞の防御は、ストレッサー誘導性ROSのスパイクによって圧倒され得、細胞ホメオスタシスにおける急性の変化だけでなく慢性の変化にもつながる。ROSが経時的に蓄積するにつれて、それらは細胞レベルで酸化的ストレスを引き起こし、これは最終的に老化の目に見える兆候(例えば、小じわ、しわ、色素沈着したしみ、菲薄化している皮膚)として現れ得る。
【0004】
ほとんどの細胞の抗酸化防御系は、典型的には、抗酸化応答配列(antioxidant response element、ARE)と称されるマスタースイッチによって制御される。AREは、抗酸化遺伝子及び解毒遺伝子の調節領域に位置するシス作用性エンハンサー配列である。AREは、レドックスサイクリングフェノー及び求電子試薬によって活性化される。いくつかの研究により、他の多くの転写因子もまたARE配列に結合するものの、核因子エリスロイド-2関連因子2(nuclear factor erythroid 2-related factor 2)(Nrf2)と称されるタンパク質がARE活性化に必要な主な転写因子であり得ることが示されている。AREがROSからの損傷に応じて活性化されると、対応する遺伝子が、還元/酸化調節因子及び/又はROSクエンチングタンパク質及び酵素の産生を開始するように細胞にシグナリングする。酸化還元調節因子及びROSクエンチング化合物の産生の調節以外に、AREは、細胞に修復プロセスを開始するようにシグナリングもすることができる。したがって、酸化的ストレスによって引き起こされる皮膚老化の兆候に対抗するために、老化している皮膚細胞におけるAREの活性化を増強することが望ましい。
【0005】
AREの活性化を増強するいくつか化合物が発見されている。例えば、米国特許出願公開第20160317419号は、ナイアシンアミド及びニコチンアミドリボシドの組み合わせがARE活性化を増強することを示すデータを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第20160317419号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ARE活性化を増強することによって細胞の抗酸化を改善する化合物及び方法を特定する必要性が依然として存在する。また、細胞の抗酸化及び修復に関与する遺伝子を有益に調節する化合物及び方法を特定する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ビタミンB化合物、パルミトイルペンタペプチド-4(pal-KTTKS)[配列番号1]、アセチルテトラペプチド-11(ac-PPYL)[配列番号2]、及び皮膚科学的に許容される担体の組み合わせを含むスキンケア組成物に関する。ビタミンB化合物、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]の組み合わせ。この化合物の組み合わせは、細胞の抗酸化応答配列(ARE)を活性化し、かつ/又は細胞の抗酸化及び修復に関与する遺伝子を有益に調節し、いくつかの場合には、相乗的に調節することが見出されている。本開示はまた、前述の組成物を使用する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
細胞の抗酸化及び修復を改善することは、皮膚の健康及び/又は外観を改善するために重要である。したがって、これらの利益を提供する局所スキンケア組成物に使用するための新しい成分を特定する長きにわたる必要性が存在する。特に、紫外線及び他の外因性ストレッサーへの高い曝露に起因して、いくつかの他の種類の細胞よりも酸化的ストレスからのリスクが高い傾向がある皮膚細胞において、ARE活性化を増強する化合物を特定する必要性が存在する。驚くべきことに、ビタミンB化合物、パルミトイルペンタペプチド-4[配列番号1]、及びアセチルテトラペプチド-11[配列番号2]を組み合わせると、抗酸化及び細胞修復プロセスを刺激することができることが発見されている。特に、この成分の組み合わせは、ARE活性化を相乗的に増強し、かつ/又は細胞の抗酸化及び修復に関与すると考えられるある特定の遺伝子を調節することが見出されている。
【0010】
本明細書中での「実施形態」などへの言及は、その実施形態と関連付けて記載される、特定の材料、特徴、構造、及び/又は特性が、少なくとも1つの実施形態、任意選択的に多数の実施形態に含まれていることを意味するが、全ての実施形態に、記載された材料、特徴、構造、及び/又は特性が組み込まれることを意味するものではない。更に、材料、特徴、構造、及び/又は特性は、異なる実施形態にわたって、任意の好適な方法で組み合わされてもよく、材料、特徴、構造、及び/又は特性は、説明されるものから除外されてもよいし、代用されてもよい。したがって、本明細書に記載されている実施形態及び態様は、別段明記しない限り又は不適合性が明示されてされない限り、組み合わせて明示的に例示されていなくても、他の実施態様及び/又は態様の要素又は構成成分を含むか又はこれらと組み合わされることが可能である。
【0011】
全ての実施形態において、別途記載のない限り、成分の百分率は全て化粧品組成物の重量を基準としている。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。有効桁数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に別途記載のない限り、全ての数量は、単語「約」によって修飾されるものと理解される。別途記載のない限り、全ての測定は、およそ25℃の周囲条件でなされたと理解され、「周囲条件」は、約1気圧及び約50%の相対湿度の条件を意味する。全ての数値範囲は包括的であり、明示的に開示されていない狭い範囲を形成するために組み合わせることが可能である。例えば、区切られた上下の範囲制限は、更なる範囲を作る上で互換性がある。
【0012】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須成分及び任意選択的な成分を含む、それらから本質的になる、又はそれらからなることができる。本明細書で使用する場合、「~から本質的になる」とは、組成物又は構成成分が、特許請求される組成物又は方法の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない追加の成分のみを含み得ることを意味する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0013】
配列表
一次配列であり、かつその保存的に修飾されたバリアントを含む、配列番号1及び2のアミノ酸配列並びに配列番号3~7のヌクレオチド配列を示す配列表は、「15964_seq_list_ST25」と題されたASCIIテキストファイルとして本出願と同時に出願されている。このASCIIテキストファイルは、2021年1月19日に作成したもので、サイズは201KBである。MPEP 605.08及び米国特許規則1.52(e)に従い、このASCIIテキストファイルの主題は本明細書に参照により組み込まれる。
【0014】
定義
「約」とは、言及された値のプラスマイナス20パーセント(±20%)又はそれよりも低い値(例えば、15%、10%未満、若しくは更には5%未満)に等しい範囲を指すことで、特定の値を修飾する。
【0015】
本明細書で組成物又は材料に関連して使用される「適用」する」又は「適用」は、組成物を表皮などのヒトの皮膚表面上に置く又は広げることを意味する。
【0016】
「化粧品組成物」は、化粧剤を含み、かつ非治療的(すなわち、非医学的)使用が意図された組成物を意味する。化粧品組成物の例としては、カラー化粧品(例えば、ファンデーション、リップスティック、コンシーラー、及びマスカラ)、スキンケア組成物(例えば、保湿剤及び日焼け止め剤)、パーソナルケア組成物(例えば、洗い流す及び洗い流さないボディソープ及び石鹸)、ヘアケア組成物(例えば、シャンプー及びコンディショナー)が挙げられる。
【0017】
「誘導体」は、所定の化合物のアミド、エーテル、エステル、アミノ、カルボキシル、アセチル、又はアルコールの誘導体を意味する。
【0018】
「有効量」は、処置期間の過程にわたってケラチン性組織に対して正の効果を有意に誘導するのに十分な化合物及び組成物の量を意味する。正の効果は、本明細書に開示される効果を独立して又は組み合わせて含む、健康、外観、及び/又は感触の効果であり得る。
【0019】
「調節する」及びその変形は、遺伝子発現を上方制御又は下方制御することを意味する。
【0020】
「スキンケア」は、皮膚状態(例えば、皮膚の健康、外観、又は質感/感触)を調節及び/又は改善することを意味する。皮膚状態を改善するいくつかの非限定的な例としては、滑らかでより均一な外観及び/又は感触を提供することによって、皮膚の外観及び/又は感触を改善することと、皮膚の1つ以上の層の厚さを増加させることと、皮膚の弾性又は弾力性を改善することと、皮膚のハリを改善することと、並びに皮膚の脂っぽい、てかてかした、及び/若しくはくすんだ外観を低減し、皮膚の水分量の状態若しくは保湿を改善し、小じわ及び/若しくはしわの外観を改善し、皮膚角質除去若しくは落屑を改善し、皮膚を膨化させ、皮膚バリア特性を改善し、皮膚の色合いを改善し、発赤若しくは皮膚のしみの外観を低減させ、及び/又は皮膚の明るさ、つや、若しくは透明感を改善することと、が挙げられる。
【0021】
「スキンケア活性物質」は、皮膚に適用すると、皮膚又は皮膚の中に通常見られる細胞の一種に急性効果及び/又は慢性効果をもたらす、化合物又は化合物の組み合わせを意味する。スキンケア活性物質は、皮膚又はそれに関連する細胞を調節及び/又は改善する(例えば、皮膚の弾性、皮膚水分量、肌のバリア機能、及び/又は細胞代謝を改善する)ことができる。
【0022】
「スキンケア組成物」は、スキンケア活性物質を含み、皮膚の状態を調節及び/又は改善する組成物を意味する。
【0023】
「皮膚細胞」は、ヒトの皮膚において一般的に見出される細胞の種類を指す。皮膚細胞の非限定的な例は、ケラチノサイト、線維芽細胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、及びメルケル細胞である。
【0024】
「相乗作用」及びその変形は、ナイアシンアミド、パルミトイルペンタペプチド-4[配列番号1]、及びアセチルテトラペプチド-11[配列番号2]の組み合わせによって提供される細胞の抗酸化及び修復効果が、これらの成分単独の予測される相加効果よりも大きいことを意味する。例えば、ナイアシンアミド、パルミトイルペンタペプチド-4[配列番号1]、及びアセチルテトラペプチド-11[配列番号2]の組み合わせが、これらの3つの成分の個々の計算された相加効果を超えてARE活性化を増加させる場合、相乗作用が示される。ARE活性化レベルは、以下により詳細に記載されるAREアッセイを使用して定量化され得る。
【0025】
本明細書で使用される「処置期間」は、材料又は組成物が標的皮膚表面に適用される時間の長さ及び/又は頻度を意味する。
【0026】
「上方制御」及びその変形は、遺伝子発現を増加させることを意味する。逆に、「下方制御」及びその変形は、遺伝子発現を減少させることを意味する。遺伝子発現は、従来の方法(例えば、マイクロアレイ分析、rt-PCR、ウェスタンブロット)を使用して定量化することができる。
【0027】
スキンケア組成物
本明細書の新規のスキンケア組成物は、細胞の抗酸化及び/又は修復効果を提供するためにヒトの皮膚に局所適用することを意図する。本発明のスキンケア組成物は、安全かつ有効量のビタミンB3化合物、パルミトイルペンタペプチド-4(pal-KTTKS)[配列番号1]、及びアセチルテトラペプチド-11(ac-PPYL)[配列番号2]を含む。有効量のこれらの3つの成分の組み合わせは、抗酸化応答配列の活性化を相乗的に増強することができ、これは酸化的ストレスに対抗し、皮膚老化の目に見える兆候を低減するために重要である。
【0028】
ビタミンB3化合物、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]の組み合わせはまた、核因子エリスロイド2関連因子2(Nuclear Factor Erythroid2-Related Factor 2、NFE2L2)[配列番号3](一次配列)及びその保存的に修飾されたバリアント、Schlafenファミリーメンバー5(Schlafen Family Member 5、SLFN5)[配列番号4](一次配列)及びその保存的に修飾されたバリアント、グリセロホスホジエステルホスホジエステラーゼ1(Glycerophosphodiester Phosphodiesterase 1、GDE1)[配列番号5](一次配列)及びその保存的に修飾されたバリアント、多重イノシトール-ポリリン酸ホスファターゼ1(Multiple Inositol-Polyphosphate Phosphatase 1、MINPP1)[配列番号6](一次配列)及びその保存的に修飾されたバリアント、並びに3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAリアーゼ(3-Hydroxy-3-Methylglutaryl-CoA Lyase、HMGCL)[配列番号7](一次配列)及びその保存的に修飾されたバリアントから選択される1つ以上の遺伝子を相乗的に調節し得る。理論によって制限されるものではないが、これらの遺伝子は、細胞の抗酸化及び/又は修復において重要な役割を果たすと考えられており、これらの遺伝子は、表皮及び/又は真皮における経時的老化及び/又は光老化の結果として下方制御されることが示されている。例えば、NRF2は、AREの活性化において重要な役割を果たすと考えられている(Annu Rev Pharmacol Toxicol. 2013; 53:401-426)。別の例において、SLFN5は、細胞外マトリックス(extracellular matrix、ECM)リモデリング酵素を制御する役割を果たすと考えられる。酸化的ストレスの状態は、メタロプロテイナーゼ(MMP)を上方制御することによってECM分解を刺激する。SLFN5の上方制御は、これらのMMPの発現を低下させ、したがって、ECM完全性を増強する。
【0029】
ARE活性化の増強及び/又は上記の遺伝子のうちの1つ以上の発現の調節に関して、ビタミンB化合物、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]の組み合わせは、ビヒクル対照又は所定の閾値など、ナイアシンアミド、pal-KTTKS、及びac-PPYL処置の個々からの応答の合計に対して、1.2倍以上(例えば、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は更に2.0超)の相乗作用を呈し得る。いくつかの場合において、組成物は、500:1:2~1:1:0.5(例えば、50:1:2~1:1:1)のビタミンB3化合物対pal-KTTKS[配列番号1]対ac-PPYL[配列番号2]の重量比を含み得る。相乗係数を判定するための方法は、以下でより詳細に説明する。
【0030】
本明細書のスキンケア組成物は、化粧品組成物、医薬組成物、又は薬用化粧品組成物であってもよく、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、トナー、スティック、スプレー、エアロゾル、軟膏、クレンジングリキッド洗浄液及び固形バー、ペースト、フォーム、ムース、シェービングクリーム、拭き取り用品、ストリップ、パッチ、電動式パッチ、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャル及びスキンマスク(不溶性シートを有するもの、及び有さないもの);ファンデーション、アイライナー及びアイシャドウなどのメークアップなどを含むがこれらに限定されない様々な製品形態で提供することができる。いくつかの場合には、組成物の形態は、選択された皮膚科学的に許容される特定の担体に従い得る。例えば、組成物(及び担体)は、エマルジョン(例えば、油中水型、水中油型、若しくは水中油中水型)又は水性分散液の形態で提供されてもよい。
【0031】
本明細書の組成物は、局所スキンケア組成物を作製する従来の方法によって調製され得る。このような方法は、典型的には、加熱、冷却、真空の適用などを用いて又は用いずに、成分を1つ以上のステップで比較的均一な状態になるまで混合することを含む。組成物は、好ましくは、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)及び/又は活性物質の送達を最適化するように調製される。この最適化には、適切なpH(例えば7未満)、活性剤と複合体を形成して、安定性又は送達に有害な影響を与え得る材料の排除(例えば混入鉄の排除)、複合体形成を防止する手法(例えば、適切な分散剤又は二重区画包装)の使用、適切な光安定性の手法(例えば、日焼け止め剤/日焼け防止剤の配合、不透明包装の使用)の使用などを挙げることができる。
【0032】
ビタミンB化合物
本明細書における組成物は、安全かつ有効量のビタミンB化合物を含む。いくつかの例において、本発明の組成物は、組成物の重量又は体積に基づいて、0.01重量%~10重量%(例えば、0.1%~10%、0.5%~5%、又は更に1%~3%)のビタミンB化合物を含み得る。
【0033】
本明細書で使用するとき、「ビタミンB化合物」とは、以下の式を有する化合物であって、
【0034】
【化1】
式中、Rが、CONH(すなわち、ナイアシンアミド)、COOH(すなわち、ニコチン酸)、又はCHOH(すなわち、ニコチニルアルコール)である、化合物、それらの誘導体、及び前述のもののうちのいずれかの塩を意味する。
【0035】
ビタミンB化合物の例示的な誘導体としては、ニコチン酸の非血管拡張性エステル(例えば、トコフェリルニコチネート、ミリスチルニコチネート)、ニコチンアミドリボシド、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N-オキシド、及びナイアシンアミドN-オキシドを含む、ニコチン酸エステルが挙げられる。
【0036】
ペンタペプチド
本明細書の組成物は、安全かつ有効量のパルミトイル化ペンタペプチド、pal-KTTKS[配列番号1](INCI:パルミトイルペンタペプチド-4)を含む。いくつかの例において、pal-KTTKSは、本発明の組成物中に0.0001%~3%(例えば、0.001%~2%、0.01%~1%、又は0.1%~0.5%)で存在し得る。Pal-KTTKSは、PROMATRIXYLとしてSederma(France)から入手可能である。
【0037】
テトラペプチド
本明細書の組成物は、安全かつ有効量のアセチル化テトラペプチド、ac-PPYL[配列番号2](INCI:アセチルテトラペプチド-11)を含む。いくつかの場合には、ac-PPYLは、本組成物中に0.0001%~3%(例えば、0.001%~2%、0.01%~1%、又は0.1%~0.5%)で存在してもよい。ac-PPYLは、BASF Care Creations(New Jersey)からSYNIORAGEとして入手可能である。
【0038】
皮膚科学的に許容される担体
本明細書における組成物は、皮膚科学的に許容可能な担体(「担体」と称される場合もある)を含んでよい。「皮膚科学的に許容される担体」なる語句は、担体がケラチン性組織への局所適用に好適であり、良好な審美特性を有し、組成物中の活性物質と相溶性を有し、安全性又は毒性について不当な懸念をいっさい生じさせないことを意味する。一実施形態において、担体は、組成物の約50重量%~約99重量%、約60重量%~約98重量%、約70重量%~約98重量%、又は代替的に約80重量%~約95重量%の濃度で存在する。
【0039】
担体は、多種多様な形態であってよい。いくつかの場合には、構成成分(例えば、抽出物、日焼け止め活性物質、追加の成分)の溶解性又は分散性によって担体の形態及び特徴が決定され得る。非限定的な例としては、単純な溶液(例えば、水性又は無水)、分散液、エマルジョン、及び固体形態(例えば、ゲル、スティック、流動性固体、又は非晶質材料)が挙げられる。いくつかの場合には、皮膚科学的に許容される担体は、連続水相(例えば、水中油型又は水中油中水型エマルジョン)又は連続油相(例えば、油中水型又は油中水中油型エマルジョン)を有するエマルジョンの形態である。エマルジョンの油相は、シリコーン油、非シリコーン油(炭化水素油、エステル、エーテルなど)、及びそれらの混合物を含んでもよい。水相は、水及び水溶性成分(例えば、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他のスキンケア活性物質)を含んでもよい。いくつかの場合には、水相は、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他の水溶性スキンケア活性物質が挙げられるが、これらに限定されない水以外の構成成分を含んでもよい。いくつかの場合には、組成物の非水構成成分は、グリセリン及び/又は他のポリオールなどの湿潤剤を含む。
【0040】
いくつかの場合には、本明細書における組成物は、軽くてべたつかない感覚的感触を提供する水中油型(oil-in-water、「O/W」)エマルジョンの形態である。本明細書における好適なO/Wエマルジョンは、組成物の50重量%超の連続水相を含み得、残部は分散油相であり得る。水相は、任意の水溶性及び/又は水混和性成分とともに水相の重量に基づいて、1%~99%の水を含み得る。これらの場合では、分散油相は、油性組成物の望ましくない感触効果をいくらか回避するのを助けるために、典型的には、組成物の30重量%未満(例えば、1%~20%、2%~15%、3%~12%、4%~10%、又は更には5%~8%)で存在する。油相は、1つ以上の揮発性及び/又は非揮発性油(例えば、植物油、シリコーン油、及び/又は炭化水素油)を含み得る。本組成物に使用するのに好適であり得る油のいくつかの非限定的な油の例は、米国特許第9,446,265号及び米国特許出願公開第2015/0196464号に開示されている。
【0041】
担体は、1つ以上の皮膚科学的に許容される希釈剤を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、本明細書のスキンケア活性物質を、分散する、溶解する、又はそうでなければ組み込むことができる物質を指す。親水性希釈剤のいくつかの非限定的な例としては、水、低級一価アルコール(例えば、C~C)、並びに低分子量グリコール及びポリオールなどの有機親水性希釈剤が挙げられ、これらには、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、分子量200~600g/モル)、ポリプロピレングリコール(例えば、分子量425~2025g/モル)、グリセロール、ブチレングリコール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール、エタノール、イソプロパノール、ソルビトールエステル、ブタンジオール、エーテルプロパノール、エトキシル化エーテル、プロポキシル化エーテル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
コンディショニング剤
本明細書の組成物は、0.1重量%~50重量%のコンディショニング剤(例えば、0.5%~30%、1%~20%、又は更には2%~15%)を含んでもよい。コンディショニング剤を添加することは、望ましい感触特性(例えば、適用時の絹のような滑らかな感触)を有する組成物を提供するのに役立ち得る。コンディショニング剤のいくつかの非限定的な例としては、炭化水素油及びワックス、シリコーン、脂肪酸誘導体、コレステロール、コレステロール誘導体、ジグリセリド、トリグリセリド、植物油、植物油誘導体、アセトグリセリドエステル、アルキルエステル、アルケニルエステル、ラノリン、ワックスエステル、蜜蝋誘導体、ステロール及びリン脂質、これらの塩、異性体、及び誘導体、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。コンディショニング剤の特に好適な例としては、ジメチコンコポリオール、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、混合C1~30アルキルポリシロキサン、フェニルジメチコン、ジメチコノール、ジメチコン、ジメチコノール、シリコーンクロスポリマー、及びこれらの組み合わせなどの揮発性又は非揮発性シリコーン流体が挙げられる。ジメチコンは特に好適であり得るが、これは、一部の消費者は、特定のジメチコン流体によって提供される感触特性を良好な保湿と関連付けるためである。コンディショニング剤として使用するのに好適であり得るシリコーン流体の他の例は、米国特許第5,011,681号に記載されている。
【0043】
レオロジー変性剤
本明細書の組成物は、好適なレオロジー及び皮膚感触特性を有する組成物を提供するために、0.1%~5%のレオロジー変性剤(例えば、増粘剤)を含んでもよい。増粘剤のいくつかの非限定的な例としては、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、多糖類、ガム、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好適な例では、組成物は、ポリアクリル酸ナトリウム、デンプングラフト化ポリアクリル酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせなどの超吸収性ポリマー増粘剤を含んでもよい。超吸収性ポリマー増粘剤のいくつかの非限定的な例は、例えば、米国特許第9,795,552号に記載されている。
【0044】
一部の消費者は、コンディショニング剤としてシリコーン流体を使用した組成物が、望ましくない脂っぽい又は重い感触であることを見出す。したがって、シリコーン流体を含まないか又は実質的に含まない組成物を提供することが望ましい場合がある。例えば、組成物中の水の量、水:油の比(例えば、12:1~1:1)、及び/又は増粘剤に対する水の比、又は増粘剤に対する油の比を調節することによって、軽い空気のような感触を有する組成物を提供するように、超吸収性ポリマー増粘剤を調整することが望ましい場合もある。
【0045】
乳化剤
皮膚科学的に許容可能な担体がエマルジョンの形態である場合、安定な組成物(例えば、相分離しない)を提供する乳化剤を含むことが望ましい場合がある。含まれる場合、乳化剤は、0.1%~10%(例えば、1%~5%、又は2%~4%)の量で存在し得る。乳化剤は、非イオン性であってもよく、アニオン性であってもよく、又はカチオン性であってもよい。本明細書での使用に好適であり得る乳化剤のいくつかの非限定的な例は、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition、317-324頁(1986)に開示されている。
【0046】
他の任意選択的な成分
本組成物は、任意選択的に、化粧品組成物(例えば、着色剤、スキンケア活性物質、抗炎症剤、日焼け止め剤、乳化剤、緩衝液、レオロジー変性剤、これらの組み合わせなど)に一般的に使用される1つ以上の追加の成分を含んでもよく、ただし追加の成分が不所望に本組成物によって提供される皮膚健康上又は外観上の効果を変えるものではない。組成物中に組み入れられる場合、追加の成分は、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを示すことなく、ヒトの皮膚組織に接触させて用いるのに好適でなければならない。追加活性物質のいくつかの非限定的な例としては、ビタミン、ミネラル、ペプチド及びペプチド誘導体、糖アミン、日焼け止め剤、オイルコントロール剤、微粒子、フラボノイド化合物、育毛制御剤、抗酸化剤及び/又は抗酸化剤前駆体、防腐剤、プロテアーゼ阻害剤、チロシナーゼ阻害剤、抗炎症剤、保湿剤、角質除去剤、皮膚美白剤、サンレスタンニング剤、潤滑剤、抗ニキビ活性物質、抗セルライト活性物質、キレート剤、抗しわ活性物質、抗萎縮活性物質、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、N-アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、並びに抗真菌剤が挙げられる。本明細書での使用に好適であり得る追加の成分及び/又はスキンケア活性物質の他の非限定的な例が、米国特許出願公開第2002/0022040号、同第2003/0049212号、同第2004/0175347号、同第2006/0275237号、同第2007/0196344号、同第2008/0181956号、同第2008/0206373号、同第2010/00092408号、同第2008/0206373号、同第2010/0239510号、同第2010/0189669号、同第2010/0272667号、同第2011/0262025号、同第2011/0097286号、同第2012/0197016号、同第2012/0128683号、同第2012/0148515号、同第2012/0156146号、及び同第2013/0022557号、並びに米国特許第5,939,082号、同第5,872,112号、同第6,492,326号、同第6,696,049号、同第6,524,598号、同第5,972,359号、及び同第6,174,533号に記載されている。
【0047】
本明細書の組成物中に任意選択的な成分を含む場合、組成物中の他の成分、特に、ナイアシンアミド、サリチレート、及びペプチドのようなpH感受性成分と複合体を形成しないか、そうでなくても、望ましくない相互作用をしない成分を選択することが望ましい場合がある。存在する場合、任意選択的な成分は、組成物の0.0001重量%~50重量%、0.001重量%~20重量%、又は更には、0.01重量%~10重量%(例えば、50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、10重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、又は0.1重量%)の量で含まれ得る。
【0048】
使用方法
本発明の方法は、治療が望まれる皮膚の標的部分を特定することと、有効量のビタミンB化合物、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]、並びに任意選択的に1つ以上の追加のスキンケア活性物質を含む組成物を皮膚の標的部分に適用することとを含む。皮膚の標的部分は、額、口周囲、顎、眼窩周囲、鼻、及び/若しくは頬)などの顔の皮膚表面上、又は身体の別の部分(例えば、手、腕、脚部、背部、胸)にあってもよい。処置を必要とするヒト又は皮膚の標的部分は、老化している皮膚の明白な兆候(例えば、小じわ、しわ、色素沈着したしみ)を呈するものであり得る。いくつかの場合には、皮膚の標的部分は、皮膚老化の兆候を呈さない場合があるが、皮膚の標的部分がより高いレベルの外因的ストレス要因に一般に曝露された部分(例えば、顔の皮膚及び腕の皮膚などの太陽曝露された皮膚)である場合には、使用者は依然として、皮膚の標的部分を処置することを望む場合がある。このようにして、本発明の方法及び組成物は、皮膚老化を遅らせることを助けるために予防的に使用され得る。
【0049】
組成物は、処置期間中、皮膚の標的部分に、かつ所望される場合には周囲の皮膚に、少なくとも1日1回、1日2回、又はそれ以上の頻度で毎日適用することができる。1日2回適用する場合、1回目及び2回目の適用の間は、少なくとも1~12時間の間隔を空ける。組成物は典型的に、朝及び/又は夜就寝前に適用される。本明細書における処置期間は、理想的には、ビタミンB化合物、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]が皮膚の外観を改善するのに十分な時間である。処置期間は、少なくとも1週間(例えば、約2週間、4週間、8週間、又は更には12週間)にわたって持続し得る。いくつかの場合には、処置期間は、数ヶ月(即ち、3~12ヶ月)に及ぶであろう。いくつかの場合には、少なくとも2週間、4週間、8週間、又は12週間の処置期間中に、週の大半の日数(例えば、少なくとも週に4日、5日又は6日)にわたって、少なくとも1日に1回、又は更には1日に2回組成物を適用し得る。
【0050】
組成物を適用する工程は、局所的適用により行うことができる。組成物の適用に関する「局所的な」、「局所」、又は「局所的に」という用語とは、処理を望まない皮膚表面への送達を最小限に抑えながら、組成物を標的領域(例えば、色素沈着したしみ又はその一部)に送達することを意味する。本組成物は、ある皮膚領域に適用し、軽く揉み込むことができる。組成物又は皮膚科学的に許容される担体の形態は、局所的適用が容易となるように選択されるべきである。本明細書における特定の実施形態は、組成物をある領域に局所的に適用することを想到しているが、本明細書における組成物は、1つ以上の皮膚表面に更に全身的に又は広範に適用され得ることが理解されよう。ある特定の実施形態において、本明細書における組成物は、多段階式美容法の一部として使用してもよく、この多段階式美容法では、本組成物を1つ以上の他の組成物の前及び/又は後に適用してよい。
【0051】
AREアッセイ
この方法は、CXR Biosciencesから利用可能なARE-32レポーター細胞株を使用してARE活性化を定量化する方法を提供する。ARE-32細胞株は、pGL8x-ARE(ルシフェラーゼ遺伝子にラットGST AREのコピーを8個連結したもの)と、ネオマイシン選択マーカーを含むpCDNA3.1とを含む安定したMCF7細胞株である。ARE-32細胞株並びにその開発及び使用の詳細な説明は、「Generation of a Stable Antioxidant Response Element-Driven Reporter Gene Cell Line and Its Use to Show Redox-Dependent Activation of Nrf2 by Cancer Chemotherapeutic Agents.」Cancer Res 2006; 66(22):10983-94に見出され得る。AREからの転写を促進する薬剤を特定するためにAREレポーターアッセイがどのように機能するかについての一般的な概略図が米国特許出願公開第2011/0262570号に記載されている。
【0052】
方法の要約:
AREアッセイは、増殖及び凍結保存した継代ストックを使用する。細胞を培養フラスコ中で4~5日間にわたって増殖させ、細胞が約80%コンフルエントになったときに3~4日毎に継代する。細胞が>70%コンフルエントであるか、又は96ウェルプレートに播種する準備ができているときに、細胞をトリプシン処理し、96ウェルプレートに播種し、増殖させる。96ウェルプレートで1日間増殖させた後、培地を新鮮な処理培地(フェノールレッド不含、FBS不含)で置き換え、細胞を化合物で処理し、一晩(24時間)インキュベートする。処理後、細胞を1×PBSですすぎ、溶解させ、ルシフェラーゼキット試薬を加え、発光を測定する。
【0053】
装置:
・生物学的安全キャビネット
・マルチチャンネルピペット
・倒立顕微鏡
・水浴
・ベンチトップ遠心分離機
・インキュベーター
・プレートリーダー(発光を読み取ることができる)
・Corning 3275細胞培養フラスコ(又は同等物)
・ピペット及びピペットコントローラ(例/Pipet Boy、Drummond Pipet)
・真空を入れるためにピペットチップ及びフックを使用するアスピレータ
・96ウェルプレート(Costar、カタログ番号3903又は3610)
【0054】
試薬及び材料:
・ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco、カタログ番号11054-020)
・ウシ胎児血清ワンショット、熱不活化(Gibco、カタログ番号A31604)
・ゲネチシンG418硫酸塩(G418)(Gibco、カタログ番号10131-027)
・ペニシリン-ストレプトマイシン100X(Gibco、カタログ番号15140-148)
・GlutaMAXサプリメント100X(Gibco 35050-061)
・0.25%トリプシンEDTA(Gibco 25200-056)
・血球計算盤を使用して細胞を計数する場合、0.4%トリパンブルー
・1×PBS
・溶解緩衝液を含むルシフェラーゼアッセイ系(Promega、カタログ番号E4530)
【0055】
プレーティング培地:
・500mlのDMEM(Gibco、カタログ番号11054-020)
・0.8mg/mlのG418
・5mlのGlutaMAX
・50ml FBS
・5mlのPen/Strep
【0056】
処理媒体:
・500mlのDMEM(Gibco、カタログ番号11054-020)
・5mlのGlutaMAX
・5mlのPen/Strep
【0057】
新しい培養の開始:
凍結AREC32細胞(90%FBS及び10%DMSO中で凍結)を迅速に解凍し、25mlのプレーティング培地とともに50mlコニカルチューブに入れる。1500~2000RPMで5分間遠心分離する。細胞ペレットを乱すことなく培地を除去する。細胞を12mlの培地に再懸濁し、T-75組織培養フラスコに添加する。細胞は、4~5日間で>80%コンフルエントであるべきであり、より多くの細胞が必要な場合、プレートに播種するために細胞を増殖させるために、T-150フラスコに1:3に分割することができる。
【0058】
細胞の維持及び継代培養:
細胞を維持し、プレーティング培地を含む96ウェルプレートにプレーティングする。3~4日毎に、又は約75~80%コンフルエントであるときに継代培養(継代細胞)する。細胞を継代するために、フラスコから培地を吸引し、6mlの0.25%トリプシンを添加する。フラスコを全方向に傾けて、トリプシンをフラスコの底に分布させ、インキュベーターに入れる。2~3分後、顕微鏡で細胞を観察し、分離しているかどうかを見る。細胞が完全に分離していない場合、更に2~3分間インキュベーターに入れる。分離すると、6mlの維持培地を添加してトリプシンを中和し、遠心分離チューブにピペッティングする。1200RPMで5分間遠心分離する。細胞ペレットを乱すことなく培地を除去する。ペレットを12mlの維持培地に再懸濁し、フラスコに添加する。T-150フラスコから細胞を分割又は分離する場合、全ての体積を2倍にし、同じ手順に従う。
【0059】
細胞のプレーティング:
フラスコから培地を吸引し、フラスコのサイズに応じて適切な体積の0.25%トリプシンを添加する(T-75フラスコについては6ml、T-150フラスコについては12ml)。フラスコを回転させて、トリプシンをフラスコの底に分布させ、インキュベーターに2~3分間戻す。顕微鏡で細胞を観察する。細胞が完全に分離していない場合、更に2~3分間インキュベーターに入れる。細胞が分離すると、トリプシンの体積に等しいDMEMを添加し、穏やかに混合し、遠心分離チューブに入れる。12000RPMで5分間遠心分離する。細胞ペレットを乱すことなく培地を吸引する。ペレットを10mlのDMEMに再懸濁する。50μlの細胞+200μlのDMEMを使用して細胞を1:5に希釈する。20μlのこの希釈液及び20μlの0.4%トリパンブルーを使用する。混合し、ディスポーザブル血球計算盤に10μl/チャンバーを添加し、Countess II Instrumentに挿入する。非生存細胞は青色となり、生存細胞は染色されない。細胞播種密度は、細胞継代増殖に応じて、約10,000細胞/ウェル以上で変動し得る。細胞密度は、処置/投与の日に約70~80%であるべきである。2日目に、プレーティング培地を処理培地と置き換えるが、pen/strepは添加しない。培地はフェノールレッド不含でなければならない。
【0060】
陽性対照:
tert-ブチルヒドロキノン(tert-Butylhydroquinone、tBHQ)(Aldrich、カタログ番号11,294-1)。100mMストックを調製する(1M=166.21mg/ml、100mM=16.62mg/ml)。30μlの100mM tBHQ及び3.62mlの処理培地を使用して750μM(1:133)に希釈する。2μlの陽性対照は、試験ウェル中で7.5μMの最終濃度をもたらすはずである。
【0061】
試験材料:
試験材料を、DMSO又は水中で調製することができ、DMSOの最終濃度は1%を超えない。
【0062】
手順:
細胞の調製及び処理:
1.96ウェルプレートに、100μlのプレーティング培地中に1.5×10細胞/ウェルを播種する。
2.室温で15分間置いた後、細胞をインキュベーターに入れる。
3.細胞を37℃、5%CO2、及び95%湿度で24時間インキュベートする。
4.培地を99μlの処理培地と置き換え、試験化合物(2μl/ウェル)、ビヒクル対照(2μl/ウェル)、及び陽性対照tBHQ(2μl/ウェル)で処理する。
5.処理後に99 μlの培地を添加する(最終アッセイ体積200μl)。投与後に培地の半分を添加することにより、材料のより良好な分布が保証される。
6.細胞を37℃、5%CO2、及び95%湿度で更に24時間インキュベートする。
7.培地を除去し、細胞を100μlの1×PBS緩衝液で1回洗浄する。PBSを除去し、ルシフェラーゼアッセイの指示に従う。
【0063】
ルシフェラーゼアッセイ:
1.4体積の水を1体積の5×溶解試薬に添加することによって、1×溶解試薬を調製する。
2.ウェル当たり20μlの溶解緩衝液を添加する。プレートを穏やかに振盪して、緩衝液をウェルに分布させる。プレートを80℃の冷凍庫に15分間入れて、溶解を促進する。プレートを完全に解凍し、顕微鏡で溶解を確認する。
3.製造業者の指示に従って、凍結乾燥したルシフェラーゼアッセイ基質のバイアルに、ルシフェラーゼアッセイ緩衝液を添加することによって、ルシフェラーゼアッセイ試薬を調製する。穏やかに混合する。ウェル当たり100μlのルシフェラーゼアッセイ試薬を添加する。気泡がないことを確実にする。
4.プレートリーダー(例えば、BioTekから入手可能なSynergy(商標)Neo2ブランドのマイクロプレートリーダー)でプレートを直ちに読み取る。
【0064】
データの計算:
ARE活性化値=試験試料の発光/(ビヒクル対照の平均の発光)
ビヒクル対照=平均細胞+DMSO又は水(n=8)
【0065】
遺伝子調節アッセイ
この方法は、標的遺伝子の発現を調節する化合物又は物質の能力を測定する方法を提供する。
細胞:tertケラチノサイト(tert keratinocyte、tKC)
BJ線維芽細胞
プレーティング:細胞を処理の前日にプレーティングする。
tertケラチノサイトについては、12ウェルプレート(例えば、コラーゲンIコーティングプレート、Corning、カタログ番号356500)については、2mlの体積の培地/ウェル中100,000細胞/ウェル、又は24ウェルプレートについては、1mlの体積の培地/ウェル中50,000細胞/ウェル。
BJ線維芽細胞については、12ウェルプレート(例えば、Corning、カタログ番号3512)については2mlの体積の培地/ウェル中88,000細胞/ウェル、又は24ウェルプレートについては1mlの体積の培地/ウェル中44,000細胞/ウェル。
培地:tertケラチノサイトについては、EpiLife(例えば、Thermo Fisher Scientific、カタログ番号MEPI500CA)+HKGS(例えば、Thermo Fisher Scientific、カタログ番号S-001-5)。
BJ線維芽細胞については、EMEM(例えば、ATCCカタログ番号30-2003)+10%FBS(例えば、HyClone、カタログ番号SH30071.02)。
【0066】
Wafergenプロセス:全RNA精製及びqPCR
細胞溶解物を4℃で解凍し、次いで、Biomek FxP及びRNAdvance Tissue Isolationキット(Beckman Coulter、p/n A32646)を使用して単離する。得られたRNAを、Nandrop 8000(Nanodrop、ND-8000)を使用して定量化する。逆転写キット(Applied Biosystems p/n 4368814)とともに500ngの全RNA及びApplied Biosystems High Capacity cDNAを使用してcDNAを生成する。cDNA、アッセイ、及びPrimeTime GeneExpression MasterMix(IDT、p/n 1055771)の希釈物を、Wafergen Nanodispenserを使用してWafergen MyDesign SmartChip(TakaraBio、p/n 640036)上にプレーティングする。次いで、チップをSmartChipサイクラーに装填し、以下のPCR条件を使用してqPCRを行う。
【0067】
保持段階:50℃で2分間(ウォームアップ)、次いで、95℃で10分間;
PCR段階(40サイクル):95℃で15秒間、次いで、60℃で1分間。
【0068】
分析のために.txtファイル形式でデータをエクスポートする。
【実施例
【0069】
実施例1:配合物。
以下の表1は、本発明のスキンケア組成物の例を提供する。この例示的な組成物は、A相成分を好適なミキサー(例えば、Tekmar RW20DZM又は同等物)でブレンドし、70~80℃の温度に加熱し、攪拌しながらその温度を維持することによって製造される。別個に、B相成分を好適なミキサーでブレンドし、70~75℃に加熱しながら、混合している間温度を維持する。相Bを相Aに添加し、同時に十分に混合して水中油型(O/W)エマルジョンを形成する。次いで、エマルジョンを、好適なミル(例えば、Tekmar T-25又は同等物)を使用して5分間粉砕する。エマルジョンが60℃であるとき、混合を継続しながら相Cを添加する。40℃において、相D及びEの成分をエマルジョンに添加する。次いで、エマルジョンを5分間粉砕して、均一な組成物を得る。
【0070】
【表1-1】
【0071】
【表1-2】
【0072】
実施例2:ビタミンB3化合物、Pal-KTTKS[配列番号1]、及びAc-PPYL[配列番号2]は、NRF2[配列番号4]を相乗的に上方制御する。
この実施例は、ナイアシンアミド、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]の組み合わせが、AREを相乗的に活性化する能力を示す。試験組成物及び対照組成物を、AREアッセイで上に記載されるように調製し、それに応じて試験した。この実施例で使用されるビタミンB化合物は、ナイアシンアミド[Sigma、カタログ番号N5535]であり、pal-KTTKSは、Sederma(France)からのPROMATRIXYLであり、ac-PPYLは、BASF Care Creations(New Jersey)からのSYNIORAGEである。試験の結果を以下の表2に要約する。N+P+Aは、ナイアシンアミド(N)、pal-KTTKS(P)[配列番号1]、及びac-PPYL(A)[配列番号2]の組み合わせを指す。
【0073】
相乗係数は、以下のように計算する。
【0074】
【数1】
【0075】
p値≦0.05を有する1.00を超える相乗係数は、統計的に有意な相乗効果を示す。好ましい相乗係数は、1.3を超える。
【0076】
【表2】
【0077】
表2に見られるように、データは、500:1:2~1:1:0.5のナイアシンアミド対pal-KTTKS[配列番号1]対ac-PPYL[配列番号2](N: P:A)の比が、AREを相乗的に活性化することを示唆している。しかしながら、500:1:0.05、50:1:2、10:1:0.05、1:1:2、及び1:1:0.05のN: P:Aの比は、1.3を超える相乗因子を提供するようには見えない。したがって、所望の相乗効果を提供するために、表2に示されるように、ビタミンB化合物、pal-KTTKS[配列番号1]対ac-PPYLの正しい組み合わせを選択することが重要であり得る。
【0078】
実施例3:相乗作用に必要なテトラペプチド特異性。
この実施例は、AREの所望の相乗的活性化を提供するために特定のテトラペプチドを選択することの重要性を示す。この試験では、ac-PPYL[配列番号2]からのアミノ酸を再配置して、新しいテトラペプチド、ac-YPLP[配列番号3]を形成した。試験組成物及び対照組成物を、上記のAREアッセイに記載されているように調製し、それに応じて試験した。試験結果を以下の表3にまとめる。
【0079】
【表3】
【0080】
驚くべきことに、表3に見られるように、ac-PPYL[配列番号2]と同じアミノ酸を有するが、異なる順序で配置されたテトラペプチドは、所望の相乗効果を提供しない。これらのデータは、特定のペプチド配列が所望の相乗作用を提供するために重要であることを示唆している。
【0081】
実施例4:細胞の抗酸化及び修復に関与する遺伝子の相乗的上方制御。
この実施例は、ナイアシンアミド、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]の組み合わせが、細胞の抗酸化及び修復プロセスに関与するSLFN5[配列番号4]、GDE1[配列番号5]、MINPP1[配列番号6]及びHMGCL[配列番号7]を相乗的に上方制御する能力を示す。試験組成物及び対照組成物を、上記の遺伝子調節アッセイに記載されているように調製し、それに応じて試験した。この実施例で使用されるpal-KTTKSは、Sederma(France)からのPROMATRIXYLブランドpal-KTTKSであり、ac-PPYLは、BASF Care Creations(New Jersey)からのSYNIORAGEブランドテトラペプチドである。試験の結果を以下の表4に要約する。表4に示される倍率変化は、組み合わせ(N+P+A)対個々の処置の合計(N、P、及びA)に基づく。0.05以下のp値を、有意であるとみなす。
【0082】
【表4】
【0083】
組み合わせの例
A.スキンケア組成物であって、
1)ビタミンB3化合物、パルミトイルペンタペプチド-4(pal-KTTKS)[配列番号1]、及びアセチルテトラペプチド-11(ac-PPYL)[配列番号2]の組み合わせであって、ビタミンB3化合物、pal-KTTKS、及びac-PPYLの組み合わせが、AREアッセイによる細胞の抗酸化応答配列(ARE)の活性化を増加させる、組み合わせと、
2)皮膚科学的に許容される担体と、を含む、スキンケア組成物。
B.ビタミンB3化合物、pal-KTTKS、及びac-PPYLの組み合わせが、AREの活性化を相乗的に増強する、段落Aに記載のスキンケア組成物。
C.ビタミンB3化合物、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]の組み合わせが、少なくとも1.3の相乗係数を呈する、段落A又はBに記載の組成物。
D.ビタミンB3化合物、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]の組み合わせが、核因子E2関連因子2(Nuclear Factor E2-Related Factor 2、NRF2)[配列番号3]、Schlafenファミリーメンバー5(SLFN5)[配列番号4]、グリセロホスホジエステルホスホジエステラーゼ1(GDE1)[配列番号5]、複数イノシトール-ポリリン酸ホスファターゼ1(MINPP1)[配列番号6]、及び3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAリアーゼ(HMGCL)[配列番号7]からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子を相乗的に上方制御する、先行する段落のいずれかに記載の組成物。
E.ビタミンB3化合物が、組成物の0.05重量%~10重量%で存在する、先行する段落のいずれかに記載の組成物。
F.ビタミンB3化合物が、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ニコチニルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する段落のいずれかに記載の組成物。
G.ビタミンB3化合物が、ナイアシンアミドである、段落Fに記載の組成物。
H.pal-KTTKS[配列番号1]が、組成物の0.0001重量%~2重量%で存在する、先行する段落のいずれかに記載の組成物。
I.ac-PPYL[配列番号2]が、組成物の0.0001重量%~2重量%で存在する、先行する段落のいずれかに記載の組成物。
J.ビタミンB3化合物対pal-KTTKS[配列番号1]対ac-PPYL[配列番号2]の比が、500:1:2~1:1:0.5である、先行する段落のいずれかに記載の組成物。
K.ビタミン、ミネラル、ペプチド、糖アミン、日焼け止め剤、オイルコントロール剤、フラボノイド化合物、抗酸化剤、プロテアーゼ阻害剤、チロシナーゼ阻害剤、抗炎症剤、保湿剤、剥離剤、皮膚美白剤、抗ニキビ剤、抗しわ剤、フィトステロール、N-アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、抗真菌剤、pH調整剤、増粘剤、防腐剤、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の成分を更に含む、先行する段落のいずれかに記載の組成物。
L.皮膚における酸化的ストレスを処置する方法であって、
処置が望まれる皮膚の標的部分を特定することと、
先行する段落のうちのいずれかに記載のスキンケア組成物をそこに適用することと、を含む、方法。
M.組成物が、皮膚老化の目に見える兆候の外観を改善する、段落Lに記載の方法。
N.皮膚細胞においてNRF2[配列番号4]を上方制御する方法であって、皮膚細胞を、有効量のビタミンB3化合物、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]と組み合わせて接触させることを含み、有効量のビタミンB3化合物、pal-KTTKS[配列番号1]、及びac-PPYL[配列番号2]が、AREアッセイによる抗酸化応答配列の活性化を相乗的に増加させる、方法。
【0084】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0085】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないずれの発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0086】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【配列表】
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