(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-10
(45)【発行日】2025-09-19
(54)【発明の名称】車両制御方法、自動ドアの制御方法、車両制御装置、及び、自動ドアの制御装置
(51)【国際特許分類】
B60J 5/04 20060101AFI20250911BHJP
E05F 15/655 20150101ALI20250911BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20250911BHJP
【FI】
B60J5/04 C
E05F15/655
B60J5/00 E
(21)【出願番号】P 2023181387
(22)【出願日】2023-10-20
【審査請求日】2024-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】西尾 剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋平
(72)【発明者】
【氏名】西田 結城
(72)【発明者】
【氏名】宮道 敏広
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-193338(JP,A)
【文献】特開2010-120417(JP,A)
【文献】特開平7-306394(JP,A)
【文献】特開2009-256882(JP,A)
【文献】特開2017-172140(JP,A)
【文献】特開2019-117215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/04
5/00- 5/14
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に連結された車輪群と、
車体に配置され、第1方向にアクチュエータで開くドアと、
前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域及び第2領域を少なくとも備える面状の遮光部材と、を備え、
前記車輪群を使って所定の向きに走行可能な車両における、車両制御方法であって、
前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、
前記車両が、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、
その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する、
車両制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御方法であって、
前記車両が、前記第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、
その後に、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となり、
その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する、
車両制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載の車両制御方法であって、
前記遮光部材は、前記第2領域の隣に第3領域を更に備え、
前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域は、前記第1方向に沿って配置され、
前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域は、前記第1光透過率であり、
前記車両が、前記第2の状態である場合、前記第2領域及び前記第3領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、
その後に、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第3領域が前記第1光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となり、
その後に、前記第1領域及び前記第2領域が、前記第2光透過率のまま、前記第3領域が前記第2光透過率となり、
その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する、
車両制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の車両制御方法であって、
前記第1の状態は、前記車両が走行状態又は停止状態において前記ドアを開くトリガが無い状態であって、
前記第2の状態は、前記車両が少なくとも停止状態において前記ドアが開くトリガがあった状態である、
車両制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載の車両制御方法であって、
前記ドアは、前記車体の側面に配置され、
前記第1方向は、前記側面に沿った方向である、
車両制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の車両制御方法であって、
前記ドアは、前記側面に沿った状態で、前記第1方向に開く、
車両制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載の車両制御方法であって、
前記第1領域は、前記第1方向について前記遮光部材の一端に接するように配置され、
前記第2領域は、前記第1方向について前記遮光部材の他端に接するように配置され、
前記車両が、前記第2の状態である場合、第1の時点で、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、
その後の第2の時点で、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となると共に、前記ドアの前記第1方向の前記開動作が完了し、
前記開動作は、
前記第2の時点より、前に開始する、又は
前記第2の時点と同時に開始する、又は
前記第2の時点より、後に開始する、
車両制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載の車両制御方法であって、
前記第1領域は、前記第1方向について前記遮光部材の一端に接するように配置され、
前記第2領域は、前記第1方向について前記遮光部材の他端に接するように配置され、
前記第1領域と前記第2領域の間に、(N-2)個の領域が前記第1方向に沿って順に配置され、
前記第1領域を1番目の領域とし、前記第2領域をN番目の領域とし、
前記車両が前記第1の状態である場合、前記1番目の領域から、前記N番目の領域まで、前記第1光透過率であり、
前記車両が、前記第2の状態である場合、第1の時点で、2番目の領域からN番目の領域までは前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、
その後に2番目の領域から(N-1)番目の領域まで順次、前記第1光透過率から前記第2光透過率になり、
次に第2の時点で、前記1番目の領域から前記N番目の領域までが前記第2光透過率となり、
次に、前記ドアの前記第1方向の前記開動作が完了し、
Nは3以上の整数であり、
前記第1の時点と前記第2の時点の間の第1時間は、
前記開動作の開始時点と完了時点の間の第2時間に対応する、
車両制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の車両制御方法であって、
前記第1時間は、前記第2時間に対応するとは
前記第1時間は、前記第2時間の60%から140%の間である、
車両制御方法。
【請求項10】
第1方向にアクチュエータで開くドアと、
前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域及び第2領域を少なくとも備える面状の遮光部材と、を備える自動ドアの制御方法であって、
第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、
第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、
その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する、
自動ドアの制御方法。
【請求項11】
車体に連結された車輪群と、
車体に配置され、第1方向にアクチュエータで開くドアと、
前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域及び第2領域を少なくとも備える面状の遮光部材と、を備え、
前記車輪群を使って所定の向きに走行可能な車両に搭載されるように設定された車両制御装置であって、
前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、
前記車両が、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、
その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する、
車両制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の車両制御装置であって、
前記車両が、前記第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、
その後に、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となり、
その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する、
車両制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の車両制御装置であって、
前記遮光部材は、前記第2領域の隣に第3領域を更に備え、
前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域は、前記第1方向に沿って配置され、
前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域は、前記第1光透過率であり、
前記車両が、前記第2の状態である場合、前記第2領域及び前記第3領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、
その後に、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第3領域が前記第1光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となり、
その後に、前記第1領域及び前記第2領域が、前記第2光透過率のまま、前記第3領域が前記第2光透過率となり、
その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する、
車両制御装置。
【請求項14】
請求項11に記載の車両制御装置であって、
前記第1の状態は、前記車両が走行状態又は停止状態において前記ドアを開くトリガが無い状態であって、
前記第2の状態は、前記車両が少なくとも停止状態において前記ドアが開くトリガがあった状態である、
車両制御装置。
【請求項15】
請求項11に記載の車両制御装置であって、
前記ドアは、前記車体の側面に配置され、
前記第1方向は、前記側面に沿った方向である、
車両制御装置。
【請求項16】
請求項15に記載の車両制御装置であって、
前記ドアは、前記側面に沿った状態で、前記第1方向に開く、
車両制御装置。
【請求項17】
請求項11に記載の車両制御装置であって、
前記第1領域は、前記遮光部材の前記第1方向について一端に接するように配置され、
前記第2領域は、前記遮光部材の前記第1方向について他端に接するように配置され、
前記車両が、前記第2の状態である場合、第1の時点で、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、
その後の第2の時点で、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となるとともに、前記ドアの前記第1方向の前記開動作が完了し、
前記開動作は、
前記第2の時点より、前に開始する、又は
前記第2の時点と同時に開始する、又は
前記第2の時点より、後に開始する、
車両制御装置。
【請求項18】
請求項11に記載の車両制御装置であって、
前記第1領域は、前記第1方向について前記遮光部材の一端に接するように配置され、
前記第2領域は、前記第1方向について前記遮光部材の他端に接するように配置され、
前記第1領域と前記第2領域の間に、(N-2)個の領域が前記第1方向に沿って順に配置され、
前記第1領域を1番目の領域とし、前記第2領域をN番目の領域とし、
前記車両が前記第1の状態である場合、前記1番目の領域から、前記N番目の領域まで、前記第1光透過率であり、
前記車両が、前記第2の状態である場合、第1の時点で、2番目の領域からN番目の領域までは前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、
その後に2番目の領域から(N-1)番目の領域まで順次、前記第1光透過率から前記第2光透過率になり、
次に第2の時点で、前記1番目の領域から前記N番目の領域までが前記第2光透過率となり、
次に、前記ドアの前記第1方向の前記開動作が完了し、
Nは3以上の整数であり、
前記第1の時点と前記第2の時点の間の第1時間は、
前記開動作の開始時点と完了時点の間の第2時間に対応する、
車両制御装置。
【請求項19】
請求項18に記載の車両制御装置であって、
前記第1時間は、前記第2時間に対応するとは
前記第1時間は、前記第2時間の60%から140%の間である、
車両制御装置。
【請求項20】
第1方向にアクチュエータで開くドアと、
前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域及び第2領域を少なくとも備える面状の遮光部材と、を備える自動ドアの制御装置であって、
第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、
第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、
その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する、
自動ドアの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御方法、自動ドアの制御方法、車両制御装置、及び、自動ドアの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の乗降口ドアと、遮光率の高低によりスモーク状態と透明状態の少なくとも二以上の遮光状態に切り換え可能な調光ガラスからなり乗降口ドアに配設された乗降口ウィンドウと、乗降口ドアの開閉を操作するドア開閉操作手段と、乗降口ドアの開閉状態を検出するドア開閉状態検出手段と、ドア開閉状態検出手段および操作状態検出手段で検出された開閉状態および操作状態に基づき乗降口ウィンドウの遮光状態を透明状態若しくはスモーク状態に自動的に切り換えるウィンドウ切換手段を備えた車両用調光ガラス制御システムが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-7920号公報
【文献】特開2006-88942号公報
【文献】特開2020-197590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のようにドアのウィンドウを遮光状態から透明状態に単に切り替えた場合、人物はドアが開く方向を認識できない。本開示は、ドアの遮光部材の光透過率を適切に変化させることにより、ドアの開く方向を人物に認識させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る車両制御方法は、車体に連結された車輪群と、車体に配置され、第1方向にアクチュエータで開くドアと、前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域及び第2領域を少なくとも備える面状の遮光部材と、を備え、前記車輪群を使って所定の向きに走行可能な車両における、車両制御方法であって、前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、前記車両が、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
【0006】
本開示に係る自動ドアの制御方法は、第1方向にアクチュエータで開くドアと、前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域及び第2領域を少なくとも備える面状の遮光部材と、を備える自動ドアの制御方法であって、第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
【0007】
本開示に係る車両制御装置は、車体に連結された車輪群と、車体に配置され、第1方向にアクチュエータで開くドアと、前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域及び第2領域を少なくとも備える面状の遮光部材と、を備え、前記車輪群を使って所定の向きに走行可能な車両に搭載されるように設定された車両制御装置であって、前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、前記車両が、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
【0008】
本開示に係る自動ドアの制御装置は、第1方向にアクチュエータで開くドアと、前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域及び第2領域を少なくとも備える面状の遮光部材と、を備える自動ドアの制御装置であって、第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ドアの遮光部材の光透過率を適切に変化させることにより、ドアの開く方向を人物に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る車両の構成例を示す平面図
【
図2】実施の形態1に係る車両の構成例を示す側面図
【
図3A】実施の形態1に係るドアの開動作と遮光部材の光透過率との関係を説明するための図(その1)
【
図3B】実施の形態1に係るドアの開動作と遮光部材の光透過率との関係を説明するための図(その2)
【
図4】実施の形態1に係るドアの開動作と遮光部材の光透過率の変化との関係の第1例を説明するための図
【
図5】実施の形態1に係るドアの開動作と遮光部材の光透過率の変化との関係の第2例を説明するための図
【
図6】実施の形態1に係る第2の状態と開状態とのタイミングを説明するための図
【
図7】実施の形態1に係るドアの開動作と遮光部材の光透過率の変化との関係の第3例を説明するための図
【
図8】実施の形態1に係るドア開動作と遮光部材の光透過率の変化との関係の第4例を説明するための図
【
図9】実施の形態1に係る遮光部材の光透過率の変化の方法の変形例を示す図
【
図10】実施の形態1に係る遮光部材の光透過率が変化する部分の変形例を示す図
【
図11】実施の形態1に係る車両が備える装置の一例を示すブロック図
【
図12】実施の形態1に係るドア制御処理の一例を示すフローチャート
【
図13】実施の形態1に係る透過処理の一例を示すフローチャート
【
図14】実施の形態1に係る不透過処理の一例を示すフローチャート
【
図15】実施の形態2に係る建物が備える装置の一例を示すブロック図
【
図16】実施の形態2に係る建物のドアが自動ドアである場合における、ドアの開動作と遮光部材の光透過率の変化との関係を説明するための図
【
図17】実施の形態2に係る建物のドアが手動ドアである場合における、ドアの開動作と遮光部材の光透過率の変化との関係を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る車両1の構成例を示す平面図(上から見た図)である。
図2は、実施の形態1に係る車両の構成例を示す側面図(横から見た図)である。
【0013】
なお、説明の便宜上、
図1及び
図2に示すように、車両1の全長方向をY軸とし、車両1の幅方向をX軸とし、車両1の高さ方向をZ軸とする。また、説明の便宜上、Y軸の正方向を「前」、Y軸の負方向を「後」、X軸の正方向を「右」、X軸の負方向を「左」、Z軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」と称する場合がある。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0014】
車両1は、車体2と、車体2に連結された複数の車輪(車輪群3)と、車体2に配置されたドア4と、光透過率が可変でありドア4に配置された面状の遮光部材5と、人物が乗降する乗降口6とを備える。車輪の数は、2輪、3輪、4輪、5輪以上であってよい。車両1は、車輪群3を使って所定の向きに走行可能である。車両1の例として、乗用車、バス、キャンピングカー、トラック等が挙げられる。
【0015】
ドア4は、アクチュエータによって、第1方向に開き、第1方向とは反対の第2方向に閉じる。ドア4は、車体2の側面に配置され、第1方向は、側面に沿った方向であってよい。この場合、ドア4は、側面に沿った状態で、第1方向(例えばY軸の負方向)に開き、第2方向(例えばY軸の正方向)に閉じるスライドドアであってよい。ただし、本実施の形態1に係るドア4は、スライドドアに限られず、例えば、スイングドア又はプラグドア等であってもよい。
【0016】
図3A及び
図3Bは、実施の形態1に係るドア4の開動作と、遮光部材5の光透過率との関係を説明するための図である。
【0017】
自動運転の普及、車内の空調効率の向上、乗員のプライバシー確保等を目的として、ドア4に遮光部材5を使用することが検討されている。しかし、ドア4に遮光部材5を使用した場合、人物は、ドア4から降車する際に外の様子が見えず、不安になるおそれがある。また、車両1のドア4の全面を遮光部材5とした場合、乗車時にドア4の位置がわかりにくいという不便、及び、車内の様子がわからないといった不安を、乗車する人物に与えてしまうおそれがある。
【0018】
そこで、実施の形態1に係る車両1は、
図3A及び
図3Bに示すように、次のような動作を行う。
(S11)車両1は、ドア4の前に立つ人物Aを検知すると、次のS12以降の処理を実行する。
(S12)~(S14)車両1は、ドア4の遮光部材5を、ドア4の開く方向である第1方向に向けて順次透明にする。これにより、人物Aは、これからドア4が開くこと、及び、順次透明になる第1方向にドア4が開くことを認識できる。
(S15)~(S18)その後、車両1は、ドア4を第1方向に自動で開き、人物Aは乗降口6から降車する。
【0019】
以上の処理により、車内の人物Aは、降車する前に、透明になったドア4から外を確認し、安心、安全、快適に降車することができる。また、車外にいる人物は、透明になったドア4を視認し、車両1から人物Aが降車しようとしていることを確認できる。よって、車外にいる人物の安全性も向上する。
【0020】
以下、
図3A及び
図3Bに示す動作について、より詳細に説明する。
【0021】
図4は、実施の形態1に係るドア4の開動作と遮光部材5の光透過率の変化との関係の第1例を説明するための図である。
【0022】
図4に示すように、ドア4に設けられた遮光部材5は、第1方向に分割した第1領域11及び第2領域12を少なくとも備える。なお、
図4において、第1領域11と第2領域12との間の点線は、領域の境界をわかり易くるために便宜的に描いたものであり、実際には存在しない。
【0023】
図4の(1)に示すように、車両1が第1の状態である場合、ドア4の遮光部材5の第1領域11及び第2領域12は、第1光透過率である。
【0024】
図4の(2)に示すように、車両1が第2の状態である場合、第2領域12は第1光透過率のままで、第1領域11は、第2光透過率となる。第2光透過率は第1光透過率よりも大きい。例えば、第1光透過率は不透過に近い透過率であり、第2光透過率は透明に近い透過率であってよい。また、第1光透過率は、すりガラスの様に、透過光を拡散して光透過率を小さくすることも含まれる。
【0025】
その後に、
図4の(3)に示すように、ドア4の第1方向の開動作が完了する。
【0026】
上述において、第1の状態は、車両1が走行状態又は停止状態においてドア4を開くトリガが無い状態である。第2の状態は、車両1が少なくとも停止状態においてドア4が開くトリガがあった状態である。ドアを開くトリガの例として、ドア4が手動ドアの場合、人物がドア4を手動で開く動作を行ったことが挙げられる。ドアを開くトリガの例として、ドア4が自動ドアの場合、運転者がドア4を開く操作を行ったこと、人物がドア4の前に立ったこと、ナビ又は自動運転で目的地に到着したこと等が挙げられる。また、第2の状態は、車両1が停止状態であることに対して、車両1の速度が0であること、パーキングブレーキがONになっていること、フットブレーキがONになっていること、及び、ドア4の鍵が開錠されていることのうちの少なくとも1つが追加されてもよい。
【0027】
図5は、実施の形態1に係るドア4の開動作と遮光部材5の光透過率の変化との関係の第2例を説明するための図である。
【0028】
図5の(1)に示すように、車両1が第1の状態である場合、ドア4の遮光部材5の第1領域11及び第2領域12は、第1光透過率である。
【0029】
図5の(2)に示すように、車両1が第2の状態である場合、第2領域12は第1光透過率のままで、第1領域11は第2光透過率となる。
【0030】
その後に、
図5の(3)に示すように、第1領域11が第2光透過率のままで、第2領域12が第2光透過率となる。
【0031】
その後に、
図5の(4)に示すように、ドア4の第1方向の開動作が完了する。
【0032】
図4又は
図5に示す動作により、人物は、ドア4の遮光部材5が第1方向に順次、第1光透過率から第2光透過率に変化する態様を見て、ドア4が第1方向に開くことを認識できる。
【0033】
図6は、実施の形態1に係る第2の状態と開状態とのタイミングを説明するための図である。
【0034】
図6に示すように、第1領域11は、第1方向について遮光部材5の一端に接するように配置され、第2領域は、第1方向について遮光部材5の他端に接するように配置されてよい。
【0035】
車両1が、第2の状態である場合、第1の時点で、第2領域12は第1透過率のままで、第1領域11は第2光透過率となり、その後の第2の時点で、第1領域11が第2光透過率のままで、第2領域12が第2光透過率となってよい。
【0036】
方法1として、車両1は、第2の時点より前に、ドア4の開動作を開始してよい。これにより、ドア4の開動作は、軽快な雰囲気を醸成する。
【0037】
方法2として、車両1は、第2の時点と同時に、ドア4の開動作を開始してよい。これにより、遮光部材5の光透過率の変化とドア4の開動作とがシームレスになり、ドア4の開動作は、心地よい雰囲気を醸成する。
【0038】
方法3として、車両1は、第2の時点より後に、ドア4の開動作を開始してよい。これにより、ドア4の開動作は、厳かで重厚な雰囲気を醸成する。
【0039】
図7は、実施の形態1に係るドア4の開動作と遮光部材5の光透過率の変化との関係の第3例を説明するための図である。
【0040】
図7に示すように、遮光部材5は、第1領域11と第2領域12と第3領域13とを備える。第3領域13は第2領域12の隣である。第1領域11、第2領域12、及び、第3領域13は、第1方向に沿って配置される。
【0041】
図7の(1)に示すように、車両1が第1の状態である場合、ドア4の遮光部材5の第1領域11、第2領域12、及び、第3領域13は、第1光透過率である。
【0042】
図7の(2)に示すように、車両1が第2の状態である場合、第2領域12及び第3領域13は第1光透過率のままで、第1領域11は第2光透過率となる。
【0043】
図7の(3)に示すように、その後に、第1領域11が第2光透過率のままで、第3領域13が第1光透過率のままで、第2領域12が第2光透過率となる。
【0044】
図7の(4)に示すように、その後に、第1領域11及び第2領域12が、第2光透過率のまま、第3領域13が第2光透過率となる。
【0045】
図7の(5)に示すように、その後に、ドア4の第1方向の開動作が完了する。
【0046】
図7に示す動作により、人物は、遮光部材5が第1方向に順次、第1光透過率から第2光透過率に変化する態様を見て、ドア4が第1方向に開くことを認識できる。
【0047】
図8は、実施の形態1に係るドア開動作と遮光部材5の光透過率の変化との関係の第4例を説明するための図である。
【0048】
遮光部材5において、第1領域と第2領域の間に、(N-2)個の領域が第1方向に沿って順に配置される。Nは3以上の整数であり、
図8は、N=4の場合である。
【0049】
第1領域を1番目の領域とし、第2領域をN番目の領域とする。
【0050】
車両1が第1の状態である場合、1番目の領域(第1領域)から、N番目の領域(第N領域)まで、第1光透過率である。
【0051】
車両1が第2の状態である場合、第1の時点で、2番目の領域(第2領域)からN番目の領域(第N領域)までは第1光透過率のままで、第1領域は第2光透過率となる。
【0052】
その後に、2番目の領域から(N-1)番目の領域まで順次、第1光透過率から第2光透過率になる。
【0053】
次に、第2の時点で、1番目の領域からN番目の領域までが第2光透過率となる。
【0054】
次に、ドア4の第1方向の開動作が完了する。
【0055】
ここで、第1の時点と第2の時点との間の第1時間は、ドア4の開動作の開始時点と完了時点の間の第2時間に対応する。なお、
図8では、ドアの開動作の開始時点は、第2時点であるが、ドア4の開動作の開始時点は、第2時点よりも前であっても、第2時点の後であってもよい。
【0056】
第1時間が第2時間に対応するとは、第1時間が、第2時間の60%から140%の間であってよい。これにより、人物は、遮光部材5が第1光透過率から第2光透過率に変化する第1時間から、ドア4の開動作が開始してから完了するまでの第2時間を推測できる。
【0057】
図9は、実施の形態1に係る遮光部材5の光透過率の変化の方法の変形例を示す図である。
【0058】
本実施の形態における、遮光部材5のすべての領域が第1光透過率(例えば不透過)という説明は、
図9の(1)に示すように、一部が第2光透過率(例えば透過)であってもよい。
【0059】
また、本実施の形態における、遮光部材5のすべての領域が第2光透過率(例えば透過)という説明は、
図9の(4)又は(5)に示すように、一部が第1光透過率(例えば不透過)であってもよい。
【0060】
また、各領域が第1光透過率から第2光透過率に変化することは、より細かい領域に着目した場合、第1光透過率と第2光透過率とを交互に繰り返す変化であってもよい。別言すると、各領域が第1光透過率から第2光透過率に変化することは、各領域の光透過率の平均が、第1光透過率から第2光透過率に変化することであってもよい。この場合、
図9の(1)~(4)に示すように、遮光部材5の各領域(第1領域11、第2領域12、及び、第3領域13)の光透過率の平均が、第1方向に順次、第1光透過率から第2光透過率に変化し、その後、(5)に示すように、ドア4が開動作してよい。
【0061】
図10は、実施の形態1に係る遮光部材5の光透過率が変化する部分の変形例を示す図である。
【0062】
遮光部材5の光透過率が変化する部分は、必ずしも遮光部材5の全面である必要はなく、例えば、
図10に示すように、第1方向に沿った短冊状であってもよい。この場合、
図10の(1)~(4)に示すように、遮光部材5の短冊状の部分の各領域(第1領域11、第2領域12、第3領域13)が、第1方向に順次、第1光透過率から第2光透過率に変化し、その後、
図10の(5)に示すように、ドア4が開動作してよい。
【0063】
なお、短冊状の部分以外の部分は、第1光透過率(例えば不透過)であってもよいし、第2光透過率(例えば透明)であってもよい。
【0064】
図11は、実施の形態1に係る車両1が備える装置の一例を示すブロック図である。
【0065】
車両1は、ドアハンドルスイッチ31と、人物検知センサ32と、ドア制御スイッチ33と、調光制御装置34と、ドア制御装置35と、車両制御装置36と、遮光部材5と、ドア4とを備える。
【0066】
ドア4及び遮光部材5は、上述にて説明した通りである。
【0067】
ドアハンドルスイッチ31、人物検知センサ32、ドア制御スイッチ33、調光制御装置34、ドア制御装置35、及び、車両制御装置36は、車内ネットワーク37を介して、互いに情報を送受信できる。車内ネットワーク37の例として、Controller Area Network(CAN)、Local Interconnect Network(LIN)、FlexRayが挙げられる。
【0068】
ドアハンドルスイッチ31は、ドア4のハンドル(ドアハンドル)が把持されたか否かを検知するためのスイッチである。ドアハンドルスイッチ31は、ドアハンドルが把持されていない場合、OFFとなり、ドアハンドルが把持された場合、ONとなってよい。
【0069】
人物検知センサ32は、車内においてドア4の前に立つ人物(降車しようとしている人物)を検知するためのセンサである。加えて、人物検知センサ32は、車外においてドア4の前に立つ人物(乗車しようとしてる人物)を検知するためのセンサであってもよい。人物検知センサの例として、光電センサ、赤外線センサ、又は、LiDARが挙げられる。
【0070】
ドア制御スイッチ33は、ドア4を自動的に開くか、閉じるかを切り替えるスイッチである。例えば、ドア制御スイッチ33がONの場合、ドア4は、所定の条件が満たされた場合、自動的に開かれる。所定の条件は、例えば、上述した第2の状態であることである。ドア制御スイッチ33がOFFの場合、ドア4は、自動的に閉じる。
【0071】
調光制御装置34は、ドア4の遮光部材5の光透過率を制御する装置である。上述した遮光部材5の第1領域11、第2領域12、及び、第3領域13等における、第1光透過率から第2光透過率への変化、並びに、第2光透過率から第1光透過率への変化は、調光制御装置34によって行われてよい。
【0072】
ドア制御装置35は、アクチュエータによって、ドア4の開閉を制御する装置である。上述したドア4の開閉は、ドア制御装置35によって行われてよい。
【0073】
車両制御装置36は、車両1の走行状態及び停止状態等を管理する。また、車両制御装置36は、ドアハンドルスイッチ31がドア4のハンドルの把持を検知した場合、調光制御装置34を通じて遮光部材5の光透過率を上述したように制御すると共に、ドア制御装置35を通じて上述したようにドア4の開閉を制御する。また、車両制御装置36は、人物検知センサ32が人物を検知した場合、調光制御装置34を通じて上述したように遮光部材5の光透過率を制御すると共に、ドア制御装置35を通じて上述したようにドア4の開閉を制御する。車両制御装置36は、Electronic Control Unit(ECU)、プロセッサ、Central Processing Unit(CPU)、コントローラ等と読み替えられてもよい。また、車両制御装置36には、メモリ及びストレージといった揮発性記憶媒体及び不揮発性記憶媒体が含まれてもよい。また、車両制御装置36は、所定のコンピュータプログラムを実行することにより、本実施の形態に係る機能を実現してよい。なお、車両制御装置36が行う処理の更なる例については後述する。
【0074】
<全体フロー>
図12は、実施の形態1に係るドア制御処理の一例を示すフローチャートである。車両制御装置36は、次の処理を実行してよい。
【0075】
車両制御装置36は、人物検知センサ32がドア4の前に人物を検知しているか否かを判定する(S101)。
【0076】
ステップS101において、ドア4の前に人物を検知していると判定した場合(S101:YES)、車両制御装置36は、遮光部材5に対する透過処理を実行する(S102)。なお、この透過処理の詳細については後述するが(
図13参照)、これにより、遮光部材5の少なくとも一部が、上述したように第2光透過率(例えば透過状態)となる。そして、車両制御装置36は、ドア制御スイッチ33がONであるか否かを判定する(S103)。
【0077】
ステップS103において、ドア制御スイッチ33がOFFである場合(S103:NO)、車両制御装置36は、処理をステップS101に戻す。つまり、車両制御装置36は、ドアの開動作を開始しない。ドア制御スイッチ33がOFFの場合、ドア4を閉じる状態であるためである。
【0078】
ステップS103において、ドア制御スイッチ33がONである場合(S103:YES)、車両制御装置36は、ドア制御装置35を通じてドア4を開く制御を実行する(S104)。これにより、ドア4が開く。そして、車両制御装置36は、処理をステップS101に戻す。
【0079】
ステップS101において、ドア4の前に人物を検知していないと判定した場合(S101:NO)、車両制御装置36は、ドアハンドルスイッチ31がONであるか否か(つまりドアハンドルが把持されているか否か)を判定する(S110)。
【0080】
ステップS110において、ドアハンドルスイッチ31がONである場合(S110:YES)、車両制御装置36は、処理をステップS120に進める。
【0081】
ステップS110において、ドアハンドルスイッチ31がOFFである場合(S110:NO)、車両制御装置36は、ドア制御スイッチ33がONであるか否かを判定する(S111)。
【0082】
ステップS111において、ドア制御スイッチ33がONである場合(S111:YES)、車両制御装置36は、処理をステップS120に進める。
【0083】
ステップS120として、車両制御装置36は、遮光部材5に対する透過処理を実行する(S120)。なお、当該透過処理の詳細については後述する(
図13参照)。そして、車両制御装置36は、ドア制御装置35を通じてドア4を開く制御を実行する(S121)。これにより、ドア4が開く。ただし、ドア4が手動ドアの場合、車両制御装置36は、ステップS121でドアが手で開けられるように自動で解錠してもよい。そして、車両制御装置36は、処理をステップS101に戻す。
【0084】
ステップS11において、ドア制御スイッチ33がOFFである場合(S111:NO)、車両制御装置36は、ドア制御装置35を通じてドアを閉じる制御を実行する(S130)。これにより、ドア4が閉まる。ただし、ドア4が手動ドアの場合、S130ではドアが手で開かないように自動で施錠してもよい。そして、車両制御装置36は、遮光部材5に対する不透過処理を実行する(S131)。なお、当該不透過処理の詳細については後述するが(
図14参照、これにより、遮光部材5の少なくとも一部が第1光透過率(例えば不透過状態)となる。そして、車両制御装置36は、処理をステップS101に戻す。
【0085】
<透過処理>
図13は、実施の形態1に係る透過処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、
図12のステップS102及びステップS120の処理の詳細に相当する。
【0086】
車両制御装置36は、遮光部材5のすべての領域が既に第2光透過率(例えば透過状態)であるか否かを判定する(S201)。
【0087】
すべての領域が既に第2光透過率である場合(S201:YES)、車両制御装置36は、本処理を完了し、呼び出し元の処理に戻る。
【0088】
少なくとも一部の領域が第2光透過率でない場合(S201:NO)、車両制御装置36は、変数iに1(初期値)を設定する(S202)。
【0089】
車両制御装置36は、調光制御装置34を通じて、遮光部材5の第i領域を第1光透過率から第2光透過率に変更する(S203)。
【0090】
車両制御装置36は、iに1を加算(インクリメント)する(S204)。
【0091】
車両制御装置36は、「i>領域数」であるか否かを判定する(S205)。領域数とは、遮光部材5における領域の数である。例えば、
図4、
図5又は
図6の場合、領域数は2となり、
図7、
図9又は
図10の場合、領域数は3となり、
図8の場合、領域数はNとなる。
【0092】
ステップS205において、「i≦領域数」であると判定された場合(S205:NO)、車両制御装置36は、処理をステップS203に戻す。
【0093】
ステップS205において、「i>領域数」であると判定された場合(S205:YES)、車両制御装置36は、本処理を完了し、処理を呼び出し元に戻す。
【0094】
以上の処理により、遮光部材5の各領域は、第1方向に順次、第1光透過率(例えば不透過)から第2光透過率(例えば透過)に変更される。
【0095】
<不透過処理>
図14は、実施の形態1に係る不透過処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、
図12のステップS131の処理の詳細に相当する。
【0096】
車両制御装置36は、すべての領域が既に第1光透過率であるか否かを判定する(S301)。
【0097】
すべての領域が既に第1光透過率である場合(S301:YES)、車両制御装置36は、本処理を完了し、呼び出し元の処理に戻る。
【0098】
少なくとも一部の領域が第1光透過率でない場合(S301:NO)、車両制御装置36は、変数nに領域数(初期値)を設定する(S302)。
【0099】
制御装置は、調光制御装置34を通じて、第n領域を第2光透過率から第1光透過率に変更する(S303)。
【0100】
車両制御装置36は、nから1を減算(デクリメント)する(S304)。
【0101】
車両制御装置36は、「n≦0」であるか否かを判定する(S305)。
【0102】
ステップS305において、「n>0」であると判定された場合(S305:NO)、車両制御装置36は、処理をステップS303に戻す。
【0103】
ステップS305において、「n≦0」であると判定された場合(S305:YES)、車両制御装置36は、本処理を完了し、処理を呼び出し元に戻す。
【0104】
以上の処理により、遮光部材5の各領域は、第2方向に順次、第2光透過率(例えば透過)から第1光透過率(例えば不透過)に変更される。
【0105】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1の内容は、車両1のドア4以外のドアにも適用可能である。実施の形態2では、建物のドアに、上述した実施の形態1の内容を適用する場合について説明する。
【0106】
図15は、実施の形態2に係る建物100が備える装置の一例を示すブロック図である。
【0107】
建物100は、ドアハンドルスイッチ101と、人物検知センサ102と、ドア制御スイッチ103と、調光制御装置104と、ドア制御装置105と、制御装置106と、ドア114と、遮光部材115とを備える。
【0108】
ドアハンドルスイッチ101、人物検知センサ102、ドア制御スイッチ103、調光制御装置104、ドア制御装置105、及び、制御装置106は、通信ネットワーク107を介して、互いに情報を送受信できる。通信ネットワーク107の例として、有線LAN、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。
【0109】
ドアハンドルスイッチ101、人物検知センサ102、ドア制御スイッチ103、調光制御装置104、及び、ドア制御装置105は、実施の形態1にて説明した通りである。
【0110】
制御装置106は、ドアハンドルスイッチ101がドア114のハンドルの把持を検出した場合、調光制御装置104を通じて遮光部材115の光透過率を実施の形態1で説明したように制御すると共に、ドア制御装置105を通じてドア114の開閉を実施の形態1で説明したように制御する。また、制御装置106は、ドア制御スイッチ103がONであり(例えば自動ドアの設定がONであり)、人物検知センサ102が人物を検知した場合、調光制御装置104を通じて遮光部材115の光透過率を実施の形態1で説明したように制御すると共に、ドア制御装置105を通じてドア114の開閉を実施の形態1で説明したように制御する。制御装置106は、プロセッサ、CPU、コントローラ等と読み替えられてもよい。また、制御装置106には、メモリ及びストレージといった揮発性記憶媒体及び不揮発性記憶媒体が含まれてもよい。また、制御装置106は、所定のコンピュータプログラムを実行することにより、本実施の形態に係る機能を実現してよい。
【0111】
図16は、実施の形態2に係る建物100のドア114が自動ドアである場合における、ドア114の開動作と遮光部材115の光透過率の変化との関係を説明するための図である。
【0112】
実施の形態2に係る建物100の制御装置106は、
図15に示すように、次のような動作を行ってよい。
(S21)制御装置106は、人物検知センサ102を通じて、ドア114の前に立つ人物を検知すると、次のステップS22以降の処理を実行する。
(S22)~(S24)制御装置106は、調光制御装置104を通じて、ドア114の遮光部材115の光透過率を、ドア114の開く方向である第1方向に向けて順次透明にする(例えば第1光透過率から第2光透過率に変更する)。これにより、人物Aは、これからドア114が開くこと、及び、順次透明になる第1方向にドア114が開くことを認識できる。
(S25)~(S28)その後、制御装置106は、ドア制御装置105を通じて、ドア114を第1方向に自動で開き、人物Aは出入口を通過する。
【0113】
以上の処理により、人物Aは、透明になったドア114からドア114の向こう側を視認できるので、ドア114が開く前に、ドア114の向こう側に他の人物が存在するか否かを確認できる。よって、人物Aは、安心、安全にドア114の出入口を通過することができる。
【0114】
図17は、実施の形態2に係る建物100のドア114が手動ドアである場合における、ドア114の開動作と遮光部材115の光透過率の変化との関係を説明するための図である。
【0115】
実施の形態2に係る建物100の制御装置106は、
図16に示すように、次のような動作を行ってよい。
(S31)制御装置106は、ドアハンドルスイッチ101を通じて、人物Aがドア114のハンドルを把持したことを検知すると、次のステップS32以降の処理を実行する。
(S32)~(S34)制御装置106は、調光制御装置104を通じて、ドア114の遮光部材115の光透過率を、ドア114の開く方向である第1方向に向けて順次透明にする(例えば第1光透過率から第2光透過率に変更する)。これにより、人物Aは、このドア114が、順次透明になる第1方向に開くことができるものであることを認識できる。
(S35)~(S38)人物Aは、ドア114を手動で開ける。なお、ステップS35~ステップS38の動作は、ステップS32~ステップS34の処理が完了するか否かに関わらず、任意のタイミングで人物Aが行うことができる。
【0116】
以上の処理により、人物Aは、透明になったドア114からドア114の向こう側を視認できるので、ドア114を開ける前に、ドア114の向こう側に他の人物が存在するか否かを認識できる。よって、人物Aは、安心、安全にドア114の出入り口を通過することができる。
【0117】
(本開示のまとめ)
以上の実施の形態1の記載により、下記の技術が開示される。
【0118】
<技術1>
車体(2)に連結された車輪群(3)と、車体に配置され、第1方向にアクチュエータで開くドア(4)と、前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域(11)及び第2領域(12)を少なくとも備える面状の遮光部材(5)と、を備え、前記車輪群を使って所定の向きに走行可能な車両(1)における、車両制御方法であって、前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、前記車両が、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
これにより、ドアの遮光部材は、第1領域が第2光透過率に変化するので、人物は、この光透過率の変化から、ドアが第1方向に開くことを認識できる。また、人物は、第2光透過率となった領域を通してドアの向こう側を視認できるので、安心して開いたドアの向こう側に移動することができる。
【0119】
<技術2>
技術1に記載の車両制御方法であって、前記車両が、前記第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、その後に、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
これにより、ドアの遮光部材は、第1方向と同じ第1領域及び第2領域の順に、第1光透過率から第2光透過率に変化するので、人物は、この光透過率の変化する方向から、ドアが第1方向に開くことを認識できる。また、人物は、第2光透過率となった領域を通してドアの向こう側を視認できるので、安心して開いたドアの向こう側に移動することができる。
【0120】
<技術3>
技術2に記載の車両制御方法であって、前記遮光部材は、前記第2領域の隣に第3領域(13)を更に備え、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域は、前記第1方向に沿って配置され、前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域は、前記第1光透過率であり、前記車両が、前記第2の状態である場合、前記第2領域及び前記第3領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、その後に、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第3領域が前記第1光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となり、その後に、前記第1領域及び前記第2領域が、前記第2光透過率のまま、前記第3領域が前記第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
これにより、ドアの遮光部材は、第1方向と同じ第1領域、第2領域及び第3領域の順に、第1光透過率から第2光透過率に変化するので、人物は、この光透過率の変化する方向から、ドアが第1方向に開くことを認識できる。また、人物は、第2光透過率となった領域を通してドアの向こう側を視認できるので、安心して開いたドアの向こう側に移動することができる。
【0121】
<技術4>
技術1から3のいずれか1つに記載の車両制御方法であって、前記第1の状態は、前記車両が走行状態又は停止状態において前記ドアを開くトリガが無い状態であって、前記第2の状態は、前記車両が少なくとも停止状態において前記ドアが開くトリガがあった状態である。
これにより、車両が少なくとも停止状態においてドアが開くトリガがあった状態である第2の状態の場合、ドアの開動作が行われるので、安全にドアが開かれる。
【0122】
<技術5>
技術1から4のいずれか1つに記載の車両制御方法であって、前記ドアは、前記車体の側面に配置され、前記第1方向は、前記側面に沿った方向である。
これにより、ドアは、車体の側面に沿った第1方向に開かれる。
【0123】
<技術6>
技術5に記載の車両制御方法であって、前記ドアは、前記側面に沿った状態で、前記第1方向に開く。
これにより、ドアは、車体の側面に沿った第1方向に開かれる。
【0124】
<技術7>
技術1から6のいずれか1つに記載の車両制御方法であって、前記第1領域は、前記第1方向について前記遮光部材の一端に接するように配置され、前記第2領域は、前記第1方向について前記遮光部材の他端に接するように配置され、前記車両が、前記第2の状態である場合、第1の時点で、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、その後の第2の時点で、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となると共に、前記ドアの前記第1方向の前記開動作が完了し、前記開動作は、前記第2の時点より前に開始する、又は、前記第2の時点と同時に開始する、又は、前記第2の時点より後に開始する。
このように、遮光部材の光透過率の変化と、ドアの開動作のタイミングとを調整することにより、ドアの開動作について様々な雰囲気を醸成することができる。
【0125】
<技術8>
技術1から7のいずれか1つに記載の車両制御方法であって、前記第1領域は、前記第1方向について前記遮光部材の一端に接するように配置され、前記第2領域は、前記第1方向について前記遮光部材の他端に接するように配置され、前記第1領域と前記第2領域の間に、(N-2)個の領域が前記第1方向に沿って順に配置され、前記第1領域を1番目の領域とし、前記第2領域をN番目の領域とし、前記車両が前記第1の状態である場合、前記1番目の領域から、前記N番目の領域まで、前記第1光透過率であり、前記車両が、前記第2の状態である場合、第1の時点で、2番目の領域からN番目の領域までは前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、その後に2番目の領域から(N-1)番目の領域まで順次、前記第1光透過率から前記第2光透過率になり、次に第2の時点で、前記1番目の領域から前記N番目の領域までが前記第2光透過率となり、次に、前記ドアの前記第1方向の前記開動作が完了し、Nは3以上の整数であり、前記第1の時点と前記第2の時点の間の第1時間は、前記開動作の開始時点と完了時点の間の第2時間に対応する。
これにより、人物は、各領域が第1光透過率から第2光透過率に順次変化する第1時間に応じて、ドアの開動作に要する第2時間を推測することができる。
【0126】
<技術9>
技術8に記載の車両制御方法であって、前記第1時間は、前記第2時間に対応するとは、前記第1時間は、前記第2時間の60%から140%の間である。
これにより、人物は、各領域が第1光透過率から第2光透過率に順次変化する第1時間に応じて、ドアの開動作に要する第2時間を推測することができる。
【0127】
<技術10>
第1方向にアクチュエータで開くドア(114)と、前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域(11)及び第2領域(12)を少なくとも備える面状の遮光部材(115)と、を備える自動ドアの制御方法であって、第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
これにより、ドアの遮光部材は、第1領域が第2光透過率に変化するので、人物は、この光透過率の変化する領域の位置から、ドアが第1方向に開くことを認識できる。また、人物は、第2光透過率となった領域を通してドアの向こう側を視認できるので、安心して開いたドアの向こう側に移動することができる。
【0128】
<技術11>
車体(2)に連結された車輪群(3)と、車体に配置され、第1方向にアクチュエータで開くドア(4)と、前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域(11)及び第2領域(12)を少なくとも備える面状の遮光部材(5)と、を備え、前記車輪群を使って所定の向きに走行可能な車両(1)に搭載されるように設定された車両制御装置(36)であって、前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、前記車両が、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
これにより、ドアの遮光部材は、第1領域が第2光透過率に変化するので、人物は、この光透過率の変化から、ドアが第1方向に開くことを認識できる。また、人物は、第2光透過率となった領域を通してドアの向こう側を視認できるので、安心して開いたドアの向こう側に移動することができる。
【0129】
<技術12>
技術11に記載の車両制御装置であって、前記車両が、前記第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、その後に、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
これにより、ドアの遮光部材は、第1方向と同じ第1領域及び第2領域の順に、第1光透過率から第2光透過率に変化するので、人物は、この光透過率の変化する方向から、ドアが第1方向に開くことを認識できる。また、人物は、第2光透過率となった領域を通してドアの向こう側を視認できるので、安心して開いたドアの向こう側に移動することができる。
【0130】
<技術13>
技術12に記載の車両制御装置であって、前記遮光部材は、前記第2領域の隣に第3領域(13)を更に備え、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域は、前記第1方向に沿って配置され、前記車両が第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域は、前記第1光透過率であり、前記車両が、前記第2の状態である場合、前記第2領域及び前記第3領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、その後に、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第3領域が前記第1光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となり、その後に、前記第1領域及び前記第2領域が、前記第2光透過率のまま、前記第3領域が前記第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
これにより、ドアの遮光部材は、第1方向と同じ第1領域、第2領域及び第3領域の順に、第1光透過率から第2光透過率に変化するので、人物は、この光透過率の変化する方向から、ドアが第1方向に開くことを認識できる。また、人物は、第2光透過率となった領域を通してドアの向こう側を視認できるので、安心して開いたドアの向こう側に移動することができる。
【0131】
<技術14>
技術11から13のいずれか1つに記載の車両制御装置であって、前記第1の状態は、前記車両が走行状態又は停止状態において前記ドアを開くトリガが無い状態であって、前記第2の状態は、前記車両が少なくとも停止状態において前記ドアが開くトリガがあった状態である。
これにより、車両が少なくとも停止状態においてドアが開くトリガがあった状態である第2の状態の場合、ドアの開動作が行われるので、安全にドアが開かれる。
【0132】
<技術15>
技術11から14のいずれか1つに記載の車両制御装置であって、前記ドアは、前記車体の側面に配置され、前記第1方向は、前記側面に沿った方向である。
これにより、ドアは、車体の側面に沿った第1方向に開かれる。
【0133】
<技術16>
技術15に記載の車両制御装置であって、前記ドアは、前記側面に沿った状態で、前記第1方向に開く。
これにより、ドアは、車体の側面に沿った第1方向に開かれる。
【0134】
<技術17>
技術11から16のいずれか1つに記載の車両制御装置であって、前記第1領域は、前記遮光部材の前記第1方向について一端に接するように配置され、前記第2領域は、前記遮光部材の前記第1方向について他端に接するように配置され、前記車両が、前記第2の状態である場合、第1の時点で、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、その後の第2の時点で、前記第1領域が前記第2光透過率のままで、前記第2領域が前記第2光透過率となるとともに、前記ドアの前記第1方向の前記開動作が完了し、前記開動作は、前記第2の時点より、前に開始する、又は、前記第2の時点と同時に開始する、又は、前記第2の時点より、後に開始する。
このように、遮光部材の光透過率の変化と、ドアの開動作のタイミングとを調整することにより、ドアの開動作について様々な雰囲気を醸成することができる。
【0135】
<技術18>
技術11から17のいずれか1つに記載の車両制御装置であって、前記第1領域は、前記第1方向について前記遮光部材の一端に接するように配置され、前記第2領域は、前記第1方向について前記遮光部材の他端に接するように配置され、前記第1領域と前記第2領域の間に、(N-2)個の領域が前記第1方向に沿って順に配置され、前記第1領域を1番目の領域とし、前記第2領域をN番目の領域とし、前記車両が前記第1の状態である場合、前記1番目の領域から、前記N番目の領域まで、前記第1光透過率であり、前記車両が、前記第2の状態である場合、第1の時点で、2番目の領域からN番目の領域までは前記第1光透過率のままで、前記第1領域は前記第2光透過率となり、その後に2番目の領域から(N-1)番目の領域まで順次、前記第1光透過率から前記第2光透過率になり、次に第2の時点で、前記1番目の領域から前記N番目の領域までが前記第2光透過率となり、次に、前記ドアの前記第1方向の前記開動作が完了し、Nは3以上の整数であり、前記第1の時点と前記第2の時点の間の第1時間は、前記開動作の開始時点と完了時点の間の第2時間に対応する。
これにより、人物は、各領域が第1光透過率から第2光透過率に順次変化する第1時間に応じて、ドアの開動作に要する第2時間を推測することができる。
【0136】
<技術19>
技術18に記載の車両制御装置であって、前記第1時間は、前記第2時間に対応するとは、前記第1時間は、前記第2時間の60%から140%の間である。
これにより、人物は、各領域が第1光透過率から第2光透過率に順次変化する第1時間に応じて、ドアの開動作に要する第2時間を推測することができる。
【0137】
<技術20>
第1方向にアクチュエータで開くドア(114)と、前記ドアに配置され、光透過率が可変であり、前記第1方向に沿って配置された第1領域(11)及び第2領域(12)を少なくとも備える面状の遮光部材(115)と、を備える自動ドアの制御装置(106)であって、第1の状態である場合、前記ドアの前記遮光部材の前記第1領域及び前記第2領域は、第1光透過率であり、第2の状態である場合、前記第2領域は前記第1光透過率のままで、前記第1領域は、前記第1光透過率より大きい第2光透過率となり、その後に、前記ドアの前記第1方向の開動作が完了する。
これにより、ドアの遮光部材は、第1領域が第2光透過率に変化するので、人物は、この光透過率の変化する領域の位置から、ドアが第1方向に開くことを認識できる。また、人物は、第2光透過率となった領域を通してドアの向こう側を視認できるので、安心して開いたドアの向こう側に移動することができる。
【0138】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本開示の技術は、光透過率を調整可能な遮光部材を備えたドアに有用である。
【符号の説明】
【0140】
1 車両
2 車体
3 車輪群
4,114 ドア
5,115 遮光部材
6 乗降口
11 第1領域
12 第2領域
13 第3領域
31,101 ドアハンドルスイッチ
32,102 人物検知センサ
33,103 ドア制御スイッチ
34,104 調光制御装置
35,105 ドア制御装置
36 車両制御装置
37 車内ネットワーク
100 建物
106 制御装置
107 通信ネットワーク
A 人物