(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-10
(45)【発行日】2025-09-19
(54)【発明の名称】成形品取出機
(51)【国際特許分類】
B29C 33/44 20060101AFI20250911BHJP
B29C 45/42 20060101ALI20250911BHJP
【FI】
B29C33/44
B29C45/42
(21)【出願番号】P 2021186413
(22)【出願日】2021-11-16
【審査請求日】2024-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000138473
【氏名又は名称】YUSHIN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】徳山 善之
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-109335(JP,A)
【文献】特開2005-271358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/44
B29C 45/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形機の型に向かって進入する進入フレームの先端に設けられた取付フレームに駆動源の被固定部が固定された直線運動駆動機構と、
前記取付フレームの先端側に配置される取出ヘッドと、
前記取付フレームに被固定部が固定されて、前記直線運動駆動機構の動きを前記取出ヘッドの姿勢を変更するための動きに変える姿勢変更機構を具備してなる成形品取出機であって、
前記姿勢変更機構は、
前記進入フレームの進入方向に間隔をあけて前記取付フレームに設定された第1の固定点及び第2の固定点と、
第1の腕部と第2の腕部とを備え、前記第1の固定点に前記第1の腕部と前記第2の腕部の中間部が第1の回り対偶により回動可能に支持されて、第1の腕部が前記直線運動駆動機構の出力部に第2の回り対偶により連結された第1のリンクと、
前記第2の固定点に第3の回り対偶により回動可能に支持されて、前記第2の固定点から離れた取付位置に前記取出ヘッドが取り付けられる第2のリンクと、
一端が前記第1のリンクの前記第2の腕部に第4の回り対偶により連結され、他端が前記第2の固定点から前記取付位置側に離れた位置で第5の回り対偶により第2のリンクと連結される第3のリンクからなり、
前記取出ヘッドが前記進入方向に沿って延びている取出姿勢状態で、前記第3のリンクと前記第1のリンクの前記第2の腕部が仮想直線に沿って並ぶように、前記第1及び第2の固定点の位置、前記第1乃至第3のリンクの形状寸法が定められていることを特徴とする成形品取出機。
【請求項2】
前記駆動源の前記被固定部は前記取付フレームに揺動可能に固定されており、
前記駆動源がシリンダであり、該シリンダのピストンが前記出力部であり、
前記ピストンが退避した状態で前記取出姿勢状態が作られ、前記ピストンが延び出た状態で、前記取出ヘッドが前記進入方向と交差する方向に延びる請求項1に記載の成形品取出機。
【請求項3】
少なくとも前記第1の固定点が調整機構による調整により前記仮想直線上を変位可能である請求項1または2に記載の成形品取出機。
【請求項4】
成形機の型に向かって進入する進入フレームの先端に設けられた取付フレームに駆動源の被固定部が固定された直線運動駆動機構と、
前記取付フレームの先端側に配置される取出ヘッドと、
前記取付フレームに被固定部が固定されて、前記直線運動駆動機構の動きを前記取出ヘッドの姿勢を変更するための動きに変える姿勢変更機構を具備してなる成形品取出機であって、
前記姿勢変更機構は、
前記取付フレームの進入方向に間隔をあけて前記取付フレームに設定された第1の固定点及び第2の固定点と、
第1の腕部と第2の腕部とを備え、前記第1の固定点に前記第1の腕部と前記第2の腕部の中間部が第1の回り対偶により回動可能に支持されて、第1の腕部が前記直線運動駆動機構の出力部に第2の回り対偶により連結された第1のリンクと、
前記第2の固定点に第3の回り対偶により回動可能に支持されて、前記第2の固定点から離れた取付位置に前記取出ヘッドが取り付けられる第2のリンクと、
一端が前記第1のリンクの前記第2の腕部に第4の回り対偶により連結され、他端が前記第2の固定点から前記取付位置側に離れた位置で第5の回り対偶により第2のリンクと連結される第3のリンクからなり、
前記取出ヘッドが前記進入方向と交差する方向に延びている反転姿勢状態で、前記第3のリンクと前記第1のリンクの前記第2の腕部が仮想直
線に沿って並ぶように、前記第1及び第2の固定点の位置、前記第1乃至第3のリンクの形状寸法が定められていることを特徴とする成形品取出機。
【請求項5】
前記駆動源の前記被固定部は前記取付フレームに揺動可能に固定されており、
前記駆動源がシリンダであり、該シリンダのピストンが前記出力部であり、
前記ピストンが退避した状態で前記
反転姿勢状態が作られ、前記ピストンが延び出た状態で、前記取出ヘッドが前記進入方向と交差する方向に延びる請求項4に記載の成形品取出機。
【請求項6】
少なくとも前記第1の固定点が調整機構による調整により前記仮想直線上を変位可能である請求項4または5に記載の成形品取出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢変更機構を具備してなる成形品取出機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2017-105189号公報の
図15には、昇降フレームの先端に姿勢制御装置としての反転ユニットを介して取出ヘッドが装着された成形品取出機が開示されている。
図7にはこの従来の構造を示す。従来の成形品取出機では、成形機の型に向かって進入する進入フレーム101の先端に設けられた取付フレーム102に駆動源としてのエアシリンダ103の被固定部が固定された直線運動駆動機構104と、取付フレーム102の先端側に配置される取出ヘッド105と、取付フレーム102に被固定部が固定されて、直線運動駆動機構104の動きを取出ヘッド105の姿勢を変更するための動きに変える姿勢変更機構106を具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構造では、金型から成形品を取出すときまたは取出ヘッドを反転して成形品を搬送しているときでは、取出ヘッドが姿勢を変えないようにするために、大きなトルクを発生できる駆動源(エアシリンダ103)を使用する。また成形品の形状によっては、搬送時に反転姿勢状態の取出ヘッドが揺れるとその揺れで成形品が変形する恐れがあるため、取出ヘッドが反転姿勢状態にあるときに、取出ヘッドの姿勢を変えないようにするために、大きなトルクを発生する駆動源を使用することもある。しかし駆動源が大きくなると、金型の開き量も大きくする必要が生じ、このことで取出時間が長くなる問題が生じる。さらに製品取り出し時に、金型から製品を引き抜くために強いトルクが必要な場合には、エアシリンダの推力を上げるために駆動源としてのエアシリンダの径を大きくしなければならない。そのため取出ヘッドの小型化が難しくなるという問題がある。また大きなトルクを発生させるエアシリンダは高価という問題もある。
【0005】
本発明の目的は、金型から成形品を取り出す際または取出ヘッドを反転姿勢状態にしているときに、駆動源が大きなトルクを発生する必要の無い、成形品取出機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下理解を容易にするために、図面に付した符号を用いて課題を可決するための手段を説明する。本発明は、成形機の型に向かって進入する進入フレーム1の先端に設けられた取付フレーム2に駆動源(3)の被固定部3Aが固定された直線運動駆動機構4と、取付フレーム2の先端側に配置される取出ヘッド5と、取付フレーム2に被固定部が固定されて、直線運動駆動機構4の動きを取出ヘッド5の姿勢を変更するための動きに変える姿勢変更機構6を具備してなる成形品取出機を対象とする。本発明においては、姿勢変更機構6は、進入フレーム2の進入方向に間隔をあけて取付フレーム2に設定された第1の固定点FP1及び第2の固定点FP2と、第1のリンクL1と、第2のリンクL2と、第3のリンクL3を備えている。第1のリンクL1は、第1の腕部AP1と第2の腕部AP2とを備えており、第1の固定点FP1に第1の腕部AP1と第2の腕部AP2の中間部が第1の回り対偶RO1により回動可能に支持されて、第1の腕部AP1が直線運動駆動機構4の出力部4Aに第2の回り対偶RO2により連結される構造を有する。また第2のリンクL2は、第2の固定点FP2に第3の回り対偶RO3により回動可能に支持されて、第2の固定点FP2から離れた取付位置に取出ヘッド5が取り付けられる構造を有する。そして第3のリンクL3は、一端が第1のリンクL1の第2の腕部AP2に第4の回り対偶RO4により連結され、他端が第2の固定点FP2から取付位置側に離れた位置で第5の回り対偶RO5により第2のリンクL2と連結される構造を有する。本発明では、取出ヘッド5が進入方向に沿って延びている取出姿勢状態で、第3のリンクL3と第1のリンクL1の第2の腕部AP2が仮想直線PLに沿って並ぶように、第1及び第2の固定点FP1,FP2の位置、第1乃至第3のリンクL1~L3の形状寸法が定められている。
【0007】
取出姿勢状態で、第3のリンクL3と第1のリンクL1の第2の腕部AP2が仮想直線PLに沿って並ぶと、リンク機構の死点が形成された状態となり、駆動源(3)から大きなトルクを加えなくても、第3のリンクL3と第1のリンクL1の位置関係はロックされた状態となる。そのため、取出姿勢状態を維持するために大きなトルクを発生する大型の駆動源を用いる必要がなくなる。その結果、製品取り出し時に、金型から製品を引き抜くために強いトルクが必要な場合で、駆動源としてエアシリンダを用いるときでも、径の大きなエアシリンダを用いる必要がなくなり、取出ヘッドの小型化を図ることができる。
【0008】
駆動源(3)は、被固定部3Aが取付フレーム2に揺動可能に固定されたシリンダ3であれば、該シリンダ3のピストン4Aが直線運動駆動機構4の出力部4Aとなり、ピストン4Aが退避した状態で取出姿勢状態が作られ、ピストン4Aが延び出た状態で、取出ヘッド5が進入方向と交差する方向に延びることになる。このような構成であれば、直線運動駆動機構4の構造が簡単になる。
【0009】
少なくとも第1の固定点FP1が調整機構7による調整により仮想直線PL上を変位可能であるのが好ましい。姿勢変更機構6で、取出ヘッドの大きな角度調整をしようとすると、第3のリンクL3と第1のリンクL1の位置関係が死点からずれて、ロック状態が不完全になるおそれがある。そこで少なくとも第1の固定点FP1を調整機構7による調整により仮想直線PL上を変位可能にすれば、第1のリンクの支点を移動させることができ、死点状態を維持したままで、取出ヘッドの角度を調整することができる。
【0010】
本発明は、取出ヘッドが反転姿勢状態にあるときに、反転姿勢状態を維持する場合にも適用することができる。その場合は、取出ヘッド5が進入方向と交差する方向に延びている反転姿勢状態で、第3のリンクL3と第1のリンクL1の第2の腕部AP2が仮想直線PLに沿って並ぶように、第1及び第2の固定点FP1,FP2の位置、第1乃至第3のリンクL1~L3の形状寸法を定めれば良い。この場合においても、反転姿勢状態で、第3のリンクL3と第1のリンクL1の第2の腕部AP2が仮想直線PLに沿って並ぶと、リンク機構の死点が形成された状態となり、駆動源(3)から大きなトルクを加えなくても、第3のリンクL3と第1のリンクL1の位置関係はロックされた状態となる。そのため、反転姿勢状態を維持するために大きなトルクを発生する大型の駆動源を用いる必要がなくなる。
【0011】
この場合にも、駆動源(3)は、被固定部3Aが取付フレーム2に揺動可能に固定されたシリンダ3であれば、該シリンダ3のピストン4Aが直線運動駆動機構4の出力部4Aとなり、ピストン4Aが退避した状態で取出姿勢状態が作られ、ピストン4Aが延び出た状態で、取出ヘッド5が進入方向と交差する方向に延びることになる。
【0012】
またこの場合でも、少なくとも第1の固定点が調整機構による調整により仮想直線上を変位可能にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】成形機の型に向かって進入する進入フレームの先端に設けられた取付フレームに取出ヘッドを備えている成形品取出機に本発明を適用した実施の形態の要部の斜視図である。
【
図2】(A)及び(B)は、取付フレーム内の機構を説明するために、
図1の内部の機構の状態を変えて縦断面にした縦断面図である。
【
図3】(A)及び(B)は、第1の固定点を調整機構による調整によって仮想直線上で変位可能にするための機構の説明に用いる図である。
【
図5】(A)及び(B)は、第2の実施の形態の要部の構成を示す図である。
【
図6】(A)及び(B)は、第2の実施の形態の要部の動作状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の成形品取出機の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、成形機の型に向かって進入する進入フレーム1の先端に設けられた取付フレーム2に取出ヘッド5を備えている成形品取出機に本発明を適用した実施の形態の要部の斜視図である。また
図2(A)及び(B)は、取付フレーム2内の機構を説明するために、
図1の内部の機構の状態を変えて縦断面にした縦断面図である。なお
図1及び
図2においては、構造の理解を容易にするために、取出ヘッド5は破線で示してあり、また取付フレーム2の外装は除いてある。
【0016】
取付フレーム2は、上フレーム部2Aと上フレーム2Aの両端から下方に延びる2本の縦フレーム部2B及び2Cを備えた構造を有している。上フレーム部2Aには、駆動源としての2連シリンダ3のシリンダケース3Bの一対の被固定部3Aが一対の回り対偶R0によって揺動可能に支持されている。2連シリンダ3は、回り対偶ROを構成する軸S0を中心として揺動する。2連シリンダ3の2本のピストン3Cが直線運動駆動機構4の出力部となる延長ロッド4Aを備えている。
図2(A)に示すようにピストン3Cが退避した状態では、取出ヘッド5は取出姿勢状態となる。また
図2(B)に示すように、ピストン3Cが延び出た状態では、取出ヘッド5が進入方向と交差する方向に延びることになる。このようなシリンダ3を用いた構成であれば、直線運動駆動機構4の構造が簡単になる。
【0017】
本実施の形態では、直線運動駆動機構4の動きを取出ヘッド5の姿勢を変更するための動きに変える姿勢変更機構6を具備している。姿勢変更機構6は、取付フレーム2の進入方向に間隔をあけて取付フレーム2に設定された第1の固定点FP1及び第2の固定点FP2と、第1のリンクL1と、第2のリンクL2と、第3のリンクL3を備えている。なお姿勢変更機構6は、2つの縦フレーム部2B及び2Cを支持構造体として利用するための、それぞれ一対の部品として構成されているので、以下の説明では、符号を2つ記載することにより一対の部品であることを明示する。
【0018】
第1のリンクL1,L1は、ブーメラン形状の第1の腕部AP1,AP1と第2の腕部AP2,AP2とを備えている。第1のリンクL1,L1は、第1の固定点FP1に第1の腕部AP1,AP1と第2の腕部AP2,AP2の中間部が第1の回り対偶RO1により回動可能に支持されている。第1の回り対偶RO1は、縦フレーム部2B及び2Cに両単が支持された軸S1に筒体C1がベアリングを介して支持された構造を有している。筒対C1には、第1のリンクL1,L1が一体に固定されている。第1の腕部AP1、AP1には、直線運動駆動機構4の出力部となる延長ロッド4A,4Aが第2の回り対偶RO2により連結されている。第2の回り対偶RO2は、第1の腕部AP1、AP1の先端が固定された筒体C2に支持された軸S2と延長ロッド4A,4Aとの間のベアリングによって構成されている。
【0019】
第2のリンクL2,L2は、第2の固定点FP2に第3の回り対偶RO3により回動可能に支持されている。第3の回り対偶RO3は、縦フレーム部2B及び2Cに固定された一対の軸S3と、該一対の軸S3と第2のリンクL2,L2との間に配置されたベアリングとによって構成されている。第2のリンクL2,L2には、取出ヘッド5が固定される取付プレート7が固定されている。本実施の形態では、取付プレート7の位置が取付位置である。
【0020】
そして第3のリンクL3,L3は、一端が第1のリンクL1の第2の腕部AP2,AP2に第4の回り対偶RO4により連結され、他端が第2の固定点FP2から取付プレート7側に離れた位置で第5の回り対偶RO5により第2のリンクL2,L2と連結される構造を有する。第4の回り対偶RO4は、第2の腕部AP2、AP2の先端が固定された筒体C3に支持された軸S4と第3のリンクL3,L3との間のベアリングによって構成されている。また第5の回り対偶RO5は、第3のリンクL3,L3の先端近傍に取り付けられた一対軸S5と第2のリンクL2,L2との間のベアリングによって構成されている。
【0021】
本実施の形態では、
図2(A)に示すように、取出ヘッド5が進入方向に沿って延びている取出姿勢状態で、第3のリンクL3,L3と第1のリンクL1,L1の第2の腕部AP2,AP2が仮想直線PLに沿って並ぶように、第3のリンクL3、L3の第1の固定点FP1及び第2のFP2の位置、第1乃至第3のリンクL1乃至L3の形状寸法が定められている。取出姿勢状態で、第3のリンクL3,L3と第1のリンクL1,L1の第2の腕部AP2,AP2が仮想直線PLに沿って並ぶと、リンク機構の死点が形成された状態となり、駆動源としてのシリンダ3から大きなトルクを加えなくても、第3のリンクL3,L3と第1のリンクL1,L1の位置関係はロックされた状態となる。そのため、取出姿勢状態を維持するために大きなトルクを発生する大型の駆動源を用いる必要がなくなる。
【0022】
図3(A)及び(B)は、第1の固定点FP1を調整機構8による調整によって仮想直線PL上で変位可能にする概略構成を示している。軸S1が調整機構8の調整により矢印の方向に移動することにより、第1の固定点FP1の位置調整が可能である。
図4は、調整機構8の一例を示している。この調整機構8では、筒体C1に径方向に延びるように形成されたネジ孔に螺合される調整ネジ部材81を回転せることにより、調整ネジ部材81に対する筒体C1の位置を調整ネジ部材81が延びる方向に調整することができる。姿勢変更機構6で、取出ヘッド5の大きな角度調整をしようとすると、第3のリンクL3,L3と第1のリンクL1,L1の位置関係が死点からずれて、ロック状態が不完全になるおそれがある。そこで少なくとも第1の固定点FP1を調整機構8による調整により仮想直線PL上を変位可能にすれば、第1のリンクL1,L1の支点を移動させることができ、死点状態を維持したままで、取出ヘッド5の角度を調整することができる。
【0023】
[第2の実施の形態]
本発明は、取出ヘッド5が反転姿勢状態にあるときに、反転姿勢状態を維持する場合にも適用することができる。
図5(A)及び(B)並びに
図6(A)及び(B)は、この場合の実施の形態の要部の状態を示す図である。
図1乃至
図4を用いて説明した第1の実施の形態と機能が同一の部材には、第1の実施の形態の説明で用いた符号と同じ符号を付してある。
【0024】
本実施の形態では、第1のリンクL1がT字形を呈している。この第1のリンクL1では、第1の回り対偶RO1と第2の回り対偶RO2との間の部分が、第1の腕部AP1に相当し、第1の回り対偶RO1と第4の回り対偶RO4との間の部分が第2の腕部AP2に相当する。
【0025】
本実施の形態では、取出ヘッド5が進入方向と交差する方向に延びている反転姿勢状態で、第3のリンクL3と第1のリンクL1の第2の腕部AP2が仮想直線PLに沿って並ぶように、第1の固定点FP1及び第2の固定点FP2の位置、第1乃至第3のリンクL1乃至L3の形状寸法が定められている。その結果、反転姿勢状態で、第3のリンクL3と第1のリンクL1の第2の腕部AP2が仮想直線PLに沿って並ぶと、リンク機構の死点が形成された状態となり、駆動源としてのシリンダ3から大きなトルクを加えなくても、第3のリンクL3と第1のリンクL1の位置関係はロックされた状態となる。そのため、反転姿勢状態を維持するために大きなトルクを発生する大型の駆動源を用いる必要がなくなる。
【0026】
なお本実施の形態でも、少なくとも第1の固定点FP1が調整機構による調整により仮想直線PL上を変位可能になるようにしてもよいのは勿論である。
【0027】
上記実施の形態では。駆動源としてシリンダ3を用いたが、駆動源として電動リニアモータ等の他の構造のものを用いてもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、金型から成形品を取り出す際または取出ヘッドを反転姿勢状態にしているときに、駆動源が大きなトルクを発生する必要の無い、成形品取出機を提供することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 進入フレーム
3 シリンダ(駆動源)
4 直線運動機構
5 取出ヘッド
6 姿勢変更機構
7 取付プレート
8 調整機構
L1~L3 第1乃至第3のリンク
RO1~RO5 第1乃至第5の回り対偶
FP1 第1の固定点
FP2 第2の固定点