(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-10
(45)【発行日】2025-09-19
(54)【発明の名称】煙排出ハウジングを有するカニューレ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20250911BHJP
【FI】
A61B17/34
(21)【出願番号】P 2023533930
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 US2021060262
(87)【国際公開番号】W WO2022119734
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2024-11-12
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】エバーソール, ギャレット ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ピレティア, ロイ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, ニコレット エル.
(72)【発明者】
【氏名】バナジー, ソーミャ
(72)【発明者】
【氏名】バリル, ジェイコブ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ディニーノ, マシュー エー.
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2112026(KR,B1)
【文献】特開2018-126512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0088274(US,A1)
【文献】国際公開第2020/198355(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61M 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術用アクセス装置であって、外科手術用アクセス装置は、
近位端にカニューレハウジングを有するカニューレおよび前記カニューレハウジングから延在する管状部材と、
前記カニューレハウジングに連結されているシールハウジングであって、前記シールハウジングは、
前記カニューレハウジングに取り付けられている基部と、
器具シールと、
カバーであって、前記カバーは、それから延在するポートを有し、前記カバーは、下側カバー部分および上側カバー部分を有し、前記下側カバー部分は、前記基部に取り付けられており、前記上側カバー部分は、その中にチャンバを有し、前記チャンバは、突起を含み、隣接する突起は、間隔をあけて配置され、それらの間に窓を画定し、前記窓および前記突起は、前記シールハウジング内の流体を前記ポートに向けて方向付けるように構成されている前記チャンバの幾何学的形状を画定し、前記ポートは、真空源に接続可能である、カバーと
を含む、シールハウジングと
を備える、外科手術用アクセス装置。
【請求項2】
前記ポート内に存在する真空は、前記シールハウジング内の前記流体を前記ポートに向けて方向付ける流路を前記チャンバ内に作り出す、請求項1に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項3】
前記カバーの壁は、前記チャンバを画定し、通路が、前記壁と前記
突起との間に画定される、請求項1に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項4】
前記シールハウジングに入る前記流体は、前記窓を通って前記通路に入り、前記ポートに向かって方向付けられる、請求項3に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項5】
前記突起、前記窓、および前記通路は、前記チャンバの前記幾何学的形状を画定し、前記ポートに向かう流れを促進する、請求項3に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項6】
前記上側カバー部分は、それから垂下するアームを有し、前記下側カバー部分は、組み立てのために前記上側カバー部分と前記下側カバー部分とを位置合わせするように協働するフィンガを有する、請求項1に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項7】
前記シールハウジングは、前記カニューレハウジングに解放可能に連結されている、請求項1に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項8】
前記シールハウジングに入る前記流体は、前記窓を通って前記通路に入り、前記ポート内に存在する真空は、前記流体を前記ポートに向かって方向付ける、請求項3に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項9】
前記流体は、前記管状部材を通って前記シールハウジング内に移動する、請求項8に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項10】
外科手術用アクセス装置であって、前記外科手術用アクセス装置は、
カニューレハウジング、および、それから延在する管状部材を有するカニューレと、
シールハウジングであって、前記シールハウジングは、
前記カニューレに取り付け可能な基部と、
器具シールと、
下側カバー部分および上側カバー部分を有するカバーであって、前記下側カバー部分は、前記基部に取り付けられており、前記上側カバー部分は、前記下側カバー部分に接続可能であり、前記上側カバー部分は、それから垂下する壁を有し、チャンバを画定し、前記チャンバは、前記上側カバー部分から垂下する突起を含み、前記突起は、間隔をあけて配置され、それらの間に窓を画定する、カバーと、
前記上側カバー部分から半径方向に延在するポートと、
前記壁の表面と前記突起との間に画定された通路であって、前記突起、前記窓、および前記通路は、前記シールハウジング内の流体を前記ポートに向けて方向付けるように構成されている前記チャンバの幾何学的形状を画定し、前記ポートは、真空源に接続可能である、通路と
を含む、シールハウジングと
を備える、外科手術用アクセス装置。
【請求項11】
前記ポート内に存在する真空は、前記シールハウジング内の前記流体を前記ポートに向けて方向付ける流路を前記チャンバ内に作り出す、請求項10に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項12】
前記シールハウジングに入る前記流体は、前記窓を通って前記通路に入り、前記ポートに向かって方向付けられる、請求項10に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項13】
前記上側カバー部分は、それから垂下するアームを有し、前記下側カバー部分は、組み立てのために前記上側カバー部分と前記下側カバー部分とを位置合わせするように協働するフィンガを有する、請求項10に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項14】
前記シールハウジングは、前記カニューレハウジングに解放可能に連結されている、請求項10に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項15】
前記流体は、前記管状部材を通って前記シールハウジング内に移動する、請求項12に記載の外科手術用アクセス装置。
【請求項16】
システムであって、前記システムは、
外科手術用アクセス装置であって、前記外科手術用アクセス装置は、
カニューレハウジング、および、それから延在する管状部材を有するカニューレと、
前記カニューレハウジングに連結されているシールハウジングであって、前記シールハウジングは、
基部と、
器具シールと、
カバーであって、前記カバーは、それから延在するポートを有し、前記カバーは、前記カニューレハウジングに取り付けられている下側カバー部分と、上側カバー部分とを有し、前記上側カバー部分は、その中にチャンバを有し、前記チャンバは、突起を含み、隣接する突起は、間隔をあけて配置され、それらの間に窓を画定し、前記窓および前記突起は、前記チャンバの幾何学的形状を画定する、カバーと
を含む、シールハウジングと
を含む、外科手術用アクセス装置と、
前記外科手術用アクセス装置に接続されており、前記ポートを介して前記チャンバに真空を印加するように構成されている真空源であって、前記真空および前記チャンバの前記幾何学的形状は、流路を前記シールハウジング内に作り出し、前記流路は、前記シールハウジング内の流体を前記ポートに向かって方向付ける、真空源と
を備える、システム。
【請求項17】
前記ポートを介して前記チャンバに前記真空を印加することは、前記チャンバに入る前記流体を前記チャンバの壁に向かって方向付ける、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ポートを介して前記チャンバに前記真空を印加することは、前記チャンバに進入する前記流体を、前記窓を通して前記突起と前記壁との間に画定される通路の中に入るように方向付ける、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ポートを介して前記チャンバに前記真空を印加することは、前記流体が前記管状部材を通って前記シールハウジング内に移動することを引き起こす、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記シールハウジングは、前記カニューレハウジングに取り外し可能に連結されている、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、患者の手術部位にアクセスするための外科手術用器具に関する。特に、本開示は、煙排出ハウジングを有するカニューレに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡手術及び腹腔鏡手術などの低侵襲外科手術では、外科手術用アクセス装置により、様々な外科手術用器具を体腔又は開口部に導入できる。外科手術用アクセス装置(例えば、カニューレ又はアクセスポート)は、組織内の開口部(例えば、自然に存在する孔又は切開部)を通して導入され、身体の下にある手術部位へのアクセスをもたらす。開口部は、典型的には、外科手術用アクセス装置の通路を通して挿入され得る、鈍頭又は鋭利な先端を有する栓塞子を使用して作られる。例えば、カニューレは、薄い壁構造を有する剛性材料のチューブを有し、このチューブに栓塞子を通すことができる。栓塞子は、腹壁などの体壁を貫通するため、又は体壁を通して外科手術用アクセス装置を導入するために使用され、次いで、外科手術用アクセス装置を通して外科手術用器具を導入し、低侵襲外科手術を行うことを可能にするために取り外される。
【0003】
内視鏡手術及び腹腔鏡手術の両方を含む低侵襲外科手術は、組織内の開口部から遠く離れた器官、組織、及び脈管に対して手術を行うことを可能にする。腹腔鏡手術では、腹腔にCO2などの気腹ガスを注入して気腹を作り出すことで、下部臓器へのアクセスをもたらす。腹腔鏡器具は、カニューレを通して腹腔内に導入され、1つ以上の外科的作業を行う。カニューレは、腹腔鏡器具の周りに実質的に液密なシールを確立して、気腹の完全性を維持するシールを組み込んでもよい。気腹などの加圧環境にさらされるカニューレは、例えば、腹腔鏡器具をカニューレから引き抜く間に、カニューレが腹壁の開口部から後退するのを防ぐためのアンカーを含んでもよい。いくつかの手術では、電気外科手術用器具が採用され、煙及び微粒子が発生することがある。煙及び粒子状物質は、カニューレが身体組織内に位置付けられたままの状態で、除去される必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様では、外科手術用アクセス装置は、その近位端にカニューレハウジングを有するカニューレと、カニューレハウジングから延在する管状部材とを含む。シールハウジングは、カニューレハウジングに連結される。シールハウジングは、カニューレハウジングに取り付けられた基部と、器具シールと、ポートが延在するカバーとを含む。カバーは、下側カバー部分と上側カバー部分とを有する。下側カバー部分は基部に取り付けられ、上側カバー部分はその中にチャンバを有する。チャンバは突起を含み、隣接する突起は間隔をあけて配置され、それらの間に窓を画定する。窓及び突起は、シールハウジング内の流体をポートに向かって方向付けるように構成されたチャンバの幾何学的形状を画定する。ポートは、真空源に接続可能である。
【0005】
一態様では、シールハウジング内の流体をポートに向けて方向付ける流路をチャンバ内に作り出す真空がポート内に存在してもよい。
【0006】
別の態様では、カバーの壁がチャンバを画定してもよく、壁と突起との間に通路が画定されてもよい。
【0007】
態様では、シールハウジングに入る流体は、窓を通って通路に入ってもよく、ポートに向かって方向付けられてもよい。
【0008】
一態様では、突起、窓、及び通路は、チャンバの幾何学的形状を画定してもよく、ポートに向かう流れを促進してもよい。
【0009】
更なる態様では、上側カバー部分は、そこから垂下するアームを有してもよく、下側カバー部分は、組み立てのために上側カバー部分と下側カバー部分とを位置合わせするように協働するフィンガを有してもよい。
【0010】
態様では、シールハウジングは、カニューレハウジングに解放可能に連結されてもよい。
【0011】
更に別の態様では、シールハウジングに入る流体は、窓を通って通路に入ってもよく、ポート内に存在する真空は、流体をポートに向かって方向付けてもよい。
【0012】
一態様では、流体は、管状部材を通ってシールハウジング内に移動してもよい。
【0013】
本開示の更なる態様では、外科手術用アクセス装置は、カニューレ及びシールハウジングを有する。カニューレは、カニューレハウジングと、カニューレハウジングから延在する管状部材とを含む。シールハウジングは、カニューレに取り付け可能な基部と、器具シールと、下側カバー部分及び上側カバー部分を有するカバーとを含む。下側カバー部分は基部に取り付けられ、上側カバー部分は下側カバー部分に接続可能である。上側カバー部分は、そこから垂下する壁を有し、チャンバを画定する。チャンバは、上側カバー部分から垂下する突起を含む。突起は間隔をあけて配置され、それらの間に窓を画定する。ポートは、上側カバー部分から半径方向に延在する。壁の表面と突起との間に通路が画定される。突起、窓、及び通路は、シールハウジング内の流体を真空源に接続可能なポートに向けて方向付けるように構成されたチャンバの幾何学的形状を画定する。
【0014】
一態様では、ポート内に存在する真空は、シールハウジング内の流体をポートに向けて方向付ける流路をチャンバ内に作り出してもよい。
【0015】
別の態様では、シールハウジングに入る流体は、窓を通って通路に入ってもよく、ポートに向かって方向付けられてもよい。
【0016】
態様では、上側カバー部分は、そこから垂下するアームを有してもよく、下側カバー部分は、組み立てのために上側カバー部分と下側カバー部分とを位置合わせするように協働するフィンガを有してもよい。
【0017】
一態様では、シールハウジングは、カニューレハウジングに解放可能に連結されてもよい。
【0018】
別の態様では、流体は、管状部材を通ってシールハウジング内に移動してもよい。
【0019】
本開示の更に別の態様では、外科手術用アクセス装置から流体を除去する方法は、真空源を外科手術用アクセス装置に接続することを含む。外科手術用アクセス装置は、カニューレハウジングを有するカニューレと、カニューレハウジングから延在する管状部材とを有する。シールハウジングは、カニューレハウジングに連結される。シールハウジングは、基部と、器具シールと、ポートが延在するカバーとを含む。カバーは、カニューレハウジングに取り付けられた下側カバー部分と、上側カバー部分とを有する。上側カバー部分は、その内部にチャンバを有する。チャンバは突起を含み、隣接する突起は間隔をあけて配置され、それらの間に窓を画定する。窓及び突起は、チャンバの幾何学的形状を画定する。方法はまた、ポートを介してチャンバに真空を印加することを含む。真空及びチャンバの幾何学的形状は、シールハウジング内の流体をポートに向かって方向付ける流路をシールハウジング内に作り出す。
【0020】
一態様では、ポートを介してチャンバに真空を印加することにより、チャンバに入る流体をチャンバの壁に向けて方向付けてもよい。
【0021】
別の態様では、ポートを介してチャンバに真空を印加することにより、チャンバに進入する流体を、窓を通って、突起と壁との間に画定される通路の中へと方向付けてもよい。
【0022】
態様では、ポートを介してチャンバに真空を印加することにより、流体を管状部材を通ってシールハウジングの中へ移動させてもよい。
【0023】
更なる態様では、真空源を外科手術用アクセス装置に接続することにより、カニューレハウジングに取り外し可能に連結されているシールハウジングを含んでもよい。
【0024】
本開示の他の特徴は、以下の説明から理解されるであろう。
本発明は。例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術用アクセス装置であって、
近位端にカニューレハウジングを有するカニューレ及び前記カニューレハウジングから延在する管状部材と、
前記カニューレハウジングに連結されたシールハウジングであって、前記シールハウジングが、
前記カニューレハウジングに取り付けられた基部と、
器具シールと、
ポートが延在するカバーであって、前記カバーが下側カバー部分及び上側カバー部分を有し、前記下側カバー部分が前記基部に取り付けられ、かつ前記上側カバー部分がその中にチャンバを有し、前記チャンバが突起を含み、隣接する突起が間隔をあけて配置され、それらの間に窓を画定し、前記窓及び前記突起が、前記シールハウジング内の流体を前記ポートに向けて方向付けるように構成された前記チャンバの幾何学的形状を画定し、前記ポートが真空源に接続可能である、カバーとを含む、シールハウジングとを備える、外科手術用アクセス装置。
(項目2)
前記ポート内に存在する真空が、前記シールハウジング内の前記流体を前記ポートに向けて方向付ける流路を前記チャンバ内に作り出す、項目1に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目3)
前記カバーの壁が前記チャンバを画定し、前記壁と前記突出部との間に通路が画定される、項目1に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目4)
前記シールハウジングに入る前記流体が、前記窓を通って前記通路に入り、前記ポートに向かって方向付けられる、項目3に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目5)
前記突起、前記窓、及び前記通路が、前記チャンバの前記幾何学的形状を画定し、前記ポートに向かう流れを促進する、項目3に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目6)
前記上側カバー部分が、そこから垂下するアームを有し、前記下側カバー部分が、組み立てのために前記上側カバー部分と前記下側カバー部分とを位置合わせするように協働するフィンガを有する、項目1に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目7)
前記シールハウジングが、前記カニューレハウジングに解放可能に連結される、項目1に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目8)
前記シールハウジングに入る前記流体が、前記窓を通って前記通路に入り、前記ポート内に存在する真空が、前記流体を前記ポートに向かって方向付ける、項目3に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目9)
前記流体が、前記管状部材を通って前記シールハウジング内に移動する、項目8に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目10)
外科手術用アクセス装置であって、
カニューレハウジングと、そこから延在する管状部材とを有するカニューレと、
シールハウジングであって、
前記カニューレに取り付け可能な基部と、
器具シールと、
下側カバー部分及び上側カバー部分を有するカバーであって、前記下側カバー部分が前記基部に取り付けられ、前記上側カバー部分が前記下側カバー部分に接続可能であり、前記上側カバー部分がそこから垂下する壁を有し、かつチャンバを画定し、前記チャンバが前記上側カバー部分から垂下する突起を含み、前記突起が間隔をあけて配置され、かつそれらの間に窓を画定する、カバーと、
前記上側カバー部分から半径方向に延在するポートと、
前記壁の表面と前記突起との間に画定された通路であって、前記突起、前記窓、及び前記通路が、前記シールハウジング内の流体を前記ポートに向けて方向付けるように構成された前記チャンバの幾何学的形状を画定し、前記ポートが真空源に接続可能である、通路とを含む、シールハウジングとを備える、外科手術用アクセス装置。
(項目11)
前記ポート内に存在する真空が、前記シールハウジング内の前記流体を前記ポートに向けて方向付ける流路を前記チャンバ内に作り出す、項目10に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目12)
前記シールハウジングに入る前記流体が、前記窓を通って前記通路に入り、前記ポートに向かって方向付けられる、項目10に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目13)
前記上側カバー部分が、そこから垂下するアームを有し、前記下側カバー部分が、組み立てのために前記上側カバー部分と前記下側カバー部分とを位置合わせするように協働するフィンガを有する、項目10に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目14)
前記シールハウジングが、前記カニューレハウジングに解放可能に連結される、項目10に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目15)
前記流体が、前記管状部材を通って前記シールハウジング内に移動する、項目12に記載の外科手術用アクセス装置。
(項目16)
外科手術用アクセス装置から流体を除去する方法であって、
真空源を外科手術用アクセス装置であって、前記外科手術用アクセス装置が、
カニューレハウジングと、そこから延在する管状部材とを有するカニューレと、
前記カニューレハウジングに連結されたシールハウジングであって、前記シールハウジングが、
基部と、
器具シールと、
ポートが延在するカバーであって、前記カバーが前記カニューレハウジングに取り付けられた下側カバー部分と、上側カバー部分とを有し、前記上側カバー部分がその中にチャンバを有し、前記チャンバが突起を含み、隣接する突起が間隔をあけて配置され、それらの間に窓を画定し、前記窓及び前記突起が、前記チャンバの幾何学的形状を画定する、カバーとを含む、シールハウジングとを含む、外科手術用アクセス装置に接続することと、
前記ポートを介して前記チャンバに真空を印加することであって、前記真空及び前記チャンバの前記幾何学的形状が、流路であって、前記流路が、前記シールハウジング内の流体を前記ポートに向かって方向付ける、流路を前記シールハウジング内に作り出す、こととを含む、方法。
(項目17)
前記ポートを介して前記チャンバに前記真空を印加することにより、前記チャンバに入る前記流体を前記チャンバの壁に向かって方向付ける、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ポートを介して前記チャンバに前記真空を印加することにより、前記チャンバに進入する前記流体を、前記窓を通して前記突起と前記壁との間に画定される通路の中に入るように方向付ける、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記ポートを介して前記チャンバに前記真空を印加することにより、前記流体が前記管状部材を通って前記シールハウジング内に移動する、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記真空源を前記外科手術用アクセス装置に接続することにより、前記シールハウジングが前記カニューレハウジングに取り外し可能に連結されることを含む、項目16に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の態様及び特徴を示し、以下の詳細な説明と共に、本開示を更に説明する役割を果たす。
【0026】
【
図1】本開示の一態様による外科手術用アクセス装置の斜視図である。
【0027】
【
図2】
図1の外科手術用アクセス装置の部品を分離した分解斜視図である。
【0028】
【
図3】
図1及び
図2の外科手術用アクセス装置のシールハウジングの部品を分離した分解斜視図である。
【0029】
【
図4】
図3のシールハウジングのカバー部分の底面斜視図である。
【0030】
【
図5】
図1の切断線5-5に沿った外科手術用アクセス装置の近位領域の側断面図である。
【0031】
【
図6】
図1の切断線6-6に沿った外科手術用アクセス装置の上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示の態様は、添付の図面を参照して以下に説明される。しかしながら、開示される態様は、本開示の単なる例示に過ぎず、様々な態様で具体化され得ることを理解されたい。不必要に詳述することで本開示が曖昧になってしまうことがないように、周知の機能又は構成は、詳細には記載されない。したがって、本明細書において開示されている特定の構造的及び機能的な詳細は、限定と解釈されず、単に特許請求の範囲の基礎として、及び本開示を実質的に任意の適切に詳説されている構造で様々に採用するよう当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0033】
本開示の一態様の技術的特徴の説明は、典型的には、本開示の別の態様の他の同様の特徴に利用可能かつ適用可能であると見なされるべきである。したがって、本開示の一態様によって説明された技術的特徴は、本開示の別の態様にも適用可能であり、重複する説明は省略され得る。同一の参照符号は、明細書及び図面を通して同一の構成要素を指すことができる。例示的な外科用アクセスアセンブリの構造及び機能の詳細な説明については、共同所有の米国特許第7,300,448号明細書、同第7,691,089号明細書、及び同第8,926,508号明細書を参照することができ、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
図1~
図3を最初に参照すると、本開示の一態様による外科手術用アクセス装置は、一般に外科手術用アクセス装置10として示される。外科手術用アクセス装置10は、カニューレ100と、カニューレ100に連結されたシールハウジング200とを含む。カニューレ100は、カニューレハウジング108と、カニューレハウジング108から延在する管状部材102とを有する。長手方向軸X-Xは、外科手術用アクセス装置10を通って延在する。管状部材102は、その長さの一部に沿って、カニューレ100が組織に挿入されたときにカニューレ100を安定させるのに役立つリブ又は他の突出部104を含んでもよい。管状部材102は、栓塞子、内視鏡ステープラ、電気外科手術用器具など(図示せず)の外科手術用器具をその中に受容するように構成された管腔106を更に含む。加えて、カニューレハウジング108は、そこから半径方向に延在する弁20を有する。弁は、本体22、ハンドル24、及び弁ポート26を含む。ハンドル24は、ハンドル24の第1の位置が、流体が弁20を通過して流れることを可能にする弁20の開放構成を画定し、ハンドル24の第2の位置が、流体が弁20を通過して流れることを阻止する弁20の閉鎖構成を画定するように、本体22に対して回転可能である。弁20はストップコック弁であってもよい。カニューレハウジング108はまた、ダックビル弁又はゼロ閉鎖弁40を含む。カニューレハウジング108及び管状部材102は、適切な生体適合性ポリマー材料(例えば、ポリカーボネート)から形成される。
【0035】
シールハウジング200は、シールハウジング200内に位置付けられた器具シール220を含み、シールハウジング200のチャネルを通過して挿入された外科手術用器具(図示せず)に密封的に係合する中央開口部224を含む。外科手術用器具が中央開口部224を通って挿入されると、外科手術用器具は器具シール220と係合し、器具シール220は流体密封バリアを提供する。シールハウジング200は、適切な生体適合性ポリマー材料(例えば、ポリカーボネート)から形成される。
【0036】
シールハウジング200の基部は、カニューレハウジング108に解放可能に取り付けられる。タブ112は、カニューレハウジング108から半径方向に延在し、タブ112がカニューレハウジング108に対して遠位方向に移動可能であるように、それに対して弾性的に移動するように構成される。タブ112を遠位に移動させることにより、ユーザは、外科手術用アクセス装置10からシールハウジング200を取り外すために、カニューレハウジング108に対してシールハウジング200を回転させることを可能にする。外科手術用アクセス装置10のカニューレハウジング108へのシールハウジング200の取り付けは、カニューレハウジング108に対してシールハウジング200を反対方向に回転させることを含む。外科手術用アクセス装置のハウジングに取り付け可能な、器具シールを含むシールハウジングの例は、共同所有の米国特許第10,022,149号明細書に記載されており、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
引き続き
図3を参照すると、シールハウジング200は、基部210及びカバー250を含む。基部210は、基部210をカニューレハウジング108に連結するために、カニューレハウジング108の相補的な特徴と位置合わせするプロング212が垂れ下がる、円形フレーム218を有する。カバー250は、下側カバー部分230と上側カバー部分270とを有する。下側カバー部分230は、円形フレーム238及び上面236を有する。器具シール220は、シールハウジング200内に配置され、下側カバー部分230と基部210との間に位置付けられる。器具シール220は、外科手術用器具がそこを通って挿入されていない場合に、シールハウジング200の中心に器具シール220を維持することを容易にするスポーク222を含む。加えて、器具シール220は、そこを通って外科手術用器具を摺動可能に受容するための中央開口部224を有する、膜を含む。外科手術用器具が存在しない場合、中央開口部224は軸Y-Yと一致する。基部210、下側カバー部分230、及び上側カバー部分270は、それぞれの同軸中心開口部214、234、274を含み、これらは、軸Y-Yと一致し、外科手術用アクセス装置10の軸X-Xと位置合わせされる。下側カバー部分230は、組み立て中に下側カバー部分230と基部210とを位置合わせして方向付けるために、基部210のノッチ216を補完するタブ232を有する。下側カバー部分230は、摩擦嵌め、接着剤、超音波溶接などを含むがこれらに限定されない、様々な技術を使用して基部210に接合されてもよい。加えて、下側カバー部分230の上面236は、下側カバー部分230の中央開口部234を概して囲む隆起リブ240を有する。リブ240は、対向する直線部分242によって分離された対向する弓形部分244を含む。直線部分242は、下側カバー部分230のタブ232に概して平行である。弓形部分244の1つは、そこから上面236に沿って下側カバー部分230の中央開口部234に向かって延在するフィンガ246を有する。フィンガ246及び直線部分242は、以下に説明するように、組み立て中に上側及び下側カバー部分270、230の位置合わせを行うために、上側カバー部分270と協働する。弓形部分244のうちの1つから延在するように示されているが、フィンガ246は、直線部分242のうちの1つに配置されてもよい。更に、上側カバー部分270は、上側カバー部分270から半径方向に延在するポート272を含む。
図1に示されるように、ポート272は、チューブ32を介して真空源30に取り付け可能である。上側カバー部分270は、その内面から延在する突起264を含む。
【0038】
図4及び
図6を更に参照すると、カバー250の位置合わせ及び組み立てが示されている。最初に、
図4に見られるように、上側カバー部分270の下側は、そこから垂下する壁260を有する。壁260は、上側カバー部分270の中央開口部274を取り囲むチャンバ262を画定する。加えて、通路267(
図5)が、壁260の内面と突起264との間に画定される。通路267は、突起264、窓268と組み合わせて、ポート272に向かう流体の流れを促進するように構成されたチャンバ262の幾何学的形状を画定する。壁260は、対向する直線部分265によって接続された対向する弓形部分263を有する。壁260の弓形部分263及び直線部分265は、下側カバー部分230上に配置されたリブ240の弓形部分244及び直線部分242に対応する。下側カバー部分230のリブ240は、
図6に示されるように、リブ240の外面が壁260の内面に係合する(すなわち、面一嵌合する)ように、壁260の周囲内に嵌合する。特に、壁260の弓形部分263はリブ240の弓形部分244と位置合わせし、壁260の直線部分265はリブ240の直線部分242と位置合わせし、それによって、組み立て中に上側カバー部分270と下側カバー部分230とを位置合わせし、上側カバー部分270と下側カバー部分230とが互いに対して回転するのを阻止する。壁260の直線部分265は、そこから半径方向に延在する支柱280を有する。壁260の直線部分265と同様に、支柱280は、下側カバー部分230のタブ232と位置合わせされる。アーム266は、上側カバー部分270の下側から延在し、ポート272と正反対に位置する。アーム266は、上側カバー部分270と下側カバー部分230とが互いに取り付けられたときに、アーム266の遠位端が下側カバー部分230の上面236に接触するような長さを有する。同様に、上側カバー部分270が下側カバー部分230に取り付けられたとき、突起264の遠位端は、下側カバー部分230の上面236に接触する。上側カバー部分270及び下側カバー部分230は、相補的な弓形部分263、244及び相補的な直線部分265、242を有するので、上側カバー部分270は、2つの可能な向きのうちの1つでしか下側カバー部分230に取り付けることができない。しかしながら、これら2つの可能な向きのうちの1つは、上側カバー部分270のアーム266を下側カバー部分230のリブ240のフィンガ246と位置合わせする。アーム266とフィンガ246との間の接触は、上側カバー部分270が下側カバー部分230の上面236上に面一に着座することを防止する。上側カバー部分270及び下側カバー部分230を互いに対して180°回転させることにより、アーム266及びフィンガ246を対向関係に位置決めし、上側カバー部分270が下側カバー部分230の上面236上に面一に着座することが可能になる。この配置は、上側カバー部分270と下側カバー部分230との間の適切な位置合わせ及び向きを提供する。
【0039】
図5を更に参照すると、上側カバー部分270の中央開口部274は、上側カバー部分270の下側から垂下し、チャンバ262内に含まれる突起264によって囲まれている。突起264は、隣接する突起264の間に窓268が画定されるように配置される。図示されるように、上側カバー部分270は、4つの突起264及び4つの窓268を有する。上側カバー部分270は、シールハウジング200の機能性を依然として維持しながら、より多くの突起264及び窓268を含んでもよく、又はより少ない突起264及び窓268を含んでもよいことが企図される。各突起264は、概して弓形(すなわち、凹状内面及び凸状外面)であり、その内面上に配置されたレッジを含む。レッジは、突起264の遠位端の近くに位置する。更に、共通の構成を有するものとして示されているが、各突起264は、チャンバ262を画定する窓268及び壁260と協働して、チャンバ262の中央領域からポート272に向かう流路を画定する固有の構成を有してもよいことが企図される。これは、カニューレ100の管状部材102の管腔106から、矢印Aによって示されるように器具シール220の中央開口部224及び矢印Bによって示されるように上側カバー部分270の中央開口部274を通って、チャンバ262に入る流体を包含する。矢印A及びBによって示される流体の流れは、外科手術用アクセス装置10からポート272に向かう流体の流れの大部分であり得ることが企図される。
【0040】
ここで
図5及び
図6を参照すると、シールハウジング200を通る流路が示されている。矢印Cによって示されるように上側カバー部分270のポート272に印加される真空(すなわち、負圧)と併せて、流体(例えば、ガス又は液体)は、任意の同伴微粒子(例えば、煙)とともに、矢印Aによって示されるようにカニューレハウジング108から、かつ/又は矢印Bによって示されるように外科手術用アクセス装置10を取り囲む周囲環境から、シールハウジング200に進入する。流体がカニューレハウジング108又は周囲環境からシールハウジング200に進入するかどうかにかかわらず、流体は、突起264及び関連付けられた窓268によって画定される空洞の中に流入する。そこから、流体の一部は、矢印Dによって示されるように、ポート272から離れ、ポート272の反対側の窓268を通って流れる。加えて、流体の別の部分は、空洞に入り、矢印Eによって示されるように、ポート272に対して横方向に配向された窓268を通って出る。更に、流体の別の部分は、空洞に入り、矢印Fによって示されるように、ポート272に最も近接する窓268を通ってポート272に向かって流れる。突起264及び窓268の構成と、チャンバ262の幾何学的形状との組み合わせにより、矢印D、E、及びFによって示される流体流動の相対量が決定される。
【0041】
突起264のうちの1つ以上が特定のプロファイルを有し得ることが更に企図される。結果として、窓268のうちの1つ以上はまた、特定のプロファイルを有し得る。これらのプロファイルと、上側カバー部分270の壁260によって画定されたチャンバ262との組み合わせにより、シールハウジング200を通る流体流動を向上させ、ポート272を介した外科用アクセスアセンブリ100からの煙を含む流体の除去を容易にする。
【0042】
当業者は、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に例示される装置及び方法は、非限定的であることを理解するであろう。要素及び特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく別の要素及び特徴と組み合わせられ得ることが想到される。同様に、当業者には、本開示の更なる特徴及び利点が認識されよう。