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特許7742431ウェハ搬送システムの検出方法及びウェハ搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-10
(45)【発行日】2025-09-19
(54)【発明の名称】ウェハ搬送システムの検出方法及びウェハ搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20250911BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20250911BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J13/08 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023579692
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2022076587
(87)【国際公開番号】W WO2023103178
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】202111495822.8
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522229031
【氏名又は名称】北京京儀自動化装備技術股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING JINGYI AUTOMATION EQUIPMENT CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】周 亮
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-150227(JP,A)
【文献】特開2017-183704(JP,A)
【文献】特開2021-184438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得し、前記検出振幅をA~Aと表記することであって、前記搬送部材がターゲット位置に到着したことを示す第1のトリガ信号を取得すると、前記検出振幅の取得を開始し、前記ウェハコンタクタと前記ウェハとが分離したことを示す第2のトリガ信号を取得して、プリセット時長だけ遅延すると、前記検出振幅の取得を終了することと、
前記検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得することであって、前記データ処理は、複数回の微分処理、又は複数回の微分処理と加重処理との組み合わせであることであって、前記複数回の微分処理は、一階微分処理された振幅を取得し、B n-1 =A -A n-1 と表記することと、二階微分処理された第1の計算振幅を取得し、C n-2 =B n-1 -B n-1-i と表記することとを含み、ここで、iは正整数であり、nは3より大きい整数であり、n>iであり、前記加重処理は、微分結果と検出結果とを加算して計算振幅を得ることであると、
前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信し、前記提示情報に基づいて前記ウェハコンタクタを交換する時間を確認することであって、前記計算振幅は前記第1の計算振幅として設定されることと、を含むことを特徴とするウェハ搬送システムの検出方法。
【請求項2】
前記した、前記検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得することにおいて、
前記検出振幅が複数回微分処理された第2の計算振幅を取得し、
前記検出振幅及び前記第2の計算振幅が加重処理された第3の計算振幅を取得し、
前記した、前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信することにおいて、
前記第3の計算振幅における最大値が第2のプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信し、
前記した、前記検出振幅及び前記第2の計算振幅が加重処理された第3の計算振幅を取得することにおいて、
一階微分処理された振幅を取得し、B n-1 =A -A n-1 と表記し、
二階微分処理された振幅を取得し、C n-2 =B n-1 -B n-1-i と表記し、
加重処理された前記第3の計算振幅を取得し、D n-2 =K ×A +K ×C n-2 と表記し、
ここで、iは正整数であり、nは3より大きい整数であり、n>iであり、K 、K は加重係数であることを特徴とする
請求項1に記載のウェハ搬送システムの検出方法。
【請求項3】
前記した、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得することにおいて、
少なくとも二つの距離センサにより少なくとも2組の検出振幅を取得し、各前記距離センサは、前記ウェハの異なる位置での前記検出振幅を取得し、
前記した、前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信することにおいて、
少なくとも一つの前記距離センサに対応する前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、前記提示情報を送信することを特徴とする
請求項1に記載のウェハ搬送システムの検出方法。
【請求項4】
前記距離センサは、光学距離センサ、超音波距離センサのうちの少なくとも一つであることを特徴とする
請求項に記載のウェハ搬送システムの検出方法。
【請求項5】
前記した、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得することにおいて、
前記検出振幅は、前記ウェハの上面及び下面のうちの少なくとも一方の振幅であることを特徴とする
請求項1に記載のウェハ搬送システムの検出方法。
【請求項6】
前記した、前記計算振幅がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信することにおいて、
前記提示情報は、事前警告情報及び警報情報のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする
請求項1乃至のいずれか1項に記載のウェハ搬送システムの検出方法。
【請求項7】
距離センサが設けられた載置部材と、前記載置部材にウェハを搬送する搬送部材と、請求項1乃至のいずれか1項に記載のウェハ搬送システムの検出方法の実行を制御するためのコントローラを含むことを特徴とするウェハ搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年12月9日に提出された、出願番号が202111495822.8であり、発明の名称が「ウェハ搬送システムの検出方法及びウェハ搬送システム」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が参照により本文に組み込まれる。
【0002】
本願は、半導体の技術分野に関し、特に、ウェハ搬送システムの検出方法及びウェハ搬送システムに関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路の製造では、搬送部材(例えば、クリーンロボット)にはウェハが載置され、正確な搬送動作が行われる。搬送部材におけるウェハコンタクタは、ウェハを支持して静止摩擦力を発生させてウェハを搬送する役割を果たし、搬送部材は、ウェハを搬送して指定された作業位置に到着した後に、指定された各作業位置にウェハを置く。ウェハコンタクタは、ウェハ搬送過程を完了し続けるのに連れて継続的な摩耗が発生し、且つ、ウェハコンタクタとウェハとの分離過程において粘着が発生しやすい。
【0004】
ウェハが粘着の影響を受けると、ウェハの精度や後続の工程の加工精度に影響が与えられ、例えば、後続の作業位置への衝突問題が現れ、また、ウェハが汚染されて廃棄され、ウェハ加工過程でのロスが多く、加工工程の最適化が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、ウェハ搬送システムの検出方法及びウェハ搬送システムを提供し、ウェハとウェハコンタクタとの間の粘着の量的関係を確立し、当該粘着作用のウェハに対する影響を当該量的関係により予測し、数量化されたウェハコンタクタ交換の基準を効果的に提供し、後続のウェハ製造の潜在的な歩留まりを向上させ、ウェハコンタクタの頻繁な交換によるウェハ製造の生産能力のロス及びウェハコンタクタの無駄の問題を解決する。一方、本願に係るウェハ搬送システムの検出方法及びウェハ搬送システムにより、ウェハコンタクタに多数回の粘着及び摩耗が発生したか否かをタイムリーに発見して、ウェハの加工精度を確保することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、ウェハ搬送システムの検出方法を提供し、当該方法は、
ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得し、前記検出振幅をA~Aと表記することと、
前記検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得することであって、前記データ処理は、複数回の微分処理、又は複数回の微分処理と加重処理との組み合わせであることと、
前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信し、前記提示情報に基づいて前記ウェハコンタクタを交換する時間を確認することと、を含む。
【0007】
本願に係るウェハ搬送システムの検出方法によれば、前記した、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得することにおいて、
前記搬送部材がターゲット位置に到着したことを示す第1のトリガ信号を取得すると、前記検出振幅の取得を開始し、
前記ウェハコンタクタと前記ウェハとが分離したことを示す第2のトリガ信号を取得して、プリセット時長だけ遅延すると、前記検出振幅の取得を終了する。
【0008】
本願に係るウェハ搬送システムの検出方法によれば、前記した、前記検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得することにおいて、
一階微分処理された振幅を取得し、Bn-1=A-An-1と表記し、
二階微分処理された第1の計算振幅を取得し、Cn-2=Bn-1-Bn-1-iと表記し、
ここで、iは正整数であり、nは3より大きい整数であり、n>iであり、
前記した、前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信することにおいて、
前記第1の計算振幅における最大値が第1のプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信する。
【0009】
本願に係るウェハ搬送システムの検出方法によれば、前記した、前記検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得することにおいて、
前記検出振幅が複数回微分処理された第2の計算振幅を取得し、
前記検出振幅及び前記第2の計算振幅が加重処理された第3の計算振幅を取得し、
前記した、前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信することにおいて、
前記第3の計算振幅における最大値が第2のプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信する。
【0010】
本願に係るウェハ搬送システムの検出方法によれば、前記した、前記検出振幅及び前記第2の計算振幅が加重処理された第3の計算振幅を取得することにおいて、
一階微分処理された振幅を取得し、Bn-1=A-An-1と表記し、
二階微分処理された振幅を取得し、Cn-2=Bn-1-Bn-1-iと表記し、
加重処理された前記第3の計算振幅を取得し、Dn-2=K×A+K×Cn-2と表記し、
ここで、iは正整数であり、nは3より大きい整数であり、n>iであり、K、Kは加重係数である。
【0011】
本願に係るウェハ搬送システムの検出方法によれば、前記した、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得することにおいて、
少なくとも二つの距離センサにより少なくとも2組の検出振幅を取得し、各前記距離センサは、前記ウェハの異なる位置での前記検出振幅を取得し、
前記した、前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信することにおいて、
少なくとも一つの前記距離センサに対応する前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信する。
【0012】
本願に係るウェハ搬送システムの検出方法によれば、前記距離センサは、光学距離センサ、超音波距離センサのうちの少なくとも一つである。
【0013】
本願に係るウェハ搬送システムの検出方法によれば、前記した、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得することにおいて、
前記検出振幅は、前記ウェハの上面及び下面のうちの少なくとも一方の振幅である。
【0014】
本願に係るウェハ搬送システムの検出方法によれば、前記した、前記計算振幅がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信することにおいて、
前記提示情報は、事前警告情報及び警報情報のうちの少なくとも一つを含む。
【0015】
本願は、ウェハ搬送システムを更に提供し、当該システムは、距離センサが設けられた載置部材と、前記載置部材にウェハを搬送する搬送部材と、上記のウェハ搬送システムの検出方法の実行を制御するためのコントローラを含む。
【0016】
本願に係るウェハ搬送システムによれば、前記載置部材には、前記ウェハが挿入可能なスロットが開設された支持具が設けられており、前記スロットの頂壁又は底壁に前記距離センサが設置される。
【発明の効果】
【0017】
本願に係るウェハ搬送システムの検出方法は、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程においてウェハが発生した検出振幅を取得し、さらに検出振幅に対してデータ処理を行って計算振幅を得て、計算振幅によりウェハコンタクタとウェハとの間の摩擦を数量化し、計算振幅をプリセット閾値と比較することにより、ウェハコンタクタを交換する必要があるか否かを判定し、問題を解決するようにスタッフに速やかに注意を促すとともに、ウェハコンタクタの早期交換による無駄及び生産停止による生産能力への影響を回避し、人為的に音を聞いた後にウェハコンタクタを交換したり、経験に基づいてウェハコンタクタを交換したりする等の判断方式が主観的な要因に妨害されて判定の正確性が悪くなる問題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、本願又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労働を行わずに、これらの図面に基づいて他の図面をさらに得ることができる。
【0019】
図1】本願に係るウェハ搬送システムの検出方法のフローチャートその1である。
図2】本願に係るウェハ搬送システムの検出方法のフローチャートその2である。
図3】本願に係るウェハ搬送システムの検出方法のフローチャートその3である。
図4】本願に係るウェハ搬送システムの検出方法における距離センサが検出した検出振幅と時間との関係図である。
図5】本願に係るウェハ搬送システムの検出方法における二階微分処理された振幅と時間との関係図である。
図6】本願に係るウェハ搬送システムの検出方法における聴覚センサが検出した検出音強度と時間との関係図である。
図7】本願に係るウェハ搬送システムの検出方法における検出音強度、二階微分処理された音強度及び加重処理された音強度と時間との関係図である。
図8】本願に係るウェハ搬送システムの平面視構造の概略図である。
図9】本願に係るウェハ搬送システムの側面視構造の概略図である。
図10図9におけるA部位の部分拡大構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、本願における図面を参照しながら、本願における技術案を明確かつ完全に説明する。勿論、説明する実施形態は、全ての実施形態ではなく、本願の一部の実施形態に過ぎない。本願における実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働をしないうちに取得する全ての他の実施形態は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0021】
本願の第1の態様の実施形態は、図1に示すように、ウェハ搬送システムの検出方法を提供し、下記のステップ110及びステップ120を含む。
【0022】
ステップ110において、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの振動信号を取得する。
【0023】
ウェハが搬送部材のウェハコンタクタから離れて載置部材に配置された時に、ウェハコンタクタは、長期の使用により摩耗が発生し、ウェハコンタクタの表面摩擦力が増大し、ウェハとウェハコンタクタとの間に粘着が発生し、その粘着によりウェハとウェハコンタクタとの分離過程においてウェハに振動が発生した。ここで、振動信号とは、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程において、ウェハとウェハコンタクタとの粘着によりウェハに発生する振幅、振動周波数等のような振動信号を特徴付けるものである。
【0024】
ここでの振動信号は、センサにより検出された信号であってもよく、この時で検出された振動信号は、外部条件の影響を受けたノイズが小さく、システムにおけるプリセット閾値の設定に影響を与えず、エラー警報が発生する確率は許容範囲内にある。或いは、振動信号は、検出振動信号がデータ処理された計算振動信号であり、計算振動信号は、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生する振動をより正確に特徴付けることができ、エラー警報の発生を回避することができる。
【0025】
ステップ120において、振動信号がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信する。
【0026】
ここで、提示情報は、事前警告情報、警報情報等であってもよく、提示情報は、音や光による提示、音声提示、文字情報提示等であってもよく、それにより、スタッフがウェハコンタクタを容易にチェックすることができ、さらに、スタッフは、提示情報の指示に従ってウェハコンタクタを交換する。プリセット閾値は、後続の工程における警報提示、ウェハの加工精度又はウェハ加工の歩留まり等の条件に基づいて、試験を経て得ることができる。
【0027】
プリセット閾値は、振動信号に対応する振幅又は振動周波数である。
【0028】
本実施形態に係るウェハ搬送システムの検出方法は、ウェハとウェハコンタクタとが分離する時の粘着に対して数量化処理を行い、さらに、データ分析により、事前警告及び警報を行うことができる。つまり、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程においてウェハに発生した振動信号を検出することにより、数量化された振動信号を参照してウェハコンタクタを交換するか否かを判断し、問題を解決するようにスタッフに速やかに注意を促するとともに、ウェハコンタクタの早期交換による無駄及び生産停止による生産能力への影響を回避し、人為的に音を聞いた後にウェハコンタクタを交換したり、経験に基づいてウェハコンタクタを交換したりする等の判断方式に主観的な要因が存在する問題を解決した。
【0029】
一部の実施形態において、図2に示すように、ステップ110は、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの振動信号を取得することであり、ステップ120は、振動信号がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信することであり、具体的に、下記のステップ210、ステップ220及びステップ230を含む。
【0030】
ステップ210において、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得し、前記検出振幅をA~Aと表記する。
【0031】
ステップ220において、検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得し、前記データ処理は、複数回の微分処理、又は複数回の微分処理と加重処理との組み合わせである。
【0032】
ステップ230において、計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信し、前記提示情報に基づいて前記ウェハコンタクタを交換する時間を確認する。
【0033】
ウェハの振幅(ウェハとウェハコンタクタとの分離過程においてウェハに発生した振幅)により、ウェハとウェハコンタクタとの間の粘着作用力の大きさを数量化し、それにより、ウェハコンタクタを交換する必要があるか否かを判定する。ウェハの振幅検出の過程において、環境要因による検出結果への干渉は比較的に小さく、検出精度の向上に寄与する。
【0034】
ここで、検出振幅は、距離センサにより検出されてもよく、距離センサは、多様な種類があるが、検出精度に応じて対応する距離センサを選択すればよい。
【0035】
例えば、光学距離センサ、超音波距離センサ、赤外線距離センサ及びレーザ測距センサ等があり、センサは、検出振幅を取得するように測距の機能を有し、必要に応じて具体的にセンサの種類を選択することができる。
【0036】
各ウェハコンタクタが搬送するウェハは、振幅が変化するデータであり、ウェハとウェハコンタクタとが分離する時の瞬時振幅が最大であり、距離センサが検出した振幅は、各ウェハの複数の時点での振幅であり、ここで、ウェハの最大振幅とプリセット閾値とを比較する。無論、場合によっては、ウェハのある期間における平均振幅とプリセット閾値とを比較してもよい。
【0037】
ここで、距離センサは、超音波測距センサ又は光学距離センサである。超音波測距センサ及び光学距離センサは、いずれも環境干渉からの影響が小さく、測定精度が高く、且つ寿命が長いという特徴を有する。
【0038】
なお、検出振幅の正確性が十分に高く、プリセット閾値の設定に影響を与えず、つまり、エラー警報が発生する確率は許容範囲内にある場合、検出振幅を対応するプリセット閾値と直接比較し、比較結果に基づいて提示情報を送信することができる。
【0039】
一部の実施形態において、ステップ210において、前記した、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得するステップは、下記のステップ211及びステップ212を含む。
【0040】
ステップ211において、前記搬送部材がターゲット位置に到着したことを示す第1のトリガ信号を取得すると、前記検出振幅の取得を開始する。
【0041】
搬送部材が載置部材の上部に到着し、ウェハが配置可能な位置に位置決められると、搬送部材はウェハに対する支持力を解除する。ウェハは重力の作用で載置部材上に自動的に落下する。搬送部材がターゲット位置に到着したと、搬送部材はウェハに対する支持力を解除し、この時、検出を開始する。このようにして、ウェハとウェハコンタクタとの分離が速過ぎて検出漏れが生じることを回避し、ウェハとウェハコンタクタとが分離する時のウェハの振幅を正確に検出できることを確保する。
【0042】
ステップ212において、前記ウェハコンタクタと前記ウェハとが分離したことを示す第2のトリガ信号を取得して、プリセット時長だけ遅延すると、前記検出振幅の取得を終了する。
【0043】
ここで、コントローラは、支持作用力を解除する信号を搬送部材に送信すると、ウェハとウェハコンタクタとが分離し始め、この信号を第2のトリガ信号としてもよく、或いは、ウェハとウェハコンタクタとが分離する時に、ウェハコンタクタの荷重状態が変化し、コントローラは、ウェハコンタクタの荷重状態が変化したことを示す信号を取得し、それを第2のトリガ信号とし、無論、第2のトリガ信号は、上述した手段により取得されたものに限定されず、他の方式によるものであってもよい。
【0044】
ここで、遅延したプリセット時長は、必要に応じて選択することができる。場合によっては、ウェハとウェハコンタクタとが分離する速度は、ミリ秒レベルであり、プリセット時長はミリ秒レベル又は秒レベルに設定されてもよい。なお、プリセット時長は、搬送部材が次のウェハを搬送してターゲット位置に到着する前に終了する必要がある。
【0045】
本実施形態における時間帯に従って検出振幅を取得することにより、ウェハとウェハコンタクタとが分離する時の振幅が正確に捕捉されることが確保され、無効データを低減させ、処理する必要があるデータ量を低減させることができる。
【0046】
一部の実施形態において、ステップ211において、前記ターゲット位置は、搬送部材がウェハを配置するのに適した位置である。
【0047】
搬送部材がターゲット位置に到着することは、センサがトリガされることにより検出することができ、或いは、コントローラは、搬送部材が搬送動作を完了したことを知ると、搬送部材がターゲット位置に到着したことになる。
【0048】
一部の実施形態において、ステップ220において、前記検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得するステップにおいて、
データ処理は、微分処理であり、つまり、検出振幅に対して微分処理を行うことにより計算振幅を取得し、プリセット閾値がプリセット振幅である。
【0049】
微分処理が行われたことにより、データがより安定し、そして、ウェハコンタクタに対する判定結果がより正確になる。プリセット振幅は、試験結果を予め微分処理して得られた結果である。
【0050】
ここで、微分処理は、一階微分処理、二階微分処理又は複数階微分処理であってもよい。
【0051】
一部の実施形態において、ステップ220において、前記検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得するステップにおいて、
一階微分処理された振幅を取得し、Bn-1=A-An-1と表記し、
二階微分処理された第1の計算振幅を取得し、Cn-2=Bn-1-Bn-1-iと表記し、
ここで、iは正整数であり、nは3より大きい整数であり、n>iである。
【0052】
ステップ230において、前記した、前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信するステップにおいて、
前記第1の計算振幅における最大値が第1のプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信する。具体的に、収集した検出振幅は、A、A、A、A、…、Aであり、
一階微分処理された後の振幅は、B=A-A、B=A-A、B=A-A、…、Bn-1=A-An-1であり、
二階微分処理された後の振幅は、C=B-B、C=B-B、…、Cn-2=Bn-1-Bn-2である。ここで、i=1である。
【0053】
一部の実施形態において、ステップ220において、前記した、前記検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得するステップにおいて、
データ処理は、微分処理及び加重処理であり、つまり、検出振幅に対して微分処理及び加重処理を行い、つまり、データ処理により計算振幅を取得し、プリセット閾値は、プリセット振幅である。
【0054】
微分処理に基づいて、加重処理を行い、つまり、微分結果と検出結果とを加算して計算振幅を得ることにより、データ分析がより正確になり、ウェハコンタクタに対する判定結果がより正確になる。
【0055】
本実施形態に係る方法は、微分処理のみを行なう方法と比べると、微分処理と加重処理との組み合わせにより、データがより正確で直感的に表現され、検出正確性の向上に寄与する。
【0056】
一部の実施形態において、ステップ220において、前記した、前記検出振幅がデータ処理された計算振幅を取得するステップにおいて、
前記検出振幅が複数回微分処理された第2の計算振幅を取得し、
前記検出振幅及び前記第2の計算振幅が加重処理された第3の計算振幅を取得し、
前記した、前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信するステップにおいて、
前記第3の計算振幅における最大値が第2のプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信する。
【0057】
一部の実施形態において、前記第3の計算振幅における最大値が第2のプリセット閾値以上であると判定するステップにおいて、
一階微分処理された振幅を取得し、Bn-1=A-An-1と表記し、
二階微分処理された前記第2の計算振幅を取得し、Cn-2=Bn-1-Bn-1-iと表記し、
加重処理された前記第3の計算振幅を取得し、Dn-2=K×A+K×Cn-2と表記し、
ここで、iは正整数であり、nは3より大きい整数であり、n>iであり、K、Kは加重係数である。
【0058】
本実施形態において、上述した二階微分の方法を用いて、コンピュータ処理の速度を速くし、システムが速やかに応答できるようにし、iは異なる結果需要に応じて調整することができ、ここで、iの値が大きいほど、コンピュータの処理速度がより速くなるが、二階微分の精度は低下する。逆に、iの値が小さいほど、より多くのコンピュータリソースが占有されるが、二階微分の精度は向上する。K、Kも最後の検出可能性結果に応じてさらなる増幅調整を行うことができる。
【0059】
ここで、K、Kの値は一般的に1より大きく、加重処理の主な役割は、振幅に対する増幅作用である。このように、事前警告閾値及び警報閾値の閾値をより大きい範囲に設計し、エラー警報を回避することができる。
【0060】
具体的に、収集した検出振幅は、A、A、A、A、…、Aであり、
一階微分処理された後の振幅は、B=A-A、B=A-A、B=A-A、…、Bn-1=A-An-1であり、
二階微分処理された後の振幅は、C=B-B、C=B-B、…、Cn-2=Bn-1-Bn-2であり、
加重処理された後の振幅は、D=K×A+K×C、D=K×A+K×C、…、Dn-3=K×A+K×Cn-2である。
【0061】
一部の実施形態において、ステップ210において、前記した、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得するステップにおいて、
少なくとも二つの距離センサにより少なくとも2組の検出振幅を取得し、
複数の距離センサが、複数組の検出振幅を検出することができ、複数組のデータは、互いに照合することができ、個別の距離センサの故障により全体の効果に影響を与えることを回避することができる。
【0062】
ここで、各前記距離センサは、前記ウェハの異なる位置での前記検出振幅を取得し、
複数組の異なる位置での検出振幅は、互いに照合することができる。場合によっては、ウェハの異なる位置に応じて、検出振幅の範囲は異なっており、その対応するプリセット閾値は異なっている。
【0063】
前記した、前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信するステップにおいて、
少なくとも一つの前記距離センサに対応する前記計算振幅における最大値がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信する。
【0064】
複数の距離センサは、ウェハの振動信号を同時に受信して、分析結果を出力する。距離センサが出力した結果が合致し又は許容された誤差範囲内にある場合、次のデータ処理を行い、それにより、単一の距離センサの故障、及び単一の距離センサに存在する大きな検出誤差等の問題を解決する。
【0065】
距離センサを2つ設置することを例として、そのうちの一方の距離センサが故障する場合、他方の距離センサにより監測を行うことができ、それにより、ウェハ搬送過程に対して継続的に監測することができる。さらに、光学距離センサが検出した2組のデータの平均数を求め、データの安定性をより良くすることができる。
【0066】
一部の実施形態において、ステップ210において、前記した、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得するステップにおいて、
前記検出振幅は、前記ウェハの上面及び下面のうちの少なくとも一方の振幅である。
【0067】
検出振幅は、ウェハの上面の振幅であってもよく、ウェハの下面の振幅であってもよく、ウェハの上面と下面の振幅を同時に検出してもよい。
【0068】
一部の実施形態において、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの検出振幅を取得するステップの前に、
距離センサを載置部材に設置することをさらに含む。
【0069】
さらに、距離センサは、ウェハを載置するための載置部材に設置される。距離センサは、支持具によってウェハの上方又は下方に固定され、それにより、ウェハの振幅を正確に収集することが容易になる。ここで、距離センサは、ウェハの外周に近い位置に設置され、それにより、ウェハの外周の振幅を検出し、ウェハの外周の振動幅が比較的大きく、検出された振幅がより顕著であり、ウェハコンタクタの摩耗状況を容易に判断することができる。
【0070】
一部の実施形態において、ステップ230において、計算振幅がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信するステップにおいて、
提示情報は、事前警告情報及び警報情報のうちの少なくとも一つを含み、それにより、提示情報に基づいてウェハコンタクタを交換する時間を確認する。
【0071】
ここで、計算振幅が警報閾値以上である場合、警報情報を送信し、警報情報は、ウェハコンタクタを交換する必要があることをスタッフに提示するためのものであり、振動信号が事前警告閾値以上である場合、事前警告情報を送信し、事前警告情報は、ウェハコンタクタがすぐに使用寿命に達することをスタッフに提示するためのものである。
【0072】
一つ具体的な実施形態において、図3に示すように、ウェハ搬送過程において、コントローラ(即ち、CPU)は、搬送部材(例えば、クリーンロボット)がウェハステージからウェハを取り、載置部材の作業位置にウェハを配置するように制御し、配置過程において、ウェハコンタクタとウェハとが分離する時に粘着が発生し、それにより、ウェハコンタクタとウェハとの分離過程において、ウェハに振動が発生し、光学距離センサ1と光学距離センサ2はそれぞれ検出振幅を受信し、2つの光学距離センサが受信した検出振幅は、データ比較分析システムにより処理され、データ比較分析システムは、検出振幅に対して上述した微分処理及び加重処理を行って計算振幅を得、終点検出システムで計算振幅とプリセット閾値とを比較し、計算振幅がプリセット閾値以上である場合、事前警告又は警報を行う。
【0073】
本実施形態は、光学距離センサによりウェハの振幅を収集し、データ分析と組み合わせることにより、クリーンロボットの知能的な予断を可能にし、ウェハコンタクタに対する終点検出を実現し、数量化されたモデル及びデータにより正確に分析し、それにより、ウェハコンタクタを交換する必要があるか否かを予断しやすくし、問題を解決するようにスタッフに速やかに注意を促すとともに、ウェハコンタクタの早期交換による無駄及び生産停止による生産能力への影響を回避し、データ化された知能判断を実現した。
【0074】
図4に示すように、ウェハを配置する動作を4回経た、2組の光学距離センサがデータを同時に収集して取得した検出振幅(即ち、ウェハが上下に浮動する変位)と時間との関係を示し、横座標は時間であり、縦座標は検出振幅である。図5に示すように、図4におけるデータを分析処理して得た二階微分処理された振幅と時間との関係を示し、横座標は時間であり、縦座標は二階微分処理された計算振幅である。これらの図から、検出振幅のデータの浮動が比較的小さいことが分かる。二階微分処理された後、計算振幅のデータの浮動が増大し、比較及び判断が容易になる。図において、プリセット閾値は、事前警告閾値及び警報閾値を含み、事前警告閾値及び警報閾値は、振幅の閾値である。コントローラは、設定された閾値と二階微分処理されたデータとを比較し、事前警告及び警報メカニズムの起動を行う。
【0075】
一部の実施形態において、上記のウェハ搬送システムの検出方法は、
ウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生した第1の音信号を取得することをさらに含み、ここで、ウェハコンタクタは、搬送部材に設けられて、ウェハを支持するために用いられる。
【0076】
ウェハが搬送部材により載置部材に搬送される過程において、搬送部材のウェハコンタクタはウェハを支持し、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程において、ウェハコンタクタは長期の使用により摩耗が発生し、ウェハコンタクタの表面摩擦力が増大し、ウェハとウェハコンタクタとの間に摩擦により粘着が発生し、音が発生する。第1の音信号は、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程における摩擦により発生した音信号を特徴付けるためのものである。
【0077】
ここで、第1の音信号は、センサにより直接検出した検出音信号、即ち、検出されたウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生した音信号であってもよく、この場合、検出音信号は、正確性が十分に高く、ノイズが十分に小さく、プリセット閾値の設定に影響を与えず、エラー警報の発生確率が許容範囲内にあることを満たす必要がある。或いは、第1の音信号は、検出音信号を処理した第2の音信号であり、検出音信号の正確性が高くない場合に適用され、第2の音信号は、検出音信号に対してノイズ除去処理を行って得られ、第2の音信号のノイズが十分に小さく、プリセット閾値の設定に影響を与えず、エラー警報の発生確率が許容範囲内にある。或いは、第1の音信号は、検出音信号を処理して計算して得られた計算音信号であり、計算音信号は、ノイズ除去処理及び信号統合を経て、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生した音信号をより正確に特徴付け、エラー警報の発生を回避することができる。
【0078】
第1の音信号がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信する。
【0079】
ここで、提示情報は、事前警告情報、警報情報等であってもよく、提示情報は、音や光による提示、音声提示、文字情報提示等であってもよく、それにより、スタッフがウェハコンタクタを容易にチェックすることができ、さらに、スタッフは、提示情報の指示に従ってウェハコンタクタを交換する。プリセット閾値は、後続の工程における警報提示、ウェハの加工精度又はウェハ加工の歩留まり等の条件に基づいて、試験を経て得ることができる。
【0080】
第1の音信号は、音の強度、周波数等のパラメータであってもよく、それに対応して、プリセット閾値も強度、周波数等のパラメータである。第1の音信号がプリセット閾値以上である場合、第1の音信号は、検出した最大音信号、又はプリセット時間帯内の平均音信号であってもよい。場合によっては、第1の音信号は、検出した最大音信号であってもよく、判断の正確性が高い。
【0081】
つまり、ウェハと搬送部材のウェハコンタクタとの分離過程における前記ウェハの振動信号と第1の音信号とを同時に取得し、両者を組み合わせ、そのうちの一方が対応するプリセット閾値以上である場合、提示情報を発信することができる。2種類の検出方式を組み合わせることにより、多様化の面からウェハコンタクタの表面状態を検出することができる。
【0082】
本実施形態におけるウェハ搬送システムの検出方法は、ウェハとウェハコンタクタとが分離する時の粘着に対して数量化処理を行い、さらに、データ分析により、事前警告及び警報を行う。つまり、ウェハがウェハコンタクタから離脱したことにより発生した音信号を測定し、数量化された音信号と組み合わせて、ウェハコンタクタを交換するか否かを判断し、問題を解決するようにスタッフに速やかに注意を促すとともに、ウェハコンタクタの早期交換による無駄及び生産停止による生産能力への影響を回避し、人為的に音を聞いた後にウェハコンタクタを交換したり、経験に基づいてウェハコンタクタを交換したりする等の判断方式が主観的な要素に妨害されて判定の正確性が悪くなる問題を解決した。
【0083】
一部の実施形態において、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生した第1の音信号を取得するステップの前に、
聴覚センサにより検出音信号を取得することと、
前記検出音信号に基づいて前記第1の音信号を決定することと、をさらに含む。
【0084】
検出音信号の正確度が十分に高く、エラー警報の回数が許容範囲内にある場合、検出音信号を第1の音信号とすることができ、検出音信号とプリセット閾値とを比較する。検出音信号におけるノイズ信号が比較的多い場合、検出音信号を処理して第1の音信号を取得する。
【0085】
聴覚センサは、音の周波数、強度等の情報を検出するものである。聴覚センサに係る技術は、成熟して安定しており、収集精度は実際な必要に応じて選択することができる。一般的に、検出音信号は、聴覚センサにより収集された音信号、即ち、環境における全ての音信号である。
【0086】
一部の実施形態において、前記検出音信号に基づいて前記第1の音信号を決定するステップの後に、
検出音信号に対してデータ処理を行うことにより、第1の音信号を取得することをさらに含む。
【0087】
データ処理は、ノイズ除去処理及びデータ統合を含み、ノイズ除去処理は、検出音信号における干渉信号、例えば、機器作動の音信号、環境における他の音信号を除去することにより、検出音信号のうちのウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生した音信号を保留し、ノイズ除去処理の後の音信号に対してデータ統合をさらに行い、データ統合の後の音信号を第1の音信号とする。
【0088】
一部の実施形態において、検出音信号に対してデータ処理を行うステップにおいて、
プリセット時間帯内で検出音信号のうちのプリセット周波数帯域にある第2の音信号を取得することであって、ノイズ除去処理ステップとして理解され得ることと、
第2の音信号に対応する検出音強度を取得し、前記検出音強度をD1~Dnと表記することと、をさらに含む。
【0089】
プリセット時間帯は、ウェハが搬送部材から載置部材に配置される時間帯であり、プリセット時間帯の始点は、ウェハが載置部材に搬送されたことが検出される時点であってもよく、プリセット時間帯の終点は、搬送部材の基体が載置部材から離れる時点であってもよい。ここで、ウェハの位置の検出は、カメラ又は位置センサにより実行されてもよい。また、プリセット時間帯は、搬送部材がウェハを搬送する周期に基づいて予め設置された時間帯であってもよく、例えば、搬送周期は10秒であり、10秒ごとに2秒監測し、つまり、プリセット時間帯は2秒である。
【0090】
プリセット周波数帯域は、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生する振動の周波数帯域であり、プリセット周波数帯域は事前試験により測定されてもよい。ここで、検出された検出音信号はフーリエ変換を経て、対応する特徴周波数及び対応する音強度を抽出することができる。
【0091】
音強度は、ウェハの振動状態を直感的かつ正確的に反映することができる。この場合、プリセット閾値は、プリセット音強度であり、検出音強度とプリセット音強度とを比較し、検出音強度がプリセット音強度以上であると判定した場合、提示情報を送信する。
【0092】
なお、第2の音信号は、プリセット音強度範囲内にある音周波数であってもよく、第2の音信号を第1の音信号とし、第2の音信号とプリセット閾値とを比較してもよく、この場合、プリセット閾値は、プリセット音周波数である。
【0093】
一部の実施形態において、前記プリセット時間帯については、
前記搬送部材がターゲット位置に到着したことを示す第1のトリガ信号を取得するのは、前記プリセット時間帯の開始時間点であり、
前記ウェハコンタクタと前記ウェハとが分離したことを示す第2のトリガ信号を取得して、プリセット時長だけ遅延した後のは、前記プリセット時間帯の終了時間点である。
【0094】
本実施形態において、第1のトリガ信号及び第2のトリガ信号は、上述した振動信号を収集する第1のトリガ信号及び第2のトリガ信号と同じであり、上述した内容を参照することができ、ここでは詳細な説明を省略する。
【0095】
一部の実施形態において、第2の音信号に対応する検出音強度を取得するステップの後に、
検出音強度に対して微分処理を行うことにより第1の計算音強度を取得し、第1の計算音強度における最大値を第1の音信号とすることをさらに含み、ここで、プリセット閾値は、第1のプリセット音強度である。
【0096】
本実施形態は、データ統合方式を提供する。微分処理が行われたことにより、データがより安定し、そして、ウェハコンタクタに対する判定結果がより正確になる。第1のプリセット音強度は、試験結果を予めに微分処理した結果である。ウェハとウェハコンタクタとが分離する瞬間で発生する音信号は最大である場合、第1の計算音強度における最大値を第1の音信号とし、検出の正確性がより高くなる。
【0097】
ここで、微分処理は、一階微分処理、二階微分処理又は複数階微分処理であってもよい。
【0098】
一部の実施形態において、検出音強度に対して微分処理を行うステップにおいて、
一階微分処理された音強度を取得し、En-1=D-Dn-iと表記し、
二階微分処理された音強度を取得し、Fn-2=En-1-En-1-iと表記し、
ここで、二階微分処理された音強度を第1の計算音強度とし、iは正整数であり、iは異なる結果需要に応じて調整することができ、nは3より大きい整数であり、n>iである。
【0099】
具体的に、収集された検出音強度は、D、D、D、D、…、Dであり、
一階微分処理された音強度は、E=D-D、E=D-D、E=D-D、…、En-1=D-Dn-1であり、
二階微分処理された音強度は、F=E-E、F=E-E、…、Fn-2=En-1-En-2であり、ここで、i=1とする。
【0100】
一部の実施形態において、第2の音信号に対応する検出音強度を取得するステップの後に、
検出音強度に対して微分処理及び加重処理を行うことにより、第2の計算音強度を取得し、第2の計算音強度を第1の音信号とすることをさらに含み、ここで、プリセット閾値は、第2のプリセット音強度である。
【0101】
本実施形態は、別のデータ統合方式を提供する。微分処理に基づいて、加重処理を行い、つまり、微分結果と検出結果とを加算して第2の計算音強度を得ることにより、音強度データをより安定化させる。
【0102】
本実施形態に係る方法は、微分処理のみを行う方法と比べると、微分処理と加重処理との組み合わせにより、データがより正確で直感的に表現され、検出正確性の向上に寄与する。
【0103】
一部の実施形態において、検出音強度に対して微分処理及び加重処理を行うステップにおいて、
一階微分処理された音強度En-1=D-Dn-iを取得し、
二階微分処理された音強度Fn-2=En-1-En-1-iを取得し、
加重処理された音強度G=K×D+K×Fn-2を取得し、
ここで、加重処理された音強度を第2の計算音強度とし、iは正整数であり、nは3より大きい整数であり、n>iであり、K、Kは加重係数である。
【0104】
、Kの値は、一般的に1より大きく、加重処理の主な役割は、音強度に対する増幅作用である。このように、事前警告閾値及び警報閾値の閾値をより大きい範囲に設計し、エラー警報を回避することができる。
【0105】
本実施形態において、上述した二階微分の方法を用いて、コンピュータ処理の速度を速くし、システムが速やかに応答できるようにし、iは異なる結果需要に応じて調整することができ、ここで、iの値が大きいほど、コンピュータの処理速度がより速くなるが、二階微分の精度は低下する。逆に、iの値が小さいほど、より多くのコンピュータリソースが占有されるが、二階微分の精度は向上する。K、Kも最後の検出可能性結果に応じてさらなる増幅調整を行うことができる。
【0106】
具体的に、収集された検出音強度は、D、D、D、D、…、Dであり、
一階微分処理された後の音強度は、E=D-D、E=D-D、E=D-D、…、En-1=D-Dn-1であり、
二階微分処理された後の音強度は、F=E-E、F=E-E、…、Fn-2=En-1-En-2であり、
加重処理された後の音強度は、G=K×G+K×F、G=K×G+K×F、…、Gn-3=K×G+K×Fn-2であり、ここで、i=1とする。
【0107】
一部の実施形態において、聴覚センサにより検出音信号を取得するステップの前に、
聴覚センサを少なくとも2つ設置することをさらに含む。
【0108】
一部の実施形態において、前記した、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生した第1の音信号を取得するステップにおいて、
少なくとも二つの聴覚センサにより少なくとも2組の前記第1の音信号を取得し、
前記した、前記第1の音信号がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信するステップにおいて、
少なくとも一つの前記聴覚センサに対応する前記第1の音信号がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信する。
【0109】
複数の聴覚センサは、音信号を同時に受信して、分析結果を出力する。複数の聴覚センサが出力した結果が合致し又は許容された誤差範囲内にある場合、次のノイズ除去処理を行い、それにより、単一の聴覚センサの故障、及び単一の聴覚センサに存在する大きな検出誤差等の問題を解決する。
【0110】
聴覚センサを2つ設置することを例として、そのうちの一方の聴覚センサが故障する場合、他方の聴覚センサにより監測を行うことができ、それにより、ウェハ搬送過程に対して継続的に監測することができる。さらに、二つの聴覚センサが検出した2組のデータの平均数を求め、データの安定性をより良くすることができる。
【0111】
ここで、前記第1の音信号が閾値以上であると判定することは、前記第1の音信号における最大値が閾値以上であると判定すると理解され得る。第1の音信号における最大値は、ウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生した音信号に最も近い。
【0112】
さらに、聴覚センサは、ウェハを載置するための載置部材に設置され、及び/又は、聴覚センサは、ウェハコンタクタが取り付けられた搬送部材に設置される。聴覚センサは搬送部材に設置されることにより、聴覚センサがウェハコンタクタに近接して、ウェハとウェハコンタクタの摩擦により発生した音信号を正確に収集しやすくする。聴覚センサは載置部材に設置され、聴覚センサは固定されており、移動による聴覚センサの検出データへの干渉を回避することができ、聴覚センサの安定性も確保できる。
【0113】
一部の実施形態において、第1の音信号がプリセット閾値以上であると判定した場合、提示情報を送信するステップにおいて、
提示情報に基づいてウェハコンタクタを交換する時間を決定するように、提示情報が事前警告情報及び警報情報のうちの少なくとも一つを含む。
【0114】
ここで、第1の音信号が警報閾値以上である場合、警報情報を送信し、警報情報は、ウェハコンタクタを交換する必要があることをスタッフに提示するためのものであり、第1の音信号が事前警告閾値以上である場合、事前警告情報を送信し、事前警告情報は、ウェハコンタクタをすぐに交換する必要があることをスタッフに提示するためのものである。
【0115】
一つ具体的な実施形態において、ウェハ搬送過程において、コントローラ(即ち、CPU)は、搬送部材(例えば、クリーンロボット)がウェハステージからウェハを取り、ウェハを載置部材の作業位置に配置するように制御し、配置過程において、ウェハコンタクタがウェハと分離し、この過程において、聴覚センサ1及び聴覚センサ2はそれぞれ音信号を受信し、2つの聴覚センサが受信した検出音信号は、データ比較分析システムにより処理され、データ比較分析システムは、検出音信号に対して上述したノイズ除去処理、微分処理及び加重処理を行って第1の音信号を得、終点検出システムで第1の音信号とプリセット閾値とを比較し、第1の音信号がプリセット閾値以上である場合、事前警告又は警報を行う。
【0116】
本実施形態は、聴覚センサにより特徴周波数である音強度を収集し、データ分析と組み合わせることにより、クリーンロボットの知能的な予断を可能にし、ウェハコンタクタに対する終点検出を実現し、数量化されたモデル及びデータにより正確に分析し、それにより、ウェハコンタクタを交換する必要があるか否かを予断し、問題を解決するようにスタッフに速やかに注意を促すとともに、ウェハコンタクタの早期交換による無駄及び生産停止による生産能力への影響を回避し、データ化された知能判断を実現した。
【0117】
図6に示すように、ウェハを搬送する動作を4回経た、2組の聴覚センサがデータを同時に収集して取得した検出音強度と時間との関係を示し、横座標は時間であり、縦座標は検出音強度である。図7に示すように、検出音強度、及び図6におけるデータが二階微分処理された音強度及び終点検出加重処理された音強度を示し、ここで、終点検出加重処理された音強度は、二階微分処理された上で加重処理して得られたものであり、横座標は時間であり、縦座標は音強度である。これらの図から、検出音強度のデータの浮動が比較的小さいことが分かる。二階微分処理された後、音強度のデータの浮動が増大し、二階微分処理及び加重処理が行われた後、音強度のデータの浮動が明らかに増大し、比較及び判断が容易になる。図において、プリセット閾値は、事前警告閾値及び警報閾値を含み、事前警告閾値及び警報閾値は、音強度の閾値である。ウェハ搬送システムのコントローラは、設定された閾値と当該終点検出加重処理されたデータとを比較することにより、事前警告及び警報メカニズムの起動を行う。
【0118】
なお、ウェハ搬送システムの検出方法は、上記の実施形態における第1の音信号及び振動信号を同時に取得し、2種の信号を同時に検出するため、検出の正確性の向上に寄与することができる。
【0119】
本願に係る第2の態様の実施形態は、図8から図10に示すように、ウェハ搬送システムを提供し、当該システムは、載置部材2と、載置部材2にウェハ5を搬送する搬送部材1とを含み、載置部材2には振動信号を検出するためのセンサが設けられており、振動信号はウェハとウェハコンタクタとの分離過程において発生する振動である。
【0120】
搬送部材1はウェハステージ3からウェハ5を取得し、さらに、搬送部材1のリニアモータ12の駆動により載置部材2にウェハ5を送り込み、搬送部材1の基体13がウェハ5を搬送して載置部材2まで移動し、ウェハ5が第1の載置具21又は第2の載置具22に配置される。搬送部材1及び載置部材2はいずれもマシンフレーム4内に設置される。
【0121】
ウェハ5はウェハコンタクタ11から離れる時に粘着が発生し、それにより、ウェハ5とウェハコンタクタ11との分離過程において、ウェハ5に振動が発生し、センサが振動信号を取得することにより、ウェハの振動を特徴付け、ここで、センサは、聴覚センサ、音センサ又は距離センサ等であってもよく、センサは、多様な種類があるが、ウェハとウェハコンタクタとの間の粘着により発生する振動信号を測定できるものであればよい。
【0122】
ここで、距離センサは、光学距離センサ24であってもよく、ウェハ5とウェハコンタクタ11とが分離した後、光学距離センサ24は、ウェハが粘着作用を受けて上下に浮動することによって発生する変位をリアルタイムに検出する。光学距離センサは、ウェハの振幅を正確に検出することができる。
【0123】
光学距離センサ24は、一つ又は複数設置されてもよい。光学距離センサ24を一つ設置した場合、システムの構造は簡単で、データ処理過程も簡単である。光学距離センサ24を複数設置した場合、光学距離センサ24が測定したデータは互いに確認することができ、センサの問題によるエラートリガが発生しないことは確保される。
【0124】
本実施形態及び以下の実施形態に係るウェハ搬送システムは、コントローラをさらに含み、コントローラは、上述した一つ又は複数の実施形態におけるウェハ搬送システムの検出方法の実行を制御ために用いられ、上述した有益な効果を有し、ここでは詳細な説明を省略し、上述した内容を参照することができる。
【0125】
本実施形態に係るウェハ搬送システムは、ウェハとウェハコンタクタとが分離する時の上下方向での変位データを収集する能力を有し、データ分析により、知能的に予断することができ、ウェハがウェハコンタクタから離れる時に発生する粘着の程度に対する終点検出を実現する。
【0126】
一部の実施形態において、図9及び図10に示すように、載置部材2には支持具23が設けられており、支持具23にはウェハ5が挿入可能なスロットが開設されており、スロットの頂壁又は底壁には距離センサ(例えば、光学距離センサ)が設置されている。
【0127】
ここで、スロットは、ウェハの周方向外側に設置されるスロットであり、ウェハ5はスロットに入り込むことができ、スロットの頂壁又は底壁に取り付けられるセンサは、ウェハの振幅を正確に検出することができる。
【0128】
支持具23は、一つ又は複数設置されてもよい。支持具23が一つ設置された場合、支持具23には一つ又は複数の距離センサが取り付けられてもよく、支持具23が複数設置された場合、各支持具23には一つ又は複数の距離センサが取り付けられてもよい。支持具を載置部材のホルダに固定することができ、取り付けを容易にすることができる。
【0129】
一部の実施形態において、搬送部材1及び載置部材2のうちの少なくとも一つには第1の音信号を取得するためのセンサが設けられており、第1の音信号は、ウェハ5とウェハコンタクタ11との分離過程において発生する音信号である。
【0130】
ウェハ5がウェハコンタクタ11から離れる過程において、発生した第1の音信号はセンサにより取得され、ここで、センサは、聴覚センサ、音センサ又は振動センサ等であってもよい。センサは、多様な種類があるが、ウェハ5とウェハコンタクタ11との間の摩擦により発生した音信号を測定できるものであればよい。
【0131】
第1の音信号を取得するためのセンサは、聴覚センサである。聴覚センサは、検出正確性が高く、技術も成熟した。
【0132】
聴覚センサは一つ又は複数設置されてもよく、複数の聴覚センサが検出したデータは互いに確認することができ、単一の聴覚センサの故障による検出効果への影響を回避し、さらに、聴覚センサのエラートリガによる検出の不正確を回避することは確保される。聴覚センサが複数設置された場合、ウェハ5とウェハコンタクタ11とが分離することによって発生した音信号を複数の位置から検出することができるため、検出構造の正確性をさらに向上させることができる。
【0133】
搬送部材1は基体13を含み、基体13にはウェハ5を支持するためのウェハコンタクタ11が設置されており、聴覚センサは、基体13及びウェハコンタクタ11のうちの少なくとも一つに接続される。聴覚センサは、搬送部材1に設けられ、ウェハ5とウェハコンタクタ11との摩擦により音が発生する位置に近いため、検出の正確性の向上に寄与する。
【0134】
搬送部材1(例えば、クリーンロボット)は聴覚能力、及び知能予断の能力を有し、ウェハ5がウェハコンタクタ11から離れる時に発生する粘着の問題に対する検出を実現する。
【0135】
載置具には聴覚センサが設置されている。聴覚センサは、載置具内に嵌設されてもよいし、又は載置具の下方に取り付けられてもよいが、載置具の上面はウェハ5を載置するためのものである。載置部材2は、マシンフレーム4内で固定状態を保持し、聴覚センサは載置部材2に取り付けられることで、移動による音検出への干渉を回避することができる。
【0136】
載置部材2は、第1の載置具21及び第2の載置具22を含み、各載置具の内部又は下方には、いずれも聴覚センサが設置されている。
【0137】
一部の実施形態において、載置部材2には聴覚センサを取り付けるための支持具23が設置されている。ウェハ5は載置具に配置される状態で、支持具23はウェハ5の下方又は上部の、ウェハ5に近い位置にあり、且つ支持具23は、搬送部材1がウェハ5を載置部材2に配置する操作に影響を与えない。
【0138】
第1の載置具21には聴覚センサを取り付けるための第1の取り付け位置が設置され、支持具23はウェハ5の外輪の周方向に設置され、支持具23には、聴覚センサを取り付けるための第2の取り付け位置及び第3の取り付け位置が設置され、3つの聴覚センサは協働して3組の音データを収集し、3組のデータに対して統合処理を行うことにより、検出結果をより正確にすることができる。
【0139】
ウェハ搬送システムには上述した距離センサ及び聴覚センサが同時に設置されてもよい。
【0140】
距離センサは、光学距離センサ、超音波距離センサ又は赤外線測距センサ等であってもよい。
【0141】
最後に説明すべきことは、上記の実施形態は、本願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではないことである。上記の実施形態を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として上記の各実施形態に記載の技術案を修正し、又はその一部の技術的特徴を等価的に置き換えることができ、これらの修正又は置き換えは、対応する技術案の本質を本願の各実施形態の技術案の趣旨及び範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0142】
1:搬送部材、
11:ウェハコンタクタ、
12:リニアモータ、
13:基体、
2:載置部材、
21:第1の載置具、
22:第2の載置具、
23:支持具、
24:光学距離センサ、
3:ウェハステージ、
4:マシンフレーム、
5:ウェハ。
図1
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