(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-10
(45)【発行日】2025-09-19
(54)【発明の名称】エンジン駆動式発電装置およびエンジン駆動式発電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/08 20060101AFI20250911BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20250911BHJP
【FI】
H02J9/08
H02J9/06 120
(21)【出願番号】P 2024069887
(22)【出願日】2024-04-23
【審査請求日】2024-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 弘人
(72)【発明者】
【氏名】三島 大貴
【審査官】上田 翔太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0153311(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0021080(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0101119(US,A1)
【文献】米国特許第06198176(US,B1)
【文献】米国特許第06184593(US,B1)
【文献】特開2018-164334(JP,A)
【文献】特開2004-242458(JP,A)
【文献】特開平05-111215(JP,A)
【文献】国際公開第1995/013646(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/08
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電源を供給する交流発電機、およびエンジン始動用の同期電動機として兼用される同期機と、
前記同期機を、前記エンジン始動用の同期電動機として、低周波始動法により始動させる逆電力変換装置と、
前記エンジンの始動時
、および
、停電時における負荷給電時である無停電時の電源装置として兼用される、エネルギー貯蔵体からなる蓄電池と、
前記蓄電池の充放電制御を行う、双方向電力変換装置と、
前記負荷との接続を、前記双方向電力変換装置の交流側
に、または、商用電源側である系統側
に切り替える双投式切換スイッチと
を備えた、エンジン駆動式発電装置。
【請求項2】
前記交流発電機の駆動源は、ディーゼルエンジンとして、ガスタービンエンジンおよびガスレシプロエンジンのうちの少なくとも何れかを含み、
前記同期機は、前記同期電動機として、エンジン始動に使用することによって、無停電切換機能を実現しながら、前記交流発電機および前記同期電動機として兼用され
、
前記無停電切換機能は、停電時、前記負荷との接続において、前記双方向電力変換装置の交流側に切り替え、前記交流発電機による送電するまでの間、前記負荷への給電を行う機能である、請求項1に記載のエンジン駆動式発電装置。
【請求項3】
前記エネルギー貯蔵体は、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、および全個体電池のうちの何れかからなる二次電池を含んでなるか、または、電気エネルギーの充放電が可能な、電気二重層コンデンサの任意の組合せを含んでなる、請求項1に記載のエンジン駆動式発電装置。
【請求項4】
前記同期機は、前記交流発電機、およびエンジン始動用の同期電動機として兼用される回転機であり、
前記逆電力変換装置は、サイリスタ式インバータ、サイクロンコンバータ、またはサイリスタ式インバータとサイクロンコンバータとの組合せ、のうちの何れかである、請求項1に記載のエンジン駆動式発電装置。
【請求項5】
前記双方向電力変換装置は、充電制御用の電力変換装置と、放電制御用の電力変換装置とを備えた、請求項1に記載のエンジン駆動式発電装置。
【請求項6】
前記充電制御用の電力変換装置は、整流器であり、
前記放電制御用の電力変換装置は、前記逆電力変換装置である、請求項5に記載のエンジン駆動式発電装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうち何れか1項に記載のエンジン駆動式発電装置を、複数備えてなる、エンジン駆動式発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関し、特に、発電機を始動電動機として兼用する無停電切換機能付きのエンジン駆動式発電装置およびエンジン駆動式発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非常用のエンジン駆動式発電装置は、社会生活や産業活動において、不用意な停電や系統の電圧・周波数の変動等に備え、予備電源として使用されている。
【0003】
この種のエンジン駆動式発電装置は、系統等の停電での始動が必要なため、圧縮空気や始動用直流電動機(セルモータ)等により始動されている。圧縮空気による始動は、タンクに蓄えられた圧縮空気により始動用エアモータを回転させる、あるいは機関のピストンを直接押下げ、エンジンを始動させる方法等がある。
【0004】
しかし、圧縮空気を発生させるコンプレッサや圧縮空気を蓄えるタンクは、関連する法規の適用があり、その届出や保守等が必要となる。
【0005】
このため、非常用のエンジン駆動式発電装置の多くは、ガスタービン機関やディーゼルレシプロ機関等、その種類を問わず、取扱いが容易な始動電動機による電気始動方法が広く採用されている。
【0006】
一般的に始動電動機は、停止しているエンジンを起動させるため、大きなトルクが必要であり、蓄電池に接続された直流電動機(セルモータ)やインバータ駆動のかご形誘導電動機が採用される。
【0007】
また、その始動するための電源として、外部電源や蓄電池等の別電源が必要で、蓄電池の充電を行う整流器(RF)、あるいは順方向の電力変換装置(CONV)等の変換装置が必要である。
【0008】
特にガスタービンエンジン(GT)や大型のディーゼルエンジン(DE)においては、起動に必要なトルクも大きく、大容量の始動電動機や始動用蓄電池が必要である。
【0009】
エンジン駆動式発電装置は、大きな慣性力があり、その始動から起動完了、発電機による送電まで数十秒の時間を要する。さらには、ガスレシプロエンジンにおいては、その始動時間が数分となる場合もある。
【0010】
これらエンジン駆動式発電装置で接続された電力系統は、発電機により送電するまでの間、負荷への給電はできず、停電となる。
【0011】
一方、停電や系統の電圧・周波数等の変動に備え、電力を交流から直流へ整流する順方向変換装置(CONV)と電力を直流から交流へ整流する逆方向変換装置(INV)とを組み合わせた定電圧定周波数装置(CVCF)がある。さらにその共通する直流部に蓄電池を接続し、停電補償を目的としたものは、無停電電源システム(UPS)と呼ばれる。
【0012】
一般的には、短時間の停電は、無停電電源システム(UPS)が停電補償(バックアップ)を行い、数十秒から数時間の長時間の停電は、非常用のエンジン駆動式発電装置が行っている。また、例えばデータセンターの電力系統のように、停電だけでなく、1サイクル未満の瞬停や電圧波形の乱れも許されない重要な負荷や設備には、電源システムとして、無停電電源装置(UPS)とエンジン駆動式発電装置との両方が、併用で接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、エンジン始動用蓄電池と、始動用電動機との省略を可能とし、コスト削減と、省スペース化とを実現するエンジン駆動式発電装置およびエンジン駆動式発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0016】
すなわち、本発明の第1の態様は、電源を供給する交流発電機、およびエンジン始動用の同期電動機として兼用される同期機と、同期機を、エンジン始動用の同期電動機として、低周波始動法により始動させる逆電力変換装置と、始動時および無停電時の電源装置として兼用される、エネルギー貯蔵体からなる蓄電池と、蓄電池の充放電制御を行う、双方向電力変換装置と、双方向電力変換装置の交流側と系統側とを切り替える双投式切換スイッチとを備えた、エンジン駆動式発電装置である。
【0017】
本発明の第2の態様は、交流発電機の駆動源は、ディーゼルエンジンとして、ガスタービンエンジンおよびガスレシプロエンジンのうちの少なくとも何れかを含み、同期機は、同期電動機として、エンジン始動に使用することによって、無停電切換機能を実現しながら、交流発電機および同期電動機として兼用される、第1の態様のエンジン駆動式発電装置である。
【0018】
本発明の第3の態様は、エネルギー貯蔵体は、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、および全個体電池のうちの何れかからなる二次電池を含んでなるか、または、電気エネルギーの充放電が可能な、電気二重層コンデンサ(キャパシタ)の任意の組合せを含んでなる、第1の態様のエンジン駆動式発電装置である。
【0019】
本発明の第4の態様は、同期機は、交流発電機、およびエンジン始動用の同期電動機として兼用される回転機であり、逆電力変換装置は、サイリスタ式インバータ、サイクロンコンバータ、またはサイリスタ式インバータとサイクロンコンバータとの組合せのうちの何れかである、第1の態様のエンジン駆動式発電装置である。
【0020】
本発明の第5の態様は、エネルギー貯蔵体のための双方電力変換装置は、充放電制御装置として、充電制御用の電力変換装置と、放電制御用の電力変換装置とを備えた、第1の態様のエンジン駆動式発電装置である。
【0021】
本発明の第6の態様は、充電制御用の電力変換装置は、整流器であり、放電制御用の電力変換装置は、逆電力変換装置である、第5の態様のエンジン駆動式発電装置である。
【0022】
本発明の第7の態様は、第1乃至6の何れかの態様のエンジン駆動式発電装置を、複数備えてなる、エンジン駆動式発電システムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明のエンジン駆動式発電装置およびエンジン駆動式発電システムによれば、エンジン始動と負荷給電補償との機能を共有することにより、エンジン始動用蓄電池と、始動用電動機とを省略することが可能となり、コスト削減と、省スペース化とを実現することができる。これによって、メンテナンスも容易となる。
【0024】
また、本発明のエンジン駆動式発電装置およびエンジン駆動式発電システムは、無停電電源装置とエンジン駆動式発電装置との双方の機能を併せ持つ無停電電源として機能するので、商用電源等の常時電源等が停電した場合でも、無停電による負荷への給電を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および通常時の運転を説明するための系統図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および停電瞬時の運転を説明するための系統図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および電動機モード/原動機の始動を説明するための系統図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および発電モード/発電機の電圧確立時の運転を説明する系統図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および発電モード/電源の切換え時の運転を説明する系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明や、重複した説明は適宜省略する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および通常時の運転を説明するための系統図である。
【0028】
本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置(10)は、停電に備え、非常用電源等に使用されるエンジン駆動式発電装置であり、同期機(G/M)と、逆電力変換装置(INV)と、蓄電池(Batt)と、双方向電力変換装置(CONV)と、双投式切換スイッチ(Thy-SW)とを備えている。
【0029】
同期機(G/M)は、電源を供給する交流発電機(G)とエンジン始動用の電動機(M)を兼用し、その構造としてダンパー巻線(かご形誘導子)を有している。電動機(M)は、交流励磁機(ACEX)によって励磁される。
【0030】
逆電力変換装置(INV)は、同期機(G/M)をエンジン始動用同期電動機(M)として、低周波始動法により始動させる。
【0031】
蓄電池(Batt)は、始動および無停電電源装置として兼用するエネルギー貯蔵体からなる。
【0032】
双方向電力変換装置(CONV)は、蓄電池(Batt)の充放電制御を行う。
【0033】
双投式切換スイッチ(Thy-SW)は、双方向電力変換装置(CONV)の交流側と系統側とを切り替える。
【0034】
まず、エンジン駆動式発電装置(10)の通常時の運転について説明する。
【0035】
図1には、本実施形態に係るエンジン駆動式発電装置(10)が、非常用のエンジン駆動式発電機として適用された通常時の運転の例が示されており、ディーゼルエンジン(DE)と、エネルギー貯蔵体の1つとして蓄電池(Batt)にリチウムイオン電池とが適用されている。ただし、蓄電池は、リチウムイオン電池に限定されず、例えば、鉛蓄電池や、全個体電池のうちの何れかからなる二次電池を含むもの、または、電気エネルギーの充放電が可能な、電気二重層コンデンサ(キャパシタ)の任意の組合せとすることもできる。
【0036】
通常時の運転では、負荷給電(B)は、商用給電(A)等の電力によりエンジン駆動式発電装置(10)の直送ラインを経由して(すなわち、常用系統用の遮断器(52S)、常用系統用の運転開閉器(42S)、発電用の選択開閉器(83G)、送・配電用の遮断器(52L)を閉じて)給電され、蓄電池(Batt)には、双投式切換スイッチ(Thy-SW)の選択開閉器a(83G)および選択開閉器b(83C)を経由して、双方向電力変換装置(CONV)により接続されている。
【0037】
双方向電力変換装置(CONV)は、双投式切換スイッチ(Thy-SW)の選択開閉器a(83G)側の電源に同期をとりながら運転し、蓄電池(Batt)に浮動充電(C)を行う。
【0038】
次に、エンジン駆動式発電装置(10)の停電瞬時の運転について説明する。
【0039】
図2は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および停電瞬時の運転を説明するための系統図である。
図2に例示されるエンジン駆動式発電装置(10)の構成は、
図1に例示されるエンジン駆動式発電装置(10)の構成と同様であるので、重複説明を避ける。
【0040】
停電発生(D)時、エンジン駆動式発電装置(10)は、その停電をエンジン駆動式発電装置(10)の入力部(UV)の不足電圧継電器(27S)により検出し、運転開閉器(42S)を開放させる。エンジン駆動式発電装置(10)はまた、停電検出により双投式切換スイッチ(Thy-SW)の選択開閉器a(83G)を開放させ、無瞬断切換(E)を行う。双方向電力変換装置(CONV)は、交流入出力側の電圧が低下したことにより、DC→AC方向に電力潮流が転流(潮流方向の変化)し、蓄電池(Batt)に蓄えていた電力を放電(F)することにより、負荷給電(B)を継続する。また、双方向電力変換装置(CONV)の交流入出力側には、電力の潮流が転流する際、電圧波形の改善や双投式切換スイッチ(Thy-SW)の選択開閉器a(83G),b(83C)間の横流抑制を図るため、交流リアクトル等を設置することもある。
【0041】
また、エンジン駆動式発電装置(10)は、停電の検出により、始動用の逆電力変換装置(INV)を運転し、遮断器(52GM)および運転開閉器(42G)を投入する。エンジン駆動式発電装置(10)はさらに、始動用INVで同期機(G/M)に適切な低周波、低電圧を印加し、同期機(G/M)のダンパー巻線(かご形誘導子)を利用して、低周波始動を行う。
【0042】
次に、エンジン駆動式発電装置(10)の電動機モード/原動機の始動時の運転について説明する。
【0043】
図3は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および電動機モード/原動機の始動を説明するための系統図である。
図3に例示されるエンジン駆動式発電装置(10)の構成は、
図1に例示されるエンジン駆動式発電装置(10)の構成と同様であるので、重複説明を避ける。
【0044】
同期機(G/M)の始動後、始動用逆電力変換装置(INV)は、電圧・周波数比例(V/F)制御より、同期機(G/M)を加速させ、界磁開閉器(41G)を投入し、同期機(G/M)の界磁制御を行い、電動機モードの自動電圧調整器(AVR)により、同期電動機(M)として運転し、同期速度に引き入れる。
【0045】
その後、始動用逆電力変換装置(INV)が電圧・周波数を制御し、同期機(G/M)によりディーゼルエンジン(DE)の自己始動可能な回転速度まで加速させ、ディーゼルエンジン(DE)を始動(H)させる。
【0046】
なお、蓄電池放電(F)および負荷給電(B)については、
図2を用いて説明した通りであるので、重複説明を避ける。
【0047】
次に、エンジン駆動式発電装置(10)の発電モード/発電機の電圧確立時の運転について説明する。
【0048】
図4は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および発電モード/発電機の電圧確立時の運転を説明する系統図である。
図4に例示されるエンジン駆動式発電装置(10)の構成は、
図1に例示されるエンジン駆動式発電装置(10)の構成と同様であるので、重複説明を避ける。
【0049】
エンジン駆動式発電装置(10)は、前述したディーゼルエンジン(DE)の始動後、さらにディーゼルエンジン(DE)を加速させ、規定速度(定格回転)に整定する。整定後、エンジン駆動式発電装置(10)は、自動電圧調整器(AVR)を発電モードに切り換え、同期機(G/M)を同期発電機(G)として運転し、電圧を確立(I)させる。
【0050】
なお、蓄電池放電(F)および負荷給電(B)については、
図2を用いて説明した通りであるので、重複説明を避ける。
【0051】
次に、エンジン駆動式発電装置(10)の発電モード/電源の切換え時の運転について説明する。
【0052】
図5は、本発明の実施形態に係るエンジン駆動式発電装置の構成、および発電モード/電源の切換え時の運転を説明する系統図である。
図5に例示されるエンジン駆動式発電装置(10)の構成は、
図1に例示されるエンジン駆動式発電装置(10)の構成と同様であるので、重複説明を避ける。
【0053】
発電モード/電源の切換え時の運転時には、エンジン駆動式発電装置(10)は、蓄電池(Batt)で負荷に給電している双方向電力変換装置(INV)を制御し、同期発電機(G)の電源を同期させる。同期整定後、双投式切換スイッチ(Thy-SW)の選択開閉器a(83G)を同期投入する。エンジン駆動式発電装置(10)はさらに、双投式切換スイッチの選択開閉器b(83C)を開放する、あるいは双方向電力変換装置(CONV)を停止させることで、同期無瞬断切換(J)により発電機(G)から負荷給電を行う。
【0054】
また、負荷給電時に、発電機の出力に余力があれば、再度、双方向電力変換装置(CONV)を充電モードにし、蓄電池を充電し(C)、再起動時に備えることも可能である。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るエンジン駆動式発電装置(10)は、電源切換のために双投式切換スイッチとエンジン始動用電動機とを兼用した発電機を有する。また、始動用蓄電池とその充放電用に双方向の電力変換装置と、発電機を始動電動機として制御する逆電力変換装置とで構成される。これによって、エンジン始動用蓄電池および始動用電動機を省略することが可能となり、コスト削減と、省スペース化とを実現することができる。
【0056】
本実施形態に係るエンジン駆動式発電装置(10)はまた、この双方向の電力変換装置および始動用逆電力変換装置を定電圧定周波数装置(CVCF)として作用させ、組み合わされた始動用蓄電池により、停電から始動・負荷給電まで無停電電源装置(UPS)として機能できる。したがって、商用電源等の常時電源等が停電した場合でも、無停電による負荷への給電を行うことが可能となる。
【0057】
なお、本実施形態に係るエンジン駆動式発電装置(10)は、単独での利用に限定されず、複数組み合わせて、エンジン駆動式発電システムとして利用することも可能である。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
27S・・・不足電圧継電器(常用電源停電検出用)
41G・・・界磁開閉器(発電機界磁用)
42G・・・運転開閉器(発電機運転用)
42S・・・運転開閉器(常用系統用)
52G・・・遮断器(発電機用)
52GM・・・遮断器(発電機系統用)
52L・・・遮断器(送・配電用)
52S・・・遮断器(常用系統用)
72B・・・直流遮断器(蓄電池用)
83C,83G・・・選択開閉器(コンバータ出力用,発電)
A・・・商用給電
ACEX・・・交流励磁機
AVR・・・自動電圧調整器(発電、電動モード用)
B・・・負荷給電
Batt・・・蓄電池(二次電池)
C・・・蓄電池充電
CONV・・・電力変換装置(双方向、充放電制御用)
CVCF・・・定電圧定周波数装置
D・・・停電発生
DE・・・ディーゼルエンジン(発電機駆動用)
E・・・無瞬断切換
F・・・蓄電池放電
G・・・交流発電機
GE・・・ガスレシプロエンジン
G/M・・・同期機(電動機兼発電機)
GT・・・ガスタービンエンジン
H・・・原動機始動
I・・・電圧確立
J・・・同期無瞬断切換
INV・・・電力変換装置(逆方向、始動電動機制御用)
M・・・同期電動機
RF・・・整流器
Thy-SW・・・双投式切換スイッチ
UPS・・・無停電電源装置
【要約】
【課題】 エンジン始動用蓄電池と、始動用電動機の省略を可能とし、コスト削減と、省スペース化とを実現するエンジン駆動式発電装置を提供すること。
【解決手段】 本発明のエンジン駆動式発電装置は、電源を供給する交流発電機、およびエンジン始動用の同期電動機として兼用される同期機と、同期機を、エンジン始動用の同期電動機として、低周波始動法により始動させる逆電力変換装置と、始動時および無停電時の電源装置として兼用される、エネルギー貯蔵体からなる蓄電池と、蓄電池の充放電制御を行う、双方向電力変換装置と、双方向電力変換装置の交流側と系統側とを切り替える双投式切換スイッチとを備えている。
【選択図】
図1