(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-10
(45)【発行日】2025-09-19
(54)【発明の名称】顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーを処置する組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20250911BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20250911BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20250911BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20250911BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250911BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20250911BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20250911BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20250911BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/713
A61K31/712
A61K31/7125
A61K39/395 L
A61K47/68
A61P21/04
C07K16/28
(21)【出願番号】P 2024515823
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 US2022043705
(87)【国際公開番号】W WO2023043953
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2025-04-11
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518345192
【氏名又は名称】アビディティー バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マレコヴァ,バーボラ
(72)【発明者】
【氏名】バーク,ロブ
(72)【発明者】
【氏名】ダリモント,ベアトリス,ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】サラ カノ,デイビッド
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/115490(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/247818(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ核酸分子コンジュゲートであって、
DUX4の標的配列にハイブリダイズするポリ核酸分子にコンジュゲートされた抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、
前記ポリ核酸分子が、
センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記ポリ核酸分子の前記アンチセンス鎖が、配列番号
413または416から選択される核酸配列
からなり、
前記ポリ核酸分子の前記センス鎖が、配列番号146または201から選択される核酸配列からなり、および
前記ポリ核酸分子コンジュゲートが
、前記DUX4に対するRNA干渉を媒介する、
ポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項2】
前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントが、非ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体もしくはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体もしくはその抗原結合フラグメント、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変フラグメント(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、またはラクダ科抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む、請求項1に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項3】
前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントが、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含み、前記VH領域は、配列番号281を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)配列、配列番号282、284または285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、前記VL領域は、配列番号286または291を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)配列、配列番号287、289または292を含むLCDR2配列、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含む、請求項1に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項4】
前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント上でシステイン残基またはリシン残基を介して、前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントを前記ポリ核酸分子に接続するリンカーを含む、請求項1に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項5】
前記リンカーが
、C
1-C
6アルキルリンカーである、請求項
4に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項6】
前記リンカーが
、ホモ二機能性リンカーまたはヘテロ二機能性リンカーであり、マレイミド基、ジペプチド部分、安息香酸基、またはその誘導体を含む、請求項
4に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項7】
前記リンカーが
、切断可能または切断不能リンカーである、請求項
4に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項8】
前記ポリ核酸分子と前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントとの比が、約1:1、2:1、3:1、または4:1である、請求項1に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項9】
DUX4に対するRNA干渉を媒介する二本鎖ポリ核酸分子であって、
前記二本鎖ポリ核酸分子が、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、配列番号41
3または416から選択される核酸配列
からなり、前記センス鎖が、配列番号146または201から選択される核酸配列からなる、二本鎖ポリ核酸分子。
【請求項10】
5’-末端ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドを含む、請求項9に記載の二本鎖ポリ核酸分子。
【請求項11】
前記5’-末端ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドが、
【化1】
から選択され、
式中、Bが複素環塩基部分であり、
R
6が、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、
Jが、前記二本鎖ポリ核酸分子の隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である、請求項1
0に記載の二本鎖ポリ核酸分子。
【請求項12】
筋ジストロフィーの処置を必要とする対象の筋ジストロフィー
の処置における医薬を製造するための組成物の使用であって、
前記組成物は、
ヒトDUX4の標的配列にハイブリダイズするポリ核酸分子にコンジュゲートされた抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、
前記ポリ核酸分子が、
センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
ここで、前記アンチセンス鎖が、配列番号41
3または416から選択される核酸配列
からなり、
前記センス鎖が、配列番号146または201から選択される核酸配列からなる、
ポリ核酸コンジュゲートを含み、
ここで、前記ポリ核酸コンジュゲートが、ヒトDUX4に対するRNA干渉を媒介することで、
ヒトDUX4のmRNA転写物の
レベルを
低下させ、それによって、前記対象の筋ジストロフィーを処置する
ことを含む
、
組成物の
使用。
【請求項13】
前記RNA干渉が、未処置の細胞における
ヒトDUX4のmRNA転写物のレベルと比較して、
ヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%以上低下させることを含む、請求項
12に記載の
使用。
【請求項14】
前記RNA干渉が、前記筋ジストロフィーによる影響を受けた細胞における、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、LEUTX、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDからなる群から選択されるマーカ遺伝子の発現を低下させることを含む、請求項
12に記載の
使用。
【請求項15】
前記発現を低下させることが、前記細胞における前記マーカ遺伝子の発現を少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%以上低下させることを含む、請求項
14に記載の
使用。
【請求項16】
前記筋ジストロフィーが
、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である、請求項
12に記載の
使用。
【請求項17】
前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントが、非ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体もしくはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体もしくはその抗原結合フラグメント、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変フラグメント(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、またはラクダ科抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む、請求項
12に記載の
使用。
【請求項18】
前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントが、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含み、前記VH領域は、配列番号281を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)配列、配列番号282、284または285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、前記VL領域は、配列番号286または291を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)配列、配列番号287、289または292を含むLCDR2配列、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含む、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記ポリ核酸分子が、5’-末端ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドをさらに含む、請求項
12に記載の
使用。
【請求項20】
前記5’-末端ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドが、
【化2】
から選択され、
式中、Bが複素環塩基部分であり、
R
6が、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、
Jが、前記ポリ核酸分子の隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である、請求項1
9に記載の
使用。
【請求項21】
前記ポリ核酸コンジュゲートが、前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント上でシステイン残基またはリシン残基を介して、前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントを前記ポリ核酸分子に接続するリンカーを含む、請求項
12に記載の
使用。
【請求項22】
前記リンカーが
、C
1-C
6アルキルリンカーであるか、またはホモ二機能性リンカーもしくはヘテロ二機能性リンカーであり、前記ホモ二機能性リンカーおよびヘテロ二機能性リンカーが、マレイミド基、ジペプチド部分、安息香酸基、もしくはその誘導体を含むか、または前記リンカーが切断可能もしくは切断不能リンカーである、請求項
21に記載の
使用。
【請求項23】
前記ポリ核酸分子と前記抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントとの比が、約1:1、2:1、3:1、または4:1である、請求項
12に記載の
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年9月16日出願の米国仮特許出願第63/245,123号に基づく利益を主張し、その全体は参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
筋萎縮症は、運動を制御する骨格筋や随意筋、心筋、および平滑筋などの筋肉の質量損失、または筋肉の進行性の衰弱および退化である。廃用、飢餓、癌、糖尿病、および腎不全を含む種々の病態生理学状態、またはグルココルチコイドによる処置は、筋萎縮症および強度損失をもたらす。筋萎縮症の表現型の作用は、筋蛋白質合成の阻害、筋蛋白のターンオーバー向上、衛星細胞分化の異常な調節、および筋繊維の種類の異常な転換を含む、種々の分子事象によって誘導される。
【0003】
FSHDは、処置が認可されていない、稀な進行性の身体障害性疾患である。FSHDは、筋ジストロフィーで最もよく見られる形態の1つであり、両性別に等しく影響を及ぼし、典型的には若者と若年成人層で発症する。FSHDは、最初に顔面、肩、腕、および胴体の筋肉に衰弱を生じさせ、下肢および骨盤帯の筋肉の衰弱へと進行する、進行性の骨格筋損失を特徴とする。骨格筋の衰弱は、微笑んだり意思伝達を行ったりすることができなくなり、腕を使っての日常生活動作が困難となり、かつ起き上がりが困難となるおそれのある、顔面筋の進行性損失を含む顕著な身体制限をもたらし、多くの患者が最終的には日常活動において車椅子の使用に頼るようになってしまう。多数のFSHD患者では、慢性疼痛、不安、およびうつ病の発症も報告されている。
【0004】
FSHDは骨格筋における遺伝子DUX4の異常発現によって生じ、DUX4タンパク質を不適当に存在させてしまう。RNA誘導性遺伝子抑制による遺伝子抑制は、いくつかの管理水準として、転写不活性化、小型干渉RNA(siRNA)誘導性mRNA分解、およびsiRNA誘導性転写減衰をもたらす。一部の例では、RNA干渉(RNAi)は、多数の細胞分裂にわたり長く持続する作用をもたらす。そのためRNAiは、薬物標的の検証、遺伝子機能の分析、経路分析、および疾患治療に有用である実現可能な方法を表す。
【0005】
参照による援用
本明細書で言及される刊行物、特許、および特許出願はすべて、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により援用されるように具体的かつ個々に示されるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0006】
本明細書中の一部の態様では、ポリ核酸分子コンジュゲートであって、DUX4の標的配列にハイブリダイズするポリ核酸分子にコンジュゲートした抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、ポリ核酸分子が、配列番号72、76、126、または131~136から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも5%、または100%同一である核酸配列を含み、ポリ核酸分子が2位、6位、14位、および16位において2’-F修飾ヌクレオチドを含み、ポリ核酸分子がDUX4に対するRNA干渉を媒介する、ポリ核酸分子コンジュゲートが記載される。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、非ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体もしくはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体もしくはその抗原結合フラグメント、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変フラグメント(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、またはラクダ科抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の実施形態では、ポリ核酸分子は、約16~約30ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、UfsNfsnnnNfnnnnnnnNfnNfnnnsusu、usNfsnnnNfnnnnnnnNfnNfnnnsusu、またはvpNsNfsnnnNfnnnnnnnNfnNfnnnsusのうち少なくとも1つの核酸配列を含み、vpN=ビニルホスホネートVpUqであり、小文字(n)=2’-O-Me修飾であり、Nf=2’-F修飾であり、s=ホスホロチオエート骨格修飾である。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号412~420または430~438から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、配列番号2、6、56、または61~66から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である核酸配列を含み、少なくとも2つまたは少なくとも3つの連続する2’-F修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、配列番号2、6、56、または61~66から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である核酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリ核酸分子は、ホスホロチオエート連結またはホスホロジチオエート連結を含む。一部の実施形態では、ポリ核酸分子は、2’-O-メチルおよび2’-デオキシ-2’-フルオロから選択される6つ以上の2’修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリ核酸分子は、5’-末端ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、5’-末端ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドは、
【0007】
【化1】
から選択され、式中、Bは複素環塩基部分であり、R6は、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、Jは、ポリ核酸分子の隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である。一部の実施形態では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、5’末端または3’末端に、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの連続する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリ核酸分子コンジュゲートは、抗体またはその抗原結合フラグメント上でシステイン残基またはリシン残基を介して、抗体またはその抗原結合フラグメントをポリ核酸分子に接続するリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーはC
1-C
6アルキルリンカーである。一部の実施形態では、リンカーはホモ二機能性リンカーまたはヘテロ二機能性リンカーであり、マレイミド基、ジペプチド部分、安息香酸基、またはその誘導体を含む。一部の実施形態では、リンカーは切断可能または切断不能リンカーである。一部の実施形態では、ポリ核酸分子コンジュゲートは、ポリ核酸分子と抗体またはその抗原結合フラグメントとの比が約1:1、2:1、3:1、または4:1である。一部の実施形態では、ポリ核酸分子は、ヒトDUX4に対するRNA干渉を媒介し、対象の筋萎縮症を調節する。一部の実施形態では、RNA干渉は、未処置の細胞におけるDUX4遺伝子のmRNA転写の量と比較して、DUX4遺伝子のmRNA転写の発現を少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%以上低下させることを含む。一部の実施形態では、RNA干渉は、細胞における、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、およびLEUTXからなる群から選択されるマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む。一部の実施形態では、RNA干渉は、細胞における、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDからなる群から選択されるマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む。一部の実施形態では、マーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことは、マーカ遺伝子の発現を少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%以上低下させることである。一部の実施形態では、筋ジストロフィーは顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である。
【0008】
本明細書中の一部の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲートと、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物が記載される。一部の実施形態では、医薬組成物はナノ粒子製剤として製剤化される。一部の実施形態では、医薬組成物は、非経口、経口、鼻腔内、頬側、直腸、経皮、静脈内、皮下、または鞘内の投与用に製剤化される。
【0009】
本明細書中の一部の態様では、筋ジストロフィーの処置を必要とする対象の筋ジストロフィーを処置する方法であって、本明細書に記載されるポリ核酸コンジュゲートを提供する工程と、ポリ核酸コンジュゲートを対象に投与することで筋ジストロフィーを処置する工程であって、ポリ核酸コンジュゲートがヒトDUX4のmRNA転写の量を減少させる、工程とを含む方法が記載される。一部の実施形態では、ポリ核酸コンジュゲートは、ヒトDUX4に対するRNA干渉を媒介し、対象の筋ジストロフィーを調節する。一部の実施形態では、RNA干渉は、筋ジストロフィーによる影響を受けた細胞における、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、LEUTX、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDからなる群から選択されるマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む。一部の実施形態では、筋ジストロフィーは顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である。
【0010】
本明細書中の一部の態様では、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有すると診断されたかまたはその疑いのある対象を処置するための、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲートまたは本明細書に記載の医薬組成物の使用が記載される。一部の実施形態では、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有すると診断されたかまたはその疑いのある対象を処置するための薬剤の製造における、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲートまたは本明細書に記載の医薬組成物の使用が記載される。本明細書中の一部の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲートまたは本明細書に記載の医薬組成物を含むキットが記載される。
【0011】
本明細書中の一部の態様では、DUX4に対するRNA干渉を媒介するポリ核酸分子であって、配列番号412~420または430~438から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である核酸配列を含むポリ核酸分子が記載される。
【0012】
本明細書中の一部の態様では、DUX4に対するRNA干渉を媒介する二本鎖ポリ核酸分子であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、配列番号412~420または430~438から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である核酸配列を含み、センス鎖が、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である核酸配列を含む、二本鎖ポリ核酸分子が記載される。
【0013】
本明細書中の一部の態様では、DUX4に対するRNA干渉を媒介する二本鎖ポリ核酸分子であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、配列番号412~420または430~438から選択される配列と1、2、または3つ以下のヌクレオチドだけ相違する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含み、センス鎖が、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列と1、2、または3つ以下のヌクレオチドだけ相違する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む、二本鎖ポリ核酸分子が記載される。
【0014】
本明細書中の特定の態様では、筋萎縮症、特に顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)と関連付けられる遺伝子を調節するためのポリ核酸分子および医薬組成物が開示される。また本明細書中の一部の態様では、本明細書に開示されるポリ核酸分子またはポリ核酸分子コンジュゲートにより筋萎縮症、特にFSHDを処置する方法も記載される。
【0015】
本明細書中の特定の態様では、DUX4の標的配列にハイブリダイズするポリ核酸分子にコンジュゲートされる抗体またはその抗原結合フラグメントを含むポリ核酸分子コンジュゲートであって、DUX4に対するRNA干渉を媒介するポリ核酸分子コンジュゲートが開示される。特定の態様では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、非ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体もしくはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体もしくはその抗原結合フラグメント、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変フラグメント(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、またはラクダ科抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む。特定の態様では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0016】
特定の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、それぞれ独立して、少なくとも1つの2’修飾ヌクレオチド、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間連結、または少なくとも1つの逆位脱塩基部分(inverted abasic moiety)を含む。特定の態様では、ポリヌクレオチドは、DUX4の標的配列の少なくとも8つの隣接する塩基にハイブリダイズする。特定の態様では、ポリヌクレオチドは、約8~約50ヌクレオチド長、または約10~約30ヌクレオチド長である。特定の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、配列番号1~70または配列番号141~210から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である。代替的および/または付加的に、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号71~140または配列番号211~280から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である。代替的および/または付加的に、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号142、146、196、201~206、412~420、または430~438から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号412~420または配列番号430~438から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンスは、配列番号412~420または430~438から選択される配列と同一である。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列と同一である。
【0017】
特定の態様では、ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの2’修飾ヌクレオチドを含み、さらに2’修飾ヌクレオチドは、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾ヌクレオチドを含むか、あるいはロックド核酸(LNA)もしくはエチレン核酸(ENA)を含むか、またはそれらの組合せを含む。特定の態様では、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間連結は、ホスホロチオエート結合またはホスホロジチオエート結合を含む。特定の態様では、ポリ核酸分子は、2’-O-メチルおよび2’-デオキシ-2’-フルオロから選択される3つ以上の2’修飾ヌクレオチドを含む。特定の態様では、ポリ核酸分子は、5’-末端ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドを含む。
【0018】
別の実施形態は、ポリ核酸分子コンジュゲートのポリ核酸分子であって、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然ヌクレオチドが、
【0019】
【化2】
から選択され、式中、Bが複素環塩基部分である、ポリ核酸分子を提供する。
【0020】
別の実施形態は、ポリ核酸分子コンジュゲートのポリ核酸分子であって、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然ヌクレオチドが、
【0021】
【化3】
から選択され、
式中、Bが複素環塩基部分であり、R1、R2、およびR3が、独立して水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、Jが、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である、ポリ核酸分子を提供する。
【0022】
別の実施形態は、ポリ核酸分子コンジュゲートのポリ核酸分子であって、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然ヌクレオチドが、
【0023】
【化4】
から選択され、
式中、Bが複素環塩基部分であり、R4およびR5が、独立して水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、Jが、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である、ポリ核酸分子を提供する。
【0024】
別の実施形態は、ポリ核酸分子コンジュゲートのポリ核酸分子であって、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然ヌクレオチドが、
【0025】
【化5】
から選択され、
式中、Bが複素環塩基部分であり、R6が、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、Jが、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である、ポリ核酸分子を提供する。
【0026】
別の実施形態は、ポリ核酸分子コンジュゲートのポリ核酸分子であって、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然ヌクレオチドが、ロックド核酸(LNA)またはエチレン核酸(ENA)から選択される、ポリ核酸分子を提供する。
【0027】
別の実施形態は、ポリ核酸分子コンジュゲートのポリ核酸分子であって、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然ヌクレオチドが、
【0028】
【化6】
から選択され、
式中、Bが複素環塩基部分であり、Jが、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である、ポリ核酸分子を提供する。
【0029】
別の実施形態は、ポリ核酸分子コンジュゲートのポリ核酸分子であって、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然ヌクレオチドが、
【0030】
【化7】
から選択され、式中、Bが複素環塩基部分であり、Jが、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である、ポリ核酸分子を提供する。
【0031】
別の実施形態は、ポリ核酸分子コンジュゲートのポリ核酸分子であって、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然ヌクレオチドが、
【0032】
【化8】
から選択され、
式中、Bが複素環塩基部分であり、R6が、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、Jが、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である、ポリ核酸分子を提供する。
【0033】
別の実施形態は、ポリ核酸分子コンジュゲートのポリ核酸分子であって、少なくとも1つの5’-ビニルホスホネート修飾された非天然ヌクレオチドが、
【0034】
【化9】
から選択される、ポリ核酸分子を提供する。
【0035】
特定の態様では、2’修飾ヌクレオチドは2’-O-メチル修飾ヌクレオチドであり、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’-末端にある。一部の態様では、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドは、プリンヌクレオチドであるか、またはピリジンヌクレオチドである。特定の態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、5’末端に少なくとも2つ、3つ、または4つの連続する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。
【0036】
特定の態様では、ポリ核酸分子コンサートは、標的細胞結合部分をポリ核酸部分に接続するリンカーを含む。かかる態様では、リンカーはC1-C6アルキルリンカーであるか、またはホモ二機能性リンカーもしくはヘテロ二機能性リンカーであり、マレイミド基、ジペプチド部分、安息香酸基、またはその誘導体を含む。代替的および/または付加的に、リンカーは切断可能または切断不能リンカーである。特定の態様では、ポリ核酸部分と標的細胞結合部分との比は、約1:1、2:1、3:1、または4:1である。
【0037】
特定の態様では、ポリ核酸部分は、ヒトDUX4に対するRNA干渉を媒介し、対象の筋ジストロフィーまたは筋萎縮症の症状を調節する。一部の態様では、RNA干渉は、未処置の細胞におけるDUX4遺伝子のmRNA転写の量と比較して、DUX4遺伝子のmRNA転写の発現を少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%以上低下させることを含む。代替的および/または付加的に、RNA干渉は、細胞における、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、およびLEUTXを含むか、またはそれらからなる群から選択されるマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む。一部の態様では、マーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことは、マーカ遺伝子の発現を少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%以上低下させることである。一部の態様では、筋ジストロフィーは顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である。代替的および/または付加的に、RNA干渉は、細胞における、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDを含むか、またはそれらからなる群から選択されるマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む。一部の態様では、マーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことは、マーカ遺伝子の発現を少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%以上低下させることである。一部の態様では、筋ジストロフィーは顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である。
【0038】
特定の態様では、ポリ核酸分子コンジュゲートは、式(I):A-X-Bの分子を含み、式中、Aは抗体またはその抗原結合フラグメントであり、Bは、DUX4の標的配列にハイブリダイズするポリ核酸分子であり、Xは、Aのシステイン残基にコンジュゲートされる結合または非重合体リンカーである。
【0039】
本明細書中の特定の態様では、本明細書に記載されるポリ核酸分子コンジュゲートと薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物が開示される。一部の態様では、医薬組成物はナノ粒子製剤として製剤化される。一部の態様では、医薬組成物は、非経口、経口、鼻腔内、頬側、直腸、経皮、もしくは静脈内、皮下、または鞘内の投与用に製剤化される。
【0040】
FSHDの症状は、骨格筋に対する影響を含む。FSHDが影響を及ぼす骨格筋には、眼および口の周囲の筋肉、肩の筋肉、上腕の筋肉、下脚の筋肉、腹筋、ならびに臀部の筋肉が挙げられる。一部の例では、FSHDの症状は、視力と聴力にも影響を及ぼす。一部の例では、FSHDの症状は、心臓または肺の機能にも影響を及ぼす。一部の実例では、FSHDの症状として、筋衰弱、筋萎縮症、筋ジストロフィー、疼痛炎症、痙縮、側弯症、脊柱前弯症、低換気、網膜異常、角膜炎への曝露、軽度の聴力損失、およびEMG異常が挙げられる。本明細書で使用される筋萎縮症という用語は、FSHDの広範な筋肉関連の影響を指す。
【0041】
本明細書中の特定の態様では、筋ジストロフィーの処置を必要とする対象の筋ジストロフィーを、本明細書に記載されるポリ核酸コンジュゲートを提供し、当該ポリ核酸コンジュゲートを対象に投与して筋ジストロフィーを処置することによって処置するための方法が開示される。ポリ核酸コンジュゲートは、ヒトDUX4のmRNA転写の量を低減させる。一部の態様では、ポリ核酸部分は、ヒトDUX4に対するRNA干渉を媒介し、対象の筋萎縮症を調節する。特定の態様では、RNA干渉は、筋ジストロフィーの影響を受けた細胞における、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、およびLEUTXを含むか、またはそれらからなる群から選択される、DUX4に対するマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む。特定の態様では、RNA干渉は、筋ジストロフィーの影響を受けた細胞における、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDを含むか、またはそれらからなる群から選択される、DUX4に対するマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む。
【0042】
好ましくは、筋ジストロフィーは顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である。
【0043】
本明細書中の特定の態様では、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有すると診断されたかまたはその疑いのある対象を処置するための、本明細書に記載されるポリ核酸分子コンジュゲートまたは医薬組成物の使用が開示される。また本明細書中の特定の態様では、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有すると診断されたかまたはその疑いのある対象を処置するための薬剤の製造における、本明細書に記載されるポリ核酸分子コンジュゲートまたは医薬組成物の使用が記載される。
【0044】
本明細書中の特定の態様では、本明細書に記載されるポリ核酸分子コンジュゲートまたは医薬組成物を含むキットが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本開示の種々の態様は、とりわけ添付の特許請求の範囲により説明される。本開示の特徴と利点は、本開示の原理が利用される例示的な態様を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって、さらに良く理解されるであろう。
【0046】
【
図2】DUX4 siRNAのin silico選択のフローチャート図を示す。
【
図3】DUX4 mRNA転写物における選択されたDUX4 siRNAの位置と数を図示する。
【
図4A】FSHDのマウスモデルの骨格筋におけるDUX4標的遺伝子のin vivoダウンレギュレーションのグラフを示す図である。
【
図4B】DUX-4 siRNAのin vivo筋組織濃度のグラフを示す図である。
【
図5A】パッセンジャー鎖またはガイド鎖の5’末端にC
6-NH
2コンジュゲーションハンドル、および3’末端にC
6-SHを有する、siRNAの代表的な構造を図示する。
【
図5B】5’末端にC
6-NH
2コンジュゲーションハンドル、および3’末端にC
6-S-PEGを有する、siRNAパッセンジャー鎖またはガイド鎖の代表的な構造を図示する。
【
図5C】5’末端にC
6-NH
2コンジュゲーションハンドル、および3’末端にC
6-S-NEMを有する、siRNAパッセンジャー鎖またはガイド鎖の代表的な構造を図示する。
【
図5D】5’末端にC
6-N-SMCCコンジュゲーションハンドル、および3’末端にC
6-S-NEMを有する、siRNAパッセンジャー鎖の代表的な構造を図示する。
【
図5E】5’末端にPEG、および3’末端にC
6-SHを有する、siRNAパッセンジャー鎖またはガイド鎖の代表的な構造を図示する。
【
図5F】5’末端にC
6-S-NEM、および3’末端にC
6-NH
2コンジュゲーションハンドルを有する、siRNAパッセンジャー鎖またはガイド鎖の代表的な構造を図示する。
【
図6A】抗体-Cys-SMCC-5’-パッセンジャー鎖(アーキテクチャ1)を図示する。このコンジュゲートは、パッセンジャー鎖の5’末端でのマレイミド(SMCC)に対する抗体鎖間システインコンジュゲーションによって生成された。
【
図6B】抗体-Cys-SMCC-3’-パッセンジャー鎖(アーキテクチャ2)を図示する。このコンジュゲートは、パッセンジャー鎖の3’末端でのマレイミド(SMCC)に対する抗体鎖間システインコンジュゲーションによって生成された。
【
図6C】抗体-Cys-bisMal-3’-パッセンジャー鎖(ASCアーキテクチャ3)を図示する。このコンジュゲートは、パッセンジャー鎖の3’末端でのビスマレイミド(bisMal)リンカーに対する抗体鎖間システインコンジュゲーションによって生成された。
【
図6D】Fab-Cys-bisMal-3’-パッセンジャー鎖(ASCアーキテクチャ4)のモデル構造を図示する。このコンジュゲートは、パッセンジャー鎖の3’末端でのビスマレイミド(bisMal)リンカーに対するFab鎖間システインコンジュゲーションによって生成された。
【
図6E】2つの異なるsiRNAが1つの抗体分子に付けられた、抗体siRNAコンジュゲートのモデル構造(ASCアーキテクチャ5)を図示する。このコンジュゲートは、各siRNAのパッセンジャー鎖の3’末端にて、ビスマレイミド(bisMal)リンカーに対する低減されたmAb鎖間システインに、SSBとHPRT siRNAとの混合物をコンジュゲートすることによって生成された。
【
図6F】2つの異なるsiRNAが付けられた、抗体siRNAコンジュゲートのモデル構造(ASCアーキテクチャ6)を図示する。このコンジュゲートは、各siRNAのパッセンジャー鎖の3’末端にて、マレイミド(SMCC)リンカーに対する低減されたmAb鎖間システインに、SSBとHPRT siRNAとの混合物をコンジュゲートすることによって生成された。
【
図7A】抗体システインコンジュゲーションを介した抗体-Cys-SMCC-siRNA-PEGコンジュゲートの典型的な合成スキーム(合成スキーム1)を図示する。
【
図7B】抗体-Cys-BisMal-siRNA-PEGコンジュゲートの典型的な合成スキーム(合成スキーム2)を図示する。
【
図7C】Fab-siRNAコンジュゲート生成の典型的な合成スキーム(合成スキーム3)を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
FSHDは骨格筋における遺伝子DUX4の異常発現によって生じ、DUX4タンパク質を不適当に存在させてしまう。DUX4自体は、他の遺伝子の発現を誘導する転写因子であり、これらの不適当に発現された下流遺伝子が、筋肉の病状をもたらす。通常、DUX4駆動型の遺伝子発現は、生殖系列および初期の幹細胞発達に限定される。FSHD患者では、骨格筋中のDUX4タンパク質は他の遺伝子産物を調節し、その一部は筋肉に対し有毒である。異常なDUX4駆動型の遺伝子発現の証拠は、FSHDの影響を受けた筋組織を健常な筋肉と区別する主な分子シグネチャである。FSHD中での異常なDUX4発現の結果、筋肉が死滅し、かつ筋肉が脂肪と置き換えられ、その結果、骨格筋虚弱および進行性の身体障害が生じてしまう。データによれば、DUX4遺伝子の発現減少、およびその下流の転写プログラムが、それを根本的な原因とするFSHDの処置のための疾患修飾治療手法を提供できることが示唆されている。
【0048】
DUX4遺伝子のサイレンシングまたは抑制を解除することのできる、2つの方法が存在する。FSHD患者の約95%を含むFSHD1では、染色体のサブテロメア領域に反復を有するD4Z4として公知の染色体4の長腕の末端付近にある領域においてDNAのアレイを短縮させてしまう突然変異が存在する。D4Z4領域は異常に短縮、正常な11~100の反復に代わり1~10の間の反復を包含する。この収縮は、D4Z4領域の低メチル化、およびDUX4の抑制解除を生じさせる。FSHD2患者は有意なD4Z4の反復収縮を有していないが、通常はDNAメチル化を介してDUX4遺伝子の抑制に寄与するSMCHD1遺伝子として公知の調節遺伝子に突然変異を有している。その抑制がD4Z4領域の低メチル化を生じさせるSMCHD1遺伝子の突然変異により損失する場合、DUX4は不適当に発現され、疾患状態を誘導する。
図1は、FSHD病状の例示的な図表を示す。
【0049】
核酸(例えば、RNAi)治療は、選択性および特異性が高い標的化治療である。しかし一部の例では、核酸治療はまた、不十分な細胞内摂取、血液安定性の制限、および非特異的な免疫刺激によって妨げられる。これらの問題に対処するべく、例えば、良好な安定化および/または低い毒性のための新規なリンカー、標的特異性および/または標的送達の増加のための結合部分の最適化、ならびに安定性の増加および/またはオフターゲット効果の減少のための核酸ポリマー修飾など、核酸組成物の種々の修飾が探索されている。
【0050】
一部の態様では、核酸組成物を構成する様々な成分の配置または順序は、さらに細胞内の摂取、安定性、毒性、有効性、および/または非特異的な免疫刺激に影響を与える。例えば、核酸成分が結合部分、ポリマー、およびポリ核酸分子(すなわちポリヌクレオチド)を含む場合、結合部分、ポリマー、および/もしくはポリ核酸分子(すなわちポリヌクレオチド)の順序または配置(例えば、結合部分-ポリ核酸分子-ポリマー、結合部分-ポリマー-ポリ核酸分子、またはポリマー-結合部分-ポリ核酸分子)は、さらに細胞内の摂取、安定性、毒性、有効性、および/または非特異的な免疫刺激に影響を与える。
【0051】
本明細書中の一部の態様では、ここに記述されて、いくつかの態様の中で、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)、特にそれに関連付けられる筋ジストロフィーおよび/または筋萎縮症の処置用の、ポリ核酸分子およびポリ核酸分子コンジュゲートが記載される。一部の例では、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲートは、細胞内の摂取、安定性、および/または有効性を向上させる。場合により、ポリ核酸分子コンジュゲートは、ポリ核酸分子にコンジュゲートされる抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。場合により、DUX4、好ましくはヒトDUX4の標的配列にハイブリダイズするポリ核酸分子。場合により、アクセッション番号NM_001306068を有するヒトDUX4の標的配列にハイブリダイズする核酸分子。場合により、配列番号439を有するヒトDUX4の標的配列にハイブリダイズする核酸分子。
【0052】
本明細書に記載のさらなる態様は、本明細書に記載のポリ核酸分子またはポリ核酸分子コンジュゲートを対象に投与する工程を含む、FSHDを処置する方法を含む。
【0053】
ポリ核酸分子
特定の態様では、ポリ核酸分子は、Double homeobox 4(DUX4)遺伝子の標的配列にハイブリダイズする。一部の例では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、ヒトDUX4遺伝子(DUX4)の標的配列にハイブリダイズし、筋細胞中のDUX4 mRNAを減少させる。
【0054】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、配列番号1~70から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、配列番号141~210から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、配列番号71~140から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、配列番号211~280から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0055】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、配列番号142、146、196、201~206、412~420、または430~438から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0056】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを含む。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、配列番号1~70から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。場合により、第2のポリヌクレオチドは、配列番号71~140から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。場合により、ポリ核酸分子は、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを含む。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、配列番号141~210から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。場合により、第2のポリヌクレオチドは、配列番号211~280から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0057】
一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。場合により、第2のポリヌクレオチドは、配列番号412~420または430~438から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0058】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、センス鎖(例えば、パッセンジャー鎖)およびアンチセンス鎖(例えば、ガイド鎖)を含む。一部の例では、センス鎖(例えば、パッセンジャー鎖)は、配列番号1~70から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の例では、アンチセンス鎖(例えば、ガイド鎖)は、配列番号71~140から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、センス鎖(例えば、パッセンジャー鎖)およびアンチセンス鎖(例えば、ガイド鎖)を含む。一部の例では、センス鎖(例えば、パッセンジャー鎖)は、配列番号141~210から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の例では、アンチセンス鎖(例えば、ガイド鎖)は、配列番号211~280から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の例では、センス鎖(例えば、パッセンジャー鎖)は、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の例では、アンチセンス鎖(例えば、ガイド鎖)は、配列番号412~420または430~438から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0059】
一部の例では、センス鎖は、配列番号1、2、3、6、14、36、52、56、61、62、63、65、または66から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の例では、アンチセンス鎖は、配列番号71、72、73、76、84、106、122、127、131、132、133、135、または136から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の例では、siRNAは、表11に提示されるセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む。
【0060】
一部の例では、センス鎖は、配列番号141、142、143、146、176、192、196、201、202、203、205、または206から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の例では、アンチセンス鎖は、配列番号211、212、213、216、246、262、266、271、272、273、275、または276から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の例では、siRNAは、表12に提示されるセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む。
【0061】
一部の例では、センス鎖は、表14および表15における配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0062】
一部の例では、アンチセンス鎖は、表14および表15における配列番号412~420または430~438から選択される配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0063】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号412~420または配列番号430~438から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンスは、配列番号412~420または430~438から選択される配列と同一である。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列と同一である。
【0064】
一部の態様では、配列ポリ核酸分子は、配列番号142、146、196、もしくは201~206、または配列番号412~420もしくは430~438のうちいずれか1つと、3以下のヌクレオチド、2以下のヌクレオチド、または1以下のヌクレオチドだけ相違する、少なくとも14、15、16、17、18、または19の隣接するヌクレオチドを有する。一部の態様では、ポリ核酸分子は一本鎖である。一部の態様では、ポリ核酸分子は二本鎖である。
【0065】
一部の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、RNAまたはDNAを含む。場合により、ポリ核酸分子はRNAを含む。一部の例では、RNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、μRNA(miRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、または異質核内RNA(hnRNA)を含む。一部の例では、RNAはshRNAを含む。一部の例では、RNAはmiRNAを含む。一部の例では、RNAはdsRNAを含む。一部の例では、RNAはtRNAを含む。一部の例では、RNAはrRNAを含む。一部の例では、RNAはhnRNAを含む。一部の例では、オリゴヌクレオチドはホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)であり、これらは、ホスホロジチオエート連結によって接続されるモルホリン環の骨格で構築される短い一本鎖オリゴヌクレオチドアナログである。一部の例では、RNAはsiRNAを含む。一部の例では、ポリ核酸分子はsiRNAを含む。
【0066】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、約8~約50ヌクレオチド長である。一部の態様では、ポリ核酸分子は、約10~約50ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約10~約30、約15~約30、約18~約25、約18~約24、約19~約23、または約20~約22ヌクレオチド長である。
【0067】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、約50ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約45ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約40ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約35ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約30ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約25ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約20ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約19ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約18ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約17ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約16ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約15ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約14ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約13ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約12ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約11ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約10ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約8ヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約8~約50の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約10~約50の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約10~約45の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約10~約40の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約10~約35の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約10~約30の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約10~約25の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約10~約20の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約15~約25の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約15~約30の間のヌクレオチド長である。一部の例では、ポリ核酸分子は、約12~約30の間のヌクレオチド長である。
【0068】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、第1のポリヌクレオチドを含む。一部の例では、ポリ核酸分子は、第2のポリヌクレオチドを含む。一部の例、ポリ核酸分子は、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを含む。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、センス鎖またはパッセンジャー鎖である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、アンチセンス鎖またはガイド鎖である。
【0069】
一部の態様では、ポリ核酸分子は第1のポリヌクレオチドである。一部の態様では、第1のポリヌクレオチドは、約8~約50ヌクレオチド長である。一部の態様では、第1のポリヌクレオチドは、約10~約50ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約10~約30、約15~約30、約18~約25、約18~約24、約19~約23、または約20~約22ヌクレオチド長である。
【0070】
一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約50ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約45ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約40ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約35ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約30ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約25ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約20ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約19ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約18ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約17ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約16ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約15ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約14ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約13ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約12ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約11ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約10ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約8ヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約8~約50の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約10~約50の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約10~約45の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約10~約40の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約10~約35の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約10~約30の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約10~約25の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約10~約20の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約15~約25の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約15~約30の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第1のポリヌクレオチドは、約12~約30の間のヌクレオチド長である。
【0071】
一部の態様では、ポリ核酸分子は第2のポリヌクレオチドである。一部の態様では、第2のポリヌクレオチドは、約8~約50ヌクレオチド長である。一部の態様では、第2のポリヌクレオチドは、約10~約50ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約10~約30、約15~約30、約18~約25、約18~約24、約19~約23、または約20~約22ヌクレオチド長である。
【0072】
一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約50ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約45ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約40ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約35ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約30ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約25ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約20ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約19ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約18ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約17ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約16ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約15ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約14ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約13ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約12ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約11ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約10ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約8ヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約8~約50の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約10~約50の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約10~約45の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約10~約40の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約10~約35の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約10~約30の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約10~約25の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約10~約20の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約15~約25の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約15~約30の間のヌクレオチド長である。一部の例では、第2のポリヌクレオチドは、約12~約30の間のヌクレオチド長である。
【0073】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを含む。一部の例では、ポリ核酸分子は、ブラント末端、オーバーハング、またはそれらの組合せをさらに含む。一部の例では、ブラント末端は、5’ブラント末端、3’ブラント末端、またはその両方である。場合により、オーバーハングは、5’オーバーハング、3’オーバーハング、またはその両方である。場合により、オーバーハングは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の非塩基対合ヌクレオチドを含む。場合により、オーバーハングは、1、2、3、4、5、または6つの非塩基対合ヌクレオチドを含む。場合により、オーバーハングは、1、2、3、または4つの非塩基対合ヌクレオチドを含む。場合により、オーバーハングは、1つの非塩基対合ヌクレオチドを含む。場合により、オーバーハングは、2つの非塩基対合ヌクレオチドを含む。場合により、オーバーハングは、3つの非塩基対合ヌクレオチドを含む。場合により、オーバーハングは、4つの非塩基対合ヌクレオチドを含む。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、3’末端にオーバーハングとして2つの非塩基対合ヌクレオチドを含むが、センス鎖にはオーバーハングがない。任意選択で、かかる態様では、非塩基対合ヌクレオチドは、TT、dTdT、またはUUの配列を有する。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、アンチセンス配列に相補的な1つまたは複数のヌクレオチドを5’末端に有する。
【0074】
一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、DUX4の標的配列に対して少なくとも40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または99.5%相補的である。一部の態様では、DUX4の標的配列は、DUX4中で約10~50塩基対長、約15~50塩基対長、15~40塩基対長、15~30塩基対長、または15~25塩基対長の核酸配列であり、その中で標的配列の第1のヌクレオチドは、コード領域中または5’もしくは3’非翻訳領域(UTR)中の、DUX4 mRNA転写物におけるいずれかのヌクレオチドにおいて開始する。例えば、標的配列の第1のヌクレオチドは、核酸位置(nal、DUX mRNAの完全長の5’-末端から開始する数、例えば、5’-末端の第1のヌクレオチドはnal.1である)1、nal2、nal3、nal4、nal5、nal6、nal7、nal8、nal9、nal10、nal11、nal12、nal13、nal14、nal15、nal15、nal16、nal17、またはDUX mRNAのコーディングもしくは非コーディング部位(5’もしくは3’非翻訳領域)における他のいずれかの核酸位置で開始するように選択することができる。一部の態様では、標的配列の第1のヌクレオチドは、nal10~nal15、nal10~nal20、nal50~nal60、nal55~nal65、nal75~nal85、nal95~nal105、nal135~nal145、nal155~nal165、nal225~nal235、nal265~nal275、nal275~nal285、nal285~nal295、nal325~nal335、nal335~nal345、nal385~nal395、nal515~nal525、nal665~nal675、nal675~nal685、nal695~nal705、nal705~nal715、nal875~nal885、nal885~nal895、nal895~nal905、nal1035~nal1045、nal1045~nal1055、nal1125~nal1135、nal1135~nal1145、nal1145~nal1155、nal1155~nal1165、nal1125~nal1135、nal1155~nal1165、nal1225~nal1235、nal1235~nal1245、nal1275~nal1285、nal1285~nal1295、nal1305~nal1315、nal1125~nal1135、nal1155~nal1165、nal1225~nal1235、nal1235~nal1245、nal1275~nal1285、nal1285~nal1295、nal1305~nal1315、nal1315~nal1325、nal1335~nal1345、nal1345~nal1355、nal1525~nal1535、nal1535~nal1545、nal1605~nal1615、nal1615-c.1625、nal1625~nal1635の中、またはそれらの間の位置で開始するように選択することができる。
【0075】
一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して少なくとも50%相補的である。一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して少なくとも60%相補的である。一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して少なくとも70%相補的である。一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して少なくとも80%相補的である。一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して少なくとも90%相補的である。一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して少なくとも95%相補的である。一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して少なくとも99%相補的である。一部の例では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して100%相補的である。
【0076】
一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して5つ以下のミスマッチを有する。一部の態様では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して4つ以下のミスマッチを有する。一部の例では、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して3つ以下のミスマッチを有する。場合により、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して2つ以下のミスマッチを有する。場合により、ポリ核酸分子の配列は、本明細書に記載の標的配列に対して1つ以下のミスマッチを有する。
【0077】
一部の態様では、すべてのポリ核酸分子中のポリ核酸分子の基は、潜在的に、ポリ核酸分子ライブラリを生成するために選択されるDUX4の標的配列に結合する。特定の態様では、かかる選択プロセスは、あまり望ましくないポリ核酸分子を候補から除外する1つまたは複数の工程によってin silicoで実施される。例えば一部の態様では、選択プロセスは、一塩基変異多型(SNP)および/または-5未満のMEFを有する、1つまたは複数のポリ核酸分子の除外工程を含む。代替的および/または付加的に、一部の態様では、選択プロセスは、(許容されたヒット(hits)だけがDUX、DUX5、およびDBETであるような)ヒトトランスクリプトームに0および1つのミスマッチ(MM)を有する1つまたは複数のポリ核酸分子の除外工程を含む。代替的および/または付加的に、一部の態様では、選択プロセスは、(許容されたヒットだけがDUX1、DUX5、およびDBET偽遺伝子であるような)ヒト遺伝子内領域に0のMMを有する1つまたは複数のポリ核酸分子の除外工程を含む。代替的および/または付加的に、一部の態様では、選択プロセスは、FLExDUX4 FSHDマウスモデルに使用されるDUX4ヒト配列に対するMMを有する1つまたは複数のポリ核酸分子の除外工程を含む。代替的および/または付加的に、一部の態様では、選択プロセスは、予測生存度が60未満である1つまたは複数のポリ核酸分子の除外工程を含む。代替的および/または付加的に、このような選択プロセスは、予測生存度が60以上である1つまたは複数のポリ核酸分子を繰り越すことを含む。代替的および/または付加的に、一部の態様では、選択プロセスは、既知のmiRNA 1~1000の種領域に対するマッチを有する1つまたは複数のポリ核酸分子の除外工程を含む。代替的および/または付加的に、一部の態様では、選択プロセスは、GC含有量%が75以上の1つまたは複数のポリ核酸分子の除外工程を含む。代替的および/または付加的に、一部の態様では、選択プロセスは、2つのMMを有する8つ以下の予測オフターゲットヒットの除外工程を含む。一部の態様では、領域295~1132(nal295~1132)に関しては、2つのMMを有する12以下の予測オフターゲットヒットが許容される。
【0078】
一部の態様では、選択プロセスは、あまり望ましくないポリ核酸分子を候補から除外する1つまたは複数の連続工程によってin silicoで実施される。例えば一部の態様では、選択プロセスは、ライブラリを生成するために候補ポリ核酸分子の収集から開始される。このライブラリから、第1の除外工程は、一塩基変異多型(SNP)および/または-5未満のMEFを有する、1つまたは複数のポリ核酸分子を除外することを含む。次いで、第2の除外工程は、(許容されたヒットだけがDUX、DUX5、およびDBETであるような)ヒトトランスクリプトーム内に0および1つのMMを有する1つまたは複数のポリ核酸分子を除外することを含む。次いで、第3の除外工程は、(許容されたヒットだけがDUX1、DUX5、およびDBET偽遺伝子であるような)ヒト遺伝子内領域内に0のMMを有する1つまたは複数のポリ核酸分子を除外することを含む。次いで、次の除外工程は、FLExDUX4 FSHDマウスモデルに使用されるDUX4ヒト配列に対するMMを有する1つまたは複数のポリ核酸分子を除外することを含む。次いで、次の工程は、予測生存度が60以上の1つまたは複数のポリ核酸分子のみを繰り越すことである。次に、除外工程は、既知のmiRNA 1~1000の種領域に対するマッチを有する1つまたは複数のポリ核酸分子を除外することを含む。次いで、除外工程は、GC含有量%が75以上の1つまたは複数のポリ核酸分子を除外することで継続する。次いで、最終の選択プロセスは、領域295~1132を除き、2つのMMを有する8つ以下の予測オフターゲットヒットを含み、これにおいては最大12のヒットが許容される。
【0079】
一部の態様では、本明細書に記載の標的配列にハイブリダイズするポリ核酸分子の特異性は、標的配列に対するポリ核酸分子の95%、98%、99%、99.5%、または100%の配列相補性である。一部の例では、ハイブリダイゼーションは、高度に厳密なハイブリダイゼーション条件である。
【0080】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、オフターゲット効果が少ない。一部の例では、「オフターゲット」または「オフターゲット効果」は、所与の標的に対して導かれたポリ核酸ポリマーが、別のmRNA配列、DNA配列、または細胞タンパク質もしくは他の部分との直接的または間接的な相互作用によって意図せぬ効果を生じさせるすべての例を指す。一部の例では、「オフターゲット効果」は、他の転写物とポリ核酸分子のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖との間の部分的な相同性または相補性に起因して、他の転写物が同時に分解される場合に生じる。
【0081】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、天然、合成、もしくは人工のヌクレオチドアナログまたは塩基を含む。場合により、ポリ核酸分子は、DNA、RNA、および/またはヌクレオチドアナログの組合せを含む。一部の例では、合成もしくは人工のヌクレオチドアナログまたは塩基は、リボース部分、ホスフェート部分、ヌクレオシド部分、もしくはそれらの組合せのうち1つまたは複数に修飾を含む。
【0082】
一部の態様では、ヌクレオチドアナログまたは人工ヌクレオチド塩基は、リボース部分の2’ヒドロキシル基に修飾を含んだ核酸を含む。一部の例では、修飾はH、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2、またはCNを含み、Rはアルキル部分である。典型的なアルキル部分として、ハロゲン、硫黄、チオール、チオエテール、チオエステル、アミン(第一級、第二級、または第三級)、アミド、エーテル、エステル、アルコール、および酸素が挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、アルキル部分はさらに修飾を含む。一部の例では、修飾は、アゾ基、ケト基、アルデヒド基、カルボキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、複素環(例えば、イミダゾール、ヒドラジノ、もしくはヒドロキシルアミノ)基、イソシアネートもしくはシアネート基、または硫黄含有基(例えば、スルホキシド、スルホン、硫化物、およびジスルフィド)を含む。一部の例では、アルキル部分はさらにヘテロ置換を含む。一部の例では、複素環基の炭素は、窒素、酸素、または硫黄によって置換される。一部の例では、複素環置換として、モルホリノ、イミダゾール、およびピロリジノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
一部の例では、2’ヒドロキシル基の修飾は、2’-O-メチル修飾または2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾である。場合により、2’-O-メチル修飾はメチル基をリボース部分の2’ヒドロキシル基に加えるが、2’-O-メトキシエチル修飾はメトキシエチル基をリボース部分の2’ヒドロキシル基に加える。アデノシン分子および2’-O-メチル修飾およびウリジンの2’-O-メトキシエチル修飾の典型的な化学構造を、以下に例示する。
【0084】
【0085】
一部の例では、2’ヒドロキシル基の修飾は、プロピルリンカーを含む拡張アミン基がアミン基を2’酸素に結合させる2’-O-アミノプロピル修飾である。一部の例では、この修飾は、糖ごとにアミン基からの1つの正電荷を導入することによってオリゴヌクレオチド分子のホスフェート由来の全体的な負電荷を中和し、それによって、その両性イオンの特性により細胞取込み特性を改善する。2’-O-アミノプロピルヌクレオシドホスホラミダイトの典型的な化学構造を以下に例示する。
【0086】
【0087】
一部の例では、2’ヒドロキシル基における修飾は、2’炭素にて結合された酸素分子がメチレン基によって4’炭素に連結され、これにより2’-C,4’-C-オキシ-メチレン-結合二環式のリボヌクレオチドモノマーを形成する、ロックドまたは架橋リボース修飾(例えば、ロックド核酸すなわちLNA)である。LNAの化学構造の典型的な表現を以下に例示する。左に示す表現は、LNAモノマーの化学的接続を強調する。右に示す表現は、LNAモノマーのフラノース環のロックド3’-endo(3E)立体配座を強調する。
【0088】
【0089】
一部の例では、2’ヒドロキシル基における修飾は、例えば、糖の立体配座をC3’-endo糖パッカリング立体配座(C3’-endo sugar puckering conformation)にロックする2’-4’-エチレン-架橋核酸などのエチレン核酸(ENA)を含む。ENAは、さらにLNAを含む修飾核酸の架橋核酸クラスの一部である。ENAおよび架橋核酸の典型的な化学構造を以下に例示する。
【0090】
【0091】
一部の態様では、2’ヒドロキシル基における追加の修飾は、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)を含む。
【0092】
一部の態様では、ヌクレオチドアナログは、限定されないが、5-プロピニルウリジン、5-プロピニルシチジン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニン、N,N,-ジメチルアデニン、2-プロピルアデニン、2-プロピルグアニン、2-アミノアデニン、1-メチルイノシン、3-メチルウリジン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン、および5位に修飾を有する他のヌクレオチド、5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ハロシチジン、5-ハロウリジン、4-アセチルシチジン、1-メチルアデノシン、2-メチルアデノシン、3-メチルシチジン、6-メチルウリジン、2-メチルグアノシン、7-メチルグアノシン、2,2-ジメチルグアノシン、5-メチルアミノエチルウリジン、5-メチルオキシウリジン、7-デアザ-アデノシンなどのデアザヌクレオチド、6-アゾウリジン、6-アゾシチジン、6-アゾチミジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-チオウリジンや4-チオウリジンや2-チオシチジンなどの他のチオ塩基、ジヒドロウリジン、シュードウリジン、キューオシン、アーケオシン、ナフチル、および置換ナフチル基、N6-メチルアデノシンなどのあらゆるO-およびN-アルキル化プリンおよびピリミジン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、ウリジン5-オキシ酢酸、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、アミノフェノールまたは2,4,6-トリメトキシベンゼンなどのフェニルおよび修飾フェニル基、G-クランプヌクレオチドとして作用する修飾シトシン、8-置換アデニンおよびグアニン、5-置換ウラシルおよびチミン、アザピリミジン、カルボキシヒドロキシアルキルヌクレオチド、カルボキシアルキルアミノアルキルヌクレオチド、ならびにアルキルカルボニルアルキル化ヌクレオチドといった、修飾塩基を含む。修飾ヌクレオチドはまた、糖部分に対して修飾されるヌクレオチドのほか、リボシルでない糖またはそのアナログを有するヌクレオチドも含む。例えば、場合により糖部分は、マンノース、アラビノース、グルコピラノース、ガラクトピラノース、4’-チオリボース、および他の糖、複素環、もしくは炭素環であるか、またはそれらに基づく。ヌクレオチドという用語はまた、ユニバーサル塩基として当該技術分野で公知のものも含む。例として、ユニバーサル塩基には、3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、またはネブラリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
一部の態様では、ヌクレオチドアナログは、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、1’,5’-アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)、またはそれらの組合せをさらに含む。モルホリノまたはホスホラミダイトモルホリノオリゴ(PMO)は、その構造が正常な糖およびホスフェート構造から逸脱することによって天然の核酸構造を模倣する、合成分子を含む。一部の例では、5員のリボース環は、4つの炭素、1つの窒素、および1つの酸素を含有する6員のモルホリノ環で置換される。場合により、リボースモノマーは、ホスフェート基の代わりにホスホラミデート基によって結合される。このような場合、骨格の改変により、荷電されたオリゴヌクレオチドによって使用されるものなどの細胞送達剤の補助を必要とすることなく、細胞膜をわたることが可能なモルホリノ中性分子を作る正電荷および負電荷がすべて除去される。
【0094】
【0095】
一部の態様では、ペプチド核酸(PNA)は糖骨格環もホスフェート連結も含有しておらず、塩基は、オリゴグリシン様分子によって結合されて適宜間隔を空けられ、そうして骨格電荷が排除される。
【0096】
【0097】
一部の態様では、1つまたは複数の修飾は、任意選択でヌクレオチド間連結において生じる。一部の例では、修飾ヌクレオチド間連結として、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、5’-アルキレンホスホネート、5’-メチルホスホネート、3’-アルキレンホスホネート、ボロントリフルオリデート、3’-5’連結もしくは2’-5’連結のボラノホスフェートエステルおよびセレノホスフェート、ホスホトリエステル、チオのアルキルホスホトリエステル、ホスホン酸水素連結、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、アリールホスホノチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスフィネート、ホスホラミデート、3’-アルキルホスホラミデート、アミノアルキルホスホラミデート、チオノホスホラミデート、ホスホロピペラジデート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニリデート、ケトン、スルホン、スルホンアミド、カーボネート、カルバメート、メチレンヒドラゾ(methylenehydrazos)、メチレンジメチルヒドラゾ(methylenedimethylhydrazos)、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、チオアミデート、リボアセチル基との連結、アミノエチルグリシン、シリルもしくはシロキサン連結、例えば飽和もしくは不飽和の、置換された、および/またはヘテロ原子を含有する1~10個の炭素のヘテロ原子を含むかあるいは含まないアルキルまたはシクロアルキル連結、モルホリノ構造を有する連結、アミド、塩基が骨格のアザ窒素に直接的または間接的に結合されるポリアミド、ならびにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(PS ASO)は、ホスホロチオエート連結を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである。典型的なPS ASOを以下に例示する。
【0098】
【0099】
一部の例では、修飾は、メチルホスホネートまたはチオールホスホネート修飾などのメチルまたはチオール修飾である。典型的なチオールホスホネートヌクレオチド(左)およびメチルホスホネートヌクレオチド(右)を以下に例示する。
【0100】
【0101】
一部の例では、修飾ヌクレオチドには、
【0102】
【化18】
として例示される2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、
【0104】
【化19】
から選択される5’-ビニルホスホネート修飾の非天然ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されず、式中、Bは複素環塩基部分である。
【0105】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、
【0106】
【化20】
から選択される1つの5’-ビニルホスホネート修飾の非天然ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されず、式中、Bは複素環塩基部分であり、R1、R2、およびR3は、独立して水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、Jは、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である。
【0107】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、
【0108】
【化21】
から選択される1つの5’-ビニルホスホネート修飾の非天然ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されず、式中、Bは複素環塩基部分であり、R4およびR5は、独立して水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、Jは、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である。
【0109】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、
【0110】
【化22】
から選択される1つの5’-ビニルホスホネート修飾の非天然ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されず、式中、Bは複素環塩基部分であり、R6は、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、Jは、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である。
【0111】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、ロックド核酸(LNA)またはエチレン核酸(ENA)から選択される、1つの5’-ビニルホスホネート修飾の非天然ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、
【0113】
【化23】
から選択される1つの5’-ビニルホスホネート修飾の非天然ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されず、式中、Bは複素環塩基部分であり、Jは、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である。
【0114】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、
【0115】
【化24】
から選択される1つの5’-ビニルホスホネート修飾の非天然ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されず、式中、Bは複素環塩基部分であり、Jは、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である。
【0116】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、
【0117】
【化25】
から選択される1つの5’-ビニルホスホネート修飾の非天然ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されず、式中、Bは複素環塩基部分であり、R6は、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、Jは、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である。
【0118】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、
【0119】
【化26】
である1つの5’-ビニルホスホネート修飾の非天然ヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
一部の例では、修飾ヌクレオチドとして、
【0121】
【化27】
として例示されるヘキシトール核酸(または1’,5’-アンヒドロヘキシトール核酸(HNA))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
一部の態様では、1つまたは複数の修飾は、さらに任意選択で、3’もしくは5’末端にリボース部分、ホスフェート骨格、およびヌクレオシドの修飾、またはヌクレオチドアナログの修飾を含む。例えば、3’末端は、任意選択で3’カチオン性基を含むか、または3’末端において3’-3’連結によりヌクレオシドが逆転される。別の代案では、3’末端は、任意選択でアミノアルキル基、例えば3’C5-アミノアルキルdTとコンジュゲートされる。さらなる代案では、3’末端は、任意選択で脱塩基性部位、例えば脱プリンまたは脱ピリミジン部位とコンジュゲートされる。一部の例では、5’末端は、アミノアルキル基、例えば5’-O-アルキルアミノ置換基とコンジュゲートされる。場合により、5’末端は、脱塩基性部位、例えば脱プリンまたは脱ピリミジン部位とコンジュゲートされる。
【0123】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログのうち1つまたは複数を含む。一部の例では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログのうち1つまたは複数を含む。一部の態様では、人工ヌクレオチドアナログとして、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾された、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の例では、ポリ核酸分子は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾された、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、またはそれらの組合せから選択される人工ヌクレオチドアナログのうち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、25以上を含む。一部の例では、ポリ核酸分子は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドのうち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、25以上を含む。一部の例では、ポリ核酸分子は、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾ヌクレオチドのうち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、25以上を含む。一部の例では、ポリ核酸分子は、チオールホスホネートヌクレオチドのうち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、25以上を含む。
【0124】
一部の例では、ポリ核酸分子は、約5%~約100%の修飾、約10%~約100%の修飾、約20%~約100%の修飾、約30%~約100%の修飾、約40%~約100%の修飾、約50%~約100%の修飾、約60%~約100%の修飾、約70%~約100%の修飾、約80%~約100%の修飾、および約90%~約100%の修飾のうち少なくとも1つを含む。
【0125】
場合により、ポリ核酸分子は、約10%~約90%の修飾、約20%~約90%の修飾、約30%~約90%の修飾、約40%~約90%の修飾、約50%~約90%の修飾、約60%~約90%の修飾、約70%~約90%の修飾、および約80%~約100%の修飾のうち少なくとも1つを含む。
【0126】
場合により、ポリ核酸分子は、約10%~約80%の修飾、約20%~約80%の修飾、約30%~約80%の修飾、約40%~約80%の修飾、約50%~約80%の修飾、約60%~約80%の修飾、および約70%~約80%の修飾のうち少なくとも1つを含む。
【0127】
一部の例では、ポリ核酸分子は、約10%~約70%の修飾、約20%~約70%の修飾、約30%~約70%の修飾、約40%~約70%の修飾、約50%~約70%の修飾、および約60%~約70%の修飾のうち少なくとも1つを含む。
【0128】
一部の例では、ポリ核酸分子は、約10%~約60%の修飾、約20%~約60%の修飾、約30%~約60%の修飾、約40%~約60%の修飾、および約50%~約60%の修飾のうち少なくとも1つを含む。
【0129】
場合により、ポリ核酸分子は、約10%~約50%の修飾、約20%~約50%の修飾、約30%~約50%の修飾、および約40%~約50%の修飾のうち少なくとも1つを含む。
【0130】
場合により、ポリ核酸分子は、約10%~約40%の修飾、約20%~約40%の修飾、および約30%~約40%の修飾のうち少なくとも1つを含む。
【0131】
場合により、ポリ核酸分子は、約10%~約30%の修飾、および約20%~約30%の修飾のうち少なくとも1つを含む。
【0132】
場合により、ポリ核酸分子は約10%~約20%の修飾を含む。
【0133】
場合により、ポリ核酸分子は、約15%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、または約40%~約60%の修飾を含む。
【0134】
さらなる場合に、ポリ核酸分子は、少なくとも約15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の修飾を含む。
【0135】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、または約22以上の修飾を含む。
【0136】
一部の例では、ポリ核酸分子は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、または約22以上の修飾ヌクレオチドを含む。
【0137】
一部の例では、ポリ核酸分子の約5~約100%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約5%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約10%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約15%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約20%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約25%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約30%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約35%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約40%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約45%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約50%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約55%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約60%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約65%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約70%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約75%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約80%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約85%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約90%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約95%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約96%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約97%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約98%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約99%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の例では、ポリ核酸分子の約100%は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む。一部の態様では、人工ヌクレオチドアナログとして、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾された、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0138】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む、約1~約25の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約1の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約2の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約3の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約4の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約5の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約6の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約7の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約8の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約9の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約10の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約11の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約12の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約13の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約14の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約15の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約16の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約17の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約18の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約19の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約20の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約21の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約22の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約23の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約24の修飾を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子は、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログを含む約25の修飾を含む。
【0139】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、1つのポリヌクレオチドがセンス鎖を含み、別のポリヌクレオチドがポリ核酸分子のアンチセンス鎖を含む、2つの別個のポリヌクレオチドから組み立てられる。他の態様では、センス鎖は、一部の例ではポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーであるリンカー分子を介してアンチセンス鎖に接続される。
【0140】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖内のピリミジンヌクレオチドは2’-O-メチルピリミジンヌクレオチドを含み、センス鎖内のプリンヌクレオチドは2’-デオキシプリンヌクレオチドを含む。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖に存在するピリミジンヌクレオチドは2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドを含み、センス鎖に存在するプリンヌクレオチドは2’-デオキシプリンヌクレオチドを含む。
【0141】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ピリミジンヌクレオチドは、アンチセンス鎖に存在する場合、2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドであり、プリンヌクレオチドは、アンチセンス鎖に存在する場合、2’-O-メチルプリンヌクレオチドである。
【0142】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、ピリミジンヌクレオチドは、アンチセンス鎖に存在する場合、2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドであり、プリンヌクレオチドは、アンチセンス鎖に存在する場合、2’-デオキシ-プリンヌクレオチドを含む。
【0143】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖およびアンチセンス鎖のうち少なくとも1つは、複数(例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上など)の2’-O-メチルまたは2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを有する。一部の態様では、複数の2’-O-メチルまたは2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチドのうち少なくとも2つは、連続するヌクレオチドである。一部の態様では、連続する2’-O-メチルまたは2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチドは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’末端に位置する。一部の態様では、連続する2’-O-メチルまたは2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチドは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の3’末端に位置する。一部の態様では、ポリ核酸分子のセンス鎖は、その5’末端および/もしくは3’末端、またはその両方に少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つの連続する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。任意選択で、かかる態様では、ポリ核酸分子のセンス鎖は、ポリヌクレオチドの5’末端にある少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つの連続する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドの3’末端に、またはポリヌクレオチドの3’末端にある少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つの連続する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドの5’末端に、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つの2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを含む。さらに任意選択で、かかる少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つの2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチドは、連続するヌクレオチドである。
【0144】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖およびアンチセンス鎖のうち少なくとも1つは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’末端に位置する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを有する。一部の態様では、センス鎖およびアンチセンス鎖のうち少なくとも1つは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の3’末端に位置する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを有する。一部の態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’末端に位置する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドは、プリンヌクレオチドである。一部の態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’末端に位置する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドは、ピリジンヌクレオチドである。
【0145】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’末端に2つ以上の連続する2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを有する。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、3’末端に2つ以上の連続する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを有する。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、少なくとも2、3、4、5、6、または7つの連続する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを有する。
【0146】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’-nsnsnnnnNfNfNfnnnnnnnnsnsa-3’(小文字(n)=2’-O-Me(メチル)、Nf=2’-F(フルオロ)、s=ホスホロチオエート骨格修飾)の核酸を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、5’-UfsNfsnnnNfnnnnnnnNfnNfnnnsusu-3’(小文字(n)=2’-O-Me(メチル)、Nf=2’-F(フルオロ)、s=ホスホロチオエート骨格修飾)の核酸を含む。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’-nsnsnnnnNfNfNfnnnnnnnnsnsa-3’(小文字(n)=2’-O-Me(メチル)、Nf=2’-F(フルオロ)、s=ホスホロチオエート骨格修飾)の核酸を含み、アンチセンス鎖は、5’-UfsNfsnnnNfnnnnnnnNfnNfnnnsusu-3’(小文字(n)=2’-O-Me(メチル)、Nf=2’-F(フルオロ)、s=ホスホロチオエート骨格修飾)の核酸を含む。
【0147】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、センス鎖の5’末端、3’末端、または5’末端と3’末端の両方に末端キャップ部分を含む。他の態様では、末端キャップ部分は、反転デオキシ脱塩基部分である。
【0148】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の3’末端にグリセリル修飾を含む。
【0149】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、1つもしくは複数の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または約1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択でセンス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に末端キャップ分子を含み、アンチセンス鎖は、約1~約10以上の、具体的には約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または約1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択でアンチセンス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に末端キャップ分子を含む。他の態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の、1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のピリミジンヌクレオチドは、1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または3’末端、5’末端、もしくは3’末端と5’末端の両方にある末端キャップ分子が、同じまたは異なる鎖に存在する場合、あるいは存在しない場合に、2’-デオキシ、2’-O-メチル、および/または2’-デオキシ-2’-フルオロで化学修飾される。
【0150】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、約1~約25の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または約1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択でセンス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に末端キャップ分子を含み、アンチセンス鎖は、約1~約25以上の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または約1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択でアンチセンス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に末端キャップ分子を含む。他の態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の、1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のピリミジンヌクレオチドは、約1~約25以上の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または3’末端、5’末端、もしくは3’末端と5’末端の両方にある末端キャップ分子が、同じまたは異なる鎖に存在する場合、あるいは存在しない場合に、2’-デオキシ、2’-O-メチル、および/または2’-デオキシ-2’-フルオロで化学修飾される。
【0151】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、1つもしくは複数の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または約1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、ならびに/またはセンス鎖および/もしくはアンチセンス鎖の3’末端、5’末端、もしくは3’末端と5’末端の両方に1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択でセンス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に末端キャップ分子を含む。一部の態様では、アンチセンス鎖は、約1~約10以上の、具体的には約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または約1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択でアンチセンス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に末端キャップ分子を含む。他の態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の、1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のピリミジンヌクレオチドは、1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または3’末端、5’末端、もしくは3’末端と5’末端の両方にある末端キャップ分子が、同じまたは異なる鎖に存在する場合、あるいは存在しない場合に、2’-デオキシ、2’-O-メチル、および/または2’-デオキシ-2’-フルオロで化学修飾される。
【0152】
一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、約1~約25以上の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択でセンス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に末端キャップ分子を含み、アンチセンス鎖は、約1~約25以上の、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’-デオキシ、2’-O-メチル、2’-デオキシ-2’-フルオロ、および/または約1つもしくは複数(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチド、ならびに任意選択でアンチセンス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に末端キャップ分子を含む。他の態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の、1つまたは複数、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のピリミジンヌクレオチドは、約1~約5の、例えば約1、2、3、4、5以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、および/または3’末端、5’末端、もしくは3’末端と5’末端の両方にある末端キャップ分子が、同じまたは異なる鎖に存在する場合、あるいは存在しない場合に、2’-デオキシ、2’-O-メチル、および/または2’-デオキシ-2’-フルオロで化学修飾される。
【0153】
一部の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、ポリ核酸分子の各鎖において約1~約25、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を有する、化学修飾された低分子干渉核酸分子である。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の3’末端にホスフェート骨格修飾を含む。代替的および/または付加的に、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端にホスフェート骨格修飾を含む。一部の例では、ホスフェート骨格修飾は、ホスホロチオエートである。一部の態様では、センス鎖またはアンチセンス鎖は、2つのホスホロチオエート骨格を介して連結される3つの連続するヌクレオシドを有する。
【0154】
別の実施形態では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2’~5’のヌクレオチド間連結を含む。一部の例では、2’~5’のヌクレオチド間連結は、1つまたは両方の配列鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方にある。さらなる例では、2’~5’のヌクレオチド間連結は、1つまたは両方の配列鎖内の他の様々な位置に存在し、例えば、ポリ核酸分子の1つまたは両方の鎖にピリミジンヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結を含む、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上が、2’~5’のヌクレオチド間連結を含み、または、ポリ核酸分子の1つまたは両方の鎖にプリンヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結を含む、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上が、2’~5’のヌクレオチド間結合を含む。
【0155】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、細胞システムまたは再構築されたin vitroシステムにおいてRNAi活性を媒介する、一本鎖のポリ核酸分子であり、本ポリ核酸分子は、標的核酸配列に対する相補性を有する一本鎖のポリヌクレオチドを含み、ポリ核酸に存在する1つまたは複数のピリミジンヌクレオチドは、2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例えば、すべてのピリミジンヌクレオチドが2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドであり、または代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’-デオキシ-2’-フルオロピリミジンヌクレオチドである)、ポリ核酸に存在するすべてのプリンヌクレオチドは、2’-デオキシプリンヌクレオチド(例えば、すべてのプリンヌクレオチドが2’-デオキシプリンヌクレオチドであり、または代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’-デオキシプリンヌクレオチドである)、および、アンチセンス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に任意選択で存在する末端のキャップ修飾であり、ポリ核酸分子は、ポリ核酸分子の3’末端に任意選択で約1~約4(例えば、約1、2、3、または4)の末端2’-デオキシリボヌクレオチドをさらに含み末端ヌクレオチドは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、または4)のホスホロチオエートヌクレオシド間連結をさらに含み、ポリ核酸分子は、任意選択で5’末端ホスフェート基などの末端ホスフェート基をさらに含む。
【0156】
場合により、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログのうち1つまたは複数は、天然のポリ核酸分子と比較して、例えば、RNase Hなどのリボヌクレアーゼ、DNaseなどのデオキシリボヌクレアーゼ、または5’-3’エキソヌクレアーゼや3’-5’エキソヌクレアーゼなどのエキソヌクレアーゼといったヌクレアーゼに対して耐性を持つ。一部の例では、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾された、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイト、またはそれらの組合せを含む、人工ヌクレオチドアナログは、例えばRNase Hなどのリボヌクレアーゼ、DNaseなどのデオキシリボヌクレアーゼ、または5’-3’エキソヌクレアーゼや3’-5’エキソヌクレアーゼなどのエキソヌクレアーゼといったヌクレアーゼに対して耐性を持つ。一部の例では、2’-O-メチル修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-O-アミノプロピル修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-デオキシ修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、LNA修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、ENA修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、HNA修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、モルホリノは、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、PNA修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼへの耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、メチルホスホネートヌクレオチド修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、チオールホスホネートヌクレオチド修飾ポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトを含むポリ核酸分子は、ヌクレアーゼ耐性(例えば、RNase H、DNase、5’-3’エキソヌクレアーゼ、または3’-5’エキソヌクレアーゼへの耐性)を示す。一部の例では、本明細書に記載の5’コンジュゲートは、5’-3’エキソヌクレアーゼ切断を阻害する。一部の例では、本明細書に記載の3’コンジュゲートは、3’-5’エキソヌクレアーゼ切断を阻害する。
【0157】
一部の態様では、本明細書に記載の人工ヌクレオチドアナログのうち1つまたは複数は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、もしくは2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾された、LNA、ENA、PNA、HNA、モルホリノ、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、または2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトを含む、人工ヌクレオチドアナログのうち1つまたは複数は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-O-メチル修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-O-アミノプロピル修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-デオキシ修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、LNA修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、ENA修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、PNA修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、HNA修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、モルホリノ修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、メチルホスホネートヌクレオチド修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、チオールホスホネートヌクレオチド修飾ポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。一部の例では、2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトを含むポリ核酸分子は、等価な天然ポリ核酸分子と比較してmRNAに対する結合親和性が増加している。場合により、親和性の増加は、低いKd、高い溶融温度(Tm)、またはそれらの組合せで例示される。
【0158】
一部の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、キラル純粋な(またはステレオ純粋な)ポリ核酸分子、または単一のエナンチオマーを含むポリ核酸分子である。一部の例では、ポリ核酸分子は、L-ヌクレオチドを含む。一部の例では、ポリ核酸分子は、D-ヌクレオチドを含む。一部の例では、ポリ核酸分子組成物は、その鏡像エナンチオマーの30%未満、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%以下を含む。場合により、ポリ核酸分子組成物は、ラセミ混合物の30%未満、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、または1%以下未満を含む。一部の例では、ポリ核酸分子は、米国特許出願公開第2014/194610号明細書および同第2015/211006号明細書ならびに国際公開WO2015107425に記載されるポリ核酸分子である。
【0159】
一部の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、アプタマーをコンジュゲートする部分を含むようにさらに修飾される。一部の例では、アプタマーをコンジュゲートする部分は、DNAアプタマーをコンジュゲートする部分である。一部の例では、アプタマーをコンジュゲートする部分はAlphamer(Centauri Therapeutics)であり、特異的な細胞表面標的を認識するアプタマー部分、および循環する抗体に付着するための特異的なエピトープを提示する部分を含む。一部の例では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、米国特許第8,604,184号明細書、同8,591,910号明細書、および同7,850,975号明細書に記載される、アプタマーをコンジュゲートする部分を含むようにさらに修飾される。
【0160】
さらなる態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、その安定性を増加させるように修飾される。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はRNA(例えば、siRNA)である。一部の例では、ポリ核酸分子は、その安定性を増加させるように上述の修飾のうち1つまたは複数によって修飾される。場合により、ポリ核酸分子は、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、もしくは2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾などによって、または、ロックドもしくは架橋リボース立体配座(例えば、LNAまたはENA)によって、2’ヒドロキシル位置で修飾される。場合により、ポリ核酸分子は、2’-O-メチルおよび/または2’-O-メトキシエチルリボースによって修飾される。場合により、ポリ核酸分子はまた、その安定性を増加させるために、モルホリノ、PNA、HNA、メチルホスホネートヌクレオチド、チオールホスホネートヌクレオチド、および/または2’-フルオロN3-P5’-ホスホラミダイトを含む。一部の例では、ポリ核酸分子は、キラル純粋(またはステレオ純粋)なポリ核酸分子である。一部の例では、キラル純粋(またはステレオ純粋)なポリ核酸分子は、その安定性を増加させるように修飾される。送達のために安定性を増加させるためのRNAに対する好適な修飾は、当業者に明白であろう。
【0161】
一部の例では、ポリ核酸分子は、自己相補性のセンス領域およびアンチセンス領域を含む二本鎖のポリヌクレオチド分子であり、アンチセンス領域は、標的核酸分子またはその一部においてヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を有する。一部の例では、ポリ核酸分子は、2つの別個のポリヌクレオチドから組み立てられ、このとき一方の鎖はセンス鎖であり、他方はアンチセンス鎖であり、アンチセンス鎖とセンス鎖は自己相補性であり(例えば、各鎖は、他方の鎖においてヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、例えば、アンチセンス鎖とセンス鎖は、二重鎖または二本鎖の構造を形成し、例えば二本鎖領域は、約19、20、21、22、23以上の塩基対である)、アンチセンス鎖は、標的核酸分子またはその一部においてヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を含む。代替的に、ポリ核酸分子は、1つのオリゴヌクレオチドから組み立てられ、このとき、ポリ核酸分子の自己相補性のセンス領域およびアンチセンス領域は、核酸ベースまたは非核酸ベースのリンカーによって結合される。
【0162】
場合により、ポリ核酸分子は、自己相補性のセンス領域およびアンチセンス領域を有する二重の、非対称的で二重の、ヘアピン状、または非対称的でヘアピン状の二次構造を含む、ポリヌクレオチドであり、アンチセンス領域は、別個の標的核酸分子またはその一部においてヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を有する。他の場合、ポリ核酸分子は、2つ以上のループ構造、および自己相補性のセンス領域およびアンチセンス領域を含むステムを有する、環状の一本鎖ポリヌクレオチドであり、アンチセンス領域は、標的核酸分子またはその一部においてヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を有し、環状のポリヌクレオチドは、RNAiを媒介可能な活性ポリ核酸分子を生成するために、in vivoまたはin vitroで処理される。さらなる場合、ポリ核酸分子はまた、標的核酸分子またはその一部においてヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含み(例えば、かかるポリ核酸分子は、標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列のポリ核酸分子内に存在することを必要としない)、一本鎖ポリヌクレオチドは、5’-ホスフェートや5’,3’-ジホスフェートなどの末端ホスフェート基をさらに含む。
【0163】
一部の例では、非対称的なヘアピンは、アンチセンス領域と、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含むループ部分と、アンチセンス領域との塩基対に対し十分な相補性のヌクレオチドを有するとともにループとの二重鎖を形成する範囲で、アンチセンス領域よりも少ないヌクレオチドを含むセンス領域とを含む、線形ポリ核酸分子である。例えば、非対称的なヘアピン状のポリ核酸分子は、細胞システムまたはin vitroシステムにおいてRNAiを媒介するのに十分な長さ(例えば、約19~約22ヌクレオチド)を有するアンチセンス領域と、約4~約8ヌクレオチドを含むループ領域と、アンチセンス領域に対して相補的な約3~約18ヌクレオチドを有するセンス領域とを含む。場合により、非対称的なヘアピン状のポリ核酸分子はまた、化学修飾された5’-末端ホスフェート基を含む。さらなる場合、非対称的なヘアピン状のポリ核酸分子のループ領域は、ヌクレオチド、非ヌクレオチド、リンカー分子、またはコンジュゲート分子を含む。
【0164】
一部の態様では、非対称的な二重鎖は、センス領域およびアンチセンス領域を含む2つの別個の鎖を有するポリ核酸分子であり、センス領域は、アンチセンス領域との塩基対に対し十分な相補性のヌクレオチドを有するとともにループとの二重鎖を形成する範囲で、アンチセンス領域よりも少ないヌクレオチドを含む。例えば、非対称的な二重ポリ核酸分子は、細胞システムまたはin vitroシステムにおいてRNAiを媒介するのに十分な長さ(例えば、約19~約22ヌクレオチド)を有するアンチセンス領域と、アンチセンス領域に対して相補的な約3~約18ヌクレオチドを有するセンス領域とを含む。
【0165】
場合により、ユニバーサル塩基は、両者の区別がほとんどない天然のDNA/RNA塩基のそれぞれとの塩基対を形成する、ヌクレオチド塩基アナログを指す。ユニバーサル塩基の非限定的な例として、C-フェニル、C-ナフチル、および他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミド、ならびに3-ニトロピロール、4-ニトロインドール、5-ニトロインドール、および6-ニトロインドールなど当該技術分野で公知のニトロアゾール誘導体が挙げられる。
【0166】
ポリ核酸分子の合成
一部の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、当該技術分野で公知の手順を用いた化学合成および/または酵素ライゲーション反応を使用して構築される。例えばポリ核酸分子は、自然発生のヌクレオチド、または、分子の生物学的安定性を増加させるか、もしくはポリ核酸分子と標的核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加させるように設計された種々に修飾されたヌクレオチドを使用して化学的に合成される。典型的な方法として、米国特許第5,142,047号明細書、同5,185,444号明細書、同5,889,136号明細書、同6,008,400号明細書、および同6,111,086号明細書、PCT公開WO2009099942、または欧州特許出願公開第1579015号明細書に記載のものが挙げられる。さらなる典型的な方法として、Griffeyらによる「2’-O-aminopropyl ribonucleotides: a zwitterionic modification that enhances the exonuclease resistance and biological activity of antisense oligonucleotides」,J.Med.Chem.39(26):5100~5109頁(1997));Obikaらによる「Synthesis of 2’-O,4’-C-methyleneuridine and -cytidine.Novel bicyclic nucleosides having a fixed C3,-endo sugar puckering.」Tetrahedron Letters 38(50):8735頁(1997);Koizumi,M.による「ENA oligonucleotides as therapeutics.」Current opinion in molecular therapeutics 8(2):144~149頁(2006);およびAbramovaらによる「Novel oligonucleotide analogues based on morpholino nucleoside subunits-antisense technologies: new chemical possibilities」,Indian Journal of Chemistry 48B:1721~1726頁(2009)に記載のものが挙げられる。代替的に、ポリ核酸分子は、ポリ核酸分子がアンチセンスの向きにサブクローニングされている(すなわち、挿入されたポリ核酸分子から転写されたRNAが、関心対象の標的ポリ核酸分子に対するアンチセンスの向きとなる)発現ベクターを用いて、生物学的に生成される。
【0167】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、タンデム合成法によって合成され、このとき両方の鎖は、二重鎖をハイブリダイズしてその精製を許容する別個のフラグメントまたは鎖を与えるように実質的に切断される切断可能リンカーによって分離される、1つの連続するオリゴヌクレオチドフラグメントまたは鎖として合成される。
【0168】
一部の例では、ポリ核酸分子はまた、1つのフラグメントがセンス領域を含み、別のフラグメントが分子のアンチセンス領域を含む、2つの別個の核酸鎖またはフラグメントから組み立てられる。
【0169】
例えば、糖、塩基、およびホスフェート修飾を組み込むためのさらなる修飾方法として、Ecksteinらによる国際公開WO92/07065、PerraultらによるNature,1990,344,565~568頁、PiekenらによるScience,1991,253,314~317頁、UsmanおよびCedergrenによるTrends in Biochem.Sci.,1992,17,334~339頁、Usmanらによる国際公開WO93/15187、Sproatによる米国特許第5,334,711号明細書、Beigelmanらによる1995,J.Biol.Chem.,270,25702頁、Beigelmanらによる国際公開WO97/26270、Beigelmanらによる米国特許第5,716,824号明細書、Usmanらによる米国特許第5,627,053号明細書、Woolfらによる国際公開WO98/13526、Thompsonらによる1998年4月20日出願の米国仮特許出願第60/082,404号明細書、Karpeiskyらによる1998,Tetrahedron Lett.,39,1131頁、EarnshawおよびGaitによる1998, Biopolymers(Nucleic Acid Sciences),48,39~55頁、VermaおよびEcksteinによる1998,Annu.Rev.Biochem.,67,99~134頁、ならびにBurlinaらによる1997,Bioorg.Med.Chem.,5,1999~2010頁が挙げられる。これらの刊行物は、触媒の調節なしに糖、塩基、および/またはホスフェート修飾などを核酸分子に導入する位置を判定するための一般的な方法と戦略を記載する。
【0170】
一部の例では、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、および/または5’-メチルホスホネートとのポリ核酸分子ヌクレオチド間連結の化学修飾によって安定性は改善するが、修飾が過剰であると、毒性、または活性減少を生じさせることがある。それゆえ、核酸分子を設計する場合、場合により、これらのヌクレオチド間連結の量が最小限に抑えられる。このような場合、これら結合の濃度の低下は、毒性を低下させ、これら分子の有効性を増加させ、特異性を向上させる。
【0171】
ポリ核酸分子コンジュゲート
一部の態様では、ポリ核酸分子(B)は、関心対象の部位への送達のためにポリペプチド(A)にさらにコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つのポリペプチドAは、少なくとも1つのBにコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つのポリペプチドAは、A-Bコンジュゲートを形成するために少なくとも1つのBにコンジュゲートされる。一部の態様では、少なくとも1つのAは、Bの5’末端、Bの3’末端、Bの内部部位、またはそれらのあらゆる組合せにコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つのポリペプチドAは、少なくとも2つのBにコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つのポリペプチドAは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8以上のBにコンジュゲートされる。
【0172】
場合により、ポリ核酸分子は、ポリペプチド(A)、および任意選択でポリマー部分(C)にコンジュゲートされる。一部の態様では、少なくとも1つのポリペプチドAは、少なくとも1つのBの1つの末端にコンジュゲートされ、一方で少なくとも1Cは、A-B-Cコンジュゲートを形成するために少なくとも1つのBの反対の末端にコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つのポリペプチドAは、少なくとも1つのBの1つの末端にコンジュゲートされ、一方で少なくとも1つのCは、少なくとも1つのBの内部部位にてコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つのポリペプチドAは、少なくとも1つのCに直接コンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つのBは、A-C-Bコンジュゲートを形成するために、少なくとも1つのCを介して少なくとも1つのポリペプチドAに間接的にコンジュゲートされる。
【0173】
一部の例では、少なくとも1つのBおよび/または少なくとも1つのC、ならびに任意選択で少なくとも1つのDは、少なくとも1つのポリペプチドAにコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つのBは、末端(例えば、5’末端または3’末端)において少なくとも1つのポリペプチドAにコンジュゲートされるか、または内部部位を介して少なくとも1つのポリペプチドAにコンジュゲートされる。場合により、少なくとも1つのCは、直接的に、または少なくとも1つのBを介して間接的に、少なくとも1つのポリペプチドAにコンジュゲートされる。少なくとも1つのBを介して間接的に行われる場合、少なくとも1つのCは、Bの上の少なくとも1つのポリペプチドAと同じ末端において、少なくとも1つのポリペプチドAの反対側の末端において、または独立して内部部位においてコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つの追加のポリペプチドAは、さらに少なくとも1つのポリペプチドA、B、またはCにコンジュゲートされる。さらなる例では、少なくとも1つのDは、任意選択で少なくとも1つのポリペプチドA、少なくとも1つのB、または少なくとも1つのCに直接または間接的にコンジュゲートされる。少なくとも1つのポリペプチドAに直接行われる場合、少なくとも1つのDも、A-D-Bコンジュゲートを形成するために少なくとも1つのBに任意選択でコンジュゲートされるか、または、A-D-B-Cコンジュゲートを形成するために少なくとも1つのBおよび少なくとも1つのCに任意選択でコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つのDは、D-A-B-Cコンジュゲートを形成するために、少なくとも1つのポリペプチドAに直接コンジュゲートされ、少なくとも1つのBおよび少なくとも1つのCに間接的にコンジュゲートされる。少なくとも1つのポリペプチドAに間接的に行われる場合、少なくとも1つのDも、A-B-Dコンジュゲートを形成するために少なくとも1つのBに任意選択でコンジュゲートされるか、または、A-B-D-Cコンジュゲートを形成するために少なくとも1つのBおよび少なくとも1つのCに任意選択でコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1つの追加のDは、さらに少なくとも1つのポリペプチドA、B、またはCにコンジュゲートされる。
【0174】
結合部分
一部の態様では、結合部分Aはポリペプチドである。一部の例では、ポリペプチドは、抗体またはそのフラグメントである。場合により、フラグメントは抗原結合フラグメントである。一部の例では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメント、マウス抗体またはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体またはその抗原結合フラグメント、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、軽鎖ドメインおよび重鎖ドメインを有する結合フラグメント、2つの軽鎖ドメインおよび2つの重鎖ドメインを有する結合フラグメント、2つ以上の軽鎖ドメインおよび重鎖ドメインを有する結合フラグメント、単価Fab’、二価Fab2、F(ab)’3フラグメント、一本鎖可変フラグメント(scFv)、bis-scFv、(scFv)2、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(dsFv)、単一ドメイン抗体(sdAb)、Ig NAR、ラクダ科抗体またはその抗原結合フラグメント、二特異性抗体またはその結合フラグメント、あるいはそれらの化学修飾された誘導体を含む。
【0175】
一部の態様では、結合部分Aは、二特異性抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の例では、二特異性抗体は、三機能性抗体または二特異性ミニ抗体である。場合により、二特異性抗体は、三機能性抗体である。一部の例では、三機能性抗体は、2つの異なる抗原に対する結合部位を含む全長モノクローナル抗体である。
【0176】
場合により、二特異性抗体は、二特異性ミニ抗体である。一部の例では、二特異性ミニ抗体は、二価Fab2、F(ab)’3フラグメント、bis-scFv、(scFv)2、ダイアボディ、ミニボディ、トリアボディ、テトラボディ、または二特異性T細胞エンゲージャ(BiTE)を含む。一部の態様では、二特異性T細胞エンゲージャは、2つの一本鎖可変フラグメント(scFv)を含有する融合タンパク質であり、そこでは2つのscFvが2つの異なる抗原のエピトープを標的とする。
【0177】
一部の態様では、結合部分Aは、二特異性ミニ抗体である。一部の例では、Aは二特異性Fab2である。一部の例では、Aは二特異性F(ab)’3フラグメントである。場合により、Aは二特異性bis-scFvである。場合により、Aは二特異性(scFv)2である。一部の態様では、Aは二特異性ダイアボディである。一部の態様では、Aは二特異性ミニボディである。一部の態様では、Aは二特異性トリアボディである。他の態様では、Aは二特異性テトラボディである。他の態様では、Aは二特異性T細胞エンゲージャ(BiTE)である。
【0178】
一部の態様では、結合部分Aは、三特異性抗体である。一部の例では、三特異性抗体は、F(ab)’3フラグメントまたはトリアボディを含む。一部の例では、Aは、三特異性F(ab)’3フラグメントである。場合により、Aはトリアボディである。一部の態様では、Aは、Dimasらによる「Development of a trispecific antibody designed to simultaneously and efficiently target three different antigens on tumor cells」,Mol.Pharmaceutics,12(9):3490~3501頁(2015)に記載される三特異性抗体である。
【0179】
一部の態様では、結合部分Aは、細胞表面タンパク質を認識する抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の例では、結合部分Aは、筋細胞上の細胞表面タンパク質を認識する抗体またはその抗原結合フラグメントである。場合により、結合部分Aは、骨格筋細胞上の細胞表面タンパク質を認識する抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0180】
一部の態様では、典型的な抗体として、抗ミオシン抗体、抗トランスフェリン受容体抗体、および筋特異的キナーゼ(MuSK)を認識する抗体が挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、抗体は、抗トランスフェリン受容体(抗CD71)抗体である。
【0181】
抗体が抗トランスフェリン受容体(抗CD71)抗体である一部の態様では、抗トランスフェリン抗体は、トランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合し、好ましくはトランスフェリン受容体1(TfR1)に特異的に結合し、またはより好ましくはヒトトランスフェリン受容体1(TfR1)(もしくはヒトCD71)に特異的に結合する。
【0182】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、HCDR2配列EINPIX1GRSNYAX2KFQGであって、X1がNまたはQから選択され、X2がQまたはEから選択される、HCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含む。
【0183】
一部の態様では、抗トランスフェリン受容体抗体のVH領域は、表1から選択されるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3配列を含む。
【0184】
【0185】
一部の態様では、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号282、284、または285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含む。一部の例では、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号282を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含む。一部の例では、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号284を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含む。一部の例では、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含む。
【0186】
一部の態様では、抗トランスフェリン受容体抗体のVL領域は、LCDR1配列RTSENIYX3NLA、LCDR2配列AX4TNLAX5、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X3はNまたはSから選択され、X4はAまたはGから選択され、X5はDまたはEから選択され、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合にはFである。
【0187】
一部の態様では、抗トランスフェリン受容体抗体のVL領域は、表2から選択されるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3配列を含む。
【0188】
【0189】
一部の例では、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYX3NLA、配列番号287、289、または292を含むLCDR2配列、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X3はNまたはSから選択される。
【0190】
一部の例では、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、LCDR2配列AX4TNLAX5、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X4はAまたはGから選択され、X5はDまたはEから選択される。
【0191】
一部の例では、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、配列番号287、289、または292を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0192】
一部の例では、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX5、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X5はDまたはEから選択され、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0193】
一部の例では、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号287を含むLCDR2配列、および配列番号288を含むLCDR3配列を含む。
【0194】
一部の例では、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号289を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0195】
一部の例では、VL領域は、配列番号291を含むLCDR1配列、配列番号292を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0196】
一部の態様では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、HCDR2配列EINPIX1GRSNYAX2KFQGであって、X1がNまたはQから選択され、X2がQまたはEから選択される、HCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYX3NLA、LCDR2配列AX4TNLAX5、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X3はNまたはSから選択され、X4はAまたはGから選択され、X5はDまたはEから選択され、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合にはFである。
【0197】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、HCDR2配列EINPIX1GRSNYAX2KFQGであって、X1がNまたはQから選択され、X2がQまたはEから選択される、HCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYX3NLA、配列番号287、289、または292を含むLCDR2配列、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X3はNまたはSから選択される。
【0198】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、HCDR2配列EINPIX1GRSNYAX2KFQGであって、X1がNまたはQから選択され、X2がQまたはEから選択される、HCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、LCDR2配列AX4TNLAX5、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X4はAまたはGから選択され、X5はDまたはEから選択される。
【0199】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、HCDR2配列EINPIX1GRSNYAX2KFQGであって、X1がNまたはQから選択され、X2がQまたはEから選択される、HCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、配列番号287、289、または292を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0200】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、HCDR2配列EINPIX1GRSNYAX2KFQGであって、X1がNまたはQから選択され、X2がQまたはEから選択される、HCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX5、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X5はDまたはEから選択され、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0201】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、HCDR2配列EINPIX1GRSNYAX2KFQGであって、X1がNまたはQから選択され、X2がQまたはEから選択される、HCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号287を含むLCDR2配列、および配列番号288を含むLCDR3配列を含む。
【0202】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、HCDR2配列EINPIX1GRSNYAX2KFQGであって、X1がNまたはQから選択され、X2がQまたはEから選択される、HCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号289を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0203】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、HCDR2配列EINPIX1GRSNYAX2KFQGであって、X1がNまたはQから選択され、X2がQまたはEから選択される、HCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号291を含むLCDR1配列、配列番号292を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0204】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号282を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYX3NLA、配列番号287、289、または292を含むLCDR2配列、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X3はNまたはSから選択される。
【0205】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号282を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、LCDR2配列AX4TNLAX5、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X4はAまたはGから選択され、X5はDまたはEから選択される。
【0206】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号2を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、配列番号287、289、または292を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0207】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号282を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX5、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X5はDまたはEから選択され、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0208】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号282を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号287を含むLCDR2配列、および配列番号288を含むLCDR3配列を含む。
【0209】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号282を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号9を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0210】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号282を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号291を含むLCDR1配列、配列番号292を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0211】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号284を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYX3NLA、配列番号287、289、または292を含むLCDR2配列、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X3はNまたはSから選択される。
【0212】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号284を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、LCDR2配列AX4TNLAX5、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X4はAまたはGから選択され、X5はDまたはEから選択される。
【0213】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号284を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、配列番号287、289、または292を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0214】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号284を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX5、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X5はDまたはEから選択され、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0215】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号284を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号287を含むLCDR2配列、および配列番号288を含むLCDR3配列を含む。
【0216】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号284を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号289を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0217】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号284を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号291を含むLCDR1配列、配列番号292を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0218】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、LCDR1配列RTSENIYX3NLA、配列番号287、289、または29を含むLCDR2配列、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X3はNまたはSから選択される。
【0219】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、LCDR2配列AX4TNLAX5、および配列番号288または290を含むLCDR3配列を含み、X4はAまたはGから選択され、X5はDまたはEから選択される。
【0220】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286または291を含むLCDR1配列、配列番号287、289、または292を含むLCDR2配列、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0221】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、LCDR2配列AATNLAX5、およびLCDR3配列QHFWGTPLTX6を含み、X5はDまたはEから選択され、X6は存在するかまたは存在せず、存在する場合、Fである。
【0222】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号287を含むLCDR2配列、および配列番号288を含むLCDR3配列を含む。
【0223】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号286を含むLCDR1配列、配列番号289を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0224】
一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域は、配列番号281を含むHCDR1配列、配列番号285を含むHCDR2配列、および配列番号283を含むHCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号291を含むLCDR1配列、配列番号292を含むLCDR2配列、および配列番号290を含むLCDR3配列を含む。
【0225】
一部の態様では、抗トランスフェリン受容体抗体は、VH領域およびVL領域を含み、VH領域の配列は、配列番号293~296に対して約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含み、VL領域の配列は、配列番号298~301に対して約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。
【0226】
一部の態様では、VH領域は、配列番号293~296から選択される配列(表3)を含み、VL領域は、配列番号298~301から選択される配列(表4)を含む。表3および表4中で下線付きの領域は、対応のCDR1、CDR2、またはCDR3配列を表す。
【0227】
【0228】
【0229】
一部の態様では、抗トランスフェリン受容体抗体は、表5に例示されるVH領域およびVL領域を含む。
【0230】
【0231】
一部の態様では、本明細書に記載の抗トランスフェリン受容体抗体は、IgGフレームワーク、IgAフレームワーク、IgEフレームワーク、またはIgMフレームワークを含む。一部の例では、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgGフレームワーク(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)を含む。場合により、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG1フレームワークを含む。場合により、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG2(例えば、IgG2aまたはIgG2b)フレームワークを含む。場合により、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG2aフレームワークを含む。場合により、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG2bフレームワークを含む。場合により、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG3フレームワークを含む。場合により、抗トランスフェリン受容体抗体は、IgG4フレームワークを含む。
【0232】
場合により、抗トランスフェリン受容体抗体は、フレームワーク領域、例えば、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ヒンジ領域、またはそれらの組合せに1つまたは複数の突然変異を含む。一部の例では、1つまたは複数の突然変異は、抗体を安定させる、かつ/または半減期を増加させることである。一部の例では、1つまたは複数の突然変異は、FcyR、抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)、または補体依存細胞毒性(CDC)などのFcエフェクタ機能を低減または排除するためにFc受容体相互作用を調節することである。さらなる例では、1つまたは複数の突然変異は、グリコシル化を調節することである。
【0233】
一部の態様では、1つまたは複数の突然変異は、Fc領域に位置する。一部の例では、Fc領域は、残基位置L234、L235、またはそれらの組合せに突然変異を含む。一部の例では、突然変異は、L234およびL235を含む。一部の例では、突然変異は、L234AおよびL235Aを含む。場合により、残基位置は、IgG1に関連する。
【0234】
一部の例では、Fc領域は、残基位置L234、L235、D265、N297、K322、L328、もしくはP329、またはそれらの組合せに突然変異を含む。一部の例では、突然変異は、残基位置K322、L328、またはP329での突然変異と組み合わせてL234およびL235を含む。場合により、Fc領域は、L234、L235、およびK322に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、L234、L235、およびL328に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、L234、L235、およびP329に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、D265およびN297に突然変異を含む。場合により、残基位置は、IgG1に関連する。
【0235】
一部の例では、Fc領域は、L234A、L235A、D265A、N297G、K322G、L328R、もしくはP329G、またはそれらの組合せを含む。一部の例では、Fc領域は、K322G、L328R、またはP329Gと組み合わせてL234AおよびL235Aを含む。場合により、Fc領域は、L234A、L235A、およびK322Gを含む。場合により、Fc領域は、L234A、L235A、およびL328Rを含む。場合により、Fc領域は、L234A、L235A、およびP329Gを含む。場合により、Fc領域は、D265AおよびN297Gを含む。場合により、残基位置は、IgG1に関連する。
【0236】
一部の例では、Fc領域は、残基位置L235、L236、D265、N297、K322、L328、もしくはP329に突然変異を含むか、またはそれら突然変異の組合せを含む。一部の例では、Fc領域は、L235およびL236に突然変異を含む。一部の例では、Fc領域は、残基位置K322、L328、またはP329での突然変異と組み合わせてL235およびL236に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、L235、L236、およびK322に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、L235、L236、およびL328に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、L235、L236、およびP329に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、D265およびN297に突然変異を含む。場合により、残基位置は、IgG2に関連する。
【0237】
一部の態様では、Fc領域は、L235A、L236A、D265A、N297G、K322G、L328R、もしくはP329G、またはそれらの組合せを含む。一部の例では、Fc領域は、L235AおよびL236Aを含む。一部の例では、Fc領域は、K322G、L328R、またはP329Gと組み合わせてL235AおよびL236Aを含む。場合により、Fc領域は、L235A、L236A、およびK322Gを含む。場合により、Fc領域は、L235A、L236A、およびL328Rを含む。場合により、Fc領域は、L235A、L236A、およびP329Gを含む。場合により、Fc領域は、D265AおよびN297Gを含む。場合により、残基位置は、IgG2に関連する。
【0238】
一部の態様では、Fc領域は、残基位置L233、L234、D264、N296、K321、L327、またはP328に突然変異を含み、残基は、配列番号303の233位、234位、264位、296位、321位、327位、および328位に対応する。一部の例では、Fc領域は、L233およびL234に突然変異を含む。一部の例では、Fc領域は、残基位置K321、L327、またはP328での突然変異と組み合わせてL233およびL234に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、L233、L234、およびK321に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、L233、L234、およびL327に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、L233、L234、およびK321に突然変異を含む。場合により、Fc領域は、L233、L234、およびP328に突然変異を含む。一部の例では、Fc領域は、D264およびN296に突然変異を含む。場合により、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4フレームワークにおける残基L233、L234、D264、N296、K321、L327、またはP328に対する等価な位置が、企図される。場合によりIgG1、IgG2、またはIgG4フレームワークにおける配列番号23の残基L233、L234、D264、N296、K321、L327、またはP328に対応する残基に対する突然変異も、企図される。
【0239】
一部の態様では、Fc領域は、残基位置L233A、L234A、D264A、N296G、K321G、L327R、またはP328Gを含み、残基は、配列番号303の233位、234位、264位、296位、321位、327位、および328位に対応する。一部の例では、Fc領域は、L233AおよびL234Aを含む。一部の例では、Fc領域は、K321G、L327R、またはP328Gと組み合わせてL233AおよびL234Aを含む。場合により、Fc領域は、L233A、L234A、およびK321Gを含む。場合により、Fc領域は、L233A、L234A、およびL327Rを含む。場合により、Fc領域は、L233A、L234A、およびK321Gを含む。場合により、Fc領域は、L233A、L234A、およびP328Gを含む。一部の例では、Fc領域は、D264AおよびN296Gに突然変異を含む。
【0240】
一部の態様では、ヒトIgG定常領域は、例えば、Natsumeらによる2008 Cancer Res,68(10):3863~72頁、Idusogieらによる2001 J Immunol,166(4):2571~5頁、Mooreらによる2010 mAbs,2(2):181~189頁、Lazarらによる2006 PNAS,103(11):4005~4010頁、Shieldsらによる2001 JBC,276(9):6591~6604頁、Stavenhagenらによる2007 Cancer Res,67(18):8882~8890頁、Stavenhagenらによる2008 Advan.Enzyme Regul.,48:152~164頁、Alegreらによる1992 J Immunol,148:3461~3468頁、Reviewed in Kaneko and Niwa,2011 Biodrugs,25(1):1~11頁に記載されるアミノ酸修飾により、抗体依存細胞性細胞毒素(ADCC)および/または補体依存細胞毒性(CDC)を改変するように修飾される。
【0241】
一部の態様では、本明細書に記載の抗トランスフェリン受容体抗体は、重鎖(HC)および軽鎖(LC)を含む全長抗体である。場合により、重鎖(HC)は、表6から選択される配列を含む。場合により、軽鎖(LC)は、表7から選択される配列を含む。下線領域は、対応のCDRを表す。
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
一部の態様では、本明細書に記載の抗トランスフェリン受容体抗体は、参照の抗トランスフェリン受容体抗体と比較して血清半減期が改善している。一部の例では、改善された血清半減期は、参照の抗トランスフェリン受容体抗体よりも少なくとも30分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、30日以上長い。
【0250】
一部の態様では、結合部分Aは、ポリ核酸分子(B)に非特異的にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分Aは、非部位特異的にリシン残基またはシステイン残基を介してポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分Aは、非部位特異的にリシン残基(例えば、結合部分Aに存在するリシン残基)を介してポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。場合により、結合部分Aは、非部位特異的にシステイン残基(例えば、結合部分Aに存在するシステイン残基)を介してポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。
【0251】
一部の態様では、結合部分Aは、部位特異的にポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分Aは、部位特異的な方法によって、リシン残基を通じて、システイン残基を通じて、5’末端にて、3’末端にて、非天然アミノ酸を通じて、または酵素修飾もしくは酵素触媒残基を通じてポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分Aは、部位特異的な方法によってリシン残基(例えば、結合部分Aに存在するリシン残基)を通じてポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分Aは、部位特異的な方法によってシステイン残基(例えば、結合部分Aに存在するシステイン残基)を通じてポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分Aは、部位特異的な方法によって5’末端にてポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分Aは、部位特異的な方法によって3’末端にてポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分Aは、部位特異的な方法によって非天然アミノ酸を通じてポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分Aは、部位特異的な方法によって、酵素修飾または酵素触媒残基を通じてポリ核酸分子(B)にコンジュゲートされる。
【0252】
一部の態様では、1つまたは複数のポリ核酸分子(B)は、結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16以上のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約1のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約2のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約3のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約4のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約5のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約6のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約7のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約8のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約9のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約10のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約11のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約12のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約13のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約14のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約15のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。一部の例では、約16のポリ核酸分子が、1つの結合部分Aにコンジュゲートされる。場合により、1つまたは複数のポリ核酸分子は、同じものである。他の場合、1つまたは複数のポリ核酸分子は、異なるものである。
【0253】
一部の態様では、結合部分Aにコンジュゲートされたポリ核酸分子(B)の数は、比を形成する。一部の例では、比は、DAR(薬物対抗体)比と称され、本明細書で言及される薬物はポリ核酸分子(B)である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約1以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約2以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約3以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約4以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約5以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約6以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約7以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約8以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約9以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約10以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約11以上である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約12以上である。
【0254】
一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約1である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約2である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約3である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約4である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約5である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約6である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約7である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約8である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約9である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約10である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約11である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約12である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約13である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約14である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約15である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、約16である。
【0255】
一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、1である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、2である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、4である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、6である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、8である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)と結合部分AとのDAR比は、12である。
【0256】
一部の例では、ポリ核酸分子(B)および結合部分Aを含むコンジュゲートは、ポリ核酸分子(B)を含むが結合部分Aを含まないコンジュゲートと比較して活性が改善されている。一部の例では、改善された活性は、疾患状態の処置または予防における生物学的に関連する機能の向上、例えば、安定性、親和性、結合、機能活性、および有効性の改善をもたらす。一部の例では、疾患状態は、遺伝子の1つまたは複数の突然変異したエクソンの結果である。一部の例では、ポリ核酸分子(B)および結合部分Aを含むコンジュゲートは、ポリ核酸分子(B)を含むが結合部分Aを含まないコンジュゲートと比較して、1つまたは複数の突然変異したエクソンのエクソンスキッピングの増大をもたらす。一部の例では、エクソンスキッピングは、ポリ核酸分子(B)および結合部分Aを含むコンジュゲートにおいて、ポリ核酸分子(B)を含むが結合部分Aを含まないコンジュゲートと比較して少なくとももしくは約5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または95%より多く増大する。
【0257】
一部の態様では、抗体または抗原結合フラグメントは、当該技術分野で公知の従来技法を用いて、例えば、アミノ酸の欠失、挿入、置換、付加、および/もしくは組換えによって、ならびに/または単独もしくは組合せで当該技術分野において公知の他のいずれかの修飾(例えば、グリコシル化やリン酸化などの翻訳後および化学的修飾)によってさらに修飾される。一部の例では、修飾は、Fc受容体との相互作用を調節するための修飾をさらに含む。一部の例では、1つまたは複数の修飾には、例えば、アミノ酸残基がFcドメインとFcRn受容体との相互作用に関与することを開示する国際公開WO97/34631に記載されるものが挙げられる。抗体または抗原結合フラグメントのアミノ酸配列の基礎をなす核酸配列にかかる修飾を導入する方法は、当業者に周知である。
【0258】
一部の例では、抗原結合フラグメントはその誘導体をさらに包含するとともに、少なくとも1つのCDRを含有するポリペプチド配列を含む。
【0259】
一部の例では、本明細書で使用される「一本鎖」という用語は、二特異性の一本鎖構築物の第1および第2のドメインが、好ましくは単一核酸分子によってコード可能な共線形アミノ酸配列の形で共有結合されることを意味する。
【0260】
一部の例では、二特異性の一本鎖抗体構築物は、2つの抗体由来の結合ドメインを含む構築物に関連する。かかる態様では、二特異性の一本鎖抗体構築物は、タンデムbi-scFvまたはダイアボディである。一部の例では、scFvは、リンカーペプチドによって接続されるVHドメインおよびVLドメインを含有する。一部の実例では、リンカーは、第1のドメインおよび第2のドメインのそれぞれが互いに独立して、それらの特有の結合特異性を保持できるのを確実とするのに十分な、長さおよび配列のものである。
【0261】
一部の態様では、本明細書で使用される結合または相互作用は、少なくとも2つの抗原相互作用部位同士の結合/相互作用を定義する。一部の例では、抗原相互作用部位は、特異的抗原または特異的抗原群との特異的な相互作用の能力を示すポリペプチドのモチーフを定義する。場合により、結合/相互作用はまた、特異的な認識を定義するとも理解される。このような場合、特異的な認識は、抗体またはその抗原結合フラグメントが、標的分子のそれぞれの少なくとも2つのアミノ酸と特異的に相互作用する、かつ/またはそれらに結合することができることを指す。例えば、特異的な認識は、抗体分子の特異性、または標的分子の特異的領域を判別するその能力に関連する。さらなる例では、抗原相互作用部位とその特異的抗原との特異的相互作用は、例えば、抗原の立体配座に対する変化の誘導、抗原のオリゴマー化などに起因して、シグナルの開始をもたらす。さらなる態様では、結合は、「重要なロック原理(key-lock-principle)」の特異性によって例証される。このため一部の例では、抗原相互作用部位および抗原のアミノ酸配列における特異的なモチーフは、それらの一次構造、二次構造、または三次構造の結果、ならびにその構造の二次修飾の結果として互いに結合する。このような場合、抗原相互作用部位とその特異的抗原との特異的相互作用は、同様に抗原に対する部位の単純な結合をもたらす。
【0262】
一部の例では、特異的相互作用はさらに、抗体または抗原結合フラグメントの交差反応性の低減、またはオフターゲット効果の低減を指す。例えば、関心対象のポリペプチド/タンパク質に結合するが、他のポリペプチドのいずれにも結合することも本質的に結合することもない抗体または抗原結合フラグメントは、関心対象のポリペプチド/タンパク質に特異的として考慮される。抗原相互作用部位と特異的抗原との特異的相互作用用の例は、リガンドのその受容体に対する特異性、例えば、抗原決定基(エピトープ)と抗体の抗原性結合部位との相互作用を含む。
【0263】
追加の結合部分
一部の態様では、結合部分は、血漿タンパク質である。一部の例では、血漿タンパク質は、アルブミンを含む。一部の例では、結合部分Aは、アルブミンである。一部の例では、アルブミンは、本明細書に記載のコンジュゲーション化学のうち1つまたは複数によってポリ核酸分子にコンジュゲートされる。一部の例では、アルブミンは、ネイティブライゲーション化学によってポリ核酸分子にコンジュゲートされる。一部の例では、アルブミンは、リシンコンジュゲーションによってポリ核酸分子にコンジュゲートされる。
【0264】
一部の例では、結合部分は、ステロイドである。典型的なステロイドには、飽和されるか、不飽和だるか、置換を含むか、またはそれらの組合せである、コレステロール、リン脂質、ジアシルグリセロールおよびトリアシルグリセロール、脂肪酸、炭水化物を含む。一部の例では、ステロイドはコレステロールである。一部の例では、結合部分は、コレステロールである。一部の例では、コレステロールは、本明細書に記載のコンジュゲーション化学のうち1つまたは複数によってポリ核酸分子にコンジュゲートされる。一部の例では、コレステロールは、ネイティブライゲーション化学によってポリ核酸分子にコンジュゲートされる。一部の例では、コレステロールは、リシンコンジュゲーションによってポリ核酸分子にコンジュゲートされる。
【0265】
一部の例では、結合部分は、細胞上で特異的表面マーカに結合するポリ核酸分子アプタマーが挙げられるがこれに限定されない、ポリマーである。本例では、結合部分は、標的遺伝子またはmRNAにハイブリダイズしないが、その代わりに細胞表面マーカのその特異的なエピトープに対する抗体結合と同様に細胞表面マーカに選択的に結合可能である、ポリ核酸である。
【0266】
場合により、結合部分はペプチドである。場合により、ペプチドは、約1~約3kDaの間を含む。場合により、ペプチドは、約1.2~約2.8kDaの間、約1.5~約2.5kDaの間、または約1.5~2kDaの間を含む。一部の例では、ペプチドは二環式ペプチドである。場合により、二環式ペプチドは、拘束された二環式ペプチドである。一部の例では、結合部分は、二環式ペプチド(例えば、Bicycle Therapeuticsの二環式(bicycles))である。
【0267】
さらなる場合、結合部分は小分子である。一部の例では、小分子は、抗体を補充する小分子である。場合により、抗体を補充する小分子は、標的に結合する末端および抗体に結合する末端を含み、標的に結合する末端は、細胞表面受容体を認識し、それと相互作用することが可能である。例えば一部の例では、グルタメート尿素化合物を含む、標的に結合する末端は、PSMAとの相互作用を可能にし、それによって、PSMAを発現する細胞との抗体相互作用を向上させる。一部の例では、結合部分は、Zhangらによる「A remote arene-binding site on prostate specific membrane antigen revealed by antibody-recruiting small molecules」,J Am Chem Soc.132(36):12711~12716頁(2010)、またはMcEnaneyらによる「Antibody-recruiting molecules:an emerging paradigm for engaging immune function in treating human disease」,ACS Chem Biol.7(7):1139~1151頁(2012)に記載される小分子である。
【0268】
抗体またはその抗原結合フラグメントの産生
一部の態様では、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、抗体および抗原結合フラグメント)は、ポリペプチド(例えば、抗体)の合成に有用であると当該技術分野で公知であるいずれかの方法、具体的には化学合成または組換え発現によって産生され、好ましくは組換え発現技法によって産生される。
【0269】
一部の例では、抗体またはその抗原結合フラグメントは組換えにより発現され、抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸は、化学合成されたオリゴヌクレオチド(例えば、Kutmeierらによる1994年の「BioTechniques 17:242頁」に記載されるもの)から組み立てられ、抗体をコードする配列の複数部分を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、ならびにその後のライゲートされたオリゴヌクレオチドのPCR増幅を必要とする。
【0270】
代替的に、抗体をコード化する核酸分子は、配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いたPCR増幅によって、または特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いたクローニングによって、好適な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリ、または免疫グロブリンを発現するいずれかの組織もしくは細胞から生成されたcDNAライブラリ)から任意選択で生成される。
【0271】
一部の例では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ポリクローナル抗体を生成するためにウサギなどの動物を免疫化することによって、またはより好ましくは、例えば、KohlerおよびMilstein(1975,Nature 256:495~497頁)に記載されるか、Kozborら(1983,Immunology Today 4:72頁)に記載されるか、もしくはColeら(1985 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,77~96頁)に記載されるモノクローナル抗体を生成することによって、任意選択で生成される。代替的に、特異的抗原に結合するFabフラグメントのクローンに対してFab発現ライブラリをスクリーニングすることによって(例えば、Huseらによる1989年のScience 246:1275~1281頁に記載されるように)、または抗体ライブラリをスクリーニングすることによって(例えば、Clacksonらによる1991年のNature 352:624頁、Haneらによる1997年のProc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4937頁を参照)、抗体の少なくともFab部分をコードするクローンが任意選択で得られる。
【0272】
一部の態様では、適切な生体活性のヒト抗体分子からの遺伝子とともに適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子をスプライシングすることによって「キメラ抗体」を産生するために開発された技法(Morrisonらによる1984年のProc.Natl.Acad.Sci.81:851~855頁、Neubergerらによる1984年のNature 312:604~608頁、Takedaらによる1985年のNature 314:452~454頁)が、使用される。キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域、およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するもの、例えばヒト化抗体など、様々な部分が様々な動物種に由来する分子である。
【0273】
一部の態様では、一本鎖抗体の産生について記載される技法(米国特許第4,694,778号明細書、Birdによる1988年のScience 242:423~42頁、Hustonらによる1988年のProc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879~5883頁、およびWardらによる1989年のNature 334:544~54頁)は、一本鎖抗体を産生するのに適している。一本鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv部位の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントを連結させることによって形成され、一本鎖ポリペプチドをもたらす。大腸菌中の機能的Fvフラグメントの組立てに関する技法も、任意選択で使用される(Skerraらによる1988年のScience 242:1038~1041頁)。
【0274】
一部の態様では、抗体のヌクレオチド配列を含む発現ベクター、または抗体のヌクレオチド配列は、従来技法(例えば、エレクトロポレーション、リポソームトランスフェクション、およびリン酸カルシウム沈澱反応)によって宿主細胞に導入され、次いでトランスフェクトされた細胞は、抗体を産生するための従来技法によって培養される。特定の態様では、抗体の発現は、構成的プロモータ、誘導性プロモータ、または組織特異的プロモータによって調節される。
【0275】
一部の態様では、種々の宿主発現ベクター系が、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを発現するために利用される。このような宿主発現系は、抗体のコード配列を産生した後に精製するビヒクルを表すだけでなく、適切なヌクレオチドコード配列により形質転換またはトランスフェクトされた場合にin situで抗体またはその抗原結合フラグメントを発現する細胞を表す。これらには、抗体またはその抗原結合フラグメントのコード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌(例えば、大腸菌および枯草菌)などの微生物;抗体またはその抗原結合フラグメントのコード配列を含有する組換え酵母菌発現ベクターにより形質転換された酵母菌(例えば、サッカロミケス・ピキア(Saccharomyces Pichia));抗体またはその抗原結合フラグメントのコード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワー・モザイク・ウイルス(CaMV)およびタバコ・モザイク・ウイルス(TMV))に感染したか、または抗体もしくはその抗原結合フラグメントのコード配列を含有する組換プラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインプロモータ)または哺乳動物ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモータ、ワクシニアウイルス7.5Kプロモータ)に由来するプロモータを含有する組換え発現構築物を抱える哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BH、293、293T、3T3細胞)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0276】
組換えタンパク質の長期にわたる高収量の産生では、安定した発現が好ましい。一部の例では、安定して抗体を発現する細胞株は、任意選択で操作される。宿主細胞は、ウイルスの複製開始点を包含する発現ベクターを使用するのではなく、適切な発現調節要素(例えば、プロモータ、エンハンサ、配列、転写ターミネータ、ポリアデニル化部位など)および選択可能なマーカによって制御されたDNAによって形質転換される。外来性DNAの導入後、操作された細胞を濃縮培地中で1~2日間成長させた後、選択培地に切り替える。組換えプラスミド中の選択可能なマーカは、選択に対する耐性を与えて、細胞がプラスミドをその染色体に安定して統合し、クローニングされ細胞株へと拡張される焦点を形成するように成長するのを可能にする。この方法は、抗体またはその抗原結合フラグメントを発現する細胞株を操作するために有利に使用できる。
【0277】
一部の例では、それぞれtk-、hgprt-、またはaprt-細胞に採用される、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerらによる1977年のCell 11:223頁)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaとSzybalskiによる192,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202頁)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyらによる1980年のCell 22:817頁)の遺伝子を含むがこれらに限定されない、多くの選択システムが使用される。また、代謝拮抗物質耐性(antimetabolite resistance)も、次の遺伝子:メトトレキサートに耐性を与えるDHFR(Wiglerらによる1980年のProc.Natl.Acad.Sci.USA 77:357頁、O’Hareらによる1981年のProc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527頁)、ミコフェノール酸に耐性を与えるGPT(MulliganとBergによる1981年のProc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072頁)、アミノグリコシドG-418に耐性を与えるneo(Clinical Pharmacy 12:488~505頁、WuとWuによる1991年のBiotherapy 3:87~95頁、Tolstoshevによる1993年のAnn.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573~596頁、Mulliganによる1993年のScience 260:926~932頁、およびMorganとAndersonによる1993年のAnn.Rev.Biochem.62:191-217頁;May 1993,TIB TECH 11(5):155~215頁)、ならびにヒグロマイシンに耐性を与えるhygro(Santerreらによる1984年のGene 30:147頁)に対する選定基準として使用される。使用可能である組換えDNA技法の分野で一般的に公知の方法は、Ausubelら(編、1993年のCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NY、Krieglerによる1990年のGene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY、Dracopoliら(編)による1994年のCurrent Protocols in Human Genetics,John Wiley&Sons,NY.の第12章と第13章、Colberre-Garapinらによる1981年のJ.Mol.Biol.150:1頁)に記載されている。
【0278】
一部の例では、抗体の発現レベルは、ベクター増幅により上昇する(論評に関しては、BebbingtonとHentschelによる「the use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning」Vol.3.(Academic Press,New York,1987)を参照)。抗体を発現するベクター系中のマーカが増幅可能な場合、宿主細胞の培養物に存在する阻害剤のレベルの上昇により、マーカ遺伝子のコピーの数が増加する。増幅された部位は抗体のヌクレオチド配列に関連付けられるので、抗体の産生も増加することになる(Crouseらによる1983年のMol.Cell Biol.3:257頁)。
【0279】
一部の例では、抗体もしくは抗体コンジュゲートの精製または分析に関する分野で公知のいずれかの方法が、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、具体的にはプロテインAの後の特異性抗原に対する親和性による、およびサイズカラムクロマトグラフィー(sizing column chromatography))、遠心分離、差分溶解性(differential solubility)、またはタンパク質精製に関する他の標準技術によって使用される。典型的なクロマトグラフィー法には、強力陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、および拘束タンパク質液体クロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0280】
コンジュゲーション化学
一部の態様では、ポリ核酸分子(B)は、結合部分にコンジュゲートされる。一部の態様では、ポリ核酸分子Bは、式A-X-B(Xは、AとBをコンジュゲートするリンカーである)で結合部分にコンジュゲートされる。一部の例では、結合部分は、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、抗原、毒素、ホルモン、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド、糖、炭化水素、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリマーのほか、これら物質のクラスのすべてのアナログまたは誘導体を含む。さらなる結合部分の例にはまた、コレステロール、リン脂質、ジアシルグリセロールおよびトリアシルグリセロール、脂肪酸、炭化水素(例えば、飽和、不飽和、または置換含有)、酵素基質、ビオチン、ジゴキシゲニン、および多糖類などのステロイドが挙げられる。一部の例では、結合部分は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。一部の例では、ポリ核酸分子はさらに、ポリマー、および任意選択でエンドソーム溶解性部分にコンジュゲートされる。
【0281】
一部の態様では、ポリ核酸分子は、化学ライゲーションプロセスによって結合部分にコンジュゲートされる。一部の例では、ポリ核酸分子は、ネイティブライゲーションによって結合部分にコンジュゲートされる。一部の例では、コンジュゲーションは、Dawsonらによる「Synthesis of proteins by native chemical ligation」,Science 1994,266,776~779頁、Dawsonらによる「Modulation of Reactivity in Native Chemical Ligation through the Use of Thiol Additives」,J.Am.Chem.Soc.1997,119,4325~4329頁、Hackengらによる「Protein synthesis by native chemical ligation:Expanded scope by using straightforward methodology.」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999,96,10068~10073頁、またはWuらによる「Building complex glycopeptides:Development of a cysteine-free native chemical ligation protocol」,Angew.Chem.Int.Ed.2006,45,4116~4125頁に記載されるようなものである。いくつかの例では、コンジュゲーションは、米国特許第8,936,910号に記載されるようなものである。一部の態様では、ポリ核酸分子は、ネイティブライゲーション化学を介して結合部分に部位特異的または非特異的にコンジュゲートされる。
【0282】
一部の例では、ポリ核酸分子は、「トレースレス」カップリング技術(Philochem)を利用する部位特異的方法によって結合部分にコンジュゲートされる。一部の例では、「トレースレス」カップリング技術は、アルデヒド基を含有するポリ核酸分子でコンジュゲートされる結合部分上で、N末端1,2-アミノチオール基にコンジュゲートされる(Casiらによる「Site-specific traceless coupling of potent cytotoxic drugs to recombinant antibodies for pharmacodelivery」,JACS 134(13):5887~5892頁(2012)を参照)。
【0283】
一部の例では、ポリ核酸分子は、結合部分に組み込まれた非天然アミノ酸を利用する部位特異的方法によって結合部分にコンジュゲートされる。一部の例では、非天然のアミノ酸は、p-アセチルフェニルアラニン(pAcPhe)を含む。一部の例では、pAcPheのケト基は、オキシム結合を形成するためにアルコキシ-アミン由来のコンジュゲーション部分に選択的に接合される(Axupらによる「Synthesis of site-specific antibody-drug conjugates using unnatural amino acids」,PNAS 109(40):16101~16106頁(2012)を参照)。
【0284】
一部の例では、ポリ核酸分子は、酵素触媒プロセスを利用する部位特異的方法によって結合部分にコンジュゲートされる。一部の例では、部位特異的方法は、SMARTag(商標)技術(Catalent,Inc.)を利用する。一部の例では、SMARTag(商標)技術は、アルデヒドタグの存在下での酸化プロセス、およびその後のヒドラジノ-ピクテ-シュペングラー(hydrazino-Pictet-Spengler;HIPS)ライゲーションによるアルキルヒドラジン官能化ポリ核酸に対するホルミルグリシン(FGly)のコンジュゲーションを通じて、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)によるシステインからのFGly残基の生成を含む(Wuらによる「Site-specific chemical modification of recombinant proteins produced in mammalian cells by using the genetically encoded aldehyde tag」,PNAS 106(9):3000~3005頁(2009)、Agarwalらによる「A Pictet-Spengler ligation for protein chemical modification」,PNAS 110(1):46~51頁(2013)を参照)。
【0285】
一部の例では、酵素触媒プロセスは、微生物トランスグルタミナーゼ(mTG)を含む。場合により、ポリ核酸分子は、微生物トランスグルタミナーゼ触媒プロセスを利用して結合部分にコンジュゲートされる。一部の例では、mTGは、認識配列内のグルタミンのアミド側鎖と官能化ポリ核酸分子の第一級アミンとの間の共有結合形成を触媒する。一部の例では、mTGは、ストレプトマイセス・モバラエンシス(Streptomyces mobarensis)から生産される(Stropらによる「Location matters:site of conjugation modulates stability and pharmacokinetics of antibody drug conjugates」,Chemistry and Biology 20(2)161~167頁(2013)を参照)。
【0286】
一部の例では、ポリ核酸分子は、配列特異的なトランスペプチダーゼを利用する、国際公開WO2014/140317に記載される方法によって、結合部分にコンジュゲートされる。
【0287】
一部の例では、ポリ核酸分子は、米国特許出願第2015/0105539号明細書および同第2015/0105540号明細書に記載される方法によって、結合部分にコンジュゲートされる。
【0288】
ポリマーコンジュゲーション部分
一部の態様では、ポリマー部分Cは、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載の結合部分、またはそれらの組合せにさらにコンジュゲートされる。一部の例では、ポリマー部分Cは、式A-X1-B-X2-C(X1、X2は、それぞれAとB、BとCをコンジュゲートする2つのリンカーである)でポリ核酸分子にコンジュゲートされる。場合により、ポリマー部分Cは、結合部分にコンジュゲートされる。他の場合、ポリマー部分Cは、ポリ核酸分子-結合部分分子にコンジュゲートされる。さらなる場合、ポリマー部分Cは、上述のようにコンジュゲートされる。
【0289】
一部の例では、ポリマー部分Cは、分枝状もしくは未分枝状のモノマーの長鎖、および/または2次元もしくは3次元のモノマーの交差結合ネットワークからなる、天然または合成のポリマーである。一部の例では、ポリマー部分Cは、多糖類、リグニン、ゴム、またはポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール)を含む。一部の例では、少なくとも1つのポリマー部分Cは、アルファ-もしくはオメガ-ジヒドロキシポリエチレングリコール、生物分解性のラクトン系ポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリシアノアクリレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(ポリ(エチレンテレフタレート)、PET、PETG、もしくはPETEとしても公知)、ポリテトラメチレングリコール(PTG)、またはポリウレタンのほか、それらの混合物を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、混合物は、同じ化合物内にあるほか、ブロック共重合体に関連する異なるポリマーの使用を指す。場合により、ブロック共重合体は、ポリマーの少なくとも1つの部分が別のポリマーのモノマーから構築されるポリマーである。一部の例では、ポリマー部分Cは、ポリアルキレンンオキシドを含む。一部の例では、ポリマー部分Cは、PEGを含む。一部の例では、ポリマー部分Cは、ポリエチレンイミド(PEI)またはヒドロキシルエチルデンプン(HES)を含む。
【0290】
一部の例では、CはPEG部分である。一部の例では、PEG部分はポリ核酸分子の5’末端でコンジュゲートされるが、結合部分はポリ核酸分子の3’末端でコンジュゲートされる。一部の例では、PEG部分はポリ核酸分子の3’末端でコンジュゲートされるが、結合部分はポリ核酸分子の5’末端でコンジュゲートされる。一部の例では、PEG部分は、ポリ核酸分子の内部部位にコンジュゲートされる。一部の例では、PEG部分、結合部分、またはそれらの組合せは、ポリ核酸分子の内部部位にコンジュゲートされる。一部の例では、コンジュゲーションは、直接コンジュゲーションである。一部の例では、コンジュゲーションは、ネイティブライゲーションを介する。
【0291】
一部の態様では、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)は、多分散系または単分散系化合物である。一部の例では、多分散系材料は、平均重量(重量平均)サイズおよび分散度を特徴とする、異なる分子量の材料の分散分布を含む。一部の例では、単分散系PEGは、1サイズの分子を含む。一部の態様では、Cは、多分散または単分散ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)であり、示された分子量は、ポリアルキレンオキシド、例えばPEGの分子の平均分子量を表す。
【0292】
一部の態様では、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)の分子量は、約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3250、3350、3500、3750、4000、4250、4500、4600、4750、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、10,000、12,000、20,000、35,000、40,000、50,000、60,000、または100,000Daである。
【0293】
一部の態様では、Cはポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)であり、約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3250、3350、3500、3750、4000、4250、4500、4600、4750、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、10,000、12,000、20,000、35,000、40,000、50,000、60,000、または100,000Daの分子量を有する。一部の態様では、CはPEGであり、約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3250、3350、3500、3750、4000、4250、4500、4600、4750、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、10,000、12,000、20,000、35,000、40,000、50,000、60,000、または100,000Daの分子量を有する。一部の例では、Cの分子量は、約200Daである。一部の例では、Cの分子量は、約300Daである。一部の例では、Cの分子量は、約400Daである。一部の例では、Cの分子量は、約500Daである。一部の例では、Cの分子量は、約600Daである。一部の例では、Cの分子量は、約700Daである。一部の例では、Cの分子量は、約800Daである。一部の例では、Cの分子量は、約900Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1100Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1200Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1300Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1400Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1450Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1500Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1600Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1700Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1800Daである。一部の例では、Cの分子量は、約1900Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2100Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2200Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2300Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2400Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2500Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2600Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2700Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2800Daである。一部の例では、Cの分子量は、約2900Daである。一部の例では、Cの分子量は、約3000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約3250Daである。一部の例では、Cの分子量は、約3350Daである。一部の例では、Cの分子量は、約3500Daである。一部の例では、Cの分子量は、約3750Daである。一部の例では、Cの分子量は、約4000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約4250Daである。一部の例では、Cの分子量は、約4500Daである。一部の例では、Cの分子量は、約4600Daである。一部の例では、Cの分子量は、約4750Daである。一部の例では、Cの分子量は、約5000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約5500Daである。一部の例では、Cの分子量は、約6000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約6500Daである。一部の例では、Cの分子量は、約7000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約7500Daである。一部の例では、Cの分子量は、約8000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約10,000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約12,000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約20,000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約35,000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約40,000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約50,000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約60,000Daである。一部の例では、Cの分子量は、約100,000Daである。
【0294】
一部の態様では、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)は、離散性のエチレンオキシドユニット(例えば、4~約48のエチレンオキシドユニット)を含む。一部の例では、離散性エチレンオキシドユニットを含むポリアルキレンオキシドは、直鎖である。他の場合、離散性エチレンオキシドユニットを含むポリアルキレンオキシドは、分枝鎖である。
【0295】
一部の実例では、ポリマー部分Cは、離散性エチレンオキシドユニットを含むポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)である。場合により、ポリマー部分Cは、約4~約48の間のエチレンオキシドユニットを含む。場合により、ポリマー部分Cは、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、または約48のエチレンオキシドユニットを含む。
【0296】
一部の例では、ポリマー部分Cは、例えば、約4~約48の間のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、または約48のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約4のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約5のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約6のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約7のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約8のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約9のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約10のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約11のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約12のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約13のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約14のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約15のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約16のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約17のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約18のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約19のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約20のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約21のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約22のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約23のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約24のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約25のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約26のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約27のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約28のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約29のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約30のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約31のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約32のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約33のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約34のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約35のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約36のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約37のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約38のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約39のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約40のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約41のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約42のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約43のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約44のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約45のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約46のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約47のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。場合により、ポリマー部分Cは、例えば、約48のエチレンオキシドユニットを含む離散性PEGである。
【0297】
場合により、ポリマー部分Cは、dPEG(登録商標)(Quanta Biodesign Ltd)である。
【0298】
一部の態様では、ポリマー部分Cは、カチオン性粘液酸系ポリマー(cMAP)を含む。一部の例では、cMAPは、少なくとも1つの繰り返しサブユニットの1つまたは複数のサブユニットを含み、サブユニット構造は、式(V):
【0299】
【0300】
式中、mは、独立してそれぞれの出現時に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、好ましくは4~6または5であり、nは、独立してそれぞれの出現時に、1、2、3、4、または5である。一部の態様では、mとnは、例えば約10である。
【0301】
一部の例では、cMAPは、PEG部分にコンジュゲートされて、cMAP-PEG共重合体、mPEG-cMAP-PEGmトリブロックポリマー、またはcMAP-PEG-cMAPトリブロックポリマーを生成する。一部の例では、PEG部分は、約500Da~約50,000Daの範囲にある。一部の例では、PEG部分は、約500Da~約1000Da、1000Da超~約5000Da、5000Da超~約10,000Da、10,000Da超~約25,000Da、25,000Da超~約50,000Da、またはこれらの範囲のうち2つ以上のあらゆる組合せの範囲内にある。
【0302】
一部の例では、ポリマー部分Cは、cMAP-PEG共重合体、mPEG-cMAP-PEGmトリブロックポリマー、またはcMAP-PEG-cMAPトリブロックポリマーである。場合により、ポリマー部分Cは、cMAP-PEG共重合体である。他の場合、ポリマー部分Cは、mPEG-cMAP-PEGmトリブロックポリマーである。さらなる場合、ポリマー部分Cは、cMAP-PEG-cMAPトリブロックポリマーである。
【0303】
一部の態様では、ポリマー部分Cは、ポリ核酸分子、結合部分、および上述のように任意選択でエンドソーム溶解性部分にコンジュゲートされる。
【0304】
エンドソーム溶解性部分または細胞膜浸透部分
一部の態様は、式(I):A-X1-B-X2-Cの分子は、追加のコンジュゲーション部分をさらに含む。一部の例では、追加のコンジュゲーション部分は、エンドソーム溶解性部分および/または細胞膜浸透部分である。場合により、エンドソーム溶解性部分は、エンドソーム、リソソーム、小胞体(ER)、ゴルジ体、微小管、ペルオキシソーム、またはその他細胞を含む小胞体など、当該技術分野で公知の細胞区画のうちいずれかから放出可能な化合物といった、細胞区画放出成分(cellular compartmental release component)である。場合により、エンドソーム溶解性部分は、エンドソーム溶解性ポリペプチド、エンドソーム溶解性ポリマー、エンドソーム溶解性脂質、またはエンドソーム溶解性小分子を含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、エンドソーム溶解性ポリペプチドを含む。他の場合、エンドソーム溶解性部分は、エンドソーム溶解性ポリマーを含む。場合により、細胞膜浸透部分は、細胞浸透ペプチド(CPP)を含む。他の場合、細胞膜浸透部分は、細胞浸透脂質を含む。
他の場合、細胞膜浸透部分は、細胞浸透小分子を含む。
【0305】
エンドソーム溶解性ポリペプチドおよび細胞膜浸透ポリペプチド
一部の態様は、式(I):A-X1-B-X2-Cの分子は、エンドソーム溶解性ポリペプチドによりさらにコンジュゲートされる。場合により、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、pH依存性の膜活性ペプチドである。場合により、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、両親媒性ポリペプチドである。さらなる場合、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、ペプチド模倣体である。一部の例では、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、INF、メリチン、メウシン(meucin)、またはそれらの対応の誘導体を含む。一部の例では、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、INFまたはその誘導体を含む。他の場合、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、メリチンまたはその誘導体を含む。さらなる場合、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、メウシンまたはその誘導体を含む。
【0306】
一部の例では、INF7は、24残基ポリペプチドであり、その配列は、CGIFGEIEELIEEGLENLIDWGNA(配列番号331)、またはGLFEAIEGFIENGWEGMIDGWYGC(配列番号332)を含む。一部の例では、INF7またはその誘導体は、次の配列:GLFEAIEGFIENGWEGMIWDYGSGSCG(配列番号333)、GLFEAIEGFIENGWEGMIDG WYG-(PEG)6-NH2(配列番号334)、またはGLFEAIEGFIENGWEGMIWDYG-SGSC-K(GalNAc)2(配列番号335)を含む。
【0307】
場合により、メリチンは、26残基ポリペプチドであり、その配列は、CLIGAILKVLATGLPTLISWIKNKRKQ(配列番号336)、またはGIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(配列番号337)を含む。一部の例では、メリチンは、米国特許第8,501,930号明細書に記載されるポリペプチド配列を含む。
【0308】
一部の例では、メウシンは、サソリ・メソブサス・ユーペウス(scorpion Mesobuthus eupeus)の毒液腺に由来する抗菌性ペプチド(AMP)である。一部の例では、メウシンは、配列IFGAIAGLLKNIF-NH2(配列番号338)のメウシン-13、および配列FFGHLFKLATKIIPSLFQ(配列番号339)のメウシン-18で構成される。
【0309】
一部の例では、エンドソーム溶解性ポリペプチドは、INF7もしくはその誘導体、メリチンもしくはその誘導体、またはメウシンもしくはその誘導体に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の配列同一性である配列を有するポリペプチドを含む。一部の例では、エンドソーム溶解性部分は、INF7もしくはその誘導体、メリチンもしくはその誘導体、またはメウシンもしくはその誘導体を含む。
【0310】
一部の例では、エンドソーム溶解性部分は、INFまたはその誘導体である。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号331~335に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号331に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号332~335に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号331を含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号332~335を含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号331からなる。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号332~335からなる。
【0311】
一部の例では、エンドソーム溶解性部分は、メリチンまたはその誘導体である。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号336または337に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号336に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号337に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号286を含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号337を含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号336からなる。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号337からなる。
【0312】
一部の例では、エンドソーム溶解性部分は、メウシンまたはその誘導体である。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号338または339に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号338に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号339に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号338を含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号339を含む。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号338からなる。場合により、エンドソーム溶解性部分は、配列番号339からなる。一部の例では、エンドソーム溶解性部分は、表8に例示される配列を含む。
【0313】
【0314】
【0315】
場合により、エンドソーム溶解性部分は、Bcl-2および/またはBcl-XLなどのサプレッサ標的の抑圧遺伝子の拮抗によってアポトーシスを誘導するBak BH3ポリペプチドを含む。一部の例では、エンドソーム溶解性部分は、Albarranらによる「Efficient intracellular delivery of a pro-apoptotic peptide with a pH-responsive carrier」,Reactive & Functional Polymers 71:261~265頁(2011)に記載されるBak BH3ポリペプチドを含む。
【0316】
一部の実例では、エンドソーム溶解性部分は、PCT公開WO2013/166155またはWO2015/069587に記載されるポリペプチド(例えば、細胞浸透ポリペプチド)を含む。
【0317】
エンドソーム溶解性脂質
一部の態様では、エンドソーム溶解性部分は、脂質(例えば、融合脂質)である。一部の態様は、式(I):A-X1-B-X2-Cの分子は、エンドソーム溶解性脂質(例えば、融合脂質)によりさらにコンジュゲートされる。典型的な融合脂質として、1,2-ジレオイル-sn-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-オール(Di-Lin)、N-メチル(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタンアミン(DLin-k-DMA)、およびN-メチル-2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)-1,3-ジオキソラン-4-イル)エタンアミン(XTC)が挙げられる。
【0318】
一部の例では、エンドソーム溶解性部分は、国際公開WO09/126,933に記載の脂質(例えば、融合脂質)である。
【0319】
エンドソーム溶解性小分子
一部の態様では、エンドソーム溶解性部分は、小分子である。一部の態様は、式(I):A-X1-B-X2-Cの分子は、エンドソーム溶解性小分子によりさらにコンジュゲートされる。エンドソーム溶解性部分として好適である典型的な小分子として、キニーネ、クロロキン、水酸化クロロキン、アモジアキン(カルノキン(carnoquines))、アモピロキン(amopyroquines)、プリマキン、メフロキン、ニバキン(nivaquines)、ハロファントリン、キノンイミン、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、キノリンエンドソーム溶解性部分として、7-クロロ-4-(4-ジエチルアミノ-1-メチルブチル-アミノ)キノリン(クロロキン)、7-クロロ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチル-アミノ)キノリン(ヒドロキシクロロキン)、7-フルオロ-4-(4-ジエチルアミノ-1-メチルブチル-アミノ)キノリン、4-(4-ジエチルアミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(4-ジエチル-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン(デスメチルクロロキン)、7-フルオロ-4-(4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、4-(4-ジエチル-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチル-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチル-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(1-カルボキシ-4-ジエチルアミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、4-(4-エチル-(2-ヒドロキシ-エチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ-)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、ヒドロキシクロロキンホスフェート7-クロロ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル-1)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン((デスメチルヒドロキシクロロキン)7-フルオロ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-ブチルアミノ)キノリン、7-クロロ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-フルオロ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、7-ヒドロキシ-4-(1-カルボキシ-4-エチル-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-1-メチルブチルアミノ)キノリン、8-[(4-アミノペンチル)アミノ-6-メトキシジヒドロクロリドキノリン、1-アセチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、8-[(4-アミノペンチル)アミノ]-6-メトキシキノリンジヒドロクロリド、1-ブチリル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、3-クロロ-4-(4-ヒドロキシ-アルファ,アルファ’-ビス(2-メチル-1-ピロリジニル)-2,5-キシリジノキノリン、4-[(4-ジエチル-アミノ)-1-メチルブチル-アミノ]-6-メトキシキノリン、3-フルオロ-4-(4-ヒドロキシ-アルファ,アルファ’-ビス(2-メチル-1-ピロリジニル)-2,5-キシリジノキノリン,4-[(4-ジエチルアミノ)-1-メチルブチル-アミノ]-6-メトキシキノリン、4-(4-ヒドロキシ-アルファ,アルファ’-ビス(2-メチル-1-ピロリジニル)-2,5-キシリジノキノリン、4-[(4-ジエチルアミノ)-1-メチルブチル-アミノ]-6-メトキシキノリン、3,4-ジヒドロ-1-(2H)-キノリンカルボキシアルデヒド、1,1’-ペンタメチレンジキノレイニウムジヨージド、8-キノリノールスルフェート、ならびにそれらのアミノ、アルデヒド、カルボキシル、ヒドロキシル、ハロゲン、ケト、スルフヒドリル、およびビニル誘導体、またはそれらのアナログが挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、エンドソーム溶解性部分は、Naisbittら(1997,J Pharmacol Exp Therapy 280:884~893頁)および米国特許第5,736,557号明細書に記載の小分子である。
【0320】
細胞浸透ポリペプチド(CPP)
一部の態様では、細胞浸透ポリペプチドは、5~30のアミノ酸を有する正に荷電された短いペプチドを含む。一部の態様では、細胞浸透ポリペプチドは、アルギニンまたはリシンリッチなアミノ酸配列を含む。一部の態様では、細胞浸透ポリペプチドは、表9に列挙されるいずれかのポリペプチドまたはそれらの組合せを含む。
【0321】
【0322】
リンカー
一部の態様では、本明細書に記載のリンカーは、切断可能リンカーまたは切断不能リンカーである。一部の例では、リンカーは切断可能リンカーである。他の例では、リンカーは切断不能リンカーである。
【0323】
場合により、リンカーは非重合体リンカーである。非重合体リンカーは、重合プロセスによって生成されたモノマーの繰り返しユニットを含有していないリンカーを指す。典型的な非重合体リンカーとして、C1-C6アルキル基(例えば、C5、C4、C3、C2、またはC1アルキル基)、ホモ二機能性クロスリンカー、ヘテロ二機能性クロスリンカー、ペプチドリンカー、トレースレスリンカー、自己犠牲リンカー、マレイミド系リンカー、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。場合により、非重合体リンカーは、C1-C6アルキル基(例えば、C5、C4、C3、C2、またはC1アルキル基)、ホモ二機能性クロスリンカー、ヘテロ二機能性クロスリンカー、ペプチドリンカー、トレースレスリンカー、自己犠牲リンカー、マレイミド系リンカー、またはそれらの組合せを含む。さらなる場合、非重合体リンカーは、2つより多くの同じ種類のリンカー、例えば、2つより多くのホモ二機能性クロスリンカー、または2つより多くのペプチドリンカーを含まない。さらなる場合、非重合体リンカーは、任意選択で1つまたは複数の反応性官能基を含む。
【0324】
一部の例では、非重合体リンカーは、上述されるポリマーを包含しない。一部の例では、非重合体リンカーは、ポリマー部分Cによって包含されるポリマーを包含しない。場合により、非重合体リンカーは、ポリアルキレンオキシド(例えば、PEG)を包含しない。場合により、非重合体リンカーは、PEGを包含しない。
【0325】
一部の例では、リンカーは、ホモ二機能性リンカーを含む。典型的なホモ二機能性リンカーとして、Lomant試薬ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)DSP、3,3’-ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート(DTSSP)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)、ジスクシンイミジルテトラート(DST)、ジスルホスクシンイミジルテトラート(スルホDST)、エチレングリコビス(スクシンイミジルスクシネート(EGS)、ジスクシンイミジルグルタラート(DSG)、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)、ジメチルアジピミデート(DMA)、ジメチルピメリミデート(DMP)、ジメチルスベリミデート(DMS)、ジメチル-3,3’-ジチオビスプロピオンイミデ-ト(DTBP)、1,4-ジ-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ブタン(DPDPB)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、ハロゲン化アリール含有化合物(DFDNB)、例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン、1,3-ジフルオロ-4,6-ジニトロベンゼン)、4,4’-ジフルオロ-3,3’-ジニトロフェニルスルホン(DFDNPS)、ビス-[β-(4-アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド(BASED)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、o-トルイジン、3,3’-ジメチルベンジジン、ベンジジン、α,α’-p-ジアミノジフェニル、ジヨード-p-キシレンスルホン酸、N,N’-エチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、またはN,N’-ヘキサメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0326】
一部の例では、リンカーは、ヘテロ二機能性リンカーを含む。典型的なヘテロ二機能性リンカーとして、アミン反応性およびスルフヒドリルクロスリンカー、例えばN-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(sPDP)、長鎖N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(LC-sPDP)、水溶性長鎖N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(スルホ-LC-sPDP)、スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン(sMPT)、スルホスクシンイミジル-6-[α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサノエート(スルホ-LC-sMPT)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sMCC)、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-sMCC)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBs)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ-MBs)、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート(sIAB)、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート(スルホ-sIAB)、スクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート(sMPB)、スルホスクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート(スルホ-sMPB)、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル(GMBs)、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMB)、スクシンイミジル6-((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノエート(sIAX)、スクシンイミジル6-[6-(((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ]ヘキサノエート(sIAXX)、スクシンイミジル4-(((ヨードアセチル)アミノ酸)メチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sIAC)、スクシンイミジル6-((((4-ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボニル)アミノ)ヘキサノエート(sIACX)、p-ニトロフェニルヨードアセテート(NPIA)、カルボニル反応性およびスルフヒドリル反応性クロスリンカー、例えば、4-(4-N-マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル-ヒドラジド-8(M2C2H)、3-(2-ピリジルジチオ)プロビオニルヒドラジド(PDPH)、アミン反応性および光反応性クロスリンカー、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(NH-AsA)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(スルホ-NH-AsA)、スルホスクシンイミジル-(4-アジドサリチルアミド)ヘキサノエート(スルホ-NHs-LC-AsA)、スルホスクシンイミジル-2-(ρ-アジドサリチルアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオネート(sAsD)、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジドベンゾエート(HsAB)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドベンゾエート(スルホ-HsAB)、N-スクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサノエート(sANPAH)、スルホスクシンイミジル-6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサノエート(スルホ-sANPAH)、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド(ANB-NO)、スルホスクシンイミジル-2-(m-アジド-o-ニトロベンズアミド)-エチル-1,3’-ジチオプロピオネート(sAND)、N-スクシンイミジル-4(4-アジドフェニル)1,3’-ジチオプロピオネート(sADP)、N-スルホスクシンイミジル(4-アジドフェニル)-1,3’-ジチオプロピオネート(スルホ-sADP)、スルホスクシンイミジル4-(ρ-アジドフェニル)ブチレート(スルホ-sAPB)、スルホスクシンイミジル2-(7-アジド-4-メチルクマリン-3-アセトアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオネート(sAED)、スルホスクシンイミジル7-アジド-4-メチルクマリン-3-アセテート(スルホ-sAMCA)、ρ-ニトロフェニルジアゾピルベート(ρNPDP)、ρ-ニトロフェニル-2-ジアゾ-3,3,3-トリフルオロプロピオネート(PNP-DTP)、スルフヒドリル反応性および光反応性クロスリンカー、例えば、1-(ρ-アジドサリチルアミド)-4-(ヨードアセトアミド)ブタン(AsIB)、N-[4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチル]-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド(APDP)、ベンゾフェノン-4-ヨードアセトアミド、ベンゾフェノン-4-マレイミドカルボニル反応性および光反応性クロスリンカー、例えば、ρ-アジドベンゾイルヒドラジド(ABH)、カルボキシレート反応性および光反応性クロスリンカー、例えば、4-(ρ-アジドサリチルアミド)ブチルアミン(AsBA)、ならびにアルギニン反応性および光反応性クロスリンカー、例えば、ρ-アジドフェニルグリオキサール(APG)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0327】
一部の例では、リンカーは、反応性官能基を含む。場合により、反応性官能基は、結合部分上に存在する求電子基に反応的な求核基を含む。典型的な求電子基は、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、エノン、ハロゲン化アシル、または酸無水物などのカルボニル基を含む。一部の態様では、反応性官能基はアルデヒドである。典型的な求核基は、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジドを含む。
【0328】
一部の例では、リンカーは、マレイミド基を含む。一部の例では、マレイミド基は、マレイミドスペーサとも称される。一部の例では、マレイミド基は、マレイミドカプロイル(mc)を形成するカプロン酸をさらに包含する。場合により、リンカーは、マレイミドカプロイル(mc)を含む。場合により、リンカーは、マレイミドカプロイル(mc)である。他の例では、マレイミド基は、上述されるスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(sMCC)またはスルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-sMCC)などのマレイミドメチル基を含む。
【0329】
一部の態様では、マレイミド基は、自己安定化マレイミドである。一部の例では、自己安定化マレイミドは、マレイミドに隣接する塩基性アミノ基を組み込んでチオスクシンイミド環加水分解の分子内触媒を提供することによって、マレイミドがretro-Michael反応による脱離反応を受けないようにするために、ジアミノプロピオン酸(DPR)を利用する。一部の例では、自己安定化マレイミドは、Lyonらによる「Self-hydrolyzing maleimides improve the stability and pharmacological properties of antibody-drug conjugates」,Nat.Biotechnol.32(10):1059~1062頁(2014)に記載されるマレイミド基である。一部の例では、リンカーは、自己安定化マレイミドを含む。一部の例では、リンカーは、自己安定化マレイミドである。
【0330】
一部の例では、リンカーは、ペプチド部分を含む。一部の例では、ペプチド部分は、少なくとも2、3、4、5、または6つより多くのアミノ酸残基を含む。一部の例では、ペプチド部分は、最大2、3、4、5、6、7、または8つのアミノ酸残基を含む。一部の例では、ペプチド部分は、約2、約3、約4、約5、または約6つのアミノ酸残基を含む。一部の例では、ペプチド部分は、(例えば、酵素的または化学的に)切断可能なペプチド部分である。一部の例では、ペプチド部分は、切断不能なペプチド部分である。一部の例では、ペプチド部分は、Val-Cit(バリン-シトルリン)、Gly-Gly-Phe-Gly(配列番号294223)、Phe-Lys、Val-Lys、Gly-Phe-Lys、Phe-Phe-Lys、Ala-Lys、Val-Arg、Phe-Cit、Phe-Arg、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp-Cit、Phe-Ala、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号294224)、またはGly-Phe-Leu-Gly(配列番号294225)を含む。一部の例では、リンカーは、Val-Cit(バリン-シトルリン)、Gly-Gly-Phe-Gly(配列番号294223)、Phe-Lys、Val-Lys、Gly-Phe-Lys、Phe-Phe-Lys、Ala-Lys、Val-Arg、Phe-Cit、Phe-Arg、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp-Cit、Phe-Ala、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号294224)、またはGly-Phe-Leu-Gly(配列番号294225)などのペプチド部分を含む。場合により、リンカーは、Val-Citを含む。場合により、リンカーは、Val-Citである。
【0331】
一部の態様では、リンカーは、安息香酸基またはその誘導体を含む。一部の例では、安息香酸基またはその誘導体は、パラアミノ安息香酸(PABA)を含む。一部の例では、安息香酸基またはその誘導体は、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)を含む。
【0332】
一部の態様では、リンカーは、マレイミド基、ペプチド部分、および/もしくは安息香酸基のうち1つまたは複数をあらゆる組合せで含む。一部の態様では、リンカーは、マレイミド基、ペプチド部分、および/または安息香酸基の組合せを含む。一部の例では、マレイミド基は、マレイミドカプロイル(mc)である。一部の例では、ペプチド基は、val-citである。一部の例では、安息香酸基は、PABAである。一部の例では、リンカーは、mc-val-cit基を含む。場合により、リンカーは、val-cit-PABA基を含む。さらなる場合、リンカーは、mc-val-cit-PABA基を含む。
【0333】
一部の態様では、リンカーは、自己犠牲リンカーまたは自己排泄リンカーである。場合により、リンカーは、自己犠牲リンカーである。他の場合、リンカーは、自己排泄リンカー(例えば、環化自己排泄リンカー)である。一部の例では、リンカーは、米国特許第9,089,614号明細書またはPCT公開WO2015038426に記載されるリンカーを含む。
【0334】
一部の例では、リンカーは、樹状型リンカーである。一部の例では、樹木型リンカーは、分枝状の多官能性リンカー部分を含む。一部の例では、樹状型リンカーは、ポリヌクレオチドBと結合部分Aとのモル比を増加させるために使用される。一部の例では、樹木型リンカーは、PAMAMデンドリマーを含む。
【0335】
一部の態様では、リンカーは、トレースレスリンカーであるか、または、切断後に結合部分A、ポリヌクレオチドB、ポリマーC、またはエンドソーム溶解性部分Dに対してリンカー部分(例えば、原子基またはリンカー基)を残さないリンカーである。典型的なトレースレスリンカーとして、ゲルマニウムリンカー、ケイ素リンカー、硫黄リンカー、セレンリンカー、窒素リンカー、リンリンカー、ホウ素リンカー、クロムリンカー、またはフェニルヒドラジドリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。場合により、リンカーは、Hejesenらによる「A traceless aryl-triazene linker for DNA-directed chemistry」,Org Biomol Chem 11(15):2493~2497頁(2013)に記載される、トレースレスのアリール-トリアゼンリンカーである。一部の例では、リンカーは、Blaneyらによる「Traceless solid-phase organic synthesis」,Chem.Rev.102:2607~2024頁(2002)に記載されるトレースレスリンカーである。一部の例では、リンカーは、米国特許第6,821,783号明細書に記載されるトレースレスリンカーである。
【0336】
一部の例では、リンカーは、米国特許第6,884,869号明細書、同第7,498,298号明細書、同第8,288,352号明細書、同第8,609,105号明細書、もしくは同第8,697,688号明細書、米国特許出願公開第2014/0127239号明細書、同第2013/028919号明細書、同第2014/286970号明細書、同第2013/0309256号明細書、同第2015/037360号明細書、もしくは同第2014/0294851号明細書、またはPCT公開WO2015057699、WO2014080251、WO2014197854、WO2014145090、もしくはWO2014177042に記載されるリンカーである。
【0337】
一部の態様では、X1とX2は、それぞれ独立して、結合または非重合体リンカーである。一部の例では、X1とX2は、それぞれ独立して、結合である。場合により、X1とX2は、それぞれ独立して、非重合体リンカーである。
【0338】
一部の例では、X1は、結合または非重合体リンカーである。一部の例では、X1は結合である。一部の例では、X1は非重合体リンカーである。一部の例では、リンカーはC1-C6アルキル基である。場合により、X1は、例えばC5、C4、C3、C2、またはC1アルキル基などのC1-C6アルキル基である。場合により、C1-C6アルキル基は、非置換のC1-C6アルキル基である。リンカーの文脈、具体的にはX1の文脈で使用されるように、アルキルは、最大6つの炭素原子を含有する飽和した直鎖または分枝鎖の炭化水素ラジカルを意味する。一部の例では、X1は、上述のホモ二機能性リンカーまたはヘテロ二機能性リンカーを含む。場合により、X1は、ヘテロ二機能性リンカーを含む。場合により、X1は、sMCCを含む。他の例では、X1は、C1-C6アルキル基に任意選択でコンジュゲートされたヘテロ二機能性リンカーを含む。他の例では、X1は、C1-C6アルキル基に任意選択でコンジュゲートされたsMCCを含む。さらなる例では、X1は、上述のホモ二機能性リンカーまたはヘテロ二機能性リンカーを含まない。
【0339】
一部の例では、X2は、結合または非重合体リンカーである。一部の例では、X2は結合である。他の場合、X2はリンカーである。さらなる場合、X2は非重合体リンカーである。一部の態様では、X1はC1-C6アルキル基である。一部の例では、X2は、上述のホモ二機能性リンカーまたはヘテロ二機能性リンカーを含む。一部の例では、X2は、上述のホモ二機能性リンカーである。一部の例では、X2は、上述のヘテロ二機能性リンカーである。一部の例では、X2は、上述のマレイミドカプロイル(mc)や自己安定化マレイミド基などのマレイミド基を含む。一部の例では、X2は、Val-Citなどのペプチド部分を含む。一部の例では、X2は、PABAなどの安息香酸基を含む。さらなる例では、X2は、マレイミド基、ペプチド部分、および/または安息香酸基の組合せを含む。さらなる例では、X2は、mc基を含む。さらなる例では、X2は、mc-val-cit基を含む。さらなる例では、X2は、val-cit-PABA基を含む。さらなる例では、X2は、mc-val-cit-PABA基を含む。
【0340】
使用方法
筋萎縮症は、筋肉質量の損失、ならびに/または筋肉の進行性の衰弱および退化を指す。場合により、筋肉質量の損失、ならびに/または筋肉の進行性の衰弱および退化は、高いタンパク質分解速度、低いタンパク質合成速度、またはその両方の組合せにより生じる。場合により、高い筋蛋白質分解速度は、筋蛋白質の異化作用(すなわち、糖新生の基質としてアミノ酸を使用するための筋蛋白質の崩壊)による。
【0341】
一実施形態では、筋萎縮症は、筋力の相当な損失を指す。筋力の相当な損失とは、対照となる対象の同じ筋組織と比較して、対象の罹患したか、損傷したか、または未使用の筋組織の強度の低下を意味する。一実施形態では、筋力の相当な損害は、対照となる対象の同じ筋組織と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%以上の強度の低下である。別の実施形態では、筋力の相当な損失とは、使用不能期間の前の同対象の同じ筋組織の筋力と比較して、未使用の筋組織の強度の低下を意味する。一実施形態では、筋力の相当な損害は、使用不能期間の前の同対象の同じ筋組織の筋力と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%以上の強度の低下である。
【0342】
別の実施形態では、筋萎縮症は、筋肉質量の相当な損失を指す。筋肉質量の相当な損失とは、対照となる対象の同じ筋組織と比較して、対象の罹患したか、損傷したか、または未使用の筋組織の筋肉量の低下を意味する。一実施形態では、筋肉量の相当な損害は、対照となる対象の同じ筋組織と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%以上の強度の低下である。別の実施形態では、筋肉質量の相当な損失とは、使用不能期間の前の同対象の同じ筋組織の筋肉量と比較して、未使用の筋組織の筋肉量の低下を意味する。一実施形態では、筋組織の相当な損害は、使用不能期間の前の同対象の同じ筋組織の筋肉量と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%以上の強度の低下である。筋肉量は、(例えば、筋肉量/断面積(CSA)MRI方法による)磁気共鳴画像などによって、筋肉の断面積を評価することによって任意選択で測定される。
【0343】
一部の態様では、本明細書には、対象の筋萎縮症を処置する方法であって、本明細書に記載のポリ核酸分子を得る工程と、ヒトDUX4のmRNA転写物の量を低減するために本明細書に記載のポリ核酸分子または本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲートを治療有効量で対象に投与する工程戸を含む、方法が記載される。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号412~420または配列番号430~438から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンスは、配列番号412~420または430~438から選択される配列と同一である。一部の態様では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である。一部の実施形態では、ポリ核酸分子はセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列と同一である。
【0344】
一部の例では、筋萎縮症は、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)と関連付けられる。ポリ核酸部分は、対象の筋萎縮症を調節するように、ヒトDUX4に対するRNA干渉を媒介する。一部の態様では、DUX4発現による影響を受ける1つまたは複数のマーカ遺伝子の発現も、ヒトDUX4の発現低下によって改質または調節される(例えば、低下する)。マーカ遺伝子として、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、LEUTX、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDが挙げられるが、これらに限定されない。一部の態様では、1つまたは複数のマーカ遺伝子の発現は、未処置の細胞と比較して少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。一部の態様では、基または複合体としての1つまたは複数のマーカ遺伝子の発現は、未処置の細胞と比較して少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。
【0345】
一部の態様では、本明細書には、対象の筋萎縮症を処置する方法であって、本明細書に記載のsiRNA-抗体コンジュゲートを得る工程と、本明細書に記載のsiRNA-抗体コンジュゲートを治療有効量で対象に投与する工程と、対象のヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させる工程とを含む、方法が記載される。一部の例では、筋萎縮症は、FSHDと関連付けられる。siRNA-抗体コンジュゲートは、対象の筋萎縮症を処置するようにヒトDUX4 mRNAに対するRNA干渉を媒介し、本明細書に記載のsiRNA-抗体コンジュゲートを治療有効量で対象に投与すること、および対象のヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させることが含まれる。
【0346】
一部の態様では、本明細書には、対象の筋萎縮症を処置する方法であって、本明細書に記載のDUX4 siRNA-抗体コンジュゲート(DUX4 siRNA-コンジュゲートまたはDUX4-AOC)を得る工程と、本明細書に記載のDUX4 siRNA-抗体コンジュゲートを治療有効量で対象に投与する工程と、対象のヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させる工程とを含む、方法が記載される。一部の例では、筋萎縮症は、FSHDと関連付けられる。DUX4 siRNA-抗体コンジュゲートは、対象の筋萎縮症を処置するようにヒトDUX4 mRNAに対するRNA干渉を媒介し、本明細書に記載のDUX4 siRNA-抗体コンジュゲートを治療有効量で対象に投与すること、および対象のヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させることが含まれる。
【0347】
一部の態様では、本明細書には、対象のFSHDを処置する方法であって、本明細書に記載のDUX4 siRNA-抗体コンジュゲート(DUX4 siRNA-コンジュゲートまたはDUX4-AOC)を得る工程と、本明細書に記載のDUX4 siRNA-抗体コンジュゲートを治療有効量で対象に投与する工程と、対象のヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させる工程とを含む、方法が記載される。一部の例では、FSHDは、FSHD 1型(FSHD1)である。一部の例では、FSHDは、FSHD 2型(FSHD2)である。DUX4 siRNA-抗体コンジュゲートは、対象のFSHDを処置するようにヒトDUX4 mRNAに対するRNA干渉を媒介し、本明細書に記載のDUX4 siRNA-抗体コンジュゲートを治療有効量で対象に投与すること、および対象のヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させることが含まれる。一部の態様では、DUX4発現による影響を受ける1つまたは複数のマーカ遺伝子の発現レベルも、ヒトDUX4の発現レベル低下によって改質または調節される(例えば、低下する)。DUX4バイオマーカ遺伝子として、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、LEUTX、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDが挙げられるが、これらに限定されない。
【0348】
一部の態様では、本明細書には、FSHD対象の症状を軽減する方法であって、本明細書に記載のDUX4 siRNA-抗体コンジュゲート(DUX4-siRNA-コンジュゲートまたはDUX4-AOC)を得る工程と、対象のヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させることによって本明細書に記載のsiRNAコンジュゲートを治療有効量で対象に投与する工程とを含む、方法が記載される。一部の例では、FSHDは、FSHD 1型(FSHD1)である。一部の例では、FSHDは、FSHD 2型(FSHD2)である。別の態様では、本明細書には、FSHD患者の症状を軽減する方法であって、本明細書に記載のsiRNAコンジュゲートを得る工程と、ヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させるかDUX4タンパク質のレベルを低下させることによって本明細書に記載のsiRNAコンジュゲートを治療有効量でFSHD患者に投与する工程とを含む、方法が記載される。
【0349】
一部の例では、FSHDの症状は、骨格筋に影響を及ぼす。FSHDが影響を及ぼす骨格筋には、眼および口の周囲の筋肉、肩の筋肉、上腕の筋肉、下脚の筋肉、腹筋、ならびに臀部の筋肉が挙げられる。一部の例では、FSHDの症状は、視力と聴力にも影響を及ぼす。一部の例では、FSHDの症状は、心臓または肺の機能にも影響を及ぼす。一部の実例では、FSHDの症状として、筋衰弱、筋萎縮症、筋ジストロフィー、疼痛炎症、痙縮、側弯症、脊柱前弯症、低換気、網膜異常、角膜炎への曝露、軽度の聴力損失、およびEMG異常が挙げられる。
【0350】
一部の態様では、本明細書には、FSHD患者の骨格筋機能を改善する方法であって、ヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させるかDUX4タンパク質のレベルを低下させることによって本明細書に記載のsiRNAコンジュゲートを治療有効量でFSHD患者に投与する工程を含む、方法が記載される。一部の例では、FSHDは、FSHD 1型(FSHD1)である。一部の例では、FSHD 2型である。一部の態様では、本明細書には、FSHDを患う患者の骨格筋機能、視力、張力、心臓機能、または肺機能を改善する方法であって、ヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させるかDUX4タンパク質のレベルを低下させることによって本明細書に記載のsiRNAコンジュゲートを治療有効量でFSHD患者に投与する工程を含む、方法が記載される。
【0351】
一部の態様では、本明細書には、対象のFSHDを処置する方法であって、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)抗体コンジュゲートを得る工程と、本明細書に記載のASO-抗体コンジュゲートを治療有効量で対象に投与する工程と、対象のヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させる工程とを含む、方法が記載される。一部の例では、FSHDは、FSHD 1型(FSHD1)である。一部の例では、FSHD 2型である。ASO-抗体コンジュゲートは、対象のFSHDを処置するようにヒトDUX4 mRNAに対するRNA干渉を媒介し、本明細書に記載のASO-抗体コンジュゲートを治療有効量で対象に投与すること、および対象のヒトDUX4のmRNA転写物のレベルを低下させることが含まれる。一部の態様では、DUX4発現による影響を受ける1つまたは複数のマーカ遺伝子の発現レベルも、ヒトDUX4の発現レベル低下によって改質または調節される。DUX4バイオマーカ遺伝子として、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、LEUTX、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDが挙げられるが、これらに限定されない。
【0352】
一部の態様では、本明細書には、対象のFSHDを処置する方法が記載される。一部の例では、FSHD対象は、FSHD1を患う。他の例では、FSHD対象は、FSHD2を患う。別の実施形態では、FSHD対象は、染色体4の長腕のD4Z4領域における遺伝的および後成的な分子変化によって生じる、DUX4タンパク質を異常発現する筋細胞を有する。筋細胞における遺伝的な分子変化は、FSHD対象の染色体4の通常11~100の繰返しに代わり1~10の繰返しを含有するD4Z4領域部位の縮小をもたらす突然変異である、筋細胞における後成的な分子変化は、FSHD対象の染色体4のD4Z4領域の部位の低メチル化をもたらす変化である。一部の例では、筋細胞は、骨格筋細胞である。
【0353】
医薬製剤
一部の態様では、本明細書に記載の医薬製剤は、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、経口、鼻腔内、直腸、または経皮の投与経路を含むがこれらに限定されない、多数の投与経路によって対象に投与される。一部の例では、本明細書に記載の医薬組成物は、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、腹腔内か、鞘内、脳内、脳室内、または頭蓋内)投与のために製剤化される。他の例では、本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与のために製剤化される。また他の例では、本明細書に記載の医薬組成物は、鼻腔内投与のために製剤化される。
【0354】
一部の態様では、医薬製剤として、水性液体分散体、自己乳化分散体、固溶体、リポソーム分散体、エアロゾル、固形剤形、散剤、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子製剤(例えば、ナノ粒子製剤)、および即時放出・制御放出の混合型製剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0355】
一部の例では、医薬製剤は、多重微粒子製剤を含む。一部の例では、医薬製剤は、ナノ粒子製剤を含む。一部の例では、ナノ粒子は、cMAP、シクロデキストリン、または脂質を含む。場合により、ナノ粒子は、固形の脂質ナノ粒子、重合体ナノ粒子、自己乳化ナノ粒子、リポソーム、マイクロエマルジョン、またはミセル溶液を含む。さらなる典型的なナノ粒子として、常磁性ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、フラーレン様材料、無機ナノチューブ、デンドリマー(共有結合的に付着した金属キレートを有するものなど)、ナノファイバ、ナノホーン、ナノオニオン、ナノロッド、ナノロープ、および量子ドットが挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、ナノ粒子は、金属ナノ粒子、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、ガドリニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ホウ素、シリコン、リン、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、およびそれらの組合せ、合金、または酸化物である。
【0356】
一部の例では、ナノ粒子は、コアを含むか、またはコア-シェルナノ粒子のようにコアとシェルを含む。
【0357】
一部の例では、ナノ粒子は、(例えば、本明細書に記載のポリ核酸分子または結合部分のうち1つまたは複数との)機能要素の結合のための分子によってさらにコーティングされる。一部の例では、コーティングは、硫酸コンドロイチン、硫酸デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、アルギン酸、ペクチン、カラギーナン、フコイダン、アガロペクチン、ポルフィラン、カラヤゴム、ゲランガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、キチン(もしくはキトサン)、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、リゾチーム、チトクロムC、リボヌクレアーゼ、トリプシノゲン、キモトリプシノゲン、α-キモトリプシン、ポリリシン、ポリアルギニン、ヒストン、プロタミン、オバルブミン、またはデキストリンもしくはシクロデキストリンを含む。一部の例では、ナノ粒子は、グラフェンをコーティングされたナノ粒子を含む。
【0358】
場合により、ナノ粒子は、約500nm、400nm、300nm、200nm、または100nm未満のうち少なくとも1つの寸法を有する。
【0359】
一部の態様では、ナノ粒子製剤は、常磁性ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、フラーレン様材料、無機ナノチューブ、デンドリマー(共有結合的に付着した金属キレートを有するものなど)、ナノファイバ、ナノホーン、ナノオニオン、ナノロッド、ナノロープ、または量子ドットを含む。一部の例では、本明細書に記載のポリ核酸分子または結合部分は、ナノ粒子に直接または間接的にコンジュゲートされる。一部の例では、少なくとも1、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100以上の本明細書に記載のポリ核酸分子または結合部分が、ナノ粒子に直接または間接的にコンジュゲートされる。
【0360】
一部の態様では、医薬製剤は、送達ベクター、例えば組換えベクター、すなわち細胞へのポリ核酸分子の送達を含む。一部の例では、組換えベクターは、DNAプラスミドである。他の例では、組換えベクターは、ウイルスベクターである。典型的なウイルスベクターとして、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、またはアルファウイルスに由来するベクターが挙げられる。一部の例では、ポリ核酸分子を発現可能な組換えベクターは、標的細胞の安定した発現をもたらす。さらなる例では、ポリ核酸分子の一時的な発現をもたらすウイルスベクターが使用される。
【0361】
一部の態様では、医薬製剤は、本明細書に開示される組成物との適合性、および所望の剤形の放出プロファイル特性に基づき選択された、担体または担体材料を含む。典型的な担体材料として、例えば、結合剤、懸濁化剤、作用薬、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、滑沢剤、湿潤剤、希釈剤などが挙げられる。薬学的に適合性のある担体材料として、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、バクガデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼインナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスホチジルコリン(phosphotidylcholine)、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二カリウム、セルロースおよびセルロースコンジュゲート、糖ナトリウムステアロイルラクチレート(sugars sodium stearoyl lactylate)、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプンなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,ペンシルバニア州イーストン,1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.編,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,ニューヨーク州ニューヨーク,1980、およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems第7版(Lippincott Williams & Wilkins1999)を参照されたい。
【0362】
一部の例では、医薬製剤は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、および塩酸などの酸を含む、pH調整剤または緩衝化剤;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;ならびにシトラート/デキストロース、炭酸水素ナトリウム、および塩化アンモニウムなどの緩衝液をさらに含む。このような酸、塩基、および緩衝液は、組成物のpHを許容範囲で維持するのに必要な量で含まれる。
【0363】
一部の例では、医薬製剤は、組成物のオスモル濃度を許容範囲とするのに必要な量の1つまたは複数の塩を含む。かかる塩として、ナトリウム、カリウムもしくはアンモニウム陽イオンおよびクロリド、シトラート、アスコルベート、ボレート、ホスフェート、ビカーボネート、スルフェート、チオスルフェート、またはバイサルファイト陰イオンを有するものが挙げられ、好適な塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、および硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0364】
一部の例では、医薬製剤は、より安定した環境を提供することから、化合物を安定させるために使用される希釈剤をさらに含む。(pHの制御または維持も行う)緩衝液に溶解した塩は、リン酸緩衝生理食塩水を含むがこれらに限定されない当該技術分野における希釈剤として利用される。特定の例では、希釈剤は、圧縮を容易にするか、またはカプセル充填のために均質な混合を行う十分な容積を作り出すために、に組成物の容積を増加させる。かかる化合物として、例えば、ラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、Avicel(登録商標)などの微結晶性セルロース;第二リン酸カルシウム、リン酸カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム;無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース;Di-Pac(登録商標)(Amstar)などのα化デンプン、圧縮可能な糖;マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、スクロース系希釈剤、粉糖;第一硫酸カルシウム一水和物(monobasic calcium sulfate monohydrate)、硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物、デキストレート;加水分解されたシリアル固形物(cereal solids)、アミロース;粉末セルロース、炭酸カルシウム;グリシン、カオリン;マンニトール、塩化ナトリウム;イノシトール、ベントナイトなどが挙げられる。
【0365】
場合により、医薬製剤は、物質の崩壊または分解を容易にするための崩壊薬剤または崩壊剤を含む。「崩壊する」という用語は、胃腸液と接触すると剤形が溶解および分散することの両方を含む。崩壊薬剤の例として、デンプン、例えば、トウモロコシデンプンやジャガイモデンプンなどの天然デンプン、National 1551やAmijel(登録商標)などのα化デンプン、またはPromogel(登録商標)やExplotab(登録商標)などのナトリウムデンプングリコレート、木製品などのセルロース、メチル結晶セルロース、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標)、メチルセルロース、クロスカルメロース、または架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、もしくは架橋クロスカルメロースなどの架橋セルロース、ナトリウムデンプングリコレートなどの架橋デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸などのアルギネートもしくはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの粘土、寒天、グアーガム、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、もしくはトラガントなどのガム、ナトリウムデンプングリコレート、ベントナイト、天然スポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘類の果肉、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプン配合物中のラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0366】
一部の例では、医薬製剤は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの充填剤を含む。
【0367】
材料の付着もしくは摩擦を防止、低減、または阻害するために、滑沢剤および流動促進剤も任意選択で本明細書に記載の医薬製剤に含まれる。典型的な滑沢剤として、例えば、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、鉱油などの炭化水素、または水添大豆油(Sterotex(登録商標))などの水添植物油、高級脂肪酸ならびにそのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ろう、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG-4000)、またはCarbowax(商標)などのメトキシポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウムまたはナトリウム、Syloid(商標)などのコロイド状シリカ、Cab-O-Sil(登録商標)、トウモロコシデンプンなどのデンプン、シリコーンオイル、界面活性剤などが挙げられる。
【0368】
可塑剤は、脆くなりすぎないようにマイクロカプセル化材料またはフィルム・コーティングを軟化させるために使用される化合物を含む。好適な可塑剤として、例えば、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、およびPEG800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、トリエチルセルロース、ならびにトリアセチンが挙げられる。可塑剤はまた、分散剤または湿潤剤としても機能する。
【0369】
可溶化剤は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクセート、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n-ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁酸塩、ポリエチレングリコール200~600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、およびジメチルイソソルビドなどの化合物を含む。
【0370】
安定剤は、あらゆる抗酸化剤、緩衝液、酸、防腐剤などの化合物を含む。
【0371】
懸濁化剤は、ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、もしくはポリビニルピロリドンK30、ビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合体(S630)、ポリエチレングリコール、例えば、約300~約6000、約3350~約4000、もしくは約7000~約5400の分子量を有するポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アセテートステアレート、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ガム、例えば、トラガカントガムやアラビアガム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン、糖、セルロース化合物、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどの化合物を含む。
【0372】
界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクセート、Tween60もしくは80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、ソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、例えばPluronic(登録商標)(BASF)などの化合物を含む。追加の界面活性剤として、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、および植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)水添ヒマシ油、ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40が挙げられる。時折、界面活性剤は、物理的安定性の向上またはその他の目的のために含まれる。
【0373】
粘度増強剤として、例えば、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギネート、アカシア、キトサン、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0374】
湿潤剤として、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ナトリウムドクセート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドクセート、トリアセチン、Tween80、ビタミンE TPGS、アンモニウム塩などの化合物が挙げられる。
【0375】
治療レジメン
一部の態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、治療用途のために投与される。一部の態様では、医薬組成物は、1日1回、1日2回、1日3回以上投与される。医薬組成物は、毎日(daily)、毎日(every day)、隔日、週5日、週1回、隔週、月2週、月3週、月1回、月2回、月3回、2か月に1回、3か月に1回、4か月に1回、5か月に1回、6か月に1回以上投与される。医薬組成物は、少なくとも1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、2年、3年以上にわたり投与される。
【0376】
一部の態様では、1つまたは複数の医薬組成物が、同時に、連続して、または間隔を空けて投与される。一部の態様では、1つまたは複数の医薬組成物は、同時に投与される。場合により、1つまたは複数の医薬組成物は、連続して投与される。さらなる場合、1つまたは複数の医薬組成物は、間隔を空けて投与される(例えば、第1の医薬組成物が1日目に投与され、その後に少なくとも1、2、3、4、5日以上の間隔を空けてから、少なくとも第2の医薬組成物が投与される)。
【0377】
一部の態様では、2つ以上の異なる医薬組成物が、共投与される。一部の例では、2つ以上の異なる医薬組成物は、同時に共投与される。場合により、2つ以上の異なる医薬組成物は、投与間の時間にずれが生じることなく連続して共投与される。他の場合、2つ以上の異なる医薬組成物は、投与間に約0.5時間、1時間、2時間、3時間、12時間、1日、2日、またはそれより多くのずれを伴って連続して共投与される。
【0378】
患者の状態が改善する場合に、医師の裁量に基づき組成物の投与は連続して行われる。代替的に、投与されている組成物の用量は、特定期間にわたり一時的に低減されるか、または一時的に中止される(すなわち、「休薬日」)。一部の例では、休薬日の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含め、2日~1年の間で変動する。休薬日中の用量の低減は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含め、10%~100%である。
【0379】
一旦患者の状態が改善すると、必要に応じて維持用量が投与される。続いて、投与量もしくは投与頻度、またはその両方は、症状に応じて、疾患、障害、または疾病の改善が保持されるレベルにまで低減され得る。
【0380】
一部の態様では、このような量に相当する所与の薬剤の量は、特定の化合物、疾患の重症度、処置を必要とする対象または宿主の同一性(例えば、体重、性別)などの因子に依拠して変動するが、それにもかかわらず、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、処置される疾病、および処置される対象または宿主を含む症例を取り囲む特定の状況に応じて、当該技術分野で公知の方法で慣例的に決定される。一部の例では、所望の用量は、単回用量で、または、同時投与される(すなわち短期間にわたり)かもしくは例えば1日2回、3回、4回以上のサブ用量として適切な間隔で投与される分割用量として、都合良く提供される。
【0381】
個々の処置レジメンに関する変動の数が大きく、これら推奨値からの大幅な偏移は珍しくないことから、先述の範囲は単に示唆的なものである。このような投与量は、使用される化合物の活性、処置対象である疾患または疾病、投与形態、個々の対象の要件、処置される疾患または疾病の重症度、および医療従事者の判断を含むがこれらに限定されない多くの変数に依拠して変更される。
【0382】
一部の態様では、このような治療レジメンの毒性および治療有効性は、LD50(個体群の50%が死に至る用量)およびED50(個体群の50%に治療上有効な用量)の決定を含むがこれらに限定されない、細胞培養または実験動物における標準の医薬手順によって決定される。毒性と治療効果との用量比は治療指数であり、これはLD50とED50との比として表される。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験から得たデータは、ヒトに対する使用のための投与量範囲を製剤化するのに使用される。かかる化合物の投与量は、好ましくは、毒性が最小限のED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、採用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動する。
【0383】
キット/製造品
本明細書中の特定の態様では、本明細書に記載の組成物および方法のうち1つまたは複数とともに使用するための、キットおよび製造品が開示される。かかるキットは、バイアルやチューブなど1つまたは複数の容器を受けるように区画化された運搬体、パッケージ、または容器を備えており、容器のそれぞれは、本明細書に記載の方法に使用されることになる別個の要素のうち1つを含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、試験管が挙げられる。一実施形態では、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成される。
【0384】
本明細書で提供される製造品は、製造は包装材料を包含する。医薬品パッケージ材料の例として、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、ならびに、選択された製剤、意図した投与形態、および処置に好適なあらゆる包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0385】
例えば容器は、本明細書に記載の標的核酸分子を含む。かかるキットは、本明細書に記載の方法における使用に関連する識別表示、ラベル、または指示書を含む。
【0386】
キットは、典型的に内容物を列挙するラベルおよび/または使用説明書、ならびに使用説明書を伴う添付文書を含む。典型的には一組の指示書も含まれる。
【0387】
一実施形態では、ラベルは容器の上にあるか、またはそれに付随する。一実施形態では、ラベルを形成する文字、数字、または他の字が容器自体に付けられるか、成型されるか、またはエッチングされる場合、ラベルは容器の上にある。例えば添付文書として容器を保持するレセプタクルまたは運搬体に存在する場合、ラベルは容器に付随する。一実施形態では、ラベルは、内容物が特定の治療用途のために使用されるものであることを示すために使用される。ラベルはまた、本明細書に記載の方法などにおける内容物の使用に関する指示を示す。
【0388】
特定の態様では、医薬組成物は、本明細書で提供される化合物を含有する1つまたは複数の単位剤形を包含する、パックまたはディスペンサ中で提供される。例えばブリスターパックなどのパックは、金属箔またはプラスチック箔を含有する。一実施形態では、パックまたはディスペンサには、投与の指示書が付随する。一実施形態では、パックまたはディスペンサにはまた、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関が規定する形式で容器に取り付けられる通知書も付随し、この通知書は、ヒトまたは動物への投与のための薬物の形態に関する機関の承認を反映している。かかる通知書は、例えば、処方箋に関して米国食品医薬品局が承認するラベル、または承認済みの製品添付文書(approved product insert)である。一実施形態では、互換性をもつ医薬担体中で製剤化される、本明細書で提供される化合物を含有する組成物も調製され、適切な容器に入れられ、適応症の処置に関するラベルを付けられる。
【0389】
別段の定めのない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、特許請求された主題が属する技術分野の当業者が共通して理解するものと同じ意味を有する。先の一般的な説明および以下の詳細な説明は例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されたすべての主題を制限するものではないことを理解されたい。本出願では、単数形の使用は、別段の定めのない限り複数形を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明確に指定されていない限り、複数形を含むことに留意されたい。本出願では、「または(or)」の使用は、別段の定めのない限り、「および/または(and/or)」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語のほか、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的ではない。
【0390】
本明細書で使用される場合、範囲および量は、「約(about)」の付く特定の値または範囲として表すことができる。「約」はまた、正確な量も含む。したがって、「約5μL」は、「約5μL」に加えて「5μL」を意味する。概して、「約」という用語は、実験誤差内にあると予想される量を含む。
【0391】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、編成のみを目的とするものであり、記載される主題を限定すると解釈されるべきではない。
【0392】
本明細書で使用される場合、「個体」、「対象」、および「患者」という用語は、あらゆる哺乳動物を意味する。一部の態様では、哺乳動物はヒトである。一部の態様では、哺乳動物はヒト以外である。これらの用語はいずれも、医療従事者(例えば、医師、登録看護師、診療看護師、医療補助者、規則的(orderly)またはホスピス労働者)の監督(例えば、定期的または断続的)により特徴付けられる状況を必要とすることも、それに制限されることもない。
【0393】
「治療有効量」という用語は、哺乳動物対象に所望の治療効果を提供するのに十分なポリ核酸分子コンジュゲートの量に関する。場合により、この量は、障害もしくは再発性障害を処置する、予防する、その発症を予防する、治癒する、遅延させる、その重症度を低減させる、その少なくとも1つの症状を軽快させる、またはこのような処置のない状態で予想されるものを上回って患者の生存を延ばすための、患者(ヒトなど)への単回または複数回投与である。当然のことながら、治療有効量を提供するのに採用される特定のポリ核酸分子コンジュゲートの投与量レベルは、損傷の種類、対象の年齢、体重、性別、病状、疾病の重症度、投与経路、および採用される特定の阻害剤に依拠して変動する。一部の例では、本明細書に記載されるポリ核酸分子コンジュゲートの治療有効量は、最初に細胞培養物および動物モデルから推計される。例えば、細胞培養方法で判定されたIC50値は、任意選択で動物モデルにおける出発点として役立ち、一方で動物モデルに対して判定されたIC50値は、ヒトに対する治療有効量を見出すために任意選択で使用される。
【0394】
骨格筋、すなわち随意筋は、概して腱によって硬骨に固定されるとともに、一般的には移動などの骨格動作を達成するために、または姿勢維持に使用される。一部の骨格筋制御は、全体として無意識の反射(例えば、姿勢筋または横隔膜)として維持されるが、骨格筋は意識的な制御に反応する。平滑筋、すなわち不随意筋は、食道、胃、腸、子宮、尿道、および血管などの器官および構造の壁の中に見られる。
【0395】
骨格筋は、2つの広範なタイプであるI型(すなわち「緩徐収縮」)とII型(すなわち「速収縮」)とにさらに分けられる。I型筋繊維は毛細管が密集しており、ミトコンドリアおよびミオグロビンが豊富であることから、I型筋組織には特徴的な赤色が与えられる。場合により、I型筋繊維は、より多くの酸素を運び、脂肪または炭化水素を燃料に使用して好気性活性を維持する。I型筋繊維は、長期間にわたりほとんど力を必要とすることなく収縮する。II型筋繊維は、収縮速度と生成された力の両方において異なる3つの主なサブタイプ(IIa、IIx、およびIIb)へとさらに細分化される。II型筋繊維は、即座に力強く収縮するが非常に急速に披露するため、筋収縮に痛みを伴う前に短く嫌気性の活性の突発しかもたらさない。
【0396】
骨格筋とは異なり、平滑筋は意識制御下にはない。
【0397】
心筋も不随意筋であるが、構造は骨格筋と非常によく類似しており、心臓にのみ見られる。心筋および骨格筋は、高度に規則的に配置された束にまとめられる筋節を含有するという点で横紋状である(striated)。対照的に、平滑筋細胞の筋原繊維は筋節には配置されないことから、横紋状ではない。
【0398】
筋細胞は、筋組織に寄与するあらゆる細胞を包含する。典型的な筋細胞には、筋芽細胞、衛星細胞、筋管、および筋原繊維組織が挙げられる。
【0399】
本明細書で使用される場合、筋力は横断面積(CSA)に比例し、筋肉速度は筋繊維長さに比例する。このため、様々な種類の筋肉間で横断面積と筋繊維とを比較することで、筋萎縮症の適応症を得ることが可能である。筋力および筋肉重量を測定する種々の方法が当該技術分野で公知であり、例えば、Lippincott Williams & Wilkinsが2000に発行したHazel M.Clarksonによる「Musculoskeletal assessment:Joint range of motion and manual muscle strength」を参照されたい。筋肉質量を測定するさらなる方法は、コンピュータによる横断断層撮影、および音波検査評価によって、選択された筋組織から断層画像を作成することである。
【0400】
抗体オリゴヌクレオチドコンジュゲート(AOC)という用語は、ヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体を指す。
【0401】
「siRNAコンジュゲート」または「siRNA-抗体コンジュゲート」という用語は、siRNAにコンジュゲートされた抗体を指す。
【0402】
「DUX4 siRNA-コンジュゲート」または「DUX4 siRNA-抗体コンジュゲート」は、ヒトDUX4 mRNAの標的配列にハイブリダイズするsiRNAにコンジュゲートされた抗体を指す。
【0403】
「DUX4-AOC」という用語は、ヒトDUX4 mRNAの標的配列にハイブリダイズするsiRNAにコンジュゲートされた抗体を指す。
【0404】
実施形態
実施形態1.ポリ核酸分子コンジュゲートであって、DUX4の標的配列にハイブリダイズするポリ核酸分子にコンジュゲートした抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、ポリ核酸分子がDUX4に対するRNA干渉を媒介する、ポリ核酸分子コンジュゲート。
【0405】
実施形態2.抗体またはその抗原結合フラグメントが、非ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体もしくはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体もしくはその抗原結合フラグメント、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、一価Fab’、二価Fab2、一本鎖可変フラグメント(scFv)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)、またはラクダ科抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む、実施形態1のポリ核酸分子コンジュゲート。
【0406】
実施形態3.抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗トランスフェリン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントである、実施形態1または2のポリ核酸分子コンジュゲート。
【0407】
実施形態4.ポリ核酸分子がセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖および/またはアンチセンス鎖が、それぞれ独立して、少なくとも1つの2’修飾ヌクレオチド、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間連結、または少なくとも1つの逆位脱塩基部分を含む、実施形態1~3のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0408】
実施形態5.ポリヌクレオチドが、DUX4の標的配列の少なくとも8つの隣接する塩基にハイブリダイズする、実施形態1~4のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0409】
実施形態6.ポリヌクレオチドが、約8~約50ヌクレオチド長、または約10~約30ヌクレオチド長である、実施形態1~5のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0410】
実施形態7.ポリ核酸分子がセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号1~70または配列番号141~210から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である、実施形態1~6のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0411】
実施形態8.ポリ核酸分子がセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号142、146、196、または201~206から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である、実施形態1~7のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0412】
実施形態9.ポリ核酸分子がセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、配列番号71~140または配列番号211~280から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である、実施形態1~8のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0413】
実施形態10.ポリ核酸分子がセンス鎖および/またはアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、配列番号412~420および配列番号430~438から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一である、実施形態1~9のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0414】
実施形態11.ポリ核酸分子が少なくとも1つの2’修飾ヌクレオチドを含み、さらに、2’修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)、2’-O-アミノプロピル、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、もしくは2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾ヌクレオチドを含むか、ロックド核酸(LNA)もしくはエチレン核酸(ENA)を含むか、またはそれらの組合せを含む、実施形態1~10のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0415】
実施形態12.少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結またはホスホロジチオエート連結を含む、実施形態1~11のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0416】
実施形態13.ポリ核酸分子が、2’-O-メチルおよび2’-デオキシ-2’-フルオロから選択される3つ以上の2’修飾ヌクレオチドを含む、実施形態1~12のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0417】
実施形態14.ポリ核酸分子が、5’-末端ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドを含む、実施形態1~13のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0418】
実施形態15.5’-末端ビニルホスホネート修飾ヌクレオチドが、
【0419】
【化29】
から選択され、
式中、Bが複素環塩基部分であり、
R6が、水素、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシから選択され、
Jが、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドに連結するヌクレオチド間連結基である、実施形態1~14のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0420】
実施形態16.2’修飾ヌクレオチドが2’-O-メチル修飾ヌクレオチドであり、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドが、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’-末端にある、実施形態1~15のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0421】
実施形態17.2’-O-メチルがプリンヌクレオチドである、実施形態16のポリ核酸分子コンジュゲート。
【0422】
実施形態18.2’-O-メチルがピリジンヌクレオチドである、実施形態16のポリ核酸分子コンジュゲート。
【0423】
実施形態19.センス鎖および/またはアンチセンス鎖が、5’末端に少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つの連続する2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、実施形態16~18のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0424】
実施形態20.抗体またはその抗原結合フラグメントをポリ核酸分子に接続するリンカーを含む、実施形態1~19のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0425】
実施形態21.リンカーがC1-C6アルキルリンカーである、実施形態20のポリ核酸分子コンジュゲート。
【0426】
実施形態22.リンカーがホモ二機能性リンカーまたはヘテロ二機能性リンカーであり、マレイミド基、ジペプチド部分、安息香酸基、またはその誘導体を含む、実施形態20のポリ核酸分子コンジュゲート。
【0427】
実施形態23.リンカーが切断可能または切断不能リンカーである、実施形態20のポリ核酸分子コンジュゲート。
【0428】
実施形態24.ポリ核酸分子と抗体またはその抗原結合フラグメントとの比が、約1:1、2:1、3:1、または4:1である、実施形態1~23のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0429】
実施形態25.ポリ核酸分子が、ヒトDUX4に対するRNA干渉を媒介し、対象の筋萎縮症を調節する、実施形態1~24のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0430】
実施形態26.RNA干渉が、未処置の細胞におけるDUX4遺伝子のmRNA転写物の量と比較して、DUX4遺伝子のmRNA転写物の発現を少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%以上低下させることを含む、実施形態25のポリ核酸分子コンジュゲート。
【0431】
実施形態27.RNA干渉が、細胞における、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、およびLEUTXからなる群から選択されるマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む、実施形態25~26のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0432】
実施形態28.RNA干渉が、細胞における、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDからなる群から選択されるマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む、実施形態25~26のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0433】
実施形態29.マーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことが、マーカ遺伝子の発現を少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%以上低下させることである、実施形態28のポリ核酸分子コンジュゲート。
【0434】
実施形態30.筋ジストロフィーが顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である、実施形態25~29のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0435】
実施形態31.式(I):
A-X-B(式I)
の分子を含み、式中、
Aが、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、
Bが、DUX4の標的配列にハイブリダイズするポリ核酸分子であり、
Xが、結合または非重合体リンカーであり、
Xが、Aのシステイン残基にコンジュゲートされる、実施形態1~30のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート。
【0436】
実施形態32.実施形態1~31のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲートと、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0437】
実施形態33.ナノ粒子製剤として製剤化される、実施形態32の医薬組成物。
【0438】
実施形態34.非経口、経口、鼻腔内、頬側、直腸、経皮、静脈内、皮下、または鞘内の投与用に製剤化される、実施形態32~33のいずれか1つの医薬組成物。
【0439】
実施形態35.筋ジストロフィーの処置を必要とする対象の筋ジストロフィーを処置するための方法であって、実施形態1~34のいずれか1つのポリ核酸コンジュゲートを提供する工程と、ポリ核酸コンジュゲートを対象に投与することで筋ジストロフィーを処置する工程であって、ポリ核酸コンジュゲートがヒトDUX4のmRNA転写物の量を減少させる、工程とを含む、方法。
【0440】
実施形態36.ポリ核酸部分が、ヒトDUX4に対するRNA干渉を媒介し、対象の筋萎縮症を調節する、実施形態35の方法。
【0441】
実施形態37.RNA干渉が、筋ジストロフィーによる影響を受けた細胞における、MBD3L2、TRIM43、PRAMEF1、ZSCAN4、KHDC1L、LEUTX、WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORDからなる群から選択されるマーカ遺伝子の発現に影響を及ぼすことを含む、実施形態36の方法。
【0442】
実施形態38.筋ジストロフィーが顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)である、実施形態35~37のいずれか1つの方法。
【0443】
実施形態39.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有すると診断されたかまたはその疑いのある対象を処置するための、実施形態1~30のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート、または実施形態32~34のいずれか1つの医薬組成物の使用。
【0444】
実施形態40.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を有すると診断されたかまたはその疑いのある対象を処置するための薬剤の製造における実施形態1~30のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート、または実施形態32~34のいずれか1つの医薬組成物の使用。
【0445】
実施形態41.実施形態1~31のいずれか1つのポリ核酸分子コンジュゲート、または実施形態32~34のいずれか1つの医薬組成物を含む、キット。
【実施例】
【0446】
これらの実施例は例示目的のみのために提供され、本明細書で提供される特許請求の範囲を制限するものではない。
【0447】
実施例1.ヒト全長DUX4転写物に対する生物情報siRNAライブラリの設計
図2は、DUX4 siRNAのin silico選択プロセスのフローチャートを示す。DUX4、またはDUX4の所定の領域に結合可能なすべてのsiRNAの配列を収集し、DUX4 siRNAのスターティングセットを生成する。DUX4 siRNAのスターティングセットから、第1の除外工程は、一塩基変異多型(SNP)および/または-5未満のMEFを有する1つまたは複数のDUX4 siRNAを除外することを含む。次いで、第2の除外工程は、(許容されたヒットだけがDUX、DUX5、およびDBETであるように)ヒトトランスクリプトーム内に0および1つのMMを有するDUX4 siRNAを除外することを含む。次いで、第3の除外工程は、(許容されたヒットだけがDUX1、DUX5、およびDBET偽遺伝子であるように)ヒト遺伝子内領域内に0のミスマッチ(MM)を有するDUX4 siRNAを除外することを含む。次いで、次の除外工程は、FLExDUX4 FSHDマウスモデルに使用されるDUX4ヒト配列に対するMMを有するDUX4 siRNAを除外することを含む。次いで、次の工程は、予測生存度が60以上である1つまたは複数のDUX4 siRNAのみを繰り越すことである。次に、除外工程は、既知のmiRNAの種領域1~1000に対するマッチを有する1つまたは複数のポリ核酸分子を除外することを含む。次いで、除外工程は、GC含有量%が75以上の1~1000を除外することで継続する。次いで、最終の選択プロセスは、領域295~1132を除き、2つのMMを有する8つ以下の予測オフターゲットヒットを含み、これにおいては最大12のヒットが許容される。このような一連の選択工程を使用して、1694のDUX siRNAのスターティングセットから最終的に70の候補DUX siRNAを選択できた。
図3は、DUX4 mRNA転写物(NM_001306068)内のかかる選択されたDUX4 siRNAの位置と数を示す。
【0448】
同定されたsiRNA候補は、以下の表10に示される配列において共通の特徴を共有する。同定されたsiRNAは大部分に2’-O-Meを有し、3つすべてのDUX4鋳型では7位、8位、9位においてセンス鎖上に2’-F修飾のみが位置する。2’-F修飾を有する2’-O-Me修飾は、DUX4鋳型1では1位、2位、6位、14位、16位において、DUX4鋳型1および2では2位、6位、14位、16位においてアンチセンス鎖上に位置する。また、同定されたsiRNAは、各鎖の上に4つのホスホロチオエート修飾を含み、5’末端と3’末端のそれぞれの最終的に2つの連結に位置する。同定されたsiRNAはさらに、実際の標的mRNA配列(センス鎖の3’末端の最終位置にある「a」と連結する)に関係なく、DUX4鋳型1ではアンチセンス鎖の5’末端の1位に「Uf」を含むとともに、DUX4鋳型3ではアンチセンス鎖の5’末端の1位に「vpN」を含む。同定されたsiRNAは、アンチセンス鎖のみの3’末端に「uu」オーバーハングをさらに含むが、センス鎖の3’末端にオーバーハングはない。同定されたsiRNAの最適化は、ビニルホスホネートヌクレオチド、逆位脱塩基部分、またはパッセンジャー鎖もしくはガイド鎖に対するアミンリンカーを含み得る。
【0449】
【0450】
表11、12、13、14、および15は、ヒトDUX4の調節のために同定されたsiRNA候補を例示する。
【0451】
【0452】
【0453】
【0454】
【0455】
【0456】
【0457】
【0458】
【0459】
【0460】
実施例2.siRNA配列および合成
すべてのsiRNA一本鎖を、固相上、標準のホスホラミダイト化学を用いて完全に組立てて、HPLCにより精製した。精製された一本鎖を二重にして、二重鎖siRNAを得た。ビニルホスホネート修飾ガイド鎖については、5’末端(VpUq)においてビニルホスホネート修飾ヌクレオチド構造を有するガイド鎖を産生した。siRNAパッセンジャー鎖はすべて、異なるフォーマットのコンジュゲーションハンドルであるC
6-NH
2および/またはC
6-SHを含有し、それぞれ鎖の各末端にある。逆位脱塩基リン酸ジエステルまたはホスホロチオエートを介して、コンジュゲーションハンドル(複数可)をsiRNAパッセンジャー鎖またはsiRNAガイド鎖に接続した。
図5A~
図5Fは、in vivo実験で使用されるフォーマットの代表的な構造である。
図5Aは、パッセンジャー鎖またはガイド鎖の5’末端にC
6-NH
2コンジュゲーションハンドル、および3’末端にC
6-SHを有する、siRNAの代表的な構造を図示する。
図5Bは、5’末端にC
6-NH
2コンジュゲーションハンドル、および3’末端にC
6-S-PEGを有する、siRNAパッセンジャー鎖またはガイド鎖の代表的な構造を図示する。
図5Cは、5’末端にC
6-NH
2コンジュゲーションハンドル、および3’末端にC
6-S-NEMを有する、siRNAパッセンジャー鎖またはガイド鎖の代表的な構造を図示する。
図5Dは、5’末端にC
6-N-SMCCコンジュゲーションハンドル、および3’末端にC
6-S-NEMを有する、siRNAパッセンジャー鎖の代表的な構造を図示する。
図5Eは、5’末端にPEG、および3’末端にC
6-SHを有する、siRNAパッセンジャー鎖またはガイド鎖の代表的な構造を図示する。
図5Fは、5’末端にC
6-S-NEM、および3’末端にC
6-NH
2コンジュゲーションハンドルを有する、siRNAパッセンジャー鎖またはガイド鎖の代表的な構造を図示する。
【0461】
実施例3.コンジュゲートの合成
図6A~
図6F、本明細書に記載のA-X
1-B-X
2-Y(式I)アーキテクチャの典型的な構造を図示する。
図6Aは、抗体-Cys-SMCC-5’-パッセンジャー鎖(アーキテクチャ1)を図示する。このコンジュゲートは、パッセンジャー鎖の5’末端でのマレイミド(SMCC)に対する抗体鎖間システインコンジュゲーションによって生成された。
図6Bは、抗体-Cys-SMCC-3’-パッセンジャー鎖(アーキテクチャ2)を図示する。このコンジュゲートは、パッセンジャー鎖の3’末端でのマレイミド(SMCC)に対する抗体鎖間システインコンジュゲーションによって生成された。
図6Cは、抗体-Cys-bisMal-3’-パッセンジャー鎖(ASCアーキテクチャ3)を図示する。このコンジュゲートは、パッセンジャー鎖の3’末端でのビスマレイミド(bisMal)リンカーに対する抗体鎖間システインコンジュゲーションによって生成された。
図6Dは、Fab-Cys-bisMal-3’-パッセンジャー鎖(ASCアーキテクチャ4)のモデル構造を図示する。このコンジュゲートは、パッセンジャー鎖の3’末端でのビスマレイミド(bisMal)リンカーに対するFab鎖間システインコンジュゲーションによって生成された。
図6Eは、2つの異なるsiRNAが1つの抗体分子に付けられた、抗体siRNAコンジュゲートのモデル構造(ASCアーキテクチャ5)を図示する。このコンジュゲートは、各siRNAのパッセンジャー鎖の3’末端にて、ビスマレイミド(bisMal)リンカーに対する低減されたmAb鎖間システインに、SSBとHPRT siRNAとの混合物をコンジュゲートすることによって生成された。
図6Fは、2つの異なるsiRNAが付けられた、抗体siRNAコンジュゲートのモデル構造(ASCアーキテクチャ6)を図示する。このコンジュゲートは、各siRNAのパッセンジャー鎖の3’末端にて、マレイミド(SMCC)リンカーに対する低減されたmAb鎖間システインに、SSBとHPRT siRNAとの混合物をコンジュゲートすることによって生成された。
【0462】
実施例3.1 SMCCリンカーを使用した抗体siRNAコンジュゲートの合成
図7Aは、抗体システインコンジュゲーションを介した抗体-Cys-SMCC-siRNA-PEGコンジュゲートの典型的な合成スキーム(合成スキーム1)を図示する。
【0463】
工程1:TCEPによる抗体鎖間ジスルフィド還元
【0464】
ホウ砂緩衝液(pH8)により抗体に緩衝液交換を行い、最大10mg/mlの濃度とした。この溶液に、水中の2当量のTCEPを添加し、室温で2時間回転させた。得られた反応混合物に、5mM EDTAを含有するpH7.4のPBSにより緩衝液交換を行い、室温で5mM EDTAを含有するpH7.4のPBS中のSMCC-C6-siRNAまたはSMCC-C6-siRNA-C6-NHCO-PEG-XkDa(2当量)(X=0.5kDa~10kDa)の溶液に添加して、一晩回転させた。分析的SAXカラムクロマトグラフィーによる反応混合物の分析によって、未反応の抗体およびsiRNAとともに抗体siRNAコンジュゲートを認めた。
【0465】
工程2:精製
【0466】
粗製の反応混合物を、実施例3.4に記載される陰イオン交換クロマトグラフィー法-1を使用してAKTA explorer FPLCによって精製した。DAR1およびDAR>2の抗体-siRNA-PEGコンジュゲートを含有する画分を分離し、濃縮して、pH7.4のPBSにより緩衝液交換を行った。
【0467】
工程3:精製されたコンジュゲートの分析
【0468】
単離されたコンジュゲートを、SEC、SAXクロマトグラフィー、およびSDS-PAGEによって特徴解析した。コンジュゲートの純度を、陰イオン交換クロマトグラフィー法-2または陰イオン交換クロマトグラフィー法-3のいずれかを使用して、分析的HPLCによって精査した。両方法は、実施例3.4に記載されている。単離されたDAR1コンジュゲートは典型的に、分析的SAX法では9.0±0.3分で溶出し、純度は90%を超える。典型的なDAR>2のシステインコンジュゲートは、85%超のDAR2、および15%未満のDAR3を含有する。
【0469】
実施例3.2.ビスマレイミド(BisMal)リンカーを使用した抗体siRNAコンジュゲートの合成
図7Bは、抗体-Cys-BisMal-siRNA-PEGコンジュゲートの典型的な合成スキーム(合成スキーム2)を図示する。
【0470】
工程1:TCEPによる抗体還元
【0471】
ホウ砂緩衝液(pH8)により抗体に緩衝液交換を行い、最大5mg/mlの濃度とした。この溶液に、水中の2当量のTCEPを添加し、室温で2時間回転させた。得られた混合物を、5mM EDTAを含有するpH7.4のPBSと交換し、室温で5mM EDTAを含有するpH7.4のPBS中のBisMal-C6-siRNA-C6-S-NEM(2当量)の溶液に添加して、一晩4℃に維持した。分析的SAXカラムクロマトグラフィーによる反応混合物の分析によって、未反応の抗体およびsiRNAとともに抗体siRNAコンジュゲートを認めた。
【0472】
工程2:精製
【0473】
粗製の反応混合物を、陰イオン交換クロマトグラフィー法-1を使用してAKTA explorer FPLCによって精製した。DAR1およびDAR2の抗体-siRNAコンジュゲートを含有する画分を分離し、濃縮して、pH7.4のPBSにより緩衝液交換を行った。
【0474】
工程3:精製されたコンジュゲートの分析
【0475】
単離されたコンジュゲートを、質量分析法またはSDS-PAGEのいずれかによって特徴解析した。コンジュゲートの純度を、陰イオン交換クロマトグラフィー法-2または3のいずれかに加え、サイズ排除クロマトグラフィー法-1を使用して、分析的HPLCによって精査した。
【0476】
実施例3.3.mAbからのFab’生成およびsiRNAへのコンジュゲーション
図7Cは、Fab-siRNAコンジュゲート生成の典型的な合成スキーム(合成スキーム3)を図示する。
【0477】
工程1:ペプシンによる抗体消化
【0478】
pH4.0の20mM酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液により抗体に緩衝液交換を行い、最大5mg/mlの濃度とした。固定化されたペプシン(Thermo Scientific,Prod#20343)を添加し、37℃で3時間インキュベートした。30kDa MWCO Amiconスピンフィルタ、およびpH7.4のPBSを用いて、反応混合物を濾過した。保持液(retentate)を収集し、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製することで、F(ab’)2を単離した。次いで、収集したF(ab’)2を10当量のTCEPの10によって還元し、pH7.4のPBS中、室温でSMCC-C6-siRNA-PEG5とコンジュゲートさせた。SAXクロマトグラフィーでの反応混合物の分析により、未反応のFabおよびsiRNA-PEGとともにFab-siRNAコンジュゲートを認めた。
【0479】
工程2:精製
【0480】
粗製の反応混合物を、陰イオン交換クロマトグラフィー法-1を使用してAKTA explorer FPLCによって精製した。DAR1およびDAR2のFab-siRNAコンジュゲートを含有する画分を分離し、濃縮して、pH7.4のPBSにより緩衝液交換を行った。
【0481】
工程3:精製されたコンジュゲートの分析
【0482】
単離されたコンジュゲートの特徴解析および純度を、陰イオン交換クロマトグラフィー法-2または3のいずれかに加え、SEC法-1を使用して、分析的HPLCによって精査した。
【0483】
実施例3.4.精製および分析の方法
陰イオン交換クロマトグラフィー法(SAX)-1。
1.カラム:Tosoh Bioscience、TSKGel SuperQ-5PW、21.5mm ID×15cm、13um
2.溶媒A:20mM TRIS緩衝液、pH8.0;溶媒B:20mM TRIS、1.5M NaCl、pH8.0;流速:6.0ml/分。
3.勾配:
a. %A %B カラム体積
b. 100 0 1.00
c. 60 40 18.00
d. 40 60 2.00
e. 40 60 5.00
f. 0 100 2.00
g. 100 0 2.00
【0484】
陰イオン交換クロマトグラフィー(SAX)法-2
1.カラム:Thermo Scientific、ProPac(商標)SAX-10、Bio LC(商標)、4×250mm
2.溶媒A:pH8で80%の10mM TRIS、20%エタノール;溶媒B:pH8で80%の10mM TRIS、20%エタノール、1.5M NaCl;流速:0.75ml/分。
3.勾配:
a. 時間 %A %B
b. 0.0 90 10
c. 3.00 90 10
d. 11.00 40 60
e. 13.00 40 60
f. 15.00 90 10
g. 20.00 90 10
【0485】
陰イオン交換クロマトグラフィー(SAX)法-3
1.カラム:Thermo Scientific、ProPac(商標)SAX-10、Bio LC(商標)、4×250mm
2.溶媒A:pH8で80%の10mM TRIS、20%エタノール;溶媒B:pH8で80%の10mM TRIS、20%エタノール、1.5M NaCl
3.流速:0.75ml/分。
4.勾配:
a. 時間 %A %B
b. 0.0 90 10
c. 3.00 90 10
d. 11.00 40 60
e. 23.00 40 60
f. 25.00 90 10
g. 30.00 90 10
【0486】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法-1
1.カラム:TOSOH Biosciences、TSKgelG3000SW XL、7.8×300mm、5μM
2.移動相:150mMリン酸塩緩衝液
3.流速:15分間で1.0ml/分
【0487】
実施例3.5.ビスマレイミド(BisMal)リンカーを使用した抗体siRNAコンジュゲートの合成
TCEPによる抗体還元
1mM DTPAを含む25mMホウ酸緩衝液(pH8)により抗体に緩衝液交換を行い、最大10mg/mlの濃度とした。この溶液に、同じホウ酸緩衝液中の4当量のTCEPを添加し、37℃で2時間インキュベートした。得られた反応混合物を、室温でpH6.0の10mM酢酸緩衝液中のBisMal-siRNA(1.25当量)の溶液と合わせて、4℃で一晩維持した。分析的SAXカラムクロマトグラフィーによる反応混合物の分析によって、未反応の抗体およびsiRNAとともに抗体siRNAコンジュゲートを認めた。反応混合物を10EQのN-エチルマレイミド(10mg/mLのDMSO中)で処理して、残るすべてのシステイン残基をキャッピングした。
【0488】
工程2:精製
【0489】
粗製の反応混合物を、陰イオン交換クロマトグラフィー(SAX)法-1を使用してAKTA Pure FPLCによって精製した。DAR1およびDAR2の抗体-siRNAコンジュゲートを含有する画分を単離し、濃縮して、pH7.4のPBSにより緩衝液交換を行った。
【0490】
陰イオン交換クロマトグラフィー法(SAX)-1。
【0491】
カラム:Tosoh Bioscience、TSKGel SuperQ-5PW、21.5mm ID×15cm、13um
【0492】
溶媒A:20mM TRIS緩衝液、pH8.0;溶媒B:20mM TRIS、1.5M NaCl、pH8.0;流速:6.0ml/分。
【0493】
勾配:
a. %A %B カラム体積
b. 100 0 1
c. 81 19 0.5
d. 50 50 13
e. 40 60 0.5
f. 0 100 0.5
g. 100 0 2
【0494】
陰イオン交換クロマトグラフィー(SAX)法-2
【0495】
カラム:Thermo Scientific、ProPac(商標)SAX-10、Bio LC(商標)、4×250mm
【0496】
溶媒A:pH8で80%の10mM TRIS、20%エタノール;溶媒B:pH8で80%の10mM TRIS、20%エタノール、1.5M NaCl;流速:0.75ml/分。
【0497】
勾配:
a. 時間 %A %B
b. 0.0 90 10
c. 3.00 90 10
d. 11.00 40 60
e. 14.00 40 60
f. 15.00 20 80
g. 16.00 90 10
h. 20.00 90 10
【0498】
実施例4.FSHDマウスモデルACTA1-MCM:FLExDUX4に対するDUX4標的化AOCのin vivo活性
DUX4 siRNA(DUX4.61 non-VP、DUX4.61 vpUq、およびDUX4.1613 vpUq)をマウストランスフェリン受容体(Tfrc)抗体にコンジュゲートして、マウス特異的DUX4 AOCを生成した。ヒトDUX4遺伝子を発現する、FSHD疾患を有するACTA1-MCM:FLExDUX4マウスモデル:B6(cg)-Gt(ROSA)26Sortm1.1(DUX4*)Plj/J(Stock#028710)と交配されたSTOCK Tg(ACTA1-cre/Esr1*)2Kesr/J(Stock#025750)に、DUX4 AOCを静脈内投与した(Jones T、Jones PLによるA cre-inducible DUX4 transgenic mouse model for investigating facioscapulohumeral muscular dystrophy.PLoS One.2018 Feb 7;13(2):e0192657)。0日目のマウスの年齢:8~11週齢(N=8または10の雄と雌の集まり)。DUX4 AOCの単回IV投与の3週間後に骨格筋を収集した。
【0499】
遺伝子発現をRT-qPCRによって分析した。ホモジナイザFastPrep-24(MPBio)を使用して、Lysing Matrix D中のTrizolにおいて筋組織を均質化し、6,000RPM、4℃で5分間回転させた。製造業者の指示に従いZymo-Spin(商標)I-96キットを使用して、RNAを単離した。SimpliAmp Thermal Cycler(Applied Biosystems)を用いるHigh-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems)を使用して、cDNAを合成した。TaqMan Fast Universal Master Mix II(Thermo Fisher)およびTaqManプローブ(Thermo Fisher)を使用して2通りに、QuantStudio 6または7のFlex Real-Time PCR機器(Applied Biosystems)を使用して、cDNAをqPCRによって分析した。QuantStudio(商標)Real-Time PCR Software v1.3(Applied Biosystems)によってデータを分析した。4つのDUX4標的遺伝子:WFDC3、ILVBL、SLC15A2、SORDの発現レベルを評価した(Jones TI、Chew GL、Barraza-Flores P、Schreier S、Ramirez M、Wuebbles RD、Burkin DJ、Bradley RK、Jones PLによるTransgenic mice expressing tunable levels of DUX4 develop characteristic facioscapulohumeral muscular dystrophy-like pathophysiology ranging in severity.Skelet Muscle.2020 Apr 11;10(1):8)。DUX4-標的の遺伝子発現を、PPIB参照遺伝子に正規化した。標的mRNAのダウンレギュレーションレベルを、2-ΔΔCt法を使用して、PBSビヒクルで処置された動物と比較して判定した。
【0500】
一般的なプライマーおよびTaqManプローブの設計のほか、ステム-ループRT-qPCR(SL-RT-qPCR)アッセイの方法も、過去に説明されている(Chen,2005,Real-time quantification of microRNAs by stem-loop RT-PCR.Nucleic Acids Res 33,e179)。特異的なSL-RT-qPCRアッセイを設計し、DUX4 siRNAのガイド鎖を定量化した。組織ホモジネートを、0.1%Triton X-100を含むTE緩衝液に入れて希釈し、次いでSL-RT-qPCRによって分析した。試料との比較のために異なる濃度のsiRNAを適切なマトリックスにスパイクすることによって、標準曲線を生成した。siRNA標準曲線の線形回帰をプリズムおよび勾配において行い、y切片値を使用して組織試料と血漿試料の濃度を外挿した。
【0501】
DUX4標的遺伝子の複合物は、4つのDUX4標的マウス遺伝子(WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORD)の幾何平均であり、データは、ビヒクル(PBS)で処置された動物の平均-/+SEM%として表され、N=8または10の雄と雌の集まりである。
【0502】
図4Aと
図4Bは、FSHDマウスモデルACTA1-MCM;FLExDUX4に対するDUX4標的化AOCのin vivo活性を示す。
図4Aでは、DUX4 AOCが、単回AOC投与の3週間後の前脛骨筋、腓腹筋、および大腿四頭筋骨格筋に対して複合マウスDUX4標的遺伝子(WFDC3、ILVBL、SLC15A2、およびSORD)の用量依存的なダウンレギュレーションを実証することが認められる。さらに、
図4Bは、DUX4 AOCの単回静脈内投与の3週間後の筋組織におけるDUX4 siRNAsの用量依存的な濃度上昇を示す。
【0503】
全体的にこれらのデータは、in vivoでのDUX4 AOCのロバストで永続的な活性を実証し、こうしてFSHD疾患に対する可能な処置を実証する。
【0504】
実施例5.DUX4標的化AOCによる処置後のFSHDマウスモデルにおける機能改善
実施例5は、骨格筋中でヒトDUX4を発現するマウスに対するDUX4標的化AOCによる処置後のFSHD疾患表現型の抑制におけるDUX4 siRNAの有効性を実証する。6~9週齢のACTA1-MCM;FLExDUX4マウスを処置する。群ごとに10匹のマウスを、1回または2回のいずれかのタモキシフェン(TMX)5mg/kgの単回IP注射により処置し、FSHD表現型を誘導する。TMX投与後2日以内に、試験DUX4 AOCおよび対照AOC物質、またはビヒクルをマウスにIV注射する。投与直後、およびその後週に3回、疼痛の徴候、運動障害、忌避、水分補給についてマウスを観察する。体重を週3回測定する。Neuroscoringを週3回行う。
【0505】
以下の機能測定を行い、筋肉表現型を精査する:
1.AOC処置の13日後のin vivo筋力測定(等尺性筋力-頻度曲線、および強縮からの弛緩時間)
2.AOC処置の7、10、および14日後のトレッドミル運動
3.AOC処置の15日後にEMGをすべてのマウスに行う
【0506】
機能的エンドポイント測定完了の1日または2日後、マウスを屠殺し、さらなる評価のために以下の組織剖検を収集する:
a.腓腹筋
i.左脚筋肉は瞬間冷凍し、-80℃で保管する。
ii.右脚筋肉は10%NBF中、室温で固定する。
b.前脛骨筋
i.左脚筋肉は瞬間冷凍し、-80℃で保管する。
ii.右脚筋肉は10%NBF中、室温で固定する。
c.大腿四頭筋
i.左脚筋肉は瞬間冷凍し、-80℃で保管する。
ii.右脚筋肉は10%NBF中、室温で固定する。
d.半分に切断した横隔膜
i.左半分は瞬間冷凍し、-80℃で保管する。
ii.右半分は10%NBF中、室温で固定する。
【0507】
冷凍した組織試料を、DUX4依存的な遺伝子発現、および組織中のDUX4 siRNA濃度について分析する。
【0508】
ホルムアルデヒドで固定した組織を包埋のためにトリミングする。各組織から2つの切片を切り取る。
a.一方の切片をSirius Redで染色する。Sirius Redで染色した切片では、線維症の程度を半自動画像分析によって測定する。
b.他方の切片をレチクリンで染色する。レチクリンで染色した切片では、筋繊維のサイズおよび中心核の%を自動画像分析によって測定する。
【0509】
本開示の好ましい態様が本明細書中で示され、かつ記述されてきたが、当業者であれば、このような態様はほんの一例として提供されることが明白であろう。本開示から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換えが当業者により想到されるであろう。本明細書に記載される本開示の態様に代わる種々の代案が本開示の実施に採用されてもよいことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲とその等価物の範囲内の方法と構造は、特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【配列表】