(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-11
(45)【発行日】2025-09-22
(54)【発明の名称】化学エネルギーを使用可能な電気エネルギーに迅速に変換する方法
(51)【国際特許分類】
H02K 35/02 20060101AFI20250912BHJP
F41A 19/61 20060101ALI20250912BHJP
【FI】
H02K35/02
F41A19/61
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021045712
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2024-03-18
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グロスニクル, ジェームズ エー
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0108589(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0031552(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0341514(US,A1)
【文献】特開2018-062902(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0277939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 35/02
F41A 19/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回生ブレーキシステム(100、200)であって、
ボア(104)を備えたバレル(102)と、
前記ボア(104)の長さ(110)に沿って分配された複数の導電性構成要素(108)を含む回路(106)と、
発射体(112)が前記ボア(104)の前記長さ(110)に沿って移動しているとき、前記導電性構成要素(108)に磁気的に連結される伝導性材料(114)又は磁性材料(114)のうちの少なくとも1つを含む前記発射体(112)と
、
前記バレル(102)を火器(130)の筒口(134)に取り付けるように構成されたコネクタ(132)であって、弾丸(136)を含む前記発射体(112)が前記筒口(134)から前記バレル(102)内に打ち込まれる、コネクタ(132)とを備え、
前記バレル(102)が、前記導電性構成要素(108)の前方に位置した排出口(138)を備え、前記排出口(138)が前記火器(130)から排気(140)を排出し、
前記ボア(104)の前記長さ(110)に沿って移動している前記発射体(112)が、前記導電性構成要素(108)と、前記磁性材料(114)又は前記伝導性材料(114)のうちの少なくとも1つとの間の磁性相互作用(120)を引き起こすとき、前記回路(106)は、前記導電性構成要素(108)に誘起された電流(118)から発生したエネルギー(116)を保存し、
前記磁性相互作用(120)が前記発射体(112)のブレーキを引き起こ
し、
前記導電性構成要素(108)は、
前記発射体(112)が、手動で止められ得るスピード若しくは10m/sを下回るスピードで前記ボア(104)を退出するか、又は、
前記発射体(112)が、少なくとも90%だけ削減された運動エネルギー(117)を持って退出し、前記運動エネルギー(117)の少なくとも一部が、電気エネルギー(116)を含む前記エネルギー(116)に変換される
ように構成される、回生ブレーキシステム(100、200)。
【請求項2】
前記発射体(112)が、前記ボア(104)の前記長さ(110)に沿って移動しているとき、前記発射体(112)が、前記導電性構成要素(108)に前記電流(118)を誘起するように構成される第1の磁場(122)を生成し、
前記電流(118)が第2の磁場(124)を生成し、前記導電性構成要素(108)が、前記第2の磁場(124)と前記第1の磁場(122)との前記磁性相互作用(120)が、前記発射体(112)の前記ブレーキを引き起こすように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記磁性相互作用(120)が、前記ボア(104)の前記長さ(110)に沿って移動している前記発射体(112)における前記伝導性材料(114)に渦電流を誘起する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記磁性材料(114)が永久磁石(145)を含み、前記導電性構成要素(108)のそれぞれが、磁石(147)に連結されたピックアップコイル(144)を含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記回路(106)が、前記電流(118)から発生した前記エネルギー(116)を保存する一以上のコンデンサ(154)を備えている、請求項1から
4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記回路(106)に接続された電池(156)をさらに備え、前記電池(156)が前記エネルギー(116)を保存し、前記回路(106)が、バッファ回路であって、
前記電流(118)を使用して、前記発射体(112)が前記ボア(104)に沿って移動する時間の尺度に応じた第1の時定数でコンデンサ(154)を充電し、
前記第1の時定数よりも長く、前記電池(156)の製造業者の仕様に準拠した充電時間に応じた第2の時定数で前記コンデンサ(154)を放電して前記電池(156)を給電する、
バッファ回路を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学エネルギー又は運動エネルギーを、使用可能な電気エネルギーに変換する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔フィールド地にいるとき、機器を充電することは、困難であり得る。現在の解決策は、概して、複数の充電された交換用電池を運ぶことを伴う。しかし、電池は重く、エネルギー密度が比較的低く、ゆっくりとエネルギーを失う(それにより、頻繁に再充電することが必要となるが、これは必ずしも可能ではない場合がある)。必要とされているのは、フィールドにいる間にエネルギーを保存する方法であり、より便利で、軽量に実現でき、且つ高いエネルギー密度が伴う方法である。本明細書に記載の実施形態は、このニーズを満たす。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、発射体の運動エネルギーを、機器に電力を供給するか、又は電池を充電するのに適した電気エネルギーに変換するための回生ブレーキシステムを説明する。回生ブレーキシステムは、多くの方法で実現され得る。これらの方法は、以下を含むが、これらに限定されない。
【0004】
実施例1
回生ブレーキシステムであって、
ボアを含むバレルと、
前記ボアの長さに沿って分配された複数の導電性構成要素を含む回路と、
発射体が前記ボアの前記長さに沿って移動しているとき、前記導電性構成要素に磁気的に連結される伝導性材料又は磁性材料のうちの少なくとも1つを含む前記発射体と
を備えている、回生ブレーキシステム。前記ボアの前記長さに沿って移動している前記発射体が、前記導電性構成要素と、前記磁性材料又は前記伝導性材料のうちの少なくとも1つとの間の磁性相互作用を引き起こすとき、前記回路は、前記導電性構成要素に誘起された電流から発生したエネルギーを保存する。前記磁性相互作用は、さらに前記発射体のブレーキを引き起こす。
【0005】
実施例2
前記発射体が、前記ボアの前記長さに沿って移動しているとき、前記発射体が、前記導電性構成要素に前記電流を誘起するように構成される第1の磁場を生成し、
前記電流が第2の磁場を生成し、前記導電性構成要素が、前記第2の磁場と前記第1の磁場との前記磁性相互作用が、前記発射体の前記ブレーキを引き起こすように構成されている、実施例1に記載のシステム。
【0006】
実施例3
前記磁性相互作用が、前記ボアの前記長さに沿って移動している前記発射体における前記伝導性材料に渦電流を誘起する、実施例1に記載のシステム。
【0007】
実施例4
前記バレルを火器の筒口に取り付けるように構成されたコネクタをさらに備え、前記発射体が、前記筒口から前記バレル内に打ち込まれる弾丸を含む、実施例1から3のいずれか1つに記載のシステム。
【0008】
実施例5
前記バレルが、前記導電性構成要素の前方に位置した排出口を備え、その結果、前記排出口は前記火器から排気を排出する、実施例4に記載のシステム。
【0009】
実施例6
前記導電性構成要素は、
前記発射体が、手動で止められ得るスピード若しくは10m/sを下回るスピードで前記ボアを退出するか、又は、
前記発射体が、少なくとも90%だけ削減された運動エネルギーを有し、前記運動エネルギーの少なくとも一部が、電気エネルギーを含む前記エネルギーに変換されるように構成されている、実施例1から5のいずれか1つに記載のシステム。
【0010】
実施例7
前記磁性材料が永久磁石を含む、実施例1若しくは2、又は4から6のいずれか1つに記載のシステム。
【0011】
実施例8
前記導電性構成要素のそれぞれがコイルを含む、実施例1から7のいずれか1つに記載のシステム。
【0012】
実施例9
前記導電性構成要素が磁石に連結されたピックアップコイルを含む、実施例1から8のいずれか1つに記載のシステム。
【0013】
実施例10
前記バレルに連結されたリアクタをさらに備え、前記リアクタが、
排気物を形成するように化学推進剤を反応物と反応させ、前記排気物を方向付けて、前記発射体を前記ボアを通じて推進するように構成されている、実施例1から9のいずれか1つに記載のシステム。
【0014】
実施例11
前記リアクタが燃焼室を含む、実施例10に記載のシステム。
【0015】
実施例12
前記発射体がピストンを含む、実施例11に記載のシステム。
【0016】
実施例13
前記ピストンが前記ボアの前記長さを移動した後、前記リアクタに前記ピストンを戻すためのシステムをさらに備えている、実施例12に記載のシステム。
【0017】
実施例14
前記回路が、前記電流から発生した前記エネルギーを保存する一以上のコンデンサを備えている、実施例1から13のいずれか1つに記載のシステム。
【0018】
実施例15
前記導電性構成要素が前記コンデンサに並列に接続されている、実施例1から14のいずれか1つに記載のシステム。
【0019】
実施例16
前記回路に接続された電池をさらに備え、前記電池が前記エネルギーを保存する、実施例1から15のいずれか1つに記載のシステム。
【0020】
実施例17
前記エネルギーが、携帯電話、ラジオ、テレビ、コンピュータ、全地球測位システム、空調システム、又は電気自動車用モータに電力を供給することができる、実施例16に記載のシステム。
【0021】
実施例18
前記回路が、バッファ回路であって、
前記電流を使用して、前記発射体が前記ボアに沿って移動する時間の尺度に応じた第1の時定数でコンデンサを充電し、
前記第1の時定数よりも長く、前記電池の製造業者の仕様に準拠した充電時間に応じた第2の時定数で前記コンデンサを放電して、前記電池を給電する、
バッファ回路を含む、実施例1から17のいずれか1つに記載のシステム。
【0022】
実施例19
実施例1から18のいずれか1つに記載のシステムを備えている、道路用車両(例えば、車、トラック、バス、若しくはタンク)、航空機、又は船舶(例えばボート)を含む、輸送体。
【0023】
実施例20
前記装置を使用して電力を供給された電磁兵器をさらに備えている、実施例19に記載の輸送体。
【0024】
本開示は、火器から発射体を推進するように火器を発砲すること、発射体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換すること、及び電気エネルギーを使用して電池を充電することを含む、火器を操作する方法を、さらに説明する。
【0025】
一以上の実施例では、本方法は、ボアを含むバレルを備えた火器を提供すること、ボアの長さに沿って分配された複数の導電性構成要素を含む回路を提供すること、及び発射体がボアの長さに沿って移動しているとき、導電性構成要素に磁気的に連結される伝導性材料又は磁性材料のうちの少なくとも1つを含む発射体を提供することを、さらに含む。ボアの長さに沿って移動している発射体が、導電性構成要素と、磁性材料又は伝導性材料のうちの少なくとも1つとの間の磁性相互作用を引き起こすとき、回路は、導電性構成要素に誘起された電流から発生したエネルギーを、保存する。磁性相互作用は、発射体のブレーキを引き起こす。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の実施例に係る、回生ブレーキシステムを示す。
【
図2】第2の実施例に係る、回生ブレーキシステムを示す。
【
図3】本明細書に記載の一以上の実施例に係る、回生ブレーキシステムにおける例示的な磁場の分布を示す。
【
図4】本明細書に記載の一以上の実施例に係る、フィールド用途における回生ブレーキシステムを使用している軍人又はハイカーを示す。
【
図5】本明細書に記載の一以上の実施例に係る、回生ブレーキシステムを含む輸送体を示す。
【
図6】本明細書に記載の一以上の実施例に係る、回生ブレーキシステムを作製する方法を示すフロー図である。
【
図7】本明細書に記載の一以上の実施例に係る、回生ブレーキシステムを使用する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の記載中で添付の図面を参照するが、添付の図面は本書の一部を形成するものであり、例示のため、いくつかの実施例で示される。他の実施例を利用することができ、本開示の範囲を逸脱しない限り、構造的な変更を加えてよいことが理解される。
【0028】
[技術的な説明]
本開示は、(化学エネルギーによって推進される)磁化された及び/又は導通する発射体の運動エネルギーを、迅速に且つ直接、使用可能な電気エネルギーに変換するファラデーの法則を使用するシステムを説明する。一実施例では、「逆コイルガン(inverse coil gun)」の磁気ブレーキ効果が、高運動エネルギー発射体(その最初の運動エネルギーは化学エネルギーから発生した)からエネルギーを取り出し、発射体に磁気的に連結された回路に電圧を生み出す。該電圧に関連する電気エネルギーは、ある用途で直接使用されるか、又は後の利用のためにコンデンサ若しくは電池を充電するために使用される。このシステムは、エネルギー保存の重量を、大幅に低減させる。
【0029】
[火器の実施例]
図1は、ボア104を含むバレル(筒)102、ボア104の長さ110に沿って分配された複数の導電性構成要素108を含む回路106、及び発射体112がボア104の長さ110に沿って移動しているとき、導電性構成要素108に磁気的に連結される伝導性材料又は磁性材料のうちの少なくとも1つから選択される材料114を含む発射体112を備えている回生ブレーキシステム100を示す。例示的な導電性構成要素108は、磁石147に連結されたコイル144又はピックアップコイル(144b)を含むが、それらに限定されるものではない。例示的な磁性材料は永久磁石145を含むが、それに限定されるものではない。
【0030】
ボア104の長さ110に沿って移動している発射体112が、導電性構成要素108と材料114との間の磁性相互作用120を引き起こすとき、回路106は、導電性構成要素108に誘起された電流118から発生したエネルギー116を、保存する。磁性相互作用120は、さらに発射体112のブレーキ又は減速を引き起こす。一以上の実施例では、回路106は、機器若しくは他の装置158に電力を供給するために、エネルギー116を保存するのに使用されるコンデンサ154及び/又は電池156を備えている(又はコンデンサ154及び/又は電池156に接続されている)。
図1に示された実施例では、システムは、火器130に取り外し可能に取り付けられるか、又は火器130に後付けで取り付けられ得る取り付け物である。発射体112(弾丸136)が筒口134からバレル102内に打ち込まれるように、コネクタ132は、バレル102を火器130の筒口134に取り付けるのに使用される。バレル102又はコネクタ132は、導電性構成要素108の前方に位置した排出口138を備え、排出口138は火器130から排気140を排出する。
【0031】
[ピストンの実施例]
図2は、例示的な回生ブレーキシステム200を示し、発射体112はピストン202を含む。該システムは、バレル102に連結されたリアクタ204(例えば燃焼室203)をさらに含み、リアクタ204は、(1)排気物210を形成するように、化学推進剤206を反応物208(例えば、空気又は酸素)と反応させ、(2)排気物210を方向付けて、ピストン202をボア104を通じて推進するように、構成されている。リアクタ204は、空気を入れるための吸気口212、排気物210を出すための排気口214、及び化学推進剤206を発火するための点火プラグ216を備えている。回生ブレーキシステム200は、ピストン202が、推進及びブレーキに伴いボア104の長さ110を移動した後、リアクタ204にピストン202を戻すための機構218をさらに備えている。図示された実施例では、機構218は、コネクティングロッド220、クランク222、クランクピン224,及びクランクシャフト226を備え、ピストン202の往復運動の一部は、クランク222の回転運動に変換され、次いで、クランク222は、ピストンをリアクタ204に押し戻すコネクティングロッド220を押し出すように使用される。
【0032】
[例示的な磁場分布]
図3は、導電性構成要素108と発射体112との間の様々な例示的な磁性相互作用120を示す。1つの実施態様では、発射体112がボア104の長さ110に沿って移動しているとき、発射体112は、導電性構成要素108に電流118を誘起するように構成される第1の磁場122を生成する。電流118は第2の磁場124を生成し、導電性構成要素108は、第2の磁場124の第1の磁場122との磁性相互作用120が、例えば、発射体112の運動エネルギー117が電気エネルギー116に変換されるにつれて、発射体112のブレーキを引き起こすように構成されている。様々な実施例では、第2の磁場124は、発射体112の後方へと延びない。それにより、ボア104に沿って発射体112が押されることが防止される。
【0033】
発射体112が伝導性材料を含む別の実施態様では、磁性相互作用120が、ボア104の長さ110に沿って移動している発射体112における伝導性材料に、渦電流を誘起する。渦電流の形成により、発射体の運動エネルギー117が渦電流の中に放散されるにつれて、発射体のブレーキが生じる。
【0034】
[用途例]
図4は、手持ち式装置又は携帯装置を備えた回生ブレーキシステム100を操作する人400(例えば、軍人402又はハイカー404)を示す。手持ち式装置は、フィールドで小規模発電用の電池を充電するために使用される。一以上の実施例では、導電性構成要素108は、ブレーキにより、発射体112が、10m/sを下回るスピードで、又は保護されていない手又は保護された手(例えば、防護具若しくはグローブで保護された手)で止めることのできるスピードで、ボアを退出するように構成されている。一以上のさらなる実施例では、発射体は、少なくとも90%から99%だけ削減された運動エネルギーを有し、運動エネルギーの少なくとも一部が、電気エネルギーを含むエネルギー116に変換される。移動式の50口径のライフルカートリッジにおける平均エネルギーは約50kJであり、これは、アルカリAA電池(最大10kJのエネルギー保存容量)、C電池(最大35kJのエネルギー保存容量)、ニッカド電池(これらのエネルギーの3分の1以下)、又はニッケル水素電池(これらのエネルギーの半分以下)を充電するのに十分な量を超える。複数の燃料又はより大きな口径のカートリッジを使用して、アルカリの単一電池(最大75kJのエネルギー保存容量)を充電することができる。
【0035】
一以上の実施例では、エネルギー116は、携帯電話、ラジオ、テレビ、コンピュータ、全地球測位システム、空調システム、又は電気自動車用モータ(電気自動車)から選択された少なくとも1つの機器又は装置158に電力を供給することができる。
【0036】
図5は、
図2に示された回生ブレーキシステム200を備えた輸送体500(タンク)を示す。該輸送体は、さらに電磁兵器502を備え、回生ブレーキシステム200は、電磁兵器502のためのエネルギーシステムを迅速に充電するために使用される。タンクが図示されているが、他の実施例では、回生ブレーキシステム200は、艦砲又は航空機関砲をそれぞれ迅速に充電するために、艦砲又は航空機関砲の近くの航空機又は船舶(例えばボート)に取り付けられる。発砲されたM1エイブラムスタンク砲弾は、複数の電池又はハイブリッドカー電池(最大5.4MJの保存容量)を充電するのに十分な、最大30MJのエネルギーを有する。他の例示的な輸送体は、車、トラック、ジープ、又はバスを含むが、それらに限定されるものではない。
【0037】
【0038】
[処理ステップ]
[製造方法]
図6は、回生ブレーキシステムを作製する方法を示す(
図1及び
図2も参照のこと)。
【0039】
ブロック600は、ボア104を備えたバレル102の取得又は製造を表す。一以上の実施例では、バレル及びボアは、火器を製造するのに通常使用される材料(例えば金属)を使用して製造される。例示的なバレル及びボアは、円筒断面又は非円筒断面を有するボア及びバレルを含むが、それらに限定されるものではない。
【0040】
ブロック602は、ボア104の長さ110に沿って、複数の導電性構成要素108を配置又は分配することを表す。例示的な導電性構成要素は、コイル144(ワイヤを含む)、巻線(ワイヤを含む)、又は磁石に連結されたピックアップコイル(ワイヤを含む)を含むが、それらに限定されるものではない。一実施例では、導電性構成要素は、ボアの長さに沿って線形に配置されたコイルの1つの線形のセットを含む。導電性構成要素向けの例示的な材料は、伝導性コイル及び巻線(例えば金属(銀、銅、タングステン等)を含むワイヤ)を製造するために通常使用される材料を含む。磁石向けの例示的な材料は、希土類物質(例えばネオジム)を含むが、それらに限定されるものではない。
【0041】
ブロック604は、発射体がボアの長さに沿って移動しているとき、導電性構成要素に磁気的に連結され得る伝導性材料又は磁性材料から選択される少なくとも1つの材料114を含む発射体112を取得又は製造することを表す。例示的な磁性材料は、例えば希土類物質(例えばネオジム)を含む永久磁石を含む。伝導性材料向けの例示的な材料は、伝導性コイル、巻線、ループ、又はワイヤ(例えば、銀、銅、タングステン等の金属)を製造するために通常使用される材料を含むが、それらに限定されるものではない。
【0042】
ブロック606は、導電性構成要素を含む回路を接続することを表す。回路106は、ボアの長さに沿って移動している発射体が、導電性構成要素と材料との間の磁性相互作用120を引き起こすとき、導電性構成要素に誘起された電流118から発生したエネルギー116を保存するように構成されている。一以上の実施例では、回路106は、エネルギー116を保存するのに使用されるコンデンサ154及び/又は電池156を備えている(又はコンデンサ154及び/又は電池156に接続されている)。
【0043】
一以上の実施例では、回路106は、バッファ回路であって、電流118を使用して、発射体112がボア104に沿って移動する時間の尺度に応じた第1の時定数でコンデンサ154を充電し、第1の時定数よりも長く、電池の製造業者の仕様に準拠した充電時間に応じた第2の時定数でコンデンサ154を放電して、電池156を給電する、バッファ回路を含む。
【0044】
ブロック608は、
図1又は
図2に示されているように、回生ブレーキシステムの最終結果を表す。
【0045】
ブロック610は、発射体をボアに沿って推進するために、回生ブレーキシステムを、火器、リアクタ、又は他のシステムに取り付けることを表す。火器の例は、ガン、ピストル、攻撃用武器、又はマシンガンを含むが、それらに限定されるものではない。リアクタの例は、燃焼機関において使用されるような燃焼室を含むが、それに限定されるものではない。
【0046】
【0047】
ブロック700は、発射体を火器から推進するように、火器を発砲することを表す。
【0048】
ブロック702は、発射体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することを表す。
【0049】
ブロック704は、電気エネルギーを使用して電池を充電することを表す。
【0050】
この方法は、フィールドで、兵器又は他の装置を充電する問題を解決する。特に、本方法は、直接的なエネルギー変換を用いて、高密度化学エネルギーを、使用可能な電気エネルギーに迅速に変換することができ、最新式の電池と比較して、エネルギー保存の重量を低減させる。
【0051】
現在の解決策は、概して、複数の充電された交換用電池を運ぶことを伴う。しかし、電池は、化学エネルギー解決策と比較して、比較的エネルギー密度が低く、重い。さらに、電池はゆっくりとエネルギーを失い、頻繁に再充電することが必要となるが、これは、電源及びエネルギー源を再充電することを必要とする。本明細書に記載の方法の実施形態では、フィールドに搬送する必要のある電池は、1つだけである。なぜなら、エネルギーは、発射体を発砲するのに使用される推進剤の化学エネルギーに保存されており、この化学エネルギーは、電池を再充電するのに必要なときだけに、電気エネルギーに変換されるからである。
【0052】
[結論]
これで、本開示の実施例の記載は結論に至る。実施例の上記の記載は、解説及び説明の目的で提示されたものである。上記の記載は、網羅的であること、又は本開示を開示された形態に厳密に限定することを意図していない。上記の教示の観点から、多くの修正例及び変形例が可能である。権利の範囲は、この詳細な明細書によってではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。