(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-11
(45)【発行日】2025-09-22
(54)【発明の名称】栽培管理システム
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20250912BHJP
【FI】
A01G7/00 603
(21)【出願番号】P 2021209285
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】浅井 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】村井 美郷
(72)【発明者】
【氏名】米津 雄一
(72)【発明者】
【氏名】片桐 康之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 啓介
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104841(WO,A1)
【文献】特開2012-039996(JP,A)
【文献】国際公開第2021/140941(WO,A1)
【文献】特開2017-127281(JP,A)
【文献】国際公開第2021/125285(WO,A1)
【文献】特開2021-056572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G7/00-7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培植物に関する情報入力に基づいて、前記栽培植物の状態を示す栽培情報を生成する栽培情報生成部と、
過去の作期において前記栽培植物から収穫される収穫物の収量である過去作期生育量、及び、現在の作期において前記栽培植物から収穫された収穫物の収量である現在作期生育量を格納するデータ格納部と、
前記栽培植物の周囲における未来の環境を予測する環境予測部と、
前記データ格納部から取得した、前記過去作期生育量及び前記現在作期生育量に基づいて、前記栽培植物から現在以降に収穫される収穫物の収量である予測生育量を予測する生育量予測部と、
前記栽培情報と、前記環境予測部による予測結果を示す環境情報と
、生育量情報と、を一つの表示画面内に表示する表示装置と、
前記栽培植物を撮像する撮像部とを備え、
前記栽培情報は、前記栽培植物の生育状態を示す生育グラフと、前記栽培植物の生育状態を示す生育メッセージと、生育状態を数値で示す生育数値情報と、前記栽培植物の撮影画像と、
を含んでおり、前記生育量情報は、
前記過去作期生育量と前記現在作期生育量と前記予測生育量と、を含んでいる栽培管理システム。
【請求項2】
前記環境情報は、前記栽培植物の周囲における環境の過去環境、現在環境、未来環境を示すグラフを含んでいる請求項
1に記載の栽培管理システム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記表示画面において、前記栽培情報及び前記環境情報及び前記生育量情報と共に、現在の作期における経過日数及び残り日数の少なくとも何れか一方を示す日数情報を表示する請求項1
または2に記載の栽培管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培植物を管理する栽培管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような栽培管理システムとして、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この栽培管理システムでは、定点カメラによって栽培植物が撮像される。また、定点カメラによって得られた撮像画像に基づいて、被覆率が算出される。そして、被覆率に基づいて、灌水が自動的に実行される。
【0003】
尚、被覆率とは、撮像画像において葉が写っている領域である計測領域のうち、葉の占める領域の割合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の栽培管理システムにおいて、算出された被覆率を表示する表示装置を備えることが考えられる。しかしながら、過去または現在の被覆率だけでは、ユーザによる栽培管理上の意思決定のための情報としては不十分である。
【0006】
本発明の目的は、ユーザが未来の予測を含む多角的な情報に基づいて栽培管理上の意思決定を行いやすい栽培管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、栽培植物に関する情報入力に基づいて、前記栽培植物の状態を示す栽培情報を生成する栽培情報生成部と、過去の作期において前記栽培植物から収穫される収穫物の収量である過去作期生育量、及び、現在の作期において前記栽培植物から収穫された収穫物の収量である現在作期生育量を格納するデータ格納部と、前記栽培植物の周囲における未来の環境を予測する環境予測部と、前記データ格納部から取得した、前記過去作期生育量及び前記現在作期生育量に基づいて、前記栽培植物から現在以降に収穫される収穫物の収量である予測生育量を予測する生育量予測部と、前記栽培情報と、前記環境予測部による予測結果を示す環境情報と、生育量情報と、を一つの表示画面内に表示する表示装置と、前記栽培植物を撮像する撮像部とを備え、
前記栽培情報は、前記栽培植物の生育状態を示す生育グラフと、前記栽培植物の生育状態を示す生育メッセージと、生育状態を数値で示す生育数値情報と、前記栽培植物の撮影画像と、を含んでおり、前記生育量情報は、前記過去作期生育量と前記現在作期生育量と前記予測生育量と、を含んでいることにある。
【0008】
本構成によれば、ユーザは、表示装置の表示画面を見ることにより、栽培植物の状態と、栽培植物の周囲における未来の環境の予測結果と、栽培植物の生育量(例えば栽培植物から収穫される収穫物の量)の予測結果と、を一度に確認することができる。これにより、ユーザは、表示装置の表示画面を見れば、未来の予測を含む多角的な情報を把握することができる。
【0009】
従って、本構成であれば、ユーザが未来の予測を含む多角的な情報に基づいて栽培管理上の意思決定を行いやすい栽培管理システムを実現できる。
【0010】
さらに、本発明において、前記栽培植物を撮像する撮像部を備え、前記情報入力は、前記撮像部による撮像であり、前記栽培情報は、前記栽培植物の撮像画像を含んでいると好適である。
【0011】
本構成によれば、栽培情報に含まれる撮像画像により、栽培植物の外見上の状態が示されることとなる。従って、本構成によれば、ユーザが栽培植物の外見上の状態を容易に把握可能な栽培管理システムを実現できる。
【0012】
さらに、本発明において、前記栽培情報は、前記栽培植物の生育状態を示すグラフを含んでいると好適である。
【0013】
本構成によれば、表示画面に表示されるグラフにより、栽培植物の生育状態が示されることとなる。従って、本構成によれば、ユーザが栽培植物の生育状態を容易に把握可能な栽培管理システムを実現できる。
【0014】
さらに、本発明において、前記栽培情報は、前記栽培植物の生育状態を示すメッセージを含んでいると好適である。
【0015】
本構成によれば、表示画面に表示されるメッセージにより、栽培植物の生育状態が示されることとなる。従って、本構成によれば、ユーザが栽培植物の生育状態を容易に把握可能な栽培管理システムを実現できる。
【0016】
さらに、本発明において、前記環境情報は、前記栽培植物の周囲における環境の推移を示すグラフを含んでいると好適である。
【0017】
本構成によれば、表示画面に表示されるグラフにより、栽培植物の周囲における環境の推移が示されることとなる。従って、本構成によれば、ユーザが栽培植物の周囲における環境の推移を容易に把握可能な栽培管理システムを実現できる。
【0018】
さらに、本発明において、前記生育量情報は、前記栽培植物の過去の生育量を示す情報である実績生育量情報を含んでいると好適である。
【0019】
本構成によれば、表示画面に表示される実績生育量情報により、栽培植物の過去の生育量(例えば過去に栽培植物から収穫された収穫物の量)が示されることとなる。従って、本構成によれば、栽培植物の過去の生育量をユーザが容易に把握可能な栽培管理システムを実現できる。
【0020】
さらに、本発明において、前記実績生育量情報は、過去の作期における生育量を示す情報と、現在の作期における生育量を示す情報と、を含んでいると好適である。
【0021】
本構成によれば、表示画面に表示される生育量情報により、過去の作期における生育量と、現在の作期における生育量と、生育量の予測結果と、が示されることとなる。これにより、ユーザは、過去、現在、未来の生育量を互いに比較しながら、栽培管理上の意思決定を行うことができる。
【0022】
さらに、本発明において、前記表示装置は、前記表示画面において、前記栽培情報及び前記環境情報及び前記生育量情報と共に、現在の作期における経過日数及び残り日数の少なくとも何れか一方を示す日数情報を表示すると好適である。
【0023】
本構成によれば、ユーザは、表示画面を見れば、栽培情報及び環境情報及び生育量情報と共に、現在の作期における経過日数及び残り日数の少なくとも何れか一方を容易に把握することができる。これにより、ユーザは、現在の作期における経過日数及び残り日数の少なくとも何れか一方を確認しながら、栽培管理上の意思決定を行うことができる。その結果、適切な意思決定を行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】栽培管理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、
図1及び
図2に示す矢印Nの方向を「北」、矢印Sの方向を「南」として、
図1に示す矢印Eの方向を「東」、矢印Wの方向を「西」とする。
【0026】
〔園芸施設の構成〕
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態における栽培管理システムSYは、園芸施設1を備えている。園芸施設1には、栽培植物Qを植えるための複数の畝Aが縦横に並ぶ状態で設けられている。それぞれの畝Aの間は栽培植物Qの管理者(ユーザ)が通行可能な通路となっている。園芸施設1は、例えばビニールハウスであったり、太陽光利用型の植物工場であったりする。
【0027】
それぞれの畝Aは、南北方向に延びている。また、それぞれの畝Aは、例えば無孔性親水性フィルム、又は、水及び養分のみを通すナノサイズの穴が開いているフィルム等で構成される。そして、それぞれの畝Aに、栽培植物Qとして、例えばトマトが植えられる。
【0028】
図1および
図2に示すように、園芸施設1の内部に、第1カメラCa1(本発明に係る「撮像部」に相当)、第2カメラCa2(本発明に係る「撮像部」に相当)、第3カメラCa3(本発明に係る「撮像部」に相当)、第4カメラCa4(本発明に係る「撮像部」に相当)が設けられている。これらのカメラは、何れも、栽培植物Qに向けられた定点カメラである。また、これらのカメラは、例えばCCD素子やCMOS素子を有し、肉眼で視覚可能な可視光を撮像可能なように構成される。そして、これらのカメラは、栽培植物Qを撮像する。
【0029】
即ち、栽培管理システムSYは、栽培植物Qを撮像する第1カメラCa1、第2カメラCa2、第3カメラCa3、第4カメラCa4を備えている。
【0030】
ただし、本発明はこれに限定されず、栽培管理システムSYに備わるカメラの個数は、三つ以下であっても良いし、五つ以上であっても良い。
【0031】
尚、第1カメラCa1及び第2カメラCa2は、栽培植物Qの上下方向中央部を撮像するように配置されている。また、第3カメラCa3は、栽培植物Qの上部を撮像するように配置されている。第4カメラCa4は、栽培植物Qの成長点付近を撮像するように配置されている。
【0032】
図示はされていないが、他にも、園芸施設1に、環境センサ、側窓、遮光カーテン、ヒートポンプ式の空調設備等が備えられている。
【0033】
〔栽培情報に関する構成〕
図3に示すように、本実施形態における栽培管理システムSYは、処理装置10を備えている。処理装置10は、栽培情報生成部11を有している。
【0034】
第1カメラCa1、第2カメラCa2、第3カメラCa3、第4カメラCa4により取得された各撮像画像34(
図4参照)は、栽培情報生成部11へ送られる。栽培情報生成部11は、各撮像画像34に基づいて、栽培情報30(
図4参照)を生成する。栽培情報30は、栽培植物Qの状態を示す情報である。
【0035】
即ち、栽培管理システムSYは、栽培植物Qに関する情報入力に基づいて、栽培植物Qの状態を示す栽培情報30を生成する栽培情報生成部11を備えている。本実施形態において、当該情報入力は、第1カメラCa1、第2カメラCa2、第3カメラCa3、第4カメラCa4による撮像である。
【0036】
図3に示すように、栽培管理システムSYは、表示装置23を備えている。表示装置23は、例えば、コンピュータのディスプレイであっても良いし、タッチパネルを備えた携帯端末であっても良い。
【0037】
栽培情報生成部11により生成された栽培情報30は、表示装置23へ送られる。そして、
図4に示すように、表示装置23は、受け取った栽培情報30を表示する。
【0038】
詳述すると、
図4に示すように、表示装置23は、管理画面24(本発明に係る「表示画面」に相当)を表示可能である。管理画面24は、第1表示領域30Aを有している。
栽培情報30は、第1表示領域30Aに表示される。
【0039】
図4に示すように、栽培情報30は、生育グラフ31、生育メッセージ32、生育数値情報33、撮像画像34を含んでいる。
【0040】
即ち、栽培情報30は、栽培植物Qの撮像画像34を含んでいる。
【0041】
栽培情報生成部11は、第1カメラCa1、第2カメラCa2、第3カメラCa3、第4カメラCa4による撮像画像34に基づいて、栽培植物Qの着果数、LAI(Leaf Area Index)、茎径、開花位置の高さを経時的に算出(または推定)する。
【0042】
図4に示すように、本実施形態において、着果数、LAI、茎径、開花位置の高さは、生育数値情報33に含まれている。生育数値情報33は、栽培情報30の一部として、表示装置23へ送られる。
図4に示すように、表示装置23は、生育数値情報33を、栽培情報30の一部として表示する。
【0043】
尚、
図4に示すように、生育数値情報33は、現在の生育数値情報33である現在数値情報33aと、前年の生育数値情報33である前年数値情報33bと、を含んでいる。
【0044】
また、栽培情報生成部11は、栽培植物Qの茎径及び開花位置の高さをグラフ上にプロットすることにより、生育グラフ31を生成する。生育グラフ31は、栽培植物Qの生育状態を示すグラフである。
【0045】
即ち、栽培情報30は、栽培植物Qの生育状態を示すグラフを含んでいる。
【0046】
図4に示す生育グラフ31において、黒色のプロットは、過去の茎径及び開花位置の高さを示している。また、白色のプロットは、現在(最新)の茎径及び開花位置の高さを示している。
【0047】
生育グラフ31には、適正領域31aが含まれている。適正領域31aは、茎径及び開花位置の高さの適正な範囲を示している。
【0048】
また、栽培情報生成部11は、栽培植物Qの茎径及び開花位置の高さに基づいて、生育メッセージ32を生成する。生育メッセージ32は、栽培植物Qの生育状態を示すメッセージである。
【0049】
即ち、栽培情報30は、栽培植物Qの生育状態を示すメッセージを含んでいる。
【0050】
生育メッセージ32は、例えば、栽培植物Qの生育バランスが適正であるか否かを示すメッセージであっても良い。
【0051】
図4に示すように、生育グラフ31と生育メッセージ32とは、互いに左右に隣り合う状態で表示される。撮像画像34は、生育グラフ31及び生育メッセージ32の下方に表示される。生育数値情報33は、撮像画像34の下方に表示される。
【0052】
〔環境情報に関する構成〕
図3に示すように、処理装置10は、環境予測部12を有している。また、栽培管理システムSYは、データ格納部21を備えている。
【0053】
データ格納部21には、園芸施設1の属する地域の気象情報(例えば気温や湿度等)が格納されている。環境予測部12は、データ格納部21から当該気象情報を取得する。そして、環境予測部12は、データ格納部21から取得した気象情報に基づいて、栽培植物Qの周囲における未来の環境を予測する。尚、この予測には、公知の環境予測の手法が用いられても良い。
【0054】
そして、環境予測部12は、栽培植物Qの周囲における未来の環境の予測結果を示す環境情報40(
図4参照)を生成する。
【0055】
即ち、栽培管理システムSYは、栽培植物Qの周囲における未来の環境を予測する環境予測部12を備えている。
【0056】
環境予測部12により生成された環境情報40は、表示装置23へ送られる。そして、
図4に示すように、表示装置23は、受け取った環境情報40を表示する。
【0057】
詳述すると、
図4に示すように、管理画面24は、第2表示領域40Aを有している。
環境情報40は、第2表示領域40Aに表示される。第2表示領域40Aは、第1表示領域30Aの右方に位置している。
【0058】
図4に示すように、環境情報40は、気温グラフ41及び飽差グラフ42を含んでいる。気温グラフ41は、園芸施設1内の現在以降の気温の推移を示すグラフである。尚、気温グラフ41は、現在以降だけでなく、現在以前(過去)の気温の推移も示すグラフであっても良い。
【0059】
また、飽差グラフ42は、園芸施設1内の現在以降の飽差の推移を示すグラフである。尚、飽差グラフ42は、現在以降だけでなく、現在以前(過去)の飽差の推移も示すグラフであっても良い。
【0060】
園芸施設1内の現在以降の気温の推移は、本発明に係る「栽培植物の周囲における未来の環境」及び「栽培植物の周囲における環境の推移」に相当する。また、園芸施設1内の現在以降の飽差の推移は、本発明に係る「栽培植物の周囲における未来の環境」及び「栽培植物の周囲における環境の推移」に相当する。
【0061】
気温グラフ41及び飽差グラフ42は、何れも、栽培植物Qの周囲における環境の推移を示すグラフである。即ち、環境情報40は、栽培植物Qの周囲における環境の推移を示すグラフを含んでいる。
【0062】
〔収量情報に関する構成〕
図3に示すように、処理装置10は、収量予測部13(本発明に係る「生育量予測部」に相当)を有している。また、栽培管理システムSYは、入力装置22を備えている。入力装置22は、例えばマウスやキーボード等により構成されていても良い。尚、以下の説明における「収量」及び「収穫物の量」は、本発明に係る「生育量」の具体例である。
【0063】
ユーザは、入力装置22を操作することにより、過去の作期において栽培植物Qから収穫された収穫物の量(本発明に係る「過去の作期における生育量」に相当)、及び、現在の作期において栽培植物Qから収穫された収穫物の量(本発明に係る「現在の作期における生育量」に相当)を栽培管理システムSYに入力することができる。入力された情報は、データ格納部21に格納される。
【0064】
尚、「作期」とは、栽培植物Qの栽培を開始してから終了するまでの期間である。例えば園芸施設1内でトマト(栽培植物Qの具体例)を栽培する場合、定植してから栽培終了するまでの期間が、「作期」である。
【0065】
また、本実施形態における「収穫物」は、具体的にはトマトの果実である。
【0066】
収量予測部13は、データ格納部21から、過去の作期において栽培植物Qから収穫された収穫物の量を示す情報、及び、現在の作期において栽培植物Qから収穫された収穫物の量を示す情報を取得する。そして、収量予測部13は、これらの情報に基づいて、栽培植物Qから現在以降に収穫される収穫物の量(本発明に係る「栽培植物の生育量」に相当)を予測する。尚、この予測には、公知の収量予測の手法が用いられても良い。
【0067】
そして、収量予測部13は、栽培植物Qから現在以降に収穫される収穫物の量の予測結果を示す収量情報50(本発明に係る「生育量情報」に相当)(
図4参照)を生成する。
【0068】
即ち、栽培管理システムSYは、栽培植物Qから収穫される収穫物の量(本発明に係る「栽培植物の生育量」に相当)を予測する収量予測部13を備えている。
【0069】
収量予測部13により生成された収量情報50は、表示装置23へ送られる。そして、
図4に示すように、表示装置23は、受け取った収量情報50を表示する。
【0070】
詳述すると、
図4に示すように、管理画面24は、第3表示領域50Aを有している。収量情報50は、第3表示領域50Aに表示される。第3表示領域50Aは、第1表示領域30Aの右方に位置している。また、第3表示領域50Aは、第2表示領域40Aの下方に位置している。
【0071】
図4に示すように、収量情報50は、収量グラフ51を含んでいる。収量グラフ51は、過去の作期及び現在の作期における月毎の収穫量を示すグラフである。
【0072】
収量グラフ51は、過去に栽培植物Qから収穫された収穫物の量(本発明に係る「栽培植物の過去の生育量」に相当)を示す情報である実績収量情報56(本発明に係る「実績生育量情報」に相当)を含んでいる。本実施形態における実績収量情報56は、白色の棒グラフ52、及び、黒色の棒グラフ54を含んでいる。
【0073】
白色の棒グラフ52は、過去の作期において収穫された収穫物の量を示している。より具体的には、白色の棒グラフ52は、前年の作期における月毎の収穫量の実績値を示すグラフである。
【0074】
黒色の棒グラフ54は、現在の作期において収穫された収穫物の量を示している。より具体的には、黒色の棒グラフ54は、現在の作期における月毎の収穫量の実績値を示すグラフである。
【0075】
尚、この例においては、現在の作期で収穫が完了している期間は、9月から12月までの4か月間である。そのため、黒色の棒グラフ54は、当該4か月間の分のみ表示されている。
【0076】
このように、収量情報50は、過去に栽培植物Qから収穫された収穫物の量を示す情報である実績収量情報56を含んでいる。また、実績収量情報56は、過去の作期において収穫された収穫物の量を示す情報と、現在の作期において収穫された収穫物の量を示す情報と、を含んでいる。
【0077】
また、収量グラフ51は、ハッチングの付された棒グラフ53を含んでいる。ハッチングの付された棒グラフ53は、収量予測部13により予測された、現在の作期における月毎の収穫量の予測値を示すグラフである。
【0078】
白色の棒グラフ52及び黒色の棒グラフ54は、ユーザが入力装置22を操作することにより入力した情報に基づいて生成される。ハッチングの付された棒グラフ53は、収量予測部13による予測によって生成される。
【0079】
また、
図4に示すように、第3表示領域50Aに表示される収量情報50は、収量グラフ51の他に、現在の作期において収穫された収穫物の総量を示す値、及び、当該総量の前年比や平年比を示す値が含まれていても良い。
【0080】
図4に示すように、管理画面24には、栽培情報30、環境情報40、収量情報50が同時に表示されている。即ち、栽培管理システムSYは、栽培情報30と、環境予測部12による予測結果を示す環境情報40と、収量予測部13による予測結果を示す収量情報50と、を一つの管理画面24内に表示する表示装置23を備えている。
【0081】
尚、処理装置10、及び、処理装置10に含まれる栽培情報生成部11等の各要素は、コンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。
【0082】
〔日数情報に関する構成〕
図3に示すように、処理装置10は、日数情報生成部14を有している。ユーザは、入力装置22を操作することにより、現在の作期の開始日、及び、現在の作期の終了予定日を栽培管理システムSYに入力することができる。入力された情報は、日数情報生成部14へ送られる。
【0083】
日数情報生成部14は、入力装置22から受け取った情報に基づいて、日数情報60(
図4参照)を生成する。
【0084】
日数情報生成部14により生成された日数情報60は、表示装置23へ送られる。そして、
図4に示すように、表示装置23は、受け取った日数情報60を表示する。
【0085】
詳述すると、
図4に示すように、管理画面24は、第4表示領域60Aを有している。
日数情報60は、第4表示領域60Aに表示される。第4表示領域60Aは、第1表示領域30A及び第2表示領域40Aの上方に位置している。
【0086】
図4に示すように、日数情報60は、経過日数情報61、及び、日数インジケータ62を含んでいる。経過日数情報61は、現在の作期における経過日数を数値で示す情報である。日数インジケータ62は、水平のバー状のインジケータである。
【0087】
日数インジケータ62のうち太い部分(強調表示されている部分)の長さは、現在の作期における経過日数に対応する。日数インジケータ62のうち細い部分(強調表示されていない部分)の長さは、現在の作期における残り日数に対応する。即ち、日数インジケータ62は、太い部分の長さ及び細い部分の長さにより、現在の作期における経過日数及び残り日数を示している。
【0088】
以上で説明した構成により、日数情報60は、現在の作期における経過日数及び残り日数を示している。尚、本発明はこれに限定されず、日数情報60は、現在の作期における経過日数及び残り日数のうち、何れか一方のみを示すものであっても良い。
【0089】
図4に示すように、管理画面24には、栽培情報30、環境情報40、収量情報50、日数情報60が同時に表示されている。即ち、表示装置23は、管理画面24において、栽培情報30及び環境情報40及び収量情報50と共に、現在の作期における経過日数及び残り日数の少なくとも何れか一方を示す日数情報60を表示する。
【0090】
尚、
図4に示すように、経過日数情報61の下方に、収穫果房段、及び、現在の作期において収穫された収穫物の総量を示す値が表示されていても良い。
【0091】
以上で説明した構成によれば、ユーザは、表示装置23の管理画面24を見ることにより、栽培植物Qの状態と、栽培植物Qの周囲における未来の環境の予測結果と、栽培植物Qから収穫される収穫物の量の予測結果と、を一度に確認することができる。これにより、ユーザは、表示装置23の管理画面24を見れば、未来の予測を含む多角的な情報を把握することができる。
【0092】
従って、以上で説明した構成であれば、ユーザが未来の予測を含む多角的な情報に基づいて栽培管理上の意思決定を行いやすい栽培管理システムSYを実現できる。
【0093】
〔その他の実施形態〕
(1)栽培植物Qは、園芸施設1内で栽培されていなくても良い。例えば、栽培植物Qは、屋外の圃場に植え付けられていても良い。
【0094】
(2)栽培情報30は、栽培植物Qの状態を示すものであれば、いかなる形式の情報であっても良い。即ち、栽培情報30は、栽培植物Qの状態を示す限りにおいて、生育グラフ31、生育メッセージ32、生育数値情報33、撮像画像34のうち、一部を含んでいなくても良いし、何れも含んでいなくても良い。
【0095】
(3)環境情報40は、環境予測部12による予測結果を示すものであれば、いかなる形式の情報であっても良い。即ち、環境情報40は、環境予測部12による予測結果を示す限りにおいて、気温グラフ41及び飽差グラフ42のうち、一部を含んでいなくても良いし、何れも含んでいなくても良い。
【0096】
(4)収量情報50は、収量予測部13による予測結果を示すものであれば、いかなる形式の情報であっても良い。即ち、収量情報50は、収量予測部13による予測結果を示す限りにおいて、白色の棒グラフ52、ハッチングの付された棒グラフ53、黒色の棒グラフ54のうち、一部を含んでいなくても良いし、何れも含んでいなくても良いし、また、収量グラフ51を含んでいなくても良い。
【0097】
(5)管理画面24に、日数情報60が表示されていなくても良い。
【0098】
(6)環境情報40は、栽培植物Qの周囲における過去の環境の状態を示す情報(例えば過去の気温や飽差)を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。また、環境情報40は、園芸施設1外の未来の環境の予測結果を示すものであっても良い。
【0099】
(7)収量情報50は、実績収量情報56を含んでいなくても良い。
【0100】
(8)環境情報40は、園芸施設1内の現在以降の日射量、湿度、二酸化炭素濃度の推移を示すものであっても良い。園芸施設1内の現在以降の日射量、湿度、二酸化炭素濃度の推移は、何れも、本発明に係る「栽培植物の周囲における未来の環境」及び「栽培植物の周囲における環境の推移」に相当する。
【0101】
(9)栽培植物Qに関する情報入力は、第1カメラCa1、第2カメラCa2、第3カメラCa3、第4カメラCa4による撮像でなくても良い。例えば、栽培植物Qに関する情報入力は、ユーザによる入力装置22を用いた情報入力であっても良い。
【0102】
(10)上記実施形態では、本発明に係る「生育量」の具体例として、「収量」及び「収穫物の量」が取り扱われている。本発明はこれに限定されず、本発明に係る「生育量」の具体例として、栽培植物Qの葉の大きさや茎の太さ等が取り扱われても良い。
【0103】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、栽培植物を管理する栽培管理システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0105】
11 栽培情報生成部
12 環境予測部
13 収量予測部(生育量予測部)
23 表示装置
24 管理画面(表示画面)
30 栽培情報
34 撮像画像
40 環境情報
50 収量情報(生育量情報)
56 実績収量情報(実績生育量情報)
60 日数情報
Ca1 第1カメラ(撮像部)
Ca2 第2カメラ(撮像部)
Ca3 第3カメラ(撮像部)
Ca4 第4カメラ(撮像部)
Q 栽培植物
SY 栽培管理システム