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▶ 片山 完枝の特許一覧

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  • 特許-巻糸係止具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-11
(45)【発行日】2025-09-22
(54)【発明の名称】巻糸係止具
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/06 20060101AFI20250912BHJP
   B65H 75/38 20060101ALI20250912BHJP
   A01K 89/01 20060101ALI20250912BHJP
【FI】
A01K97/06 501
B65H75/38 N
A01K89/01 H
A01K89/01 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024039479
(22)【出願日】2024-02-27
(65)【公開番号】P2025130647
(43)【公開日】2025-09-08
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】315009585
【氏名又は名称】片山 完枝
(72)【発明者】
【氏名】片山 完枝
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-204312(JP,A)
【文献】特開平11-206298(JP,A)
【文献】特開2008-086221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00-89/08
97/06
B65H 75/34-75/50
D04C 1/00-7/00
D04G 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
前記ベルト体がナイロンやポリエステル素材などの滑りやすい素材よりなることを特徴とする請求項1の巻糸係止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手芸の糸巻や釣りのスプール等に関して、糸巻きに巻かれた糸類が反発力により巻き戻るのを防ぎ、糸類の出し入れを容易にするとともに糸が解けて周りの物に絡みつくのを防ぐ糸類の巻糸係止具である。
【背景技術】
【0002】
従来、手芸糸類であれば糸巻の外周壁部に糸止め用切り込みが設けられており、糸類の端を挟み込んで固定していた。この際、糸巻の糸止め用切り込み位置が決まっており、切った糸の長さによって糸止め用切り込みからはみ出す糸の長さが異なるものであった。そのため、糸止め用切り込みからはみ出す糸が短すぎて外れ易かったり、はみ出す糸が長くて周りのものに絡みやすいという問題があった。
また、糸類の反発力が強いため切れ込みから外れやすく、糸が切れ込みから外れてバラバラに巻きが解けて絡まってしまうことも多々あった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-086221
【0004】
【文献】特開2001-204312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2008-086221のベルトは釣り用スプールの糸巻きのテグスを解けてこないように保持しておくためのベルトで、糸巻き面を幅広く覆って巻き糸ほどけを防止するために考案されている。そのため糸巻きにベルトを強く結束させるのを目的にしているので、サイズ調節のために帯状のクロロプレーンゴムやウレタンなどの合成樹脂等柔軟性と伸縮性を有する素材を使用して締め付けているので、テグス使用時にはベルトを外して使用しなければならない。
【0006】
2001-204312では糸類の糸端を巻き付けたベルトの内側の端に孔を付けて通し、糸端を見つけやすく保存しているが、その糸端を確保するためには、いちいちベルトを外さなければならない。
【0007】
手芸用糸類(例えばテグスやワイヤー)の場合は、カバーの切れ込みに挟んだ部分の折れや傷を避ける必要があった。その際、巻き戻りを防ぐために、糸類の先端をマスキングテープで糸巻きの外側壁面に貼り付けたり、糸巻きの大きさがピッタリ入るサイズのビニール袋に入れて巻きが解けるのを防いでいるが、糸類を使用するたびにテープで留めたり、糸巻きのサイズとピッタリの出し入れし難いビニール袋に入れて、糸巻きから糸が解けるのを防止しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ワイヤーやテグス等を巻きつけた糸巻の略円柱状部に巻きつけられるベルト体と、該ベルト体を前記糸巻に巻きつけた際に前記ベルト体の表裏接面する部位に相互で着脱可能に設けられた着脱機構と、前記ベルト体の外側端部に設けられ表裏が非接合となる持ち手部と、前記ベルト体中間位置に設けられた糸通し孔とによりなる。
【0009】
前記糸通し孔の少なくとも一方の開口部に摩耗防止のための摩耗保護部を設けたことを特徴とする。
【0010】
前記ベルト体から出した糸の場所の可視認識手段として、ベルト体と違う色のパーツをつけたり、糸通し孔周辺を着色して糸通し孔を明示することを特徴とする。
【0011】
前記ベルト体がナイロンやポリエステル素材などの滑りの良い素材よりなるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は巻きつけベルト状となっており、糸巻やスプールの大きさに合わせて面ファスナーや留め具などでベルトを調整して留めることができる。留め具としては、面ファスナー以外に弱粘着成分を施した粘着部と剥離シートの組み合わせやその他一般に用いられる手法があげられる。これにより、糸巻きやスプールのサイズに合わせて巻き付けることが出来る。
ベルト体を巻き付けた際に外側端部が持ち手部となり、ベルト部の締め付けや着脱の操作作業を容易にすることができる。
糸巻き収納時には糸通し孔から2cm程度の長さの糸を露出させ、ベルト体を糸巻きにシッカリ巻きとめると、糸止め用切り込みに挟んで糸先を傷つけることなく、糸巻きからの糸ほどけを防止することができる。
また、糸通し孔から糸類が露出されているため、使用時には露出した糸を容易につまみ操作作業することができる。
【0013】
前記糸通し孔の開口部に糸との摩耗防止のための摩耗保護部を設けることで、ベルト本体の開口部付近の劣化を防ぎ長期間の利用ができる。
【0014】
前記ベルト体の糸通し孔は糸類を通すための小さな穴なので開口部やそこから出たテグスのような透明な糸が見つけ難い。そこで開口部を明示するためにパーツや開口部周囲にベルトと対比可視色をつける。可視認識手段を設けることにより使用時に容易に糸通し孔や糸類を見つけられるため作業効率が向上する。
【0015】
ベルト体がナイロンやポリエステル素材などの滑りの良い素材よりなるものであることにより、使用するときは糸類を少し力を加え引くことでベルト体が回転しながら糸類が引き出され、非常に使いやすさが向上する。使用後は、容易に糸類をまき戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態の六面図である。
図2】本発明の第一実施形態のA-A断面図である。
図3】本発明の第一実施形態の使用状態を示す部分断面図である。
図4】本発明の第一実施形態の使用斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態のベルト体の使用断面図である。
図6】本発明の第一実施形態の糸をほどいたり、巻き取る際の使用断面図である。
図7】本発明の第二実施形態の使用説明図である。
図8】本発明のその他実施形態の部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、手芸の糸巻や釣りのスプールに共通した作用概念のものである。本説明としては、手芸糸巻でこれらの代用も含めて説明するものとする。
本発明の第一実施の形態について図1乃至図6で説明する。
図1は本発明の第一実施形態の六面図であり、図1(A)は本発明の第一実施形態の平面図、図1(B)は本発明の第一実施形態の正面図、図1(C)は本発明の第一実施形態の底面図、図1(D)本発明の第一実施形態の背面図、図1(E)は本発明の第一実施形態の左側面図、図1(F)は本発明の第一実施形態の右側面図、図2は本発明の第一実施形態のA-A断面図、図3は本発明の第一実施形態の使用状態を示す部分断面図、図4は第一実施形態の使用斜視図、図5は本発明の第一実施形態のベルト体の使用断面図、図6は本発明の第一実施形態の糸をほどいたり巻き取る際の使用断面図である。
【0018】
本発明の構造について図1乃至図3をもちいて説明する。
巻糸係止具1はベルト体2と、前記ベルト体2の表裏面に設けられた着脱機能の面ファスナー5a、面ファスナー5bと、前記ベルト体2の一端部に設けられた持ち手部6と、前記ベルト体中間位置に設けられた貫通した糸通し孔3とにより構成されている。
ベルト体2は可撓性素材よりなり、幅は糸巻7の左右外側壁部8間内に収まるようになっており、ベルト体2の表面には面ファスナー5a、裏面に面ファスナー5bが設けられている。面ファスナー5aと5bは相互の任意接触位置で着脱可能となるものであればよく、面ファスナーとして一般的なノーマルタイプ、フリータイプ、はめ込みタイプなどがあげられる。図1(A)に示すように、面ファスナー5aはベルト体2表面の右端端部からベルト体2反対端部側に指でつまむ距離分を残して設けられている。同様に裏面にベルト体2を挟んで対称となる位置に面ファスナー5bが設けられている。これにより、ベルト体2の左端表裏には面ファスナー5がないベルト体2のみの持ち手部6が構成される。
糸通し孔3はベルト体2、表裏の面ファイスナー5を図2に示すように上下に貫通して設けられている。位置としては図1(A)、図1(C)に示すように短手幅の中央で、持ち手部6側となっている。本実施例においては図3に示すようにベルト体2の糸通し孔3開口部は孔を保護するように摩耗保護具4が設けられている。
また、ベルト体2の糸通し孔3の開口部は、糸が通る程度の小さな開口部や開口部から出ている糸11を見つけやすいように、ベルト表面の色と違う色の摩耗保護具4や着色による視覚的差異で明示することにより、作業効率を上げることができる。
摩耗保護具4としてはスパンコールのような目立つ色を使用してもよい。
本実施例において摩耗保護具4はベルト体2の上面側にのみ設けられているが、糸通し孔3を保護するように上下面側に設けたものであってもよい。
【0019】
次に図4乃至図6をもちいて、本発明の使い方について説明する。
本実施形態においては、円柱状部9の左右にそれぞれ外側壁部8を有する糸巻7をもちいて説明する。使い始めのセットは以下のとおりである。
一般と同じように糸11が糸巻7に巻かれ、図4に示すように糸通し孔3から糸11を通す。次に図5Aに示すようにベルト体2で円柱状部9の糸11を上から巻き込むようにする。この状態で上下面ファスナー5a、5bでベルト体2を固定する。この際、持ち手部6がベルト体2の上側に位置するとともに、糸を巻く方向と同じ方向にベルト体2は巻かれる。この際、少し緩めに留めることにより滑りの良いベルト素材が糸巻きを滑って糸の取り出しや巻き戻しをズムーズにおこなうことができる。
ここで、従来の糸巻8に固定されている糸止め用切り込み10と異なり、回転して位置を移動するベルト体2の糸通し孔3を使うことで糸11の必要な長さを引き出すことが出来る。
次にこの状態から、糸巻きから糸11の取り出しと巻き戻し作業の手順を図6で説明する。
使うときは図6aのように糸巻7の外側壁部8をもち、糸11の先端を上方に引く(20)。これにより糸11が引き上げられて引き出され、糸11の力でベルト体2は右側に回転(21)する。この際、ベルト体2によって軽く巻き留められた糸11は回転しながら図6bに示すように必要な長さだけ引き出すことができる。
必要分糸11が引き出され使ったあとは、図6cのように外側壁部8をもち、持ち手部6を左に引く(21)。これにより、図6cのようにベルト体2が糸巻7に糸11を巻き取るように左回転し(21)、糸11が糸巻7に巻き取られる(20)。つまり、糸11を引き上げるとベルト体2が右回転して糸11が引き出され、持ち手6を持ってベルト体2を左回転させると糸11が糸巻きの円柱状部に巻き取られる。この際、ベルト体2は面ファスナーでベルト体がずり落ちない程度のゆとりで巻き留める。ゆとりを持って巻きとめられたベルト体2の空間が滑りの良いベルト素材を使うことで糸11の引き出しや巻き戻しの回転時の摩擦が低減され動作が動きやすくなる。
【0020】
以下、図7をもちいて本発明の第二実施形態について説明する。
本実施形態において、指で摘まむ持ち手部6が非接着素材でベルト体2の左端上部に設けられている。ベルト体2の上面側には、面ファスナー5が設けられている。また、前記第一実施形態と同じように糸通し孔3と摩耗保護具4が設けられている。
本実施形態においては、ベルト体2下面が前記面ファスナー5に対し着脱する形状構造となっている。そのため、ベルト体2自体が着脱用面ファスナーの役目をなし、前記実施形態に沿った使用方法とすることができる。
【0021】
その他実施形態として、図8のように開口部の保護部材を使わず、糸通し孔3のみでとするものである。使い方としては、保護機能は低下するが、前述各実施形態と差異はない。また、無いことで厚さが厚くなることがないため、動作がスムーズで扱いやすくなるという利点が生じる。
【0022】
上記各実施例は手芸用として説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、同原理、近似原理のものまで対象とするものである。
【符号の説明】
【0023】
1 巻糸係止具
2 ベルト体
3 糸通し孔
4 摩耗保護部
5;5a;5b 面ファスナー
6 持ち手部
7 糸巻
8 外側壁部
9 円柱状部
10 糸止め用切り込み
11 糸
20 糸の流れ
21 ベルト体2の回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8