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  • 特許-ワーク搬送装置 図1
  • 特許-ワーク搬送装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-12
(45)【発行日】2025-09-24
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/20 20060101AFI20250916BHJP
【FI】
B65G21/20 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021123342
(22)【出願日】2021-07-28
(65)【公開番号】P2023018945
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】和田 拓也
【審査官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-060575(JP,A)
【文献】特開2018-145002(JP,A)
【文献】特開2011-157175(JP,A)
【文献】特開2006-143336(JP,A)
【文献】特開2016-052925(JP,A)
【文献】特開平06-072540(JP,A)
【文献】中国実用新案第210794593(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対のプーリを用いて走行可能に張設され、上面をワーク搭載面とする本体コンベアベルトを有する本体コンベア部と、
各々少なくとも一対のプーリを用いて走行可能に張設され、互いのベルト面を対向させて前記本体コンベアベルトのワーク搭載面における幅方向両側に配設された一対の側壁コンベアベルトを有する側壁コンベア部と、を備えるワーク搬送装置であって、
前記本体コンベアベルトは幅方向に延在する横桟が走行方向に等間隔に形成されており、
前記本体コンベア部のワーク搬送時の前記ワーク搭載面の走行方向上流側は、外形状を略逆四角錐とされたホッパーの周壁の一部を構成するように上り勾配で配設され、さらに、前記ワーク搭載面の走行方向上端は、ホッパーの底頂部との間に前記ワーク搭載面の横桟がキャップを掬い上げることができるような間隙を形成して平行に位置させて配設されており、
前記一対の側壁コンベアベルトは、走行方向上流端を前記ホッパーの開口部近傍に位置させて配設され、走行方向下流端を前記本体コンベアベルトの下流端と同位に位置させて配設されていることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記一対の側壁コンベアベルトは、本体コンベアベルトの走行と同期させて同速で走行させるように設定されたことを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記一対の側壁コンベアベルトは、対向するベルト面を前記本体コンベアベルトの前記ワーク搭載面と直交させて配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記本体コンベア部において、本体コンベアベルトを走行させるドライブプーリの駆動源と、前記側壁コンベア部において各側壁コンベアベルトを走行させるドライブプーリの駆動源とを共用することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送するコンベアベルトを備えたワーク搬送装置であって、特には、コンベアベルトを登り勾配で配設した、いわゆるリフター装置などのワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記リフター装置は、特定の産業に限ること無く、汎用されている搬送装置の一種であるが、充填包装業界においては、例えば、ワークとしての容器やその容器の口部を塞ぐキャップを、充填等の作業工程へ向けて供給するためのワーク搬送装置として利用されている。
【0003】
従来の前記リフター装置は、具体的には、搬送対象のワークを貯留するホッパーと、そのホッパー内に貯留されたワークを掻き上げる為の横桟付きコンベアベルトを循環駆動させるコンベア装置と、掻き上げられたワークを後続機械に供給するシュートとを備えている(特許文献1、段落0007の記載参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-072540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなリフター装置を用いてワークを搬送する場合に、コンベアベルトの走行方向に沿って設けられるコンベア装置のコンベア装置の側壁とコンベアベルトの横桟との間にワークが噛み込まれ間にワークが噛み込まれてしまい、コンベアの駆動に支障を来したり、ワークに傷がついたり、潰れたり、折れたりすることがある。結果、そのワークを用いた製品の外観やシール性などの品質を損ねるばかりでなく、破損したワークの破片などが異物となり、後続機械の作業中などに製品に混入することも危惧されることとなる。
【0006】
前記ワークとしての前記キャップの種類は様ざまであるが、例えば、ノズル付きキャップはノズル部分やハンドル部分が噛み込まれやすく、破砕されやすい。また、ヒンジにより蓋部分が開閉するキャップは蓋部分が噛み込まれることにより開いた状態になってしまうということもあった。また、キャップ本体にタンパーエビデントバンド(TEバンド)が分離可能に連結され、開栓時にTEバンドがびん口に残って開栓したことを示すフィンロックキャップは、上述の噛み込みにより、キャップ本体とTEバンドとの連結部が切り離されてしまうことがあった。
【0007】
このワークの噛み込みの問題は、コンベア装置の側壁とコンベアベルトの横桟との間にワークが噛み込む間隙(クリアランス)があるから生じる。この隙間が無ければ、横桟付きのコンベアベルトと側壁は常に摺接することとなり、コンベアベルトの消耗や傷みが激しくなり、生産能力にも影響を及ぼし、さらには、摺接(摩擦)によって生じる粉塵などが異物となってワークに混入する虞が生じる。とはいえ、隙間を大きく設定すれば、ワークはその隙間に嵌まりやすくなり、しかも、コンベア装置の外形寸法を保持すれば、自ずと横桟の幅寸法が短くなるので搬送能力が低下することとなる。ましてや、コンベア装置において、コンベアベルトは若干の蛇行動作をする為、その隙間は一定ではない。装置の組み立て誤差も重なれば、設計時の隙間設定はなかなか難しい。またさらに、搬送するワークの形状や大きさが異なる度毎に、ハード的な隙間の設定変更をするのもなかなかに手間が掛かる作業となる。
【0008】
そして、ワークの噛み込みの問題は、リフター装置に限ることではなく、ベルトコンベアの搬送面を平行に水平に位置させた搬送装置においても生じうる。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、搬送中のワークがコンベア装置の側壁とコンベアベルトの横桟との間に噛み込まれる問題を解消し、ワークの傷、つぶれ、折れなどの発生を抑制するほか、コンベア装置の安定駆動の確保と、ワークの破片や、ワークとコンベア装置またはコンベア装置の部材間の摺接によって生じる粉塵等の製品への混入の防止を簡便な方法で実現可能なワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明のワーク搬送装置は、少なくとも一対のプーリを用いて走行可能に張設され、上面をワーク搭載面とする本体コンベアベルトを有する本体コンベア部と、各々少なくとも一対のプーリを用いて走行可能に張設され、互いのベルト面を対向させて前記本体コンベアベルトのワーク搭載面における幅方向両側に配設された一対の側壁コンベアベルトを有する側壁コンベア部と、を備えるワーク搬送装置であって、前記本体コンベアベルトは幅方向に延在する横桟が走行方向に等間隔に形成されており、前記本体コンベア部のワーク搬送時の前記ワーク搭載面の走行方向上流側は、外形状を略逆四角錐とされたホッパーの周壁の一部を構成するように上り勾配で配設され、さらに、前記ワーク搭載面の走行方向上端は、ホッパーの底頂部との間に前記ワーク搭載面の横桟がキャップを掬い上げることができるような間隙を形成して平行に位置させて配設されており、前記一対の側壁コンベアベルトは、走行方向上流端を前記ホッパーの開口部近傍に位置させて配設され、走行方向下流端を前記本体コンベアベルトの下流端と同位に位置させて配設されていることを特徴とする。
【0011】
具体的には、前記一対の側壁コンベアベルトは、本体コンベアベルトの走行と同期させて同速で走行させるように設定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のワーク搬送装置によれば、側壁コンベアベルトが本体コンベアベルトの走行に合わせて移動することで、摩擦の発生を抑制することができ、仮に、搬送中のワークの一部がコンベア装置の側壁とコンベアベルトの横桟との間の隙間に入り込んだとしても、摩擦が生じないので、摺接による粉塵等の発生を抑止することができ、ワークの損傷も回避することが可能となる。
【0013】
そして、前記一対の側壁コンベアベルトは、対向するベルト面を前記本体コンベアベルトの前記ワーク搭載面(仮想面を含む)と直交させて配設されていることを特徴とする。
【0014】
本発明のワーク搬送装置によれば、前記本体コンベアベルトと側壁コンベアベルトとに間隙が形成されるとしても、極めて小さな間隙寸法とすることが可能となるので、ワークの噛み込みの問題が発生しにくくなる。また、本体コンベアベルトと側壁コンベアベルトとの隙間をゼロにして配設することも可能となり、その場合には、ワークの噛み込みを確実に抑止することができる。
【0015】
また、前記本体コンベア部において、本体コンベアベルトを走行させるドライブプーリの駆動源と、前記側壁コンベア部において各側壁コンベアベルトを走行させるドライブプーリの駆動源とを共用することを特徴とする。
【0016】
このようにドライブプーリの駆動源を共用することで、装置自体の構成を小型化し、部品コストを削減することができる。
【0018】
このように構成された本発明のワーク搬送装置によれば、いわゆるリフター装置として用いることができ、ホッパーから横桟によって掬い上げたワークを損傷させることなく、確実に後続機械方向へ送り出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
このように、本発明のワーク搬送装置によれば、搬送中のワークがコンベア装置の側壁とコンベアベルトの横桟との間に噛み込まれる問題を解消することができ、ワークの傷、つぶれ、折れなどの発生を抑制するほか、コンベア装置の安定駆動の確保と、ワークの破片や、ワークとコンベア装置またはコンベア装置の部材間の摺接によって生じる粉塵等の製品への混入を防止できる、という優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るワーク搬送装置の一実施形態の全体構成を説明する斜視図
図2図1のワーク搬送装置の要部の拡大説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るワーク搬送装置1の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
【0022】
本実施形態のワーク搬送装置は、図1に示すような、コンベアベルトを登り勾配で配設した、いわゆるリフターと称されるワーク搬送装置1であり、ワークとしてのキャップCを搬送する目的で使用される。
【0023】
このワーク搬送装置1は、キャップCを貯留するホッパー2と、フレーム基台3にホッパー2とともに配設され、ホッパー2からキャップCを掬い揚げるコンベア部4と、コンベア部4が掬い上げたキャップCを後続機械方向へ送り出すシューター5とを備えている。
【0024】
本実施形態において、コンベア部4は、少なくとも一対のプーリ(不図示)を用いて走行可能に張設され、その上面をワーク搭載面11とする本体コンベアベルト12を有する本体コンベア部4Aと、各々少なくとも一対のプーリ15、15を用いて走行可能に張設され、互いのベルト面16を対向させて、本体コンベアベルト12のワーク搭載面11における幅方向両側に配設された一対の側壁コンベアベルト17を有する側壁コンベア部4Bとから構成されている。
【0025】
本体コンベアベルト12は幅方向に延在する横桟13が走行方向に等間隔に形成されており、本体コンベア部4Aは、ワーク搬送時のワーク搭載面11の走行方向上流端をキャップCが貯留されるホッパー2内に位置させ、下流端を上位に位置させる上り勾配でフレーム基台3に配設されている。
【0026】
側壁コンベアベルト17は平ベルトであって、本実施形態において、側壁コンベア部4Bは、各側壁コンベアベルト17のワーク搬送時の走行方向上流端は、後述するホッパー2の天板部20に形成された開口部21の外方近傍に位置させ、その下流端は本体コンベアベルト12の下流端とほぼ同位に位置させるようにして、本体コンベアベルト12の幅方向両側においてフレーム基台3にそれぞれ配設されている。
【0027】
よって、本体コンベア部4Aの前記プーリと、一対の側壁コンベア部4Bの前記プーリとは、軸方向を直交させて配設されることとなるが、本実施形態においては、本体コンベア部4Aの本体コンベアベルト12が巻回されたドライブプーリ(不図示)と、側壁コンベア部4Bの一対の側壁コンベアベルト17のそれぞれが巻回されたドライブプーリ(不図示)は、適宜、動力の回転を異なる軸方向に変換するべベルギアや変速ギア等の駆動力伝達系統を介して単一のモータ(不図示)で駆動するように構成され、一対の側壁コンベアベルト17は、本体コンベアベルト12の走行に追従して走行させるように調整されている。より具体的には、前記一対の側壁コンベアベルト17は、本体コンベアベルト12の走行と同期させて同速で走行させるように調整されている。なお、本体コンベアベルト12の走行速度等は、不図示の制御盤からのデータ入力やスイッチ操作等により調整可能とする。
【0028】
ここで、図1に示されたホッパー2は外形状を略逆四角錐とされ、本体コンベア部4Aがホッパー2の一枚の周壁25の中央部に上り勾配で位置して該周壁25の一部を構成し、かつ、その略逆四角錐の底頂部26(逆切妻屋根でいうところの棟部分)が、本体コンベアベルト12との間に、ワーク搭載面11の横桟13がキャップCを掬い上げることができるような間隙を形成して平行に位置するように、フレーム基台3の脚部付近に配設されている。ホッパー2の上天板19の半面は、本体コンベアベルト12が配置される開口部21が形成された天板部20とされており、残りの半面は、天板部20に設けられた蝶番22によって開閉自在とされた蓋部23とされている。
【0029】
なお、本体コンベア部4Aの下流端においてコンベア部4により搬送されたキャップCを滑落させて後続機械方向へ送り出すシュータ5は公知の構成のものを利用する。
【0030】
次に、本実施形態のワーク搬送装置1の作用について説明する。
【0031】
ホッパー2の蓋部23を開閉させ、搬送目的のキャップCをホッパー2内に投入して貯留させるとともに、コンベア部4の前記モータを駆動させてコンベア部4の本体コンベアベルト12と、一対の側壁コンベアベルト17とを走行させる。
【0032】
コンベア部4は、走行する本体コンベアベルト12が、ホッパー2内において自重で底頂部部分に集められたキャップCを横桟13で掬い上げ、そのまま、走行方向下流側へ搬送する。
【0033】
その際、一対の側壁コンベアベルト17も、本体コンベアベルト12と同速で走行して追従し、キャップCが本体コンベアベルト12の側方へ脱落することを防止する。そして、本実施形態のワーク搬送装置1においては、このように側壁コンベアベルト17が本体コンベアベルト12の走行に合わせて移動することで、搬送されるキャップCが側壁ベルトコンベア17などの他の部品との間に摩擦を発生させることを抑制することができる。よって、仮に、搬送中のキャップCが本体コンベアベルト12と側壁コンベアベルト17との間に噛み込まれたとしても、摩擦がないので、粉塵等が摺接により発生することを抑止でき、ワークの損傷等も抑止することができる。
【0034】
そして、コンベア部4により下流端まで搬送されたキャップCは、そのままシュータ-5内に滑落し、後続機械方向へ送り出される。
【0035】
なお、本実施形態においては、図2に示すように、側壁コンベアベルト17の幅方向下端辺を、本体コンベアベルト12のワーク搭載面11となる上面の幅方向側辺と突き合わせるようにして、間隙をきわめて小さくなるように配設しているが、一対の側壁コンベアベルト17は、対向するベルト面16を本体コンベアベルト12のワーク搭載面11(仮想面を含む)と直交させて配設してもよい。例えば、本体コンベアベルト12と側壁コンベアベルト17との隙間をゼロにして配設すれば、キャップCが噛み込まれるようなこと自体が生じないので、キャップCの損傷等を確実に抑止することができる。
【0036】
本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0037】
例えば、本実施形態においては、単一のモータを用いて、本体コンベア部4A、側壁コンベア部4Bに配設されたコンベアベルト3本を走行させることとしたが、勿論、モータをコンベアベルト毎に設けてもよい。
【0038】
そして、本発明の要部となるコンベア部4の構成は、水平方向にワークを搬送するワーク搬送装置1においても採用することができ、その場合においても、ワークの噛み込みを抑止することができるといった優れた効果を得ることができる。
【0039】
なお、ワークは前述のキャップCに限らないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
C キャップ
1 ワーク搬送装置
2 ホッパー
3 フレーム基台
4 コンベア部
4A 本体コンベア部
4B 側壁コンベア部
5 シューター
11 ワーク搭載面
12 本体コンベアベルト
13 横桟
15 プーリ
16 ベルト面
17 側壁コンベアベルト
19 上天板
20 天板部
21 開口部
22 蝶番
23 蓋部
25 周壁
26 底頂部
図1
図2