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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-12
(45)【発行日】2025-09-24
(54)【発明の名称】ひずみゲージおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20250916BHJP
【FI】
G01B7/16 R
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021176924
(22)【出願日】2021-10-28
(65)【公開番号】P2022074104
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2024-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2020183064
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000173795
【氏名又は名称】公益財団法人電磁材料研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 英二
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特許第6159613(JP,B2)
【文献】特開2022-072655(JP,A)
【文献】特開2014-074661(JP,A)
【文献】特開2018-151204(JP,A)
【文献】丹羽英二,三上浩,高圧水素ガス環境用Cr-N薄膜ひずみセンサおよび圧力センサ,電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌),2018年,138巻、5号,p.178-184,DOI: 10.1541/ieejsmas.138.178
【文献】UBE株式会社,ユーピレックス カタログ,2022年04月,https://www.ube.com/upilex/catalog/pdf/upilex_s.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性比率が227.5×10 3 Pa・m~682.5×10 3 Pa・mの範囲に含まれ、かつ、熱膨張係数が3ppm/℃~27ppm/℃の範囲に含まれている樹脂からなる基板と、
前記基板上に形成されている薄膜素子と、
を備えているひずみゲージであって、
前記薄膜素子が、窒素(N)含有量が2.09at%~4.20at%の範囲に含まれ、かつ抵抗温度係数(TCR)が-186.1ppm/℃~370.1ppm/℃であり、かつ、ゲージ率が16.6~19.0であるCr-N薄膜からなる
ことを特徴とするひずみゲージ。
【請求項2】
剛性比率が227.5×10 3 Pa・m~682.5×10 3 Pa・mの範囲に含まれ、かつ、熱膨張係数が3ppm/℃~27ppm/℃の範囲に含まれている樹脂からなる基板の主面に指定態様で配置されている、Cr-N薄膜からなる薄膜素子を形成する工程と、
前記薄膜素子を180~200℃の範囲の温度で熱処理することで、前記Cr-N薄膜の窒素(N)含有量を2.09at%~4.20at%の範囲にし、かつ前記Cr-N薄膜の抵抗温度係数(TCR)を-186.1ppm/℃~370.1ppm/℃にし、かつ、前記Cr-N薄膜のゲージ率を16.6~19.0にする工程と、
を含んでいる、請求項1記載のひずみゲージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象である起歪構造体の表面に接着して用いるひずみゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
Cr-N薄膜は、ひずみに対する感度を示すゲージ率が約14と大きいこと、窒素の少量添加と熱処理により抵抗温度係数(TCR)をゼロ近傍(<±50ppm/℃)にすることが可能であること、および数10kΩの高抵抗化が可能であることなどを特徴とする新しいひずみセンサ材料である(特許文献1参照)。
【0003】
従来のひずみゲージ(接着式ひずみセンサ素子)は、センサ材である格子状に成形されたCuNi系やNiCr系合金等の金属箔をポリイミド等樹脂製のベース(基板)に貼り付けた構造を成す。それをひずみならびに各種力学量の計測に利用する場合、さらに測定対象である起歪構造体表面に接着して用いる。そのときベースは電気的な絶縁と形状保持を含む取り扱いの簡便さを提供するために必要とされる。また、ベースがひずみを正しく伝達することも重要であり、そのためにヤング率が小さく伸びの大きい素材が要求され、今日では樹脂が多く用いられている。
【0004】
ひずみセンサ薄膜を力学量センサとして利用する場合、ベースは用いずに、(起歪構造体が金属等導電体の場合は絶縁体膜を介して)起歪構造体上に直接センサ素子を形成することが可能である。従来のひずみゲージでは「接着」が手作業ゆえ位置ずれが生じやすく、またベースや接着剤によるクリープの影響も懸念されるのに対し、測定対象上に直接形成する薄膜の場合それらの問題を考慮する必要が無い。しかし、測定対象の構造上、穴、菅、複雑形状等の内奥部など、薄膜形成が不可能な場所にひずみセンサを設置する場合は接着による方式を選択する必要がある。そこでCr-N薄膜についても接着方式で利用できる素子の開発のために、ベースとなる基板材料の検討が行われた。
【0005】
従来のひずみゲージに用いられるポリイミドは樹脂フィルムの中では最も高い耐熱性を有するが、無機材料と比較すると熱膨張係数や熱収縮が大きい。そのためポリイミドを基材とした場合、基材上で局所的な応力の影響が顕著となりクラックが発生しやすいという問題があった。その課題に対する研究の結果、Cr-N薄膜組織(膜質)の緻密化により薄膜自体の強化を促す成膜ガス圧の低減が有効であることを見出し、クラックの低減に成功した。しかしポリイミドにおける熱的な影響は完全に取り除かれたわけではなく、作製した素子に基材の反りや薄膜周囲の基材に部分的な変形が生じやすく、特性およびその安定性への影響が問題となっている。
【0006】
そこでは、熱膨張係数がCr-N薄膜と近く、耐熱性に優れて熱収縮もなく、強度が十分大きく高い絶縁性があり、さらにひずみ伝達性を持たせるために薄くすることが可能な自立薄板材料としてジルコニアに注目し、それを基材とするひずみゲージの試作と評価を行った結果、基材の厚さが80μm以下であればほぼ従来と同程度の機能を有したまま接着して使用する高感度なひずみゲージを提供できることを明らかにした(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6159613号公報
【文献】特許第6022881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
Cr-N薄膜ひずみゲージを接着式として用いる場合、ジルコニア基板素子は、曲げに対しては非常に強いが、基板面内方向の直線的な引張や圧縮に対しては弱く、壊れやすい点が問題である。壊れにくい基板材料として、従来用いられている樹脂材料が挙げられる。そこで再度、樹脂材料について検討を行ったが、成膜プロセスにおいて熱処理が必要なことから、耐熱性が最も高いポリイミドが有効であるが、やはり、従来の一般的なポリイミドを基板とする場合には、成膜歩留りおよび特性の均一性に問題があった。
【0009】
ひずみゲージを使用する場合、測定用回路としてホイートストンブリッジ構造が用いられるが、その時用いられる例えば4個のひずみゲージ素子の特性にばらつきがあると電流ラインの中点電位のゼロバランスが崩れて正しい測定ができず、さらに温度などの外的要因による出力ドリフトが増大するなどの問題の原因にもなる。そのため製造される複数の(多数の)ひずみゲージ素子はそれぞれ、バラツキのない均一な特性を持つことが極めて重要である。そこで、本発明は、樹脂基板を用いる場合の成膜歩留まりおよび特性の均一性の向上を図り得るひずみゲージおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、所定の特性を有する樹脂基板と、所定の組成および特性を有するCr-N薄膜からなる接着式ひずみゲージ、ならびに、その成膜方法及び所定の温度で熱処理する製造方法を用いることにより、成膜歩留まりおよび特性の均一性の向上を図り得ることを見出した。本発明のひずみゲージは、剛性比率が227.5×10 3 Pa・m~682.5×10 3 Pa・mの範囲に含まれ、かつ、熱膨張係数が3ppm/℃~27ppm/℃の範囲に含まれている樹脂からなる基板と、前記基板上に形成されている薄膜素子と、を備えているひずみゲージであって、前記薄膜素子が、窒素(N)含有量が2.09at%~4.20at%の範囲に含まれ、かつ抵抗温度係数(TCR)が-186.1ppm/℃~370.1ppm/℃であり、かつ、ゲージ率が16.6~19.0であるCr-N薄膜からなる。
【0011】
前記した本発明のひずみゲージの製造方法は、剛性比率が227.5×10 3 Pa・m~682.5×10 3 Pa・mの範囲に含まれ、かつ、熱膨張係数が3ppm/℃~27ppm/℃の範囲に含まれている樹脂からなる基板の主面に指定態様で配置されている、Cr-N薄膜からなる薄膜素子を形成する工程と、前記薄膜素子を180~200℃の範囲の温度で熱処理する工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、樹脂基板を用いる場合の成膜歩留まりおよび特性の均一性の向上を図り得る接着式ひずみゲージおよびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】Cr-N薄膜のスパッタリング成膜における熱処理温度の低減方法(入力電力が適度に低い条件での成膜による方法)に関する説明図。
図2】Cr-N薄膜のスパッタリング成膜における熱処理温度の低減方法(窒素含有量が少なくなる条件での成膜による方法)に関する説明図。
図3】熱処理温度低減手法を用いて200℃以下の温度で熱処理された試料におけるTCRの測定結果を示した図。
図4】熱処理温度低減手法を用いて200℃以下の温度で熱処理された試料におけるゲージ率の測定結果を示した図。
図5】本発明のひずみゲージの構成に関する説明図。
図6】実際に作製した薄膜素子のパターン形状を示した図。
図7】一回の成膜において形成された薄膜素子配列パターンを示した図。
図8】表2の作製例について、熱収縮率と断線率の関係を示した図。
図9】表2の作製例について、熱収縮率とTCR不均一性の関係を示した図。
図10】表2の作製例について、熱収縮率とGf不均一性の関係を示した図。
図11】第1基板と第2基板について、熱処理温度と断線率の関係を示した図。
図12】第1基板と第2基板について、熱処理温度とTCR不均一性の関係を示した図。
図13】第1基板と第2基板について、熱処理温度とGf不均一性の関係を示した図。
図14】180℃および200℃で熱処理された試料について、剛性比率と断線率の関係を示した図。
図15図14の剛性比率範囲200~300kPa・mの拡大図。
図16】180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のそれぞれの熱膨張係数および断線率の関係に関する説明図。
図17】180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のそれぞれの剛性比率およびTCR不均一性の関係に関する説明図。
図18図17の剛性比率範囲200~300kPa・mの拡大図。
図19】180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のそれぞれの熱膨張係数およびTCR不均一性の関係に関する説明図。
図20】180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のそれぞれの剛性比率およびGf不均一性の関係に関する説明図。
図21】180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のそれぞれの熱膨張係数およびGf不均一性の関係に関する説明図。
図22】ひずみゲージを構成する基材の特性に関する説明図。
図23】合成樹脂フィルムの上に成膜された薄膜素子の窒素含有量および抵抗温度係数(TCR)の関係に関する説明図。
図24】合成樹脂フィルムの上に成膜された薄膜素子の窒素含有量およびゲージ率(Gf)の関係に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
課題を解決するための重要なポイントは樹脂材料の「耐熱性」が低い点にあると考えられる。そこで、本発明では次の2つの側面からの改善を試みた。その一つは、ひずみセンサ薄膜の熱処理温度の低減であり、もう一つはその低減した熱処理温度範囲で問題の生じない樹脂基板の探索である。
【0015】
ひずみセンサとしてのCr-N薄膜における熱処理はTCRを0とする調整のために施されるものであり、従来、ガラス、セラミックス、金属等の基材では200~300℃の熱処理温度が用いられてきた。しかし、樹脂系では耐熱性を有する材料でも、後段で示す試験結果から熱処理温度は200℃以下とする必要があることがわかった。
【0016】
スパッタリング等における薄膜作製時において、熱処理温度を低減させるための方法として次の2つが挙げられる。
【0017】
(1)入力電力が適度に低い条件での成膜(図1参照)(参考文献:丹羽他,第32回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム論文集,28pm1-A-1 (2015))。
【0018】
(2)窒素含有量が少ない薄膜を作製すること(図2参照)(参考文献:特許第6159613号公報)。
【0019】
これらの手段によって、作製したCr-N薄膜の熱処理前の状態(as-deposited膜)のTCRが負の小さい値となり、TCRをゼロとするための熱処理温度を低くすることができる。
【0020】
X まず、前記既存の熱処理温度低減手法を用いて200℃以下の温度で熱処理した場合でも、TCRが実際にゼロ近傍(±400ppm/℃以内)でゲージ率が十分大きい、良好な値に収まることを硼珪酸ガラス(0.2mm厚、窒素含有量2.09%および4.20%以外の試料)およびジルコニア基板(0.1mm厚、窒素含有量2.09%および4.20%の試料)を用いた成膜試験により確認した。それらの結果を図3および4に示す。窒素含有量は全て硼珪酸ガラス(0.2mm厚)を基板として同条件で作製した非パターン化(べた膜)のCr-N薄膜について波長分散型X線分析装置(WDS)を用いて分析した。次に、樹脂基板素子について調べるために、図3および4のジルコニア基板素子と同じ条件で薄膜を各基板上に作製し、180℃、200℃、220℃の温度で熱処理を施して試料とし、成膜歩留まりおよび特性の均一性についての評価から、問題の生じない樹脂基板の探索を行った。
【0021】
これまでの経緯から問題点を考察すると、すでに実用化されているジルコニア基板は、300℃での熱処理の際にも熱による変形が生じないことから耐熱性および形状安定性に優れる点が利点と考えられ、そこに作用する性質として熱収縮がなく、熱膨張係数は比較的小さく、ヤング率が大きい点が考えられる。一方、ポリイミドを基板とする場合、その熱処理温度では熱による変形がみられ、形成した薄膜にクラックが生じるなど成膜が難しく、センサ薄膜の特性のバラツキも大きかった。したがって、これをジルコニア基板の場合と比較して考えると、耐熱性および形状安定性に問題があると考えられる。実際、樹脂の場合、熱収縮があり、熱膨張係数は比較的大きく、ヤング率が小さい。
【0022】
そこで、耐熱温度が高く、熱収縮が小さい樹脂を基板とする試料を作製し、樹脂基板の熱膨張係数およびヤング率に着目して薄膜素子の製造歩留まりおよび特性バラツキの評価を行った。200℃以上の耐熱性を有するフィルム化が可能な樹脂材料は限られており、それらにおいても、熱収縮率や線膨張係数は比較的大きな値をとるものが多い。樹脂フィルム材料で耐熱性が最も高いポリイミド(PI)から数種とそれに次ぐ耐熱性を持つと言われるポリアミド(PA)について調べた。本発明の検討に際して使用した基板材料およびそれらの特性を表1に示す。表中に示した特性の内、厚さ、耐熱温度、熱収縮率、熱膨張係数、ヤング率は公称値を用いた。
【0023】
また、形状安定性に関しては、厚さが大きいことも有利に作用すると考えられる。実際、後述する実施例からも、同じ材質の樹脂でも厚さが薄いと不良な結果を示し、厚いと良好な結果を示した。そこで、ヤング率だけでなく厚さの要素も重要と考え、それらを含む「剛性」というファクターについて検討を行った。
【0024】
一般に、板材における引張変形時の剛性kNは次の式で与えられる。
【0025】
N=N/δN=E・A/L=E・t・w/L 。
【0026】
ここで、Nは板材に作用する引張方向の力、δNは板材に生じる引張方向の変形、Eは板材の引張弾性率、Aは引張方向に垂直な断面積(=t×w)、Lは引張方向の板材の長さ、tは板材の厚さ、wは板材の幅(引張方向に垂直な方向の長さ)を示す。後述するように、試験試料の基板形状、成膜領域および薄膜パターン形状は全て同一であることから、それらのwとLは全ての試料で同一であり、基板の剛性に関する差異はE・t(引張弾性率×厚さ)の項だけで決まり、本発明ではその項で表される値を剛性比率と称することとし、熱膨張係数とともにその剛性比率について評価を行った。
【0027】
(ひずみゲージの構成)
図5に示されている本発明の一実施形態としてのひずみゲージは、薄板状の基板1と、基板1の一対の主面101、102のうち一方の主面101に形成された、指定態様で配置されている薄膜素子2と、により構成されている。基板1は、剛性比率が200~1000×103Pa・mの範囲に含まれ、かつ、熱膨張係数が0ppm/℃~30ppm/℃の範囲に含まれている樹脂からなる。薄膜素子2は、窒素(N)含有量が2~8at%の範囲に含まれ、かつ抵抗温度係数(TCR)が0±400ppm/℃以内であり、かつ、ゲージ率が3~20であるCr-N薄膜からなる。
【0028】
(ひずみゲージの製造方法)
本発明の一実施形態としてのひずみゲージの製造方法は、(1)成膜工程と(2)熱処理工程とを含んでいる。
【0029】
基板上へのCr-N薄膜の作製にはArとともに微量の窒素ガスを導入して成膜を行う反応性スパッタリング法を用い、装置には一般金属用(非強磁性体用、すなわち低磁力の)マグネットを用いたマグネトロン方式の高周波スパッタリング装置を使用した。窒素の添加量は、導入する窒素ガス流量を調節することにより制御した。ターゲットには公称純度99.9%のCr円盤(直径3インチ)を用い、成膜前真空度(背景真空度)、ターゲット-基板間距離(T-S距離)、成膜ガス圧、入力電力および窒素流量比をそれぞれ2×10-5Pa、43mm、5mTorr、10Wおよび0.02~0.12%として成膜を行った。
【0030】
試作するCr-N薄膜ひずみゲージ素子の受感部は8回の折返しからなる格子状とし、格子の線幅は40μm、線間隔を50μm、長さ(受感部長)を1mmとした。その素子パターン形成にはフォトリソグラフィー技術とCrエッチング液による腐食整形技術を用いた。薄膜の厚さは約100nmとした。実際に作製した薄膜素子のパターン形状を図6に示す。
【0031】
図7には、薄膜素子配列パターンが示されている。1回の成膜において、50mm×50mmの大きさの基板上の中央部の30mm×30mmの範囲内にCr-N薄膜が形成され、そこから前記パターン形成された素子が横に1~8の8行、縦にA~Eの5列の配列からなる計40個が得られる。
【0032】
熱処理は大気中において所定の温度で30分保持して行った。作製した薄膜の所定の位置にNi(ニッケル)薄膜をリフトオフ法により重ねて形成し、これを抵抗測定のための電極とした。この電極に、電源および電圧計につながるリード線をはんだ付けするが、その前に前記40個の配列から素子を個別に切り出した。なお、電極膜としてのNi薄膜は、電極やリード部分でのひずみ検知情報を含まないようにするために比抵抗の小さい電極膜を重ねて形成する必要があることから、受感部以外の電極タブおよびリード部分のCr-N薄膜に重ねて形成した。本発明にかかる薄膜作成、パターン形成、熱処理等の方法、方式、形状、材質および条件等は当該実施形態に限定されるものではない。
【0033】
(1.成膜工程)
成膜工程において、基板1の一方の主面101に対して、Crターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、当該基板1の主面101において指定態様で配置されているCr-N薄膜が当該主面に直接的に形成される。スパッタリングに際して、窒素流量比は、例えば、0.02~0.05%の範囲に調節される。基板1の主面101における薄膜素子2の指定態様の配置は、マスキングおよび/またはエッチング等の既存の手法により形成される。
【0034】
(2.熱処理工程)
熱処理工程において、基板1の主面101に形成されたCr-N薄膜が180~200℃の温度範囲で熱処理される。熱処理時間は、Cr-N薄膜が目標とする特性が実現されるように、例えば0.5~4hrの範囲に調節される。これにより、薄膜素子2は、窒素含有量が2.09~4.20at%の範囲に含まれ、抵抗温度係数(TCR)が45.1ppm/℃~370.1ppm/℃の範囲に含まれ、かつ、ゲージ率が16.6~17.9の範囲に含まれているCr-N薄膜からなる薄膜素子が形成される。
【0035】
(実施例および比較例)
第1基板としてポリアミド(商品名:ミクトロン(型番:ML))の薄板状部材が用意された。第2基板としてポリイミド(商品名:ユートピレックス(型番:25S))の薄板状部材が用意された。第3基板としてポリイミド(商品名:カプトン(型番:300V))の薄板状部材が用意された。第4基板としてポリイミド(商品名:カプトン(型番:100V))の薄板状部材が用意された。第5基板としてポリイミド(商品名:アピカル(型番:NPI))の薄板状部材が用意された。第6基板としてポリイミド(商品名:アピカル(型番:AH))の薄板状部材が用意された。第7基板としてポリイミド(商品名:ユーピレックス(型番:75S))の薄板状部材が用意された。参考基板としてジルコニア(商品名:セラフレックス(型番:A))の薄板状部材が用意された。表1には、第1基板、第2基板、第3基板、第4基板、第5基板、第6基板、第7基板および参考基板のそれぞれの厚さ、耐熱温度、ヤング率(引張弾性率)、剛性比率、熱膨張係数および熱収縮率がまとめて示されている。
【0036】
【表1】
ひずみゲージの第1作製条件として、成膜工程に際して窒素流量比が0.02%に調節され、かつ、熱処理工程に際してCr-N薄膜の熱処理温度が180℃に調節された。ひずみゲージの第2作製条件として、成膜工程に際して窒素流量比が0.02~0.12%、より好ましくは0.02~0.05%に調節され、かつ、熱処理工程に際してCr-N薄膜の熱処理温度が200℃に調節された。ひずみゲージの第3作製条件として、成膜工程に際して窒素流量比が0.05%に調節され、かつ、熱処理工程に際してCr-N薄膜の熱処理温度が220℃に調節された。窒素流量比は、スパッタリングチャンバにおける窒素ガスの流量F1およびスパッタリングガスであるアルゴンガスの流量F2の合計に対する窒素ガスの流量F1の比F1/(F1+F2)を意味する。成膜工程においてスパッタリングチャンバの気圧が5mTorrに調節された。
【0037】
第1基板、第2基板、第3基板、第4基板および参考基板のそれぞれが用いられ、第1作製条件にしたがって実施例1、実施例3、実施例5、比較例4および参考例1のひずみゲージ群が作製された。第1基板、第2基板、第3基板、第5基板、第6基板、第7基板および参考基板のそれぞれが用いられ、第2作製条件にしたがって実施例2、実施例4、比較例3、実施例6、比較例5、実施例7および参考例2のひずみゲージ群が作製された。第1基板および第2基板のそれぞれが用いられ、第3作製条件にしたがって比較例1および比較例2のひずみゲージ群が作製された。ひずみゲージ群は、8行5列に配置された40個のひずみゲージにより構成されている。
【0038】
表2には、実施例1~7、比較例1~5および参考例1~2のそれぞれ(以下「各作製例」という。)のひずみゲージ群の作製条件および後述する評価結果がまとめて示されている。
【0039】
【表2】
(ひずみゲージの評価)
1回の成膜で同時に同条件にしたがって形成された40個全てのCr-N薄膜ひずみセンサ素子(図7参照)の抵抗値を20MΩまで測定可能なテスターを用いて測定した。その際、薄膜にクラックが生じて測定不能だった素子の個数を全素子数である40で除算した値の百分率を「断線率」とし、成膜歩留まりを評価する指標とした。
【0040】
抵抗温度計数(TCR)測定のための抵抗測定にはデジタルマルチメーターによる直流四端子法を用い、温度制御可能な恒温槽内での異なる温度において測定された薄膜素子の抵抗値からTCRの値を求めた。ここで、TCRは温度範囲0~50℃における値を意味する。
【0041】
ゲージ率(Gf)は、起歪体としての50mm×250mm×1.6mm厚の寸法のSUS304製の板に試料を接着して曲げる連続片持ち梁方式を用いてひずみを印加し、正から負にわたる約600με(=0.06%)までのひずみ印加時の抵抗変化から求めた。Gfを計算するのに必要なひずみ量は、同じSUS板起歪体上の等量のひずみが入る位置に接着した市販のひずみゲージ(共和電業製,KFG-2-350-C1-11)を用いて測定した。接着には市販の一般用瞬間接着剤を用いた。
【0042】
前記のTCRおよびGfは、作製した40個の素子の内、基本的に図7の配列中の1A、2A、1E、2E、3B、4B、3D、4D、5B、6B、5D、6D、7A、8A、7E、8Eの計16個の素子について測定を行った。これらの中で断線により測定不能な素子があった場合は、その隣接する素子を代わりに測定して、合計の測定数は16個となるようにした。TCRおよびGfの値のバラツキ評価の指標として、それぞれ、16個の測定結果における最大値、最小値、平均値から次の式で与えられる「不均一性」を求めた。ここで、|f(x)|はf(x)の絶対値を表す。
【0043】
(不均一性)=|{(最大値)―(最小値)}/(平均値)|。
【0044】
前記の試作試験から、所定の特性を示し、ばらつきの小さなひずみゲージを歩留まり良く作製するのに適した、耐熱性に優れた樹脂基板材料を調べた。所定の特性として、図23からわかるように、Cr-N薄膜の窒素含有量2~8at%の範囲において、TCRが±400ppm/℃以内であり、Gfが3~20であり、成膜歩留まりは9割以上、すなわち断線率10%以下であることが好ましく、Cr-N薄膜の特性の不均一性は参考例(実用化されている既存のジルコニア基板素子)の値の2倍以下であることが好ましい。なお、断線とは、基板の変形等によって薄膜素子にクラックが発生し抵抗値が測定できなくなった状態を指す。
【0045】
TCRおよびGfの測定に関して、断線数が多い試料については、非断線試料が16個に満たず不均一性検定の全数が異なってしまうこと、および、そのような断線数の多い試料では極端に外れた悪い測定結果を示すものが生じることから妥当な試料を16個そろえることができない場合があることから、適切な評価結果が得られないため評価結果には含めなかった。
【0046】
図8には、熱収縮率に対する断線率が示されている。図9には、TCRの不均一性が示されている。図10には、Gfの不均一性が示されている。いずれも熱収縮率が0.05%において最も悪い結果を示し、一様な傾向を示さなかった。特に、TCRの不均一性においては、最も熱収縮率が大きな0.5%においてむしろ良好な値を示した。これらの結果から、少なくとも0.5%以下の範囲の熱収縮率は断線率、TCRの不均一性およびGfの不均一性に影響を及ぼさないことがわかった。
【0047】
図11には、熱膨張係数が小さく、かつ、ヤング率の大きな第1基板(ポリアミド・ミクトロン)および第2基板(ポリイミド・ユーピレックス)のそれぞれについて、熱処理温度に対する断線率が示されている。図11には、断線率に関して好ましい数値範囲の上限が破線で示されている。図12には、第1基板および第2基板のそれぞれのTCRの不均一性が示されている。図12には、TCRの不均一性に関して好ましい数値範囲の上限が破線で示されている。図13には、第1基板および第2基板のそれぞれのGfの不均一性が示されている。図13には、Gfの不均一性に関して好ましい数値範囲の上限が破線で示されている。
【0048】
図13からわかるように、Gfの不均一性について問題はなかった。その一方、図11からわかるように、第1基板は断線率が220℃で急激に大きくなり、好ましい数値範囲から外れた。図12からわかるように、第2基板の熱処理温度が200℃以下であればTCRの不均一性が好ましい数値範囲に含まれるものの、熱処理温度が220℃では好ましい数値範囲から外れた。
【0049】
図14には、180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のそれぞれについての剛性比率に対する断線率が示されている。図15には、図14の剛性比率範囲200~300kPa・mが拡大されて示されている。図16には、180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のそれぞれについての熱膨張係数に対する断線率が示されている。図14図16からわかるように、180℃で熱処理された第4基板の試料と200℃で熱処理された第3基板の試料は断線率が好ましい数値範囲の上限値を超えた。図16からわかるように、180℃で熱処理された第4基板および第3基板は熱膨張係数が同じであるにもかかわらず、前者の断線率は97.5%であるのに対して、後者の断線率は0%であった。
【0050】
180℃で熱処理された第4基板の試料に関する断線率は熱膨張係数の影響によるのではなく、図14からわかるように剛性比率が小さいことに起因していると考えられる。したがって、図15からわかるように、200kPa・mを下回るような剛性比率を有する基板は好ましくないことがわかった。また、図14および図15から、200℃で熱処理された試料の断線率は剛性比率に対しては一様な変化を示さず、剛性比率が好ましくない大きな断線率の原因ではないことがわかる。一方、図16において、200℃で熱処理された試料の断線率は熱膨張係数の増加に伴って増大し、27ppm/℃では好ましい数値範囲の上限値を超える程度に大きな値となった。したがって200℃で熱処理された試料の断線率は熱膨張係数に依存し、およそ15ppm/℃を超えると好ましい数値範囲の上限値を超える程度に大きな値となることがわかった。
【0051】
図17には、180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のそれぞれについての剛性比率に対するTCRの不均一性が示されている。図18には、図17の剛性比率範囲200~300kPa・mが拡大されて示されている。図19には、180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のそれぞれについての熱膨張係数に対するTCRの不均一性が示されている。図17図19から、200℃で熱処理された試料についても、図14図16で示された結果と同様の結果が得られた。また、図20および図21からわかるように、Gfの不均一性に関しては、180℃で熱処理された試料および200℃で熱処理された試料のいずれも、剛性比率および熱膨張係数のどちらに対してもこれらの範囲では問題はなかった。
【0052】
以上の結果から、断線率が10%以下で薄膜特性の不均一性が参考例(実用化されている既存のジルコニア基板素子)の値の2倍以下となるひずみゲージ用基板特性の条件は、180~200℃の温度範囲で熱処理された場合、熱膨張係数が0~30ppm/℃、かつ、剛性比率が200~1000×103Pa・mの範囲に含まれることがわかった。各基板の特性および前記範囲境界が図22に示されている。
【0053】
図22には、第1基板、第2基板、第3基板、第4基板、第5基板、第6基板、第7基板および参考基板のそれぞれの剛性比率および熱膨張係数の組み合わせを表わすプロットが1から7までの丸付き数字および白丸により示されている。図22に示されている剛性比率-熱膨張係数における第1指定範囲S1は、剛性比率が200~1000×103Pa・mの範囲に含まれ、かつ、熱膨張係数が0ppm/℃~30ppm/℃の範囲に含まれていることを意味している。図22に示されている剛性比率-熱膨張係数における第2指定範囲S2は、剛性比率が227.5~682.5×103Pa・mの範囲に含まれ、かつ、熱膨張係数が3~27ppm/℃の範囲に含まれていることを意味している。図22から、第1基板、第2基板、第3基板、第5基板および第7基板のそれぞれの剛性比率および熱膨張係数の組み合わせを表わすプロットが、第1指定範囲S1および第2指定範囲S2に含まれていることがわかる。その一方、図22から、第4基板、第6基板および参考基板のそれぞれの剛性比率および熱膨張係数の組み合わせを表わすプロットが、第1指定範囲S1および第2指定範囲S2から外れていることがわかる。
【0054】
前記条件の樹脂基板を用いることによって、既存のジルコニア基板Cr-N薄膜ひずみゲージ素子における、基板が壊れやすいという問題が解決され、さらに、表3からわかるように、第1基板および第2基板が、参考基板(ジルコニア基板)とほぼ同様に断線せずに歩留まり良くCr-N薄膜を成膜でき、かつ、TCRおよびGfの不均一性(バラツキ)が同等以上に改善されることが明らかになった。実用上、本発明により非常に大きな改善がなされ、従来よりも扱いやすく、特性バラツキやドリフトの問題が少ない高感度で温度に安定なひずみゲージが提供可能になる。
【0055】
熱処理温度が200℃を超えると断線率が高くなって成膜歩留まりが悪くなることやTCRの不均一性が増大して特性の不安定性の要因になるので好ましくない。熱処理温度の下限は温度の影響が低下することから特に制限はないが、特性が大きく異なることがない160℃でも好ましく、さらに180℃がより好ましい。また、熱膨張係数が30ppm/℃を超えると、やはり断線率が高くなって成膜歩留まりが悪くなることやTCRの不均一性が増大して特性の不安定性の要因になるので好ましくない。さらに、剛性比率が200×103Pa・mを下まわると断線率が急激に高くなって成膜歩留まりが極端に悪くなるので好ましくない。一方、剛性比率が大きすぎても断線率や特性の均一性に問題は生じないが、ヤング率が小さい樹脂フィルム基板の場合、厚さが増大することになるためゲージ率が正しく測定できなくなる。本発明では、試験した樹脂フィルム中最大のヤング率13GPaと最大のフィルム厚75μmから約1000×10Pa・mを超えると好ましくないと考えられる。
【0056】
樹脂基板の薄膜特性として窒素含有量に対する抵抗温度係数およびゲージ率の値を図23および図24にそれぞれ示す。樹脂基板においても、図3および4に示したジルコニア基板(参考例)およびガラス基板の場合と同様、抵抗温度係数は調査した全窒素含有量にわたってゼロ近傍の値を示し、ゲージ率は窒素量の増大に伴って減少する傾向が得られた。本発明で取り上げた熱処理温度低減手法に従う場合のCr-N薄膜は、窒素含有量2~8at%において抵抗温度係数(TCR)が±400ppm/℃以内、ゲージ率(Gf)が3~20を示すものであり、この手法と条件および前記特性の基板を用いることで、前記、目的のひずみゲージの提供が可能となる。
【0057】
【表3】
表2には、各作製例のひずみゲージ群の断線率の評価結果が示されている。ひずみゲージ群を構成する複数個(40個のうち断線していないもの)の薄膜素子の電気抵抗値がテスターにより計測され、すべての薄膜素子の個数に対する、当該電気抵抗値が測定不能であった薄膜素子の個数の比が断線率として評価された。表2から、実施例1~5のそれぞれのひずみゲージ群の断線率は、比較例1~4のそれぞれのひずみゲージ群よりも著しく低く、かつ、参考例1および参考例2のそれぞれのひずみゲージ群の断線率と同程度以下であることがわかる。
【0058】
表2には、各作製例のひずみゲージ群の抵抗温度係数TCR(平均値)およびその不均一性の評価結果が示されている。表2から、実施例1~5のそれぞれのひずみゲージ群のTCRが-186.1~370.1[ppm/℃]の範囲に含まれ、この点では比較例2、比較例3、参考例1および参考例2のそれぞれのひずみゲージ群と共通していることがわかる。その一方、実施例1~5のそれぞれのひずみゲージ群のTCR不均一性が参考例1および参考例2のそれぞれのひずみゲージ群と同様に0.263~1.916の範囲に含まれ、比較例2および3のそれぞれのひずみゲージ群よりも低いことがわかる。
【0059】
表2には、各作製例のひずみゲージ群のゲージ率Gf(平均値)およびその不均一性の評価結果が示されている。表2から、実施例1~5のそれぞれのひずみゲージ群のGfが16.6~19.0の範囲に含まれ、比較例2および3のそれぞれのひずみゲージ群と同程度であることがわかる。また、実施例1~5のそれぞれのひずみゲージ群のGfの不均一性が0.076~0.121の範囲に含まれ、比較例2および3のそれぞれのひずみゲージ群よりも低く、さらには参考例1および参考例2のそれぞれのひずみゲージ群よりも低いことがわかる。
【0060】
図23には、基板1として合成樹脂(第1基板)のフィルムの上に成膜された薄膜素子2の窒素含有量および抵抗温度係数(TCR)の関係が示されている。図23から、窒素含有量2~10.5%の範囲において、薄膜素子2の抵抗温度係数がゼロ近傍の値を示していることがわかる。
【0061】
図24には、基板1として合成樹脂(第1基板)のフィルムの上に成膜された薄膜素子2の窒素含有量およびゲージ率(Gf)の関係が示されている。図24から、窒素含有量2~10.5%の範囲において、薄膜素子2のゲージ率が窒素含有量の増大に伴って減少する傾向があることがわかる。
【符号の説明】
【0062】
1‥基板、2‥薄膜素子、101‥基板の上面(主面)、102‥基板の下面(主面)。
図1
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