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特許7743330システム、補正情報取得方法、及びサーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-12
(45)【発行日】2025-09-24
(54)【発明の名称】システム、補正情報取得方法、及びサーバ
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/188 20190101AFI20250916BHJP
【FI】
G06F16/188
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022023240
(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公開番号】P2023120058
(43)【公開日】2023-08-29
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】525184980
【氏名又は名称】株式会社富士通フロンテックシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智也
(72)【発明者】
【氏名】奥山 浩司
【審査官】酒井 恭信
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-239276(JP,A)
【文献】特開2005-130370(JP,A)
【文献】特開2021-118374(JP,A)
【文献】特開2009-301515(JP,A)
【文献】特開2010-135970(JP,A)
【文献】特開2009-145883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00 - 16/188
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末と、
前記複数の端末に対応する複数の仮想端末が構築されたサーバと、
複数の画像読取装置と、
前記複数の画像読取装置の各々の補正情報が画像読取装置毎のフォルダの各々に記憶された記憶装置と、
を備え、
前記複数の仮想端末の各々の仮想レジストリには、当該仮想端末により使用される画像読取装置の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパスが記憶され、
前記複数の画像読取装置の各々の補正情報は、前記複数の仮想端末の各々が当該画像読取装置により読み取られた画像を補正する際に用いられる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記サーバに備えられる、
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記仮想端末は、当該仮想端末の仮想レジストリに記憶されたフォルダパスに基づいて、前記記憶装置から、当該仮想端末により使用される画像読取装置の補正情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシステム。
【請求項4】
前記仮想端末により使用される画像読取装置が切り替えられた場合、当該仮想端末の仮想レジストリに記憶されたフォルダパスが、切替後の画像読取装置の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパスへ更新される、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載のシステム。
【請求項5】
前記画像読取装置のキャリブレーションが実行された場合、前記記憶装置に記憶された当該画像読取装置の補正情報が、前記キャリブレーションの実行結果に基づく補正情報へ更新される、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のシステム。
【請求項6】
前記画像読取装置は、オーバーヘッドリーダであり、
前記端末は、シンクライアント端末である、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載のシステム。
【請求項7】
複数の端末に対応する複数の仮想端末が構築され、前記複数の仮想端末の各々が、複数の画像読取装置の各々の補正情報を用いて当該画像読取装置により読み取られた画像を補正するサーバにおいて、前記複数の仮想端末の各々は、当該仮想端末の仮想レジストリに記憶されたフォルダパスに基づいて、前記複数の画像読取装置の各々の補正情報が画像読取装置毎のフォルダの各々に記憶された記憶装置から、当該仮想端末により使用される画像読取装置の補正情報を取得する、
ことを特徴とする補正情報取得方法。
【請求項8】
複数の端末に対応する複数の仮想端末が構築され、
前記複数の仮想端末の各々の仮想レジストリには、当該仮想端末により使用される画像読取装置の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパスが記憶され、
前記フォルダは、記憶装置のフォルダであり、
前記記憶装置は、複数の画像読取装置の各々の補正情報が画像読取装置毎のフォルダの各々に記憶され、
前記複数の画像読取装置の各々の補正情報は、前記複数の仮想端末の各々が当該画像読取装置により読み取られた画像を補正する際に用いられる、
ことを特徴とするサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、補正情報取得方法、及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体を画像として読み取る画像読取手段として、イメージスキャナ(例えば特許文献1~3参照)や、OHR(Over Head Reader:オーバーヘッドリーダ)等の画像読取装置が知られている。OHRは、スタンド型イメージリーダ、非接触型イメージリーダ等とも称する。
【0003】
銀行等の金融機関で使用されるOHRは、入出金帳票、税公金帳票等の媒体や、オートフィーダ型イメージスキャナでは取り扱うことができない媒体(免許証等)の読み取りに使用され、そのような媒体を例えば24bitのフルカラー画像として読み取る。そして、OHRで読み取られた媒体の画像は、次のような目的で使用される。OCR(Optical Character Recognition)処理による文字認識、印鑑押印画像の重ね合わせによる印鑑照合、顧客が持ち込んだ税公金帳票の電子データ化及びファイリング、免許証等の本人確認書類の電子データ化及びファイリング等である。
【0004】
金融機関の営業店舗では、各窓口に、端末(所謂ファットクライアント端末)とOHRが1対1接続されたシステム構成で設置されている。このシステム構成では、端末とOHRとがUSB(Universal Serial Bus)等の汎用IF(Interface)で接続されていることから、OHRで読み取られた画像の画像処理に用いられる補正情報が端末に保存されている。なお、補正情報は、OHRの周囲環境の状態(明るさや影等)やOHRの個体誤差を補正するための情報である。
【0005】
近年、金融業界では、営業店舗の軽量化(店舗数削減、機器台数削減、人員削減等)が推進されており、端末及び入出力機器(OHR含む)の台数削減が求められている。これに対し、サーバに仮想端末を構築して、シンクライアント端末と仮想デスクトップを用いることで、端末及び入出力機器を必要な時に共有して運用するシステム構成の導入が検討されている。このシステム構成では、複数(N個)の仮想端末で1つのOHRを使用したり、1つの仮想端末で複数(N個)のOHRを使用したり(1つの仮想端末で使用するOHRを動的に切り替えたり)すること等を可能にする。則ち、このシステム構成は、仮想端末とOHRがN対N接続されたシステム構成を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-068274号公報
【文献】特開2020-198555号公報
【文献】特開2013-246697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、仮想端末とOHRがN対N接続されるシステム構成を、端末とOHRが1対1接続される既存のシステム構成をベースに実現しようとする場合には、幾つかの課題が想定される。その課題について、図7及び図8を用いて説明する。この説明では、はじめに図7を用いて端末とOHRが1対1接続される既存のシステム構成について説明し、次に図8を用いて仮想端末とOHRがN対N接続されるシステム構成を既存のシステム構成をベースに実現しようとする場合に想定される課題について説明する。
【0008】
図7は、端末とOHRが1対1接続される既存のシステム構成を例示する図である。図7に例示したように、既存のシステム構成では、端末1001とOHR1002とがUSB等の汎用IFにより1対1で接続される。端末1001のストレージ(例えばHDD(Hard Disk Drive))1003には、「OHR」フォルダが作成され、その「OHR」フォルダには、OHR1002の補正情報等が記憶される。端末1001のレジストリ1004には、「OHR」フォルダのフォルダパス(「C:¥OHR」)等が記憶される。
【0009】
このような端末1001では、例えば、OPEN処理、画像読取処理、及びキャリブレーション処理等が行われる。
【0010】
OPEN処理では、上位アプリケーション1006が、OHRドライバ1005にドライバOPENをリクエストする。それに応じてOHRドライバ1005は、レジストリ1004を参照して「OHR」フォルダのフォルダパス(「C:¥OHR」)を取得し、そのフォルダパスを基にストレージ1003の「OHR」フォルダにアクセスしてOHR1002の補正情報を取得する。
【0011】
画像読取処理では、OPEN処理の実行後、上位アプリケーション1006が、OHRドライバ1005に画像読取をリクエストする。それに応じてOHRドライバ1005は、OHR1002に画像読取をリクエストする。そして、OHRドライバ1005は、OHR1002で読み取られた画像をOHR1002から取得し、その画像を上述の補正情報を用いて補正して上位アプリケーション1006へ転送する。
【0012】
キャリブレーション処理では、上位アプリケーション1006が、OHRドライバ1005にドライバCLOSEをリクエストする。それに応じてOHRドライバ1005は、ドライバCLOSEを実行して、実行終了を上位アプリケーション1006に応答する。次に、上位アプリケーション1006は、OHRドライバ1005にキャリブレーションをリクエストする。キャリブレーションは、OHR1002の補正情報を作成する機能である。そのリクエストに応じてOHRドライバ1005は、レジストリ1004から「OHR」フォルダのフォルダパス(「C:¥OHR」)を取得すると共に、OHR1002に複数回の画像読取をリクエストする。そして、OHRドライバ1005は、OHR1002で読み取られた複数の画像をOHR1002から取得し、その複数の画像から補正情報を作成し、取得したフォルダパス(「C:¥OHR」)が示すストレージ1003の「OHR」フォルダに記憶されている補正情報に上書き更新する。但し、この時のストレージ1003の「OHR」フォルダに補正情報が記憶されていなければ、作成した補正情報をストレージ1003の「OHR」フォルダに記憶する。補正情報の更新(又は記憶)が終了すると、OHRドライバ1005は、キャリブレーション終了を上位アプリケーション1006に応答する。
【0013】
図8は、仮想端末とOHRがN対N接続されるシステム構成を、端末とOHRが1対1接続される既存のシステム構成をベースに実現しようとする場合に想定される課題を説明する図である。図8に示したように、この場合のシステム構成では、複数(例えば3つ)のシンクライアント端末1011と、その複数のシンクライアント端末1011に対応する複数の仮想端末1012が構築されたサーバ1013と、複数(例えば2つ)のOHR1014とが、LAN(Local Area Network)等のネットワーク1015に接続されるように構成されることが考えられる。なお、複数の仮想端末1012は、サーバ1013がネットワーク1015に接続されることで、ネットワーク1015に接続可能になる。各仮想端末1012は、上位アプリケーション1016、OHRドライバ1017、仮想レジストリ1018、及び仮想ストレージ1019を備えるように構成されることが考えられる。また、各仮想端末1012が複数のOHR1014を使用することになるから、各仮想端末1012の仮想ストレージ1019には、複数のOHR1014の補正情報が記憶されるように構成されることが考えられる。なお、このようなシステム構成では、利用者がシンクライアント端末1011(例えばシンクライアント端末(#A)1011)を操作することで、対応する仮想端末1012(例えば仮想端末(#A)1012)を操作することができる。
【0014】
しかしながら、このようなシステム構成を実現する場合には、次のような3つの課題が想定される。
課題(1):各仮想端末1012の仮想ストレージ1019は、サーバ1013が備えるストレージの一部で構成されることから、各仮想端末1012の仮想ストレージ1019に割り当てられる記憶容量には制約がある。そのため、使用されるOHR1014の台数によっては、その全てのOHR1014の補正情報を各仮想端末1012の仮想ストレージ1019に記憶することができない虞がある。
課題(2):OHR1014(例えばOHR(#A)1014)のキャリブレーションを実行して補正情報の更新を行う場合は、各仮想端末1012の仮想ストレージ1019に記憶されている当該OHR1012の補正情報を略同時に更新する必要がある。そのため、補正情報の更新時には、ネットワーク1015のトラフィックが増大し、一部の仮想端末1012(例えば仮想端末(#B)1012)の仮想ストレージ1019で補正情報の更新が遅延する虞がある。
課題(3):既存のシステム構成と同様に、各仮想端末1012の仮想ストレージ1019に「OHR」フォルダを作成し、その「OHR」フォルダに複数のOHR1014の補正情報が記憶されるように構成した場合、各仮想端末1012のOHRドライバ1017は、仮想レジストリ1018から取得したフォルダパス(「C:¥OHR」)に基づいて仮想ストレージ1019の「OHR」フォルダにアクセスはできるものの、そのフォルダパス(「C:¥OHR」)だけでは、当該仮想端末1012が使用するOHR1014の補正情報の識別ができないために正しい補正情報の取得ができない。
【0015】
本発明は、上記実情に鑑み、仮想端末と画像読取装置がN対N接続されるシステム構成を有効に実現することができるシステム、補正情報取得方法、及びサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
システムの一観点は、複数の端末と、前記複数の端末に対応する複数の仮想端末が構築されたサーバと、複数の画像読取装置と、前記複数の画像読取装置の各々の補正情報が画像読取装置毎のフォルダの各々に記憶された記憶装置と、を備え、前記複数の仮想端末の各々の仮想レジストリには、当該仮想端末により使用される画像読取装置の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパスが記憶され、前記複数の画像読取装置の各々の補正情報は、前記複数の仮想端末の各々が当該画像読取装置により読み取られた画像を補正する際に用いられる、システムである。
【0017】
方法の一観点は、複数の端末に対応する複数の仮想端末が構築され、前記複数の仮想端末の各々が、複数の画像読取装置の各々の補正情報を用いて当該画像読取装置により読み取られた画像を補正するサーバにおいて、前記複数の仮想端末の各々は、当該仮想端末の仮想レジストリに記憶されたフォルダパスに基づいて、前記複数の画像読取装置の各々の補正情報が画像読取装置毎のフォルダの各々に記憶された記憶装置から、当該仮想端末により使用される画像読取装置の補正情報を取得する、補正情報取得方法である。
【0018】
装置の一観点は、複数の端末に対応する複数の仮想端末が構築され、前記複数の仮想端末の各々の仮想レジストリには、当該仮想端末により使用される画像読取装置の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパスが記憶され、前記フォルダは、記憶装置のフォルダであり、前記記憶装置は、複数の画像読取装置の各々の補正情報が画像読取装置毎のフォルダの各々に記憶され、前記複数の画像読取装置の各々の補正情報は、前記複数の仮想端末の各々が当該画像読取装置により読み取られた画像を補正する際に用いられる、サーバである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、仮想端末と画像読取装置がN対N接続されるシステム構成を有効に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施の形態に係るシステムの構成を例示する図である。
図2】一実施の形態に係るシステムで行われるOPEN処理の流れを例示するフローチャートである。
図3】一実施の形態に係るシステムで行われる画像読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図4】一実施の形態に係るシステムで行われるキャリブレーション処理の流れを例示するフローチャートである。
図5】一実施の形態に係るシステムで行われる接続先OHR切替処理の流れを例示するフローチャートである。
図6】コンピュータのハードウェア構成を例示する図である。
図7】端末とOHRが1対1接続される既存のシステム構成を例示する図である。
図8】仮想端末とOHRがN対N接続されるシステム構成を、端末とOHRが1対1接続される既存のシステム構成をベースに実現しようとする場合に想定される課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、一実施の形態に係るシステムの構成を例示する図である。図1に例示したシステム1は、例えば、銀行等の金融機関の営業店舗に設置される。図1に例示したシステム1は、複数(例えば3つ)のシンクライアント端末11と、その複数のシンクライアント端末11に対応する複数の仮想端末12が構築されたサーバ13と、複数(例えば2つ)のOHR14とを備える。また、サーバ13は、その複数のOHR14の各々の補正情報がフォルダ毎に記憶されたストレージ15を備える。ここで、シンクライアント端末11は端末の一例であり、OHR14は画像読取装置の一例であり、ストレージ15は記憶装置の一例である。
【0023】
複数のシンクライアント端末11、サーバ13、及び複数のOHR14は、LAN等のネットワーク16に接続される。複数の仮想端末12とストレージ15は、サーバ13がネットワーク16に接続されることで、ネットワーク16に接続可能となる。なお、このようなシステム1は、仮想端末12とOHR14がN対N接続(多対多接続)されたシステム構成を有するシステムでもある。このようなシステム1では、利用者がシンクライアント端末11(例えばシンクライアント端末(#A)11)を操作することで、対応する仮想端末12(例えば仮想端末(#A)12)を操作することができる。
【0024】
ストレージ15は、図1に例示したように、サーバ13が備えるストレージであってもよいし、あるいは、サーバ13の外部でネットワーク16に接続されるNAS(Network Attached Storage)等であってもよい。ストレージ15には、例えば、OHR(#A)14の補正情報が「OHR#A」フォルダに記憶され、OHR(#B)14の補正情報が「OHR#B」フォルダに記憶される。
【0025】
各仮想端末12は、上位アプリケーション17、OHRドライバ18、仮想レジストリ19を備える。各仮想端末12の仮想レジストリ19には、当該仮想端末12により使用されるOHR14の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパスが記憶される。例えば、仮想端末(#A)12と仮想端末(#B)12では、使用するOHR14としてOHR(#A)14が設定されており、仮想端末(#C)12では、使用するOHR14としてOHR(#B)14が設定されている場合は、仮想端末(#A)12と仮想端末(#B)12の各々の仮想レジストリ19には、OHR(#A)14の補正情報が記憶された「OHR#A」フォルダのフォルダパス(「Z:¥OHR#A」)が記憶され、仮想端末(#C)12の仮想レジストリ19には、OHR(#B)14の補正情報が記憶された「OHR#B」フォルダのフォルダパス(「Z:¥OHR#B」)が記憶される。なお、複数のOHR14の各々の補正情報は、当該OHR14の周囲環境の状態(明るさや影等)や当該OHR14の個体誤差を補正するための情報であり、当該OHR14により読み取られた画像を補正する際に用いられる。
【0026】
このようなシステム1では、仮想端末12(例えば仮想端末(#A)12)が、当該仮想端末12の仮想レジストリ19に記憶されたフォルダパス(例えば「Z:¥OHR#A」)に基づいて、ストレージ15から、当該仮想端末12により使用されるOHR14(例えばOHR(#A)14)の補正情報を取得する。
【0027】
また、仮想端末12(例えば仮想端末(#A)12)により使用されるOHR14が切り替えられた場合(例えばOHR(#A)14からOHR(#B)14へ切り替えられた場合)、当該仮想端末12の仮想レジストリ19に記憶されたフォルダパス(例えば「Z:¥OHR#A」)が、切替後のOHR14の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパス(例えば「Z:¥OHR#B」)へ更新される。
【0028】
また、OHR14(例えばOHR(#A)14)のキャリブレーションが実行された場合、ストレージ15に記憶された当該OHR14の補正情報が、キャリブレーションの実行結果に基づく補正情報へ更新される。
【0029】
以下、このようなシステム1で行われる各種処理について、図2図5を用いて、より具体的に説明する。
【0030】
図2は、一実施の形態に係るシステムで行われるOPEN処理の流れを例示するフローチャートである。ここでは、そのOPEN処理が仮想端末(#A)12で行われる場合を例に説明する。
【0031】
図2に例示したOPEN処理では、まず、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、仮想端末(#A)12(シンクライアント端末(#A)11)の利用者の指示に応じて、接続先とするOHR14(仮想端末(#A)12が使用するOHR14)を選択する(ステップ(以下「S」という)11)。ここでは、OHR(#A)14が選択されたとする。
【0032】
次に、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、S11で選択されたOHR(#A)14を、接続先とするOHR14(仮想端末(#A)12が使用するOHR14)として設定する(S12)。
【0033】
次に、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、S11で選択されたOHR(#A)14の補正情報が記憶された「OHR#A」フォルダのフォルダパス(「Z:¥OHR#A」)を、仮想端末(#A)12の仮想レジストリ19に記憶されたフォルダパス(OHR14の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパス)に上書き更新する(S13)。但し、この時に、仮想端末(#A)12の仮想レジストリ19に、OHR14の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパスが記憶されていない場合には、S11で選択されたOHR(#A)14の補正情報が記憶された「OHR#A」フォルダのフォルダパス(「Z:¥OHR#A」)を、OHR14の補正情報が記憶されたフォルダのフォルダパスとして、仮想端末(#A)12の仮想レジストリ19に記憶する。なお、各仮想端末12は、各OHR14の補正情報が記憶されるフォルダのフォルダパスに関する情報が記憶された仮想ストレージを備えるようにし、S13では、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17が、S11で選択されたOHR(#A)14の補正情報が記憶された「OHR#A」フォルダのフォルダパス(「Z:¥OHR#A」)を仮想ストレージから取得し、上述の上書き更新(又は記憶)を行うようにしてもよい。
【0034】
次に、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、仮想端末(#A)12のOHRドライバ18にドライバOPENをリクエストする(S14)。それに応じて仮想端末(#A)12のOHRドライバ18は、仮想端末(#A)12の仮想レジストリ19を参照してOHR(#A)14の補正情報が記憶された「OHR#A」フォルダのフォルダパス(「Z:¥OHR#A」)を取得し(S15)、そのフォルダパスを基にストレージ15の「OHR#A」フォルダにアクセスしてOHR(#A)14の補正情報を取得する(S16)。S16が終了すると、図2に例示したOPEN処理が終了する。
【0035】
図3は、一実施の形態に係るシステムで行われる画像読取処理の流れを例示するフローチャートである。ここでは、その画像読取処理が仮想端末(#A)12で行われる場合を例に説明する。なお、画像読取処理は、OPEN処理が終了した状態(アイドル状態ともいう)で行われる。
【0036】
図3に例示した画像読取処理では、まず、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、仮想端末(#A)12のOHRドライバ18に画像読取をリクエストする(S21)。それに応じて仮想端末(#A)12のOHRドライバ18は、OHR(#A)14に画像読取をリクエストする(S22)。それに応じてOHR(#A)14は、媒体(例えば帳票)を画像として読み取り、その読取画像を仮想端末(#A)12のOHRドライバ18に転送する(S23)。
【0037】
仮想端末(#A)12のOHRドライバ18は、OHR(#A)14から転送された読取画像を、上述のOPEN処理で取得された補正情報を用いて補正し(S24)、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17に転送する(S25)。S25が終了すると、図3に例示した画像読取処理が終了する。
【0038】
図4は、一実施の形態に係るシステムで行われるキャリブレーション処理の流れを例示するフローチャートである。ここでは、キャリブレーション対象のOHR14をOHR(#A)14とし、そのキャリブレーション処理が仮想端末(#A)12で行われる場合を例に説明する。
【0039】
図4に例示したキャリブレーション処理では、まず、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、仮想端末(#A)12のOHRドライバ18にドライバCLOSEをリクエストする(S31)。それに応じて仮想端末(#A)12のOHRドライバ18は、ドライバCLOSEを実行して、実行終了を仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17に応答する(S32)。
【0040】
次に、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、仮想端末(#A)12のOHRドライバ18にOHR(#A)14のキャリブレーションをリクエストする(S33)。それに応じて仮想端末(#A)12のOHRドライバ18は、仮想端末(#A)12の仮想レジストリ19から「OHR#A」フォルダのフォルダパス(「Z:¥OHR#A」)を取得し(S34)、OHR(#A)14に複数回の画像読取をリクエストする(S35)。それに応じてOHR(#A)14は、媒体(例えばキャリブレーション用の媒体)を画像として複数回読み取り、その複数の読取画像を仮想端末(#A)12のOHRドライバ18に転送する(S36)。
【0041】
仮想端末(#A)12のOHRドライバ18は、OHR(#A)14から転送された複数の読取画像に基づいてOHR(#A)14の補正情報を作成し(S37)、その補正情報を、S34で取得されたフォルダパス(「Z:¥OHR#A」)が示すストレージ15の「OHR#A」フォルダに記憶されている補正情報に上書き更新する(S38)。但し、この時のストレージ15の「OHR#A」フォルダに補正情報が記憶されていなければ、作成した補正情報をストレージ15の「OHR#A」フォルダに記憶する。S38が終了すると、仮想端末(#A)12のOHRドライバ18は、キャリブレーション終了を仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17に応答する(S39)。S39が終了すると、図4に例示したキャリブレーション処理が終了する。なお、この後に画像読取処理が行われる場合には、その前にドライバOPEN処理が行われてから画像読取処理が行われる。
【0042】
図5は、一実施の形態に係るシステムで行われる接続先OHR切替処理の流れを例示するフローチャートである。ここでは、仮想端末(#A)12の接続先のOHR14を、OHR(#A)14からOHR(#B)14へ切り替えるために、仮想端末(#A)12で接続先OHR切替処理が行われる場合を例に説明する。
【0043】
図5に例示した接続先OHR切替処理では、まず、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、仮想端末(#A)12のOHRドライバ18にドライバCLOSEをリクエストする(S41)。それに応じて仮想端末(#A)12のOHRドライバ18は、ドライバCLOSEを実行して、実行終了を仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17に応答する(S42)。
【0044】
次に、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、仮想端末(#A)12(シンクライアント端末(#A)11)の利用者の指示に応じて、切替後の接続先とするOHR14(仮想端末(#A)12が使用するOHR14)を選択する(S43)。ここでは、OHR(#B)14が選択されたとする。
【0045】
次に、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、S43で選択されたOHR(#B)14を、接続先とするOHR14(仮想端末(#A)12が使用するOHR14)として設定する(S44)。
【0046】
次に、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、S43で選択されたOHR(#B)14の補正情報が記憶された「OHR#B」フォルダのフォルダパス(「Z:¥OHR#B」)を、仮想端末(#A)12の仮想レジストリ19に記憶されたフォルダパス(「Z:¥OHR#A」)に上書き更新する(S45)。
【0047】
次に、仮想端末(#A)12の上位アプリケーション17は、仮想端末(#A)12のOHRドライバ18にドライバOPENをリクエストする(S46)。それに応じて仮想端末(#A)12のOHRドライバ18は、仮想端末(#A)12の仮想レジストリ19を参照してOHR(#B)14の補正情報が記憶された「OHR#B」フォルダのフォルダパス(「Z:¥OHR#B」)を取得し(S47)、そのフォルダパスを基にストレージ15の「OHR#B」フォルダにアクセスしてOHR(#B)14の補正情報を取得する(S48)。S48が終了すると、図5に例示した接続先OHR切替処理が終了する。
【0048】
以上のように、本実施形態に係るシステム1によれば、各OHR14の補正情報がフォルダ毎にストレージ15に記憶されるので、図8を用いて説明したシステム構成のように仮想端末1012毎に全てのOHR1014の補正情報を記憶する必要が無い。そのため、サーバ13において、OHR14の補正情報の記憶に必要な記憶容量を少なくすることができ、上述の課題(1)のような課題は存在しない。
【0049】
また、本実施形態に係るシステム1によれば、OHR14のキャリブレーションを実行して補正情報の更新を行う場合は、ストレージ15の対応する単一のフォルダに記憶された補正情報を更新するだけでよいので、図8を用いて説明したシステム構成のように各仮想端末1012の仮想ストレージ1019のフォルダに記憶された補正情報を更新する必要が無い。そのため、補正情報の更新時に、ネットワーク16のトラフィックが増大することはなく、上述の課題(2)のような課題は存在しない。
【0050】
また、本実施形態に係るシステム1によれば、各仮想端末12の仮想レジストリ19には、単一のOHR14の補正情報のみが記憶されたフォルダのフォルダパスが記憶されるので、図8を用いて説明したシステム構成における上述の課題(3)のような課題は存在しない。
【0051】
このように、本実施形態に係るシステム1によれば、仮想端末12とOHR14がN対N接続されるシステム構成を有効に実現することができる。
【0052】
なお、本実施形態に係るシステム1において、サーバ13は、例えば、図6に示すハードウェア構成を有するコンピュータにより実現されてもよい。
【0053】
図6は、コンピュータのハードウェア構成を例示する図である。図6に例示したコンピュータ100は、プロセッサ101、メモリ102、入力装置103、出力装置104、記憶装置105、可搬型記憶媒体駆動装置106、通信インタフェース107、及び入出力インタフェース108を備え、その各々は、バス109に接続されて互いにデータの送受信が可能である。
【0054】
プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)等であり、OS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムを実行することにより、各種の処理を行う。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。RAMには、プロセッサ101が実行するプログラムの一部等が一時的に格納される。また、RAMは、プロセッサ101の作業用記憶領域としても使用される。ROMには、プロセッサ101が実行するプログラムやプログラムの実行に必要な各種データ等が記憶される。
【0055】
入力装置103は、キーボード、マウス、タッチパネル等である。出力装置104は、液晶ディスプレイ等である。
【0056】
記憶装置105は、データを記憶する装置であり、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。可搬型記憶媒体駆動装置106は、可搬型記憶媒体106aを駆動し、その記憶内容にアクセスしてデータの読み出しや書き込み等を行う。可搬型記憶媒体106aは、メモリデバイス、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク等である。この可搬型記憶媒体106aには、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカードメモリ等も含まれる。
【0057】
通信インタフェース107は、ネットワーク16に接続され、当該ネットワーク16に接続された外部装置(例えばシンクライアント端末11やOHR14)との間で通信を行うためのインタフェースである。
【0058】
入出力インタフェース108は、外部装置(例えば外部記憶装置)と接続され、当該外部装置との間でデータの入出力を行うためのインタフェースである。
【0059】
このようなコンピュータ100において、プロセッサ101が実行するプログラムやプログラムの実行に必要な各種データは、メモリ102に限らず、記憶装置105や可搬型記憶媒体106aに記憶されてもよい。また、プロセッサ101が実行するプログラムやプログラムの実行に必要な各種データは、外部装置からネットワーク16、通信インタフェース107を介して、メモリ102、記憶装置105、及び可搬型記憶媒体106aのうちの1つ以上に記憶されてもよい。
【0060】
また、コンピュータ100は、図6に例示したものに限らず、図6に例示した各構成要素を1つ又は複数備えて構成されてもよいし、一部の構成要素を備えずに構成されてもよい。例えば、コンピュータ100は、1つのプロセッサ101に限らず、複数のプロセッサを備えてもよい。また、コンピュータ100は、入力装置103及び出力装置104を備えていなくてもよい。
【0061】
また、コンピュータ100は、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されてもよい。例えば、プロセッサ101は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0062】
なお、サーバ13がコンピュータ100により実現される場合、ストレージ15は、例えば、記憶装置105により実現されてもよい。また、複数の仮想端末12は、プロセッサ101がプログラムを実行すること等により実現されてもよい。
【0063】
また、シンクライアント端末11も、例えば、図6に示すハードウェア構成を有するコンピュータにより実現されてもよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 システム
11 シンクライアント端末
12 仮想端末
13 サーバ
14 OHR
15 ストレージ
16 ネットワーク
17 上位アプリケーション
18 OHRドライバ
19 仮想レジストリ
100 コンピュータ
101 プロセッサ
102 メモリ
103 入力装置
104 出力装置
105 記憶装置
106 可搬型記憶媒体駆動装置
106a 可搬型記憶媒体
107 通信インタフェース
108 入出力インタフェース
109 バス
1001 端末
1002 OHR
1003 ストレージ
1004 レジストリ
1005 OHRドライバ
1006 上位アプリケーション
1011 シンクライアント端末
1012 仮想端末
1013 サーバ
1014 OHR
1015 ネットワーク
1016 上位アプリケーション
1017 OHRドライバ
1018 仮想レジストリ
1019 仮想ストレージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8