(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-12
(45)【発行日】2025-09-24
(54)【発明の名称】電波反射板
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/14 20060101AFI20250916BHJP
【FI】
H01Q15/14 Z
(21)【出願番号】P 2023527568
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 JP2022019637
(87)【国際公開番号】W WO2022259790
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2025-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2021096632
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖田 光隆
(72)【発明者】
【氏名】岡 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】新木 盛右
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大一
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-530387(JP,A)
【文献】DOYLE,D.T.,"Development of Liquid Crystal Reflectarrays Utilizing a Passive Matrix Control Scheme",2014 IEEE Antennas and Propagation Society Interenational Symposium,2014年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び前記第1主面とは反対側の第2主面を有し第1領域及び前記第1領域の外側の第2領域に位置した第1基材と、前記第1領域に位置し前記第1主面と対向し互いに直交するX軸及びY軸のそれぞれに沿って間隔を置いてマトリクス状に並べられた複数のパッチ電極と、を有する第1基板と、
前記第1主面と対向した第3主面及び前記第3主面とは反対側の第4主面を有し前記第1領域及び前記第2領域に位置した第2基材と、前記第1領域に位置し前記第1基板と前記第3主面との間に設けられ前記X軸及び前記Y軸のそれぞれに直交するZ軸に平行な方向にて前記複数のパッチ電極と対向した共通電極と、を有する第2基板と、
前記第2領域に位置し前記第1基板と前記第2基板とを接合したシール材と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、前記シール材で囲まれた液晶層と、
前記第2領域に位置した電波吸収体と、を備える、電波反射板。
【請求項2】
前記第2領域を反射面として入射する電波に対する反射波の強度は、前記第1領域を反射面として入射する電波に対する反射波の強度よりも小さい、請求項1に記載の電波反射板。
【請求項3】
前記電波吸収体は、
第1導電層と、
前記第1導電層より電波が入射する入射面側に設けられ前記Z軸に平行な方向にて前記第1導電層と対向した第2導電層と、
前記第1導電層と前記第2導電層との間に挟まれた誘電体層と、を有し、
前記複数のパッチ電極は、前記第2基板と前記入射面との間に位置している、請求項1に記載の電波反射板。
【請求項4】
前記第1導電層は、金属で形成され、
前記第2導電層は、前記第1導電層より電気抵抗の高い導電材料で形成されている、請求項3に記載の電波反射板。
【請求項5】
前記第2導電層は、透明な導電材料で形成されている、請求項4に記載の電波反射板。
【請求項6】
前記第2導電層は、200乃至500Ω/□のシート抵抗値を有する、請求項4に記載の電波反射板。
【請求項7】
前記第1導電層は、グランドに電気的に接続され、又は電気的にフローティング状態にあり、
前記第2導電層は、電気的にフローティング状態にある、請求項3に記載の電波反射板。
【請求項8】
前記第2導電層は、複数の周波数選択板を有する、請求項7に記載の電波反射板。
【請求項9】
前記複数のパッチ電極、前記共通電極、前記第1導電層、及び前記複数の周波数選択板は、それぞれ金属で形成され、
前記複数のパッチ電極は、同一の形状及び同一のサイズを有し、
各々の前記周波数選択板は、前記パッチ電極の形状と異なる形状及び前記パッチ電極のサイズと異なるサイズの少なくとも一方を有している、請求項8に記載の電波反射板。
【請求項10】
前記誘電体層は、前記第1基材を有している、請求項3に記載の電波反射板。
【請求項11】
前記Z軸に平行な方向にて、前記誘電体層の厚みは、前記第1基材の厚みと異なる、請求項3に記載の電波反射板。
【請求項12】
前記第1基材を有し前記第1領域及び前記第2領域に位置し前記第1主面と電波が入射する入射面との間に設けられた誘電体層をさらに備え、
前記複数のパッチ電極は、前記第2基板と前記入射面との間に位置し、
前記電波吸収体は、前記誘電体層の前記第2領域に位置する部分を有し、
前記Z軸に平行な方向にて、前記誘電体層の前記第2領域の厚みは、前記誘電体層の前記第1領域の厚みと異なる、請求項1に記載の電波反射板。
【請求項13】
前記誘電体層は、前記第2主面と対向し前記第1領域に位置した誘電体基板をさらに有し、
前記誘電体層の前記第2領域の前記厚みは、前記誘電体層の前記第1領域の前記厚みより小さい、請求項12に記載の電波反射板。
【請求項14】
前記誘電体層は、前記第2主面と対向し前記第2領域に位置した誘電体基板をさらに有し、
前記誘電体層の前記第2領域の前記厚みは、前記誘電体層の前記第1領域の前記厚みより大きい、請求項12に記載の電波反射板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電波反射板に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的に指向性を制御できるフェーズドアレイアンテナに使用する移相器として、液晶を利用した移相器の開発が行われている。フェーズドアレイアンテナでは、対応する移相器から高周波信号が伝送される複数のアンテナ素子は、1次元(又は2次元)に並べられている。上記のようなフェーズドアレイアンテナにおいて、隣り合うアンテナ素子に入力する高周波信号の位相差が一定となるよう、液晶の誘電率を調整する必要がある。
【0003】
また、フェーズドアレイアンテナと同様に液晶を利用して電波の反射方向を制御できる電波反射板の検討も行われている。この電波反射板において、反射電極を有する反射制御部が1次元(又は2次元)に並べられている。電波反射板においても、反射される電波の位相差が隣り合う反射制御部間で一定となるよう、液晶の誘電率を調整する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-103201号公報
【文献】特表2019-530387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、反射特性に優れた電波反射板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る電波反射板は、
第1主面及び前記第1主面とは反対側の第2主面を有し第1領域及び前記第1領域の外側の第2領域に位置した第1基材と、前記第1領域に位置し前記第1主面と対向し互いに直交するX軸及びY軸のそれぞれに沿って間隔を置いてマトリクス状に並べられた複数のパッチ電極と、を有する第1基板と、
前記第1主面と対向した第3主面及び前記第3主面とは反対側の第4主面を有し前記第1領域及び前記第2領域に位置した第2基材と、前記第1領域に位置し前記第1基板と前記第3主面との間に設けられ前記X軸及び前記Y軸のそれぞれに直交するZ軸に平行な方向にて前記複数のパッチ電極と対向した共通電極と、を有する第2基板と、
前記第2領域に位置し前記第1基板と前記第2基板とを接合したシール材と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、前記シール材で囲まれた液晶層と、
前記第2領域に位置した電波吸収体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電波反射板を示す断面図である。
【
図3】
図3は、上記電波反射板の一部を示す拡大断面図である。
【
図4】
図4は、上記パッチ電極を示す拡大平面図である。
【
図5】
図5は、上記電波反射板の一部を示す拡大断面図であり、単一の反射制御部を示す図である。
【
図6】
図6は、上記電波反射板の一部を示す拡大断面図であり、複数の反射制御部を示す図である。
【
図7】
図7は、上記第1の実施形態の電波反射板の駆動方法において、期間毎にパッチ電極に印加する電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、上記第1の実施形態の第1実施例に係る電波反射板を示す断面図である。
【
図9】
図9は、上記第1の実施形態の第2実施例に係る電波反射板を示す断面図である。
【
図10】
図10は、上記第1の実施形態の第3実施例に係る電波反射板を示す断面図である。
【
図11】
図11は、上記第1の実施形態の第3実施例に係る電波反射板の一部を示す拡大断面図であり、第1導電層の電位を固定するための第1手段を説明するための図である。
【
図12】
図12は、上記第1の実施形態の第3実施例に係る電波反射板の一部とケーブルとを示す拡大断面図であり、第1導電層の電位を固定するための第2手段を説明するための図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態の第1実施例に係る電波反射板を示す断面図である。
【
図14】
図14は、上記第2の実施形態の上記第1実施例の電波反射板の一部を示す拡大断面図であり、複数のパッチ電極、複数の周波数選択板、及びシール材を示す図である。
【
図15】
図15は、上記複数の周波数選択板の第1変形例を示す拡大断面図であり、複数のパッチ電極、及び複数の周波数選択板を示す図である。
【
図16】
図16は、上記複数の周波数選択板の第2変形例を示す拡大断面図であり、複数のパッチ電極、及び複数の周波数選択板を示す図である。
【
図17】
図17は、上記複数の周波数選択板の第3変形例を示す拡大断面図であり、複数のパッチ電極、及び複数の周波数選択板を示す図である。
【
図18】
図18は、上記第2の実施形態の第2実施例に係る電波反射板を示す断面図である。
【
図19】
図19は、上記第2の実施形態の第3実施例に係る電波反射板を示す断面図である。
【
図20】
図20は、第3の実施形態の第1実施例に係る電波反射板を示す断面図である。
【
図21】
図21は、上記第3の実施形態の第2実施例に係る電波反射板を示す断面図である。
【
図22】
図22は、第4の実施形態に係る電波反射板を示す平面図である。
【
図23】
図23は、上記第4の実施形態に係る反射装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電波反射板REを示す断面図である。電波反射板REは、電波を反射させることができ、電波のための中継装置として機能している。
【0010】
図1に示すように、電波反射板REは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、を備えている。第1基板SUB1は、電気絶縁性の基材1と、複数のパッチ電極PEと、配向膜AL1と、有している。第1基材としての基材1は、平板状に形成され、互いに直交するX軸及びY軸を含むX-Y平面に沿って延在している。配向膜AL1は、複数のパッチ電極PEを覆っている。
【0011】
第2基板SUB2は、第1基板SUB1に所定の隙間を空けて対向配置されている。第2基板SUB2は、電気絶縁性の基材2と、共通電極CEと、配向膜AL2と、を有している。第2基材としての基材2は、平板状に形成され、X-Y平面に沿って延在している。基材1及び基材2は、ガラスで形成されている。但し、基材1及び基材2は、樹脂等、ガラス以外の絶縁材料で形成されてもよい。
【0012】
共通電極CEは、X軸及びY軸のそれぞれに直交するZ軸に平行な方向にて複数のパッチ電極PEと対向している。複数のパッチ電極PE、共通電極CE等は、反射領域RAに位置している。配向膜AL2は、共通電極CEを覆っている。本実施形態において、配向膜AL1及び配向膜AL2は、それぞれ水平配向膜である。
【0013】
第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、それぞれの周縁部に配置されたシール材SEにより接合されている。シール材SEは、反射領域RAの外側の非反射領域NRAに位置している。液晶層LCは、第1基板SUB1、第2基板SUB2、及びシール材SEで囲まれた空間に設けられている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持されている。液晶層LCは、一方で複数のパッチ電極PEと対向し、他方で共通電極CEと対向している。
【0014】
ここで、液晶層LCの厚み(セルギャップ)をdlとする。厚みdlは、通常の液晶表示パネルの液晶層の厚みより大きく、例えば一般的な液晶表示装置の5~20倍程度で構成される。本実施形態において、厚みdlは50μmである。但し、電波の反射位相を十分に調整できるのであれば、厚みdlは、50μm未満であってもよい。又は、電波の反射角を大きくするため、厚みdlは、50μmを超えてもよい。電波反射板REの液晶層LCに使用する液晶材料は、通常の液晶表示パネルに使用する液晶材料と異なっている。なお、上述した電波の反射位相に関しては後述する。
【0015】
共通電極CEにはコモン電圧が印加され、共通電極CEの電位は固定される。本実施形態において、コモン電圧は0Vである。パッチ電極PEにも電圧が印加される。本実施形態において、パッチ電極PEは、交流駆動される。液晶層LCは、いわゆる縦電界により駆動される。パッチ電極PEと共通電極CEとの間に印加される電圧が液晶層LCに作用することで、液晶層LCの誘電率は変化する。
【0016】
液晶層LCの誘電率が変わると、液晶層LCにおける電波の伝搬速度も変わる。そのため、液晶層LCに作用させる電圧を調整することで、電波の反射位相を調整することができる。ひいては、電波の反射方向を調整することができる。本実施形態において、液晶層LCに作用させる電圧の絶対値は、10V以下である。10Vで液晶層LCの誘電率が飽和状態となるためである。但し、液晶層LCに作用させる電圧の絶対値は、10Vを超えてもよい。例えば、液晶の応答速度の向上が求められる場合、10Vを超える電圧を液晶層LCに作用させた後、10V以下の電圧を液晶層LCに作用させてもよい。
第1基板SUB1は、第2基板SUB2と対向する側とは反対側に入射面Saを有している。なお、図中、入射波w1は電波反射板REに入射される電波であり、反射波w2は電波反射板REで反射された電波である。
【0017】
図2は、
図1に示した電波反射板REを示す平面図である。図中、シール材SEにドットパターンを付している。
図2に示すように、複数のパッチ電極PEは、X軸及びY軸のそれぞれに沿って間隔を置いてマトリクス状に並べられている。X-Y平面において、複数のパッチ電極PEは、同一形状及び同一サイズを有している。
【0018】
複数のパッチ電極PEは、反射領域RAに位置し、X軸に沿って等間隔に並べられ、Y軸に沿って等間隔に並べられている。第1基板SUB1は、複数の信号配線SL、複数の制御配線GL、複数のスイッチング素子SW、駆動回路DR、及び複数のリード線LEを有している。
【0019】
第1基板SUB1のうち第2基板SUB2と対向していない領域に、駆動回路DCが実装されている。駆動回路DCは、集積回路で構成されている。駆動回路DCは、アウターリードボンディング(OLB)のパッドpに接続されている。
【0020】
複数の信号配線SLは、Y軸に沿って延在し、X軸に沿った方向に並べられている。信号配線SLは、駆動回路DCに接続されている。複数の制御配線GLは、X軸に沿って延在しY軸に沿った方向に並べられている。信号配線SL及び制御配線GLは、反射領域RA及び非反射領域NRAを延在している。駆動回路DRは、非反射領域NRAに位置している。複数の制御配線GLは、駆動回路DRに接続されている。
【0021】
スイッチング素子SWは、一の信号配線SLと一の制御配線GLとの交差部近傍に設けられ、一の信号配線SLと一の制御配線GLとに電気的に接続されている。複数のリード線LEは、一方で駆動回路DRに接続され、他方でOLBのパッドpに接続されている。リード線LEは、駆動回路DCに接続されてもよい。パッチ電極PE、信号配線SL、制御配線GL、及び上記共通電極CEは、金属、又は金属に準ずる導体で形成されている。
【0022】
パッチ電極PE、上記共通電極CE等の導体は、いわゆるTAT又はMAMで形成されてもよい。
【0023】
パッチ電極PEがTATで形成される場合、パッチ電極PEは三層積層構造(Ti系/Al系/Ti系)を採用している。パッチ電極PEは、Ti(チタン)、Tiを含む合金などTiを主成分とする金属材料からなる下層と、Al(アルミニウム)、Alを含む合金などAlを主成分とする金属材料からなる中間層と、Ti、Tiを含む合金などTiを主成分とする金属材料からなる上層と、を有している。
【0024】
パッチ電極PEがMAMで形成される場合、パッチ電極PEは三層積層構造(Mo系/Al系/Mo系)を採用している。パッチ電極PEは、Mo、Moを含む合金などMoを主成分とする金属材料からなる下層と、Al、Alを含む合金などAlを主成分とする金属材料からなる中間層と、Mo、Moを含む合金などMoを主成分とする金属材料からなる上層と、を有している。
例えば、パッチ電極PE、信号配線SL、及び制御配線GLは、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)等の透明な導電材料で形成されてもよい。
【0025】
シール材SEは、非反射領域NRAに位置し、第1基板SUB1と第2基板SUB2とが対向した領域の周縁部に配置されている。なお、上述した液晶層LCは、滴下注入法により形成されているが、毛細管現象を利用した液晶注入法により形成されてもよい。後者の場合、シール材SEに液晶注入口が形成され、第1基板SUB1、第2基板SUB2、及びシール材SEで囲まれた空間内に液晶注入口から液晶材料が注入され、液晶注入口は封止材で封止される。
【0026】
図2には、X軸に沿った方向及びY軸に沿った方向にそれぞれ8個のパッチ電極PEが並べられた例を示した。但し、パッチ電極PEの個数は、種々変形可能である。例示すると、パッチ電極PEは、X軸に沿った方向に100個並べられ、Y軸に沿った方向に複数個(例えば100個)並べられてもよい。電波反射板RE(第1基板SUB1)のX軸に沿った方向の長さは、例えば40乃至80cmである。
【0027】
図3は、本実施形態に係る電波反射板REの一部を示す拡大断面図である。
図3に示すように、第1基板SUB1において、基材1の上に、絶縁層11、絶縁層12、絶縁層13、絶縁層14、絶縁層15、絶縁層16、絶縁層17、及び配向膜AL1が順に形成されている。絶縁層11乃至17は、それぞれ無機絶縁層又は有機絶縁層で形成されている。本実施形態において、絶縁層16は、有機絶縁層であり、例えば樹脂で形成されている。
【0028】
絶縁層11乃至15及び17は、それぞれ無機絶縁層である。絶縁層11はSiO(シリコン酸化物)で形成されている。絶縁層12は、SiNで形成された下層と、SiOで形成された上層と、を有している。絶縁層13はSiOで形成されている。絶縁層14はSiNで形成されている。絶縁層15はSiO又はSiNで形成されている。絶縁層17はSiNで形成されている。
【0029】
制御配線GL及び導電層CO1は、絶縁層11の上に設けられ、絶縁層12で覆われている。絶縁層12の上に半導体層SMCが設けられている。半導体層SMCは、制御配線GLに重ねられている。半導体層SMCは、透明な半導体である酸化物半導体(OS)で形成されている。酸化物半導体の体表的な例としては、例えば、インジウムガリウム亜鉛酸化物(InGaZnO)、インジウムガリウム酸化物(InGaO)、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)、亜鉛スズ酸化物(ZnSnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、及び透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)等が挙げられる。但し、半導体層SMCは、酸化物半導体に限らず、非晶質シリコン又は多結晶シリコンとしての低温多結晶シリコンで形成されてもよい。
【0030】
導電層CO2及び接続配線層CL1は、絶縁層12及び半導体層SMCの上に設けられ、絶縁層13で覆われている。接続配線層CL1は、絶縁層12に形成されたコンタクトホールを通り導電層CO1に接触している。導電層CO2及び接続配線層CL1は、半導体層SMCに接触し、電気的に接続されている。半導体層SMCのうち導電層CO2が接続された領域と接続配線層CL1が接続された領域とおいて、一方がソース領域であり、他方がドレイン領域である。そして、半導体層SMCは、ソース領域とドレイン領域との間にチャネル領域を有している。
【0031】
ゲート電極GEは、絶縁層13の上に設けられ、絶縁層14で覆われている。ゲート電極GEは、制御配線GLに電気的に接続されている。ゲート電極GEは、半導体層SMCのうち少なくともチャネル領域に重なっている。制御配線GL、半導体層SMC、ゲート電極GE等は、TFT(薄膜トランジスタ)としてのスイッチング素子SWを構成している。
【0032】
制御配線GLのうち半導体層SMCに重なった領域は、ゲート電極として機能している。そのため、スイッチング素子SWは、デュアルゲート型のTFTである。但し、スイッチング素子SWは、ボトムゲート型のTFT又はトップゲート型のTFTであってもよい。
【0033】
導電層CO3及び接続配線層CL2は、絶縁層14の上に設けられ、絶縁層15で覆われている。導電層CO3は、絶縁層14に形成されたコンタクトホールを通りゲート電極GEに接触している。接続配線層CL2は、絶縁層13,14に形成されたコンタクトホールを通り接続配線層CL1に接触している。
【0034】
絶縁層16及び絶縁層17は、絶縁層15の上に順に設けられている。パッチ電極PEは、絶縁層17の上に設けられ、配向膜AL1で覆われている。パッチ電極PEは、絶縁層15,16,17に形成されたコンタクトホールを通り接続配線層CL2に接触している。
【0035】
基材2のうち第1基板SUB1と対向する側の面に、共通電極CE及び配向膜AL2が順に設けられている。
制御配線GL、導電層CO1,CO2,CO3、接続配線層CL1,CL2、及びゲート電極GEは、低抵抗の導電材料として金属で形成されている。制御配線GL及びゲート電極GEは、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、又はそれらの合金で形成されてもよい。接続配線層CL1,CL2は、TAT又はMAMで形成されてもよい。
【0036】
図2及び
図3に示すように、複数のパッチ電極PEをアクティブマトリクス駆動により個別に駆動することができる。そのため、複数のパッチ電極PEを独立して駆動することができる。例えば、電波反射板REが反射する反射波w2の方向を、X-Z平面に平行な方向としたり、Y-Z平面に平行な方向としたり、することができる。
又は、電波反射板REが反射する反射波w2の方向を、X-Z平面及びY-Z平面以外の第3の平面に平行な方向とすることができる。なお、第3の平面は、Z軸と、X-Y平面のうちX軸及びY軸以外の第3の軸とで規定される面である。各々のパッチ電極PEを独立して駆動することができるため、電波反射板REが反射する反射波w2の反射方向の自由度を高めることができる。
【0037】
図4は、上記パッチ電極PEを示す拡大平面図である。
図4に示すように、パッチ電極PEは、正方形の形状を有している。パッチ電極PEの形状は得に限定されるものではないが、正方形や真円が望ましい。パッチ電極PEの外形に注目すると、縦横のアスペクト比が1:1となる形状が望ましい。なぜなら、横偏波及び縦偏波に対応するためには、パッチ電極PEが90°の回転対称構造を持つことが望ましいためである。
【0038】
パッチ電極PEは、X軸に沿った方向に長さPxを有し、Y軸に沿った方向に長さPyを有している。長さPx及び長さPyは、入射波w1の周波数帯に応じて調整した方が望ましい。次に、上記入射波w1の周波数帯と、長さPx及び長さPyと、の望ましい関係を例示する。
2.4GHz: Px=Py=35mm
5.0GHz: Px=Py=16.8mm
28GHz: Px=Py=3.0mm
【0039】
図5は、電波反射板REの一部を示す拡大断面図であり、単一の反射制御部RHを示す図である。
図5において、
図3に示した基材1等の図示を省略している。
図5に示すように、液晶層LCの厚みd
l(セルギャップ)は、複数のスペーサSSにより保持されている。本実施形態において、スペーサSSは、柱状スペーサであり、第2基板SUB2に形成され、第1基板SUB1側に突出している。
【0040】
スペーサSSの幅は10乃至20μmである。パッチ電極PEの長さPx及び長さPyがmmオーダーであるのに対し、スペーサSSの幅はμmオーダーである。そのため、パッチ電極PEと対向する領域に複数のスペーサSSを存在させる必要がある。また、パッチ電極PEと対向する領域のうち、複数のスペーサSSが存在する領域の割合は1%程度である。
【0041】
そのため、上記領域にスペーサSSが存在しても、スペーサSSが反射波w2に及ぼす影響は僅かである。なお、スペーサSSは、第1基板SUB1に形成され、第2基板SUB2側に突出してもよい。又は、スペーサSSは球状スペーサであってもよい。
【0042】
電波反射板REは、複数の反射制御部RHを備えている。各々の反射制御部RHは、複数のパッチ電極PEのうち一のパッチ電極PEと、共通電極CEのうち上記一のパッチ電極PEと対向した部分と、液晶層LCののうち一のパッチ電極PEと対向した領域と、を有している。
【0043】
図6、電波反射板REの一部を示す拡大断面図であり、複数の反射制御部RHを示す図である。
図6において、基材1、スペーサSS等の図示を省略している。
図6に示すように、各々の反射制御部RHは、パッチ電極PEに印加される電圧に応じて入射面Sa側から入射される電波(入射波w1)の位相を調整し、電波を入射面Sa側に反射させ、反射波w2とするように機能する。各々の反射制御部RHにおいて、反射波w2は、パッチ電極PEで反射した電波と共通電極CEで反射した電波との合成波である。
【0044】
X軸に沿った方向において、パッチ電極PEは等間隔に並べられている。隣り合うパッチ電極PE間の長さ(ピッチ)をd
kとする。長さd
kは、一のパッチ電極PEの幾何学中心から、隣のパッチ電極PEの幾何学中心までの距離に相当している。本実施形態において、反射波w2を第1反射方向d1において同位相とするものとして説明する。
図6のX-Z平面において、第1反射方向d1は、Z軸との間に第1角度θ1を成す方向である。第1反射方向d1は、X-Z平面に平行である。
【0045】
複数の反射制御部RHで反射される電波が第1反射方向d1で位相を揃えるには、直線状の二点鎖線上で電波の位相が揃っていればよいことになる。例えば、点Q1bでの反射波w2の位相と、点Q2aでの反射波w2の位相とが、揃っていればよい。第1パッチ電極PE1の点Q1aから点Q1bまでの物理的な直線距離はdk×sinθ1である。そのため、第1反射制御部RH1と第2反射制御部RH2とに注目すると、第2反射制御部RH2からの反射波w2の位相を第1反射制御部RH1からの反射波w2の位相より、位相量δ1だけ遅らせればよい。ここで、位相量δ1は次の式で表される。δ1=dk×sinθ1×2π/λ
【0046】
次に、電波反射板REの駆動方法について説明する。
図7は、本実施形態の電波反射板REの駆動方法において、期間毎にパッチ電極PEに印加する電圧の変化を示すタイミングチャートである。
図7において、電波反射板REの駆動期間のうち、第1期間Pd1乃至第5期間Pd5を示している。
【0047】
図6及び
図7に示すように、電波反射板REの駆動が開始されると、第1期間Pd1に、複数の反射制御部RHにて反射される電波が第1反射方向d1において同位相となるように、複数のパッチ電極PEに電圧Vを印加する。例えば、第1パッチ電極PE1に第1電圧V1を印加し、第2パッチ電極PE2に第2電圧V2を印加し、第3パッチ電極PE3に第3電圧V3を印加し、第4パッチ電極PE4に第4電圧V4を印加する。各々のパッチ電極PEに印加される電圧Vの絶対値は、全ての期間Pdにわたって同一である。
【0048】
共通電極CEの電位を基準とすると、各々のパッチ電極PEに印加される電圧の極性は、定期的に反転される。例えば、パッチ電極PEは60Hzの駆動周波数で駆動される。上記のように、パッチ電極PEは交流駆動される。
【0049】
期間Pdが別の期間Pdに変わっても、一の反射制御部RHにて第1反射方向d1に反射される電波と、隣の反射制御部RHにて第1反射方向d1に反射される電波との位相量δ1は維持されている。本実施形態において、位相量δ1は35°である。そのため、第1パッチ電極PE1を含む第1反射制御部RH1にて第1反射方向d1に反射される電波と、第8パッチ電極PE8を含む第8反射制御部RH8にて第1反射方向d1に反射される電波と、の間に245°の位相差を与えている。
【0050】
(第1の実施形態の第1実施例)
次に、上記第1の実施形態の第1実施例について説明する。
図8は、本実施形態の第1実施例に係る電波反射板REを示す断面図である。図中、配向膜AL1,AL2等の図示を省略している。
【0051】
図8に示すように、基材1は、反射領域RA及び非反射領域NRAに位置している。基材1は、第1主面としての主面S1及び第2主面としての主面S2を有している。主面S2は、主面S1とは反対側の面である。複数のパッチ電極PEは、反射領域RAに位置し、主面S1と対向している。主面S2は、入射面Saとして機能している。本第1実施例において、基材1は、大気に接し、カバー部材として機能している。基材1を、カバーガラス又は保護層と言い換えることも可能である。
【0052】
基材2は、反射領域RA及び非反射領域NRAに位置している。基材2は、第3主面としての主面S3及び第4主面としての主面S4を有している。主面S3は、主面S1と対向している。主面S4は、主面S3とは反対側の面である。共通電極CEは、少なくとも反射領域RAに位置し、第1基板SUB1と主面S3との間に設けられている。共通電極CEは、Z軸に平行な方向にて複数のパッチ電極PEと対向している。
【0053】
電波反射板REは、非反射領域NRAに位置した電波吸収体Aを備えている。本第1実施例において、電波吸収体Aは、λ/4型電波吸収体である。電波吸収体Aは、第1導電層LA1と、第2導電層LA2と、誘電体層DLと、を有している。第2導電層LA2は、第1導電層LA1より電波が入射する入射面Sa側に設けられている。第2導電層LA2は、Z軸に平行な方向にて第1導電層LA1と対向している。誘電体層DLは、第1導電層LA1と第2導電層LA2との間に挟まれている。なお、複数のパッチ電極PEは、第2基板SUB2と入射面Saとの間に位置している。
【0054】
誘電体層DLは、少なくとも基材1を有している。本実施例1において、第1導電層LA1は、絶縁層11と配向膜AL1との間に位置している。そのため、誘電体層DLは、基材1だけではなく絶縁層11も有している。Z軸に平行な方向にて、誘電体層DLの厚みは、基材1の厚みTbと異なっている。本実施例1において、誘電体層DLの厚みは、厚みTbより大きい。誘電体層DLの厚みは、λ/4相当である。
【0055】
第1導電層LA1は、金属で形成されている。第2導電層LA2の電気抵抗は、第1導電層LA1の電気抵抗より高い。例えば、第2導電層LA2は、第1導電層LA1より電気抵抗の高い導電材料で形成されている。本実施例1において、第2導電層LA2は、透明な導電材料として、例えばITOで形成されている。第2導電層LA2の抵抗は、空気層の抵抗と同等にすればよい。シート抵抗値に注目すると、第2導電層LA2は、実質的に376Ω/□(ohms per square)のシート抵抗値を有している方が好適である。なお、第2導電層LA2は、200乃至500Ω/□のシート抵抗値を有していると望ましい。
その他、第2導電層LA2の高抵抗化のため、第2導電層LA2は金属でメッシュ状に形成されてもよい。
【0056】
第1導電層LA1は、グランド(GND)に電気的に接続されているが、共通電極CEと同電位としても良い。共通電極CEと第1導電層LA1とで挟まれる液晶層LCに電圧が印加されないようにするのが好ましい。なお、第1導電層LA1は、電気的にフローティング状態にあってもよい。第2導電層LA2は、電気的にフローティング状態にある。
【0057】
上述したように、電波吸収体Aは、第1導電層LA1、第2導電層LA2、及び誘電体層DLで構成されている。電波吸収体Aは、入射波w1が入射した際に反射する反射波を吸収することができる。電波吸収体Aを非反射領域NRAの全体に設けることで、非反射領域NRAにおける不要な反射を抑制することができる。電波反射板REに電波吸収体Aを設けない場合と比較し、電波反射板REの反射領域RAからの正規の反射波w2が、電波反射板REの非反射領域NRAからの不所望な反射波と干渉することを抑制することができる。そのため、反射特性の低下を抑制することのできる電波反射板REを得ることができる。
【0058】
非反射領域NRAにおける不要な反射を抑制する観点から、駆動回路DR、及びリード線LE等の配線は、第1導電層LA1と配向膜AL1との間に設けられている方が望ましい。なお、第1導電層LA1と駆動回路DRとの間や、第1導電層LA1とリード線LE等の配線との間には、絶縁層が介在している。これにより、電波吸収体Aは、反射波を良好に吸収することができる。
【0059】
但し、第1導電層LA1は、パッチ電極PEと同一材料で同一層に形成されてもよい。第1導電層LA1は、絶縁層17と配向膜AL1との間に形成されている。その場合、駆動回路DR及びリード線LE等の配線は基材1と第1導電層LA1との間に設けられてもよく、電波吸収体Aは反射波を吸収することができる。
【0060】
(第1の実施形態の第2実施例)
次に、上記第1の実施形態の第2実施例について説明する。
図9は、本実施形態の第2実施例に係る電波反射板REを示す断面図である。図中、配向膜AL1,AL2等の図示を省略している。
【0061】
図9に示すように、Z軸に平行な方向にて、電波吸収体Aの位置は、上記第1実施例の電波吸収体Aの位置と異なっている。電波吸収体Aは、第1導電層LA1と、第2導電層LA2と、誘電体層DLと、を有している。誘電体層DLは、少なくとも液晶層LCを有している。ここでは、誘電体層DLは、シール材SEをさらに有している。
【0062】
本実施例2において、第1導電層LA1は、基材2と配向膜AL2との間に位置している。第2導電層LA2は、基材1と配向膜AL1との間に位置している。そのため、誘電体層DLは、配向膜AL1,Al2をさらに有している。Z軸に平行な方向にて、誘電体層DLの厚みは、基材1の厚みTbと異なっている。本実施例2において、誘電体層DLの厚みは、厚みTbより小さい。
【0063】
第1導電層LA1は、金属で形成されている。第1導電層LA1は、共通電極CEと同一材料で同一層に形成されてもよい。また、第1導電層LA1及び共通電極CEは、連続的に形成され、一体となってもよい。
【0064】
第2導電層LA2の電気抵抗は、第1導電層LA1の電気抵抗より高い。本実施例2において、第2導電層LA2は、ITOで形成され、200乃至500Ω/□のシート抵抗値を有していると望ましい。
【0065】
第1導電層LA1は、グランド(GND)に電気的に接続されている。第1導電層LA1の電位は、実質的に0Vである。第1導電層LA1は、電気的にフローティング状態にあってもよい。なお、第1導電層LA1及び共通電極CEが一体に形成された場合、第1導電層LA1にコモン電圧が印加されることで、第1導電層LA1の電位は0Vに固定される。第2導電層LA2は、パッチ電極PE等の導体に電気絶縁距離を置いて設けられ、電気的にフローティング状態にある。
非反射領域NRAにおいて、液晶層LCは、第1導電層LA1及び第2導電層LA2によって駆動されることはない。そのため、誘電体層DLの誘電率は固定されている。
【0066】
電波吸収体Aは、入射波w1が入射した際に反射する反射波を吸収することができる。そのため、反射特性の低下を抑制することのできる電波反射板REを得ることができる。
駆動回路DR、及びリード線LE等の配線は、第2導電層LA2と配向膜AL1との間に設けられている方が望ましい。なお、第2導電層LA2と駆動回路DRとの間や、第2導電層LA2とリード線LE等の配線との間には、絶縁層が介在している。これにより、電波吸収体Aは、反射波を良好に吸収することができる。
【0067】
但し、駆動回路DR及びリード線LE等の配線は、基材1と第2導電層LA2との間に設けられてもよい。第2導電層LA2は、パッチ電極PEと同一材料で同一層に形成されてもよい。その場合も、電波吸収体Aは反射波を吸収することができる。
【0068】
(第1の実施形態の第3実施例)
次に、上記第1の実施形態の第3実施例について説明する。
図10は、本実施形態の第3実施例に係る電波反射板REを示す断面図である。図中、配向膜AL1,AL2等の図示を省略している。
【0069】
図10に示すように、Z軸に平行な方向にて、電波吸収体Aの位置は、上記第1実施例の電波吸収体Aの位置と異なっており、上記第2実施例の電波吸収体Aの位置とも異なっている。電波吸収体Aは、第1基板SUB1より入射面Sa側に位置している。電波反射板REは、誘電体基板5をさらに備えている。本第3実施例において、誘電体基板5はガラス基板である。但し、誘電体基板5は、樹脂等、ガラス以外の誘電体で形成されてもよい。誘電体基板5は、第5主面としての主面S5及び第6主面としての主面S6を有している。主面S5は、基材1の主面S2と対向している。主面S6は、主面S5とは反対側の面である。誘電体基板5は、接着層ADにより第1基板SUB1に接着されている。
【0070】
本第3実施例において、誘電体基板5は、反射領域RA及び非反射領域NRAに位置している。主面S6は、入射面Saとして機能している。誘電体基板5は、非反射領域NRAだけではなく反射領域RAにも位置している。そのため、誘電体基板5が非反射領域NRAに位置し反射領域RAに位置していない場合と比較し、電波反射板REは平坦な表面(入射面Sa)を得ることができる。
【0071】
本第3実施例において、誘電体基板5は、大気に接し、カバー部材として機能している。誘電体基板5を、カバーガラス又は保護層と言い換えることも可能である。
但し、本第3実施例の誘電体基板5は、少なくとも非反射領域NRAに位置していればよく、反射領域RAに位置していなくともよい。
【0072】
電波吸収体Aは、第1導電層LA1と、第2導電層LA2と、誘電体層DLと、を有している。誘電体層DLは、少なくとも誘電体基板5を有している。ここでは、誘電体層DLは、接着層ADをさらに有している。
【0073】
本実施例3において、第1導電層LA1は、基材1と誘電体基板5との間に位置している。第2導電層LA2は、主面S6と対向している。ここでは、第1導電層LA1は主面S2の上に形成され、第2導電層LA2は主面S6の上に形成されている。Z軸に平行な方向にて、誘電体層DLの厚みTaは、基材1の厚みTbと同一でもよく、異なってもよい。本実施例3において、厚みTaは、厚みTbより大きい。
【0074】
第1導電層LA1は、金属で形成されている。
第2導電層LA2の電気抵抗は、第1導電層LA1の電気抵抗より高い。本実施例3において、第2導電層LA2は、ITOで形成され、200乃至500Ω/□のシート抵抗値を有していると望ましい。
【0075】
第1導電層LA1は、グランド(GND)に電気的に接続されている。第1導電層LA1の電位は、実質的に0Vである。第1導電層LA1は、電気的にフローティング状態にあってもよい。第2導電層LA2は、電気的にフローティング状態にある。
電波吸収体Aは、入射波w1が入射した際に反射する反射波を吸収することができる。そのため、反射特性の低下を抑制することのできる電波反射板REを得ることができる。
【0076】
次に、第1導電層LA1の電位を固定するための手段について説明する。
図11は、上記第1の実施形態の第3実施例に係る電波反射板REの一部を示す拡大断面図であり、第1導電層LA1の電位を固定するための第1手段を説明するための図である。
図12は、上記第1の実施形態の第3実施例に係る電波反射板REの一部とケーブルCAとを示す拡大断面図であり、第1導電層LA1の電位を固定するための第2手段を説明するための図である。
図11及び
図12において、第1基板SUB1及び第2基板SUB2に関しては説明に必要な部材のみを示しており、また、電波反射板REのうち接着層AD等の図示を省略している。
【0077】
図11に示すように、第1基板SUB1は、基材1の主面S1と対向した給電パッドpAを有している。第2基板SUB2は、基材2の主面S3と対向した受電パッドpBを有している。ここでは、受電パッドpB及び共通電極CEは、連続的に形成され、一体となっている。給電パッドpA及び受電パッドpBは、シール材SEより外側に位置している。
【0078】
電波反射板REは、トランスファTMをさらに備えている。トランスファTMは、シール材SEより外側に位置し、液晶層LCに触れないように配置されている。トランスファTMは、給電パッドpAと受電パッドpBとに接触している。そのため、給電パッドpAは、トランスファTMを介して受電パッドpBにコモン電圧を印加することができる。
【0079】
電波反射板REは、導電材CONをさらに備えている。導電材CONを接続配線と言い換えることができる。導電材CONは、第1導電層LA1、基材1の側面Si、給電パッドpA、トランスファTM、及び受電パッドpBにそれぞれ接触し、第1導電層LA1と給電パッドpAとを電気的に接続している。これにより、給電パッドpAは、少なくとも導電材CONを介して第1導電層LA1にコモン電圧を印加することができる。そして、第1導電層LA1を実質的にグランドに接続することができる。
図11の上記第1手段は電波反射板REに設けられた導電材CONであるため、第1導電層LA1の電位は電波反射板REの内部にて固定される。
【0080】
図12に示すように、電波反射板REにケーブルCAが接続されてもよい。第1導電層LA1のうち誘電体基板5で覆われていない領域に、ケーブルCAが電気的に接続されている。
図12の上記第2手段はケーブルCAであり、第1導電層LA1の電位を固定することができる。
【0081】
また、
図11及び
図12から分かるように、本実施例3では、給電パッドpA及びトランスファTMにZ軸に沿った方向に重なる領域に第1導電層LA1を形成することができる。
【0082】
上記のように構成された第1の実施形態によれば、電波反射板REは、電波吸収体Aを備えている。電波吸収体Aにより、非反射領域NRAにおける不要な反射を抑制することができる。そのため、反射特性の低下を抑制することのできる電波反射板REを得ることができる。そして、反射特性に優れた電波反射板REを得ることができる。
【0083】
次に第2の実施形態について説明する。本第2の実施形態の電波反射板REは、本第2の実施形態で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。
【0084】
(第2の実施形態の第1実施例)
まず、本第2の実施形態の第1実施例について説明する。
図13は、本第2の実施形態の第1実施例に係る電波反射板REを示す断面図である。図中、配向膜AL1,AL2等の図示を省略している。第2の実施形態の第1実施例では、上記第1の実施形態の第1実施例との相違点について説明する。
【0085】
図13に示すように、電波吸収体Aは、第1導電層LA1と、第2導電層LA2と、誘電体層DLと、を有している。上記第1の実施形態の第1実施例と比較し、電波吸収体Aのうち第2導電層LA2の構成が相違している。第2導電層LA2は、複数の周波数選択板(Frequency Selective Surface)Fを有している。周波数選択板Fは金属で形成されている。その場合、周波数選択板Fを金属層と言い換えることができる。
【0086】
図14は、本第2の実施形態の第1実施例の電波反射板REの一部を示す拡大断面図であり、複数のパッチ電極PE、複数の周波数選択板F、及びシール材SEを示す図である。図中、シール材SEには右下がりの斜線を付している。
図14に示すように、複数の周波数選択板Fは、非反射領域NRAにて島状に配置されている。各々の周波数選択板Fは、パッチ電極PEの形状と異なる形状及びパッチ電極PEのサイズと異なるサイズの少なくとも一方を有している。本第1実施例において、周波数選択板Fは、パッチ電極PEと相似の形状(正方形)を有し、パッチ電極PEのサイズより小さいサイズを有している。また、複数の周波数選択板Fは、同一形状及び同一サイズを有し、X軸及びY軸のそれぞれに沿って並べられている。
【0087】
複数の周波数選択板Fは、電気的にフローティング状態にある。
非反射領域NRAにおける反射(不要な反射)を反射領域RAにおける反射(正規の反射)より抑制することがでるように、複数の周波数選択板Fの配置、周波数選択板Fの形状、及び周波数選択板Fのサイズが調整されている。これにより、電波吸収体Aは、非反射領域NRAを相対的に反射率の低い領域とすることができる。なお、周波数選択板Fのサイズをパッチ電極PEのサイズより大きくし、非反射領域NRAにおける不要な反射を抑制してもよい。
なお、複数の周波数選択板Fは、平面視にてシール材SEに重なってもよい。
【0088】
ここで、上記複数の周波数選択板Fのパターンの変形例をいくつか説明する。
図15に示すように、複数の周波数選択板Fは、サイズの異なる複数種類の周波数選択板を有してもよい。
図15に示す例では、複数の周波数選択板Fは、サイズの異なる2種類の周波数選択板F1,F2を有している。
【0089】
図16に示すように、周波数選択板Fは、矩形の形状を有しY軸に沿って延在する周波数選択板F3であってもよい。又は、
図17に示すように、周波数選択板Fは、矩形の形状を有しX軸に沿って延在する周波数選択板F4であってもよい。
【0090】
又は、周波数選択板F3及び周波数選択板F4を非反射領域NRAに混在させてもよい。例えば、非反射領域NRAのうちX軸に沿った方向にて反射領域RAを挟む一対の領域に周波数選択板F3を配置し、非反射領域NRAのうちY軸に沿った方向にて反射領域RAを挟む別の一対の領域に周波数選択板F4を配置してもよい。
【0091】
但し、周波数選択板F3,F4のように、周波数選択板Fが90度回転非対称の形状を有していない場合、周波数選択板Fは、垂直偏波及び水平偏波の双方に対して感度を持たない長さを持っていればよい。言い換えると、電波の振幅方向が電波反射板REに対してどのように変化しても、電波反射板REの非反射領域NRAで反射強度が上がるポイントが無いように、周波数選択板Fの形状及びサイズ(長さ等)は調整されていればよい。
【0092】
上述したように、電波吸収体Aは、第1導電層LA1、複数の周波数選択板F、及び誘電体層DLで構成されている。電波吸収体Aは、入射波w1が入射した際に反射する反射波を吸収することができる。電波吸収体Aを非反射領域NRAの全体に設けることで、非反射領域NRAにおける不要な反射を抑制することができる。
【0093】
なお、周波数選択板Fは、金属に限らず、ITO等の透明な導電材料で形成されてもよい。但し、周波数選択板Fの材質がITOに変わると、周波数選択板Fのサイズも変える必要がある。そのため、非反射領域NRAでの反射を抑制できるように、周波数選択板Fのサイズが、適宜、決定されていればよい。
【0094】
(第2の実施形態の第2実施例)
次に、本第2の実施形態の第2実施例について説明する。
図18は、本第2の実施形態の第2実施例に係る電波反射板REを示す断面図である。図中、配向膜AL1,AL2等の図示を省略している。第2の実施形態の第2実施例では、上記第2の実施形態の第1実施例及び上記第1の実施形態の第2実施例との相違点について説明する。
【0095】
図18に示すように、電波吸収体Aは、第1導電層LA1と、第2導電層LA2と、誘電体層DLと、を有している。第2導電層LA2は、複数の周波数選択板Fを有している。電波吸収体Aは、入射波w1が入射した際に反射する反射波を吸収することができる。そのため、反射特性の低下を抑制することのできる電波反射板REを得ることができる。
【0096】
(第2の実施形態の第3実施例)
次に、本第2の実施形態の第3実施例について説明する。
図19は、本第2の実施形態の第3実施例に係る電波反射板REを示す断面図である。図中、配向膜AL1,AL2等の図示を省略している。第2の実施形態の第3実施例では、上記第2の実施形態の第1実施例及び上記第1の実施形態の第3実施例との相違点について説明する。
【0097】
図19に示すように、電波吸収体Aは、第1導電層LA1と、第2導電層LA2と、誘電体層DLと、を有している。第2導電層LA2は、複数の周波数選択板Fを有している。本第3実施例においても、反射特性の低下を抑制することのできる電波反射板REを得ることができる。
上記のように構成された第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
次に第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態の電波反射板REは、本第3の実施形態で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。
【0099】
(第3の実施形態の第1実施例)
まず、本第3の実施形態の第1実施例について説明する。
図20は、本第3の実施形態の第1実施例に係る電波反射板REを示す断面図である。図中、配向膜AL1,AL2等の図示を省略している。第3の実施形態の第1実施例では、上記第1の実施形態の第1実施例(
図8)との相違点について説明する。
【0100】
図20に示すように、電波吸収体Aは、誘電体層DLを備えているが、第1導電層LA1及び第2導電層LA2を備えていない。電波反射板REは、誘電体基板5をさらに備えている。本第1実施例において、誘電体基板5はガラス基板である。但し、誘電体基板5は、樹脂等、ガラス以外の誘電体で形成されてもよい。誘電体基板5は、主面S5及び主面S6を有している。誘電体基板5は、接着層ADにより第1基板SUB1に接着されている。
【0101】
誘電体層DLは、反射領域RA及び非反射領域NRAに位置している。誘電体層DLは、少なくとも基材1を有している。誘電体層DLは、基材1の主面S1と入射面Saとの間に設けられている。本第1実施例において、誘電体層DLは、基材1だけではなく接着層AD及び誘電体基板5も有している。
【0102】
複数のパッチ電極PEは、第2基板SUB2と入射面Saとの間に位置している。電波吸収体Aは、誘電体層DLの非反射領域NRAに位置する部分を有している。Z軸に平行な方向にて、誘電体層DLの非反射領域NRAの厚みTa1は、誘電体層DLの反射領域RAの厚みTa2と異なっている。
【0103】
本第3実施例において、誘電体基板5は、反射領域RAに位置し、非反射領域NRAに位置していない。そのため、厚みTa1は、厚みTa2より小さい。反射領域RAにおいて、主面S6は、入射面Saとして機能している。
【0104】
電波反射板REの反射領域RAからの正規の反射波w2の振幅が大きくなるように、厚みTa2は設定されている。電波反射板REの非反射領域NRAからの不所望な反射波の振幅が相対的に小さくなるように、厚みTa1は厚みTa2と異なっている。電波吸収体Aは、入射波w1が入射した際に反射する反射波を吸収することができる。電波吸収体Aを非反射領域NRAの全体に設けることで、非反射領域NRAにおける不要な反射を抑制することができる。そのため、反射特性の低下を抑制することのできる電波反射板REを得ることができる。
【0105】
(第3の実施形態の第2実施例)
次に、本第3の実施形態の第2実施例について説明する。
図21は、本第3の実施形態の第2実施例に係る電波反射板REを示す断面図である。図中、配向膜AL1,AL2等の図示を省略している。第3の実施形態の第2実施例では、上記第3の実施形態の第1実施例との相違点について説明する。
【0106】
図21に示すように、本第2実施例では、誘電体基板5の位置に関し上記第1実施例と相違している。誘電体基板5は、非反射領域NRAに位置し、反射領域RAに位置していない。そのため、厚みTa1は、厚みTa2より大きい。反射領域RAにおいて、主面S2は、入射面Saとして機能している。
【0107】
電波反射板REの反射領域RAからの正規の反射波w2の振幅が大きくなるように、厚みTa2は設定されている。電波反射板REの非反射領域NRAからの不所望な反射波の振幅が相対的に小さくなるように、厚みTa1は厚みTa2と異なっている。電波吸収体Aは、電波吸収体Aは、非反射領域NRAに位置した誘電体層DLを備え、入射波w1が入射した際に反射する反射波を吸収することができる。電波吸収体Aを非反射領域NRAの全体に設けることで、非反射領域NRAにおける不要な反射を抑制することができる。そのため、反射特性の低下を抑制することのできる電波反射板REを得ることができる。
【0108】
上記のように構成された第3の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。誘電体基板5の厚みを調整することで、上記第1実施例(
図20)における厚みTa2、及び上記第2実施例(
図21)における厚みTa1を所望の値に調整することができる。その他に、電波反射板REは、誘電体基板5を含む複数枚の誘電体基板を備えてもよい。その場合、複数枚の誘電体基板等で、厚みTa1,Ta2を調整することができる。
【0109】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。本第4の実施形態の電波反射板REは、本第4の実施形態で説明する構成以外、上記第1乃至第3の実施形態と同様に構成されている。
図22は、本第4の実施形態に係る電波反射板REを示す平面図である。
【0110】
図22に示すように、第1基板SUB1は、複数の信号配線SL、複数の制御配線GL、複数のスイッチング素子SW、駆動回路DR、及び複数のリード線LEの替わりに、接続配線L及び配線WLを有している。複数のパッチ電極PEは、Y軸に沿って延在しX軸に沿って並べられた複数のパッチ電極群GPに含まれている。複数のパッチ電極群GPは、第1パッチ電極群GP1乃至第8パッチ電極群GP8を有している。
【0111】
第1パッチ電極群GP1は複数の第1パッチ電極PE1を有し、第2パッチ電極群GP2は複数の第2パッチ電極PE2を有し、第3パッチ電極群GP3は複数の第3パッチ電極PE3を有し、第4パッチ電極群GP4は複数の第4パッチ電極PE4を有し、第5パッチ電極群GP5は複数の第5パッチ電極PE5を有し、第6パッチ電極群GP6は複数の第6パッチ電極PE6を有し、第7パッチ電極群GP7は複数の第7パッチ電極PE7を有し、第8パッチ電極群GP8は複数の第8パッチ電極PE8を有している。例えば、第2パッチ電極PE2は、X軸に沿った方向において、第1パッチ電極PE1と第3パッチ電極PE3との間に位置している。
【0112】
各々のパッチ電極群GPは、Y軸に沿って並べられ互いに電気的に接続された複数のパッチ電極PEを含んでいる。本実施形態において、各々のパッチ電極群GPの複数のパッチ電極PEは、接続配線Lにより電気的に接続されている。なお、第1基板SUB1は、Y軸に沿って延在し、X軸に沿って並べられた複数の接続配線Lを有している。接続配線Lは、基材1のうち第2基板SUB2と対向していない領域まで延在している。なお、本実施形態と異なり、複数の接続配線Lは、複数のパッチ電極PEと一対一で接続されてもよい。
各々の配線WLは、一の接続配線Lと駆動回路DCとを接続している。
【0113】
本実施形態において、Y軸に沿って並んだ複数のパッチ電極PEと、接続配線Lと、配線WLとは、同一の導体で一体に形成されている。なお、複数のパッチ電極PEと、接続配線Lと、配線WLとは、互いに異なる導体で形成されてもよい。
【0114】
接続配線Lは細線であり、接続配線Lの幅は長さPxと比べて十分に小さい。接続配線Lの幅は、数μm乃至数十μmであり、μmオーダーである。なお、接続配線Lの幅を大きくし過ぎると、電波の周波数成分の感度が変わってしまうため望ましくない。
本実施形態において、電波反射板REが反射する反射波w2の方向は、X-Z平面に平行な方向である。
【0115】
図23は、本第4の実施形態に係る反射装置100を示す斜視図である。図中、フレーム120を破線で示している。
図23に示すように、反射装置100は、電波反射板RE、支持部110、及びフレーム120を備えている。
【0116】
支持部110は、電波反射板REを支持している。支持部110は、反射装置100の脚であり、設置面に固定されている。支持部110は、電波を不用意に反射しないように絶縁体で形成されていると望ましい。なお、支持部110に金属層(金属部分)が存在すると、その金属層で電波を反射する。そのため、支持部110に金属層を設けることは望ましくない。
【0117】
フレーム120は、電波反射板REの周縁部を囲み、電波反射板REの周縁部を保護している。支持部110と同様、フレーム120も絶縁体で形成されていると望ましい。なお、反射装置100は、必要に応じてフレーム120を備えてもよい。
【0118】
フレーム120は、電波吸収能を持ってもよい。フレーム120は電波吸収体Aの一部を構成してもよい。又は、フレーム120は、電波吸収体Aとは別の電波吸収体として機能してもよい。その場合、電波吸収体Aは、平面視にて反射領域RAとフレーム120との間に位置していればよい。
【0119】
又は、フレーム120は、電波吸収能を持っていなくともよい。その場合も、電波吸収体Aは、平面視にて反射領域RAとフレーム120との間に位置していればよい。
上記のように構成された第4の実施形態においても、上述した第1乃至第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。