(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-16
(45)【発行日】2025-09-25
(54)【発明の名称】排気装置
(51)【国際特許分類】
F01N 1/08 20060101AFI20250917BHJP
【FI】
F01N1/08 A
F01N1/08 B
(21)【出願番号】P 2023170595
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】間平 弘志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 裕介
(72)【発明者】
【氏名】岡本 智之
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-204802(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159019(WO,A1)
【文献】実開昭53-157233(JP,U)
【文献】特開平02-248609(JP,A)
【文献】特開平10-238332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張室(A)が設けられたマフラ(34)と、該マフラ(34)から燃焼ガス(G)を排出する排出排気管(55)と、開閉式の排気バルブ(42)で燃焼ガス(G)の流量を調整する排気バルブ機構(40)とを有する排気装置(30)において、
前記排出排気管(55)が、前記膨張室(A)に連結されており、
前記排気バルブ(42)が、前記膨張室(A)に前記燃焼ガス(G)を導入する上流側排気管(50)に設けられており、
前記上流側排気管(50)を収納する円筒状の外殻部材(60)が、前記
排気装置(30)が取り付けられる車両(1)の平面視において、車体前方側より車体後方側の方が車幅方向外側に位置するように傾斜しており、
前記外殻部材(60)の車幅方向内側に前記排気バルブ機構(40)が配置される、排気装置。
【請求項2】
前記燃焼ガス(G)の流路の上流側から見た際に、前記上流側排気管(50)と前記排出排気管(55)とが少なくとも一部重なる、
請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
前記排気バルブ(42)が閉じた状態でも前記膨張室(A)に前記燃焼ガス(G)が導入されるように構成される、請求項1または2に記載の排気装置。
【請求項4】
前記排気装置(30)が、乗員が足を乗せるステップバー(19)を支持するステップホルダ(20)を有する車両(1)に取り付けられており、
前記排気バルブ機構(40)の少なくとも一部が、前記車両(1)の車体側面視で、前記ステップホルダ(20)と前後方向でオーバーラップしている、請求項1または2に記載の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気装置に係り、特に、開閉式の排気バルブで燃焼ガスの流量を調整する排気バルブ機構を備える排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内燃機関の燃焼ガスを浄化および消音して排出する排気装置において、バタフライバルブ等の排気バルブで燃焼ガスの流量を調整する排気バルブ機構を備える構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、燃焼ガスの膨張室を有するマフラの上流側に連結される連結パイプに排気バルブ機構が取り付けられた排気装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成では、排気バルブを開いた際に、燃焼ガスがマフラ内の膨張室を介することなくストレートパイプを通じてマフラの外側に排出される構成とされているので、高回転領域等での出力が向上しやすいものの、排気音が大きくなりやすいという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、排気バルブを開いた際の出力向上および消音効果の両立を図ることができる排気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、膨張室(A)が設けられたマフラ(34)と、該マフラ(34)から燃焼ガス(G)を排出する排出排気管(55)と、開閉式の排気バルブ(42)で燃焼ガス(G)の流量を調整する排気バルブ機構(40)とを有する排気装置(30)において、前記排出排気管(55)が、前記膨張室(A)に連結されており、前記排気バルブ(42)が、前記膨張室(A)に前記燃焼ガス(G)を導入する上流側排気管(50)に設けられている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記排気バルブ(42)が閉じた状態でも前記膨張室(A)に前記燃焼ガス(G)が導入されるように構成される点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記排気装置(30)が、乗員が足を乗せるステップバー(19)を支持するステップホルダ(20)を有する車両(1)に取り付けられており、前記排気バルブ機構(40)の少なくとも一部が、前記車両(1)の車体側面視で、前記ステップホルダ(20)と前後方向でオーバーラップしている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記上流側排気管(50)を収納する円筒状の外殻部材(60)が、前記車両(1)の平面視において、車体前方側より車体後方側の方が車幅方向外側に位置するように傾斜している点に第4の特徴がある。
【0011】
さらに、前記燃焼ガス(G)の流路の上流側から見た際に、前記上流側排気管(50)と前記排出排気管(55)とが少なくとも一部重なる点に第5の特徴がある。
【発明の効果】
【0012】
第1の特徴によれば、膨張室(A)が設けられたマフラ(34)と、該マフラ(34)から燃焼ガス(G)を排出する排出排気管(55)と、開閉式の排気バルブ(42)で燃焼ガス(G)の流量を調整する排気バルブ機構(40)とを有する排気装置(30)において、前記排出排気管(55)が、前記膨張室(A)に連結されており、前記排気バルブ(42)が、前記膨張室(A)に前記燃焼ガス(G)を導入する上流側排気管(50)に設けられているので、排気バルブを開くことで、燃焼ガスが上流側排気管を介して膨張室に導入され、さらに、膨張室に連なる排出排気管からマフラの外部に排出されるので、排気バルブを開いた際に、燃焼ガスが直線的に流れることで内燃機関の出力を高めると共に、燃焼ガスが膨張室で膨張することで消音効果を高めることが可能となる。
【0013】
第2の特徴によれば、前記排気バルブ(42)が閉じた状態でも前記膨張室(A)に前記燃焼ガス(G)が導入されるように構成されるので、排気バルブの開閉状態にかかわらず膨張室に燃焼ガスが導入される排気装置を得ることができる。これにより、共通部品を多用しながら、排気バルブ機構を有する排気装置と、排気バルブ機構を有しない排気装置とを作り分けることを可能とし、製造コストを低減することができる。
【0014】
第3の特徴によれば、前記排気装置(30)が、乗員が足を乗せるステップバー(19)を支持するステップホルダ(20)を有する車両(1)に取り付けられており、前記排気バルブ機構(40)の少なくとも一部が、前記車両(1)の車体側面視で、前記ステップホルダ(20)と前後方向でオーバーラップしているので、車体側面視で、排気バルブ装置から上方前方に伸びるバルブ駆動用ケーブルがステップホルダで隠されやすくなり、車両の外観性を向上させることができる。
【0015】
第4の特徴によれば、前記上流側排気管(50)を収納する円筒状の外殻部材(60)が、前記車両(1)の平面視において、車体前方側より車体後方側の方が車幅方向外側に位置するように傾斜しているので、外殻部材が傾斜することで車幅方向内側に生じるスペースを利用して排気バルブ機構を取り付けることが可能となる。これにより、排気装置の大型化を抑制することができる。
【0016】
第5の特徴によれば、前記燃焼ガス(G)の流路の上流側から見た際に、前記上流側排気管(50)と前記排出排気管(55)とが少なくとも一部重なるので、排気バルブを開いた際に、上流側排気管から排出排気管に向けて直線的に燃焼ガスが流れやすくなり、さらに良好な出力特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る排気装置を適用した自動二輪車の右側面図である。
【
図7】排気バルブ機構を有しないマフラの内部構造を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る排気装置30を適用した自動二輪車1の右側面図である。また、
図2は
図1の一部拡大図である。自動二輪車1は、内燃機関と変速機とを一体に構成したパワーユニットPの駆動力を、ドライブチェーン18を介して後輪WRに伝達して走行する鞍乗型車両である。
【0019】
車体フレームFを構成する左右一対のメインフレームF2の前端部には、不図示のステアリングステムを回動自在に軸支するヘッドパイプF1が設けられている。ステアリングステムの上端部および下端部には、左右一対のフロントフォーク2を支持するトップブリッジ8およびボトムブリッジ5がそれぞれ固定されている。
【0020】
フロントフォーク2の下端部には、前輪WFが回転自在に軸支されている。フロントフォーク2には、前輪WFの上方を覆うフロントフェンダ3が取り付けられている。トップブリッジ8の上部には、左右一対のバックミラー9を支持する操向ハンドル10が固定されている。ヘッドパイプF1の前方には、ヘッドライト4およびメータ装置7が配設されている。
【0021】
メインフレームF2の上部には、燃料タンク11が配設されている。ヘッドパイプF1から後方下方に伸びるメインフレームF2の後端部には、スイングアーム17を揺動自在に軸支するピボット22を支持するピボットフレームF3が連結されている。ピボットフレームF3の下方寄りの位置には、運転者が足を乗せるステップバー19を支持するステップホルダ20が取り付けられている。ステップホルダ20は、運転者の踵を支持するヒールガード20aを含んで構成される。メインフレームF2の下方かつピボットフレームF3の前方には、排気装置30が取り付けられたパワーユニットPが吊り下げられている。
【0022】
後輪WRを回転自在に軸支するスイングアーム17は、その前方寄りの位置でリヤクッション24によってメインフレームF2に吊り下げられている。メインフレームF2の後端部には、運転者が着座するシート12と、尾灯装置15が埋設されたリヤカウル14とを支持するリヤフレーム(不図示)が連結されている。リヤカウル14の下部には、左右一対のタンデムステップホルダ13と、後輪WRの上方を覆うリヤフェンダ16とが支持されている。
【0023】
排気装置30は、パワーユニットPを構成する内燃機関の排気ポートに連結される排気管31と、排気管31の後部に連なる触媒収納部32と、触媒収納部32の後部に連なる連結パイプ33と、連結パイプ33の後部に連なるマフラ34とからなる。マフラ34は、取り付けステー36によって車幅方向右側のタンデムステップホルダ13に吊り下げられている。マフラ34の上部には、乗員の足を熱から保護する板状のヒートガード35が取り付けられている。マフラ34の前端部に位置する小径部には、開閉式の排気バルブによって燃焼ガスの流量を調整する排気バルブ機構40が設けられている。排気バルブ機構40は、排気バルブ(
図3参照)を支持する回動軸41を含んで構成される。
【0024】
本実施形態では、車体側面視で、ステップホルダ20の一部であるヒールガード20aの後端部が、排気バルブを支持する回動軸41の前端部より後方に位置している。換言すれば、排気バルブ機構40の少なくとも一部が、ステップホルダ20と前後方向でオーバーラップするように構成されている。
【0025】
図3は、マフラ34の内部構造を示す左側面図である。主に金属の薄板部材およびパイプ部材で構成されるマフラ34の外殻は、小径部を構成する前側外殻60と、前側外殻60の後部に連なるテーパ外殻61と、テーパ外殻61の後部に連なる大径の主外殻62と、主外殻62の後部に連なる後側外殻63とからなる。
【0026】
前側外殻60およびテーパ外郭61の内側には、上流側排気管50が配設されている。上流側排気管50の前端部には、複数の貫通孔が形成されたパンチングパイプ53が連結されており、パンチングパイプ53の前端部には、連結パイプ33(
図1,2参照)の後端部にマフラ34を接続するための接続部材54が連結されている。
【0027】
排気バルブ機構40は、アクチュエータの駆動力で開閉する排気バルブ42によって、上流側排気管50を流れる燃焼ガスGの流量を調整することを可能とする。排気バルブ42は、円形の薄板部材からなるバタフライバルブであり、アクチュエータの駆動力で回動する回動軸41に固定されている。
【0028】
排気バルブ機構40の下流側の位置で、上流側排気管50と前側外殻60との間には、円環状の第1隔壁51が配設されている。第1隔壁51には、排気バルブ42が閉じている際に燃焼ガスGが通る湾曲した長孔状の貫通孔52が複数設けられている。一方、テーパ外郭61の後方寄りの位置には、縦長の形状とされる第2隔壁37が配設されている。これにより、第1隔壁51と第2隔壁37との間に、前側膨張室Cが形成されることとなる。
【0029】
第2隔壁37には、上流側排気管50の後端部および第2パイプ57の前端部がそれぞれ貫通している。主外殻62の内側には、縦長の形状とされる第3隔壁58が配設されており、後側外殻63の内側には、縦長の形状とされる第4隔壁59が配設されている。
【0030】
第2パイプ57の後方側は、主外殻62の下方寄りの位置で第3隔壁58を貫通し、第4隔壁59に近接する位置まで後方に伸びている。また、第3隔壁58の上方寄りの位置には、前後方向に伸びる第3パイプ56が貫通しており、第3隔壁58の略中央には、排出排気管55の前端部が貫通している。また、第3パイプ56の前端部は第2隔壁37に近接する位置まで前方に伸びており、第3パイプ56の後端部は第4隔壁59に近接する位置まで後方に伸びている。排出排気管55の後端部は、第4隔壁59を貫通して、後側外殻63に設けられた開口から外方に臨んでいる。
【0031】
上記した構成により、第2隔壁37と第3隔壁58との間に中央膨張室Aが形成され、第3隔壁58と第4隔壁59との間に後側膨張室Bが形成されることとなる。内燃機関の低回転時等において、排気バルブ42を閉じた際に、燃焼ガスGは、パンチングパイプ53の貫通孔を通って上流側排気管50の外側を後方に向かって流れ、第1隔壁51の貫通孔52を通って前側膨張室Cに導入される。
【0032】
続いて、前側膨張室Cに導入された燃焼ガスGは、第2パイプ57を通って後側膨張室Bに導入され、さらに、第3パイプ56を通って中央膨張室Aに導入される。そして、中央膨張室Aに導入された燃焼ガスGは、排出排気管55を通ってマフラ34の外部に排出される。
【0033】
一方、内燃機関の高回転時等において、排気バルブ42を開いた際には、燃焼ガスGは、上流側排気管50を通って中央膨張室Aに直接導入される。そして、中央膨張室Aに導入された燃焼ガスGは、排出排気管55を通ってマフラ34の外部に排出される。すなわち、マフラ34の前方から導入される燃焼ガスGは、中央膨張室Aを介する経路が主となりマフラ34の後方に排出されることとなる。
【0034】
図4は、
図2のIV-IV線断面図である。前記と同一符号は同一または同等部分を示す。上流側排気管50は、第2隔壁37の略中央を貫通しており、排出排気管55(
図3参照)は、燃焼ガスGの流路の上流側から見た際に、上流側排気管50と重なる位置に配設されている。これにより、排気バルブ42を開いた際に、上流側排気管50から排出排気管55に向けて直線的に燃焼ガスGが流れることとなり、さらに良好な出力特性を得ることができる。
【0035】
図5は、
図2のV-V線断面図である。また、
図6は
図2のVI-VI線断面図である。前記と同一符号は同一または同等部分を示す。マフラ34は、自動二輪車1の車幅方向右側に配設されており、マフラ34の小径部を構成する前側外殻60は、車体平面視で、車体前方側より車体後方側の方が車幅方向外側に位置するように傾斜して配設されている。排気バルブ機構40は、この前側外殻60の車幅方向左側部に取り付けられている。これにより、前側外殻60が傾斜していることで車幅方向内側に生じるスペースを利用して排気バルブ機構40を取り付けることが可能となり、排気装置30の大型化を抑制することができる。
【0036】
排気バルブ機構40は、排気バルブ42が取り付けられた回動軸41と、回動軸41の端部に固定される円盤状のプーリ47と、プーリ47を初期位置(閉状態)に戻すリターンスプリング46とを含んで構成される。プーリ47およびリターンスプリング46を収納するケース部材43の上面からは、プーリ47に巻き掛けられた2本のバルブ駆動用ケーブル44,45が、上方前方に向かって延びている。
【0037】
前記したように、車幅方向右側のピボットフレームF3の後部には、乗員が足を乗せるステップバー19を支持するステップホルダ20が取り付けられている。ステップホルダ20の車幅方向内側には、ブレーキペダル21が揺動自在に軸支されている。そして、本実施形態では、車体側面視で、ステップホルダ20の一部を構成するヒールガード20aの後端部が、排気バルブ42の回動軸41の前端部より後方に位置している。換言すれば、排気バルブ機構40の少なくとも一部が、ステップホルダ20と前後方向でオーバーラップするように構成されている。これにより、車体側面視で、ケース部材43から上方前方に伸びるバルブ駆動用ケーブル44,45がステップホルダ20およびヒールガード20aで隠されやすくなり、自動二輪車1の外観性を向上させることができる。
【0038】
図7は、排気バルブ機構40を有しないマフラ34aの内部構造を示す左側面図である。マフラ34aは、同機種におけるパワーユニットの仕様違いに合わせて、外観を共通としながら排気バルブ機構40を廃して構成されたものである。排気バルブ機構40の除去に伴って、上流側排気管50も除去されている。
【0039】
図3,4に示したマフラ34とは、パンチングパイプ53a、前側外殻60a、第2隔壁37a、排出排気管55aの形状や構造が少し異なるのみで、他の部品を共通化することで、製造コストの大幅な低減が図られている。なお、本実施形態に係る排出排気管55aは、排気音の調整のために全長が伸ばされている。
【0040】
このマフラ34aにおいて、連結パイプ33から導入される燃焼ガスGは、前側膨張室Cに直接導入された後、第2パイプ57を通って後側膨張室Bに導入され、さらに、第3パイプ56を通って中央膨張室Aに導入される。そして、中央膨張室Aに導入された燃焼ガスGは、排出排気管55aを通ってマフラ34aの外部に排出される。
【0041】
上記したように、本発明に係る排気装置30によれば、中央膨張室Aが設けられたマフラ34と、該マフラ34から燃焼ガスGを排出する排出排気管55と、開閉式の排気バルブ42で燃焼ガスGの流量を調整する排気バルブ機構40とを有する排気装置30において、排出排気管55が中央膨張室Aに連結されており、排気バルブ42が、中央膨張室Aに燃焼ガスGを導入する上流側排気管50に設けられているので、排気バルブ42を開くことで、上流側排気管50を介して燃焼ガスGが中央膨張室Aに導入され、さらに、中央膨張室Aに連なる排出排気管55からマフラ34の外部に排出されることとなり、排気バルブ42を開いた際に、燃焼ガスGが直線的に流れることで内燃機関の出力を高めると共に、燃焼ガスGが中央膨張室Aで膨張することで消音効果を高めることが可能となる。
【0042】
また、排気バルブ42が閉じた状態でも中央膨張室Aに燃焼ガスGが導入される構成とされるので、排気バルブ42の開閉状態にかかわらず中央膨張室Aに燃焼ガスGが導入される排気装置30を得ることができる。これにより、共通部品を多用しながら、排気バルブ機構40を有する排気装置34と、排気バルブ機構40を有しない排気装置34aとを作り分けることを可能とし、製造コストを低減することができる。
【0043】
さらに、燃焼ガスGの流路の上流側から見た際に、上流側排気管50と排出排気管55とが少なくとも一部重なるので、排気バルブ42を開いた際に、上流側排気管50から排出排気管55に向けて直線的に燃焼ガスGが流れやすくなり、さらに良好な出力特性を得ることができる。
【0044】
自動二輪車の形態、内燃機関の気筒数、排気装置の形状や構造、マフラを構成する外殻や隔壁、パイプ材の材質や形状、排気バルブ機構の配置や構造、排気バルブの形状や構造、前側膨張室、中央膨張室、後側膨張室の容量比率等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、膨張室の総数を4つ以上としてもよい。本発明に係る排気装置は、自動二輪車に限られず、三輪車や四輪車等の内燃機関含むパワーユニットを駆動源とする種々の車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…自動二輪車(車両)、30…排気装置、34…マフラ、40…排気バルブ機構、42…排気バルブ、50…上流側排気管、55…排出排気管、51…第1隔壁、37…第2隔壁、58…第3隔壁、59…第4隔壁、57…第2パイプ、56…第3パイプ、60…前側外殻(外殻部材)、A…中央膨張室(膨張室)、B…後側膨張室、C…前側膨張室、G…燃焼ガス