(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-09-17
(45)【発行日】2025-09-26
(54)【発明の名称】ラベラ
(51)【国際特許分類】
   B65C   9/42        20060101AFI20250918BHJP        
   B65C   3/16        20060101ALI20250918BHJP        
   B26D   1/40        20060101ALI20250918BHJP        
   B26D   5/00        20060101ALI20250918BHJP        
   B26D   7/22        20060101ALI20250918BHJP        
【FI】
B65C9/42 
B65C3/16 
B26D1/40 502G 
B26D1/40 502F 
B26D5/00 Z 
B26D7/22 A 
(21)【出願番号】P 2021198676
(22)【出願日】2021-12-07
【審査請求日】2024-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎  真
(72)【発明者】
【氏名】齊藤  卓
【審査官】西塚  祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-133130(JP,A)      
【文献】特開2006-281351(JP,A)      
【文献】特開2003-252318(JP,A)      
【文献】特開2002-249114(JP,A)      
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C      9/42
B65C      3/16
B26D      1/40
B26D      5/00
B26D      7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  連続する帯状のロールラベルを供給するロールラベル供給手段と、回転可能に設けられたカッタローラと、当該カッタローラの外周面に突出して設けられ、上記ロールラベル供給手段によって供給されたロールラベルを切断する切断刃と、上記ロールラベルを挟んで上記カッタローラの反対側に設けられたバックアップローラとを備えたラベラにおいて、
  上記切断刃によって切断されたラベルを搬送するラベル搬送手段と、当該ラベル搬送手段に設定された基準位置と、ラベル搬送手段によって搬送されるラベルの搬送位置とのずれ量に基づいて、上記切断刃の切れ具合を判定するラベル判定手段と、上記カッタローラとバックアップローラとの押圧力を調整する押圧力調整手段と
、上記切断刃またはバックアップローラの交換または調整を促す報知を行う報知手段とを備え、
  上記ラベル判定手段が上記切断刃の切れ具合の低下を判定すると、
上記報知手段が上記報知を行った上で、上記押圧力調整手段が
上記バックアップローラの中心軸をカッタローラに接近させることにより上記バックアップローラの上記カッタローラへの押圧力を上昇させ
て上記ロールラベルの切断作業を継続させることを特徴とするラベラ。
【請求項2】
  上記ラベル判定手段は、上記ラベル搬送手段によって搬送されるラベルの搬送位置を検出するラベル検出手段を備え、
  上記ラベル判定手段は、上記ラベル検出手段によって計測された複数のラベルにおけるずれ量の平均値、ずれ量の標準偏差
のうち、何れか1つまたは複数が所定の値を超えた場合に、上記切断刃の切れ具合が低下したと判定することを特徴とする請求項1に記載のラベラ。
【請求項3】
  上記ラベル搬送手段は、円筒状の外周面に上記ラベルを吸着保持して搬送する移送ドラムを有するとともに、上記移送ドラムの外周面には上記基準位置としての基準マークが設けられ、
  上記ラベル判定手段は、上記ラベル検出手段が検出したラベルの後端部と上記基準マークの位置との差をずれ量と認識することを特徴とする請求項2に記載のラベラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明はラベラに関し、より詳しくは、連続する帯状のロールラベルを所定長さに切断するロータリカッタを備えたラベラに関する。
【背景技術】
【0002】
  従来、ペットボトル等の容器の外周面にラベルを装着するため、連続する帯状のロールラベルをラベル切断手段によって所定長さに切断してから、切断したラベルを容器に装着するラベラが知られている。
  また上記ラベラで使用されるラベル切断手段としては、回転可能に設けられたカッタローラと、当該カッタローラの外周面に突出するように固定された切断刃と、ロールラベルを挟んで上記カッタローラの反対側に設けられたバックアップローラとを備えるロータリカッタが知られている(特許文献1)。
  この特許文献1のラベラでは、上記カッタローラとバックアップローラとの間にロールラベルを通過させて、上記切断刃を上記バックアップローラに押し当てることでロールラベルの切断を行うようになっている。
  一方、ラベラを長期間運転していると経時変化等により切断刃の切れ具合が低下して切断動作を円滑に行うことができなくなるので、ロールラベルを切断する切断刃の切れ具合を診断することにより、運転状態を診断するようにしたラベラが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
               【文献】特開2004-50372号公報
               【文献】特許第4583632号公報
             
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  ここで上記特許文献2のラベラは、運転状態を確認して運転不良の発生を未然に防止するものとなっており、例えば切断刃の切れ具合が低下していると診断された場合には、表示手段にその通知を行うとともに、必要な場合には装置を停止させるものとなっている。
  しかしながら、切断刃の切れ具合を改善するためには、ラベラを停止させて作業者が切断刃の調整や交換といった作業を行う必要があるので、容器を処理する処理システム全体の稼働率が低下してしまうという問題があった。
  このような問題に鑑み、本発明は切断刃の切れ具合が低下した場合であっても、ラベラを一時的に継続して使用することを可能として、処理システムの稼働率の低下を可及的に防止することが可能なラベラを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
  このような問題に鑑み、本発明は、連続する帯状のロールラベルを供給するロールラベル供給手段と、回転可能に設けられたカッタローラと、当該カッタローラの外周面に突出して設けられ、上記ロールラベル供給手段によって供給されたロールラベルを切断する切断刃と、上記ロールラベルを挟んで上記カッタローラの反対側に設けられたバックアップローラとを備えたラベラにおいて、
  上記切断刃によって切断されたラベルを搬送するラベル搬送手段と、当該ラベル搬送手段に設定された基準位置と、ラベル搬送手段によって搬送されるラベルの搬送位置とのずれ量に基づいて、上記切断刃の切れ具合を判定するラベル判定手段と、上記カッタローラとバックアップローラとの押圧力を調整する押圧力調整手段と、上記切断刃またはバックアップローラの交換または調整を促す報知を行う報知手段とを備え、
  上記ラベル判定手段が上記切断刃の切れ具合の低下を判定すると、上記報知手段が上記報知を行った上で、上記押圧力調整手段が上記バックアップローラの中心軸をカッタローラに接近させることにより上記バックアップローラの上記カッタローラへの押圧力を上昇させて上記ロールラベルの切断作業を継続させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
  上記発明によれば、ラベル判定手段が切断刃の切れ具合の低下を判定すると、上記報知手段が切断刃またはバックアップローラの交換または調整を促す報知を行った上で、上記押圧力調整手段が上記バックアップローラとロータリカッタとの押圧力を上昇させることで、一時的に切断刃の切れ具合を復活させて上記ロールラベルの切断作業を継続させることができる。
  これにより、切断刃の切れ具合が維持でき、ラベラを継続して稼働させることができるので、処理中の容器の全ての処理が終了し、ラベラを停止させた後に切断刃の調整や交換を行えば良く、処理システムの稼働率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
  以下、図示実施例について説明すると、
図1はペットボトルなどの容器の外周に樹脂製のフィルムからなるラベルを貼付するラベラ2を示し、当該ラベラ2は容器に飲料等を充填する容器処理システムの一部を構成している。
  上記ラベラ2は、容器を搬送する容器搬送手段3に沿って設けられており、連続する帯状のロールラベル1Aを供給するロールラベル供給手段4と、上記ロールラベル1Aを所定長さに切断するロータリカッタ5と、切断されたラベルの搬送位置を検査するラベル判定手段6と、上記ラベルを上記容器搬送手段3によって搬送される容器に貼付するラベル貼付手段7とから構成されており、これらは図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
 
【0009】
  上記容器搬送手段3は、容器を搬送する供給コンベヤ11と、それぞれ外周に容器保持手段を備えた円盤状の入口ホイール12、装着ホイール13、出口ホイール14と、後工程へと容器を排出する排出コンベヤ15とから構成されている。
  上記供給コンベヤ11にはインフィードスクリュー11aが設けられており、供給コンベヤ11によって搬送された容器はインフィードスクリュー11aによって所定間隔に切り離された後、入口ホイール12に受け渡されるようになっている。
  上記各ホイールの接近した位置では容器保持手段同士で容器の受け渡しを行うようになっており、このうち上記装着ホイール13の容器保持手段は、保持した容器を回転させるように構成されている。
  このような構成により、装着ホイール13におけるラベル貼り付け位置では、容器保持手段によって回転する容器に対し、上記ラベル貼付手段7が短冊状のラベルを当該容器の外周面に貼付するようになっている。
  そしてラベルの装着された容器は、装着ホイール13から出口ホイール14に受け渡された後、上記排出コンベヤ15から排出されるようになっている。
【0010】
  上記ロールラベル供給手段4は、所定の幅を有する帯状のロールラベル1Aを巻回した図示しないロールスタンドと、上記ロールラベル1Aを移送するフィードローラ4aと、上記ロールラベル1Aをロータリカッタ5に向けてガイドする複数のガイドローラ4bとを備えている。
  上記ロールラベル1Aには切断位置に合わせてレジスタマークやカットマークが印刷されており、上記ロールラベル供給手段4には上記ロールラベル1Aのレジスタマークを検出する図示しない検出手段が設けられている。
  上記検出手段は、検出したレジスタマークの回転角度位置を図示しない制御手段に送信し、制御手段は検出されたロールラベル1Aのレジスタマークの回転角度位置を認識すると、このレジスタマークに基づいた位置でロールラベル1Aが切断されるよう、上記フィードローラ4aの速度を調整してロールラベル1Aを上記ロータリカッタ5へと送るようになっている。
【0011】
  図2~
図4は上記ロータリカッタ5を示し、回転可能に設けられた円筒状のカッタローラ21と、当該カッタローラ21の外周面に突出するように設けられた切断刃22と、ロールラベル1Aを挟んで上記カッタローラ21の反対側に設けられるとともに回転可能に設けられた円筒状のバックアップローラ23とを備え、上記カッタローラ21および上記バックアップローラ23は
図3に示す箱型のベースフレーム24によって保持されている。
  上記カッタローラ21とバックアップローラ23とは押圧力調整手段25によって所要の押圧力で圧接した状態を維持しており、上記ロールラベル1Aがカッタローラ21とバックアップローラ23との間に位置すると、ロータ21の外周に突出した切断刃22がバックアップローラ23に押し当てられ、ロールラベル1Aを切断するようになっている。
 
【0012】
  図3に示すように、上記カッタローラ21の上下に設けられた駆動軸26は上記ベースフレーム24に対して軸受けを介して回転可能に軸支されており、このうち図示下方の駆動軸26は上記ベースフレーム24の下方に突出し、制御手段によって制御されるモータ27によって駆動されるようになっている。
  上記カッタローラ21にはギア29が設けられており、後述するように上記バックアップローラ23に設けられたギア30と噛合することでカッタローラ21とバックアップローラ23とが同期して回転するようになっている。
  そして、
図2に示すように、カッタローラ21には中心より偏倚した位置にスリット21aが形成されており、上記切断刃22は上記スリット21aに沿ってカッタローラ21の内側から外側に向けて進退動可能に設けられている。
  本実施例の切断刃22は直線状に形成されており、これによりラベル1の端部は
図5に示すように搬送方向に対して垂直に切断されるようになっている。
  また、上記切断刃22の先端部はカッタローラ21の外周面から若干突出して固定されており、この切断刃22の突出量はラベル1の厚み等に応じてカッタローラ21に設けられた図示しない保持手段によって調整することが可能となっている。
 
【0013】
  上記バックアップローラ23は円筒状の外形を有しており、その外周面に上記切断刃22が押し当てられることによってロールラベル1Aを切断するようになっている。
  またバックアップローラ23の外径は上記カッタローラ21の外径よりも大きく設定されており、上記カッタローラ21とバックアップローラ23とが同期して回転する際に、上記切断刃22のバックアップローラ23への押し当て位置が毎回異なるようになっている。
  上記バックアップローラ23には上記ベースフレーム24に保持された保持軸28が貫通しており、上記バックアップローラ23の下端部には上記カッタローラ21に設けられたギア29と噛合するギア30が設けられている。
  上記保持軸28は上記ベースフレーム24に軸受けを介して回転可能に軸支された揺動軸28aと、上記バックアップローラ23を回転可能に軸支するとともに、上記揺動軸28aに対して中心が偏倚した位置に設けられた偏心軸28bとから構成されている。
  このような構成により、上記保持軸28の揺動軸28aがその中心軸を中心に回転すると、上記偏心軸28bが揺動軸28aの中心軸を中心に揺動し、バックアップローラ23は揺動軸28aを中心に公転することが可能となっている。
【0014】
  上記押圧力調整手段25は、上記保持軸28の先端部に設けられたアーム25aと、上記ベースフレーム24の上部に固定されたエアシリンダ25bとを有し、上記エアシリンダ25bは後述する制御手段33によって制御されるようになっている。
  図4は上記押圧力調整手段25の動作を説明する図となっており、説明のため寸法等を誇張したものとなっている。
  上記アーム25aの基部は上記保持軸28の揺動軸28aに固定されており、揺動軸28aの回転軸を中心に旋回するようになっている。そしてアーム25aの先端部には上記エアシリンダ25bのシリンダロッドの先端部が接続されている。
  
図4に示す平面図において、上記アーム25aの先端部は上記保持軸28の揺動軸28aを挟んで偏心軸28bの反対側に伸びており、
図4(a)に示すようにエアシリンダ25bがシリンダロッドを後退させた状態から、
図4(b)に示すようにシリンダロッドを前進させると、上記バックアップローラ23の中心軸が揺動軸28aを中心に揺動して、上記カッタローラ21に向けて接近するようになっている。
  
図4では、
図4(a)の状態から、
図4(b)の状態とすることで、上記揺動アーム25aが約45°程揺動しているが、このとき実際のバックアップローラ23の中心軸の移動量は1~2mm程度であり、上記カッタローラ21とバックアップローラ23とに設けられたギア30、29の噛合状態が維持されるようになっている。
 
【0015】
  本実施例では、
図4(a)に示す状態が通常運転状態となっており、このときバックアップローラ23はカッタローラ21に対して標準の押圧力で圧接するようになっている。
  これに対し、シリンダロッドを前進させた
図4(b)に示す状態は加圧状態となっており、バックアップローラ23の中心軸がカッタローラ21に接近することにより、これらの押圧力が高くなった状態となっている。
  このように押圧力調整手段25によってバックアップローラ23が上記カッタローラ21に圧接する押圧力を高くすると、上記カッタローラ21から突出している切断刃22のバックアップローラ23への押し込み圧が大きくなるため、切断刃22による切れ具合が向上するように調整されることとなる。
 
【0016】
  上記ラベル判定手段6は、上記ラベル切断手段5の下流側に設けられており、回転可能に設けられたラベル搬送手段としての移送ドラム31と、当該移送ドラム31に隣接した位置に設けられた撮像手段32と、撮像手段32が撮像した画像に基づいて上記圧力調整手段25を制御する圧力調整手段制御手段33(以下、単に制御手段33と呼ぶ)とを備えている。
  また移送ドラム31はバックアップローラ23に隣接した位置に設けられており、接近した位置においてバックアップローラ23から移送ドラム31へとラベル1の受け渡しを行うようになっている。
  上記移送ドラム31は円柱状の外形を有しており、図示しない駆動手段によって回転駆動されるとともに、外周面には上記ロータリカッタ5によって切断されたラベル1を吸着保持するための図示しない吸引手段が設けられている。
  
図5は、上記移送ドラム31の外周面を平面的に展開した図面を示しており、移送ドラム31の回転によって、ラベル1が図示右方から左方に向けて移動している状態を示し、図示右方には上記ロータリカッタ5のバックアップローラ23が位置している。
  移送ドラム31の外周面には複数枚の切断したラベル1を吸着させることが可能となっており、移送ドラム31に吸着保持されるラベル1とラベル1との間に間隔が形成されるように、上記移送ドラム31がラベル1を搬送する速度は、上記フィードローラ4aがラベル1を搬送する速度よりも若干早くなっている。
 
【0017】
  そして本実施例の移送ドラム31の外周面には、上記切断されたラベル1の搬送位置に合わせて、基準位置としての基準マーク34が設けられており、本実施例の基準マーク34は上記ラベル1を挟んで上下に設定されたものとなっている。なお、基準マーク34がラベル1の上方または下方の一方に設定されたものであってもよい。
  そして上記撮像手段32は、上記移送ドラム31の回転に同期して作動し、上記移送ドラム31における上記基準マーク34の近傍を撮影するようになっている。
  上記制御手段33はラベラ2を制御する制御手段の一部を構成しており、上記撮像手段32が撮影した画像の画像処理を行うとともに、上記基準マーク34と基準マーク34とを結んだ線に対する、上記移送ドラム31に吸着保持された上記ラベル1の後端部の位置を認識するようになっている。
  なお、基準マーク34をラベル1の上方または下方の一方に設定した場合には、設定された基準マーク34の座標からラベル1の後端部の位置を認識するようにすればよい。
  
図5の図示右側のラベル1は、上記ロータリカッタ5が適切にロールラベル1Aを切断し、ラベル1の搬送位置が移送ドラム31に設定された基準位置に一致している状態を示している。
  具体的には、上記バックアップローラ23から移送ドラム31に受け渡されたラベル1の後端部が、上記基準マーク34と基準マーク34とを結んだ直線上に位置したものとなっている。
 
【0018】
  一方、
図5の図示左側のラベル1は、上記ロータリカッタ5によるロールラベル1Aの切断が適切に行われておらず、ラベル1の搬送位置が移送ドラム31における基準位置からずれている状態を示している。
  具体的には、ラベル1の後端部が上記基準マーク34と基準マーク34とを結んだ直線から後方にずれたものとなっている。
  ここで、上記ラベル1の搬送位置が基準位置に対してずれてしまう原因として、上記ロータリカッタ5における切断刃22の切れ具合の低下がある。
  例えば経年劣化によって切断刃22の切れ具合が低下すると、切断刃22によってロールラベル1Aの一部が切れずに残ってしまうことから、移送ドラム31に受け渡されたラベル1が後方に引っ張られてしまうこととなる。
  上記切断刃22の切れ具合の低下の原因としては、上記切断刃22の劣化以外にも、切断刃22が押し当てられるバックアップローラ23の凹みや傷による劣化も考えられる。
  その結果、
図5の図示左方に示すように、切断が完了したラベル1の後端部が基準マーク34と基準マーク34とを結んだ直線から後方にずれてしまったり、ラベル1が基準マーク34と基準マーク34とを結んだ直線から傾いてしまったりすることとなる。
  このようにラベル1の搬送位置が上記基準位置から大きくずれてしまうと、糊塗布手段42においてラベル1に糊を塗布する際、後述する貼り付けドラムに糊が付着してしまい、ラベル1の貼り付け不良の原因となってしまう。
 
【0019】
  そこで、本実施例のラベラ2では、上記ラベル1の貼り付け不良が発生してしまうずれ量の範囲として、上記基準マーク34から所定の距離までの間を調整可能範囲として設定している。また、上記ラベル1の後端部と上記基準マーク34と基準マーク34とを結んだ線とのなす角度について調整可能範囲を設定してもよい。
  そして、上記ずれ量が当該調整可能範囲を超えた場合には、ラベラ2を停止させるが、一般的に、上記切断刃22の切れ具合は徐々に低下してゆくため、経年劣化による切断刃22の切れ具合の低下を原因として、上記ずれ量が上記調整可能範囲を突然超えることはない。
  そこで本実施例では、上記ずれ量が上記調整可能範囲の範囲内にある場合には、ラベラ2を緊急停止させることなく、引き続きラベラ2を稼働させるようになっている。
  制御手段33は、複数枚のラベル1についてずれ量を計測し、当該ずれ量が上記調整可能範囲の範囲内である場合には、ずれ量の平均値、ずれ量の標準偏差、ずれの発生頻度を算出し、これらの値の何れか1つ、または複数の値が所定の値を超えた場合には、切断刃22の切れ具合が低下したものと判定する。
【0020】
  そして、切断刃22の切れ具合が低下していると判定されると、さらに制御手段33は上記ロータリカッタ5の上記押圧力調整手段25を制御し、
図4(a)の状態から
図4(b)の状態へとエアシリンダ25bを作動させる。
  これによりバックアップローラ23の中心軸がカッタローラ21に接近して、カッタローラ21とバックアップローラ23との押圧力が増加し、上記切断刃22のバックアップローラ23への押し当て圧が高くなることから、切断刃22の切れ具合が一時的に復活することとなる。
  その結果、その後ロータリカッタ5によって切断されるラベル1については、切断不良が発生せず、上記移送ドラム31によって搬送されるラベル1の後端部の位置が上記基準マーク34に接近することとなり、ラベル1の搬送位置ずれが解消されることとなる。
 
【0021】
  上記ラベル貼付手段7は、上記ラベル判定手段6の下流側に設けられ、回転可能に設けられた貼り付けドラム41と、当該貼り付けドラム41に隣接した位置に設けられた糊塗布手段42とから構成されている。
  上記貼り付けドラム41は円柱状の外形を有しており、図示しない駆動手段によって回転駆動するとともに、外周面には上記ラベル1を吸着保持するための図示しない吸引手段が設けられている。
  また貼り付けドラム41は上記ラベル判定手段6の移送ドラム31に隣接した位置に設けられており、接近した位置において移送ドラム31から貼り付けドラム41へとラベル1の受け渡しを行うようになっている。
  さらに貼り付けドラム41の外周面は上記容器搬送手段3の装着ホイール13によって搬送される容器の外周面の位置に合わせて設けられており、装着ホイール13の容器保持手段によって自転している容器の外周にラベル1を貼付するようになっている。
  上記糊塗布手段42は、上記貼り付けドラム41によって搬送されるラベル1の表面にホットメルトを塗布するようになっており、上記貼り付けドラム41の回転に同期してホットメルトを吐出するように構成されている。
【0022】
  上記構成を有するラベラ2の動作について説明すると、最初に、上記ロールラベル供給手段4は帯状に連続したロールラベル1Aを上記ロータリカッタ5へと供給する。
  ロータリカッタ5では、上記カッタローラ21とバックアップローラ23との間にロールラベル1Aが供給され、カッタローラ21とバックアップローラ23とが同期して回転することにより、カッタローラ21に設けられた切断刃22によってロールラベル1Aが切断されるようになっている。
  このとき、カッタローラ21とバックアップローラ23との押圧力は上記押圧力調整手段25によって通常運転状態に維持されており、切断刃22がバックアップローラ23に押し当てられることで、ロールラベル1Aが切断されるようになっている。
  切断されたラベル1は、続いて移送ドラム31に受け渡され、移送ドラム31では撮像手段32が撮影した画像により、ラベル1の搬送位置と移送ドラム31に設定された基準位置とのずれ量が測定される。
  ここで、
図5の図示左側のラベル1のように、ラベル1の後端部が上記基準マーク34の位置に一致している場合、制御手段33はこのラベル1については切断が良好に行われているものとして判定する。
  その後、上記ラベル1は上記ラベル貼付手段7へと受け渡され、貼り付けドラム41によって搬送されている間に糊塗布手段42によってラベル1の所定位置にホットメルトが塗布される。
  続いて、容器搬送手段3によって搬送される容器に対し、ラベル1を装着すると、当該容器は容器搬送手段3の排出コンベヤ15から排出されるようになっている。
 
【0023】
  続いて、処理システムの稼働中に、上記ロータリカッタ5における切断刃22の切れ具合が低下した場合の動作を説明する。
  切断刃22の切れ具合が低下すると、
図5における図示右側に示すラベル1のように、移送ドラム31によって搬送されるラベル1の後端部が、上記基準マーク34が設けられた基準位置から後方にずれたり、基準位置から傾いたりすることとなる。
  ラベル判定手段6を構成する撮像手段32が上記移送ドラム31によって搬送されるラベル1を撮影し、上記制御手段33は画像処理によって上記ラベル1の後端部と上記基準マーク34の位置との差を測定し、この差をずれ量として認識する。
  ここで、何らかの原因によって上記ずれ量が上述した調整可能範囲を超えている場合や、ラベル1の後端部の傾きが大きい場合には、制御手段はラベル1の貼り付け不良を防止するために、ラベラ2を緊急停止させる。
  これに対し、上記ずれ量が調整可能範囲の範囲内である場合、制御手段33は連続して搬送されるラベル1についてずれ量を測定し、所定の時間内または所定の枚数毎のずれ量の平均値、ずれ量の標準偏差、ずれの発生頻度を算出し、これらの値の何れか1つ、または複数の値が所定の値を超えた場合には、切断刃22の切れ具合が低下したものと判定する。
  そして、制御手段は操作端末などを報知手段として、ロータリカッタ5の切れ具合が低下していることと、切断刃22やバックアップローラ23の調整または交換が必要なことを報知するようになっている。これにより、ロータリカッタ5の切断刃22やバックアップローラ23の摩耗や劣化を作業者に知らせて、予兆保全を行うことができる。
 
【0024】
  続いて制御手段33は上記ロータリカッタ5の押圧力調整手段25を制御して、
図4(a)から
図4(b)に示す加圧状態とすることにより、切断刃22へのバックアップローラ23の押圧力を増加させる。
  これにより、カッタローラ21に設けた切断刃22によるバックアップローラ23への押し当て圧が大きくなり、切断刃22の見かけ上の切れ具合が一時的に復活することとなる。
  その結果、その後切断されるラベル1については、当該ラベル1の後端部の上記基準マーク34に対する位置ずれが解消されることとなる。
  そして、容器処理システムで処理中の容器の処理が予定通り終了するまで、押圧力調整手段25は加圧状態を維持し、ラベラ2は容器搬送手段3によって搬送される容器にラベル1を装着する作業を継続する。
  また押圧力調整手段25による調整が行われると、制御手段は操作端末などを報知手段として、押圧力調整手段25による調整が行われたことを報知するようになっている。
  そして、容器処理システムにおいて規定の数量の容器の処理が終了した後に、作業者によって切断刃22の調整や、切断刃22またはバックアップローラ23の交換が行われる。
 
【0025】
  このように、本実施例のラベラ2によれば、上記ラベル判定手段6がロータリカッタ5に設けられた切断刃22の切れ具合の低下を判定すると、上記押圧力調整手段25によって上記バックアップローラ23のロータリカッタ21への押圧力を増加させ、上記切断刃22による切れ具合を維持するようになっている。
  これにより、例えば容器処理システムにおいて規定数の容器の処理が終了するまでの間、ラベラ2を停止させずにロールラベル1Aの切断を継続することが可能となり、容器の処理が全て完了した後に、切断刃22の交換や調整を行えば良い。従って、ラベラ2の稼働率、ひいては容器処理システム全体の稼働率を落とさないようにすることができる。
【0026】
  なお上記実施例では、上記切断刃22のバックアップローラ23への押し当て圧を増加させるための押圧力調整手段25として、カッタローラ21とバックアップローラ23との押圧力を増加させるようになっているが、そのほかの方法を用いて切断刃22へのバックアップローラ23の押圧力を増加させるようにしてもよい。
  例えば、上記カッタローラ21の内部に、上記切断刃22を移動させるアクチエータを設けて、ラベル判定手段6が切断刃22の切れ具合が低下したと判断した場合には、制御手段が上記アクチエータを制御して上記切断刃22を前進させ、上記ロータ21からの突出量を増加させるようにしてもよい。
  また上記実施例では、バックアップローラ23を揺動させてカッタローラ21に接近させる構成を用いており、その駆動源として上記エアシリンダ25bを用いているが、そのほかにもアクチエータやサーボモータによって駆動するようにしてもよい。
  さらに、カッタローラ21とバックアップローラ23との押圧力を増加させるために、バックアップローラ23を揺動させてカッタローラ21に接近させる構成以外の構成を用いることも可能である。
  また上記実施例では、
図4(a)(b)に示すように、通常運転状態と加圧状態との2段階でカッタローラ21とバックアップローラ23との押圧力を調整しているが、上記エアシリンダ25bの動作を多段階とすることにより、押圧力の調整を細かく制御することも可能である。
  また上記実施例では、移送ドラム31の外周面に基準マーク34が設けられ、基準マーク34の位置が基準位置と設定されているが、ロータリエンコーダによって移送ドラム31における基準位置が設定されるものであってもよい。
  さらに上記実施例では、ラベル1の後端部と基準マーク34の位置との差を測定し、この差をずれ量と認識しているが、ラベル1の前端部と基準マーク34の位置との差を測定し、この差をずれ量と認識するようにしてもよい。
 
【符号の説明】
【0027】
  1  ラベル                          1A  ロールラベル
  2  ラベラ                          5  ロータリカッタ
  6  ラベル判定手段                  7  ラベル貼付手段
  21  カッタローラ                  22  切断刃
  23  バックアップローラ            25  押圧力調整手段
  31  移送ドラム(ラベル搬送手段)  32  撮像手段
  33  押圧力調整手段制御手段        34  基準マーク